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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-163100(P2016-163100A)
(43)【公開日】2016年9月5日
(54)【発明の名称】オーディオ装置
(51)【国際特許分類】
   H03G 9/00 20060101AFI20160808BHJP
【FI】
   H03G9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-37851(P2015-37851)
(22)【出願日】2015年2月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】富士通テン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木下 功太郎
(57)【要約】
【課題】複数のコンテンツのサンプル音を重畳して又は連続的に出力させることで実際の出力音を確認しながら設定を調整することが可能な技術を提供する。
【解決手段】複数種類の音声信号を出力可能なオーディオ装置であって、前記音声信号を出力する際の設定値を変更する設定値変更手段と、出力する音声信号に対応付けられた設定値を選択する設定値選択手段と、前記選択された設定値に基づいて対応する音声信号を処理した後に、処理後の音声信号を出力装置から出力させる音声処理手段と、を備え、前記設定値選択手段は、前記設定値に基づく音声信号の試聴指示があると、2以上の音声信号に対応する各設定値を選択する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の音声信号を出力可能なオーディオ装置であって、
前記音声信号を出力する際の設定値を変更する設定値変更手段と、
出力する音声信号に対応付けられた設定値を選択する設定値選択手段と、
前記選択された設定値に基づいて対応する音声信号を処理した後に、処理後の音声信号を出力装置から出力させる音声処理手段と、を備え、
前記設定値選択手段は、前記設定値に基づく音声信号の試聴指示があると、2以上の音声信号に対応する各設定値を選択することを特徴とするオーディオ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のオーディオ装置において、
前記設定値選択手段は、前記設定値に基づく音声信号の試聴指示があると、全種類の音声信号に対応する各設定値を選択することを特徴とするオーディオ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のオーディオ装置において、
前記音声処理手段は、選択された設定値に対応する音声信号を出力装置から同時に出力させることを特徴とするオーディオ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のオーディオ装置において、
前記音声処理手段は、試聴以外の使用時においても同時に出力される音声信号同士を同時に出力させることを特徴とするオーディオ装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のオーディオ装置において、
前記音声処理手段は、選択された設定値に対応する音声信号を出力装置から連続的に出力させることを特徴とするオーディオ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のオーディオ装置において、
前記音声処理手段は、試聴以外の使用時において同時に出力されることのない音声信号同士を連続的に出力させることを特徴とするオーディオ装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のオーディオ装置において、
前記設定値を変更するための調整用画面を表示装置に表示させる表示制御手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記複数種類の音声信号に対応する調整用画面を同じ画面に表示させることを特徴とするオーディオ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されるオーディオ装置には、ラジオやCD、カーナビゲーションなどといった複数のコンテンツの音を再生可能なものがある。このようなオーディオ装置では、一般的に、コンテンツ毎に設定の調整画面を表示して、コンテンツ毎に音量や音質を調整することができるようになっている。また、調整後の音量や音質を確認するためのサンプル音を再生し、このサンプル音を確認しながら調整操作を行うことができるオーディオ装置もある。なお、本発明と関連する技術としては、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-36375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実際には、例えばCDの再生中にカーナビゲーションの案内音声が出力されるといったように、複数のコンテンツの音が重畳して出力される場合がある。