【解決手段】テレビ2の背面には、主フレーム4と、係止フレーム12と、取付ボルト13と、補強スリーブ14によって取付部が構成されており、壁に固定した係止具20に係止フレームの係止部16を掛け、テレビを壁に隙間をおいて取り付ける。取付部に固定された第1設置部材6にはビデオプレーヤ25が設置され、補助設置部材11にはハードディスク30が設置される。ビデオプレーヤ等はテレビと壁の間の隙間に隠されるので、テレビを壁掛けタイプにしたことによる省スペース効果と美観向上効果を確実に達成できる。
電子装置の背面と前記取付部と前記第1設置部材の少なくとも一部に取りつけられ、電子装置の下方の位置に第2機器を設置する第2設置部材をさらに有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の電子装置の壁掛け装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、テレビを壁掛けタイプにして省スペースを実現したとしても、テレビとともに使用するDVDプレーヤー等の機器類は、テレビの近傍の床上に設置する必要がある。このため、壁に掛けたテレビの下方の床上にテレビボード等の家具を設置し、これにDVDプレーヤー等の機器類を収納することになる。従って、結局は床上にテレビを設置した場合に比べても、テレビ周りの有効なスペースをさほど拡大したことにはならず、美観を向上させる効果もあまり高くないという問題があった。さらに、テレビの周辺機器であるDVDプレーヤーは、一般的に偏平な箱型の外形であり、薄い高さ方向を鉛直方向に一致させ、広い平面上の上面及び底面を水平にした平置きの姿勢で設置するのが通常であるため、壁掛けテレビの省スペース効果をさらに低減させることになっていた。
【0005】
本発明は、上述した従来の壁掛けテレビのような電子装置の壁掛け装置における課題に鑑みてなされたものであり、壁に掛けた電子装置の周辺機器等を電子装置と壁の間に配置して省スペースと美観の向上をともに実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された電子装置の壁掛け装置は、
電子装置を壁に取りつける電子装置の壁掛け装置であって、
電子装置の背面に取りつけられ、壁に設けられた係止具に係止されることによって電子装置と壁の間に所定寸法の隙間が生じるように電子装置を壁に取りつける取付部と、
電子装置の背面又は前記取付部に取りつけられ、前記隙間に第1機器を設置するための第1設置部材と、
を備えたことを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載された電子装置の壁掛け装置は、請求項1に記載の電子装置の壁掛け装置において、
制御信号を受信して第1機器に伝達する信号伝達手段を有することを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載された電子装置の壁掛け装置は、請求項2に記載の電子装置の壁掛け装置において、
第1機器は制御信号を受信する第1受信部を有しており、
前記信号伝達手段は、制御信号を受信しうる位置に設けられた第2受信部と、前記第1受信部に近接して配置された送信部と、前記第2受信部と前記送信部を接続する制御信号の伝達線を有することを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載された電子装置の壁掛け装置は、請求項1から3のいずれか一つに記載の電子装置の壁掛け装置において、
電子装置の背面と前記取付部と前記第1設置部材の少なくとも一部に取りつけられ、電子装置の下方の位置に第2機器を設置する第2設置部材ををさらに有することを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載された電子装置の壁掛け装置は、請求項1から4のいずれか一つに記載の電子装置の壁掛け装置において、
前記第1機器は、
