【解決手段】複数のダイパッド3およびリード5とを含むリードフレーム40において、各ダイパッド3に半導体チップ2を配置する。リード5と半導体チップ2とをボンディングワイヤ4を介して電気的に接続する。リードフレーム40を金型50内に配置し、金型50に封止樹脂6を流し込むことにより、複数の半導体チップ2が一括封止された封止構造55を形成する。封止構造55を金型50から取り出した後、封止構造55を研削により所望の厚さまで薄化する。その後、封止構造55を選択的に切断して、半導体装置1の個片を切り出す。
前記個片化工程は、前記封止構造の表面および裏面に対して垂直な方向に前記封止構造を選択的に切断する工程を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、金型の製造に伴うコストの増大を抑制でき、併せて金型の管理負担を低減できる半導体装置の製造方法および半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明の半導体装置の製造方法は、複数のダイパッドおよびリードを含むリードフレームにおいて、各前記ダイパッドに半導体チップを配置する工程と、前記リードと前記半導体チップとを配線部材を介して電気的に接続する工程と、前記リードフレームを金型内に配置し、前記金型に封止樹脂を流し込むことにより、複数の前記半導体チップが一括封止された封止構造を形成する工程と、前記封止構造を研削して、前記封止構造を薄化する薄化工程と、前記封止構造を選択的に切断して、半導体装置の個片を切り出す個片化工程とを含む。
【0006】
この方法によれば、半導体チップが各ダイパッドに配置された後、リードフレームが金型内に配置され、封止樹脂によって複数の半導体チップが一括して封止される。これにより、複数の半導体チップが一括封止された封止構造が形成される。この封止構造は、金型から取り出された後、半導体装置に加工される。より具体的には、薄化工程により、封止構造が所望の厚さまで研削され、個片化工程において、封止構造が所望の形状および大きさに切断される。これにより、目的とする厚さ、形状および大きさを有する半導体装置が製造される。
【0007】
このように、封止構造の形状や厚さが一括封止後の加工によって定められるので、金型の形状や大きさの制限を受けずに所望の半導体装置を製造できる。これにより、共通の金型で、種々の半導体装置を製造できる。その結果、新たな半導体装置を設計する度に金型を製造する必要がなくなるので、金型の製造に伴うコストの増大を抑制でき、併せて金型の管理負担を低減できる。
【0008】
前記方法において、前記金型は、少なくとも前記リードフレームが配置される領域を一様な高さで挟み込む一対の上型および下型を有していることが好ましい。この場合、前記封止構造を形成する工程は、一様な厚さを有する前記封止構造を形成する工程を含む。この方法によれば、一対の上型および下型間の高さ、すなわち金型から取り出された後の封止構造の厚さを基準にして、半導体装置の厚さを設定できる。これに加えて、封止構造が一様な厚さを有しているので、封止構造の研削工程が容易である。これにより、共通の金型で異なる厚さを有する種々の半導体装置を良好に製造できる。
【0009】
前記方法において、前記封止構造が、少なくとも前記リードの下面が露出する裏面と、その反対側に位置する表面とを有していることが好ましい。この場合、前記薄化工程は、前記封止構造の表面を研削する表面研削工程を含むことが好ましい。この方法によれば、リードの下面が露出しない面である表面側から封止構造を研削するので、封止構造の薄化を容易に図ることができる。これにより、種々の半導体装置を良好に製造できる。
【0010】
前記表面研削工程において、高低差が10μm以下の凹凸を含む研削痕が前記封止構造の表面に形成されてもよい。また、前記表面研削工程において、高低差が5μm以下の凹凸を含む研削痕が前記封止構造の表面に形成されてもよい。前記表面研削工程は、化学的機械的研磨法により、前記封止構造の表面を研磨する表面研磨工程を含んでいてもよい。この方法によれば、研磨後の封止構造の厚さを正確に制御できるので、種々の半導体装置を良好に製造できる。
【0011】
前記方法において、前記封止構造が、少なくとも前記リードの下面が露出する裏面と、その反対側に位置する表面とを有していることが好ましい。この場合、前記薄化工程は、前記封止構造の裏面を研削する裏面研削工程を含んでいてもよい。この方法のように、封止構造の裏面側からも封止構造の薄化を図ることもできる。とりわけ、封止構造の表面側および裏面側の両側から封止構造を薄化することにより、実現可能な半導体装置の厚さの種類を効果的に増加させることができる。これにより、共通の金型で製造される半導体装置の種類を一層増加させることができる。また、封止構造の表面側および裏面側の両側から封止構造を薄化することにより、半導体装置の更なる小型化も実現できる。
