【解決手段】携帯用情報機器12に備えられたヒンジ装置10は、上部筐体となるディスプレイ筐体14に固定される第1軸24を回転可能に支持した状態で下部筐体となる本体筐体16に支持されるヒンジブロック28を有し、本体筐体16の後端部16cにディスプレイ筐体14の後端部14cを開閉可能に連結するものである。このヒンジ装置10のヒンジブロック28は、ディスプレイ筐体14及び本体筐体16の後端側に向いて配置される外面28aに、ディスプレイ筐体14及び本体筐体16の前端側に向かって凹んだ形状の逃げ部32を有する。
少なくとも上部筐体に固定される第1軸を回転可能に支持した状態で下部筐体に支持されるヒンジブロックを有し、前記下部筐体の後端部に前記上部筐体の後端部を開閉可能に連結するヒンジ装置であって、
前記ヒンジブロックは、前記上部筐体及び前記下部筐体の後端側に向いて配置される外面に、前記上部筐体及び前記下部筐体の前端側に向かって凹んだ形状の逃げ部を有することを特徴とするヒンジ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような携帯用情報機器では、ディスプレイ筐体をこれに固定された軸周りに開き動作させた際、ディスプレイ筐体の後端がヒンジブロックの外面(後面)に干渉し、十分な開き角度を確保できないという問題がある。そこで、上記特許文献1〜3に記載された構成では、ディスプレイ筐体の後端部にヒンジブロックを配置する切欠部を設け、両者の干渉を回避している。
【0006】
ところが、このようにディスプレイ筐体の後端部に切欠部を設けた場合、ディスプレイ筐体の上面に切欠部が形成されるため、特にディスプレイ筐体を本体筐体に対して閉じた際に切欠部が目立ち、機器の外観品質を損ねている。
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、2つの筐体間の開閉角度を十分に確保しつつ、機器の外観品質を高めることができるヒンジ装置及び該ヒンジ装置を備えた携帯用情報機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るヒンジ装置は、少なくとも上部筐体に固定される第1軸を回転可能に支持した状態で下部筐体に支持されるヒンジブロックを有し、前記下部筐体の後端部に前記上部筐体の後端部を開閉可能に連結するヒンジ装置であって、前記ヒンジブロックは、前記上部筐体及び前記下部筐体の後端側に向いて配置される外面に、前記上部筐体及び前記下部筐体の前端側に向かって凹んだ形状の逃げ部を有することを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、ヒンジブロックの外面に逃げ部を設けたことにより、上部筐体の上面にヒンジブロックの回避用の切欠部を設けなくても上部筐体を開き動作させた際のヒンジブロックの外面に対する干渉を回避することができる。このため、上部筐体を四辺が直線状に形成された矩形形状とすることができるため、適用される携帯用情報機器の外観品質を高めることができる。しかも、例えば2軸構造のヒンジ装置では上部筐体の開閉角度を0度位置から360度位置まで確保することができ、例えば1軸構造のヒンジ装置では上部筐体の開閉角度を0度位置から180度位置まで確保することができ、いずれも十分な開閉角度を確保することができる。
【0010】
前記上部筐体の上面は、前記ヒンジブロックを上方から覆う位置まで後方に延出されており、前記上部筐体が開き動作されて前記ヒンジブロックに対して前記第1軸が回転した場合に、前記上部筐体の上面後端が前記逃げ部に進入する構成であってもよい。そうすると、ヒンジブロックを上部筐体の上面で覆って外観上目立たなくすることを可能としつつもその上面後端がヒンジブロックに干渉することを回避できる。
【0011】
前記第1軸の軸中心から前記逃げ部の前端までの距離が、前記第1軸の軸中心から前記上部筐体の上面後端までの距離以上に設定されていると、上部筐体とヒンジブロックの外面との干渉をより確実に回避できる。
【0012】
前記ヒンジブロックは、前記下部筐体に固定される第2軸を回転可能に支持することで前記下部筐体に支持されるものであり、前記上部筐体と前記下部筐体との間を、前記上部筐体を前記下部筐体に対して閉じた0度位置から該上部筐体を開き動作させ、前記上部筐体の上面が前記下部筐体の下面に対面して配置される360度位置まで回動可能に連結した構成であってもよい。すなわち、0度位置から360度位置まで上部筐体を回動可能な構成の携帯用情報機器であっても当該ヒンジ装置を設けることで、上部筐体の上面にヒンジブロックの回避用の切欠部を設けない高い外観品質を備えることができる。
