特開2016-163721(P2016-163721A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-163721(P2016-163721A)
(43)【公開日】2016年9月8日
(54)【発明の名称】注射器装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20160815BHJP
   A61M 5/24 20060101ALI20160815BHJP
   A61M 5/20 20060101ALI20160815BHJP
【FI】
   A61M5/315 550N
   A61M5/24
   A61M5/20 510
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-80317(P2016-80317)
(22)【出願日】2016年4月13日
(62)【分割の表示】特願2012-533695(P2012-533695)の分割
【原出願日】2010年10月15日
(31)【優先権主張番号】0918145.4
(32)【優先日】2009年10月16日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】12/604,782
(32)【優先日】2009年10月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/314,876
(32)【優先日】2010年3月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】1004440.2
(32)【優先日】2010年3月17日
(33)【優先権主張国】GB
(71)【出願人】
【識別番号】501410160
【氏名又は名称】オウエン マンフォード リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100130133
【弁理士】
【氏名又は名称】曽根 太樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【弁理士】
【氏名又は名称】利根 勇基
(72)【発明者】
【氏名】トビー コーウェ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD13
4C066EE06
4C066EE14
4C066HH02
4C066HH22
4C066QQ32
4C066QQ79
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可変規模の複数回の回分量(用量:dose)を注射すべく使用される注射器装置を提供する。
【解決手段】注射器装置は、カートリッジもしくは注入器のためのハウジング101、102と、上記カートリッジもしくは注入器と協働して順次的な回分量を圧出するプランジャ40と、回分量体積を選択する回分量設定機構16、20と、所定の規模の段増分にて上記プランジャを前進させるべく解除可能な駆動機構22、24と、を備える。上記駆動機構は上記プランジャに対して運動を付与する駆動スプリング22を含み、上記回分量設定機構は、所定回分量に対する上記プランジャの移動の段増分の規模を定義し得る回分量設定要素16を備える。上記駆動機構は更に、上記回分量設定作業の間に作用し得るクラッチ機構56であって、上記プランジャの前方移動を阻止し、上記駆動スプリングの力から上記回分量設定要素を隔離するクラッチ機構を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身から複数回の回分量を供与するカートリッジ(12)もしくは注入器と共に使用される注射器装置であって、
前記カートリッジもしくは注入器のためのハウジング(101、102)と、
使用に際して前記カートリッジもしくは注入器と協働して順次的な回分量を圧出するプランジャ(40)と、
回分量体積を選択する回分量設定機構(16、20)と、
前記順次的な回分量を圧出する夫々の所定の規模の段増分にて前記プランジャを前進させるべく解除可能な駆動機構(22、24)と、
を備えるという注射器装置において、
前記駆動機構は前記プランジャ(40)に対して直接的もしくは間接的に運動を付与する駆動スプリング(22)を含み、
前記回分量設定機構は、回分量設定作業において運動することで所定回分量に対する前記プランジャの移動の段増分の規模を定義し得る回分量設定要素(16)を備え、
前記駆動機構は更に、前記回分量設定作業の間において、前記駆動スプリングの力から前記回分量設定要素を隔離するように作用し得るクラッチ機構(56)を含む、ことを特徴とする注射器装置。
【請求項2】
前記回分量設定要素(16)は角度的に運動することで、前記プランジャ移動の段増分を定義し得る、請求項1に記載の注射器装置。
【請求項3】
前記クラッチ機構は、係合解除位置と係合位置との間で移動可能なクラッチ要素(56)を含む、請求項2に記載の注射器装置。
【請求項4】
前記クラッチ要素(56)は前記回分量設定要素(16)と共に軸心方向に移動し得ることから、第1の休止位置から第2の回分量設定位置までの前記回分量設定要素の軸心方向移動により、前記クラッチ要素(56)は前記プランジャに係合してその前方移動を阻止する、請求項3に記載の注射器装置。
【請求項5】
前記回分量設定要素(16)および前記ハウジング(101、102)は、相補的な夫々の当接部(62、64)であって、前記回分量設定要素がその休止位置に在るときには相互に係合することで、前記ハウジングに対する前記回分量設定要素の相対回転を阻止し、前記回分量設定要素がその設定位置に在るときには相互から係合解除することで、それらの間の相対回転を許容するという夫々の当接部(62、64)を含む、請求項4に記載の注射器装置。
【請求項6】
