【課題】内部の雰囲気に影響を与えることなくケミカルフィルタの交換を行うことができ、ケミカルフィルタ交換に伴うウエハの搬送作業の停止時間を短縮、あるいは無くすことのできる搬送室を提供する。
【解決手段】内部に設けられる搬送ロボット2を用いて処理装置側との間でウエハの受け渡しを行う。ガスを循環させるために内部に形成された循環路CL1と、循環路CL1の途中に設けられたケミカルフィルタユニット7と、ケミカルフィルタユニット7の循環路CL1からの切り離しと接続とを切り替える切離手段8(81、82、83)とを備える。
前記接離手段によって前記ガス処理装置を前記循環路より切り離した際に、前記ガス処理装置を通過せずにガスが循環する短縮循環路が形成されることを特徴とする請求項1記載の搬送室。
前記接離手段が、前記ガス処理装置にガスを流入させるガス流入口と、ガス処理装置よりガスを吐出させるガス吐出口とをそれぞれ開閉する開閉蓋により構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の搬送室。
前記搬送ロボットが内部に設けられる搬送室本体と、前記ガス処理装置を収容するガス処理ボックスとを備え、当該ガス処理ボックスを前記搬送室本体に対して接続及び分離可能に構成し、接続した場合にこれらガス処理ボックスと搬送室本体との間で前記循環路が形成されるように構成していることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の搬送室。
前記接離手段によって前記ガス処理装置を前記循環路より切り離した際に、当該ガス処理装置を収容するガス処理ボックス内の雰囲気を置換するガスパージ手段を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の搬送室。
前記ガス処理装置がケミカルフィルタであって、前記ガス処理ボックス内に供給するガスに水分を含ませる水分供給手段と、ガス処理ボックス内の湿度に応じて前記水分供給手段の制御を行う制御手段と、を備えることを特徴とする請求項5記載の搬送室。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る搬送室1と、これに接続する処理装置6との関係を模式的に示した平面図である。この図に示すように、搬送室1は一般にEFEMと称されるモジュール機器として構成されている。具体的には、この搬送室1は、所定の受け渡し位置の間で被搬送物であるウエハWの搬送を行う搬送ロボット2と、この搬送ロボット2を囲むように設けられた箱型の筐体3と、筐体3の前面側の壁(前面壁31)の外側に接続される複数(図中では3つ)のロードポート4〜4とから構成されている。
【0025】
ここで、本願においては筐体3より見てロードポート4〜4が接続される側の向きを前方、前面壁31に対向する背面壁32側の向きを後方と定義し、さらに、前後方向及び垂直方向に直交する方向を側方と定義する。すなわち、3つのロードポート4〜4は側方に並んで配置されている。
【0026】
また、搬送室1は、
図1に示すように、背面壁32の外側に隣接して、処理装置6の一部を構成するロードロック室61が接続できるようになっており、搬送室1とロードロック室61との間に設けられた扉1aを開放することで、搬送室1内とロードロック室61とを連通した状態にすることが可能となっている。処理装置6としては種々様々なものを使用できるが、一般には、ロードロック室61と隣接して中継室62が設けられ、さらに中継室62と隣接して、ウエハWに処理を行う複数(図中では3つ)の処理ユニット63〜63が設けられる構成となっている。中継室62と、ロードロック室61や処理ユニット63〜63との間には、それぞれ扉62a,63a〜63aが設けられており、これらを開放することで各々の間を連通させることができ、中継室62内に設けられた搬送ロボット64を用いてロードロック室61及び処理ユニット63〜63の間でウエハWを移動させることが可能となっている。
【0027】
図2は搬送室1をロードポート4側より見た斜視図であり、
図3は
図1のA−A位置における搬送室1の断面を示したものである。
【0028】
図2,3に示すように、搬送室1を構成する筐体3は、本体ボックス3Aと、ガス処理ボックスとしてのケミカルフィルタボックス3Bと、制御ボックス3Cとから構成されており、そして本体ボックス3Aは、内部の搬送ロボット2(
図1参照)と前面壁31に設けられたロードポート4〜4とともに搬送室本体1Aを構成している。また、本体ボックス3Aと、ケミカルフィルタボックス3Bと、制御ボックス3Cとは互いに分離可能とされている。
【0029】
筐体3の前面壁31、後面壁32、左側面壁33,右側面壁34は、本体ボックス3A、ケミカルフィルタボックス3B、制御ボックス3Cの前面壁31A,31B,31C、後面壁32A,32B,32C、左側面壁33A,33B,33C,右側面壁34A,34B,34Cによってそれぞれ構成されている。そして、筐体3の上面壁35は制御ボックス3Cの上面壁35Cによって構成され、筐体3の底面壁36は本体ボックス3Aの底面壁36Aによって構成されている。また、本体ボックス3Aの上面壁35Aにケミカルフィルタボックス3Bの底面壁36Bが当接し、ケミカルフィルタボックス3Bの上面壁35Bに制御ボックス3Cの底面壁36Cが当接した状態で相互に固定されている。
