【解決手段】被試験対象100に対する試験信号を生成し、当該試験信号が入力された被試験対象100からの出力信号に対して測定を実行する測定部12と、測定部12の測定結果を含む表示内容を表示する表示部13と、入力操作を行うための入力部15と、ネットワーク110を介して外部制御装置30とデータの送受信を行う通信部16と、を備え、表示部13の表示内容と入力部15の少なくとも一部がGUIで構成され、前記データがGUIの画像データを含む測定装置10について、測定装置10が利用可能なネットワーク110の帯域幅を推定する帯域幅推定部18と、推定された帯域幅に基づいて、通信部16から送信されるデータの送信量を制御する送信量制御部19と、を備える。
前記送信量制御部は、前記往復遅延時間があらかじめ定められた閾値以上であることを条件として、前記送信量を減少させることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の利用帯域決定装置。
前記送信量制御部は、前記往復遅延時間があらかじめ定められた閾値未満であることを条件として、前記送信量を増加させることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の利用帯域決定装置。
前記第2表示部は、前記往復遅延時間があらかじめ定められた閾値以上であることを条件として、警告メッセージを表示することを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の利用帯域決定装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る利用帯域決定装置及び方法の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0023】
図1に示すように、本発明の実施形態としての利用帯域決定装置1は、被試験対象100に対して各種測定を行う測定装置10に備えられ、ネットワーク環境において利用可能な帯域(幅)を推定し、実際に使用する帯域(幅)を決定するものである。
【0024】
測定装置10は、利用帯域決定装置1、入出力部11、測定部12、表示部13、表示制御部14、入力部15、通信部16、及び制御部17を備えている。測定装置10は、例えばインターネット、LAN、WLANなどのネットワーク110を介して外部制御装置30と有線又は無線接続され、外部制御装置30との間でデータの送受信を行うことができるようになっている。
【0025】
被試験対象100は、例えばルータ、スイッチングハブ、伝送装置などのネットワーク機器、あるいは、携帯電話などの無線端末機器である。
【0026】
測定部12は、信号生成部12a及び信号解析部12bを含み、被試験対象100に対して測定を実行する。信号生成部12aは、後述する測定パラメータ設定領域46で設定された測定パラメータに対応した試験信号としてのフレーム又はパケットを生成し、当該試験信号を入出力部11を介して被試験対象100に送信するようになっている。
【0027】
信号解析部12bは、信号生成部12aから出力された出力信号(被測定信号)としてのフレーム又はパケットを入出力部11を介して被試験対象100から受信し、当該被測定信号から、後述する測定項目選択窓45で設定された測定項目に対応した受信状態情報を抽出して、それらを解析するようになっている。
【0028】
入出力部11は、イーサネット(登録商標)などのIPネットワークを通じて、測定装置10と被試験対象100との間で試験信号や被試験対象100からの被測定信号を光信号又は電気信号に変換して送受信するようになっている。また、入出力部11は、例えば同軸ケーブルにより被試験対象100と測定装置10とを接続するための端子を有していてもよい。
【0029】
表示部13は、例えばLCDやCRTなどの表示機器で構成され、表示制御部14からの制御信号に応じて各種表示内容を表示するようになっている。この表示内容には、測定部12による測定結果や、測定条件などを設定するためのソフトキー、プルダウンメニュー、テキストボックスなどの操作対象が含まれる。
【0030】
入力部15は、例えばテンキーや各種設定キーを備えたキーボードやマウスなどの入力装置や、表示部13の表面に設けられたタッチパネルのような入力装置や、リモートコマンド制御やリモートGUI制御によって測定装置10の遠隔制御を行う外部制御装置30で構成される。入力部15による入力操作は、制御部17により検知されるようになっている。表示部13の表示内容と入力部15の少なくとも一部はGUIで構成される。
【0031】