前記休止位置から前記設定位置までの前記回分量設定要素(16)の運動時に、前記クラッチ要素(56)は、前記回分量設定要素および前記ハウジング上の前記当接部(62、64)の係合解除の前に係合する、請求項5に記載の注射器装置。
【請求項7】
前記駆動スプリング(22)の推力は、前記回分量設定要素(16)がその休止位置に在るときに、該回分量設定要素により反発される、請求項4から請求項6のいずれか一つの請求項に記載の注射器装置。
【請求項8】
所定回分量を設定した後で前記回分量設定要素(16)を前記第1位置に復帰させると、前記クラッチ要素(56)は係合解除されて前記駆動機構(22、24)を解除することで、前記プランジャ(40)は、設定された前記所定回分量に対応する所定段増分だけ前進される、請求項4から請求項7のいずれか一つの請求項に記載の注射器装置。
【請求項9】
前記クラッチ要素をその係合解除位置に移動させると、前記プランジャは前記スプリングの力に抗して移動することで、前記プランジャと前記カートリッジもしくは注入器との間の残留負荷を解放する、請求項3から請求項8のいずれか一つの請求項に記載の注射器装置。
【請求項10】
前記プランジャ(40)は、関連付けられた制御要素(24)と螺着係合されることから、前記プランジャの線形移動には、該プランジャおよび前記制御要素の一方の回転が伴い、且つ、前記移動の段増分の規模は前記回転を制限することにより制御される、先行請求項のいずれか一つの請求項に記載の注射器装置。
【請求項11】
前記回分量設定要素(16)と関連付けられた停止表面(54)は、前記回分量設定要素の運動時に調節されることで、前記駆動機構の解除時における前記プランジャ(40)と前記制御要素(24)との間の相対回転に対する角度的な運動段増分を規定し得る、請求項10に記載の注射器装置。
【請求項12】
前記回分量設定要素(16)に対しては中間シャトル部材(20)が螺着係合され、該部材は、前記プランジャ(40)および制御要素(24)の内の回転可能な方と共に回転すべく拘束され、前記シャトル部材(20)と前記回分量設定要素との相対的な角度的運動の程度は、前記回分量設定要素に関連付けられた前記停止表面の相対位置により設定される、請求項11に記載の注射器装置。
【請求項13】
前記駆動スプリング(22)はトーションスプリングである、先行請求項のいずれか一項に記載の注射器装置。
【請求項14】
前記駆動スプリング(22)は圧縮スプリングである、先行請求項のいずれか一つの請求項に記載の注射器装置。
【請求項15】
前記クラッチ機構は、前記プランジャの前方移動を阻止するように選択的に作用し得る、請求項1に記載の注射器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射器装置に関し、特に、排他的なものとしてでなく、例えばインスリンの、可変規模の複数回の回分量(用量:dose)を注射すべく使用される如き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者等による先のAutopen(登録商標)デバイスにおいては、ペン型注射器の後端部に取付けられた回転可能な回分量設定ノブは、中空の駆動スリーブであって、その前端部にて、螺条付き駆動カラー上の対応ラチェット表面に噛合する環状ラチェット表面を担持するという中空の駆動スリーブに対して接続される。上記螺条付き駆動カラーは、該駆動カラーの回転運動がプランジャの線形の前進運動へと変換される様に、該プランジャの軸部に対して螺着的に噛合される。回転運動のために上記駆動カラーを解除すべく、トリガが移動され得る。回分量設定作業の間において、上記駆動カラーは上記トリガにより回転に抗して保持され乍ら、主要駆動スプリングにより提供されるスプリング付勢力に抗して上記回分量設定ノブおよび上記駆動スリーブを回転させることにより、回分量がダイアル入力される。上記回分量設定運動は、上記駆動スリーブと上記駆動カラーとの間のラチェット作用の故に、単一方向のみである。上記トリガの解除時に、上記駆動カラーは、最初にダイアル入力された角度量に等しい角度量だけ回転し、且つ、上記プランジャは対応量だけ前進されることで、必要な単位数の回分量を供与する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このデバイスは、相当に良好に機能し且つ相当の好結果を享受するが、本発明者等は多くの改善の余地があることを認識した。上記のデバイスにおいて回分量を設定する際に、ユーザは上記スプリングを巻き上げることで、次の回分量に対して必要とされる推進力を提供する。このことは、馴れていないユーザは、上記駆動スプリングの付勢力に抗して上記回分量設定ノブを回転させるために十分な把持を行うことが困難であり得ることを意味する。同様に、この設計態様においては、回分量設定の動作により上記駆動スプリングが巻き上げられることから、ユーザが上記回分量設定ノブに対する自身の把持を解除したときに、該ノブはその位置に留まり且つ上記駆動スプリングの影響下でゼロ位置に直ちに戻りはしない様に、ラチェット作用が必要とされる。設定の行き過ぎの場合において回分量設定の逆行を許容するためには、双方向ラチェット機構が必要とされるか、さもなければ接続解除機構が必要とされ、そのいずれもが上記デバイスを複雑とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
故に本発明者等は、回分量設定作業の間において駆動スプリングの力から回分量設定要素を隔離するクラッチ機構が配備されるという注射器装置を設計した。
【0005】
故に、ひとつの見地において本発明は、
自身から複数回の回分量を供与するカートリッジもしくは注入器と共に使用される注射器装置であって、
上記カートリッジもしくは注入器のためのハウジングと、
使用に際して上記カートリッジもしくは注入器と協働して順次的な複数回の回分量を圧出するプランジャと、
回分量体積を選択する回分量設定機構と、
上記順次的な選択された複数回の回分量を圧出する夫々の所定の規模の段増分にて上記プランジャを前進させるべく解除可能な駆動機構と、