【0030】
本体ボックス3Aの前面壁31Aに設けられた開口31aにはロードポート4が接続され、背面壁32Aに設けられた矩形状の開口32a(
図1参照)は一般にゲートバルブと称される扉1aによって閉止されている。さらに、本体ボックス3Aの上面壁35Aには2つの開口35A1,35A2が設けられ、これらに対応する位置にケミカルフィルタボックス3Bの底面壁36Bにも開口36B1,36B2が設けられることで、本体ボックス3A内の空間S1と、ケミカルフィルタボックス3B内の空間S2とが連通し、一つの略密閉空間CSが形成されている。
【0031】
本体ボックス3A内の空間S1に設けられた搬送ロボット2は、ウエハWを載置して搬送するピックを備えたアーム部2aとこのアーム部2aを下方より支持し、アーム部2aを動作させるための駆動機構及び昇降機構を有するベース部2bとから構成されており、ベース部2bは、本体ボックス3Aの前面壁31Aに支持部21及びガイドレール22を介して支持されている。そして、搬送ロボット2は本体ボックス3A内の幅方向に延在するガイドレール22に沿って移動できるようになっており、後述する制御手段5が搬送ロボット2の動作を制御することによって、各ロードポート4〜4に載置されたFOUP41に収容されるウエハWのロードロック室61への搬送、及び、各処理ユニット63〜63における処理後のウエハWをFOUP41内へ再び搬送することが可能となっている。
【0032】
ケミカルフィルタボックス3B内には、ガス処理装置として機能する、一般にいうケミカルフィルタとしてのケミカルフィルタユニット7が設けられている。ケミカルフィルタユニット7は、これを通過するガスに含まれるケミカル成分のうち有機物成分を除去するための有機物除去フィルタ71と、酸成分を除去するための酸除去フィルタ72と、アルカリ成分を除去するためのアルカリ除去フィルタ73より構成されており、各フィルタ71〜73はそれぞれ独立して交換可能となっている。ケミカルフィルタボックス3Bの前面壁31B及び右側面壁34B(
図2参照)は、上部に設けられた軸を中心として上方に向かって回転可能とされており、これらを開くことで内部の空間S2を開放して、各フィルタ71〜73を交換可能となっている。なお、前面壁31B及び右側面壁34Bを垂直に下ろすことで、空間S2を再び密閉することも可能となっている。
【0033】
制御ボックス3Cの内部には、搬送室本体1A全体の制御を行うためのコントロールユニットである制御手段5が設けられている。制御手段5は、CPU、メモリ及びインターフェースを備えた通常のマイクロプロセッサ等により構成されるもので、メモリには予め処理に必要なプログラムが格納してあり、CPUは逐次必要なプログラムを取り出して実行し、周辺ハードリソースと協働して所期の機能を実現するものとなっている。制御手段5は、後述するように本体ボックス3A内の搬送ロボット2やロードポート4の動作、各扉1a,4aの開閉、及び、本体ボックス3Aやケミカルフィルタボックス3B内へのガスの供給などの制御を行う。
【0034】
本体ボックス3A内の空間S1は、
図3に示すように、底面壁36Aより上面壁35Aまで延びる内部壁37Aによって搬送ロボット2が動作する空間である搬送空間S11と、ガス帰還空間S12とに仕切られている。そして、内部壁37Aの下部には開口37A1が設けられ、この開口37A1を介して搬送空間S11とガス帰還空間S12とは下側で連通している。さらに、開口37A1と連続してガス帰還空間S12の下部にファン77が設けられており、このファン77を駆動させることで搬送空間S11内のガスをガス帰還空間S12に取込み、ガス帰還空間S12内で上向き気流を作り出すことができるようになっている。
【0035】
ここで、
図4は、
図3のB−B位置における断面図である。この図から分かるように、ガス帰還空間S12の中央部には、ロードロック室61(
図1参照)との間の扉1aを囲む壁部38Aが形成されており、扉1a周りの空間は搬送空間S11(
図3参照)と連続している。そのため、ガス帰還空間S12は下方から扉1aを避けるように二手に分かれ、上方で再び合流するように構成されている。
【0036】
図3に戻って、搬送空間S11及びガス帰還空間S12は、上述した上面壁35Aの開口35A1,35A2を介してそれぞれケミカルフィルタボックス3B内の空間S2と連通している。そのため、搬送空間S11とガス帰還空間S12とは、上側においてもケミカルフィルタボックス3B内の空間S2を介して連通している。
【0037】
搬送空間S11の上部、具体的には、上面壁35Aよりやや下方に離間した位置にはFFU76が設けられており、ケミカルフィルタボックス3B内の空間S2より取り込んだガスをFFU76によって下方に送り出し、搬送空間S11内でダウンフローを形成することができる。さらに、FFU76には、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタや、ULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルタなどの高性能なフィルタが組み込まれており、通過するガスの内部に含まれる微小なパーティクルの捕集を行うことが可能となっている。
【0038】