前記第1設置部材に設置される本体と、
情報が書き込まれた光ディスクを設置するために前記本体に出入自在に設けられたトレイと、
前記本体の内部に設けられ、前記本体に収納されている前記トレイに設置された前記光ディスクを回転させて情報を読み取るディスクドライブと、
を有し、
前記電子装置に接続されて前記光ディスクの情報を前記電子装置に供給する光ディスク読み取り装置であって、
前記光ディスク読み取り装置は、前記トレイに設置された前記光ディスクが鉛直方向に実質的に平行となるように前記第1設置部材に設置され、
前記トレイには、前記トレイに設置された前記光ディスクが前記トレイを前記本体の外に引き出した際に落下するのを防止するディスク係止部が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載された電子装置の壁掛け装置によれば、電子装置の背面にある取付部を壁の係止具に係止させることにより、電子装置と壁の間に所定寸法の隙間が生じるように電子装置を壁に取りつけることができる。そして、第1設置部材に第1機器を設置すれば、この第1機器は、電子装置と壁の間の隙間に隠されて設置される。このため、電子装置を壁掛けタイプにしたことによる省スペース効果と美観向上効果を確実に得ることができる。
【0012】
また、床上に収納家具等を設置し、その上に電子機器を設置するとともに、その内部に第1機器を収納し、両者を配線で接続する構成とした場合には、電子装置と第1機器を接続する配線は、収納家具の背面に設けた配線孔を通して取り回す必要が生じるため非常に煩雑になり、また配線は電子機器と収納家具の背面側との間に露出してしまうため、見栄えも良くない。しかし、本発明によれば、壁に取り付けた電子機器と壁との間に第1機器が配置されるため、両者を結ぶ配線は両者を直接接続するように配すればよく、取り回しは容易である。また、配線はすべて電子機器の背面と壁の間に納まるので見栄えもよい。
【0013】
請求項2に記載された電子装置の壁掛け装置によれば、第1機器はテレビの裏側に隠れているが、ユーザーがリモコン等から送る制御信号は、信号伝達手段が受信して第1機器に伝達されるので、第1機器及びこれに接続された電子装置の制御に支障が生じることはない。
【0014】
請求項3に記載された電子装置の壁掛け装置によれば、ユーザーがリモコン等から制御信号を送ると、この制御信号は、第2受信部によって受信され、伝達線を経て送信部から送信され、第1機器の第1受信部に受信されて第1機器及び電子装置の制御に供される。
【0015】
請求項4に記載された電子装置の壁掛け装置によれば、電子装置の下方の位置に、第2設置部材によって第2機器を設置することができる。
【0016】
請求項5に記載された電子装置の壁掛け装置によれば、本体に出入自在に設けられたトレイに光ディスクを設置して情報を読み取る第1機器としての光ディスク読み取り装置を、電子装置に接続して使用する。そして、このような光ディスク読み取り装置を、光ディスクが鉛直方向に実質的に平行となるような状態(これを縦置きと称する)で第1設置部材に設置する。しかし、トレイにはディスク係止部が設けられているため、トレイを本体から引き出しても、光ディスクはディスク係止部に係止してトレイに保持され、落下することはない。
【0017】
トレイ上の光ディスクが水平面と平行な状態(これを平置きと称する)となるように設置して使用する市販の光ディスク読み取り装置のトレイには、このようなディスク係止部がない。このため、これを本発明のように電子装置の背面側に縦置きで設置すると、何らの手段も講じない場合には、トレイを引き出した場合に光ディスクがトレイから落下してしまう場合がある。しかし、本発明によれば、このディスク係止部を後付けでトレイに設けることにより、縦置きとした市販の光ディスク読み取り装置からトレイを引き出した場合にも、光ディスクがトレイから落下してしまう不都合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る壁掛け装置の部品を示す図である。