このような場合、実際に聴こえる音は各コンテンツの音が重なった音であって、コンテンツ単独の音とは異なる。このため、コンテンツ毎にサンプル音を確認しながら個別に調整したとしても、実際の使用時に聴こえる音はユーザが望んでいた音量や音質でない場合がある。この場合、ユーザは再度調整操作を行う必要があり、利便性に欠ける。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数のコンテンツのサンプル音を重畳して又は連続的に出力させることで実際の出力音を確認しながら設定を調整することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、複数種類の音声信号を出力可能なオーディオ装置であって、前記音声信号を出力する際の設定値を変更する設定値変更手段と、出力する音声信号に対応付けられた設定値を選択する設定値選択手段と、前記選択された設定値に基づいて対応する音声信号を処理した後に、処理後の音声信号を出力装置から出力させる音声処理手段と、を備え、前記設定値選択手段は、前記設定値に基づく音声信号の試聴指示があると、2以上の音声信号に対応する各設定値を選択するオーディオ装置である。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のオーディオ装置において、前記設定値選択手段は、前記設定値に基づく音声信号の試聴指示があると、全種類の音声信号に対応する各設定値を選択する。
【0008】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のオーディオ装置において、前記音声処理手段は、選択された設定値に対応する音声信号を出力装置から同時に出力させる。
【0009】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載のオーディオ装置において、前記音声処理手段は、試聴以外の使用時においても同時に出力される音声信号同士を同時に出力させる。
【0010】
また、請求項5の発明は、請求項1又は2に記載のオーディオ装置において、前記音声処理手段は、選択された設定値に対応する音声信号を出力装置から連続的に出力させる。
【0011】
また、請求項6の発明は、請求項5に記載のオーディオ装置において、前記音声処理手段は、試聴以外の使用時において同時に出力されることのない音声信号同士を連続的に出力させる。
【0012】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載のオーディオ装置において、前記設定値を変更するための調整用画面を表示装置に表示させる表示制御手段をさらに備え、前記表示制御手段は、前記複数種類の音声信号に対応する調整用画面を同じ画面に表示させる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1ないし7の発明によれば、複数種類の音声信号を試聴することができるため、複数の音声の出力状態を確認しながら設定を調整することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、オーディオ装置の概要を示す図である。
図2図2は、表示画面の例を示す図である。
図3図3は、オーディオ装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
<1.実施の形態>
<1−1.オーディオ装置の構成>
図1は、本実施の形態のオーディオ装置1の構成を示す図である。このオーディオ装置1は、例えば、自動車などの車両に搭載される車載装置(カーオーディオ装置)である。オーディオ装置1は車両の車室内に設けられており、車室内に別に設けられた複数のスピーカ21を介して車室内に複数種類の音や音声(以下単に「音声種別」という場合がある。)を出力する。オーディオ装置1が出力する複数種類の音声種別は、例えば、カーナビゲーションの案内音声(以下「ナビ案内音」という。)や、操作音、オーディオ音、スマートフォン連携機能音(以下「スマホ連携音」という。)、ハンズフリー音などである。
【0017】
なお、ナビ案内音とは、例えば「300m先、左方向です」などのような経路案内時にドライバに対して報知される案内音声である。また、操作音とは、ユーザがオーディオ装置1を操作した際に出力されるオーディオ操作音であり、例えば「ピー」や「ピッ」などのBEEP音である。また、オーディオ音とは、オーディオ装置1で再生可能なCDやDVD、ラジオ、テレビなどを再生する際のオーディオ再生音である。また、スマホ連携音とは、車室内に持ち込まれたスマートフォン等の携帯機器とオーディオ装置1とが通信を介して連携操作を行う際に出力される音である。ハンズフリー音とは、車室内に持ち込まれたスマートフォン等の電話機への着信音や、ユーザがハンズフリーで通話をする際に出力される相手方又は自分の会話音声である。