を備えるという注射器装置において、
上記駆動機構は上記プランジャに対して直接的もしくは間接的に放出駆動運動を付与する駆動スプリングを含み、
上記回分量設定機構は、回分量設定作業において運動することで所定回分量に対する上記プランジャの移動の段増分の規模を設定し得る回分量設定要素を備え、
上記駆動機構は更に、上記回分量設定作業の間に作用し得るクラッチ機構であって、上記駆動スプリングの力から上記回分量設定要素を隔離すると共に、選択的に上記プランジャの前方移動を直接的もしくは間接的に阻止するというクラッチ機構を含むことを特徴とする注射器装置を提供する。
【0006】
上記回分量設定作業の間において上記駆動スプリングの力から上記回分量設定要素が隔離されるという配置構成において、上記回分量設定要素は容易に回転され得ると共に、該回分量設定要素は好適には、ユーザが該回分量設定要素を必要な回分量を通り越して移動したならば逆転方向にも移動され得る。上記回分量設定要素を隔離するとは、該回分量設定要素の回分量設定運動が上記スプリングにより抵抗されないことを意味する。
【0007】
上記からは、上記回分量設定動作が上記駆動スプリングを励起しないのであれば、該駆動スプリングは一定の様式で励起される必要があることが理解される。好適には上記駆動スプリングは、上記注入器もしくはカートリッジの使用可能な内容物の実質的に全てを順次的な複数回の回分量にて供与するに十分な程度まで事前負荷される。回分量設定作業の間において上記回分量設定要素が上記駆動スプリングから隔離される場合、習用のユーザ巻回式のデバイスに対して適切であるものよりも、更に強力なスプリングが使用され得る。完全に事前負荷された駆動スプリングの代わりに、該駆動スプリングは、部分的に事前負荷され得るか、または、該スプリングを励起する適切で別体的な手段を備え乍ら、事前負荷なしとされ得る。斯かる配置構成においては、回分量が一旦ダイアル入力されたときにのみ駆動機構が荷重下になるという先行技術のデバイスと対照的に、上記駆動機構は回分量設定に先立ち通常的に既に上記駆動スプリングから負荷されることも理解される。
【0008】
好適には、上記回分量設定要素は角度的に運動することで、上記プランジャ移動の段増分を設定し得る。
【0009】
上記クラッチ機構は好適には、係合解除位置と係合位置との間で移動可能なクラッチ要素を含む。故に、上記クラッチ要素は上記回分量設定要素と共に軸心方向に移動し得ることから、第1の休止位置から第2の回分量設定位置までの上記回分量設定要素の軸心方向移動により、上記クラッチ要素は上記プランジャに係合してその前方移動を阻止し得る。上記回分量設定要素および上記ハウジングは、相補的な夫々の当接部であって、上記回分量設定要素がその休止位置に在るときには相互に係合することで、上記ハウジングに対する上記回分量設定要素の相対回転を阻止し、且つ、それがその設定位置に在るときには相互から係合解除することで、上記回分量設定要素の回分量設定回転を許容するという夫々の当接部を含むことも好適である。この様にして、上記回分量設定要素は、その休止位置からその回分量設定位置まで軸心方向に移動されてから、必要な回分量体積をダイアル入力すべく転回され、次に軸心方向においてその休止位置へと戻されて自身は回転に対して固定され得る。
【0010】
好適には、その休止位置からその設定位置までの上記回分量設定要素の運動時に、上記クラッチは、上記回分量設定要素および上記ハウジング上の上記当接部が係合解除されて上記回分量設定要素が回分量設定運動のために解除される所定距離だけ以前に係合して、上記駆動プランジャの移動を阻止する。
【0011】
好適な配置構成において、上記回分量設定要素がその休止位置に在るとき、それは上記駆動スプリングの推力を受けて反発することから、該回分量設定要素は上記駆動プランジャの移動を阻止する。この様にして、上記回分量設定要素がその休止位置に在るときに上記駆動スプリングの推力は上記回分量設定要素により且つその後に上記ハウジングにより反発されるが、上記回分量設定要素がその設定位置に在るとき、上記駆動スプリングの推力は、上記ハウジングと係合している上記クラッチ部材により反発される。
【0012】
好適には、回分量を設定し、上記回分量設定要素をその第1位置へと軸心方向に戻すと、上記クラッチ要素は係合解除されて上記駆動機構を解除することで、上記プランジャは、設定された上記所定回分量に対応する所定段増分だけ前進される。
【0013】
好適には、上記プランジャは、関連付けられた駆動器もしくは制御要素と螺着係合されることから、上記プランジャの前進には、該プランジャおよび上記制御要素の回転が伴い、上記前進の段増分の規模は上記回転を制約することにより設定される。
【0014】
好適には、上記回分量設定要素と関連付けられた停止部材は、上記回分量設定要素を移動することにより調節されることで、上記駆動機構の解除時における上記プランジャと上記駆動器もしくは制御要素との間の相対回転に対する角度的な段増分を規定し得る。
【0015】
上記停止部材は単に、上記回分量設定要素上に配備された当接表面とされることもある。これにより、上記回分量設定要素の角度的運動の最大の使用可能な程度は、ちょうど360°の手前とされ得る。このことは、一定の場合において各目印が十分に緊密に密集される必要があることを意味する。故に、その場合には、上記回分量設定要素に対しては中間ダイアルもしくはシャトル部材が螺着係合され、該部材は、上記プランジャおよび制御要素の内の回転可能な方と共に回転すべく拘束され、上記ダイアルもしくはシャトル部材と上記回分量設定要素との相対的な角度的運動の程度は、上記回分量設定要素に関連付けられた上記停止部材の相対位置により設定されることが好適である。上記螺条付きダイアルもしくはシャトル部材の配備は、今や、数回の転回による一回分量を設定し得ることを意味する。このことは、目印に対して利用可能なサイズに関する利点を有すると共に、上記プランジャと上記制御部材との間の螺条のピッチの選択肢に関して大きな融通性を許容するものでもある。特に好適な配置構成において、回分量の目印は、上記相補的な各回分量設定要素の一方上の螺旋状細長片として配備されると共に、他方の回分量設定要素上のマーカもしくは窓部を介して読み取られ得る。