【
図3】テレビの背面に壁掛け装置の一部を取りつけた状態を示す背面図である。
【
図4】テレビの背面に所定のピッチで設けられた取付孔に壁掛け装置を取りつけた状態を示す背面図である。
【
図5】テレビの背面に取りつけた壁掛け装置の部分断面図である。
【
図6】テレビの背面に壁掛け装置を取りつけた状態を示す斜視図である。
【
図7】
図4の例とは異なるピッチで取付孔が設けられたテレビの背面に壁掛け装置を取りつけた状態を示す背面図である。
【
図9】壁掛け装置でテレビを壁に取り付けた状態を示す側面図である。
【
図10】壁掛け装置でテレビを壁に取り付けるとともにテレビと壁の隙間にビデオプレーヤを設置し、リモコンからの制御信号をビデオプレーヤに中継する信号伝達手段をテレビ等に設けた状態を示す側面図である。
【
図11】テレビ及びビデオプレーヤ等を壁掛け装置で壁に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図12】リモコンからの制御信号をビデオプレーヤに中継する信号伝達手段の回路図である。
【
図13】壁掛け装置の第1設置部材に設置されたビデオプレーヤにおいて、本体から引き出されたトレイ及びトレイに設置された光ディスクの正面図である。
【
図14】壁掛け装置の第1設置部材に設置されたビデオプレーヤの内部において、トレイ及びトレイに設置された光ディスクを、
図13に示す光ディスクに垂直なA−A切断線における断面図であり、想像線は保持位置に移動したディスクドライブの一部と、ディスクドライブで保持された光ディスクを示す想像図である。
【
図15】本発明の実施形態に係る壁掛け装置で用いられる第2設置部材を示す斜視図である。
【
図16】テレビの背面に第2設置部材を含む壁掛け装置を取りつけた状態を示す背面図である。
【
図17】壁掛け装置でテレビを壁に取り付けるとともにテレビと壁の隙間にビデオプレーヤを設置し、リモコンからの制御信号をビデオプレーヤに中継する信号伝達手段をテレビ等に設け、第2設置部材にスピーカを設置した状態を示す側面図である。
【
図18】テレビ、ビデオプレーヤ及びスピーカ等を壁掛け装置で壁に取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を
図1〜
図18を参照して説明する。
本実施形態の壁掛け装置は、電子装置の一例である薄型のテレビを、壁に対して所定寸法の隙間をおいて取り付けるとともに、この隙間にテレビの周辺機器であるビデオプレーヤを設置する機能を備えた装置である。なお、実施形態のビデオプレーヤとは、DVDプレーヤーのような再生機能を有する光ディスク読み取り装置やハードディスクドライブを意味し、録画機能を備えていてもよい。
【0020】
まず、この壁掛け装置の構成について説明する。
壁掛け装置1は、
図1等に示すように複数種類の部品から構成されている。また、
図2に示すように、テレビ2の背面には、取り付け用のねじ孔3が設けられている。この壁掛け装置1は、複数の部品を
図3及び
図4に示すような態様でテレビ2の背面に取り付けて構成したものである。
【0021】
図1(a)は、取付部を構成する部品である一対の主フレーム4,4を示す。主フレーム4は、
図2に示すようなテレビ2の背面に設けられたねじ孔3に対し、
図3及び
図4に示すように、上下方向に所定間隔をおいて互いに水平に固定される棒板状の部材であり、所定間隔(例えば100mm間隔)でボルト孔5が形成されている。
【0022】
