(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-162026(P2016-162026A)
(43)【公開日】2016年9月5日
(54)【発明の名称】カード処理装置
(51)【国際特許分類】
G06K 13/06 20060101AFI20160808BHJP
【FI】
G06K13/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-37761(P2015-37761)
(22)【出願日】2015年2月27日
(71)【出願人】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】横山 徳彦
【テーマコード(参考)】
5B023
【Fターム(参考)】
5B023GA02
(57)【要約】
【課題】開口からカードが飛び出したり、詰まったりすることのないカード処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 カード処理装置100は、カードCAを挿入または返却する開口1aと、カードCAの挿入に伴い移動するスライダ5と、開口1aから挿入されたカードCAに所定の処理を施すためスライダ5を一時的に保持する第1ストッパ10と、開口1aからカードCAを返却する位置にスライダ5を移動させる返却部(電磁ソレノイド9、第1ストッパ10)と、スライダ5をカードCAが未挿入時の位置に戻すよう付勢する付勢部6と、スライダ5に係合する係合部21とカードCAに当接する当接部22とを有する第2ストッパ20と、を有し、第2ストッパ20が、カードCAの返却時、スライダ5の移動に伴って回動し、当接部22がカードCAに当接する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを挿入または返却する開口と、
前記カードの挿入に伴い移動するスライダと、
前記開口から挿入されたカードに所定の処理を施すため前記スライダを一時的に保持するカード保持部と、
前記開口から前記カードを返却する位置に前記スライダを移動させる返却部と、
前記スライダを前記カードが未挿入時の位置に戻すよう付勢する付勢部と、
前記スライダに係合する係合部と前記カードに当接する当接部とを有する制動部と、を有し、
前記制動部が、前記カードの返却時、前記スライダの移動に伴って回動し、前記当接部が前記カードに当接することを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
前記カードは、上方から挿入され、
前記制動部が自重により軸支される軸受部を有することを特徴とする請求項1に記載のカード処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードをカード挿入口兼返却口から自重によってカード収納部に落下させ、そのカードのカード処理を行うために一旦支承し、カード処理後に上昇手段によってカードを上昇させ、カード挿入口兼返却口からカードの上部を露呈させることによって返却する非接触型ICカード処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、自重によって鉛直方向へ落下したカードをカード収納箱に回収するカード処理装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、カードを上方から挿入しカード処理後上方に返却する構造のものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−184465号公報
【特許文献2】特開2010−73131号公報
【特許文献3】特開2014−178925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献3のカード処理装置では返却時にカードが飛び出してしまうことがある。この不具合を解消するために、バネの荷重を調整する必要があるが、バネの荷重が弱すぎるとカード詰まりが生じる恐れがあり、逆にバネの荷重が強すぎるとカードが飛び出してしまうため、このようにバネの荷重調整では困難であった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、開口からカードが飛び出したり、詰まったりすることのないカード処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、(1)本発明のカード処理装置は、カードを挿入または返却する開口と、前記カードの挿入に伴い移動するスライダと、前記開口から挿入されたカードに所定の処理を施すため前記スライダを一時的に保持するカード保持部と、前記開口から前記カードを返却する位置に前記スライダを移動させる返却部と、前記スライダを前記カードが未挿入時の位置に戻すよう付勢する付勢部と、前記スライダに係合する係合部と前記カードに当接する当接部とを有する制動部と、を有し、前記制動部が、前記カードの返却時、前記スライダの移動に伴って回動し、前記当接部が前記カードに当接する。
