特開2016-164443(P2016-164443A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-164443(P2016-164443A)
(43)【公開日】2016年9月8日
(54)【発明の名称】バルブ乾燥方法
(51)【国際特許分類】
   F16K 51/00 20060101AFI20160815BHJP
   F26B 9/00 20060101ALI20160815BHJP
   F26B 25/00 20060101ALI20160815BHJP
   F26B 21/00 20060101ALI20160815BHJP
【FI】
   F16K51/00 Z
   F26B9/00 Z
   F26B25/00 C
   F26B21/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2015-44906(P2015-44906)
(22)【出願日】2015年3月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】角田 真一
(72)【発明者】
【氏名】田村 健治
【テーマコード(参考)】
3H066
3L113
【Fターム(参考)】
3H066AA06
3H066BA38
3L113AA01
3L113AB01
3L113AC08
3L113AC52
3L113AC57
3L113AC69
3L113AC76
3L113AC78
3L113AC81
3L113BA01
3L113CA09
3L113CB05
3L113CB24
3L113CB35
3L113CB37
3L113DA10
3L113DA14
(57)【要約】
【課題】大がかりな設備とすることなく、短時間で、かつ安定した品質で、ボールバルブの内部を自動的に乾燥させるようにする。
【解決手段】ボールバルブ101をバルブ載置テーブル102に固定されたバルブ支持用ネスト103にセットする。ボールバルブ101の上流側フランジ部4にアダプタ105を装着する。ロープ巻出装置106によって高さ位置を調整可能に吊り下げられている送風ユニット104をアダプタ105に連結する。この準備作業の後、スタートスイッチ82をオンとする。すると、制御装置113は、先ず、送風ユニット104からのバルブ本体1の流路内への空気の吹き付け(水切り)を行い、次に、ダクトを排水ダクト69から温風ダクト70に切り替えて、バルブ本体1の流路内への加熱された空気の吹き付け(温風乾燥)を行う。
【選択図】 図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ本体と、このバルブ本体に収容された弁体とを備え、前記弁体の動作量を調整することによって前記バルブ本体の流路を流れる流体の流量を調節するバルブの内部を乾燥させるバルブ乾燥方法であって、
板面に形成された貫通孔に前記バルブ本体の流路が連通するように、前記バルブ本体の流路の一方側の開口部を前記板面側として、かつ前記板面に対して前記バルブ本体の流路の軸線が直交するように前記板面に載置された前記バルブのバルブ本体の流路内に、このバルブ本体の流路の他方側の開口部から空気を吹き付ける第1ステップと、
前記第1ステップによって吹き付けられた空気によって前記バルブの内部から前記板面に形成された貫通孔を通して排出される流体を第1のダクトを通して外部に導く第2ステップと、
前記第2ステップによって前記バルブの内部から排出された流体が前記第1のダクトを通して外部に導かれた後、この第1のダクトを第2のダクトに切り替えて、この第2のダクトを通して送風される加熱された空気を前記板面に形成された貫通孔を通して前記バルブ本体の流路の一方側の開口部から前記バルブ本体の流路内に吹き付ける第3ステップと
を備えることを特徴とするバルブ乾燥方法。
【請求項2】
請求項1に記載されたバルブ乾燥方法において、
前記バルブ本体の流路の他方側の開口部に装着され前記流路を流れる流体の圧力を前記バルブ本体の内周面と自身の外周面との間に連通された空間として作られる隙間に導く複数の流体圧力取出部を備えた筒状のリテーナが組み込まれたバルブを用いる場合、前記第1ステップを実行する前に、前記リテーナの前記流体圧力取出部の1つから前記隙間に空気を送って、この隙間に残留している流体を他の前記流体圧力取出部から前記バルブ本体の流路内に排出させる第4ステップ
を備えることを特徴とするバルブ乾燥方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたバルブ乾燥方法において、
前記各ステップの動作をその動作を開始してからのタイマの計時時間によって切り替えるようにした