【0018】
また、本実施の形態のオーディオ装置1は、これら複数種類の音声種別について出力する音量や音質を個別に調整することができるようになっている。つまり、オーディオ装置1は、音声種別単位で音量や音質の調整が行われる。音量の調整とは、いわゆるボリューム調整である。また、音質の調整とは、例えば、音場のコントロールや、イコライザによる周波数特性の調整、スピーカからの出力設定、音種設定等である。なお、以下においては、この音量や音質の調整を単に「音調整」と記載する場合がある。
【0019】
オーディオ装置1は、例えば、ナビ案内音用に音調整されたナビ案内音を出力し、オーディオ音用に音調整されたCDやラジオ等の音を出力する。さらに、オーディオ装置1は、音調整をする際に、調整した設定値を反映させたサンプル音(いわゆるテスト音)を出力する機能も有している。すなわち、ユーザは、サンプル音を聴きながら音調整の操作を行うことが可能になっている。
【0020】
次に、オーディオ装置1の具体的な構成について説明する。オーディオ装置1は、制御部11と、音声処理部12と、音声信号取得部13と、記憶部14とを備えている。
【0021】
音声処理部12は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)と呼ばれる、音声信号を対象とした信号処理を高速に行うことを目的とした専用のプロセッサ(ハードウェア回路)である。音声処理部12は、音声信号に対して各種の信号処理を実行することで、オーディオ装置1で再生される音の音量や音質を変更することを可能にしている。そして、音声処理部12は、処理した音声信号をスピーカ21に出力する。これにより、音量や音質が調整された音がスピーカ21から出力される。
【0022】
音声信号取得部13は、例えば、CDやDVDなどのディスクを読み取ることでディスクの記録内容を示す音声信号を取得し、その音声信号を音声処理部12に出力する。また、音声信号取得部13は、テレビやラジオなどの放送波を受信することでテレビやラジオの放送内容を示す音声信号を取得し、その音声信号を音声処理部12に出力する。また、音声信号取得部13は、マイク等(不図示)を介してユーザの通話音声を示す音声信号を取得し、その音声信号を音声処理部12に出力する。
【0023】
記憶部14は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリであり、各種の情報を記憶する。記憶部14は、音声データ14a、パラメータ14b及びプログラム14cを記憶している。
【0024】
音声データ14aは、MP3などの所定の音声圧縮形式のデジタルデータである。この音声データ14aをデコードすることで音声信号が得られる。音声データ14aには、例えば、音調整の際に出力するサンプル音の音声データや、ナビ案内音の音声データ、操作音の音声データ、スマホ連携音の音声データなどが含まれる。
【0025】
したがって、音声処理部12は、音声信号取得部13が取得した音声信号と、記憶部14に記憶された音声データ14aに基づく音声信号とのいずれをも対象にして信号処理を実行することが可能である。つまり、オーディオ装置1は、ディスクや放送波に基づく音やユーザの通話音声に基づく音、音声データ14aに基づく音のいずれも再生できる。
【0026】
パラメータ14bは、音声処理部12が信号処理に用いる音調整用のパラメータである。このパラメータ14bは、音声種別と調整されたパラメータ値とが対応付けられた設定値である。音声処理部12は、このパラメータ14bに基づいて、音声信号に対して各種の信号処理を実行する。したがって、オーディオ装置1で再生される音の音量及び音質は、パラメータ14bによって規定される。
【0027】
また、制御部11は、オーディオ装置1の全体を統括的に制御するマイクロコンピュータである。制御部11は、CPU、RAM及びROMなどを備えている。制御部11の各種の機能は、記憶部14に記憶されたプログラム14cに従ってCPUが演算処理を行うことで実現される。図中に示す操作判定部11a、表示制御部11b、パラメータ変更部11c及びパラメータ選択部11dは、プログラム14cに従ってCPUが演算処理を行うことで実現される制御部11の機能の一部である。
【0028】
操作判定部11aは、ユーザがタッチパネル23を操作した場合に、タッチパネル23から入力される信号に基づいてユーザの操作内容を判定する。
【0029】
表示制御部11bは、ディスプレイ22の表示内容を制御する。表示制御部11bは、パラメータの大きさを変更する場合に、変更用の画面(調整用画面)をディスプレイ22の表示画面に表示させる。
【0030】
