(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-163344(P2016-163344A)
(43)【公開日】2016年9月5日
(54)【発明の名称】カメラ分離型書画カメラ
(51)【国際特許分類】
H04N 5/225 20060101AFI20160808BHJP
G03B 17/52 20060101ALI20160808BHJP
G03B 17/56 20060101ALI20160808BHJP
【FI】
H04N5/225 F
H04N5/225 B
G03B17/52 Z
G03B17/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-60127(P2015-60127)
(22)【出願日】2015年3月5日
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
(71)【出願人】
【識別番号】509209649
【氏名又は名称】前川 治美
(72)【発明者】
【氏名】前川 治美
【テーマコード(参考)】
2H104
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H104BC00
2H105AA01
2H105CC23
5C122DA03
5C122DA04
5C122DA28
5C122EA42
5C122FK23
5C122GC07
5C122GC15
5C122GD03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】デジカメを特定することなく市販されている多種多様のデジカメに対応でき、パソコンとプロジェクターさえあればどこでも書画カメラ同様の効果が出せるカメラ分離型書画カメラを提供する。
【解決手段】カメラ部分離型の書画カメラであって、カメラ部には汎用的なデジカメが利用でき、デジカメで撮った画像データーをワイヤレスで転送しタイムラグなく電子黒板等にパッと拡大表示できる様にし、またより多くの端末に対応出来る様、普及している二つの近接ワイヤレス通信手段の備え、既設のICT環境へ容易に繋ぐことができパソコンとプロジェクターがあれば書画カメラ同様に利活用できるコモンアダプターとから構成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
国際標準規格のワイヤレス送受信機能を複数搭載しデジタルカメラ等からワイヤレス転送された画像データー等をUSB信号に変換する機能をそれぞれが有しそれぞれのUSB信号をUSB HubによりUSB信号を一本化してパソコン等にUSB接続できるアダプター。
【請求項2】
請求項1記載のアダプターとワイヤレス接続手段を具備したデジタルカメラとで構成されるカメラ分離型書画カメラ。
【請求項3】
拡大画像表示を2枚表示4枚表示1枚表示と切り替えられる機能を具備した請求項2記載のカメラ分離型書画カメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコン周辺機器に係り学校ICT機材等として配備される実物投影機(以下書画カメラと呼ぶ)に関する。
【背景技術】
【0002】
文部化科学省が推進するニューディール計画、学校における具体的なICT環境整備のための機材としてパソコン、周辺機器として電子黒板、書画カメラ等の配備が進められている。
【0003】
ここに学校ICT環境の整備で最も効果的とされる「拡大表示」のために電子黒板、プロジェクター、大型テレビに繋ぎ込まれた書画カメラは今日ほとんどの教室で使われており、講師が見せている情報を全ての児童が共有し、より身近に実感できるし勉強している物事を児童にそのままズバリ見せることが出来る非常に貴重なツールであると理解され、書画カメラを使って実に多くの事が教室でできることを多くの先生が認識している。
【0004】
書画カメラは、平面状に置かれた物品をビデオカメラで撮影し、これを映像信号として出力するための装置で、そのためにビデオカメラを固定するアームを備えている。また、被写体に満遍なく光を当てて影を消し撮影しやすくするための照明を備えている。教育やプレゼンテーションなど資料を電子黒板やプロジェクターからスクリーンに、あるいは大画面のテレビモニター等に大写しにするために利用される。書画カメラは、立体的な物体やOHPシートを拡大して映し出すことができる。 ほとんどの被写体は書画カメラの下に置き、カメラで画像を撮り込み、電子黒板やプロジェクター或いは大型テレビ装置を用いてライブ画像を拡大表示する。
【先行技術文献】
【0005】
【非特許文献1】ウイキペディア「書画カメラ」
【0006】
【非特許文献2】ウイキペディア「TransferJet」
【0007】
【非特許文献3】ウイキペディア「IrSimple」
【0008】
