特開2016-163598(P2016-163598A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-163598(P2016-163598A)
(43)【公開日】2016年9月8日
(54)【発明の名称】血中カルシウム濃度測定方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/145 20060101AFI20160815BHJP
   A61B 5/0452 20060101ALI20160815BHJP
   A01K 67/00 20060101ALI20160815BHJP
【FI】
   A61B5/14 310
   A61B5/04 312A
   A01K67/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-18051(P2015-18051)
(22)【出願日】2015年2月1日
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】310010575
【氏名又は名称】地方独立行政法人北海道立総合研究機構
(71)【出願人】
【識別番号】504300088
【氏名又は名称】国立大学法人帯広畜産大学
(71)【出願人】
【識別番号】503096591
【氏名又は名称】学校法人酪農学園
(74)【代理人】
【識別番号】100106954
【弁理士】
【氏名又は名称】岩城 全紀
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 めぐみ
(72)【発明者】
【氏名】川本 哲
(72)【発明者】
【氏名】中島 康博
(72)【発明者】
【氏名】前田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼野 晃希
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 由絵
(72)【発明者】
【氏名】松井 義貴
【テーマコード(参考)】
4C027
4C038
4C127
【Fターム(参考)】
4C027AA02
4C027GG01
4C027GG05
4C027GG15
4C038KK00
4C038KL05
4C038KL09
4C038KX01
4C127AA02
4C127GG01
4C127GG05
4C127GG15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】測定された心電位から血中カルシウム濃度を推定する非侵襲の血中カルシウム濃度測定システムであって、心電位のデータを基本としつつも、より精度よく血中Ca濃度を推定することが可能な測定方法の提供。
【解決手段】心電位に加え、産次、年齢、搾乳日時、日乳量、体温、分娩後日数のいずれかまたはすべてを説明変数に加えた回帰推定式により血中カルシウム濃度の推定を行う。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心電位のQ波開始時刻から直後のT波終了時刻までの間における任意の2つの特徴点の時間間隔を心拍間隔によって補正した心電位補正間隔を説明変数とした回帰推定式から血中カルシウム濃度を推定する血中カルシウム濃度測定方法において、
説明変数として前記心電位補正間隔に加え、産次、年齢、搾乳日時、日乳量、体温、分娩後日数のうち、任意のいずれか一つ、又は複数、又はすべてを説明変数に用いた回帰推定式から血中カルシウム濃度を推定することを特徴とする血中カルシウム濃度測定方法。
【請求項2】
前記心電位補正間隔として、心電位のS波のピーク時刻から、直後のT波のピーク時刻までの経過時間であるSTピーク間隔を心拍間隔で補正したSTピーク補正間隔を用いることを特徴とする請求項1に記載の血中カルシウム濃度測定方法。
【請求項3】
前記回帰推定式における説明変数は、1次式、2次式以上の多項式、対数、指数、逆数、累乗、混合モデルのいずれかによる回帰分析により血中カルシウム濃度を推定することを特徴とする請求項1または2に記載の血中カルシウム濃度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間を含む動物の心電位に基づいて体内の血液成分、特にカルシウム濃度を推定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乳牛は、日本国内で約140万頭以上が飼養され、年間約80万頭が分娩している。しかし、この分娩牛のおよそ9%が産後に起立不能となり、その1割が数日内に死廃となり、酪農業における大きな損失要因となっている。起立不能の原因は、産後に血中のカルシウム(Ca)濃度が低下する低Ca血症と、その他の要因に分けられ、それぞれ対処法が異なる。そのため、発症時に低Ca血症か否かの素早い診断が求められるが、これまでは侵襲を伴い時間のかかる血液検査以外に有効な科学的診断方法は無く、実際は目視によって診断される場合がほとんどだった。