一方、ケミカルフィルタボックス3Bには、上述した底面壁36Bの開口36B1とケミカルフィルタユニット7との間に吐出用ファン75が設けられ、開口36B2の上方に吸引用ファン76が設けられている。開口36B2及びこれと連続する開口35A2はケミカルフィルタユニット7に向けてガスを流入させるガス流入口として機能し、これら開口36B2,35A2を介して、吸引用ファン76はガス帰還空間S12よりケミカルフィルタボックス3B内にガスを流入させる。そして、開口36B1及びこれと連続する開口35A1はケミカルフィルタユニット7よりガスを吐出させるガス吐出口として機能し、吐出用ファン75はケミカルフィルタユニット7を通過したガスを、これら開口35B1,35A1を介して搬送空間S11に送り込むことができる。従って、2つのファン75,76によってケミカルフィルタユニット7による圧力損失分を補償して、ガスの流れを作り出すことが可能となっている。
【0039】
上記のように、本体ボックス3A及びケミカルフィルタボックス3B内で形成される略密閉空間CSでは、内部雰囲気を構成するガスが次のような循環路CL1に沿って循環する。すなわち、循環路CL1は、搬送空間S11の上部に設けられたFFU76より下方に向かって進み、そして内部壁37Aの下部に設けられた開口37A1及びファン77を通ってガス帰還空間S12を上方に進み、開口35A2,36B2通ってから吸引用ファン74を介してケミカルフィルタボックス3B内の空間S2に入り、ケミカルフィルタユニット7を通過して、吐出用ファン75及び開口36B1,35A1を通り搬送空間S11に戻るように形成される。従って、ケミカルフィルタユニット7は、循環路CL1の途中に設けられているということができる。
【0040】
このように循環路CL1が形成される略密閉空間CSにN2ガスを供給してパージするため、本体ボックス3Aの後面壁32Aにはガス供給口91Aとガス排出口92Aが設けられ、さらにケミカルフィルタボックス3Bにもガス供給口91Bとガス排出口92Bが設けられている。
【0041】
図5は、これらのガス供給口91A,91B、ガス排出口92A,92Bに接続する配管ラインと、これに供給するガスの制御を行う制御手段5の構成を模式的に記載したものである。ガス供給口91A,91BにはN2供給源からN2ガスを導くためのガス供給ラインGS1,GS2が接続されており、ガス排出口92A,92BにはN2排出先にN2ガスを導出するためのガス排出ラインGE1,GE2が接続されている。制御手段5による動作については、後に詳述する。
【0042】
図6は、略密閉空間CSを、本体ボックス3A内の空間S1と、ケミカルフィルタボックス3B内の空間S2とに分断して、さらにケミカルフィルタボックス3Bの前面壁31Bを開いた状態を示すものである。
【0043】
上述した開口35A1の下方には、開閉扉としての2つのダンパ81,82が回動可能に設けられており、
図3に示すように、ダンパ81,82が下方に向かって回動して、さらに先端同士が離間するように開くことで開口35A1を開放し、この開口35A1を介して搬送空間S11とケミカルフィルタボックス3B内の空間S2とを連通させた状態にすることができる。さらには、
図6に示すように、ダンパ81,82を水平にして上面壁35Aの内側に密着させることで開口35A1を閉じることができる。
【0044】
同様に、開口35A2の下方にも、開閉扉としてのダンパ83が回動可能に設けられており、
図3に示すように、ダンパ83を下方に向かって回動させることで開口35A2を開放し、この開口35A2を介してガス帰還空間S12とケミカルフィルタボックス3B内の空間S2とを連通させた状態にすることができる。さらには、
図6に示すように、ダンパ83を水平として上面壁35Aの内側に密着させることで開口35A2を閉じることができる。
【0045】
上記のダンパ81〜83の回動は、本体ボックス3Aに設けるレバー等の操作によって行わせても、モータ等の駆動機構を利用して行わせるように構成しても良い。
【0046】
また、本体ボックス3A内に設けられた内部壁37Aの上部には開口37A2が設けられており、この開口37A2を介して搬送空間S11とガス帰還空間S12とを直接的に連通させることができるようになっている。ただし、開口35A1,35A2を開放させるようにダンパ82,83を下方に向かって回動させた通常の状態では、これらのダンパ82,83が内部壁37Aに密着して開口37A2を閉止するようにしていることから、開口35A1,35A2が開放された状態では開口37A2は閉止されることになり、ガスの流れる循環路CL1に影響は生じない。これとは逆に、ダンパ81〜83によって開口35A1,35A2が閉止された状態では、開口37A2は開放される。この場合、本体ボックス3Aの内部では、次のように一部が短絡された短縮循環路としての新たな循環路CL2が形成される。すなわち、新たな循環路CL2は、搬送空間S11の上部に設けられたFFU76より下方に向かって進み、そして内部壁37Aの下部に設けられた開口37A1及びファン77を通ってガス帰還空間S12を上方に進み、内部壁37Aの上部に設けられた開口37A2を通過してFFU76に戻るように形成される。この際、ケミカルフィルタユニット7は循環路CL1より切り離され、残る部分で循環路CL2が形成されることになる。
