【解決手段】物品を収納するための物品用収納袋10であって、袋状の収納部が設けられた前面側部分12と背面側部分13とを有し、前面側部分12は、背面側部分13よりも短く形成され、前面側部分12の端部は開口部14が形成されており、背面側部分13の上端部13a近傍に、切断部16が形成されると共に、物品用収納袋10を支持するための支持具が挿通する複数の挿通孔15、15が形成され、前面側部分12の上端部12a近傍に山折線18が形成され、前面側部分12の上端部12aが開口部14の外側に傾斜している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明による実施形態の物品用収納袋について図面を参照して説明する。
図1(a)は本発明に係る実施形態の物品用収納袋の正面図であり、
図1(b)は
図1(a)の断面図である。
【0016】
図1(a)、(b)に示す通り、本実施形態の物品用収納袋10は、袋状の収納部が設けられた前面側部分12と背面側部分13とを有し、前面側部分12は、背面側部分13よりも短く形成され、前面側部分12の端部は開口部14が形成されており、背面側部分13の上端部13a近傍に、切断部16,16が形成されると共に、物品用収納袋10を支持するための支持具が挿通する複数の挿通孔15、15が挿通孔15、15間の仮想中心線Xを挟んで対象の位置に形成されている。また、仮想中心線Xは、一の支持具が一の挿通孔15に当接する接点と他の支持具が他の挿通孔15に当接する接点との中心を通っている。
【0017】
袋状の収納部は、例えば、ポリエチレン製の単一のシート部材が折り返されて側縁部11、11が互いに融着されることにより、形成することができる。また、袋状の収納部は、異なる材質からなる2枚のシート材の周縁部を貼り合わせて形成してもよい。
【0018】
挿通孔15は、物品用収納袋10を支持するための支持具である物品用収納袋装着装置に設けられたハンガー21が挿通され、挿通孔15、15間の仮想中心線Xを挟んで対象の位置に複数形成される。ここで、仮想中心線Xは、一のハンガー21が一の挿通孔15に当接する接点と他のハンガー21が他の挿通孔15に当接する接点との中心を通っている。
【0019】
本実施形態では、
図1に示す物品用収納袋10には、2つの挿通孔15、15が形成されている。そして、挿通孔15は物品用収納袋装着装置のハンガー21が挿通され、吊り下げられた状態で、物品用収納袋装着装置内に収納される。尚、
図1に示すハンガー21の断面形状は、円形状であるが、これに限定される必要はなく、三角形状、幅方向に一定の厚みを有する平板形状であってもよい。
【0020】
また、挿通孔15として、
図2に示すように、左右の挿通孔15a、15bの直径が互いに異なる大きさに形成してもよい。また、挿通孔15a、15bの上側周縁部151a、151bが同一高さ位置に形成されることにより、挿通孔15a、15bと切断部16との間の切断部位17の寸法が一致し、切断のタイミングにバラツキが生じることがない。
【0021】
さらに、左右の挿通孔15a、15bの直径に合わせて、物品用収納袋装着装置のハンガー21a、21bを設けることにより、左右の挿通孔15a、15bの直径とハンガー21a、21bとの大きさが一致しなければ、ハンガー21a、21bが挿通孔15a、15bに挿通しないため、物品用収納袋10の裏表を間違えることがない。
【0022】
切断部16は、挿通孔15の上側周縁部151、151から背面側部分13の上端部13aにかけて形成されるとよい。切断部16は、ミシン目であっても、単なるスリットでもよい。例えば、スリットであれば、ミシン目を形成した場合と比べて、その成形精度に影響されることがなく、歩留りを高くすることができる。
【0023】
また、切断部16は、挿通孔15の上側周縁部151から垂直上方へ所定間隔m離間して形成されるとよい。所定間隔mは、より具体的には、挿通孔15、15の上側周縁部151、151から切断部16、16の端部までの間隔を示す。本実施形態の所定間隔mは、1mm以上10mm以下とすると好適である。ここで、所定間隔mが1mm以上であれば、物品用収納袋10が吊り下げられた状態では、勝手に落下することがなく、一方所定間隔mが10mm以下であれば、物品用収納袋10を切断するのに苦労することがない。尚、所定間隔mは、物品用収納袋10の材質、又は厚さによって適宜変更可能である。
【0024】
上述した物品用収納袋10の切断部16は、物品を収納する際、以下のように切断される。先ず、
図3(a)に示すように、図示しない野菜や、パンといった物品が矢印B方向から開口部14内へ挿入されると、物品用収納袋10は下方へ引っ張られ始める。その際、挿通孔15、15にハンガー21が挿通されているため、挿通孔15、15の上部周縁部151、151と切断部16、16の端部との間の切断部位17、17は下方へ引っ張られず、伸長し始める。