【0003】
人間や、ほ乳類における心電波形のQT間隔(Q波の開始時刻からT波の終了時刻)と、血中Ca濃度との間に因果関係があることは古くから知られている。Q波からT波までの波形は心臓の心室筋の活動を表すもので、QRS波が心室筋の脱分極(筋の活動)、T波が心室筋の再分極(次の活動のための準備)に当たる。このとき、血中のCaイオンが筋細胞内へ流出入し、筋活動を制御する。Caが不足するとこの流出入速度が遅くなるため、この時間間隔も延長(QT延長)する。だが、このQT延長現象を用いた血中Ca濃度の定量化技術は統計処理方法の問題でこれまで確立されていなかった。
【0004】
そこで、本願の発明者らは、心電位と血中Ca濃度を同時に測定して回帰推定式を作成し、心電計により血中Ca濃度を推定する技術を開発した(先行文献1)。一般に心電位のQ波の開始時刻やT波の終了時刻は精確な特定が難しいが、代わりに検出が容易なS波とT波のピーク時刻を用いる事で精度を向上させており、本手法の確立により血液採取によらない非侵襲で極めて迅速な低Ca血症の診断が可能となった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】成績概要書(北海道立総合研究機構畜産試験場、2010)
【非特許文献2】「ホルスタイン種乳牛における泌乳ステージおよび年齢とイオン化カルシウムの関係」(獣医輸液研究会会誌,Vol.5(1)、2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、乳牛は産次の増加、加齢に伴って低Ca血症が発生しやすくなることが知られており(先行文献2)、心電位のデータを用いただけでは低Ca血症の診断を確実に行うことが難しい場合があった。つまり、心電位の波形は血中Ca濃度だけでなく、産次や年齢、すなわち出産回数など、その他の要因にも影響を受けることから、心電位のデータのみに基づくだけでは十分な精度が得られない場合があった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、推定精度の問題を解決するため、心電位のデータに基づくことを基本としつつも、より精度よく血中Ca濃度を推定することが可能な測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における第1の発明は、心電位のQ波開始時刻から直後のT波終了時刻までの間における任意の2つの特徴点の時間間隔を心拍間隔によって補正した心電位補正間隔を説明変数とした回帰推定式から血中カルシウム濃度を推定する血中カルシウム濃度測定方法において、説明変数として前記心電位補正間隔に加え、産次、年齢、搾乳日時、日乳量、体温、分娩後日数のうち、任意のいずれか一つ、又は複数、又はすべてを説明変数に用いた回帰推定式から血中カルシウム濃度を推定することを特徴としている。
【0009】
本発明における第2の発明は、上記第1の発明において、前記心電位補正間隔として、心電位のS波のピーク時刻から、直後のT波のピーク時刻までの経過時間であるSTピーク間隔を心拍間隔で補正したSTピーク補正間隔を用いることを特徴としている。
【0010】
本発明における第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、前記回帰推定式における説明変数は、1次式、2次式以上の多項式、対数、指数、逆数、累乗、混合モデルのいずれかによる回帰分析により血中カルシウム濃度を推定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の発明によれば、心電位の測定値と、産次、年齢、搾乳日時、日乳量、体温、分娩後日数のいずれか、又はすべてを説明変数に用いた回帰推定式によって推定を行う結果、従来よりも高精度に血中Ca濃度の推定が可能となる。
【0012】
本発明の第2の発明によれば、第1の発明に加え、心電位の測定値に心電位S波ピーク時刻から直後のT波ピーク時刻までのSTピーク間隔を心拍間隔で補正したSTピーク補正間隔を用いることで、体動などの要因に対する影響を少なくした精度の高い血中Ca濃度の推定が可能となる。
【0013】
本発明の第3の発明によれば、回帰推定を1次式による線形の単回帰式、重回帰式を用いて行う他、2次式以上の多項式、対数、指数、逆数、累乗のうち、いずれかによる非線形回帰や、混合モデルによる回帰を用いて推定するようにしている。これによれば、説明変数は産次に加え、様々な要素を加味して血中Ca濃度の推定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】乳牛の心電位の模式図である。
図2】乳牛の心電位測定時における電極設置位置の模式図である。
図3】血中Ca濃度の異なる牛の心電図を比較した図である。図の(a)が正常な牛の心電図、(b)が低Ca血症の牛のものである。
図4A】血中Ca濃度の測定値を縦軸に、心電位STピーク補正間隔の逆数を横軸に取った時の分布図である。(a)はその分布を1次式、(b)は2次式、(c)は累乗式で回帰推定を行った際のグラフである。