ことを特徴とするバルブ乾燥方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載されたバルブ乾燥方法において、
前記各ステップの動作をその動作の完了を是とする状態に至ったことを検出するセンサからの信号に基づいて切り替えるようにした
ことを特徴とするバルブ乾燥方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載されたバルブ乾燥方法において、
前記各ステップの動作中、異常が生じたことが報知された後、前記バルブの乾燥を再開する場合、前記バルブの乾燥を開始する前の初期状態に復帰させるようにした
ことを特徴とするバルブ乾燥方法。
【請求項6】
請求項1又は2に記載されたバルブ乾燥方法において、
前記各ステップの動作中、異常が生じたことが報知された後、前記バルブの乾燥を再開する場合、その異常が生じたことが報知されたステップに入る前の状態に復帰させるようにした
ことを特徴とするバルブ乾燥方法。
【請求項7】
請求項1又は2に記載されたバルブ乾燥方法において、
前記第3ステップの動作中、異常が生じたことが報知された後、前記バルブの乾燥を再開する場合、前記第3ステップにおいて前記1のダクトを第2のダクトに切り替えた後の状態に復帰させるようにした
ことを特徴とするバルブ乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、弁体の動作量を調整することによってバルブ本体の流路を流れる流体の流量を調節するバルブの内部を乾燥させるバルブ乾燥方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、工場やプラントなどでは、配管内を流れる流体の流量を調節するバルブが用いられている。例えば、バルブとして、貫通流路を有するボール弁体と、このボール弁体がその流路内に回転自在に装着されたバルブ本体とを備え、ボール弁体を回転させることによってバルブ本体の流路を流れる流体の流量を調節するボールバルブが用いられている。
【0003】
このボールバルブの製造完了時には、完成したバルブが所定の動作性能を満たしているか否かを確認するために、実際に完成したバルブに流体を流したうえで検査を行うようにしている。そして、検査に合格したバルブは、内部に流体が残らないように乾燥させてから出荷している。
【0004】
図20に乾燥対象とされるボールバルブの一例としてリテーナ付きのボールバルブの要部の断面図を示す(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図20において、1はバルブ本体、2はボール弁体、21は弁軸であり、弁軸21はボール弁体2に軸着されている。4はバルブ本体1の上流側フランジ部であり、図示されてない上流側の外部配管のフランジ部と突合わされて締結部材で締結される。5はバルブ本体1の下流側フランジ部であり、図示されていない下流側の外部配管のフランジ部と突合わされて締結部材により締結される。
【0006】
11は上流流路であり、ボール弁体2よりも上流側に配置される。12は下流流路であり、ボール弁体2よりも下流側に配置される。6は下流流路12の下流端部の流出口(バルブ本体1の流路の一方側の開口部)である。7は上流流路11の上流端部の流入口(バルブ本体1の流路の他方側の開口部)である。
【0007】
また、上流流路11と下流流路12との間には弁室13が設けられており、ボール弁体2は弁室13内に収容されている。ボール弁体2は、ほゞ半球体状に形成され、その外周面にバルブ本体1の流路に連通する貫通流路23を有している。このボール弁体2は、流路の軸線と直交する弁軸21に軸着され、弁軸21と直交する面内において回転自在に軸支されている。なお、上流流路11および下流流路12中の各所に表されている矢印は各所での流体の流れの向きを模式的に表したものである。
【0008】
31はバルブ本体1の一部で、ボール弁体2が全閉位置まで回転したときに、ボール弁体2に当接するようにバルブ本体1から突出して設けられる全閉位置規制部である。32はバルブ本体1の一部で、ボール弁体2が全開位置まで回転したときに、ボール弁体2に当接するようにバルブ本体1から突出して設けられる全開位置規制部である。なお、図20ではボール弁体2の全開状態を示しており、ボール弁体2が全開位置規制部32に当接している。
【0009】
バルブ本体1の内部でボール弁体2の上流側には、ボール弁体2の外周面24と密接するシートリング36と、このシートリング36を上流流路11の軸線方向に移動自在に保持するリテーナ37と、シートリング36をボール弁体2に押圧する弾性部材33と、シートリング36とリテーナ37との間をシールするOリング34とが配設されており、これらによってシートリング部のシール構造が構成されている。