通信部16は、ネットワーク110を介して測定装置10をリモート制御する外部制御装置30との間で、GUIの画像データ(以下、「GUIデータ」ともいう)、及び、測定装置10による測定結果のデータ(以下、「測定データ」ともいう)を含むデータや、制御信号の送受信を行うようになっている。
【0032】
通信部16は、例えば、イーサネット(登録商標)、WLAN、Bluetooth(登録商標)などの有線用又は無線用の通信用インタフェースで構成され、ネットワーク110を介して後述する外部制御装置30の通信部36と通信を行う。
【0033】
制御部17は、例えばCPU、ROM、RAMなどを含むマイクロコンピュータで構成され、測定装置10を構成する各部の駆動制御を行うようになっている。また、制御部17は、ユーザが入力部15を操作して設定する後述の測定項目に基づき、当該測定項目に対応する測定を測定部12に行わせるための制御信号を、測定部12に出力するようになっている。
【0034】
また、制御部17は、外部制御装置30においてリモートコマンド制御又はリモートGUI制御が行われたとき、その制御内容に従って測定部12に被試験対象100に対する測定を行わせるようになっている。また、制御部17は、測定部12による測定データや、後述の利用帯域決定装置1による利用帯域決定処理の結果のログを保存するようになっている。
【0035】
図2に示すように、外部制御装置30は、例えば、外部のネットワーク110と接続可能なパーソナルコンピュータなどの端末機器であって、テストパケット送信部31、往復遅延時間取得部32、表示部33、表示制御部34、入力部35、通信部36、及び制御部37を有する。表示部33、入力部35、通信部36、及び制御部37の基本的な構成は、測定装置10が有する表示部13、入力部15、通信部16、及び制御部17と同様である。
【0036】
通信部36は、ネットワーク110を介して、測定装置10の通信部16との間でGUIデータ及び測定データを含むデータを送受信するようになっている。
【0037】
テストパケット送信部31は、ネットワーク110の利用可能な帯域幅を推定するために、pingのパケットをテストパケットとして測定装置10の通信部16に送信するようになっている。
【0038】
往復遅延時間取得部32は、テストパケット送信部31が測定装置10の通信部16にテストパケットを送信してから、該テストパケットに対応する通信部16からの確認応答を通信部36が受け取るまでの往復遅延時間(Round-Trip Time:RTT)を取得するようになっている。
【0039】
表示部33は、表示制御部34からの制御信号に応じて、通信部36によって受信されたGUIデータ及び測定データを表示するようになっている。これにより、表示部33は、測定装置10の表示部13の表示内容とほぼ同様の内容を表示することが可能である。
【0040】
制御部37は、外部制御装置30を構成する各部の駆動制御を行うようになっている。また、制御部37は、ユーザが入力部35を操作して設定する後述の測定項目に基づき、当該測定項目に対応する測定を測定装置10の測定部12に行わせるための制御信号を、測定装置10の制御部17に出力するようになっている。
【0041】
以下、本実施形態の利用帯域決定装置1の構成について説明する。利用帯域決定装置1は、帯域幅推定部18及び送信量制御部19を有する。帯域幅推定部18は、例えば外部制御装置30の往復遅延時間取得部32によって取得されたRTTに基づいて、測定装置10が利用可能なネットワーク110の帯域幅を推定するようになっている。例えば、帯域幅推定部18は、RTTがあらかじめ定められた閾値以上であるか否かを判断することにより、ネットワーク110の帯域幅を推定する。
【0042】
あるいは、帯域幅推定部18は、RTTの値と帯域幅との関係をあらかじめテーブルとして記憶しており、実際に往復遅延時間取得部32によって取得されたRTTに対して、当該テーブルを参照してネットワーク110の帯域幅を推定するものであってもよい。
【0043】
あるいは、帯域幅推定部18は、ネットワーク110に負荷を掛ける試験を行うことにより、ネットワーク110の帯域幅を推定するものであってもよい。
【0044】
さらに、帯域幅推定部18は、RTTがあらかじめ定められた閾値以上である場合には、ネットワーク110の利用可能な帯域幅が狭くなっている旨の警告メッセージを外部制御装置30の表示部33に表示させるようになっていてもよい。
【0045】
送信量制御部19は、帯域幅推定部18によって推定された帯域幅に基づいて、測定装置10の測定部12による測定開始時及び測定中に、通信部16から送信されるデータの単位時間当たりの送信量を動的に制御するようになっている。
【0046】