【0047】
すなわち、上述したダンパ81〜83は、循環路CL1の途中にあるケミカルフィルタユニット7を循環路CL1より切り離したり、循環路CL1に接続させたりするための切離手段8として機能している。
【0048】
上記のように、切離手段8によってケミカルフィルタユニット7を循環路CL1より切り離した状態とした上で、前面壁31B又は側面壁34B(
図2参照)を開いて空間S2を開放し、ケミカルフィルタユニット7の交換を行うことができる。この際、ケミカルフィルタユニット7が本体ボックス3A内の空間S1とは切り離されていることから、空間S1は外気にさらされることなく清浄な状態を保つことができる。そのため、ケミカルフィルタユニット7の交換をしながら、搬送室本体1Aの内部でウエハWの搬送を継続して行うことができる。
【0049】
図7は、ケミカルフィルタボックス3B周辺を拡大して示す断面図である。ケミカルフィルタボックス3Bは、前方側より遮蔽板84を挿入可能なスリットSLが設けられている。遮蔽板84は板金折り曲げによって形成された側面視L字型の部材であり、平面視矩形状で、ケミカルフィルタボックス3Bよりも僅かに小さくなっている。
【0050】
図8(a)は、遮蔽板84をスリットSL(
図7参照)より後方に向かって挿入した状態を示すものである。遮蔽板84は、ケミカルフィルタボックス3Bの底面壁36Bと平行となり、開口36B1,36B2と内部の空間S2との間を遮蔽する。そのため、この遮蔽板84を挿入するのみで、本体ボックス3A内の空間S1とケミカルフィルタボックス3B内の空間S2とを切り離すことができる。なお、遮蔽板84を抜き去った際には、スリットSLを介してケミカルフィルタボックス3B内の空間S2が外部に開放されることになるが、これを避けるため遮蔽板84の代わりにダミーの板部材を挿入して外部との連通を防ぐとともに、そのダミーの板部材に開口36B1,36B2に対応する孔を形成することで循環路CL1(
図3参照)形成の障害にならないようにすれば良い。
【0051】
また、遮蔽板84を挿入するとともに、上述したダンパ81〜83を閉止することによって、ケミカルフィルタボックス3Bを循環路CL1より切り離し、循環路CL1を短絡させた新たな循環路CL2(
図6参照)を形成することができる。
【0052】
図8(b)は、さらに、本体ボックス3Aよりケミカルフィルタボックス3B及び制御ボックス3Cを分離させた状態を示すものである。このように、ケミカルフィルタボックス3Bは、遮蔽板84を挿入した状態では、本体ボックス3A及び制御ボックス3Cより分離させても内部の空間S2を密閉状態に保つことができ、本体ボックス3A内の空間S1もダンパ81〜83によって密閉状態に保つことができる。そのため、内部を外気にさらすことなく分離を行うことができ、ケミカルフィルタボックス3Bごと交換したり、ケミカルフィルタボックス3Bを別の場所に移動させてから前面壁31B又は側面壁34B(
図2参照)を開いてケミカルフィルタユニット7を交換したりすることもできる。さらに、ウエハWに行う処理の内容からケミカルフィルタユニット7が不要と判断される場合には、ケミカルフィルタボックス3Bを無くして、本体ボックス3Aと制御ボックス3Cとを直接接続させることもできる。
【0053】
上記のように筐体3を構成する本体ボックス3A、ケミカルフィルタボックス3B及び制御ボックス3Cのうち、本体ボックス3Aとケミカルフィルタボックス3Bの内部には、被搬送物であるウエハWの表面を清浄に保ち、酸化等の化学反応が生じることがないようにするために不活性ガスであるN2ガスによるパージが行われ、雰囲気が置換される。
【0054】
具体的には、初期の立ち上げ時において、
図5に示すケミカルフィルタボックス3B側のガス供給口91Bよりガス供給ラインGS2を通じてN2ガスを供給し、内部の空気をガス排出口92Aよりガス排出ラインGE1を通じて排出する。
【0055】
ガス供給ラインGS2には、N2ガス供給源から導かれる配管に、レギュレータ93、バルブ94、MFC(気体流量コントローラ)95、バルブ94が順に設けられ、ガス供給口91Bに接続されている。ガス排出ラインGE1には、ガス排出口92Aに接続された配管に流量調整バルブ98、バルブ94が順に設けられ、その先にガスの排出先が接続されている。そのため、これらによってガス排出口92Aからの排出量をコントロールしながら、ガス供給口91BからのN2ガスの供給量をコントロールすることで、本体ボックス3A内の空間S1とケミカルフィルタボックス3B内の空間S2とをN2ガスで満たして空気を排除することができる。
【0056】
そして、一定以上にN2ガスの濃度が高まったところで、ガス供給口91BからのN2ガスの供給量を少なくしながら、ガス排出口92Aからの排出量を僅かにして、内部を陽圧に保つようにしている。この状態で、内部のガスを循環路CL1に従って循環させることで、ガスに含まれるパーティクルやケミカル成分をFFU76やケミカルフィルタユニット7によって除去して、内部を清浄な状態に保つことが可能となっている。また、N2ガスはほとんど水分を含まない乾燥ガスであることから、内部の水分を少なくしてウエハW表面の腐食を防ぐこともできる。
【0057】