【0010】
シートリング36は両端開放の円筒状に形成され、その上流側端部は薄肉形成されて小径部となり、一方、その下流側端部は厚肉形成されて大径部となっており、ボール弁体2に弾性部材33によって押圧される。リテーナ37は両端開放の円筒状に形成され、シートリング36を上流流路11の軸線方向に移動自在に収納されており、上流側端部の外周面35に雄ねじが形成され、バルブ本体1の上流側開口部の内周面45に形成された雌ねじにねじ込まれている。
【0011】
また、リテーナ37の上流側開口部43は、開口端面から下流側に向って小径化するテーパ孔を形成しており、その最小径部の内径はシートリング36の孔径に等しい。また、リテーナ37の内周面とシートリング36の外周面との間には、弾性部材33を収納する環状の収納部46が形成されている。この収納部46はシートリング36の外周面に形成された段差部と、リテーナ37の内周面に形成された段差部とで構成される。さらに、リテーナ37の内周面にはOリング34が嵌着される環状の溝47が形成されている。
【0012】
リテーナ37には、その上流側開口部(テーパ孔)43の最小径部付近にリテーナ37の内周面と外周面を貫通する4つの貫通孔38が上流側流体圧力取出部として円周方向に等間隔に形成され、さらに上流側流体圧力取出部(貫通孔)38が形成されている部分より下流側外周面にはバルブ本体1の内周面とリテーナ37の外周面との間に上流側流体圧力連通路39が形成されている。この上流側流体圧力連通路39は、リテーナ37の軸線方向に延び、かつリテーナ37の周方向に連通した空間として形成されており、各上流側流体圧力取出部38に連通している。
【0013】
一方、バルブ本体1には上流側流体圧力連通路39を上流下流流体圧力検出部44に接続する上流側流体圧力導通路18が形成されている。上流側流体圧力導通路18はボール弁体2近傍のバルブ本体1の上流側内周面19と上流下流流体圧力検出部44が装着されているボール弁体2近傍のバルブ本体1の外周面17との間に形成されているので、上流流路11の流体圧力は、上流側流体圧力取出部38→上流側流体圧力連通路39→上流側流体圧力導通路18を通って上流下流流体圧力検出部44に導かれる。
【0014】
上流下流流体圧力検出部44は、上流側流体圧力検出器8と下流側流体圧力検出器9とを一体に形成したものであり、上流側流体圧力を検出する一方、バルブ本体1の下流流路12内のボール弁体2の外周面24及びボール弁体2近傍のバルブ本体1の内周面15とで形成された空間である流体淀み部14に溜まった流体の淀み部分3の流体圧力を下流側流体圧力導通路20を通し下流側流体圧力として検出する。この上流下流流体圧力検出部44が検出する内部の上流側流体圧力と下流側流体圧力とが流量演算部26へ電気出力信号として出力される。
【0015】
流量演算部26では、弁開度量検出部25から入力したボール弁体2の弁開度量を示す信号と、上流側流体圧力を示す信号と、下流側流体圧力を示す信号とから、所定の流量演算式に従って流量を演算する。流量演算部26での流量演算の結果、得られた計測流量はアクチュエータ22にフィードバック値として出力され、アクチュエータ22によるボール弁体2の弁開度の制御に利用される。また、得られた計測流量は表示部50にも出力され、表示される。
【0016】
従来においては、このようなボールバルブ101を乾燥対象とし、その内部に検査時に使用された流体が残らないように乾燥させてから出荷するようにしている。この場合、ボールバルブ101の内部の乾燥工程は人手に頼っていて、作業者がエアーダスターガン等を使った水切りや、ウェスによる拭き取りを行った後、放置して自然乾燥させるようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2009−115271号公報
【特許文献2】特開2012−057762号公報
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】「バキュームフロー」、〔平成26年10月6日検索〕、インターネット<URL:http://www.smcworld.com/vacuum_device/search_vacuum.do?se_id=276>