【0025】
次に、
図3(b)に示すように、物品が開口部14内にさらに挿入されるにつれて、切断部位17、17はさらに伸長する。
【0026】
そして、
図3(c)に示すように、物品が開口部14内に完全に挿入され、切断部位17、17が限界に達すると切断される。
【0027】
上述した通り、切断部位17、17が切断されることにより、物品用収納袋10が物品に装着される。換言すれば、物品が物品用収納袋10内に収納される。尚、切断部位17、17以外の部位が切断されることがなく、切断された状態の物品用収納袋10の見栄えが良く、使用者に不快感を与えにくい。
【0028】
また、本発明に係る別の実施形態の物品用収納袋10aは、切断部16aが形成された位置以外は、上述した物品用収納袋10を同様の構成であるため、同じ符号を付し、以下説明は省略する。
【0029】
物品用収納袋10aの切断部16aは、挿通孔15、15の下側周縁部152、152から所定間隔n離間した位置に形成される。ここで、切断部16aは、ミシン目が形成されるとよい。尚、所定間隔nは、特に制限はない。
【0030】
切断部16aは、物品が開口部14内へ挿入され、物品用収納袋10が下方へ引っ張られ始めることにより、切断部16aが切断し始める。そして、物品が開口部14内に完全に挿入されることによって、切断部16aが完全に切断される。このように、切断部16aが完全に切断された状態の物品用収納袋10aには、挿通孔15も残存せず、非常に見栄えがよく、使用者に不快感を与えにくい。
【0031】
本実施形態の物品用収納袋10,10aは、仮想中心線Xが、一のハンガー21が一の挿通孔15に当接する接点と他のハンガー21が他の挿通孔15に当接する接点との中心を通るように構成されることにより、ハンガー21にバランス良く支持されるため、切断部16を綺麗に切断できる。
【0032】
本実施形態の物品用収納袋10は、挿通孔15、15の上側周縁部151、151から背面側部分13の上端部13aにかけて切断部16、16が形成されていることにより、切断部位17、17以外の場所で切断されることがなく、切断された状態の物品用収納袋10の見栄えがよく、使用者に不快感を与えにくい。
【0033】
また、本実施形態の物品用収納袋10は、上述した構成により、物品用収納袋装着装置側に、物品用収納袋10の切れ端等が不要なゴミとして残らないため、物品用収納袋10を取り替える際の手間を省くことができ、効率性が向上する。
【0034】
本発明の別の実施形態の物品用収納袋10aは、挿通孔15、15の下側周縁部152、152から所定間隔n離間した位置に切断部16aが形成されていることにより、切断部16aが完全に切断された状態の物品用収納袋10aには、挿通孔15、15が残存せず、非常に見栄えがよく、使用者に不快感を与えにくい。
【0035】
また、本実施形態の物品用収納袋10,10aは、左右の挿通孔15a、15bの直径が互いに異なる大きさに形成し、且つ挿通孔15a、15bの上側周縁部151a、151bが同一高さ位置に形成されることにより、開口部14内に物品が挿入されて挿通孔15a、15bと切断部16、16との間の切断部位17、17の寸法が一致するため、切断されるタイミングが同時となり、バラツキが生じることがない。
【0036】
さらに、本実施形態の物品用収納袋10,10aは、左右の挿通孔15a、15bの直径が互いに異なることにより、左右の挿通孔15a、15bの直径に合わせて、設けられた物品用収納袋装着装置のハンガー21a、21bに対し、物品用収納袋10の裏表を間違えることなく、物品用収納袋10を取り替えることができる。
【0037】
〔実施形態の変形例等〕
本明細書開示の発明は、上記本実施形態の構成の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものを含み、下記の変形例等も包含する。
【0038】
図6に示す通り、本実施形態の第1変形例として、物品用収納袋10bの前面側部分12の上端部12a近傍に、山折線18を形成し、前面側部分12の上端部12aが開口部14の外側に傾斜している構成としてもよい。山折線18が形成されると共に前面側部分12の上端部12aが開口部14の外側に傾斜する構成であることにより物品用収納袋10bの開口部14は山折線18が形成されていない物品用収納袋10の開口部14より大きく開放されているため(
図6(b)及び
図1(b)を参照)、開口部14を開放する物品用収納袋装着装置の開放部材(図示しない)が開口部14内に挿入されやすくなり、開口部14が開口され易く、物品用収納袋10bを物品に装着し易くなる。
【0039】