図4B】血中Ca濃度の測定値を縦軸に、心電位STピーク補正間隔の逆数を横軸に取った時の分布図のグラフで、産次Nが2の場合である。
図4C】同じく、血中Ca濃度の測定値を縦軸に、心電位STピーク補正間隔の逆数を横軸に取った時の分布図のグラフで、産次Nが7の場合である。
図5】乳牛の血液成分、心電位、産次などの項目間における相関行列である。
図6】本発明に係る血中Ca濃度の測定方法を行う際に利用される測定システムの回路構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る血中カルシウム濃度測定方法について説明する。
【0016】
(血中カルシウム濃度測定方法の実施例)
まず、本手法の基本原理について説明する。図1は一般的な乳牛の心電位を示した図、図2は心電位を測定する場合に乳牛に取り付ける電極の位置を模式的に示した図である。
図1に示される心電位は、図2のように、心電計204のマイナス電極201を左肩に、プラス電極202を左脇に配置して得られ、各電極から検出される心電位は心電計204に出力され、その心電位はアンプなどを介して後述するタブレット端末、ノートパソコンなどの解析機器に入力される。また、203は心電計204の基準電極である。
図1に示すように、心電位は心臓の一拍の間にP、Q、R、S、Tと5つのピーク電位の波形が順に出力される。先に説明したQT間隔は、このQ波の開始時刻からT波の終了時刻までの経過時間である。
【0017】
血中Ca濃度が低下すると、心筋へのCaイオンの流出入速度が遅くなり、QT間隔が全体的に伸張され、QT延長と呼ばれる現象が発生する。図3(a)は正常な牛の心電図、図3(b)は低Ca血症の牛のものである。これらの図から明らかなように、低Ca血症の牛の心電図は正常な牛にくらべ、Q波やS波からT波までの時間が延長しているのがわかる。
【0018】
QT間隔は、心拍間隔、すなわち拍動から次の拍動までの時間によっても変動する。心拍間隔が短くなるとQT間隔も短くなることが一般に知られている。心拍間隔の影響を補正する方法でよく知られたものでは、数1のようにQT間隔を心拍間隔SS(単位は秒)のd=1/2乗(平方根)で除したBazett補正や、d=1/3乗(立方根)で除したFridericia補正等がある。これらの補正QT間隔をここではQTc間隔と呼ぶ。心拍間隔は、図1ではS波ピークの時間間隔であるSS間隔としているが、人間ではR波を用いたRR間隔を用いることが一般的であり、またP波やT波など任意の心電位の特徴点の時刻を用いた間隔でもよい。

【数1】
【0019】
本実施形態では、QT間隔の代わりに、S波のピークからT波のピークまでの時間であるSTピーク間隔、並びにその補正値であるSTcピーク補正間隔(数2)を用いる。QT間隔とSTピーク間隔は極めて相関が高くほぼ比例の関係にあり、置換が可能である。また、STピーク補正間隔を用いる利点としては、体動などノイズ混入量の大きい乳牛の心電位測定ではQ波の開始やT波の終了の検知よりも、波高の高いS波やT波のピークの検知が容易で、正確なことが挙げられる。

【数2】
【0020】
発明者らは、約300頭の乳牛のSTcと血中Ca濃度について統計解析を実施した結果、STcの逆数と、産次とを説明変数とした場合に、血中Ca濃度(目的変数)が高い相関で線型の関係となり、その関係は次式の数3で表されることを見出した。
即ち、産次が増加すると低カルシウム血症になるリスクが高まるが、本願の発明者は、血中Ca濃度の推定につき、産次を含めた重回帰分析を利用して行った結果、実測値と、推定結果との間には高い相関が見られた。
【数3】
【0021】
数3のNは産次、cは定数である。また、係数aは4.16〜4.52、bは−0.23〜−0.17、cは−5.06〜−3.88の範囲にある。
【0022】
本願の発明者らは過去に数3のうち産次を含まない回帰推定式を開発しているが、本発明により説明変数として産次を加えた回帰推定式を用いた結果、血中Ca濃度推定の標準誤差は、従来の回帰推定式では0.84だったのが、0.78へと7%以上減少させることが可能となった。
【0023】
さらに、回帰推定の方法として本手法では、図4A(a)に示されるように、数3の式によって表される線形の単回帰式、重回帰式を用いているが、下記の数4,数5に示される2次式、3次式などの多項式や対数、指数、べき乗などの非線形回帰、また混合モデルを用いた回帰でもよい。

【数4】
【数5】
【0024】
例えば、数4の2次式による回帰分析の結果は、図4A(b)に、数5の累乗式による分析の結果は図4A(c)にそれぞれ記載されている。これらはいずれもSTcピーク間隔の逆数を用いて分析した線形を描いているが、実際に測定された血中カルシウム濃度に対し、いずれも高い相関を有しており、さらに産次や年齢等を説明変数に加えれば精度は向上する。
【0025】