【0013】
前記ヒンジブロックは、前記上部筐体に支持される上端側と、前記下部筐体に支持される下端側との間を前記逃げ部に沿うように曲げたブーメラン形状を有する構成であってもよい。そうすると、ヒンジブロックに十分な強度を確保して上部筐体と下部筐体との間を安定して連結することができ、しかも上部筐体との間の干渉を回避して十分な開閉角度を確保することができる。
【0014】
本発明に係る携帯用情報機器は、上記構成のヒンジ装置を備えたことを特徴とする。
【0015】
この場合、前記上部筐体は、ディスプレイを有するディスプレイ筐体であり、前記下部筐体は、キーボードを有する本体筐体であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ヒンジブロックの外面に逃げ部を設けたことにより、十分な開閉角度を確保しつつ携帯用情報機器の外観品質を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るヒンジ装置について、この装置を備えた携帯用情報機器を例示して好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係るヒンジ装置10を備えた携帯用情報機器12の斜視図であり、ヒンジ装置10によってディスプレイ筐体14を本体筐体16から開いたノート型PCでの使用形態を示している。
図2は、
図1に示す携帯用情報機器12のディスプレイ筐体14を本体筐体16に対して閉じた状態での平面図である。また
図3及び
図4は、ヒンジ装置10を用いたディスプレイ筐体14の本体筐体16に対する回動動作を模式的に示す動作説明図であり、
図2中のIII−III線に沿う断面構造を模式的に図示したものである。
【0020】
本実施形態に係る携帯用情報機器12は、ディスプレイ筐体14を本体筐体16に対して90度前後の角度位置に回動させた状態ではノート型PCとして好適に使用でき(
図1参照)、ディスプレイ筐体14を本体筐体16に対して360度位置まで回動させて反転させた状態ではタブレット型PCとして好適に使用できる(
図4(B)参照)、いわゆるコンバーチブル型PCである。本発明は、このようなコンバーチブル型PC以外、例えば、ディスプレイ筐体14が180度位置程度までしか回動しない一般的なノート型PC、携帯電話、スマートフォン又は電子手帳等、2つの筐体を開閉可能に連結した構成の電子機器であれば好適に適用できる。
【0021】
以下、
図2に示すようにディスプレイ筐体14を本体筐体16に対して閉じた状態(0度位置)での形態を基準とし、ディスプレイ筐体14及び本体筐体16のヒンジ装置10側の端部を後端(後方)、その反対側の端部を前端(前方)、厚み方向を上下方向、幅方向を左右方向と呼んで説明する。
【0022】
また、説明の便宜上、ヒンジ装置10による本体筐体16とディスプレイ筐体14の角度位置について、ディスプレイ筐体14を本体筐体16に対して完全に閉じた状態とし、ディスプレイ筐体14の下面(内面)14aが本体筐体16の上面(内面)16aに対面した姿勢を0度位置(
図2及び
図3(A)参照)と呼び、この0度位置を基準として、ディスプレイ筐体14を回動させながら開く方向で角度を刻みながら説明する。例えば、ディスプレイ筐体14と本体筐体16とが略直交した姿勢を90度位置(
図3(B)参照)と呼び、ディスプレイ筐体14の下面14aと本体筐体16の上面16aが同一方向(上方)を向いて互いに平行した姿勢を180度位置(
図3(C)参照)と呼ぶ。さらに、ディスプレイ筐体14の上面(外面)14bと本体筐体16の下面(外面)16bとが対面した姿勢を360度位置(
図4(B)参照)と呼ぶ。なお、0度位置、90度位置、180度位置及び360度位置等については、本体筐体16、ディスプレイ筐体14又はヒンジ装置10の構造により、角度数字の示す正確な角度位置から多少ずれた角度位置となることも当然生じるものであり、これらのずれた角度位置も含めて、本実施形態では0度位置等と呼んで説明している。
【0023】
図1及び
図2に示すように、携帯用情報機器12は、下面14aにディスプレイ18を有するディスプレイ筐体14の後端部14cと、上面16aにキーボード20を有する本体筐体16の後端部16cとを、左右一対のヒンジ装置10,10によって回動可能に連結したものである。