【0012】
前記裏面研削工程は、化学的機械的研磨法により、前記封止構造の前記裏面を研磨する裏面研磨工程を含んでいてもよい。この方法によれば、研磨後の封止構造の厚さを正確に制御できるので、種々の半導体装置を良好に製造できる。
前記方法において、前記個片化工程は、前記封止構造の表面および裏面に対して垂直な方向に前記封止構造を選択的に切断する工程を含むことが好ましい。この方法によれば、表面および裏面に対して垂直な方向に封止構造を切断すればよいので、封止構造から複数の半導体装置の個片を容易に切り出すことができる。これにより、異なる大きさおよび形状を有する種々の半導体装置を共通の金型で容易に製造できる。
【0013】
本発明の半導体装置は、半導体チップと、前記半導体チップを支持するダイパッドと、前記ダイパッドの周囲に配置され、配線部材を介して前記半導体チップに電気的に接続されたリードと、前記半導体チップ、前記ダイパッドおよび前記リードを封止し、少なくとも前記リードの下面が露出する裏面と、その反対側に位置する表面とを有する封止樹脂と含む。この構成において、前記封止樹脂の表面は、研削されることにより形成された表面側研削痕を有している。このような特徴を有する半導体装置は、たとえば、上記の半導体装置の製造方法により製造できる。
【0014】
前記半導体装置において、前記表面側研削痕は、高低差が10μm以下の凹凸を含んでいてもよい。前記半導体装置において、前記表面側研削痕は、5μm以下の凹凸を含んでいてもよい。前記半導体装置において、前記表面側研削痕は、表面以外の面の粗さよりも小さい粗さを含んでいてもよい。前記半導体装置において、前記封止樹脂は、前記封止樹脂の表面および裏面のそれぞれに対して垂直に形成された側面を含んでいてもよい。前記半導体装置において、前記封止樹脂の裏面は、研削されることにより形成された裏面側研削痕を有していてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る製造方法が適用された一の例に係る半導体装置1を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す半導体装置1の底面図である。
図3は、
図1に示す半導体装置1の内部構造を示す平面図である。
図4は、
図3に示すIV-IV線に沿う断面図である。
【0017】
半導体装置1は、ほぼ直方体形状のQFN(Quad Flat Non lead package)タイプの半導体装置である。半導体装置1は、半導体チップ2と、半導体チップ2を支持するダイパッド3と、ダイパッド3の周囲に配置され、配線部材の一例としてのボンディングワイヤ4を介して半導体チップ2に電気的に接続された複数のリード5と、これらを封止する封止樹脂6とを含む。封止樹脂6は、半導体パッケージを兼ねている。
【0018】
半導体チップ2は、たとえばほぼ直方体形状であり、半導体素子が形成された表面10(以下、単に「素子形成面10」という。)と、素子形成面10の反対側に位置する裏面11と、素子形成面10と裏面11とを接続する4つの側面12とを有している。半導体チップ2は、たとえば裏面11側に外部電極としての裏面電極(図示せず)が形成された半導体チップである。半導体チップ2は、金属膜13を挟んで、ダイパッド3に支持されている。金属膜13は、たとえば、半田または金や銀等を含む金属接着剤であってもよい。
【0019】
ダイパッド3は、直方体形状のパッド本体部14と、パッド抜け抑制部15とを一体的に有している。パッド本体部14は、半導体チップ2の裏面11に接合されて半導体チップ2を支持する上面16と、上面16の反対側に位置する下面17と、上面16と下面17とを接続する4つの側面18とを有している。
パッド抜け抑制部15は、パッド本体部14の側面18からリード5側に向けて張り出すように形成されている。パッド抜け抑制部15は、パッド本体部14の上面16と面一に形成され、パッド本体部14よりも小さい厚さを有している。パッド抜け抑制部15およびパッド本体部14の側面18により形成された段差部分に封止樹脂6が入り込むことにより、パッド本体部14の封止樹脂6からの脱落が抑制される。
【0020】