【0016】
上述の種々の配置構成における上記駆動スプリングは、解除されたときに回転運動を付与するトーションスプリング(torsion spring)、または、線形移動を付与する圧縮スプリングのいずれかとされ得る。
【0017】
多くの用途において、例えば当該デバイスが使い捨て式であることが意図されるなら、各回分量の間において駆動器を再励起する必要がない様に、事前負荷されて供給される複数回の回分量用の注射器デバイスを提供することは好適である。
【0018】
故に、別の見地において本発明は、自身から複数回の回分量を供与するカートリッジもしくは注入器と共に使用される注射器装置であって、
上記カートリッジもしくは注入器のためのハウジングと、
使用に際して上記カートリッジもしくは注入器と協働して順次的な複数回の回分量を圧出するプランジャと、
回分量体積を選択する回分量設定機構と、
上記順次的な複数回の回分量を圧出する夫々の所定の規模の段増分にて上記プランジャを前進させるべく解除可能な駆動機構と、
を備えるという注射器装置において、
上記駆動機構は、上記順次的な複数回の回分量の内の少なくとも数回の回分量を供与するに十分な事前負荷を備えて回転式に蓄力されたエネルギ要素を含むことを特徴とする注射器装置を提供する。
【0019】
上記配置構成において上記注射器装置は、例えば、各回分量を圧出するために必要な機械的エネルギをユーザが入力する必要がない様に、十分に事前負荷されたスプリングを備え得る。これにより上記デバイスは、器用でないまたは把持力が不十分であるユーザに対して特に適切とされる。
【0020】
上述の如く、習用のAutopen(登録商標)および同様のデバイスは、360°に限られた回分量設定運動の角度範囲を有し、このことは、マーク付け用の目印、駆動螺条のピッチ、および、駆動スプリングの各特性に対して制約を課す。故に本発明者等は、上記回分量設定機構が、必要であれば回分量設定運動を数回の転回とし得るべく螺着係合された第1および第2の相補的な回分量設定要素を含むという配置構成を設計した。
【0021】
故に、本発明の別の見地においては、
自身から複数回の回分量を供与するカートリッジもしくは注入器と共に使用される注射器装置であって、
上記カートリッジもしくは注入器のためのハウジングと、
使用に際して上記カートリッジもしくは注入器と協働して順次的な複数回の回分量を圧出するプランジャと、
回分量体積を選択する回分量設定機構と、
上記順次的な複数回の回分量を圧出する夫々の所定の規模の段増分にて上記プランジャを前進させるべく解除可能な駆動機構であって、上記プランジャの前進は、該プランジャの前進に応じて角度的に運動する制御部材により制御されるという駆動機構と、
を備えるという注射器装置において、
上記回分量設定機構は、第1限界位置から離間する相対的な螺合運動のために螺着係合された第1および第2の相補的な回分量設定要素を含み、上記第1の回分量設定要素は設定作業において休止位置から、回分量体積を設定する可変角度的位置まで上記ハウジングに対して運動可能であり、且つ、上記第2の回分量設定要素は上記制御要素と共に回転すべく拘束され、
これにより、上記駆動機構の解除時に上記制御部材および上記第2回分量設定要素は、該第2要素が上記第1部材に関して上記第1限界位置に戻ることで該制御部材の更なる回転を阻止するまで回転することを特徴とする注射器装置を提供する。
【0022】
別の見地に依れば、本発明は、
自身から複数回の回分量を供与するカートリッジもしくは注入器と共に使用される注射器装置であって、
上記カートリッジもしくは注入器のためのハウジングと、
上記カートリッジもしくは注入器と協働して順次的な複数回の回分量を圧出するプランジャと、
駆動スプリングにより励起される駆動機構であって、回分量設定要素の調節により決定された所定段増分にて上記プランジャを前進させるべく解除可能であるという駆動機構と、
上記回分量設定要素の運動から独立して上記スプリングを再励起する再励起要素とを備える、注射器装置を提供する。
【0023】
好適には、上記駆動スプリングはトーションスプリングであり且つ上記再励起要素は、例えば手動的に回転可能な回転式要素である。
【0024】
別の見地に依れば、本発明は、
自身から複数回の回分量を供与するカートリッジもしくは注入器と共に使用される注射器装置であって、該装置は、
上記カートリッジもしくは注入器のためのハウジングと、
使用に際して上記カートリッジもしくは注入器と協働して順次的な複数回の回分量を圧出するプランジャと、
回分量体積を選択すべく運動可能な回分量設定要素と、
上記選択された複数回の回分量を圧出する夫々の所定の規模の段増分にて上記プランジャを前進させるべく解除可能な駆動機構であって、上記プランジャに対して直接的もしくは間接的に推進力を提供して該プランジャを前進させる駆動スプリングを含むという駆動機構とを備え、
該装置は、上記駆動スプリングの推進力が、それにより反発されるべき上記ハウジングへと上記回分量設定要素を介し伝達されるという第1位置と、上記駆動スプリングの推進力が、それにより反発されるべき上記ハウジングへと当該クラッチ要素を介して伝達されるという位置へとクラッチ要素が移動されるという第2位置と、の間で設定可能であることから、上記回分量設定要素の回分量設定運動は上記駆動スプリングにより抵抗されない、注射器装置を提供する。
【0025】
本発明は上記に記述されたが、本発明は、上記において、または、特許請求の範囲の各請求項の記述において示された特徴、さらに以下に記述された特徴の一切の発明的な組み合わせに及んでいる。
本発明の第15の見地において、
自身から複数回の回分量を供与するカートリッジ(12)もしくは注入器と共に使用される注射器装置であって、