例えば、送信量制御部19は、RTTがあらかじめ定められた閾値以上であることを条件として、通信部16から送信されるデータの単位時間当たりの送信量を現在の値から減少させた値に決定する。また、送信量制御部19は、RTTがあらかじめ定められた閾値未満であることを条件として、通信部16から送信されるデータの単位時間当たりの送信量を現在の値から増加させた値に決定する。
【0047】
以下、測定装置10及び外部制御装置30における表示制御について説明する。表示制御部14は内部用表示制御部14a及び外部用表示制御部14bを有する。内部用表示制御部14aは、例えば
図3に示すようなGUIで構成される表示内容を表示部13に表示させるようになっている。
【0048】
外部用表示制御部14bは、例えば
図3に示すようなGUIで構成される表示内容を外部制御装置30の表示部33に表示させるためのGUIデータを生成する。このとき、外部用表示制御部14bは、送信量制御部19で決定された送信量に応じて、GUIデータの解像度や画質を調整するようになっている。
【0049】
測定装置10の表示部13、内部用表示制御部14a、及び入力部15と、外部制御装置30の表示部33、表示制御部34、及び入力部35の構成はほぼ同様であるため、以下では外部制御装置30の表示部33、表示制御部34、及び入力部35の構成についてのみ詳細に説明する。
【0050】
図3に示すように、表示制御部34は、表示部33に主表示領域41aを設定し、設定した主表示領域41a内に、被試験対象100からの被測定信号に対する信号解析部12bの信号解析結果を測定結果として表示させる制御を行うようになっている。
【0051】
また、表示制御部34は、測定開始や停止を指定するための測定開始/停止ボタン42aなどの使用頻度の高い処理を実行するための操作ボタンを含む領域42を、主表示領域41a内に表示させる制御を行うようになっていてもよい。さらに、領域42において、帯域幅推定部18により推定されたネットワーク110の帯域幅が複数の段階で表示されてもよい。
【0052】
また、表示制御部34は、入力部35の操作により押下可能な表示切替ボタン43を表示部33の所定領域に表示させるようになっており、表示切替ボタン43の押下状態に応じて、各種表示内容の表示のオン/オフを切り替えることができるようになっている。
【0053】
例えば
図4から
図3への変化に示すように、表示制御部34は、表示切替ボタン43が押下されてオンとなったことによって、主表示領域41a内の一部に副表示領域41bを設定し、副表示領域41bに、通信規格表示窓44、測定項目選択窓45及び測定パラメータ設定領域46を表示する。
【0054】
なお、表示制御部34は、表示切替ボタン43が入力部35により押下されてオンとなったことを条件として、主表示領域41a内の副表示領域41b以外の領域41cに信号解析部12bの信号解析結果の少なくとも一部を表示させる制御を行うようになっている。
【0055】
一方、
図3から
図4への変化に示すように、表示制御部34は、表示切替ボタン43が入力部35により押下されてオフとなったことを条件として、主表示領域41a内の副表示領域41bの設定をオフとするとともに、副表示領域41bに表示されていた表示内容の表示をオフとするようになっている。
【0056】
さらに、表示制御部34は、表示切替ボタン43が入力部35により押下されてオフとなったことを条件として、副表示領域41bが設定されていた領域に、信号解析部12bの信号解析結果の少なくとも一部を表示させる制御を行うようになっている。
【0057】
通信規格表示窓44は、複数の通信規格の中からあらかじめ設定された一つ以上の通信規格を表示するようになっている。なお、これらの被測定対象の通信規格は、あらかじめ設定されるのみでなく、任意の操作で選択できるようになっていてもよい。
【0058】
本実施形態において被試験対象100は、例えば100Gイーサネット(登録商標)、40Gイーサネット(登録商標)、STM(Synchronous Transport Module)−64の各通信規格に従った通信を行うものである。
【0059】
あるいは、被試験対象100は、例えばW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)、LTE(Long Term Evolution)、CDMA2000(Code Division Multiple Access 2000)、EV−DO(Evolution Data Only)、TD−SCDMA(Time Division Synchronous Code Division Multiple Access)の各通信規格に従った通信を行うものであってもよい。