図4Bは産次Nが2の場合、図4Cは産次Nが7の場合を示したグラフである。これらの図にも示されるように、血中カルシウム濃度の実測値と、回帰推定式から得られる線形との間には高い相関が見られ、本実施例では精度良く血中カルシウム濃度を推定することが可能である。これらの図に示されている破線は、産次が2および7の乳牛をそれぞれ抽出し、STcの逆数を説明変数X、血中Ca濃度を目的変数Yとして単回帰により推定したものである。もちろん、ここでも前記に示した各非線形回帰や、混合モデルを用いた回帰を用いてもよい。
【0026】
混合モデルは重回帰分析の特殊な方法の一つで、簡単に言うと産次ごとの傾きや切片を統合的に分析できる方法であり、当該方法を加えることで、回帰分析の手法のバリエーションを拡大することができる。
【0027】
なお、本実施例では産次Nを説明変数としているが、産次と年齢は相関が高いことから変換係数を用いて、産次を年齢に置き換えてもよい。また、図5で示した各測定値との相関関係より、他の説明変数として搾乳時間や日乳量、体温、分娩後日数を加えて回帰を行ってもよい。ここで、図5に示されるデータは分娩後0〜2日経った304頭の乳牛のものである。
【0028】
(本発明の血中Ca測定方法を実施する際に利用される測定システムの実施例)
次いで本発明の血中Ca測定方法を実施する際に利用される測定システムについて説明する。図6は、測定システムの回路構成を示すブロックである。
同図に示されるように、本実施例の測定システムは、心電位測定部101、解析表示部111等を備えて構成され、心電位測定部101は、乳牛に取り付けられる電極並びに当該電極が接続された心電計、アンプ等を含む機器であり、解析表示部111は検出された心電位に基づいて、血中カルシウム濃度を回帰式によって算出するタブレット端末やパーソナルコンピュータ等の解析機器である。
【0029】
この測定システムの例では、心電位測定部101内、若しくは外部の心電位計と接続された心電位センサ部102によって乳牛の心電位を検出し、アナログフィルタ103によりノイズや不要な周波数帯を除去した後、デジタル変換処理部104によってコンピュータ処理可能な数値にデジタル変換する。なお、検出された心電位は有線若しくはブルートゥース規格などの無線装置を介して解析表示部111へデジタル信号として出力することが可能である。
【0030】
さらに、心電位波形検出部112、STc間隔算出部113等を具備する解析表示部111では検出された心電位に基づいて、血中Ca濃度が算出される。以下に血中Ca濃度を算出する際の具体的な処理手順を示す。
まず、心電位波形検出部112では心電位のS波、T波のピーク時刻が常時入力されてモニタされている。
【0031】
そして、心電位波形検出部112からSTc間隔算出部113にS波、T波のピーク時刻を入力することによりST間隔、SS間隔をそれぞれ算出するとともに、心拍間隔SSの影響を補正する前述の数2の式に基づき、STc間隔を求める。
さらに、このSTc間隔と、産次や年齢等の情報とを情報部114から、血中Ca濃度計算部115に入力し、数3の式に基づいて血中Ca濃度を回帰推定し、結果出力部116へ出力する。算出された血中Ca濃度の推定値は、結果出力部116により、解析表示部111におけるLCD等のディスプレイ装置に表示されるとともに、図示しない記憶装置や記憶媒体に蓄積され、算出された推定値を目的に応じて利用することができるようになっている。
【0032】
なお、本例の測定システムでは心電位測定部101と解析表示部111とを分離して構成しているが、これらは心電位計とタブレット端末やノート型のパーソナルコンピュータ等、一体化されたものでもよい。或いは、解析表示部111のうち、血中Ca濃度を算出する心電位波形検出部112、STc間隔算出部113等の解析装置はインターネットのサーバ上にあってもよい。
【0033】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が可能であることはもちろんである。
【0034】
前述したように本発明に係る血中カルシウム濃度測定方法によれば、乳牛の低カルシウム血症を精度よく、容易且つ迅速に推定することが可能となり、特に産後の乳牛に対し適切な治療を行うことができる。また、正常な乳牛に対する無駄な投薬を減少させることも同時に可能となり、酪農業における効率化の一助となる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、乳牛は勿論、人間を含む動物の血中成分を分析する医療機器関連産業などにて、利用可能である。
【符号の説明】
【0036】
101 心電位測定部
102 心電位センサ部
103 アナログフィルタ
104 デジタル変換処理部
111 解析表示部
112 心電位波形検出部
113 STc間隔算出部
114 産次/年齢情報部
115 血中Ca濃度計算部
116 結果出力部
201 心電計のマイナス電極
202 心電計のプラス電極
203 心電計の基準電極
204 心電計

図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6