本実施形態の第1変形例に係る物品用収納袋10bは、物品用収納袋10、10aとは、以下の製造工程において、異なる。具体的には、物品用収納袋10bの袋状の収納部を形成する工程において、前面側部分12の上端部12a近傍を除いて、ポリエチレン製の単一のシート部材を折り返し、側縁部11、11を互いに融着し袋状の収納部を形成する。次に、前面側部分12の上端部12aが外側となるように山折りし、山折線18を形成する。そして、前面側部分12の上端部12aは、他の部位と接着等されていないため、元の形状に復元しようとするが、山折線18が形成されているため、完全に復元することはなく、
図6(b)のように前面側部分12の上端部12aが僅かに外側に傾斜した形状となる。
【0040】
また、本実施形態の第2変形例として、
図7に示す通り物品用収納袋10cが複数枚重ねられた物品用収納袋ユニット30を構成してもよい。そして、物品用収納袋ユニット30を構成する物品用収納袋10cの背面側部分13の上端部13a近傍に形成された挿通孔15、15の左右外側の少なくとも一部が相互に溶着接合されているとよい。溶接接合された箇所を溶着部19という。溶着方法としては、例えば超音波溶着、高周波溶着、又は熱溶着が挙げられる。
【0041】
物品用収納袋10cが複数枚重ねられた物品用収納袋ユニット30を、物品用収納袋装着装置にセットする際、溶着部19が存在することにより、物品用収納袋10cの貫通孔15、15がずれることがなく、挿通孔15、15に物品用収納袋装着装置のハンガー21を挿通しやすくなる。また、物品用収納袋10cが相互に溶着接合された溶着部19によって、物品用収納袋ユニット30が物品用収納袋装着装置のハンガー21に支持された状態で、挿通孔15、15の左右外側が垂れて開口部14が塞がれることを防止でき、図示しない物品用収納袋装着装置の開放部材が開口部14内に挿入され易くなる。さらに、複数枚の物品用収納袋10cからなる物品用収納袋ユニット30を一つにまとめる器具や部材を別途用意する必要がない。
【0042】
また、本実施形態の第3変形例に係る物品用収納袋10dは、
図8に示す通り物品用収納袋10dの前面側部分12の上端部12a近傍に、熱変形させた熱変形部41が形成されている。熱変形部41が形成されていることにより、前面側部分12と背面側部分13との間に空隙が設けられるため、図示しない物品用収納袋装着装置の開放部材が開口部14内に挿入され易くなる。
【0043】
熱変形部41は、熱変形加工により、前面側部分12の上端部12a近傍を加熱し、熱変形させて、形成される。熱変形部41は、その範囲や形状について特に限定されないが、
図8に示す通り前面側部分12の上端部12a近傍に2箇所形成しても、また1箇所形成してもよく、また2箇所以上であってもよい。
【0044】
さらに、本実施形態の第4変形例に係る物品用収納袋10eは、
図9に示す通り物品用収納袋10eの前面側部分12の上端部12aに切欠部42が形成されている。切欠部42が形成されていることによって、図示しない物品用収納袋装着装置の開放部材が開口部14に引っかかり易くなり、当該開放部材が開口部14内に挿入され易くなる。即ち、開口部14の縁部に生じる張力が、切欠部42によって開放されるため、切欠部42に形成された角部が捲れやすくなるからである。
【0045】
切欠部42は、切欠加工により、前面側部分12の上端部12aに、例えば半円状の切欠として形成される。また、切欠部42は、
図9に示す通り前面側部分12の上端部12aに1箇所形成しても、また2箇所形成してもよい。切欠部42が1箇所形成された構成と同様に、開口部14の縁部に生じる張力が、切欠部42・42によって開放されるため、2箇所形成された切欠部42・42の間の上端部が捲れやすくなるからである。このように、切欠部42・42の間の上端部が捲れやすくなることによって、物品用収納袋装着装置の開放部材が開口部14に引っかかり易くなり、当該開放部材が開口部14内に挿入され易くなる。
【0046】
また、本実施形態の第5変形例に係る物品用収納袋10fは、
図10に示す通り物品用収納袋10fの前面側部分12の上端部12aにエンボス部43が形成されている。エンボス部43が形成されていることにより、前面側部分12と背面側部分13との間における摩擦力が軽減されることによって、当該開放部材が開口部14内に挿入され易くなる。
【0047】
エンボス部43は、例えば熱エンボス加工により、前面側部分12の上端部12a近傍を部分的に加熱及び加圧することにより、形成される。エンボス部43は、その範囲や形状について特に限定されないが、
図10に示す通り前面側部分12の上端部12a近傍に形成するとよい。さらに、開口部14近傍の背面側部分13にもエンボス部43を形成してもよい。
【0048】
物品用収納袋10は、上述したようにポリエチレンのような樹脂ではなく、紙や布によって、形成されてもよい。
【0049】
さらに、挿通孔15は、1つ、又は2つ以外に、3つ以上設けても良く、適宜変更可能である。