さらに、本実施形態では、本体ボックス3Aに対してガス供給ラインGS1を通じてN2ガスを供給することができ、ケミカルフィルタボックス3Bからガス排出ラインGE2を通じてガスを排出することができるようになっている。ガス供給ラインGS1には、N2ガス供給源から導かれる配管にバルブ94、流量調整バルブ98が順に設けられてガス供給ラインGS1に接続されており、ガス排出ラインGE2には、ガス排出口92Bに接続された配管に流量調整バルブ98、バルブ94が順に設けられ、その先にガスの排出先が接続されている。
【0058】
そのため、ダンパ81〜83を閉じて本体ボックス3A内の空間S1と、ケミカルフィルタボックス3B内の空間S2とを切り離して独立させた場合には、本体ボックス3A側はガス供給ラインGS1とガス排出ラインGE1とを用いて、内部にフレッシュなN2ガスを僅かに供給させつつ排出を行うことができる。また、ケミカルフィルタボックス3B側でも、ガス供給ラインGS2とガス排出ラインGE2とを用いて、フレッシュなN2ガスの供給と、内部のガスの排出とを行うことができ、ケミカルフィルタユニット7の交換後に、内部をN2ガスによってパージすることができる。すなわち、ガス供給ラインGS2とガス排出ラインGE2とは、ケミカルフィルタボックス3B内をガスパージするためのガスパージ手段PMを構成している。従って、ケミカルフィルタユニット7を交換する場合であっても、ケミカルフィルタボックス3B内の僅かな空間S2分のN2ガスを置換するのみで足り、N2消費量を削減することができる。
【0059】
ところで、上記のように内部の雰囲気の置換に用いられるN2ガスを供給し続けることによって内部の水分が少なくなりすぎ、ケミカルフィルタユニット7によるケミカル成分の除去性能が低下する場合がある。
【0060】
図3に示すようにケミカルフィルタユニット7を構成する有機物除去フィルタ71、酸除去フィルタ72、アルカリ除去フィルタ73のうち、有機物除去フィルタ71は吸着により有機物成分を除去するのに対して、酸除去フィルタ72及びアルカリ除去フィルタ73は加水分解反応により酸成分やアルカリ成分を除去する。従って、酸成分やアルカリ成分の除去のためには一定以上の水分が必要であり、ガス中の湿度が低くなりすぎると除去性能が著しく低下する。
【0061】
そこで、本実施形態では、内部の湿度を一定に保つために、ガス供給口91Bから供給されるN2ガスに水分を含ませることができるように下記の水分供給手段HSを備えている。
【0062】
水分供給手段HSは、水供給源に接続された配管に接続されるバルブ94、LFC(液体流量コントローラ)99、バルブ94、一般にインジェクションと称される噴霧器96、気化器97、及び、気化器97に含まれるヒータ97aを動作させるヒータコントローラ97bとから構成されている。
【0063】
具体的には水供給源に接続された配管にバルブ94、LFC99、バルブ94が順に接続され、さらに、ガス供給ラインGS2の途中に設けられた噴霧器96に接続されている。そのため、LFC99によって水の流量を調整することで与える水分量を決定することができ、噴霧器96によって水を微小な霧状にしてN2ガスに含ませることができる。そして噴霧器96の下流側には、コイル状に形成された配管と、この配管を加熱するためのヒータ97aとから構成される気化器97が設けられている。ヒータ97aはヒータコントローラ97bにより電力を供給されることで、配管を流れるガスを加熱して、内部に含まれる水粒子を気化させることができる。さらに、噴霧器96より、気化器97を介してガス供給口91Bに至るまでの配管には、保温材と保温用ヒータからなる保温手段HIが設けられており、一旦気化した水分が結露し、水滴となってケミカルフィルタボックス3B内に流入することがないようにしている。
【0064】
また、上記のように水分供給手段HSを付加されたガス供給ラインGS2は、水分供給手段HSとともに、水分を含むN2ガスを供給するガス供給手段NSを構成している。
【0065】
こうしたガス供給手段NSの制御を行うために、本体ボックス3A内の空間S1及びケミカルフィルタボックス3B内の空間S2の湿度をそれぞれ検出する湿度検出器HG1,HG2が設けられている。そしてさらに、本体ボックス3A内の空間S1と外部との圧力差を検出する圧力検出器PGが設けられている。
【0066】
そして、これらからの検出値を基にしてガス供給手段NSの制御を行うため、上述した制御手段5は次のように構成されている。
【0067】
制御手段5は、ガス(N2)流量決定部51と、水(H2O)流量決定部52と、ヒータ動作指令部53と、圧力取得部54と、湿度取得部55と、記憶部56とを備えている。
【0068】
記憶部56には、あらかじめ定められた所定値である圧力目標値及び湿度目標値とが記憶されている。圧力取得部54は圧力検出器PGからの出力を取得し、圧力検出値として出力することができる。湿度取得部55は湿度検出器HG1,HG2からの出力を取得し、湿度検出値としてそれぞれ出力することができる。
【0069】
ガス流量決定部51は、圧力取得部54により得られる圧力検出値を基にして、ガス供給ラインGS2より供給されるN2ガスの流量を決定し、対応するガス流量指令値をMFC95に出力するように構成されている。より具体的には、圧力検出値が圧力目標値を中心とする所定範囲内にある場合にはガス流量指令値をそのまま維持させ、圧力検出値が上記の所定範囲よりも小さい場合にはN2ガスの供給量を増やし、圧力検出値が上記の所定範囲よりも大きい場合にはN2ガスの供給量を減らすようにガス流量指令値を変化させる。