【0024】
ディスプレイ筐体14は、本体筐体16よりも薄い平板状に構成されている。ディスプレイ筐体14は、その後端部14cに設けられたヒンジ装置10によって本体筐体16と連結されると共に、ヒンジ装置10を通過した図示しないケーブルにより本体筐体16と電気的に接続されている。ディスプレイ18は、例えばタッチパネル式の液晶表示装置によって構成される。
【0025】
ディスプレイ筐体14の上面14bは、ヒンジ装置10を上方から覆う位置まで後方に延出された天板22によって形成されている。これにより、ヒンジ装置10はその上方が天板22で隠された状態でディスプレイ筐体14に連結されている(
図3(A)参照)。このような天板22は、ヒンジ装置10の配設用の切欠部を持たない四辺が直線状の矩形形状であると共に、外観上でヒンジ装置10が目立つことが防止されるため、携帯用情報機器12の外観品質が向上する。
【0026】
本体筐体16は、平板状に構成された箱体である。本体筐体16は、その後端部16cに設けられたヒンジ装置10によってディスプレイ筐体14と連結されている。本体筐体16の上面16aには、キーボード20等の入力手段が設けられ、本体筐体16の内部には、図示しない基板、演算装置、及びメモリ等の各種電子部品が設けられている。キーボード20は、本体筐体16の上面16aに設けられた図示しないタッチパネル式のディスプレイに表示される方式で構成されてもよい。
【0027】
図3及び
図4に示すように、ヒンジ装置10は、2軸構造によりディスプレイ筐体14の0度位置から360度位置までの回動を可能とするものである。ヒンジ装置10は、ディスプレイ筐体14に対して回転不能に連結され、左右方向に延びた第1軸24と、本体筐体16に対して回転不能に連結され、左右方向に延びた第2軸26と、これら第1軸24及び第2軸26を回転可能に保持する箱状のヒンジブロック(ヒンジ筐体)28とを備える。
【0028】
図2及び
図3(A)に示すように、携帯用情報機器12は、0度位置においてディスプレイ筐体14側の第1軸24が本体筐体16側の第2軸26よりも後方にオフセットされた配置となっている。その結果、0度位置及び360度位置においてディスプレイ筐体14の後端部14c及び該後端部14cとは反対側の前端部14dと、本体筐体16の後端部16c及び該後端部16cとは反対側の前端部16dとが前後方向に位置ずれし、携帯用情報機器12は側面視で略平行四辺形状に構成される(
図4(B)も参照)。
【0029】
次に、ヒンジ装置10の具体的な構成例について説明する。
【0030】
図3(A)〜
図4(B)に示すように、第1軸24は、その一端部又は両端部がディスプレイ筐体14に設けられた図示しない嵌合孔に嵌入固定されることで該ディスプレイ筐体14と一体的に回転する。第2軸26は、その一端部又は両端部が本体筐体16に設けられた図示しない嵌合孔に嵌入固定されることで該本体筐体16と一体的に回転する。これら第1軸24及び第2軸26は、ヒンジブロック28によってそれぞれ回転可能に保持されると共に、ヒンジブロック28の一側面又は両側面から突出してそれぞれディスプレイ筐体14及び本体筐体16に連結される。これにより、ディスプレイ筐体14は第1軸24と共にヒンジブロック28に対して回転可能に支持され、本体筐体16は第2軸26と共にヒンジブロック28に対して回転可能に支持される。
【0031】
ヒンジ装置10は、例えば第1軸24及び第2軸26にそれぞれ平歯車(図示せず)が外嵌され、これら各軸24,26の平歯車間が
図3(C)に示すように複数の平歯車30を噛合いさせた歯車列によって同期回転可能に連結されている。従って、このようなヒンジ装置10を備えた携帯用情報機器12では、ディスプレイ筐体14を本体筐体16から開き動作させると、各平歯車30による回転伝達作用によって第1軸24と第2軸26とが反対方向に同期回転する(
図3(A)〜
図4(B)参照)。ヒンジ装置10は、例えば後述する
図5(A)〜
図6(B)に示すヒンジ装置10Aのようにヒンジブロック28の回動角度位置に応じて第1軸24及び第2軸26の一方又は両方が選択的に回転する構造であってもよい。
【0032】
ヒンジブロック28は、ディスプレイ筐体14の後端部14cに設けられ、上部が天板22で蓋された凹部14eと、本体筐体16の後端部16cに設けられた凹部16eとの間に亘って配設される。ヒンジブロック28は、上端側が第1軸24を介してディスプレイ筐体14に支持され、下端側が第2軸26を介して本体筐体16に支持されると共に、これら第1軸24と第2軸26との間に前方に向かって屈曲した屈曲形状(ブーメラン形状)を有する。