平面視で、ダイパッド3の二つの側面18が交わる各角部には、それぞれパッド支持部19が一体的に設けられている。各パッド支持部19は、平面視で、ダイパッド3の対角線方向に沿って延びるように設けられている。
複数のリード5は、ダイパッド3の周囲4方向に、ダイパッド3から間隔を空けてそれぞれ配置されている。各リード5は、その整列方向に直交する方向に長尺な直方体形状のリード本体部20と、リード抜け抑制部21とを一体的に有している。リード本体部20は、上面22と、上面22の反対側に位置する下面23と、上面22と下面23とを接続する4つの側面24とを含む。リード5は、リード本体部20の上面22に接続されたボンディングワイヤ4を介して、半導体チップ2に電気的に接続される。
【0021】
リード抜け抑制部21は、リード本体部20の側面24からダイパッド3側に向けて張り出すように形成されている。リード抜け抑制部21は、リード本体部20の上面22と面一に形成され、リード本体部20よりも小さい厚さを有している。リード抜け抑制部21およびリード本体部20の側面24により形成された段差部分に封止樹脂6が入り込むことにより、リード本体部20の封止樹脂6からの脱落が抑制される。
【0022】
封止樹脂6は、たとえばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂であってもよい。封止樹脂6は、ほぼ直方体形状であり、表面30と、表面30の反対側に位置する裏面31と、表面30および裏面31を接続する4つの側面32とを含む。封止樹脂6の表面30の一つの角部には、実装方向を示す指標33が形成されている。一方、封止樹脂6の裏面31には、ダイパッド3の下面17および各リード5の下面23がそれぞれ露出している。封止樹脂6の裏面31は、ダイパッド3の下面17および各リード5の下面23と面一に形成されている。他方、封止樹脂6の側面32は、封止樹脂6の表面30および裏面31のそれぞれに対して垂直に形成されている。封止樹脂6の側面32には、各リード5の側面24(ダイパッド3の反対側に位置する側面24)が露出している。封止樹脂6の側面32は、各リード5の側面24と面一に形成されている。
【0023】
封止樹脂6の表面30は、研削されることにより形成された研削痕(図示せず)を有している。封止樹脂6の表面30の研削痕は、より具体的には、化学的機械的研磨法による研磨痕である。封止樹脂6の表面30における研削痕(研磨痕)は、高低差が10μm以下の凹凸を含む。すなわち、封止樹脂6の表面30は、10μm以下の表面粗さを含む。さらに具体的には、封止樹脂6の表面30における研削痕(研磨痕)は、高低差が5μm以下の凹凸を含む。すなわち、封止樹脂6の表面30は、5μm以下の表面粗さを含む。封止樹脂6の表面30における研削痕(研磨痕)は、封止樹脂6の表面30以外、より具体的には側面32の粗さよりも小さい粗さを含んでいてもよい。封止樹脂6は、鏡面化された表面を有していてもよい。この場合、封止樹脂6の表面30の研削痕(研磨痕)は、鏡面化研磨加工による鏡面研磨痕である。
【0024】
同様に、ダイパッド3の下面17および各リード5の下面23を含む封止樹脂6の裏面31は、研削されることにより形成された研削痕(図示せず)を有している。封止樹脂6の裏面31の研削痕は、より具体的には、化学的機械的研磨法による研磨痕である。封止樹脂6の裏面31における研削痕(研磨痕)は、高低差が10μm以下の凹凸を含む。すなわち、封止樹脂6の裏面31は、10μm以下の表面粗さを含む。さらに具体的には、封止樹脂6の裏面31における研削痕(研磨痕)は、高低差が5μm以下の凹凸を含む。すなわち、封止樹脂6の裏面31は、5μm以下の表面粗さを含む。封止樹脂6の裏面31における研削痕(研磨痕)は、封止樹脂6の裏面31以外、より具体的には側面32の粗さよりも小さい粗さを含んでいてもよい。封止樹脂6は、鏡面化された裏面を有していてもよい。この場合、封止樹脂6の裏面31の研削痕(研磨痕)は、鏡面化研磨加工による鏡面研磨痕である。
【0025】
図5は、
図1に示す半導体装置1の製造方法を示す工程図である。
図6は、
図1に示す半導体装置1の製造に使用されるリードフレーム40の平面図である。
図7〜
図15は、
図1に示す半導体装置1の製造工程を示す断面図である。
図6に示すように、リードフレーム40は、たとえば、銅板、42アロイ板等の金属薄板であり、プレス加工により形成されている。リードフレーム40は、複数のダイパッド3と、各ダイパッド3から間隔を空けて各ダイパッド3の周囲4方向に配置された複数のリード5と、各ダイパッド3および各リード5を支持するフレーム部41とを含む。