【0070】
水流量決定部52は、湿度取得部55を介して得られる湿度検出器HG2による湿度検出値を基にして、水供給手段HSより供給される水の流量を決定し、対応する水流量指令値をLFC99に出力するように構成されている。より具体的には、湿度検出値が湿度目標値を中心とする所定範囲内にある場合には水流量指令値をそのまま維持させ、湿度検出値が上記の所定範囲よりも小さい場合には水の供給量を増やし、湿度検出値が上記の所定範囲よりも大きい場合には水の供給量を減らすように水流量指令値を変化させる。なお、湿度検出値が湿度目標値よりも大きい場合には、水の供給量をゼロにしてN2ガスのみを供給させても良い。こうした湿度の制御について、PID制御を利用して、オーバシュートやハンチングを抑制することも好適である。なお、上記の制御を行う場合、湿度検出器HG1による湿度検出値はモニタ用に用いるが、湿度検出器HG2による湿度検出値をモニタ用にして湿度検出器HG1による湿度検出値を制御用に用いることもできる。
【0071】
ヒータ動作指令部53は、水流量決定部52により決定された水流量指令値に対応してヒータ97aを動作させるべく、ヒータコントローラ97bに命令を与えるように構成されている。
【0072】
上記のように搬送室1が構成されることによって、以下のように動作を行わせることができる。
【0073】
まず、搬送室1の動作を開始させる場合には、
図3に示すように切離手段8であるダンパ81〜83により本体ボックス3Aとケミカルフィルタボックス3Bの間で連続する開口35A1,36B1及び開口35A2,36B2を開放させる。これにより、本体ボックス3A内の空間S1とケミカルフィルタボックス3B内の空間S2とが接続され、1つの密閉空間CSが形成されるとともに、その内部で搬送空間S11、ガス帰還空間S12、及びケミカルフィルタボックス3B内の空間S2の間でガスを循環させるための循環路CL1が形成される。
【0074】
そして、内部の略密閉空間CSには、
図5に示すようにガス供給口91Bよりガス供給ラインGS2を介してN2ガスを供給しながら、ガス排気口92Aよりガス排出ラインGE1を介して空気を排除し、N2ガスによるパージを行う。この際、圧力検出器PGから得られる出力より圧力取得部54が圧力検出値を取得し、この圧力検出値を基にガス流量決定部51がガス流量指令値を決定してMFC95に出力する。そして、MFC95がガス流量指令値に合わせてガス流量を調整することで、略密閉空間CSに供給されるN2ガスの流量が変更される。こうすることで略密閉空間CSの内部を外部よりも圧力の高い陽圧に保ち、外部からのパーティクルの侵入を防止することができる。
【0075】
さらに、制御手段5によって、FFU76及びファン74,75,77の動作を行わせることで、循環路CL1に沿って内部でガスを循環させることができ、ケミカルフィルタユニット7及びFFU76によって、ガス中に含まれるパーティクルやケミカル成分を除去して清浄な状態にすることができる。
【0076】
そしてさらに、制御手段5を構成する湿度取得部55が、湿度検出器HG2から得られる出力より湿度検出値を取得し、この湿度検出値を基に水流量決定部52が水流量指令値を決定してLFC99に出力する。LFC99は水流量指令値に合わせて水流量を調整することで、略密閉空間CSに供給されるN2ガスに含ませる水分量が調整される。また、水分は噴霧器96により微小粒子として与えられた後に、下流側の気化器97を用いて気化された状態でケミカルフィルタボックス3B内に与えられる。こうすることで、略密閉空間CS内では、ケミカルフィルタユニット7による加水分解反応を損なわない程度の僅かな湿度を保つことができ、ケミカル成分を効果的に除去するとともに、過度の湿度によるウエハWの腐食を防ぐこともできる。
【0077】
上記のように内部の雰囲気が清浄となって安定することで、制御手段5によって搬送ロボット2や、
図1に示すロードポート4〜4及び各ドア1a,4a〜4aを動作させることで、被搬送物であるウエハWの搬送を行うことができる。
【0078】
さらには、ケミカルフィルタユニット7の交換が必要となった場合には、
図6に示すように、切離手段8を構成するダンパ81〜83を動作させ、開口35A1及び開口35A2を閉じるとともに、内部壁37Aの上部に形成された開口37A2を開放する。こうすることで、本体ボックス3A内の空間S1とケミカルフィルタボックス3B内の空間S2とを切り離すとともに、本体ボックス3Aの内部で短絡された循環路CL2を形成することができる。この場合、本体ボックス3A内ではFFU76及びファン77により循環路CL2に沿ったガスの循環を継続し、ガス供給口91Aよりガス供給ラインGS1(
図5参照)を介してフレッシュなN2ガスの供給を行うことで、内部を清浄な状態に保つことができる。そのため、ケミカルフィルタユニット7の交換を行いながら搬送室本体1Aのみを動作させて、ウエハWの搬送を継続して行うことができる。
【0079】
また、ケミカルフィルタボックス3B側では、切離手段8によってケミカルフィルタユニット7が循環路CL1(CL2)より切り離されていることから、前面壁31B又は側面壁34B(