パラメータ変更部11cは、タッチパネル23へのユーザの操作に応答して、音調整用のパラメータの大きさ(設定値)を変更する。すなわち、パラメータ変更部11cは、各音声種別の音量や音質の設定値を調整して変更する。パラメータの大きさを変更する場合は、変更用の画面をディスプレイ22の表示画面に表示させた状態で、ユーザがタッチパネル23に対し、パラメータの大きさの変更を指示する各種の操作を行う。パラメータ変更部11cは、このようなユーザの操作内容に基づいて、音声種別毎に音調整用のパラメータの大きさを変更する。
【0031】
パラメータ選択部11dは、出力する音声種別に対応する変更後のパラメータ値(設定値)を選択して音声処理部12に出力する。具体的には、パラメータ選択部11dは、オーディオ装置1から出力される音声種別が自動又はユーザによる手動で選択されると、選択された音声種別に対応付けられたパラメータ値を選択する。これは、記憶部14に記憶されたパラメータ14bから抽出して読み出すことにより行うことができる。
【0032】
例えば、オーディオ装置1がナビ案内音を出力する際には、パラメータ選択部11dは、記憶部14のパラメータ14bからナビ案内音用に調整した設定値を選択して音声処理部12に出力し、オーディオ装置1がCDを再生する際には、パラメータ選択部11dは、記憶部14のパラメータ14bからオーディオ音用に調整した設定値を選択して音声処理部12に出力する等である。
【0033】
また、調整用画面が表示されている間にユーザが試聴の指示を操作すると、オーディオ装置1は、設定値を反映した、全種類の音声種別に対応するサンプル音を同時に出力する。すなわち、パラメータ選択部11dが、ナビ案内音用に調整した設定値と、オーディオ音用に調整した設定値と、操作音用に調整した設定値と、スマホ連携音用に調整した設定値とハンズフリー音用に調整した設定値とを選択して音声処理部12に出力する。
【0034】
そして、音声処理部12は、各音声種別のサンプル音の音声信号に対して対応する設定値に基づいた処理を実行し、設定値を反映させた各サンプル音をスピーカ21を介して出力する。つまり、各サンプル音が重畳して出力される。
【0035】
なお、ディスプレイ22は、例えば、液晶パネルなどを備えた薄型の表示装置である。ディスプレイ22は、制御部11からの指示に従って、各種の情報を表示する。オーディオ装置1は、このディスプレイ22の表示画面がユーザから視認可能なように、車室内のインストルメントパネルなどに配置される。
【0036】
また、タッチパネル23は、ユーザが指で直接的に触れて操作する入力装置である。タッチパネル23は、ディスプレイ22の表示画面に重ねて設けられる。ユーザが、タッチパネル23を操作した場合は、操作したポイントを示す信号が制御部11に入力される。
【0037】
<1−2.音調整及びサンプル音出力>
次に、ユーザがオーディオ装置1を操作して、出力する音の音量や音質を調整する操作と、オーディオ装置1が音調整されたサンプル音を出力する処理について説明する。
【0038】
本実施の形態では、音調整として音量設定を例に挙げて説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、音質設定の場合や、音量設定及び音質設定の場合でも同様である。
【0039】
ユーザがタッチパネル23を操作して音調整の指示を入力すると、ディスプレイ22には音調整用の画面(調整用画面)が表示される。図2は、音量設定を行う際の調整用画面30の例を示す図である。なお、音質設定の場合には、各音質の設定を変更可能な調整用画面が表示され、音量設定及び音質設定の場合には、音量設定及び音質設定の双方を変更可能な調整用画面が表示される。
【0040】
図2に示すように、調整用画面30には、ナビ案内音や操作音等の各音声が調整対象の音声種別31として一覧表示されている。また、調整用画面30には、各音声種別31の表示の横に、音声種別31毎の現在の設定値32と、設定値を変更するためのボタン33とが表示されている。
【0041】
ユーザが変更を希望する音声種別31に対応する設定値調整用のボタン33を操作すると、操作内容に応じて設定値が増減する。すなわち、パラメータ変更部11cがユーザの操作内容に応じてパラメータ値を変更する。そして、変更されたパラメータ値は、音声種別に対応付けられて記憶部14に記憶される。
【0042】
例えば、ユーザがオーディオ音の音量を変更しようとした際に、ユーザが図2に示すオーディオ音と表示された音声種別31の横に表示された左方向のボタン33aを操作するとパラメータ値が変更されて音量の設定値が減少し、右方向のボタン33bを操作するとパラメータ値が変更されて音量の設定値が増加する。
【0043】
同様に、他の音声種別31の音量を変更しようとする場合には、希望する音声種別31が表示されている箇所の横に表示された左右方向のボタン33を操作することで音量を増減させることができる。このように、各音声種別31を一覧表示しているので、音声種別毎に異なる調整用画面を表示することなく、同じ画面で各音声種別の設定値を変更することが可能になる。
【0044】