【非特許文献2】「スプリングバランサーシリーズ」、〔平成26年10月6日検索〕、インターネット<URL:http://www.endo-kogyo.co.jp/japanese/sb/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、人手によるボールバルブの内部の乾燥には時間がかかる。また、人手によるボールバルブの内部の乾燥では、ボールバルブの内部に残留している流体を完全に除去することは難しい。特に、図20に示したようなリテーナ付きのボールバルブでは、その構造をみても分かるように、ボールバルブの内部が複雑な形状をしているため、内部に残留している流体を完全に除去することが難しい。また、人手による方法では作業時間が長くなる。また、水切度合が作業者に依存しているため、品質が安定しないという欠点もある。
【0020】
なお、特許文献2には、ボールバルブの内部を真空ポンプで吸引して大気圧未満とした後、ボールバルブの内部に窒素ガスを送って、ボールバルブの内部に溜まった水分を蒸発させるようにした乾燥システムが示されている。しかしながら、この特許文献2に示された乾燥システムでは、真空ポンプや窒素ボンベ、乾燥対象のボールバルブまでの配管系統などを必要とし、設備が大がかりとなり、コストアップとなる。
【0021】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、大がかりな設備とすることなく、短時間で、かつ安定した品質で、バルブの内部を自動的に乾燥させるようにすることが可能なバルブ乾燥方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
このような目的を達成するために本発明は、バルブ本体と、このバルブ本体に収容された弁体とを備え、弁体の動作量を調整することによってバルブ本体の流路を流れる流体の流量を調節するバルブの内部を乾燥させるバルブ乾燥方法であって、板面に形成された貫通孔にバルブ本体の流路が連通するように、バルブ本体の流路の一方側の開口部を板面側として、かつ板面に対してバルブ本体の流路の軸線が直交するように板面に載置されたバルブのバルブ本体の流路内に、このバルブ本体の流路の他方側の開口部から空気を吹き付ける第1ステップと、第1ステップによって吹き付けられた空気によってバルブの内部から板面に形成された貫通孔を通して排出される流体を第1のダクトを通して外部に導く第2ステップと、第2ステップによってバルブの内部から排出された流体が第1のダクトを通して外部に導かれた後、この第1のダクトを第2のダクトに切り替えて、この第2のダクトを通して送風される加熱された空気を板面に形成された貫通孔を通してバルブ本体の流路の一方側の開口部からバルブ本体の流路内に吹き付ける第3ステップとを備えることを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、バルブ本体の流路の一方側の開口部を板面側としてバルブを板面に載置し、この載置したバルブのバルブ本体の流路の他方側の開口部(板面の上面側)からバルブ本体の流路内に空気を吹き付けると、この吹き付けられた空気によってバルブの内部に残留している流体が板面に形成されている貫通孔を通して排出され、第1のダクトを通して外部に導かれる。そして、この後、第1のダクトが第2のダクトに切り替えられ、第2のダクトを通して送風される加熱された空気が板面に形成されている貫通孔を通して、バルブ本体の流路の一方側の開口部(板面の下面側)からバルブ本体の流路内に吹き付けられ、バルブの内部の乾燥(温風による乾燥)が行われる。これにより、バルブの内部の乾燥が、水切り(バルブ本体の内部に残留している流体の排出)と、温風による乾燥(バルブ本体の内部に残留している流体の蒸発)との2つの工程に分けて、効率よく行われるものとなる。
【0024】
この際、水切りの工程で、バルブ本体の内部に残留している流体は、バルブ本体の流路の他方側の開口部(板面の上面側)からの空気の吹き付け力に重力が加わって落下するようにバルブ本体の流路内から排出され、次の温風による乾燥工程(蒸発工程)で、バルブ本体の流路の一方側の開口部(板面の下面側)からの加熱された空気は、空気の吹き付け力に加熱された空気の浮力が加わって上昇するようにバルブ本体の流路内に流入する。これにより、バルブの内部の水切りと温風による乾燥が効率的に行われる。この場合、オペレータは、バルブを板面にセットして、制御装置に指示を与えるのみで、バルブの内部の乾燥を自動的に行わせることが可能であり、作業効率がアップする。また、真空ポンプや窒素ボンベは不要であり、常設してある工場エアを使用することが可能であるので、設備が大がかりとなることもない。
【0025】