【0060】
測定項目選択窓45は、プルダウンメニュー機能により、表1に示す複数の測定項目(Frequency、Skew、LOSなど)の中から一つの測定項目を選択可能に表示するようになっている。
【0061】
測定項目「Frequency」は、信号生成部12aにより出力される試験信号の周波数を測定対象の通信規格の基準周波数から所定周波数だけずらし、その周波数変化に対する被試験対象100の耐性を測定するための項目である。
【0062】
測定項目「Skew」は、信号生成部12aにより出力される試験信号のフレーム間の時間を変化させ、その時間変化に対する被試験対象100の耐性を測定するための項目である。
【0063】
測定項目「LOS」は、信号生成部12aにより生成された試験信号の被試験対象100への送信を所定時間停止させることにより、被試験対象100が所定時間試験信号を受信していない状態を反映した応答を返すか否かを測定するようになっている。
【0064】
測定パラメータ設定領域46は、測定項目選択窓45で選択された測定項目に対応した測定パラメータを設定するための領域である。この測定パラメータは、選択された測定項目に対応した試験信号を信号生成部12aに生成させるとともに、被試験対象100からの出力信号に対して、選択された測定項目に対応した解析処理を信号解析部12bに行わせるために必要なものである。
【0065】
以下、
図3に示すように、測定項目として「Frequency」が選択された場合を例に挙げて副表示領域41bの構成を説明する。
【0066】
具体的には、測定パラメータ設定領域46は、基準周波数表示窓46a、及び周波数変化量設定窓46bを有する。
【0067】
基準周波数表示窓46aは、通信規格表示窓44に表示された通信規格に対応した試験信号の基準周波数を表示するようになっている。なお、基準周波数表示窓46aは、入力部35の操作により表示値を変更することも可能となっている。
【0068】
周波数変化量設定窓46bは、試験信号の周波数について、その基準周波数からのずれの大きさを上下キーにより設定可能に表示するようになっている。
【0069】
さらに、測定パラメータ設定領域46は、測定パラメータの数値入力を行うテンキー46cと、測定パラメータの単位を変更する単位切替キー46dと、直前の数値を削除する後退キー(BS(backspace)キー)46eと、入力した数値を決定する実行キー(Enterキー)46fと、測定パラメータの数値を削除するクリアキー46gと、を有していてもよい。
【表1】
【0070】
以下、
図5のフローチャートを参照しながら、本実施形態の利用帯域決定装置1を用いた利用帯域決定方法について説明する。なお、
図5のフローチャートの処理が実行される前に、測定装置10が起動しているものとする。
【0071】
また、以下の処理では、外部制御装置30が測定装置10にデータを問い合わせる「問合せ型」の通信と、測定装置10が外部制御装置30にデータを通知する「通知型」の通信のいずれかが行われる。なお、初期状態では
図5のフローチャートのステップS5以降で「通知型」の通信が行われるものとする。
【0072】
まず、外部制御装置30の制御部37は、測定装置10と協働して利用帯域決定処理を実行し、測定装置10の通信部16から送信されるデータの単位時間当たりの送信量を決定する(ステップS1)。この処理の詳細については、後述の
図7のフローチャートに沿って説明する。
【0073】
次に、外部制御装置30の通信部36は、ステップS1で決定された送信量で測定装置10の通信部16から送信されたGUIデータを受信する(ステップS2)。ここでは、例えば
図6に示すようなGUIで構成される設定画面のデータが通信部36に受信され、当該設定画面が表示部33に表示される。
【0074】
次に、ユーザの入力部35の操作により測定試験が決定される。例えば
図6に示すように、通信規格表示窓44に表示された100Gイーサネット(登録商標)に対して、測定項目選択窓45において測定項目として「Frequency」が選択される(ステップS3)。
【0075】
次に、ユーザの入力部35の操作により、周波数変化量設定窓46bにおいて試験信号の周波数が測定パラメータとして設定される(ステップS4)。
【0076】
次に、制御部37は、ユーザの入力部35の操作により、測定開始/停止ボタン42aがオンとなった場合に、被試験対象100に対する測定試験を開始するための制御信号を測定装置10の制御部17に向けて送信する(ステップS5)。測定開始/停止ボタン42aがオフとなっている場合には、オンとなるまで待機する。
【0077】