図1(b1)及び(b2)は、主フレーム4に固定される部品である第1設置部材6である。第1設置部材6は、下面と一側面が解放された箱型の上部材7と、上面と一側面が解放された箱型の下部材8と、上部材7と下部材8を所定間隔をおいて上下に連結する左右一対の連結フレーム9,9から構成される。連結フレーム9には所定間隔(例えば100mm間隔)でボルト孔5が形成されている。上部材7と下部材8の間には、テレビ2に接続される第1機器としてのビデオプレーヤが縦置きの姿勢で保持される。また、下部材8の開放側面には、上部材7と下部材8の間に保持されたビデオプレーヤの落下を防止するストッパ10が設けられている。ストッパ10は板ばね状の部材であり、下部材8の開放された側面に沿って回動可能となるように下部材8に取り付けられている。そして、上部材7と下部材8の間にビデオプレーヤを挿入する際には、下部材8の開放側面から離れた位置に退避させ、上部材7と下部材8の間にビデオプレーヤを挿入した後に回動させて下部材8の開放側面に設置し、ビデオプレーヤの抜け止めとする。
【0023】
図1(c)は、補助設置部材11である。補助設置部材11は、溝形鋼 (チャンネル)のような形状であり、溝を上方に開放した姿勢で第1設置部材6の上部材7の上面にボルト等で取り付けられる。そして、その溝の中に、任意の機器、例えばビデオプレーヤの記憶容量を補助する外部記憶手段としてのハードディスク等を設置することができる。
【0024】
図2に示すように、本実施形態におけるテレビ2の背面のねじ孔3は、規格の一例として、上下左右に400mm間隔で4個が設けられているものとする。このようなねじ孔3を有するテレビ2の背面に、
図1に示した各部品を取り付けた状態を
図3及び
図4で説明する。
【0025】
まず、
図3に示すように、第1設置部材6の上部材7の上面に、補助設置部材11を固定する。そして、2本の主フレーム4,4を上下方向に所定間隔をおいて互いに水平に配置した状態とし、その各一端側に第1設置部材6の一方の連結フレーム9の上端及び下端を固定して一体化する。
図3では、一体化された主フレーム4,4及び第1設置部材6をテレビ2の背面に重ねて表しているが、これは、主フレーム4,4及び第1設置部材6を一体に連結した後、テレビ2の背面のねじ孔3と、主フレーム4のボルト孔5が適当な位置で重なるように位置決めした状態である。
【0026】
次に、
図4に示すように、第1設置部材6に連結された取付部の主フレーム4,4を、取付部を構成する他の部品である取付ボルト13及び補強スリーブ14により、テレビ2の背面のねじ孔3に固定し、取付部を構成する。すなわち、
図5に示すように、テレビ2を壁に取り付ける取付部は、主フレーム4と、係止フレーム12と、取付ボルト13と、補強スリーブ14によって構成される。
【0027】
図5及び
図6に示すように、係止フレーム12は、溝形鋼 (チャンネル)のような形状であり、その中央のウェブ12aには2個の長孔15と複数のボルト孔5が並んで形成されており、係止フレーム12のウェブ12aの両側にあるフランジ12bにはかぎ状の係止部16がそれぞれ2個ずつ突出して設けられている。取付ボルト13は、係止フレーム12の長孔15又はボルト孔5と、補強スリーブ14と、主フレーム4のボルト孔5を挿通し、テレビ2の背面のねじ孔3にねじ込まれる。
【0028】
図5及び
図6に示すように、補強スリーブ14は、係止フレーム12と主フレーム4の間に配置されて取付ボルト13が貫通する管状部材であり、取付ボルト13のねじ孔3へのねじ込みによって、係止フレーム12と主フレーム4の間に挟まれて保持される。補強スリーブ14の両方の端部17は径が太くなっており、中央部の断面よりも広い面積で係止フレーム12と主フレーム4に安定的に接している。従って、後述するように、テレビ2を壁に掛けた際に取付部に力が加わっても、取付ボルト13と補強スリーブ14が座屈することはない。
【0029】
図3に示したように、第1設置部材6と一体化された主フレーム4をテレビ2の背面に重ね、主フレーム4の略中央をテレビ2の幅方向に中央に一致させ、第1設置部材6がテレビ2の外縁部の近傍にくるように配置する。また、テレビ2の背面のねじ孔3と、主フレーム4のボルト孔5が適当な位置で重なるように位置決めする。そして、
図4及び