前記カートリッジもしくは注入器のためのハウジング(101、102)と、
使用に際して前記カートリッジもしくは注入器と協働して順次的な回分量を圧出するプランジャ(40)と、
回分量体積を選択する回分量設定機構(16、20)と、
前記順次的な回分量を圧出する夫々の所定の規模の段増分にて前記プランジャを前進させるべく解除可能な駆動機構(22、24)と、
を備えるという注射器装置において、
前記駆動機構は、前記順次的な回分量の内の少なくとも数回の回分量を供与するに十分な事前負荷を備えて回転式に蓄力されたエネルギ要素(22)を含む、ことを特徴とする注射器装置を提供する。
本発明の第16の見地において、
前記回転式に蓄力されたエネルギ要素(22)は、順次的な回分量にわたり前記注入器もしくはカートリッジの使用可能な内容物の実質的に全てを供与すべく選択された事前負荷を有する、第15の見地に記載の注射器装置を提供する。
本発明の第17の見地において、
前記回転式に蓄力されたエネルギ要素を再励起する手段を含む、第16の見地に記載の注射器装置を提供する。
本発明の第18の見地において、
自身から複数回の回分量を供与するカートリッジ(12)もしくは注入器と共に使用される注射器装置であって、
前記カートリッジもしくは注入器のためのハウジング(101、102)と、
使用に際して前記カートリッジもしくは注入器と協働して順次的な回分量を圧出するプランジャ(40)と、
回分量体積を選択する回分量設定機構(16、20)と、
前記順次的な回分量を圧出する夫々の所定の規模の段増分にて前記プランジャを前進させるべく解除可能な駆動機構(22、24)であって、前記プランジャ(40)の前進は、該プランジャの前進に応じて角度的に運動する制御部材(24)により制御されるという駆動機構(22、24)と、
を備えるという注射器装置において、
前記回分量設定機構は、第1限界位置から離間する相対的な螺合運動のために螺着係合された第1および第2の相補的な回分量設定要素(16、20)を含み、前記第1の回分量設定要素(16)は設定作業において休止位置から、回分量体積を設定する可変角度的位置まで前記ハウジング(101、102)に対して運動可能であり、且つ、前記第2の回分量設定要素(20)は前記制御要素(24)と共に回転すべく拘束され、
これにより、前記駆動機構の解除時に前記制御部材(24)および前記第2部材(20)は、該第2部材が前記第1部材に関して前記第1限界位置に戻り且つ該制御部材(24)の更なる回転を阻止するまで回転する、ことを特徴とする注射器装置を提供する。
本発明の第19の見地において、
自身から複数回の回分量を供与するカートリッジ(12)もしくは注入器と共に使用される注射器装置であって、
前記カートリッジもしくは注入器のためのハウジング(101、102)と、
前記カートリッジもしくは注入器と協働して順次的な回分量を圧出するプランジャ(40)と、
駆動スプリング(22)により励起される駆動機構(22、24)であって、回分量設定要素(16)の調節により決定された所定段増分にて前記プランジャを前進させるべく解除可能であるという駆動機構(22、24)と、
前記回分量設定要素(16)の運動から独立して前記スプリング(24)を再励起する再励起要素(70)とを備える、注射器装置を提供する。
本発明の第20の見地において、
前記駆動スプリングはトーションスプリングであり且つ前記再励起要素は回転式要素である、第19の見地に記載の注射器装置を提供する。
本発明の第21の見地において、
前記回転式の再励起要素は一方向における回転運動のために、前記ハウジング上にラチェット機構により取付けられる、第20の見地に記載の注射器装置を提供する。
本発明の第22の見地において、
自身から複数回の回分量を供与するカートリッジ(12)もしくは注入器と共に使用される注射器装置であって、該装置は、
前記カートリッジもしくは注入器のためのハウジング(101、102)と、
使用に際して前記カートリッジもしくは注入器と協働して順次的な回分量を圧出するプランジャ(40)と、
回分量体積を選択すべく運動可能な回分量設定要素(16)と、
前記選択された回分量を圧出する夫々の所定の規模の段増分にて前記プランジャを前進させるべく解除可能な駆動機構(22、24)であって、前記プランジャに対して直接的もしくは間接的に推進力を提供して該プランジャを前進させる駆動スプリング(22)を含むという駆動機構(22、24)と、を備え、
該装置は、前記駆動スプリング(22)の推進力が、それにより反発されるべき前記ハウジング(10)へと前記回分量設定要素(16)を介し伝達されるという第1位置と、前記駆動スプリング(22)の推進力が、それにより反発されるべき前記ハウジング(10)へと当該クラッチ要素(56)を介して伝達されるという位置へとクラッチ要素(56)が移動されるという第2位置と、の間で設定可能である、注射器装置を提供する。
【0026】
本発明は種々の様式で実施され得ると共に、本発明の実施形態は次に、添付図面を参照しながら例示的にのみ記述される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係るペン型注射器の第1実施形態の側面図である。
図2図1のペン型注射器の側断面図である。
図3図1および図2のペン型注射器の分解図である。
図4】駆動機構を含むと共に一方の本体半体が透視して示された図1から図3のペン型注射器の本体の拡大図である。
図5】自身の内側部上の螺条を示す回分量設定ノブの斜視断面図である。
図6】クラッチおよび回分量設定ノブおよび回分量ダイアルを示す上記駆動機構の後側部分の斜視断面図である。
図7】巻き戻し機構を有する本発明に係るペン型注射器の第2実施形態の分解図である。
図8】巻き戻しノブの詳細図である。