【非特許文献4】平成24年度「教育の情報化」推進フォーラム(CEC主催)デジュメP.96「授業の視覚化推進」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上に述べた書画カメラではノート等も書画カメラ下に置き拡大する等利用されてはいるが、ただ書写の授業等ではなかなか児童生徒が席を移動することができにくい状況だったり、又どこの教室でも見られる光景だが壁に貼られた児童生徒の作品を拡大表示して皆で鑑賞するのに活用するのは難しい。
【0010】
本発明はデジタルカメラ(以下デジカメと呼ぶ)を活用し撮った写真をタイムラグなく拡大表示し、すぐに児童生徒に見せることができる環境を実現させる事を目的とする。
【0011】
デジカメを利用する場合児童生徒が席を移動しにくい状況でも、教師が机間巡視しながらノートや作品をデジカメで撮影し指導したい部分を拡大表示して児童全員で共有し授業が進められるし、壁に貼られた児童生徒の作品もデジカメなら撮影は簡単で拡大表示してみんなで鑑賞したり、授業中の教材提供がよりしやすい環境創りを考えた。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は書画カメラの概念からカメラ部を分離し観察範囲を多岐にわたり活用できる如く構成したカメラ部分離型の書画カメラ構成についてで、具体的にはカメラ部には汎用的なデジカメが利用でき、そのデジカメで撮った画像データーをワイヤレスで転送しタイムラグなく電子黒板等にパッと拡大表示できる様に普及している二つの近接ワイヤレス通信手段を備え既設のICT環境へ容易に繋ぐことができるコモンアダプター(以下本アダプターと呼ぶ)の提供にある。
【0013】
ワイヤレス通信手段としてはWiFi等がよく知られ、また多くの機種に搭載されているが、本アダプターへの通信手段としてはWiFiのごとく特別な通信環境の設営を必要とせずにどこでも容易に機器間通信ができ、特に▲1▼児童生徒も容易に扱える様、通信のために特別な設定がいらないこと、また▲2▼通信手段は普及している汎用的な国際標準規格であること、さらに▲3▼セキュリティーが強いことを条件に、本アダプターにデジカメを「カザス」だけで通信出来る近接無線技術TransferJet(以下TransferJetと呼ぶ)と赤外線通信IrSimple(以下IrSimpleと呼ぶ)とした。
【0014】
IrSimpleは携帯電話の多くに、またー部のデジタルカメラに塔載され転送速度は4Mbpsと高速でプリント出力等に利用されており一方TransferJetはIrSimpleの約100倍高速な385Mbpsで動画転送等大容量の情報転送に適していることからデジカメ、スマートフォン等への搭載が始まっている。
【0015】
この二つの通信手段を備えることでカメラ部にはより幅広く汎用機が利用できる他、静止画から動画まで活用域を広げることができる。
【発明の効果】
【0016】
上述した様に本発明のアダプターは国際標準規格である二つの通信手段を備えることでデジカメを特定することなく市販されている多種多様のデジカメに対応できるのが特徴でパソコンとプロジェクターさえあればどこでも書画カメラ同様の効果が出せる。
【0017】
またカメラを自由に動かすことができ、さまざまな教材提示の方法が実現可能になり、さらに動画を撮って直ぐに再生することができることから体育等のフォーム確認、理科実験の様子等を拡大画面で皆で確認することができ有効である。
【0018】
さらに本アダプター重量はUSBケーブルを除いて18gと軽く、USBで接続が容易なことから教室をもち回って活用することができるし、児童生徒が一度は手にしたことのあるデジカメを活用することで児童生徒が主体的なICT利活用の活性化に期待でき自から課題を見つけ、観察し、撮影し、拡大して発表する。
【0019】
見せられる」から「見せる」へ子どもたちが普段使いのできるICT環境で観察力、思考力、表現力を育むふさわしい学びの環境の場が演出できるツールとして役立てられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図4】 本発明アダプターとデジカメの通信を説明する図
【
図5】 本発明による拡大表示画面の制御アプリ説明図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下本発明の実施の形態を
図1〜
図6に基ずいて説明する。
【0022】
図1においては1が本発明によるアダプター概念図でIrSimple2及びTransferJet3の信号をいずれも受信することができる。
【0023】
図2は本発明アダプターのブロック構成図でIrSimple5による画像データーをワイヤレス送受信できる機能を具備しカメラ等から転送された画像データーをUSB信号に変換する機能と、またTransferJet6による画像データーをワイヤレス送受信できる機能を具備しカメラ等から転送された画像データーをUSB信号に変換する機能を有し、それぞれのUSB信号をUSB Hub4によりUSB信号は一本化されUSBコネクタ7によりパソコン等にUSB接続される。
【0024】