図6に示すように、2本の主フレーム4,4を、係止フレーム12の溝を前面側(テレビ2の背面と反対側)に向けた姿勢で、主フレーム4に直交するように互いに平行に配置し、主フレーム4と係止フレーム12の間には補強スリーブ14を配置する。そして、取付ボルト13を、係止フレーム12の長孔15又はボルト孔5と、補強スリーブ14と、主フレーム4のボルト孔5に挿通させてテレビ2のねじ孔3にねじ込む。これにより、第1設置部材6と補助設置部材11が固定された主フレーム4及び係止フレーム12がテレビ2の背面に取り付けられ、取付部が構成される。
【0030】
図5に示すように、この取付部によれば、係止フレーム12は、主フレーム4の厚さと、補強スリーブ14の長さの分だけ、テレビ2の背面から離れて配置されることになる。すなわち、係止フレーム12の係止部16を壁の係止具20に係止させて壁掛けテレビとした状態では、テレビ2の背面と壁の間には、所定の寸法の隙間が設けられた状態になる。
図6に示すように、実施形態では、主フレーム4には第1設置部材6が固定されているが、この第1設置部材6の厚さ(壁に対して垂直な方向の寸法)は、補強スリーブ14の長さよりは大きいが、補強スリーブ14の長さにフランジ12bの高さを加えた寸法よりは小さい。従って、この壁掛け装置1において、テレビ2の背面から最も突出した位置にある部品は取付部の係止フレーム12であり、第1設置部材6及び補助設置部材11は係止フレーム12よりもテレビ2側に引っ込んだ位置にある。
【0031】
図7は、
図2及び
図4の例とは異なるピッチでねじ孔3が設けられたテレビ2の背面に、本実施形態の壁掛け装置1を取りつけた状態を示す背面図である。
図7のテレビ2の背面のねじ孔3は、
図2の400mmピッチの例とは異なり、上下左右に200mm間隔で4個が設けられている。このようなねじ孔3に対応するため、一対の主フレーム4,4の各一端部が、第1設置部材6と結合される位置を
図4の位置から変更し、主フレーム4に係止フレーム12,12を交差させて重ねる位置も
図4の位置から変更している。
【0032】
実施形態の壁掛け装置1によってテレビ2を壁に掛け、ビデオプレーヤ等を設置した状態について説明する。
図8は、壁19に取りつけられた係止具20の正面図であり、
図9には、壁19の表面に取り付けられた係止具20の側面が表れている。この係止具20は、正面視で横長矩形の板材であり、その上辺と下辺には、前方に突出した後、上方に折り曲げられてなるフランジ部21が設けられている。
【0033】
なお、この係止具20を壁19に取り付ける構造については特に限定しない。例えば、石膏ボード等のように比較的強度が小さい壁19であれば、壁19の裏側に補強用下地材を設け、表面に係止具20を設け、壁19を貫通するボルト等で補強用下地材と係止具20を連結して両者で壁19を挟み、壁19を補強しつつ、壁19の表面に係止具20を取り付ける構造及び工法を採用することもできるし、その他の補強工法でもよい。また壁19に所定の強度があれば、係止具20を壁19に直接固定する構造でもよい。また、ここで「壁19」とは、建築物の外壁や内部の間仕切り等の構造体を意味するだけでなく、少なくとも電子装置を取り付ける対象となるような大きさの面をもつ物体であれば、その用途、機能等は問わない。
【0034】
図9に示すように、テレビ2の背面に取り付けた壁掛け装置1でテレビ2を係止具20に引掛け、壁19に取り付ける。すなわち、係止フレーム12の上側の左右一対の係止部16を、係止具20の上側のフランジ21に係止させ、係止フレーム12の下側の左右一対の係止部16を、係止具20の下側のフランジ21に係止させる。これにより、テレビ2は、壁19との間に所定寸法の隙間を設けた状態で、かつ壁19と平行な状態で、壁19に取り付けられる。
【0035】
図10及び