図2参照)を開放しても搬送室本体1A側に影響を与えることなく、自由にケミカルフィルタユニット7の交換を行うことができる。
【0080】
そして、ケミカルフィルタユニット7の交換後に、前面壁31B及び側面壁34B(
図2参照)を閉止して内部の空間S2を略密閉状態とした後には、
図5に示すガス供給口91Bよりガス供給ラインGS2を介してN2ガスの供給を行いつつ、ガス排出口92Bよりガス排出ラインGE2を介して空気の排出を行い、N2ガスによってパージする。このように、ケミカルフィルタユニット7の交換に際して、外気にさらされる部分がケミカルフィルボックス3B内の空間S2に限られることから、再びガスパージする際にN2ガスの消費量を削減するとともに、作業時間を短縮することができる。
【0081】
そしてさらに、ケミカルフィルタユニット7交換後にN2ガスを供給する際に、湿度検出器HG2から得られる出力より湿度検出値を取得し、この湿度検出値が湿度目標値を中心とする所定の範囲内になるように、水分供給手段HSからN2ガスに水分が供給されるようにしている。そのため、ケミカルフィルタボックス3B内をN2ガスによってパージする段階で、ケミカルフィルタユニット7が適正にケミカル成分を除去し得る状態にすることができる。
【0082】
上記のように、ケミカルフィルタユニット7を交換した後に、ケミカルフィルタボックス3B内の空間S2内をN2ガスによってパージし、湿度制御を行った上で切離手段8を再び動作させて、本体ボックス3A内の空間S1とケミカルフィルタボックス3B内の空間S2とを連続させ、搬送空間S11、ガス帰還空間S12、及びケミカルフィルタボックス3B内の空間S2の間で循環路CL1を形成させる。これによりケミカルフィルタユニット7は循環路CL1に接続される。そして、ガス供給ライン91AからN2ガスの供給及びガス排出口92Bからのガスの排出を停止し、ガス供給ライン91Bより僅かにN2ガスを供給させながら、ガス排出ライン92Aより僅かにN2ガスを排出させる通常の制御に移行させる。
【0083】
こうすることで、ケミカルフィルタユニット7の交換を行ってもウエハWの搬送にはほとんど影響が生じることなく、交換に要する搬送作業の停止時間を短縮、あるいは無くすことが可能となっている。
【0084】
また、本実施形態では、
図7、
図8に示すように、ケミカルフィルタボックス3Bに遮蔽板84を挿入することで、ケミカルフィルタボックス3Bを本体ボックス3Aより分離させた場合でも、ケミカルフィルタボックス3B内の空間S2の閉止状態を保つことができるようになっている。そのため、ケミカルフィルタボックス3B内を過度に外気にさらすことなく交換したり、別の場所に移動させてメンテナンスを行ったりすることもできる。もちろん、ケミカルフィルタボックス3Bが不要な場合には、制御ボックス3Cを本体ボックス3Aに直接接続させて、ケミカルフィルタユニット7を有さない搬送室1として構成することもできる。
【0085】
以上のように本実施形態における搬送室1は、内部に設けられる搬送ロボット2を用いて処理装置6側との間で被搬送物であるウエハWの受け渡しを行うためのものであって、ガスを循環させるために内部に形成された循環路CL1と、循環路CL1の途中に設けられたガス処理装置としてのケミカルフィルタユニット7と、ケミカルフィルタユニット7の循環路CL1からの切り離しと接続とを切り替える接離手段8と、を備えるように構成したものである。
【0086】
このように構成しているため、接離手段8によってケミカルフィルタユニット7を循環路CL1より切り離すことで、内部の雰囲気に影響を及ぼすことなくケミカルフィルタユニット7の交換を行うことができ、内部の空間S1を清浄な状態に保つことが可能となる。また、ケミカルフィルタユニット7の交換時に搬送室1内全体を外気に晒す必要がなくなるため、ケミカルフィルタユニット7を循環路CL1に再接続させた後に雰囲気を調整するための時間を無くす、あるいは短縮することができる。従って、ケミカルフィルタユニット7の交換に伴うウエハWの搬送作業の停止時間を無くす、あるいは短縮することが可能となっている。
【0087】
さらに、接離手段8によってケミカルフィルタユニット7を循環路CL1より切り離した際に、ケミカルフィルタユニット7を通過せずにガスが循環する短縮循環路CL2が形成されるように構成していることから、接離手段8によってケミカルフィルタユニット7を切り離している際にも内部でガスが循環を続けることができ、清浄な状態を維持することが可能となっている。
【0088】
また、接離手段8が、ケミカルフィルタユニット7にガスを流入させるガス流入口36B2と、ケミカルフィルタユニット7よりガスを吐出させるガス吐出口36B1とをそれぞれ開閉する開閉蓋としてのダンパ81〜83により構成されていることから、ケミカルフィルタユニット7の循環路CL1からの切り離しと接続とを簡単に行うことが可能となっている。
【0089】
そして、搬送ロボット2が内部に設けられる搬送室本体1Aと、ケミカルフィルタユニット7を収容するガス処理ボックスとしてのケミカルフィルタボックス3Bとを備え、ケミカルフィルタボックス3Bを搬送室本体1Aに対して接続及び分離可能に構成し、接続した場合にこれらケミカルフィルタボックス3Bと搬送室本体1Aとの間で循環路CL1が形成されるように構成していることから、ケミカルフィルタユニット7交換の作業効率を向上するとともに、ウエハWの種類や処理の内容によってケミカルフィルタボックス3Bの有無を選択することが可能となっている。