【0026】
複数のダイパッド3は、本実施形態では、行方向および行方向に直交する列方向に沿って、互いに間隔を空けて行列状に設けられている。フレーム部41は、行方向および列方向に延びる格子状に設けられており、各ダイパッド3を取り囲んでいる。フレーム部41は、各ダイパッド3を支持する複数のパッド支持部19を含む。各パッド支持部19は、各ダイパッド3の対角線方向に沿って延び、各ダイパッド3の角部と一体的に連なっている。各リード5は、それぞれフレーム部41と一体的に形成され、各ダイパッド3に向けて延びるようにフレーム部41に支持されている。リードフレーム40には、フレーム部41に沿ってダイシングライン43(二点鎖線参照)が設定されている。ダイシングライン43は、フレーム部41よりも幅広に設定されており、各リード5を、それらの整列方向に沿って横切っている。
【0027】
図7に示すように、リードフレーム40に、各ダイパッド3の下面17および各リード5の下面23を被覆する支持テープ44が貼付される(ステップS1)。
次に、
図8に示すように、各ダイパッド3に半導体チップ2が配置される(ステップS2)。各半導体チップ2は、半田等の金属膜13により、各ダイパッド3の上面16に固定される。次に、ボンディングワイヤ4が、半導体チップ2および対応するリード5に接続される(ステップS3)。これにより、半導体チップ2が、リード5に電気的に接続される。
【0028】
次に、
図9に示すように、リードフレーム40が金型50内に配置される(ステップS4)。金型50は、少なくともリードフレーム40が配置される領域を一様な高さで挟み込む一対の上型51および下型52を有している。リードフレーム40は、支持テープ44を挟んで金型50の下型52上に配置される。
次に、
図10に示すように、リードフレーム40を被覆するように、金型50内に封止樹脂6が流し込まれる(ステップS5)。これにより、封止樹脂6により複数の半導体チップ2が一括して被覆される。その後、封止樹脂6が硬化(熱硬化)される。これにより、封止構造55が形成される。封止構造55は、複数の半導体チップ2を一括して封止しており、表面56と、表面56の反対側に位置し、各ダイパッド3の下面17および各リード5の下面23が封止樹脂6から露出する裏面57とを有している。封止構造55は、一対の上型51および下型52に対応した一様な厚さを有している。支持テープ44が封止構造55の裏面57に貼付されている状態では、複数のダイパッド3の裏面57は外部に露出していない。
【0029】
次に、
図11に示すように、封止構造55が金型50から取り出され(ステップS6)、リードフレーム40に貼付された支持テープ44が剥離される(ステップS7)。
次に、
図12に示すように、封止構造55の表面56が研削される(ステップS8)。より具体的には、封止構造55の表面56は、化学的機械的研磨法により研磨される。これにより、封止構造55が目的とする厚さまで研磨される。
【0030】
この表面研削工程において、封止構造55の表面56に、研削による研削痕(図示せず)が形成される。封止構造55の表面56の研削痕は、より具体的には、化学的機械的研磨法による研磨痕である。この表面研削工程では、封止構造55の表面56に、高低差が10μm以下の凹凸を含む研削痕(研磨痕)が形成される。すなわち、封止構造55の表面56は、表面粗さが10μm以下になるように研削(研磨)される。さらに具体的には、封止構造55の表面56に、高低差が5μm以下の凹凸を含む研削痕(研磨痕)が形成される。すなわち、封止構造55の表面56は、表面粗さが5μm以下になるように研削(研磨)される。封止構造55は、化学的機械的研磨法により、その表面56が鏡面化されてもよい。この場合、封止構造55の表面56の研削痕は、鏡面化研磨加工による鏡面研磨痕である。
【0031】
次に、
図13に示すように、封止構造55の裏面57が研削される(ステップS9)。より具体的には、封止構造55の裏面57は、化学的機械的研磨法により研磨される。これにより、封止構造55が目的とする厚さまで研磨される。