図9】圧縮スプリングにより駆動されるペン型注射器の第3実施形態の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1から図6に示されたペン型注射器の実施形態は、事前設定された可変規模の一連の回分量を放出し得る使い捨て式の自動ペン型注射器として設計される。該注射器は、相互に弾性嵌合または接着剤結合され得る対称的な本体半体101および102から作成された本体を備える。本体半体101、102の前端上の弾性嵌合体である透明な前側カートリッジ・ハウジング14内には、カートリッジもしくは注入器12が受容される。上記本体の後端部上には、当該窓部を通して回分量ダイアル20が視認可能であるという窓部18を有する回分量設定ノブ16が取付けられる。以下に記述される如く、上記デバイスは、この特定実施形態において上記カートリッジ内で使用可能な回分量の全てを圧出するに必要な全ての力を供給すべく事前負荷されたトーションスプリングを含んでいる。回分量は、回分量設定ノブ16を後方に引張り、それを、必要とされる回分量単位が上記回分量ダイアル上に視認可能となるまで回転することにより設定され、且つ、次に上記回分量ダイアルを押し戻すと、上記駆動機構が解除されて、必要な回分量が放出される。
【0029】
次に、図2図3および図4を更に詳細に参照すると、本体101、102は、励起状態でトーションスプリング22が内部に配置される円筒状内部空間を画成し、上記スプリングの前端は上記本体の内側部分23上に繋止されている。上記スプリング内には、当該中空の筒状駆動シャフト24の回転を許容するが該シャフトの軸心方向移動を阻止すべく上記本体の前側部分上の環状凹所28内に回転可能に保持された径方向フランジ26を有するという中空の筒状駆動シャフト24が同心的に配設される。上記シャフトの後端部に向けて、該シャフトの直径はショルダ30にて増大し、其処には上記駆動スプリングの後端部のための繋止孔32が配備される。組立てられると共に、最初の使用に先立ち、トーションスプリング22は完全に励起されると共に、上記駆動シャフトに作用してそれを供与方向に回転させる。上記駆動シャフトの後端部における拡大部分34はショルダ30の近傍に複数の直立スプライン36を備え、その内で90°毎の4個のスプライン38は拡大部分34の全長にわたり延在している。
【0030】
前端部にて上記駆動シャフトは、プランジャ40の送りネジが自身内部へと螺着されるという内部螺条形成ボア38を有する。上記プランジャは、カートリッジ12の栓44に係合する拡大ヘッド42を有する。該拡大ヘッド42の直後において上記駆動シャフトは正反対に対置された2つのキー溝46を有し、該キー溝は、本体半体101および102の前端部上の夫々のキー48と協働し、駆動シャフト24が回転して上記プランジャを前進させるときに、該プランジャの軸心方向移動を許容するが、その回転を阻止する。
【0031】
回分量ダイアル20は、駆動シャフト24の拡大部分34上に摺動可能に取付けられるが、該回分量ダイアルは、上記拡大部分上の長寸スプライン38に係合すべく等間隔とされた4個の内側キー溝50により、回転が阻止される。上記回分量ダイアルの前端は、短寸スプライン36を回避すべく拡大された内径を有する。回分量ダイアル20の外側表面は、回分量設定ノブ16の内側面上の対応する内部螺条付き部分52に対して螺着的に噛合する疎らな螺旋状の螺条21を担持する。回分量設定ノブ16の内側部上の螺条付き部分52は、上記螺条の終結により設定される前方限界位置を有する(図5における盲端54を参照)。例えば、上記回分量設定ノブの枢着キャップ部分17の内側部分上には、後方限界位置用の停止部が選択的に配備され得る。
【0032】
回分量設定ノブ16はその前端において、当該クラッチおよび該回分量設定ノブが相互に対して回転することを許容するが、相対的な軸心方向移動に対してはそれらを固定するという弾性嵌合により、クラッチ・カラー56に対して接続される(図6参照)。該クラッチ・カラー56は、本体10内での軸心方向の摺動移動のために取付けられるが、該カラーは、上記本体における2つの突起部58であって該クラッチ・カラー56の円筒状壁部における対置された夫々のスロット60に係合するという突起部58により、上記本体に対する回転が阻止される。その後端部にてクラッチ・カラー56は、各突起部58を介することで上記本体への推力に反発することにより、上記スプリングの影響下で上記駆動シャフトの移動を固定すべく、該駆動シャフトの拡大部分34上のスプライン36へと摺動進入してスプライン係合する様に設計された内部スプライン形成機構57を有する。次に図4から図6を更に詳細に参照すると、回分量設定ノブ16の前端は、上記本体に配備された一連のポケット64と軸心方向に摺動嵌合すべく軸心方向に延在する一連のフィンガ62を有する。
【0033】
各フィンガ62および各ポケット64の軸心方向長さは、回分量設定ノブ16を軸心方向に引き出したとき、該回分量設定ノブ16のフィンガ62が上記本体上のポケット64から軸心方向に引抜かれる一定距離だけ以前に、クラッチ・カラー56上のスプライン57が駆動シャフト24上のスプライン36に係合する如く、クラッチ・カラー56上の内部スプライン57と駆動シャフト24上の外部スプライン36との間の軸心方向間隔に関して慎重に選択される。その理由は、上記に示された如く図2に示された位置において、上記駆動スプリングの推力は、(上記回分量設定ノブに対して上記回分量ダイアルはその前方限界位置に在るので)駆動シャフトのスプライン38を介して、回分量ダイアル20に対し、故に回分量設定ノブ16に対して伝達されるからである。故に、上記回分量設定ノブが回転のために十分に引き出される前に、クラッチ56は、該クラッチ56および突起部58を介しての上記ハウジングに対するトーションスプリング22の負荷に反発すべく駆動シャフト24に既に係合していることを確実とすることが重要である。
【0034】
