特開2016-162944(P2016-162944A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2016-162944プリント基板および当該基板を用いたプリント基板連結構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-162944(P2016-162944A)
(43)【公開日】2016年9月5日
(54)【発明の名称】プリント基板および当該基板を用いたプリント基板連結構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/14 20060101AFI20160808BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20160808BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20160808BHJP
【FI】
   H05K7/14 A
   H05K1/02 C
   H05K1/14 G
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-41887(P2015-41887)
(22)【出願日】2015年3月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝典
【テーマコード(参考)】
5E338
5E344
5E348
【Fターム(参考)】
5E338BB02
5E338BB13
5E338EE26
5E344AA01
5E344BB02
5E344BB06
5E344CC05
5E344CC23
5E344CD11
5E344CD18
5E344DD08
5E344EE11
5E348AA32
5E348AA40
(57)【要約】
【課題】プリント基板のネジ留めによる応力によって生ずる歪による破損を低減する。
【解決手段】プリント基板10は、複数のネジ留め用孔10aを有し、その外縁近傍に形成された前記ネジ留め用孔の周辺にスリット10bが形成されている。前記スリットは、前記ネジ留め用孔を取り囲むように形成され、前記スリットによって前記取り囲まれた内側に形成されるネジ固定用領域10cは、前記スリットを間に挟んだ反対側の領域と前記プリント基板の外縁にて1箇所の連結部10dのみで連結されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のネジ留め用孔(10a)を有するプリント基板(10)にして、その外縁近傍に形成された前記ネジ留め用孔の周辺にスリット(10b)が形成された当該プリント基板において、
前記スリットは、前記ネジ留め用孔を取り囲むように形成され、
前記スリットによって前記取り囲まれた内側に形成されるネジ固定用領域(10c)は、前記スリットを間に挟んだ反対側の領域と前記プリント基板の外縁にて1箇所の連結部(10d)のみで連結されていることを特徴とするプリント基板。
【請求項2】
前記連結部の、前記プリント基板の前記外縁から内部に向かう方向における長さは、同方向における前記プリント基板の前記外縁から前記ネジ留め用孔の中心位置までの長さよりも短いことを特徴とする請求項1に記載のプリント基板。
【請求項3】
前記スリットが直線状で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のプリント基板。
【請求項4】
所定距離離れて対向配置された2枚のプリント基板(10、20)が、対向する面間を複数の支柱(30)とスタッキングコネクタ(40a、40b)とによって支持されるプリント基板連結構造(100)であって、
前記2枚のプリント基板の少なくとも1枚が請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリント基板であり、
前記スタッキングコネクタが、前記プリント基板の前記外縁から見て最も内方に位置する前記スリットよりもさらに内方に配置されていることを特徴とするプリント基板連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリント基板に関し、特にはプリント基板を固定するに際し特定の領域に発生する歪を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、プリント基板は筐体等に備えられた複数本の支柱(取り付け用支柱)に、プリント基板のネジ留め用孔を通じてネジ留めすることにより固定する。
【0003】
ただし、それぞれの支柱の高さにはバラツキがあるため、プリント基板をネジ留めにより支柱に固定すると、ネジ留めによる応力によりプリント基板の中央部には歪が生じてしまう。
【0004】