【0090】
さらに、接離手段8によってケミカルフィルタユニット7を循環路CL1より切り離した際に、ケミカルフィルタユニット7を収容するケミカルフィルタボックス3B内の雰囲気を置換するガスパージ手段PMを備えるように構成していることから、ケミカルフィルタユニット7を交換する際に外気に晒したとしても、接離手段8によって循環路CL1に接続する前にケミカルフィルタユニット7周辺の雰囲気を適切に調整しておくことができるため、ウエハ7の搬送への影響を抑えることが可能となっている。
【0091】
加えて、ガス処理装置がケミカルフィルタユニット7であって、ケミカルフィルタボックス3B内に供給するガスに水分を含ませる水分供給手段HSと、ケミカルフィルタボックス3B内の湿度に応じて水分供給手段HSの制御を行う制御手段5と、を備えるように構成していることから、ケミカルフィルタユニット7の交換後でも、ケミカルフィルタユニット7周辺の湿度を適正に調整して十分な除去能力を持たせた上で循環路CL1に接続させることができることから、交換直後より高い除去能力を発揮させ、停止時間を短縮あるいは無くすことを可能としている。
【0092】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0093】
例えば、上述の実施形態では、切離手段8を構成するダンパ81〜83を本体ボックス3A側に設け、遮蔽板84をケミカルフィルタボックス3B側に取り付け可能に構成していたが、
図9に示すようにダンパ181,182,185をケミカルフィルタボックス103Bに設け、遮蔽板184を本体ボックス103A側に取り付け可能に構成することもできる。
図9では上述の実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、説明を省略する。
図9(a)に示すようにケミカルフィルタボックス103Bの開口36B1にはダンパ181,182が設けられており、開口36B2にはダンパ185が設けられている。他方、本体ボックス103A側にも、上面壁35Aに設けられた開口35A2と、内部壁37Aに設けられた開口37A2とを選択的に閉止するダンパ83が設けられている。そして、ダンパ181,182,185により開口36B1,36B2を開放し、ダンパ83により開口35A2を開放して開口37A2を閉止することで、本体ボックス103Aとケミカルフィルタ103Bとを連通状態にすることができる。さらに、
図9(b)に示すように、ダンパ181,182,185により開口36B1,36B2を閉止し、ダンパ83により開口35A2を閉止して開口37A2を開放することで、本体ボックス103Aとケミカルフィルタ103Bとを切り離した状態にして、本体ボックス103Aのみの内部でガスの循環を行うことができる。さらには、開口35Aのやや下方に形成されたスリットSLに遮蔽板184を挿入することで開口35Aを閉止することができ、こうすることによって、ケミカルフィルタボックス103Bを本体ボックス103Aより分離させても互いに密閉状態を保つことが可能となる。
【0094】
さらに、
図9の構成をさらに変形して、ダンパ181,182、185とファン74,75とが一体的に構成されたダンパ付きファンを利用することもできる。
【0095】
また、上述の実施形態では、内部を満たすガスとしてN2ガスを用いていたが、同じく不活性ガスであるAr(アルゴン)ガスなど、これ以外のガスを用いることもでき、被搬送物であるウエハWに対する処理の内容に応じて適宜変更する事ができる。
【0096】
ガス処理装置には、ケミカルフィルタユニット7だけでなく、滅菌フィルタやパーティクル除去フィルタを用いることもでき、これらによって循環するガスより特定成分を取り除いたり、弱めたりすることも考えられる。こうした場合においても、上記と同様の効果を得ることが可能である。
【0097】
さらには、上述の実施形態では半導体製造に用いられるウエハWを被搬送物とする搬送室1として構成していたが、この構造は特許文献2で挙げたような細胞培養関連分野においても用いることができる。すなわち、シャーレ等の培養容器を被搬送物として清浄な密閉空間内で搬送するための搬送室としても構成することができ、この場合においても上記に準じた効果を得ることが可能である。
【0098】
細胞培養関連分野における搬送室として構成した場合、内部を循環させるガスとして、過酸化水素等の滅菌ガスを用いてもよい。その場合、所定期間のみ滅菌ガスを循環させて滅菌の目的を達した後に滅菌ガスを無害化するための無害化装置を、上述のケミカルフィルタユニット7とともに、あるいはこのケミカルフィルタユニット7に代え、ガス処理装置として利用しても良く、これを上記と同様にガス処理ボックス3B内に収容する構成にすることで、上記に準じた効果を得ることが可能である。なお、この無害化装置の例としては、過酸化水素を水及び酸素に分解させる触媒を含む分解装置などがある。
【0099】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。