【0007】
(2)上記(1)において、前記カードは、上方から挿入され、前記制動部が自重により軸支される軸受部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、開口からカードが飛び出したり、詰まったりすることのないカード処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係るカード処理装置の外観構成を示す正面図である。
【
図2】本実施形態に係るカード処理装置のカード挿入時及びカード返却時におけるカバーを外したときの正面構造を示す正面図である。
【
図3】本実施形態に係るカード処理装置のカード挿入時及びカード返却時の断面状態を示す図であって、
図2におけるD−D線断面図である。
【
図4】本実施形態に係るカード処理装置の読取時におけるカバーを外したときの正面構造を示す正面図である。
【
図5】本実施形態に係るカード処理装置の読取時の断面状態を示す図であって、
図4におけるE−E線断面図である。
【
図6】本実施形態に係るカード処理装置のカード静止時におけるカバーを外したときの正面構造を示す正面図である。
【
図7】本実施形態に係るカード処理装置のカード静止時の断面状態を示す図であって、
図6におけるF−F線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0011】
<カード処理装置の構成>
図1は、本実施形態に係るカード処理装置の外観構成を示す正面図である。
図2は、本実施形態に係るカード処理装置のカード挿入時とカード返却時におけるカバーを外したときの正面構造を示す正面図である。
図3は、本実施形態に係るカード処理装置のカード挿入時とカード返却時の断面状態を示す図であって、
図2におけるD−D線断面図である。
【0012】
図4は、本実施形態に係るカード処理装置の読取時におけるカバーを外したときの正面構造を示す正面図である。
図5は、本実施形態に係るカード処理装置の読取時の断面状態を示す図であって、
図4におけるE−E線断面図である。
図6は、本実施形態に係るカード処理装置のカード静止時におけるカバーを外したときの正面構造を示す正面図である。
図7は、本実施形態に係るカード処理装置のカード静止時の断面状態を示す図であって、
図6におけるF−F線断面図である。
【0013】
図1に示すように、カード処理装置100は、ベース1の上端部に非接触型IC(Integrated Circuit)カードCA(以下、これを単にカードCAと呼ぶ)を挿入または返却するための開口1aが設けられ、ベース1を構成している表面側ベース1fmに対してカバー2が装着可能な全体外観構成を有している。
【0014】
表面側ベース1fmにおける左右両側上端部にはシャッタ3、3が設けられ、当該シャッタ3、3における下方端部のシャッタ軸3a、3aを介してリンク4、4と連結されている。
【0015】
図2〜
図7に示されるように、ベース1を構成している表面側ベース1fmのほぼ中央に平行に設けられた縦長のベース溝1c、1cにはスライダ5が矢印A−B方向へスライド自在に係合されているとともに、スライダ5の中央に縦長に設けられたスライダ溝5eに対して表面側ベース1fm上に立設された突起部1eが係合されている。
【0016】
スライダ5は、スライダ溝5eとは直交する矢印E方向へ向かって突出した突出部5b(
図3)を有し、当該突出部5bが表面側ベース1fmから矢印E側へ向かって突出している。またスライダ5には、当該スライダ5の下方に設けられた第1ストッパ10の爪10bと係合するための係合孔5aが第1ストッパ10の延長線上方の所定位置に形成されている。第1ストッパ10は、カード保持部として機能し、開口1aから挿入されたカードCAに所定の処理を施すためスライダ5を一時的に保持するためのものである。
【0017】
スライダ5の左右両側にはバネ(付勢部)6、6が設けられ、当該スライダ5の左右両側下方端部とバネ6、6の下端部とが取り付けられるとともに、バネ6、6が矢印A−B方向へ向かって互いに平行となるように、当該バネ6、6の上端が表面側ベース1fm上の所定位置に取り付けられている。このバネ6、6は、カードCAが未だ挿入されていない未挿入時の位置にスライダ5を戻すように矢印A方向へ常時付勢している。
【0018】
スライダ5の下方に設けられた第1ストッパ10は、表面側ベース1fmから矢印F方向へ突設されたボス1gに対して軸10aを中心に回動自在に取り付けられている。第1ストッパ10の近傍には電磁ソレノイド9が設けられ、そのプランジャ9aに固定されたピン11が第1ストッパ10に摺動自在に係合されている。