測定装置10の制御部17が上記の制御信号を受信すると、測定装置10の信号生成部12aは、測定パラメータ設定領域46で設定された測定パラメータに対応した試験信号を生成する。さらに、信号解析部12bは、測定項目選択窓45で設定された測定項目に対応した解析処理を行う。
【0078】
次に、制御部37は、測定装置10による測定開始時において、再び測定装置10と協働して利用帯域決定処理を実行し、測定装置10の通信部16から送信されるデータの単位時間当たりの送信量を決定する(ステップS6)。
【0079】
次に、通信部36は、ステップS6又は後述のステップS10で決定された送信量で測定装置10の通信部16から送信されたGUIデータ及び測定データを受信する(ステップS7)。ここでは、例えば
図3,4に示すようなGUIで構成される測定結果の表示画面のデータが通信部36に受信され、当該表示画面が表示部33に表示される。
【0080】
次に、制御部37は、ユーザの入力部35の操作により、測定開始/停止ボタン42aがオフとなった場合に、被試験対象100に対する測定試験を停止するための制御信号を測定装置10の制御部17に向けて送信する(ステップS8)。測定開始/停止ボタン42aがオンとなっている場合には、ステップS9に進む。
【0081】
ステップS9において、制御部37は、更新時間Δt待機した後に再びステップS7の処理を実行する。
【0082】
なお、「問合せ型」の場合には、更新時間Δtは、外部制御装置30の制御部37が測定装置10の制御部17にGUIデータ及び測定データを問い合わせる時間間隔であり、後述するようにネットワーク110の負荷状況に応じて可変としてもよい。
【0083】
一方、「通知型」の場合には、更新時間Δtは、測定装置10の制御部17が外部制御装置30の制御部37にGUIデータ及び測定データを通知する時間間隔であり、ユーザによってあらかじめ設定可能である。
【0084】
さらに、制御部37は、ステップS9とステップS7の間、すなわち測定装置10が測定中の状態においても、測定装置10と協働して利用帯域決定処理を実行し、測定装置10の通信部16から送信されるデータの単位時間当たりの送信量を決定する(ステップS10)。このステップS10の処理は、測定装置10の測定中に所定間隔の定周期で繰り返される。
【0085】
以下、
図7のフローチャートを参照しながら、ステップS1の利用帯域決定処理について説明する。
【0086】
まず、外部制御装置30のテストパケット送信部31は、pingのパケットをテストパケットとして測定装置10の通信部16に送信する(ステップS11)。
【0087】
次に、往復遅延時間取得部32は、テストパケット送信部31が通信部16にテストパケットを送信してから、該テストパケットに対応する通信部16からの確認応答を通信部36が受け取るまでの時間であるRTTを取得する(ステップS12)。
【0088】
次に、通信部36は、往復遅延時間取得部32によって取得されたRTTの情報を測定装置10の通信部16に送信する(ステップS13)。
【0089】
次に、測定装置10の帯域幅推定部18は、RTTがあらかじめ定められた閾値以上であるか否かを判断する(ステップS14)。RTTがあらかじめ定められた閾値以上である場合には、ステップS15に進む。一方、RTTがあらかじめ定められた閾値未満である場合には、ステップS18に進む。
【0090】
ステップS15において、帯域幅推定部18は、ネットワーク110の利用可能な帯域幅が狭くなっている旨の警告メッセージを外部制御装置30の表示部33に表示させる制御を表示制御部34に行わせる。
【0091】
次に、測定装置10の送信量制御部19は、通信部16から送信されるデータの単位時間当たりの送信量を現在の値から所定量減少させた値に決定する(ステップS16)。
【0092】
次に、測定装置10の外部用表示制御部14bは、送信量制御部19で減少された送信量に応じて解像度や画質を減少させたGUIデータを生成し、当該GUIデータを通信部16に出力する(ステップS17)。
【0093】
ステップS18において、送信量制御部19は、通信部16から送信されるデータの単位時間当たりの送信量を現在の値から所定量増加させる。
【0094】
次に、測定装置10の外部用表示制御部14bは、送信量制御部19で増加された送信量に応じて解像度や画質を増加させたGUIデータを生成し、当該GUIデータを通信部16に出力する(ステップS19)。
【0095】
図8は利用帯域決定処理の他の例を示すフローチャートである。
図8のフローチャートにおけるステップS21〜S25の処理は、
図7のフローチャートにおけるステップS11〜S15の処理とそれぞれ同様であるので説明を省略する。
【0096】