この裏面研削工程において、各ダイパッド3の下面17および各リード5の下面23を含む封止構造55の裏面57に、研削による研削痕(図示せず)が形成される。封止構造55の裏面57の研削痕は、より具体的には、化学的機械的研磨法による研磨痕である。この裏面研削工程では、封止構造55の裏面57に、高低差が10μm以下の凹凸を含む研削痕(研磨痕)が形成される。すなわち、封止構造55の裏面57は、表面粗さが10μm以下になるように研削(研磨)される。さらに具体的には、封止構造55の裏面57に、高低差が5μm以下の凹凸を含む研削痕(研磨痕)が形成される。すなわち、封止構造55の裏面57は、表面粗さが5μm以下になるように研削(研磨)される。封止構造55は、化学的機械的研磨法により、その裏面57が鏡面化されてもよい。この場合、封止構造55の裏面57の研削痕は、鏡面化研磨加工による鏡面研磨痕である。
【0032】
このように封止構造55の表面56および裏面57が研削(研磨)されて、
図14に示すように、封止構造55が所定の厚さまで薄化される。
次に、
図15に示すように、ダイシングライン43に沿って封止構造55がダイシングソー58により切断される(ステップS10)。この際、封止構造55は、表面56および裏面57に対して垂直な方向に切断される。これにより、封止構造55の表面56が封止樹脂6の表面30となり、封止構造55の裏面57が封止樹脂6の裏面31となる。そして、封止構造55のダイシングソー58により切断された部分が封止樹脂6の側面32となる。このようにして、封止構造55から複数の半導体装置1の個片が切り出される。
【0033】
以上の方法によれば、半導体チップ2が各ダイパッド3に配置された後、リードフレーム40が金型50内に配置され、封止樹脂6によって複数の半導体チップ2が一括して封止される。これにより、複数の半導体チップ2が一括封止された封止構造55が形成される。この封止構造55は、金型50から取り出された後、半導体装置1に加工される。より具体的には、薄化工程である表面研削工程(ステップS8)および裏面研削工程(ステップS9)により、封止構造55が所望の厚さまで研削され、個片化工程(ステップS10)において、封止構造55が所望の大きさに切断される。これにより、目的とする厚さ、形状および大きさを有する半導体装置1が製造される。
【0034】
ここで、複数の半導体チップ2のそれぞれが封止樹脂6により個別的に封止される個別封止型の金型の場合について考える。個別封止型の金型の場合、所望の厚さ、形状および大きさが一度の工程で提供されて、半導体装置1となる。しかし、個別封止型の金型では、異なる厚さ、形状および大きさを有する半導体装置を設計する度に金型を用意しなければならず、それに伴って金型の製造コストが増大し、また、金型の管理負担も増大する。
【0035】
これに対して、本実施形態の方法によれば、封止構造55の形状や厚さが一括封止後の加工によって定められるので、金型50の形状や大きさの制限を受けずに所望の半導体装置(本実施形態では、半導体装置1)を製造できる。これにより、共通の金型50で、半導体装置1を含む種々の半導体装置を製造できる。その結果、新たな半導体装置を設計する度に金型50を製造する必要がなくなるので、金型50の製造に伴うコストの増大を抑制でき、併せて金型50の管理負担を低減できる。
【0036】
また、以上の方法によれば、金型50は、少なくともリードフレーム40が配置される領域を一様な高さで挟み込む一対の上型51および下型52を有しており、一様な厚さを有する封止構造55が形成される(ステップS5)。この方法によれば、一対の上型51および下型52間の高さ、すなわち金型50から取り出された後の封止構造55の厚さを基準にして、半導体装置1の厚さを設定できる。これに加えて、封止構造55が一様な厚さを有しているので、封止構造55の研削工程(ステップS8,S9)が容易である。これにより、共通の金型50で異なる厚さを有する種々の半導体装置を良好に製造できる。
【0037】
また、以上の方法によれば、表面研削工程(ステップS8)において、封止構造55の表面56が研削される。この方法によれば、リード5の下面23が露出しない面である表面56側から封止構造55が研削されるので、封止構造55の薄化を容易に図ることができる。また、この表面研削工程(ステップS8)は、化学的機械的研磨法により封止構造55の表面56を研磨する表面研磨工程を含むので、研磨後の封止構造55の厚さを正確に制御できる。
【0038】
また、以上の方法によれば、表面研削工程(ステップS8)に加えて、封止構造55の裏面57を研削する裏面研削工程(ステップS9)が実行される。この方法によれば、封止構造55の表面56側および裏面57側の両側から封止構造55が薄化されるので、実現可能な半導体装置の厚さの種類をより一層増加させることができる。これにより、共通の金型50で製造される半導体装置の種類をより一層増加させることができる。また、封止構造55の表面56側および裏面57側の両側から封止構造55を薄化することにより、半導体装置の更なる小型化を実現できる。また、この裏面研削工程(ステップS9)は、化学的機械的研磨法により封止構造55の裏面57を研磨する裏面研磨工程を含むので、研磨後の封止構造55の厚さを正確に制御できる。