なお、本発明において、バルブ本体の流路の他方側の開口部に装着され流路を流れる流体の圧力をバルブ本体の内周面と自身の外周面との間に連通された空間として作られる隙間に導く複数の流体圧力取出部を備えた筒状のリテーナが組み込まれたバルブを用いる場合、第1ステップを実行する前に、リテーナの流体圧力取出部の1つからバルブ本体の内周面とリテーナの外周面との間の隙間に空気を送って、この隙間に残留している流体を他の流体圧力取出部からバルブ本体の流路内に排出させる第4ステップを実行するようにしてもよい。このようにすると、バルブ本体の内周面とリテーナの外周面との間の隙間に残留している流体のバルブ本体の流路内への排出(リテーナの水切り)を行った後、バルブ本体の流路内に残留している流体(リテーナの外周面とバルブ本体の内周面との間の隙間に残留していた流体+リテーナの水切り前にバルブ本体の流路内に残留していた流体)の外部への排出が行われるものとなる。
【0026】
また、本発明において、各ステップの動作をその動作を開始してからのタイマの計時時間によって切り替えるようにしてもよく、その動作の完了を是とする状態に至ったことを検出するセンサからの信号に基づいて切り替えるようにしてもよい。また、各ステップの動作中、異常が生じたことが報知された後、バルブの乾燥を再開する場合、バルブの乾燥を開始する前の初期状態に復帰させるようにしたり、各ステップの動作中、異常が生じたことが報知された後、バルブの乾燥を再開する場合、その異常が生じたことが報知されたステップに入る前の状態に復帰させるようにしてもよい。また、第3ステップの動作中、異常が生じたことが報知された後、バルブの乾燥を再開する場合、第3ステップにおいて1のダクトを第2のダクトに切り替えた後の状態に復帰させるようにしてもよい。
【0027】
なお、本発明において、乾燥対象のバルブは、弁体の動作量を調整することによってバルブ本体の流路を流れる流体の流量を調節するバルブであればよく、ボールバルブに限られるものではない。また、本発明において、乾燥対象のバルブは、検査時に使用された流体が残留していることを前提とするが、検査時に使用される流体は水に限られるものではない。すなわち、バルブの内部に残されている流体は水ではない場合もある。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、板面に形成された貫通孔にバルブ本体の流路が連通するように、バルブ本体の流路の一方側の開口部を板面側として、かつ板面に対してバルブ本体の流路の軸線が直交するように板面に載置されたバルブのバルブ本体の流路内に、このバルブ本体の流路の他方側の開口部から空気を吹き付け、この吹き付けられた空気によってバルブの内部から板面に形成された貫通孔を通して排出される流体を第1のダクトを通して外部に導いた後、第1のダクトを第2のダクトに切り替えて、この第2のダクトを通して送風される加熱された空気を板面に形成された貫通孔を通してバルブ本体の流路の一方側の開口部からバルブ本体の流路内に吹き付けるようにしたので、大がかりな設備とすることなく、短時間で、かつ安定した品質で、バルブの内部を自動的に乾燥させるようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係るバルブ乾燥方法を適用したバルブ乾燥システムの一実施の形態の要部を示す斜視図である。
図2】このバルブ乾燥システムのバルブ載置テーブルに固定されるバルブ支持用ネストの平面図および側断面図(図2(a)におけるI−I線断面図)である。
図3】バルブ支持用ネストを構成するステージの平面図,側面図および背面図である。
図4】バルブ支持用ネストを構成するスライドの平面図および側面図である。
図5】バルブ支持用ネストを構成するブロックの平面図および側面図である。
図6】バルブ載置テーブルにおけるバルブ支持用ネストの固定状態を示す平面図である。
図7】タイプA(大型)のリテーナが組み込まれたボールバルブの上流側フランジ部にアダプタを装着した状態を示す縦断面図である。
図8】タイプAのリテーナの縦断面図および平面図である。
図9】タイプAのリテーナが組み込まれたボールバルブの上流側フランジ部に装着されるアダプタの縦断面図、底面図および側面図である。
図10】本実施の形態のバルブ乾燥システムの要部を示す正面図および側面図である。
図11】バルブ載置テーブルの裏面に設けられたダクト切替装置の取付状態を示す斜視図である。
図12】ダクト切替装置の平面図、側面図および正面断面図(図12(a)におけるII−II線断面図)である。
図13】本実施の形態のバルブ乾燥システムの全体構成の概略を示す図(排水ダクトに切り替えられている状態を示す図)である。
図14】本実施の形態のバルブ乾燥システムの全体構成の概略を示す図(温風ダクトに切り替えられている状態を示す図)である。
図15】本実施の形態のバルブ乾燥システムにおけるボールバルブの自動乾燥動作を説明するためのフローチャートである。
図16図15に続くフローチャートである。