【0033】
具体的には、ヒンジブロック28の後端側に向いて配置される外面(後面)28aには前端側に向かって凹んだ形状の逃げ部32が設けられると共に、その内面も逃げ部32に沿うように曲がった形状とされている。本実施形態の場合、逃げ部32は側面視直角形状としている。ヒンジブロック28は、逃げ部32を有していれば必ずしも全体が屈曲したブーメラン形状でなくてもよく、例えば側面視矩形の外面28aにのみ凹状の逃げ部32を設けた形状であってもよい。
【0034】
次に、ヒンジ装置10によるディスプレイ筐体14と本体筐体16の回動動作について説明する。
【0035】
先ず、
図3(A)に示すように0度位置にあるディスプレイ筐体14を本体筐体16から開く方向に回動させると、ヒンジ装置10では各平歯車30による回転伝達作用によって第1軸24及び第2軸26が同期して互いに反対方向に回転する。これにより、例えば0度位置から180度位置の間ではヒンジブロック28が後方に突出しながら下降するドロップダウン構造として動作する(
図3(A)〜
図3(C)参照)。その結果、例えば90度位置から150度位置の間で、携帯用情報機器12をノート型PCとして利用できる。
【0036】
続いてディスプレイ筐体14を180度位置よりもさらに開き方向に回動させると、ディスプレイ筐体14の上面14bの後端となる天板22の後端22aがヒンジブロック28の逃げ部32に進入しつつディスプレイ筐体14が回動する。そして、例えば
図4(A)に示す270度位置では、天板22の後端22aがヒンジブロック28の外面28aに設けた逃げ部32に完全に収容された状態となる。
【0037】
最終的にはディスプレイ筐体14が本体筐体16の下面16b側に回り込み、
図4(B)に示すように互いの上面14bと下面16bとが対面した背中合わせの360度位置となり、タブレット型PCとしての使用が可能となる。
【0038】
このように、ヒンジ装置10はヒンジブロック28の外面28aに逃げ部32を有する。このため、
図3(C)に示す180度位置より大きな回動角度とされた場合であっても、ヒンジブロック28の上方を覆う天板22(ディスプレイ筐体14の上面14b)がヒンジブロック28の外面28aに干渉することが回避される。これにより、ディスプレイ筐体14の上面14bを切欠部を持たない天板22によって形成し、ヒンジ装置10を上方から隠した携帯用情報機器12であっても、ディスプレイ筐体14を
図4(A)及び
図4(B)に示す270度位置や360度位置まで円滑に回動させることが可能となっている。
【0039】
そこで、
図3(A)に示すように、ヒンジ装置10では、天板22を設けたディスプレイ筐体14における第1軸24の軸中心から後方への後端22a(後端部14c)の突出量を距離L1と称し、第1軸24の軸中心から逃げ部32の前端(前面)までの逃げ量を距離L2と称すると、距離L2が距離L1以上、好ましくは距離L2が距離L1より大きく設定されている。これにより、第1軸24の軸中心を基準とした場合、
図3(A)に示す0度位置では後方に距離L1だけ突出していた天板22を、
図4(B)に示す360度位置では距離L1以上の距離L2を持った逃げ部32によって確実に収容することができる。従って、天板22とヒンジブロック28の外面28aとの干渉を確実に回避できる。なお、逃げ部32は上記した直角形状以外であってもよく、例えば
図4(B)中に2点鎖線で示す逃げ部32のように鋭角に形成されると、より確実に天板22とヒンジブロック28の外面28aとの干渉を防止できる。
【0040】
図5及び
図6は、第1変形例に係るヒンジ装置10Aを用いたディスプレイ筐体14の本体筐体16に対する回動動作を模式的に示す動作説明図である。
図5及び
図6において、
図1〜
図4に示される参照符号と同一の参照符号は、同一又は同様な構成を示し、このため同一又は同様な機能及び効果を奏するものとして詳細な説明を省略し、以下同様とする。
【0041】
図5及び
図6に示すヒンジ装置10Aは、
図3及び
図4に示したヒンジ装置10と比べて、
図5(A)に示す0度位置においてディスプレイ筐体14側の第1軸24と本体筐体16側の第2軸26とが上下方向に並んだ配置となっている。その結果、0度位置及び360度位置においてディスプレイ筐体14の後端部14c及び前端部14dと、本体筐体16の後端部16c及び前端部16dとが前後方向で一致し、携帯用情報機器12は側面視で略長方形状に構成される(