【0039】
さらに、以上の方法によれば、封止構造55は、個片化工程(ステップS10)において、封止構造55の表面56および裏面57に対して垂直な方向に切断される。この方法によれば、表面56および裏面57に対して垂直な方向に封止構造55を切断すればよいので、封止構造55から複数の半導体装置1の個片を容易に切り出すことができる。これにより、異なる大きさおよび形状を有する種々の半導体装置を共通の金型50で容易に製造できる。
【0040】
図16は、本発明の一実施形態に係る製造方法が適用された他の例に係る半導体装置61を示す底面図である。
図17は、
図16に示すXVII-XVII線に沿う断面図である。
図16および
図17において、前述の
図1〜
図15に示された各部と対応する部分については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
半導体装置61は、封止樹脂6により覆われた下面17を有するダイパッド3を含む点で、前述の半導体装置1と異なる。すなわち、半導体装置61では、ダイパッド3の下面17が、封止樹脂6の裏面31から露出していない。この場合、半導体チップ2は、ダイパッド3と、ダイパッド3に接続されたボンディングワイヤ4を介して対応するリード5と電気的に接続される。
【0041】
このような半導体装置61は、前述のリードフレーム40(
図6参照)において、ダイパッド3の形状およびボンディングワイヤ4の接続箇所を変更するだけで製造できる。
前述の各例では、半導体装置1,61が、ダイパッド3の周囲4方向のそれぞれにリード5が配置されたQFNタイプである例について説明した。しかし、半導体装置1,61は、ダイパッド3の周囲のいずれか2方向(たとえば、ダイパッド3の互いに対向する二つの側面18に沿う方向)のみにリード5が配置されたDFN(Dual Flat Non lead package)タイプであってもよい。この場合、
図18および
図19に示す例を採用してもよい。
【0042】
図18は、本発明の一実施形態に係る製造方法が適用されたさらに他の例に係る半導体装置63を示す底面図である。
図19は、
図18に示すXIX-XIX線に沿う断面図である。
図18および
図19において、前述の
図1〜
図17に示された各部と対応する部分については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
半導体装置63は、ほぼ直方体形状のDFNタイプの半導体装置である。半導体装置63は、封止樹脂6により被覆された下面17を有するダイパッド3と、ダイパッド3の互いに対向する二つの側面18に沿って配置された一対のリード5A,5Bとを有している。以下では、説明の便宜上、一方側のリード5Aを「入力端子5A」といい、他方側のリード5Bを「出力端子5B」という。
【0043】
入力端子5Aおよび出力端子5Bは、ダイパッド3から間隔を空けて配置されている。入力端子5Aは、ボンディングワイヤ4を介して半導体チップ2に電気的に接続されている。一方、出力端子5Bは、接続部64を介してダイパッド3と一体的に形成されている。入力端子5Aから入力された電気信号は、ボンディングワイヤ4を介して半導体チップ2に入力される。半導体チップ2からの出力信号は、金属膜13、ダイパッド3および接続部64を介して出力端子5Bから出力される。この場合、半導体チップ2は、入力端子5Aに接続されるアノード端子、および出力端子5Bに接続されるカソード端子を有するダイオードを含んでいてもよいし、キャパシタや抵抗等の受動素子であってもよい。
【0044】
封止樹脂6の裏面31には、入力端子5Aおよび出力端子5Bの各下面23がそれぞれ露出している。封止樹脂6の裏面31は、入力端子5Aおよび出力端子5Bの各下面23と面一に形成されている。一方、封止樹脂6の側面32には、入力端子5Aおよび出力端子5Bの各側面24(ダイパッド3の反対側に位置する側面24)が露出している。封止樹脂6の側面32は、入力端子5Aおよび出力端子5Bの各側面24と面一に形成されている。封止樹脂6の表面30には、実装方向を示す指標33(破線部参照)が形成されていてもよい。
【0045】
図20は、
図19に示す半導体装置63の製造方法に使用されるリードフレーム65の平面図である。