図11に示すように、第1設置部材6に第1機器としてのビデオプレーヤ25を設置する。このビデオプレーヤ25は、箱型の本体26と、本体26に出入自在に設けられたトレイ27と、本体26内に設けられ、本体26内に引き込まれたトレイ27に設置された光ディスク28を駆動して情報を非接触で読み取るディスクドライブ29とを備えた光ディスク読み取り装置であり、テレビ2に接続されて使用される。また、図示はしないが、このビデオプレーヤ25はハードディスクを内蔵しており、相当量の画像を任意に記憶し、また消去することができる。また、このビデオプレーヤ25はリモコン等から送られる制御信号を受信する第1受信部を有しており、遠隔的に操作できるようになっている。なお、このビデオプレーヤ25は、通常、平置きで使用されるが、本実施形態では、テレビ2と壁19の間の隙間を利用し、トレイ27の出入り口がテレビ2の外縁部の近傍に向くような縦置きの姿勢で第1設置部材6に設置する。
【0036】
図10及び
図11に示すように、補助設置部材11に補助機器としてのハードディスク30を設置する。このハードディスク30は、ビデオプレーヤ25に接続され、ビデオプレーヤ25の記憶容量を補完する外部増設記憶手段として使用される。
【0037】
図10及び
図11に示すように、壁19に取り付けたテレビ2と壁19との間にビデオプレーヤ25及びハードディスク30が配置されるため、テレビ2と、ビデオプレーヤ25と、ハードディスク30を結ぶ配線は単に各装置を直接接続するように配すればよく、比較的短い配線で済み、取り回しは容易である。また、配線はすべてテレビ2の背面と壁19の間に納まるのでテレビ2の前面側から見えることはなく、美観の点で優れている。
【0038】
図10及び
図11に示すように、この壁掛け装置1は、テレビ2の裏側に配置されたビデオプレーヤ25をリモコンで操作するために、信号伝達手段としての赤外線リレー装置35を有している。ビデオプレーヤ25は、テレビ2の裏側にある第1設置部材6に設置されるため、その受信部もテレビ2の影に隠れる。このため、テレビ2の正面側にいるユーザーから送られる赤外線等の制御信号は、そのままではビデオプレーヤ25の受信部に届かない。赤外線リレー装置35は、リモコンから送られる赤外線の制御信号を受信し、ビデオプレーヤ25の受信部に中継する装置である。
【0039】
図10〜
図12に示すように、赤外線リレー装置35は、テレビ2の前方からリモコンによって送られる制御信号S1を受信できるように、第2受信部としての赤外線受光部36を備えている。この赤外線受光部36はテレビ2の上面に前向きで設置されている。
図12に示すように、赤外線受光部36は、電源37と、赤外線受光素子38と、信号増幅器39を備えている。赤外線受光部36の信号増幅器39は、制御信号の信号線40の一端に接続されており、信号線40の他端は、送信部としての赤外線発光部41に接続されている。赤外線発光部41は、テレビ2の裏側に配置されたビデオプレーヤ25の第1受信部と対面する位置に設置されており、信号線40の他端が接続された駆動回路42と、駆動回路42に接続された赤外線発光素子43を有している。赤外線発光素子43から出た赤外線の制御信号S2は、ビデオプレーヤ25の図示しない第1受信部により受信され、ビデオプレーヤ25を制御する。
【0040】
なお、この赤外線リレー装置35では、赤外線受光部36と赤外線発光部41が信号線40で接続されているが、無線で接続してもよい。また、赤外線受光素子38や赤外線発光素子43を用いず、光ファイバー、反射鏡、レンズ等の光学素子を適宜利用して赤外線をテレビ2の前面側からビデオプレーヤ25の第1受信部に導く構成としてもよい。さらに、制御信号が赤外線以外の電磁波である場合は、その種類に合わせた信号伝達手段を用いるものとする。
【0041】
以上説明した構成において、ビデオプレーヤ25を操作する場合を説明する。
テレビ2の前面側に居るユーザーが、リモコンから赤外線の制御信号S1を送信する。この赤外線の制御信号S1は、赤外線受光部36の赤外線受光素子38に受信され、電気信号に変換されて出力される。この電気信号は信号増幅器39で増幅され、信号線40を介して赤外線発光部41に送られる。赤外線発光部41の赤外線発光素子43は駆動回路42が出力する電気信号により駆動されて赤外線の制御信号S2を出力する。この赤外線の制御信号S2がビデオプレーヤ25の第1受信部に受信され、ビデオプレーヤ25を制御する。