また、調整用画面には試聴ボタン34が表示されている。ユーザがこの試聴ボタン34を操作すると、各音声種別で調整した設定値が反映されたサンプル音が出力される。図2の例で説明すると、ユーザが試聴ボタン34を操作すると、オーディオ装置1は、音声種別毎に調整された設定値を選択する。すなわち、パラメータ選択部11dが、各音声種別に対応付けられた設定値を記憶部14から選択する。そして、オーディオ装置1は、音声毎種別のサンプル音に対して対応する設定値に基づいた音量となるように処理し、各サンプル音を同時に出力する。
【0045】
具体的には、オーディオ装置1は、記憶部14に記憶されたパラメータ14bからナビ案内音や操作音(BEEP音)等の各音声種別の設定値を読み出し、記憶部14に記憶された音声データ14aからナビ案内音や操作音(BEEP音)等の各音声種別のサンプル音データを読みだす。そして、オーディオ装置1は、各サンプル音データに対して対応する各設定値に基づいた処理を実行した後に、全サンプル音を同時に出力する。これにより、各サンプル音は、それぞれが個別に設定された音量で出力される。
【0046】
なお、出力する音声種別としてオーディオ音が用いられる場合、記憶部14に記憶された音声データ14aをサンプル音データとして用いてもよく、CDやラジオ等の再生中ソースをサンプル音として用いてもよい。再生中ソースをサンプル音として用いる場合には、音声データに対して設定値に基づいた処理を実行する代わりに、再生中ソースに対して設定値に基づいた処理が実行される。
【0047】
<1−3.オーディオ装置の処理>
次に、オーディオ装置1の処理についてフローチャートを用いて説明する。図3は、オーディオ装置1の処理を示すフローチャートである。図3のフローチャートは、オーディオ装置1の電源が投入されて起動することにより開始する。また、図3に示す処理は、所定の間隔で定期的に実行される。
【0048】
オーディオ装置1は、起動すると、ユーザからの調整指示の有無を判定する(ステップS11)。具体的には、オーディオ装置1は、ユーザの操作により調整用画面を表示させる指示があったか否かを判定する。例えば、メニュー項目から音量調整等のボタンが選択された場合に、調整指示があったと判定する。
【0049】
調整指示がない場合には(ステップS11でNo)、オーディオ装置1は、音調整の処理を終了する。一方、調整指示があった場合には(ステップS11でYes)、オーディオ装置1は、調整用画面を表示する(ステップS12)。例えば、ユーザが音量調整のボタンを選択した場合には、オーディオ装置1は複数の音声種別の音量設定が可能な調整用画面を表示する。また、ユーザが音量調整及び音質調整のボタンを選択した場合には、オーディオ装置1は複数の音声種別についての両設定が可能な調整用画面を表示する。
【0050】
次に、ユーザが調整用画面を操作して設定値を変更する(ステップS13)。これは、上述したように、例えば、ユーザが変更しようとする音声種別に対応した設定値調整用のボタンを操作することによって設定値を所望の値となるように調整すると、オーディオ装置1がユーザのその操作に応じて、当該音声項目の設定値を変更する。つまり、パラメータ変更部11cが、ユーザの操作量に応じてパラメータ値を変更する。
【0051】
次に、オーディオ装置1は、試聴の指示の有無を判定する(ステップS14)。具体的には、調整用画面に試聴ボタンが表示されているため、オーディオ装置1は、調整用画面が表示されている状態のときに試聴ボタンが操作されたか否かを判定する。
【0052】
試聴ボタンが操作されていない場合には(ステップS14でNo)、調整操作が終了したか否かを判定する処理に進む(ステップS16)。一方、試聴ボタンが操作された場合には(ステップS14でYes)、オーディオ装置1は、サンプル音を出力する(ステップS15)。具体的には、オーディオ装置1は、全種類の音声種別に関して設定値を反映させたサンプル音を同時に出力する。
【0053】
すなわち、パラメータ選択部11dが、各音声種別に対応付けられた設定値を記憶部14から選択して音声処理部12に出力し、音声処理部12が各音声種別の音声信号に設定値を反映させる処理を実行した後に、各音声種別のサンプル音をスピーカ21から同時に出力する。図2の例で説明すると、ナビ案内音、操作音(BEEP音)、オーディオ音、スマホ連携音、及びハンズフリー音の各々のサンプル音を、設定された各音量値で重畳して出力する。
【0054】
次に、オーディオ装置1は、調整操作が終了したか否かを判定する(ステップS16)。例えば、ユーザがメニュー画面を表示する操作をする等、調整用画面以外の画面を表示する操作をした場合に、オーディオ装置1は調整操作が終了したと判定する。
【0055】
以上のように、オーディオ装置1は、複数種類の音声種別に関する設定値調整用のボタンを一画面で表示していることから、音声種別毎に調整用画面の表示を変えなくても調整が可能になる。このため、例えば各音声種別のサンプル音を聴きながら、同一画面で複数種類の音声種別の設定値を個別に調整することが可能になる。
【0056】