ネジ留めによる応力によって生ずるプリント基板の中央部の歪を軽減させるものとして特許文献1がある。図3に示すようにプリント基板1のネジ留め用孔1aの両側にスリット1bを設けることによりプリント基板の中央部の歪を軽減させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−41169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしこれでもなお、ネジ留めによる応力によって生ずる歪の軽減としては十分とは言えなかった。
【0007】
近年、プリント基板は高密度実装を要求され、実装される電子部品も微小化が進んでいる。
例えば、BGA(Ball Grid Array)パッケージ等の電子部品や、表面実装タイプのセラミックコンデンサ等は特に歪に弱く、プリント基板のネジ留めによりプリント基板に半田付けされた電子部品や接点等が破損する恐れがあった。
【0008】
本発明はこれらの問題を解決し、プリント基板のネジ留めによる応力によって生ずる歪による破損を低減することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のプリント基板は、複数のネジ留め用孔(10a)を有するプリント基板(10)にして、その外縁近傍に形成された前記ネジ留め用孔の周辺にスリット(10b)が形成された当該プリント基板において、前記スリットは、前記ネジ留め用孔を取り囲むように形成され、前記スリットによって前記取り囲まれた内側に形成されるネジ固定用領域(10c)は、前記スリットを間に挟んだ反対側の領域と前記プリント基板の外縁にて1箇所の連結部(10d)のみで連結されていることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載のプリント基板は、請求項1に記載のプリント基板において、前記連結部の、前記プリント基板の前記外縁から内部に向かう方向における長さは、同方向における前記プリント基板の前記外縁から前記ネジ留め用孔の中心位置までの長さよりも短いことを特徴としている。
【0011】
また、本発明の請求項3に記載のプリント基板は、請求項1または2に記載のプリント基板において、前記スリットが直線状で形成されていることを特徴としている。
【0012】
また、本発明の請求項4に記載のプリント基板連結構造は、所定距離離れて対向配置された2枚のプリント基板(10、20)が、対向する面間を複数の支柱(30)とスタッキングコネクタ(40a、40b)とによって支持されるプリント基板連結構造であって、前記2枚のプリント基板の少なくとも1枚が請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリント基板であり、
前記スタッキングコネクタが、前記プリント基板の前記外縁から見て最も内方に位置する前記スリットよりもさらに内方に配置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
プリント基板のネジ留めによる応力によって生ずる歪による破損を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態にかかるプリント基板10の平面図
図2】本発明の第2の実施形態にかかるプリント基板連結構造100の斜視図
図3】従来のプリント基板1にかかる平面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0016】
[第1の実施形態]
図1を用いて本実施形態を説明する。図1は本発明の第1の実施形態にかかるプリント基板10の平面図である。
【0017】
プリント基板10には、複数のネジ留め用孔10aが開けられている。このネジ留め用孔10aを通じて筐体等に備えられた複数本の取り付け用支柱(不図示)にネジ留めすることによりプリント基板10は固定される。ここで、ネジ留め用孔10aの外側であって電子部品等は実装されず、ネジ留めによるプリント基板10の固定に使用される領域をネジ固定用領域10cと呼ぶこととする。
【0018】
プリント基板10の外縁の近くに開けられたネジ留め用孔10aのそれぞれの周辺にはネジ留め用孔10aを取り囲むように直線状のスリット10bが形成されている。したがってネジ留め用孔10aの外側であって、このスリット10bに取り囲まれた内側がネジ固定用領域10cとなる。このとき、それぞれのネジ固定用領域10cとスリット10bを間に挟んだ反対側の領域とはプリント基板10の外縁で1箇所の連結部10dのみで連結されている。
【0019】