図20において、前述の
図6に示された各部と対応する部分については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
リードフレーム65は、複数のダイパッド3と、各ダイパッド3を挟んで互いに対向する一対の入力端子5Aおよび出力端子5Bと、各ダイパッド3と出力端子5Bとを接続する接続部64と、入力端子5Aおよび出力端子5Bを支持するフレーム部41とを有している。ダイシングライン43(二点鎖線参照)は、フレーム部41に沿い、フレーム部41よりも幅広に設定されている。列方向に沿って設定されたダイシングライン43は、入力端子5Aおよび出力端子5Bを、それらが延びる方向に直交する方向に横切っている。
【0046】
このようなリードフレーム65に対して、ステップS1〜ステップS10が順に実行されて、半導体装置63が製造される。なお、半導体装置63において、ダイパッド3の下面17が、封止樹脂6の裏面31から露出するように出力端子5Bと一体的に形成されていてもよい。また、半導体装置63において、一方側のリード5Aが出力端子であり、他方側のリード5Bが入力端子であってもよい。
【0047】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、表面研削工程(ステップS8)および裏面研削工程(ステップS9)の両方を実施する例について説明した。しかし、
図21に示すように、表面研削工程(ステップS8)および裏面研削工程(ステップS9)のいずれか一方のみを実施するようにしてもよい。この場合、個片化工程(ステップS10)が実施されると、封止樹脂6の表面30が、封止樹脂6の裏面31と異なる表面粗さを有する半導体装置1が製造される。
【0048】
より具体的には、表面研削工程(ステップS8)のみが実施される場合、封止樹脂6の表面30に研削痕が形成される一方で、封止樹脂6の裏面31に研削痕は形成されない。この場合、支持テープ44の表面のうち、リードフレーム40,65に貼付される側の表面である貼付面の微小な凹凸が、封止樹脂6の裏面31に転写される。他方、裏面研削工程(ステップS9)のみが実施される場合、封止樹脂6の裏面31に研削痕が形成される一方で、封止樹脂6の表面30に研削痕は形成されない。この場合、金型50(上型51)の表面の微小な凹凸が、封止樹脂6の表面30に転写される。
【0049】
また、前述の実施形態では、半導体チップ2を配置する工程(ステップS2)に先立って、リードフレーム40,65に支持テープ44が貼付される例について説明した(ステップS1)。しかし、半導体チップ2を配置する工程(ステップS2)後、リードフレーム40,65を金型50内に配置する工程(ステップS4)に先立って、リードフレーム40,65に支持テープ44を貼付してもよい。また、リードフレーム40,65に支持テープ44を貼付せずに、ステップS4において、金型50の下型52上にリードフレーム40,65を直接配置してもよい。この場合、表面研削工程(ステップS8)のみが実行されると、封止樹脂6の表面30に研削痕が形成される一方で、封止樹脂6の裏面31に研削痕は形成されない。この場合、金型50(下型52)の表面の微小な凹凸が、封止樹脂6の裏面31に転写される。
【0050】
また、前述の実施形態では、個片化工程(ステップS10)において、ダイシングソー58により、封止構造55が切断される例について説明した。この封止構造55の切断は、ダイシングソー58に代えてまたはこれに加えて、エッチングにより実施してもよい。
また、前述の各実施形態では、半導体チップ2の裏面11が、ダイパッド3の上面16に接合される例について説明したが、半導体チップ2は、素子形成面10がダイパッド3の上面16に接合されるように、ダイパッド3上に配置(フリップチップ接合)されてもよい。
【0051】
また、前述の実施形態では、半導体装置1,61,63が、配線部材の一例としてボンディングワイヤ4を含む例について説明した。しかし、半導体装置1,61,63は、ボンディングワイヤ4に代えてまたはこれに加えて、太ワイヤ、導電体板等の比較的大きな電流通過面積を有する配線部材を含んでいてもよい。ボンディングワイヤ4を含むこれらの配線部材は、たとえば金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)およびこれらの合金のいずれかを含んでいてもよい。
【0052】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。