【0019】
電磁ソレノイド9は、
図2に示されるように、電流が印加されない状態ではプランジャ9aが上方に位置されているので、このとき
図3に示されるように、第1ストッパ10が時計回り方向へ付勢され、
図5に示されるように、第1ストッパ10の爪10bがスライダ5の係合孔5aに係合された状態が維持されるように構成されている。
【0020】
一方、電磁ソレノイド9は、
図4に示されるように、電流が印加されるとプランジャ9aが吸引されるので、当該プランジャ9aとともにピン11が下方へ移動することになる。このとき、ピン11が下方へ移動し、プランジャ9aが更に吸引され続けることにより、軸10aを中心として第1ストッパ10が反時計回り方向へ回転されるように構成されている(
図3)。なお、電磁ソレノイド9および第1ストッパ10によってカードCAを開口1aから上方へ返却する位置にスライダ5を移動させるカード返却部を構成する。
【0021】
第2ストッパ20は制動部として機能し、この第2ストッパ20には、矢印F側へ向かって突出し、スライダ5に形成された係合孔5aに係合する係合部21が形成されている。また、第2ストッパ20には、ベースから突出している回転軸1dを中心に回動自在に取り付けられる軸受部23が形成されている。本実施形態の場合、カードCAは、上方から挿入される構成であるため、軸受部23は制動部である第2ストッパ20が自重により軸支される構成をしている。
【0022】
カードCAの返却時、スライダ5の移動に伴って軸受部23により回動し、カードCAが当接する当接部22が形成されている。これにより、返却時のカードCAの勢い抑えることができ、カードCAが飛び出したり、詰まったりすることを防止することができる。
当接部22には、カードCAが傷つかないようにコーティングを施し、またシボ加工する等の表面処理を施すことができる。
【0023】
<カード処理装置によるカード挿入および返却動作>
カード処理装置100にカードCAが挿入されていない状態において、
図2及び
図3に示されるようにカードCAが開口1aから挿入されると、バネ6、6により上方に付勢されたスライダ5の突出部5bにカードCAの一方の端部が当接された状態で、当該カードCAが下方へ押し続けられることにより、当該スライダ5がカードCAとともにバネ6、6の付勢力に抗して押し下げられる。
【0024】
このとき、
図5に示されるように、図中時計回り方向へ付勢された第1ストッパ10の爪10bと、カードCAの挿入とともに上方から下方へ押し下げられたスライダ5の係合孔5aとが係合され、当該スライダ5がその位置に留まることとなる。このときカードCAとリーダライタ12とは互いに対向された配置状態となるため、当該リーダライタ12によりカードCAに対するデータの読み出しや書き込みが行われる。
【0025】
その後、カードCAに対する返却命令が与えられると、その返却命令に応じて電磁ソレノイド9に電流が印加され、
図4及び
図5に示されるように、プランジャ9aが下方に吸引されるので、当該プランジャ9aとともにピン11が下方へ移動し、プランジャ9aが更に吸引され続けることにより、軸10aを中心として第1ストッパ10が反時計回り方向へ回転される。
【0026】
この結果、
図6及び
図7に示されるように、第1ストッパ10の爪10bとスライダ5の係合孔5aとの係合状態が解除され、当該スライダ5はバネ6、6の付勢力により上方へ押し上げられ、スライダ5の突出部5bに一方の端部が当接されたカードCAもスライダ5とともに一緒に押し上げられ、当該カードCAの他方の端部が開口1aから僅かに露出する。
【0027】
このとき、第2ストッパ20に形成された当接部22が、スライダ5の移動に伴って軸受部23により回動し、カードCAに当接しているため、返却時のカードCAの勢い抑えることができる。これにより、カードCAが勢いよく飛び出すことを防止することができる。
ユーザは、開口1aから露出したカードCAの他方の端部を指で掴んで引き抜くことによりカードCAの返却を受けることができる。
【0028】
本発明の実施形態によれば、いかなる状態のカードに対しても開口からカードが飛び出したり、詰まったりすることがなく、使い勝手が向上する。また第2ストッパ20を自重により軸支することにより部品点数の削減、さらなる使い勝手の向上が図れる。本実施形態では、第2ストッパ20がカードCAの表面を当接するが、側面に当接するように構成してもよい。
【0029】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0030】
100…カード処理装置、1…ベース、2…カバー、3…シャッタ、4…リンク、5…スライダ、6…バネ(付勢部)、9…電磁ソレノイド、10…第1ストッパ、12…リーダライタ、14…ロックレバー、20…第2ストッパ、22…当接部。