図6(B)も参照)。なお、ヒンジ装置10Aは、ヒンジブロック28の回動角度位置に応じて第1軸24及び第2軸26の一方又は両方が選択的に回転する構造で構成されている。
【0042】
このヒンジ装置10Aのヒンジブロック28は、上記したヒンジ装置10のヒンジブロック28と略同一形状のブーメラン形状であるが、その設置姿勢が異なるため、逃げ部32の前後方向の逃げ量が見かけ上小さくなる。
【0043】
そこで、
図5(A)に示すように、ヒンジ装置10Aでは、天板22をヒンジ装置10の天板22よりも前後に短い形状とし、その後端22aを前方にオフセットしている。これにより、天板22にヒンジブロック28の配設用の切欠部を形成することなく、矩形形状の天板22によってヒンジブロック28の上方部分の少なくとも一部を覆うことができ、携帯用情報機器12の外観品質を維持することができる。しかも天板22の後端22aがディスプレイ筐体14の後端部14cよりも前方に位置しているため、
図6(A)や
図6(B)に示す270度位置や360度位置で逃げ部32に天板22を収容することができ、天板22がヒンジブロック28の外面28aに干渉することを回避できる。
【0044】
図7は、第2変形例に係るヒンジ装置10Bを用いたディスプレイ筐体14の本体筐体16に対する回動動作を模式的に示す動作説明図である。
【0045】
図7(A)及び
図7(B)に示すヒンジ装置10Bは、
図3(A)〜
図4(B)に示したヒンジ装置10を1軸構造とした構成であり、ディスプレイ筐体14側の第1軸24のみを有し、本体筐体16側の第2軸26は有していない。その結果、ヒンジ装置10Bを備えた携帯用情報機器12は、ディスプレイ筐体14が0度位置から180度位置程度まで回動可能な一般的なノート型PCとして構成されている。
【0046】
このヒンジ装置10Bにおいても、ヒンジブロック28の外面28aに逃げ部32を有するため、ディスプレイ筐体14が
図7(B)に示す90度位置より大きな回動角度とされた際に天板22の後端22aがヒンジブロック28の外面28aに干渉することが回避される。これにより、切欠部を持たない矩形形状の天板22によってヒンジ装置10Bを上方から覆った携帯用情報機器12であっても、ディスプレイ筐体14を90度位置を越えた180度位置まで円滑に回動させることができる。
【0047】
以上のように、本実施形態に係るヒンジ装置10(10A,10B)は、少なくとも上部筐体となるディスプレイ筐体14に固定される第1軸24を回転可能に支持した状態で下部筐体となる本体筐体16に支持されるヒンジブロック28を有し、本体筐体16の後端部16cにディスプレイ筐体14の後端部14cを開閉可能に連結する構成であって、ヒンジブロック28は、ディスプレイ筐体14及び本体筐体16の後端側に向いて配置される外面28aに、ディスプレイ筐体14及び本体筐体16の前端側に向かって凹んだ形状の逃げ部32を有する。
【0048】
このようにヒンジブロック28の外面28aに逃げ部32を設けたことにより、ディスプレイ筐体14の上面14bにヒンジブロック28の回避用の切欠部を設けなくても、ディスプレイ筐体14を開き動作させた際のディスプレイ筐体14とヒンジブロック28の外面28aとの間の干渉を回避することができる。このため、ディスプレイ筐体14を四辺が直線状に形成された矩形形状とすることができるため、携帯用情報機器12の外観品質が向上する。しかも、例えば2軸構造のヒンジ装置10,10Aを備えた携帯用情報機器12ではディスプレイ筐体14の開閉角度を0度位置から360度位置まで確保することができ、例えば1軸構造のヒンジ装置10Bを備えた携帯用情報機器12ではディスプレイ筐体14の開閉角度を0度位置から180度位置まで確保することができ、いずれも十分な開閉角度を確保することができる。
【0049】
この際、ヒンジ装置10(10A,10B)のヒンジブロック28は、ディスプレイ筐体14に支持される上端側と、本体筐体16に支持される下端側との間を逃げ部32に沿うように曲げたブーメラン形状を有する。このため、ヒンジブロック28に十分な強度を確保してディスプレイ筐体14と本体筐体16との間を安定して連結することを可能としつつ、ディスプレイ筐体14との間の干渉を回避して十分な開閉角度を確保することができる。
【0050】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。