上記回分量設定ノブが、各ポケット64からフィンガ58を離脱させるに十分に離間して一旦引き出されたなら、それは、各フィンガ62により提供される軽い戻り止め作用であって、ダイアル入力された単位数をユーザがカウントすることを可能にする聴覚的なクリック音/触覚的なクリック感を提供するという軽い戻り止め作用に抗して回分量を設定すべくそれが回転され得るという設定位置に在る。回分量設定の間において、本体10、駆動シャフト24、クラッチ56は全て、軸心的および回転的の両方にて静止的に留まることは理解される。上記回分量ダイアルは、上記駆動シャフトの大寸部分34に対するスプライン係合に依り回転に対して固定されるが、軸心方向には移動し得る。故に、回分量設定ノブ16が軸心方向においてその設定位置とされたこの状態において、該回分量設定ノブを適切な方向に回転すると、回分量ダイアル20は送りネジ様式で軸心方向に移動される。回分量ダイアルの数字は、窓部18を通して視認可能である。上記螺着機構は、上記回分量設定ノブの複数回の転回を許容する。同様に、この時点において、上記回分量ダイアルと上記キャップとの間に負荷は無いので、上記戻り止めにより提供される処からの上記回分量設定ノブの回転運動に対する抵抗は殆ど無い。
【0035】
必要とされる回分量が螺旋目盛上で一旦ダイアル入力されたなら、上記デバイスは起動の準備ができている。この機構において、このことは、回分量設定ノブ16を内方に押し戻すことにより達成される。上記回分量設定ノブが内方に押し戻されるにつれ、各フィンガ62は上記ポケットに再係合すると共に、その後、クラッチ56は上記駆動シャフトの上記拡大部分から外れて前方にシフトされてそれを係合解除することから、上記駆動シャフトは今や自由に回転する。上記駆動シャフトは、ダイアル入力された角度量だけ、回転する。
【0036】
上記配置構成においては、回分量の設定は上記駆動スプリングから独立しているので、操作のストローク長および力は、大量の回分量が小さな移動および力により供与されるというデバイスを設計すべく減少され得る。このことは、ユーザが、回分量を設定すべく且つ/又は設定された回分量を放出するために、大きなユーザ運動を付与せねばならないという既存のデバイスと対照的である。
【0037】
一回の回分量の放出の後でプランジャが上記栓に接触したままであるという既存の複数回分量デバイスには潜在的な問題が在る。上記栓とカートリッジ壁部との間の摩擦、および、その弾性に依り、注射の終了時に、上記栓は残留圧縮力下に在る。上記プランジャを介し、または、上記カートリッジの壁部を介して上記栓に対して伝達された振動によれば、上記栓は僅かに拡開し、回分量の精度に影響し得る小滴を放出し得る。故に上記実施形態の改変例として、上記クラッチ機構は、それが係合解除のために引張られるとき、それが栓44からプランジャ40を僅かだけ後退離間させることで栓44が負荷解除される様に設計され得る。
【0038】
この負荷解除効果は、例えば、上記回分量設定ノブが引き出されてクラッチ・カラー56を上記駆動シャフト上に係合させるにつれて該駆動シャフトはスプリング付勢力に抗して少しの角度だけ回転されることで上記栓を負荷解除する様に、クラッチ・カラー56の各スプライン57上および駆動シャフト24の各スプライン36上に僅かな形状化物を載置することにより達成され得る。
【0039】
この実施形態において上記本体は2つの別体的な半体で形成されるが、それは代替的に、2つの半体が有効なヒンジにより枢着されるという貝殻形式の配置構成で形成されても良い。
【0040】
製造を容易とするために、図示実施形態における上記トーションスプリングは、上記カートリッジに対して軽い軸心方向負荷を付与して該カートリッジを前方位置に堅固に保持するために、該トーションスプリングの前端には波形部分もしくは圧縮部分が形成され得る。これにより、製造差異に起因する長さの変動が対処され得る。更に、上記スプリングを作成すべくコイル状形成されるワイヤは一定の用途においては断面が円形とされ得るが、それは正方形もしくは矩形の断面の如き非円形とされることが好適である。
【0041】
次に図7および図8を参照すると、第2実施形態は、プランジャ40を巻き戻すと同時に第1実施形態の駆動スプリング22(図3および図4を参照)を励起する機構を提供する。該第2実施形態において、構成要素の大部分は第1実施形態のそれと同様であり、再度の記述は行われず且つ同様の参照番号が付与される。図7を参照すると、上記プランジャの送りネジ上の各キー溝46に係合するキー48を画成する上記ハウジングの前側部分は、該ハウジングの長手軸心の回りで単一方向に回転可能である別体的な巻き戻しノブ70として形成される。該ノブ70は、2つの半体701、702で形成されると共に、正反対に対置された各キー48を備えた中央開孔を画成する。ノブ70は外周溝72を有し、その基部には、図8に見られる如く、正反対に対置されてスプリング付勢された2つのラチェット歯74が在る。ノブ70は、内方に向けられて歯部形成された環状リブ76であって、溝72内に配置されると共に、ラチェット歯74と協働して一方向のみの回転を許容するという環状リブ76により、上記ハウジングの前端内に回転可能に受容される。巻き戻しノブ70の後端部は2つのスロット76を備え、その一方内には、(不図示の)トーション駆動スプリング22の前端部が繋止される。プランジャ40の送りネジ上のキー溝46に対するノブ70上のキー48の係合によれば、プランジャ40は上記ノブと共に一方向のみに回転すると共に、軸心方向の摺動移動を行い得ることが確実とされる。故に上記ノブおよびプランジャは、上記ラチェットにより許容される方向に回転されることで、プランジャ40の送りネジと駆動シャフト24との間の螺着係合に依り、駆動スプリング22を巻き上げると共に上記プランジャを上記駆動シャフト内へと戻し格納し得る。
【0042】
上記巻き戻しノブは通常は、上記カートリッジ・ハウジング(第1実施形態を参照)が上記本体から取り外されたときにのみアクセス可能である。
【0043】
上記の配置構成において、トーションスプリングは、上記カートリッジの使用可能な内容物を放出するための推進力を提供する。当然乍ら、他の適切な駆動構成を使用することは可能である。例えば、図9に示された如く、上記トーションスプリングは、プランジャ82に作用して長手方向における推力を付与する圧縮スプリング80により置き換えられ得る。この場合、上記駆動シャフトの代わりに、圧縮スプリング80の影響下でプランジャ82の前方移動を調節すべく使用される駆動制御シャフト84が在る。