ステップS26において、測定装置10の送信量制御部19は、
図5のフローチャートのステップS2又はS7以降の処理を「問合せ型」で実行するように通信方式を設定する。既に通信方式が「問合せ型」に設定されていた場合には、送信量制御部19は更新時間Δtを現在の値から所定量増加又は減少させてもよい。
【0097】
ステップS26において、送信量制御部19は、
図5のフローチャートのステップS2又はS7以降の処理を「通知型」で実行するように通信方式を設定する。
【0098】
以上の説明では、外部制御装置30側にテストパケット送信部31と往復遅延時間取得部32があるとした。本発明はこれに限定されず、測定装置10側にテストパケット送信部31と往復遅延時間取得部32があってもよい。その場合の測定装置10の要部の構成を
図9に示す。
【0099】
図9に示す構成においては、利用帯域決定装置1は、テストパケット送信部31及び往復遅延時間取得部32を更に含む。テストパケット送信部31は、ネットワーク110の利用可能な帯域幅を推定するために、pingのパケットをテストパケットとして外部制御装置30の通信部36に送信するようになっている。
【0100】
往復遅延時間取得部32は、テストパケット送信部31が外部制御装置30の通信部36にテストパケットを送信してから、該テストパケットに対応する通信部36からの確認応答を測定装置10の通信部16が受け取るまでのRTTを取得するようになっている。
【0101】
また、以上の説明では、測定装置10側に利用帯域決定装置1が構成されているとしたが、本発明はこれに限定されず、外部制御装置30側に利用帯域決定装置1が構成されていてもよい。
【0102】
また、以上の説明では、送信量や通信方式が自動的に制御されるものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ユーザがあらかじめネットワーク110の帯域幅を知っている場合などには、ユーザが手動で送信量や通信方式を設定できるようになっていてもよい。
【0103】
以上説明したように、本実施形態の利用帯域決定装置1は、リモート制御用の外部制御装置30と測定装置10の間のネットワーク環境(帯域幅)を測定し、得られた帯域幅に応じて測定装置10から出力されるGUIデータ及び測定データを含むデータの送信量を制御する。
【0104】
これにより、リモート制御に用いるネットワーク環境が、リモート制御経由での測定実行において必要十分であるか否かを自動でチェックすることができる。さらに、測定装置10におけるリモートGUI制御中にネットワーク環境に応じてデータの送信量を制御するため、制御不能に陥ったり、測定試験が失敗したりするという恐れを解消することができる。
【0105】
また、本実施形態の利用帯域決定装置1においては、送信量制御部19は、測定部12による測定開始時及び測定中にGUIデータ及び測定データを含むデータの送信量を制御する。
【0106】
これにより、ネットワーク環境が変化しても、外部制御装置30による測定結果の表示やリモートGUI制御を途切れなく実行することができる。
【0107】
また、本実施形態の利用帯域決定装置1においては、外部制御装置30は、ネットワーク110を介して測定装置10の通信部16とデータを送受信する通信部36と、通信部36によって受信されたGUIデータ及び測定データを表示する表示部33と、を有する。
【0108】
これにより、外部制御装置30の表示部33に、測定装置10の表示部13の表示内容とほぼ同様の内容を表示させることが可能である。
【0109】
また、本実施形態の利用帯域決定装置1においては、外部制御装置30は、ネットワーク110の帯域幅を推定するためのテストパケットを測定装置10の通信部16に送信するテストパケット送信部31と、テストパケット送信部31が通信部16にテストパケットを送信してから、該テストパケットに対応する通信部16からの確認応答を外部制御装置30の通信部36が受け取るまでのRTTを取得する往復遅延時間取得部32と、を更に有する。そして、利用帯域決定装置1の帯域幅推定部18は、RTTに基づいて帯域幅を推定する。これにより、ネットワーク環境に応じたリモートGUI制御を実行することができる。
【0110】
また、本実施形態の利用帯域決定装置1においては、テストパケット送信部31及び往復遅延時間取得部32を外部制御装置30側ではなく、測定装置10側に備えていてもよい。
【0111】
また、本実施形態の利用帯域決定装置1においては、外部制御装置30の表示部33は、RTTがあらかじめ定められた閾値以上であることを条件として、警告メッセージを表示する。これにより、ネットワーク環境が良好でない旨をユーザに通知することができる。