【0042】
次に、本実施形態におけるビデオプレーヤ25の構成についてさらに説明する。
図11に示し、先にも説明したように、本実施形態では、通常、平置きで使用される市販のビデオプレーヤ25を、テレビ2と壁19の間の隙間を利用し、縦置きの姿勢で第1設置部材6に設置している。その際、ビデオプレーヤ25は、トレイ27の出入り口がテレビ2の外縁部の近傍に位置するような向きに設置する。このため、何らの手段も講じない場合には、トレイ27を引き出した場合に光ディスク28がトレイ27から落下してしまう場合がある。
【0043】
ところが、本実施形態では、トレイ27を本体26の外に引き出しても光ディスク28が落下しないように特殊な構成を備えている。このビデオプレーヤ25の構造を、
図13及び
図14を参照して説明する。ビデオプレーヤ25の本体26には、光ディスク28を設置するトレイ27が本体26に対して出入自在に設けられている。ビデオプレーヤ25を縦置きにした場合、このトレイ27は鉛直面に平行となる。鉛直面と平行なトレイ27の表面45には、光ディスク28を設置する円形の凹部46が設けられている。凹部46の底面47は光ディスク28の直径に略等しい内径とされており、またトレイ27の表面45に形成されている凹部46の開口48は光ディスク28の直径よりもやや大きい内径とされており、底面47と開口48はテーパー状の周縁部49で連続している。また、トレイ27の中央及びトレイ27の本体26側には、切欠き50が形成されている。
図14に示すように、光ディスク28を載せたトレイ27が本体26内に引き込まれると、ディスクドライブ29が移動して光ディスク28を軸方向に移動させ、他部材29aとの間に光ディスク28を挟んで回転駆動できるように構成されている。
【0044】
図13及び
図14に示すように、このトレイ27の表面45、すなわち凹部46の開口48側の面には、トレイ27を本体26の外に引き出した際に、トレイ27に設置された光ディスク28が落下するのを防止するディスク係止部51が設けられている。ディスク係止部51は、トレイ27の表面45に貼られた樹脂製のシート材52の一部分である。シート材52は、
図13において、トレイ27の矩形の外形から、凹部46の円形の開口48及び開口48に連続する切欠き50の部分を除いた形状であり、前記ディスク係止部51は円形の開口48の内側に突出して設けられている。ディスク係止部51は、
図13に示すように、円形の開口48の周に沿って90度間隔で4カ所に設けられており、
図14に示すように、その自由端部は凹部46の開口48が設けられたトレイ27の表面45よりもやや上方に立ち上げられている。
【0045】
なお、このようなディスク係止部51を有するシート材52は、市販されている横置き用のビデオプレーヤ25のトレイ27に後付けで貼付することができる。その際、ビデオプレーヤ25の製造会社、機種、準拠規格等によってトレイ27の凹部46や切欠き50の形状・寸法が異なる場合があり、その差異に対応した寸法・形状のシート材52を予め準備しておくことが望ましい。
【0046】
以上説明したビデオプレーヤ25の使用方法を説明する。
図13に示すように、縦置きにしたビデオプレーヤ25のトレイ27を引出し、トレイ27の凹部46に光ディスク28を設置する。トレイ27の凹部46の底面47は光ディスク28とほぼ同じ直径であるが、開口48は光ディスク28よりもやや大きいので、ディスク係止部51が開口48の内方に突出していても、光ディスク28を開口48から凹部46内に支障なく設置することができる。図示しないリモコン等を操作してビデオプレーヤ25を駆動し、トレイ27を本体26内に収納する。
