(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-163675(P2016-163675A)
(43)【公開日】2016年9月8日
(54)【発明の名称】指輪
(51)【国際特許分類】
A44C 9/00 20060101AFI20160815BHJP
【FI】
A44C9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-45367(P2015-45367)
(22)【出願日】2015年3月7日
(71)【出願人】
【識別番号】591043101
【氏名又は名称】株式会社内藤貴金属製作所
(71)【出願人】
【識別番号】512272568
【氏名又は名称】成島 忠
(71)【出願人】
【識別番号】513111949
【氏名又は名称】濱 孝行
(72)【発明者】
【氏名】内藤 大二
(72)【発明者】
【氏名】成島 忠
(72)【発明者】
【氏名】濱 孝行
【テーマコード(参考)】
3B114
【Fターム(参考)】
3B114AA01
3B114JA01
3B114JA03
3B114JB05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】指輪装着者が指輪を指に付けた時に、抜群の装着感、すなわちフィット感を得られ、また脱落等の心配要素の少ない指輪を提供する。
【解決手段】指輪装着者の指輪を付ける指の形状を、高精細な3Dスキャナーでデジタルデータ化し測定した後、3DCAD上で指輪装着者の指にぴったりとフィットする形状に指輪の形状を整え、宝石や表面装飾を行い、3Dプリンター、ロストワックス鋳造を用いて製作し、宝石や表面装飾部分が回転しにくい、抜群の装着感と安心感を得られる指輪とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宝石や装飾が表面に付いた指輪において、装着する指と直接接する指輪内側の径形状を、3Dスキャナーでデジタルデータとし測定した指輪装着者の指の形状数値とほぼ同じ数値で作られた指輪。
【請求項2】
装着者の指型を型取り用の樹脂などで作成し、それをもとに成形された指型を3Dスキャナーでデジタルデータとし測定した後、作られた請求項1に記載の指輪。
【請求項3】
装着者の指を複数方向からデジタルカメラで撮影し、その撮影した複数画像をもとに、3次元データを作成するサービスを行う個人、もしくは企業が生成したデータを用いて製作する請求項1に記載の指輪。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、個々の人の指にフィットする形状で作られている指輪に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な指輪の多くは、指に触れる指輪内側の径形状がほぼ真円で製作がされている。
【0003】
これは、真円形状が製造しやすいという理由と、サイズ調整をするにあたって調整を行いやすいという理由とともに、真円が見た目上受け入れやすいという複数の理由からなっている。
【0004】
しかし、指輪が真円であっても、人の指は真円ではないため、先に述べた宝石が付いていたり、装飾が施されていたりする指輪を装着すると、指上で回転してしまい、宝石や装飾が傾き、使用者がその都度位置を直すというわずらわしが伴う問題がある。
【0005】
特開平8−168405に見るような楕円形をした形状の指輪はあるが、人の指の形状は、楕円という一つの形状にすべてを組み入れることはできないので、抜本的な問題解決に至っていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−168405
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は前述した問題点を解決するものであり、どのような指の形状でもフィット感を得られ、宝石部分や装飾部分が回転しにくい指輪を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、この発明では、指輪を装着したい人の指、あるいは型取りした指型を3Dスキャナーを用いてデジタルデータとして計測し、指の詳細な数値を得ることによって、指にフィットする指輪を製作することができるようにした。
【0009】
また、この発明では、指の計測デジタルデータを長期保存することができるため、一度計測すれば身体的な大きな変化が現れない限り、いつでも指にフィットする指輪を新しく作ることができる。
【0010】
この発明の指輪は精密な数値を元に作成されるので、指にフィットするとともに、宝石部分や装飾部分の位置が回転しにくくなる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、指輪が3Dスキャナーでデジタルデータとして計測した指の形状を元に、精密な数値で作成されているので、指輪と接する指の表面がほぼすべて同じ装着感を感じられるとともに、宝石や装飾部分の位置が指に対して回転しにくい指輪を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【0013】
【
図2】この発明の3Dスキャナーで測定した指のデータと指輪の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず最初に指輪を装着したい人の指を3Dスキャナーでデジタルデータ化し、指の幅や厚み、節の高さなどの詳細な数値を得る。
【0015】
前述の詳細な数値は、指輪装着者の指を樹脂などで型取りした指型を3Dスキャナーでデジタルデータ化し得られた数値でも良い。
【0016】
[実施例1]
3Dスキャナーによって得られた指輪装着者の指の形状データを、3次元CADに取り込み、指輪を装着する指表皮とほぼ同じ形状、寸法で指輪基準線を作成する。
【0017】
次に作成した指輪基準線を用いて、指の表皮に当たる部分の形状と、指輪の側面になる形状、そして指輪の表側、すなわち宝石や装飾が付く部分の形状を3DCADソフトウェア上で作成し、指輪の全体構成を行う。
【0018】
指輪の全体構成が3DCAD上で出来上がった後、宝石を固定する枠や指輪の表面に施す装飾を、やはり3DCAD上で製作していく。
【0019】
指輪となる形状構成が3DCAD上で出来た後、3Dプリンターで立体として出力可能な細工を付加し、さらに3Dプリンターに対応した拡張子にして立体出力を行う。
【0020】
3Dプリンターによって立体として出力した形状は、そのまま直接ロストワックス鋳造で金属にするか、もしくは、複数本制作できるようゴム型と呼ばれる複製型を製作した後、ロストワックス製法によって金属での鋳造を行う。
【0021】
ロストワックス鋳造によって金属の立体として出来上がった指輪の表面は、ロストワックス製法で用いた石膏の粒子の粗さや、湯道と呼ばれる金属が流れ込む部分が付属しているので、これらを研磨処理していく。
【0022】
ロストワックス鋳造によって金属の立体として出来上がった指輪は、指輪装着者の指の形状通りの形状をしているので、一般の指輪のように真円ではなく、複数個所が曲がった形状をしている。
【0023】
そのため、本発明の指輪を研磨する場合には、ロストワックス鋳造から出来上がった形状を維持できるよう細心の注意を用いて、行う必要がある。
【0024】
また、必要な宝石を固定し、研磨が終了した指輪は、金属の素材によってメッキなどを施し完成品とする。
【0025】
完成品として出来上がった本発明の指輪は、一見すると、使用後に圧力で歪んだような形状をしているが、個性的な形状で、非常に優雅な曲線を有した指輪であることが確認できる。
【0026】
完成品として出来上がった指輪を、指輪装着者の指に装着してもらったところ、実に抜群の装着感で、腕全体を激しく動かしても指の上で宝石や装飾部分が移動しない安心感のあるものであった。
【0027】
また、ここまで述べた指輪をするために、実際に装着する人の指を3Dスキャナーで計測する手段として、あらかじめ型取り用の樹脂などで指輪装着者の指型を取り、その型から出来上がった指型を3Dスキャナーで計測、デジタルデータ化しても同じ結果が得られるものである。
【0028】
さらに、最近ではデジタルカメラで撮影した複数の画像から、3次元のデータを作成、あるいは生成するような、Autodesk 123D Catchのようなサービスもあるので、このようなサービスを使用した指のデジタルデータを使用しても、上述と同じような結果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
この発明の指輪は、指輪装着者の指の形状を高精度な3Dスキャナーを用いて計測し、その指のデジタルデータを用いて、3DCADで指輪を製作するので、指にフィットし、宝石や装飾部分が回転しにくい、また指輪が指から脱落しにくい安心できる指輪を提供することが可能となった。
【符号の説明】
【0030】
1 指輪完成品
2 3Dスキャンした指輪装着者の指のデータ