また、オーディオ装置1は、全種類の音声種別のサンプル音を同時に出力するため、実際に全種類の音声種別が出力される状況と同じ状況での音を試聴することができる。すなわち、各々のサンプル音を個別に出力しながら各音声種別の設定値を調整した場合には、実際に全種類の音声種別が出力された状況では想定していた音と異なることがあるものの、サンプル音を試聴する時点で(設定値を調整する時点で)全種類の音声種別のサンプル音を重畳して出力するため、適切な調整が可能となり、想定と異なってしまうような状況を回避できる。
【0057】
<2.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記各実施の形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
【0058】
上記実施の形態では、全種類の音声種別に関するサンプル音を同時に出力する内容について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。複数種類の音声種別のうち2以上の音声種別に関するサンプル音を同時に出力するものであってもよい。例えば、実際の使用時に同時に出力する可能性のある音声種別のサンプル音を同時に出力する等である。
【0059】
具体的な例を挙げて説明する。ラジオの音声を出力している際に、ナビ案内音を重畳して出力する場合があるとする。この場合で試聴指示があったときには、オーディオ装置1は、オーディオ音のサンプル音及びナビ案内音のサンプル音のみを選択し、これら各サンプル音を重畳して出力する。
【0060】
このようなサンプル音を重畳する音声の組み合わせは適宜設定可能である。実際の使用時に同時に出力する可能性がある組み合わせをオーディオ装置1が自動的に設定してもよいし、ユーザが任意の組み合わせを適宜設定してもよい。
【0061】
逆に、実際の使用時において同時に出力することがない音声種別の組み合わせがある場合には、試聴時にそれらのサンプル音を同時に出力しないこととしてもよい。この場合も、実際の使用状態に合わせたサンプル音の出力が可能となるため、適切な調整が可能になる。
【0062】
さらに、実際の使用時に同時に出力することがない音声種別については、試聴時に各サンプル音を時間差で出力するようにしてもよい。例えば、ハンズフリーでの通話中にはCDやラジオ等の音を出力しないようにしている場合には、試聴時にオーディオ音のサンプル音とハンズフリー音のサンプル音とをタイミングをずらして(例えば連続的に)出力する等である。
【0063】
具体的には、ハンズフリー音以外の各音声種別のサンプル音を重畳して出力した後に、オーディオ音以外の各音声種別のサンプル音を重畳して出力する構成である。この場合も、実際の使用状態に合わせたサンプル音の出力ができると共に、全音声種別のサンプル音を試聴することもできるため、適切な調整が可能になる。
【0064】
また、複数の音声種別のサンプル音を順番に出力するようにしてもよい。例えば、ナビ案内音、操作音(BEEP音)、オーディオ音、スマホ連携音、及びハンズフリー音の各サンプル音を連続的に出力する等である。これにより、各音声種別のサンプル音を比較しながら聴くことが可能になる。
【0065】
また、各音声種別のサンプル音を出力する際に、出力する音声種別をユーザに報知してもよい。例えば、音声種別を音声で出力した後にサンプル音を出力するようにしたり、出力するサンプル音の音声種別を表示する等である。具体的には、「ナビ案内音」と音声出力した後にナビ案内音のサンプル音を出力したり、ナビ案内音のサンプル音を出力する際に「ナビ案内音」とディスプレイ22に表示する等である。これにより、ユーザはどの音声種別のサンプル音を出力するのかを容易に把握することが可能になる。
【0066】
また、各音声種別について、個別に出力される場合の設定値と、他の音声種別と同時に出力される場合の設定値とを各々調整しておいてもよい。この場合、場面毎に設定値を変えて出力することができる。例えば、ある音声種別を単独で出力する場合には個別に出力する場合用に調整した設定値を用いてその音声種別を出力する。また、他の音声種別と同時に出力する場合には、その組み合わせ用に調整した設定値を用いて各音声種別を同時に出力する。このように場面に応じて設定値を切り替えることで、常に場面に応じた最適な設定値での音声種別の出力が可能になる。
【0067】
また、上記各実施の形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に各種の機能が実現されると説明したが、これら機能のうちの一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよい。また逆に、ハードウェア回路によって実現されるとした機能のうちの一部は、ソフトウェア的に実現されてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 オーディオ装置
11 制御部
12 音声処理部
13 音声信号取得部
14 記憶部
21 スピーカ
22 ディスプレイ
23 タッチパネル
図1
図2
図3