図17】タイプB(小型)のリテーナが組み込まれたボールバルブの上流側フランジ部にアダプタを装着した状態を示す縦断面図である。
図18】タイプBのリテーナの縦断面図および平面図である。
図19】タイプBのリテーナが組み込まれたボールバルブの上流側フランジ部に装着されるアダプタの縦断面図、底面図および側面図である。
図20】特許文献1に示されたリテーナ付きのボールバルブの要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係るバルブ乾燥方法を適用したバルブ乾燥システムの一実施の形態の要部を示す斜視図である。
【0031】
図1において、101は乾燥対象のボールバルブ、102はバルブ載置テーブル、103はバルブ支持用ネスト(ボールバルブ位置調節機構)、104は送風ユニット、105はアダプタ、106はロープ巻出装置、107はフレーム、109は温風発生装置である。
【0032】
本実施の形態において、ボールバルブ101は図20に示したボールバルブとほゞ同様の構成とされているが、リテーナの構造が若干異なっている。本実施の形態において、乾燥対象とされるボールバルブ101には、検査時に使用した流体として水が残っているものとする。
【0033】
なお、図20に示したボールバルブと区別するために、本実施の形態において乾燥対象とされるボールバルブ101を101Aとする。ボールバルブ101Aの構造については後述する。
【0034】
〔バルブ支持用ネスト〕
バルブ載置テーブル102は、フレーム107によって骨組みされた構造物110に、作業用のテーブルとして設けられている。バルブ載置テーブル102には、その板面102aに、バルブ支持用ネスト103が固定されている。この例では、バルブ載置テーブル102の板面102aに、バルブ支持用ネスト103が3つ固定されている。
【0035】
図2(a)にバルブ支持用ネスト103の平面図を示す。図2(b)に図2(a)におけるI−I線断面図を示す。バルブ支持用ネスト103は、ステージ51、スライド52、ピン53およびブロック54の4部品で構成されている。
【0036】
なお、この例では、ブロック54をスライド52とは別部材として設けているが、スライド52のブロック54に対応する箇所に一体的に凸部が形成されていてもよい。この場合、バルブ支持用ネスト103は、ステージ51、スライド52、ピン53の3部品で構成されるものとなる。
【0037】
図3(a),(b),(c)にステージ51の平面図,側面図および背面図を示す。ステージ51の板面51aには、その前方の面に、ボールバルブ101Aが置かれる位置に対応して貫通孔51bが形成されている。また、ステージ51の板面51aには、その後方の面に、T字状のガイド溝51cが形成されている。
【0038】
ステージ51において、T字状のガイド溝51cは、縦溝51c1と横溝51c2とから構成されている。図3(a)において、横方向を幅方向、縦方向を長さ方向とした場合、縦溝51c1は、板面51aの幅方向の中央の位置に、板面51aの長さ方向に形成されている。横溝51c2は、板面51aの長さ方向のほゞ中央に、板面51aの幅方向に形成されている。縦溝51c1は、板面51aの背面側から、横溝51c2とT字状に交わるところまで形成されている。また、ステージ51には、板面51aの4隅にバルブ載置テーブル102への固定用の段差孔51dが形成されている。
【0039】
図4(a),(b)にスライド52の平面図および側面図を示す。図4(a)において、横方向を幅方向、縦方向を長さ方向とした場合、スライド52の幅はステージ51の幅と同じとされている。スライド52の長さはステージ51の長さよりも短くされている。この例では、スライド52の長さは、ステージ51の2/3程度とされている。
【0040】
スライド52の板面52aには、その前方の面に、V字状の切欠52bが形成されている。このV字状の切欠52bは、等角度の傾斜角で対向する傾斜面52b1,52b2を有し、この傾斜面52b1,52b2のなす角度θは90゜とされている。また、スライド52の板面52aには、V字状の切欠52bの後方の面に、幅方向に所定の間隔で、長さ方向に少しずつ位置をずらして、ステージ51におけるスライド52の位置決め用のピン挿入孔52cが複数個形成されている。また、スライド52の板面52aには、その後方の面の中央部にブロック取付用の孔52dが2個形成されている。
【0041】
スライド52には、図2に示されているように、ブロック取付用の孔52d,52dにボルト55,55を通して、その裏面側にブロック54が取り付けられる。図5(a),(b)にブロック54の平面図および側面図を示す。なお、ブロック54には、ボルト55,55が螺合されるねじ孔54a,54aが形成されている。