図14に示すように、凹部46内に設置されたディスクドライブ29の駆動部29aが光ディスク28の軸方向に移動し、光ディスク28を中心孔28aで保持してさらに軸方向に移動させ、ディスクドライブ29の固定部材29bとの間に光ディスク28を保持する。このとき、光ディスク28はトレイ27の開口48から一部が突出した位置にあるが、ディスク係止部51には接していない。ここで、ディスクドライブ29の駆動部29aが光ディスク28を駆動して回転させ、図示しない読み取り部が回転する光ディスク28に対して非接触で読み書きを行う。光ディスク28を取り出すには、図示しないリモコン等を操作してビデオプレーヤ25を駆動し、トレイ27を本体26内から外に引き出す。トレイ27の凹部46内にある光ディスク28は、凹部46内で移動したとしても、凹部46の開口48の内側に突出したディスク係止部51に引っ掛かるので、トレイ27外に落下することはない。
【0047】
次に、
図15〜
図18を参照して実施形態の他の構成例を説明する。この構成例は、前述した実施形態の壁掛け装置1において、第2機器であるスピーカー55をテレビ2の下方に第2設置部材56で設置するものである。
【0048】
図15に示すように、この第2設置部材56は、左右一対で構成され、所定間隔で複数個のボルト孔5が形成された棒板状の設置フレーム57と、設置フレーム57の下端に連続して一体に形成されたクランク状の設置部58とを有する。設置部58は凹側が前面であり、左右の設置部58の間に横長形状のスピーカー55を横置きにする。
【0049】
図16は、第1設置部材6と、補助設置部材11と、第2設置部材56を含む壁掛け装置1をテレビ2の背面に取りつけた状態を示す背面図である。すなわち、
図4に示すような壁掛け装置1を取り付けたテレビ2において、さらに第2設置部材56を壁掛け装置1の主フレーム4に取り付けた状態を示している。
【0050】
図17及び
図18は、
図10及び
図11に示すような壁掛け装置1を取り付けたテレビ2において、さらに第2設置部材56を壁掛け装置1の主フレーム4に取り付け、この第2設置部材56にスピーカー55を設置した状態をそれぞれ示すものである。このように、第2設置部材56の設置部58は、テレビ2の下方において、テレビ2と壁19の間に位置しているので、この設置部58に設置したスピーカー55は正面側から見てテレビ2の正面よりも後方に配置されることとなる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態によれば、テレビ2を壁掛けタイプにする壁掛け装置1において、テレビ2と壁19の間にビデオプレーヤ25やハードディスク30を設けたり、テレビ2と壁19の隙間の下方にスピーカー55を設ける等、壁掛けテレビ2の近傍の空間を機器類の設置に効率的に活用することにより、テレビ2及び機器類設置用の家具が不要になり、省スペースが実現できる。また、配線もすべてテレビ2と壁19の間に集約することができ、テレビ周りの雑然さが完全に解消されて美観が向上するという壁掛けテレビの特徴を最大限に生かすことができる。
【0052】
なお、以上説明した実施形態では、第1設置部材6及び第2設置部材56を取付部の主フレーム4に連結したが、これらはテレビ2の背面に直接取り付けてもよいし、取付部又はテレビ2の背面に一方の設置部材を取付け、これに他方の設置部材を取り付けるものとしてもよい。
【0053】
また、以上説明した実施形態はテレビ2を壁掛けタイプにするものであったが、本発明の壁掛け装置1が対象とする電子装置はテレビに限らない。例えば、コンピュータの表示入力装置を壁掛けタイプとし、コンピュータの本体を表示入力装置と壁の間の隙間に設置するものとしてもよい。また、病院における各種医療用機器には、モニターと制御用機器を備えるものがあるが、当該モニターを壁掛けタイプとし、モニターと壁の間の隙間に制御用機器を設置するものとしてもよい。さらに、壁に設置する電子装置は表示装置に限らず、本発明は、一般的に電子装置を壁に取付け、電子装置と壁の間に設けた隙間に機器を設置するために用いることができる。