このように、ネジ固定用領域10cとスリット10bを間に挟んだ反対側の領域とを結ぶ連結部10dをプリント基板10の電子部品等が実装される領域からもっとも離れた外縁の1箇所のみとすることで、ネジ留め用孔10aを通じて取り付け用支柱にネジ留めした際の応力がプリント基板10の外縁の連結部10dに集中するとともに、応力の方向もプリント基板10の電子部品等が実装される領域である内側に向かう方向ではなく外縁に沿った方向となるので、プリント基板10の中央部の電子部品等が実装される領域に伝わらず、歪による破損を低減することが出来る。
【0020】
また、ネジ固定用領域10bとスリット10bを間に挟んだ反対側の領域とを結ぶ連結部10dをプリント基板10の電子部品等が実装される領域からもっとも離れた外縁の1箇所のみとすることで、取り付け用支柱の高さにばらつきがあったとしてもネジ留め用孔10aを通じてネジ留めした際の応力がプリント基板10の外縁の連結部10dに集中するとともに、応力の方向もプリント基板10の電子部品等が実装される領域である内側に向かう方向ではなく外縁に沿った方向となるので、プリント基板10の中央部の電子部品等が実装される領域に伝わらず歪による破損を低減することが出来る。
【0021】
なお、本実施例ではルーター等による加工のしやすさからスリット10bを直線状の形状としたが、スリット10bは直線状の形状に限らず任意である。例えば曲線状等でも良い。また、スリット10bは等幅の形状に限らず、幅の広い箇所と幅の狭い箇所が混在する形状でも良い。
【0022】
なお、ネジ固定用領域10cとプリント基板10とを結ぶ連結部10dの、プリント基板10の外縁から内部に向かう方向における長さを、同方向におけるプリント基板10の外縁からネジ留め用孔10aの中心位置までの長さよりも短く設定すると、ネジ留め用孔10aを通じて取り付け用支柱へのネジ留めによりプリント基板10を固定しつつ、ネジ留めによる応力がプリント基板10の中央部の電子部品等が実装される領域により伝わらず、歪による破損をさらに低減することが出来る。
【0023】
[第2の実施形態]
図2を用いて本実施形態を説明する。図2は本発明の第2の実施形態にかかるプリント基板連結構造100の斜視図である。
【0024】
2枚のプリント基板10、20は、対向する面間を複数の支柱30とスタッキングコネクタ40a、40bとによって支持されている。ここで上側のプリント基板10は第1の実施形態と同一の構造であり、その説明は省略する。
【0025】
プリント基板10は複数の支柱30にネジ50によりネジ留めされている。同様にプリント基板20は支柱30に下側よりネジ留めされている。
【0026】
さらにプリント基板10に半田付けやプレスフィット等により接続および固定されたスタッキングコネクタ40aと、プリント基板20に接続および固定されたスタッキングコネクタ40bとにより2枚のプリント基板10、20は対向する面間を支持されるとともに、電気的に接続されている。
【0027】
ここで、プリント基板10に接続および固定されたスタッキングコネクタ40aは、プリント基板10の外縁から見て最も内方に位置するスリット10cよりもさらに内方に配置されている。
【0028】
このように2枚のプリント基板10、20を連結する構造により、複数の支柱30の高さにばらつきがあったとしても、第1の実施形態と同様にネジ留め用孔10aを通じてネジ留めした際の応力がプリント基板10の中央部の電子部品等が実装される領域に伝わらず、歪による破損を低減することが出来る。
【0029】
さらに、2枚のプリント基板10、20の間を支持および接続するスタッキングコネクタ40aは、プリント基板10の外縁から見て最も内方に位置するスリット10cよりもさらに内方に配置されているので、スタッキングコネクタ40a、40bの接続による歪は連結部10dに吸収され、複数の支柱30の高さにばらつきがあったとしてもプリント基板10の中央部の電子部品等が実装される領域の歪による破損を低減することができるとともに、スタッキングコネクタ40a、40bの電気的な接続の不良を低減することができる。
【0030】
この実施形態では、2枚のプリント基板10、20の上側のプリント基板10が第1の実施形態の構造を持つプリント基板であるので、このプリント基板10にBGAパッケージ等の歪に弱い電子部品を実装することにより破損を低減することができる。
【0031】
なお、下側のプリント基板20も第1の実施形態の構造を持つプリント基板とすれば、下側のプリント基板の破損も低減することができるのでより好適である。
【0032】
また、スタッキングコネクタ40a、40bの形状は一例であり、形状は任意である。また配置位置及び向きも一例であり、プリント基板10の外縁から見て最も内方に位置するスリット10cよりもさらに内方に配置されていれば良い。
【符号の説明】
【0033】
1、10、20:プリント基板
1a、10a:ネジ留め用孔
1b、10b:スリット
10c:ネジ固定用領域
10d:連結部
30:支柱
40a、40b:スタッキングコネクタ
50:ネジ
100:プリント基板連結構造
図1
図2
図3