【0044】
プランジャ82の後端部には、該プランジャ82が上記圧縮スプリングにより前方に付勢されるときに駆動制御シャフト84が回転する様に、該駆動制御シャフトの内部ボアに螺着的に噛合する螺条付き部分が形成される。駆動制御シャフト84は、その後端部に、上記第1実施形態の駆動シャフト24のそれと同様の直立スプライン36を備えた拡大部分34であって、第1実施形態のクラッチ・カラー56、ディスク回分量設定ノブ16および回分量ダイアル20と協働して同様の機能を遂行するという拡大部分34が形成される。これらの要素の構成および作用は、再び詳細には記述されない。上述と同様に、駆動制御シャフト84は、クラッチ・カラー56およびディスク回分量設定ノブ16により択一的に保持および解除される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2016年5月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身から複数回の回分量を供与するカートリッジ(12)もしくは注入器と共に使用される注射器装置であって、
前記カートリッジもしくは注入器のためのハウジング(101、102)と、
使用に際して前記カートリッジもしくは注入器と協働して順次的な回分量を圧出するプランジャ(40)と、
回分量体積を選択する回分量設定機構(16、20)と、
前記順次的な回分量を圧出する夫々の所定の規模の段増分にて前記プランジャを前進させるべく解除可能な駆動機構(22、24)と、
を備えるという注射器装置において、
前記駆動機構は、前記順次的な回分量の内の少なくとも数回の回分量を供与するに十分な事前負荷を備えて回転式に蓄力されたエネルギ要素(22)を含む、ことを特徴とする注射器装置。
【請求項2】
前記回転式に蓄力されたエネルギ要素(22)は、順次的な回分量にわたり前記注入器もしくはカートリッジの使用可能な内容物の実質的に全てを供与すべく選択された事前負荷を有する、請求項1に記載の注射器装置。
【請求項3】
前記回転式に蓄力されたエネルギ要素を再励起する手段を含む、請求項2に記載の注射器装置。
【請求項4】
自身から複数回の回分量を供与するカートリッジ(12)もしくは注入器と共に使用される注射器装置であって、
前記カートリッジもしくは注入器のためのハウジング(101、102)と、
使用に際して前記カートリッジもしくは注入器と協働して順次的な回分量を圧出するプランジャ(40)と、
回分量体積を選択する回分量設定機構(16、20)と、
前記順次的な回分量を圧出する夫々の所定の規模の段増分にて前記プランジャを前進させるべく解除可能な駆動機構(22、24)であって、前記プランジャ(40)の前進は、該プランジャの前進に応じて角度的に運動する制御部材(24)により制御されるという駆動機構(22、24)と、
を備えるという注射器装置において、
前記回分量設定機構は、第1限界位置から離間する相対的な螺合運動のために螺着係合された第1および第2の相補的な回分量設定要素(16、20)を含み、前記第1の回分量設定要素(16)は設定作業において休止位置から、回分量体積を設定する可変角度的位置まで前記ハウジング(101、102)に対して運動可能であり、且つ、前記第2の回分量設定要素(20)は前記制御要素(24)と共に回転すべく拘束され、
これにより、前記駆動機構の解除時に前記制御部材(24)および前記第2部材(20)は、該第2部材が前記第1部材に関して前記第1限界位置に戻り且つ該制御部材(24)の更なる回転を阻止するまで回転する、ことを特徴とする注射器装置。
【請求項5】
自身から複数回の回分量を供与するカートリッジ(12)もしくは注入器と共に使用される注射器装置であって、
前記カートリッジもしくは注入器のためのハウジング(101、102)と、
前記カートリッジもしくは注入器と協働して順次的な回分量を圧出するプランジャ(40)と、
駆動スプリング(22)により励起される駆動機構(22、24)であって、回分量設定要素(16)の調節により決定された所定段増分にて前記プランジャを前進させるべく解除可能であるという駆動機構(22、24)と、
前記回分量設定要素(16)の運動から独立して前記スプリング(24)を再励起する再励起要素(70)とを備える、注射器装置。
【請求項6】
前記駆動スプリングはトーションスプリングであり且つ前記再励起要素は回転式要素である、請求項5に記載の注射器装置。
【請求項7】
前記回転式の再励起要素は一方向における回転運動のために、前記ハウジング上にラチェット機構により取付けられる、請求項6に記載の注射器装置。
【請求項8】
自身から複数回の回分量を供与するカートリッジ(12)もしくは注入器と共に使用される注射器装置であって、該装置は、
前記カートリッジもしくは注入器のためのハウジング(101、102)と、
使用に際して前記カートリッジもしくは注入器と協働して順次的な回分量を圧出するプランジャ(40)と、
回分量体積を選択すべく運動可能な回分量設定要素(16)と、
前記選択された回分量を圧出する夫々の所定の規模の段増分にて前記プランジャを前進させるべく解除可能な駆動機構(22)であって、前記プランジャに対して直接的もしくは間接的に推進力を提供して該プランジャを前進させる駆動スプリング(24)を含むという駆動機構(22)と、を備え、
該装置は、前記駆動スプリング(24)の推進力が、それにより反発されるべき前記ハウジング(10)へと前記回分量設定要素(16)を介し伝達されるという第1位置と、前記駆動スプリング(24)の推進力が、それにより反発されるべき前記ハウジング(10)へと当該クラッチ要素(56)を介して伝達されるという位置へとクラッチ要素(56)が移動されるという第2位置と、の間で設定可能である、注射器装置。