図3は本発明の実施形態を示す図で本発明のアダプター9は電子黒板12に接続されているパソコン11にUSB接続されるが、拡大装置としてはパソコンにプロジェクターを接続しホワイトボード等に投影することもできる。
【0025】
CD13は本アダプターの受信データーを画像データーに変換するためのプロトコルと拡大表示画面の制御アプリを含む画像取り込みソフトから構成されパソコンにインストールされて動作状態となる。
【0026】
以上でデーター信号受信状態となりTransferJetを搭載したデジカメ8を、あるいはIrSimpleを搭載した携帯電話のカメラ8aを本アダプターに近接させることで、いずれもデーター転送を完了することができる。
【0027】
通信距離は其々TransferJetが3Cm、IrSimpleは20Cmである。
【0028】
図4は本発明のアダプターとデジカメの通信を説明する図で本発明のアダプターはTransferJet及びIrSimpleを搭載しているデジカメ以外にもTansferJetの通信機能を持つSDカード15を用いることにより、既にあるデジカメの多くがワイヤレス通信機能を持てるし、またIrSimpleアダプター19によりスマートフォンに赤外線通信機能を持たせられる等、通信アダプターの活用により身近にある多くのデジカメが利用できる利便性がある。
【0029】
図5は本発明による拡大表示画面の制御アプリ説明図で、取り込まれた画像表示を2枚表示20、4枚表示21、1枚表示22を選択でき、2枚表示20ではトップビューとサイドビューの比較表示等を可能にし授業等の組み立てに役立ることができ本アダプターの活用域が広げられる。
【0030】
図7は本発明のアダプターにより行える動画表示の概念図で、高速なTansferJetを利用する場合は静止画同様に動画を撮ってすぐに再生することができる。
【0031】
図8は汎用的な書画カメラの構成図でアーム部23とカメラ部24で構成され、多くは本アダプター同様にUSBケーブルにて電子黒板26等に接続されているパソコン25にUSB接続されて利用されている。
【0032】
以下、上記構成の動作を説明する。TransferJet3あるいはIrSimple2を搭載した、あるいはそれぞれの通信変換アダプター15,19を装備したデジカメが利用でき写真を撮った後デジカメを本アダプター1に近接させ本アダプターにカザスだけで画像データーは転送され瞬時に電子黒板等12に拡大表示される。
【0033】
表示画面は2枚表示22、4枚表示20、1枚表示21を選択することができ、2枚表示の場合最初に転送された画像は一方の画面に表示され2回目の転送画面がもう一方の画面に表示されることから物体のトップビューとサイドビュー等を比較表示することができ3回目以降の転送画像からは順次コマ送りされて表示される。
【0034】
また、TransferJet3の場合は動画を同様に転送し再生させることができる。
【0035】
本発明によるアダプター1の特徴は特定された機器間通信では無く多種多様の市販機に対応できることで、特にTransferJet機能を搭載したSDカード15はほとんどのデジカメに装填できることから既に学校等に設備されているデジカメを活用できることにある。
【0036】
これまで書画カメラは日常的に活用されており、一方デジカメの画像活用は一般的にはメモリカードを取り出してメディアリーダーにセットし画像を取り出すか、あるいはデジカメをケーブルでパソコン等に直接接続されて利用されている。
【0037】
本発明によるアダプター1の活用によりカメラ部には汎用的なデジカメが利用でき、撮った画像データーはワイヤレスで転送されタイムラグなく電子黒板等に拡大表示できるとからカメラ分離型の書画カメラとして利活用できる。
【0038】
またカメラは自由に移動させることができることから、様々な教材提示の方法が実現可能になり、さらに動画を撮って直ぐの再生は体育等のフォーム確認、理科実験の様子等を拡大画面で皆で確認することができ有効である。
【0039】
そして二つの通信手段を備えることでデジカメを特定することなく市販されている多種多様のデジカメ及びデジカメを搭載している携帯電話やスートフォン等も活用することができ学校ICT利活用活性化ツールとして役立てられる。
【0040】
携帯電話やスマートフォンはデジカメとワイヤレス通信手段を搭載している場合が多く、機種変更された古い機種をデジカメとしてリサイクル活用することもできる。
【符号の説明】
【0034】
1 本発明のアダプター概念図
4 USB Hub
5 赤外線通信IrSimple
6 近接無線技術TransferJet
7 USBコネクタ
8 デジタルカメラ
9 本発明のアダプター(TJ&Irコモンアダプター)
10 USBケーブル
11 パソコン
12 電子黒板
13 CD(画像取り込みソフト)
15 TransferJetSDメモリカード
16 TransferJet搭載タブレットPC
18 IrSimple搭載携帯電話
19 IrSimple搭載デジカメ
20 赤外線通信アダプター
21 2枚表示例
22 4枚表示例
23 1枚表示例