【0042】
図2において、スライド52は、その裏面側に取り付けられたブロック54をT字状のガイド溝51cの縦溝51c1に嵌め込むことによって、ステージ51と組み合わせられている。この状態において、スライド52は、ブロック54が嵌め込まれたステージ51の縦溝51c1を案内用の溝として、前後方向にスライド可能な状態とされる。
【0043】
このバルブ支持用ネスト103では、スライド52のステージ51における前後方向の位置を調整し、所望の位置決め用のピン挿入孔52cがT字状のガイド溝51cの横溝51c2に対向するように位置を合わせ、この位置を合わせたピン挿入孔52cにピン53を挿入すると、そのピン挿入孔52cに挿入されたピン53の先端が横溝51c2に嵌まり込む。これによって、ピン53を位置規定部材として、ステージ51におけるスライド52の前後方向の位置が規定され、ステージ51における貫通孔51bとスライド52におけるV字状の切欠52bとの位置関係が定まる。
【0044】
本実施の形態のバルブ乾燥システムでは、このバルブ支持用ネスト103のステージ51の4隅の固定用の段差孔51dにボルト56を通し(図6参照)、このボルト56をバルブ載置テーブル102の板面102aの裏面側に突出させてナットを締め付けることによって、バルブ載置テーブル102の板面102aにバルブ支持用ネスト103を固定している。バルブ載置テーブル102の板面102aには、固定されたバルブ支持用ネスト103のステージ51に形成されている貫通孔51bに対応する位置に、貫通孔51bと同径あるいはそれよりも径の大きい貫通孔102bが形成されている。
【0045】
また、本実施の形態のバルブ乾燥システムでは、図1に示されるように、バルブ載置テーブル102に固定されたバルブ支持用ネスト103のステージ51の板面51aに、バルブ本体1の下流側フランジ部5をステージ51側として、かつステージ51の板面51aに対してバルブ本体1の流路の軸線が直交するように、ボールバルブ101Aを載置する。
【0046】
この場合、ピン53を挿入する位置決め用のピン挿入孔52cを選択することによって、ステージ51におけるスライド52の前後方向の位置を調整し、バルブ本体1の外周面(下流側フランジ部5の外周面)をスライド52のV字状の切欠52bの傾斜面52b1,52b2に当接させたとき、バルブ本体1の流路の軸心とステージ51に形成されている貫通孔51b(バルブ載置テーブル102の板面102aに形成されている貫通孔102b)の中心とを一致させるようにする。
【0047】
すなわち、本実施の形態において、スライド52における位置決め用のピン挿入孔52cの1つひとつは、口径や規格が異なるボールバルブ101(異なる外径を有するボールバルブ101)の外径に応じて定められた所定の位置に形成されており、外径が異なるボールバルブ101を載置しても、そのバルブ本体1の外周面をスライド52のV字状の切欠52bの傾斜面52b1,52b2に当接させることによって、そのバルブ本体1の流路の軸心とステージ51に形成されている貫通孔51b(バルブ載置テーブル102の板面102aに形成されている貫通孔102b)の中心とを一致させることができるものとされている。このようなバルブ支持用ネスト103を用いることによって、外径が異なるボールバルブに対して、1つのネストで対応することが可能となる。
【0048】
なお、図1においては、バルブ支持用ネスト103をバルブ載置テーブル102に3つ設けた例を示しているが、図面が複雑となることを避けるために、また説明の簡略化を図るために、中央のバルブ支持用ネスト103にボールバルブ101Aを載置した状態しか示していない。また、他のバルブ支持用ネスト103に対する送風ユニット104などの構成も省略している。他のバルブ支持用ネスト103でも中央のバルブ支持用ネスト103に対する構成と同じ構成が採用される。
【0049】
〔アダプタ〕
図1において、アダプタ105(105A)は、バルブ支持用ネスト103のステージ51の板面51aにボールバルブ101Aを載置した後、このボールバルブ101Aの上流側フランジ部4に装着されている。図7にボールバルブ101Aの上流側フランジ部4にアダプタ105Aを装着した状態の縦断面図を示す。
【0050】
本実施の形態において、ボールバルブ101Aに組み込まれているリテーナ37(37A)は両端開放の円筒状に形成され、シートリング36を上流流路11の軸線方向に移動自在に収納しており、上流側端部の外周面35に雄ねじが形成され、バルブ本体1の上流側開口部の内周面45に形成された雌ねじにねじ込まれている。このリテーナ37AをAタイプ(大型)のリテーナと呼ぶ。
【0051】
図8(a)にリテーナ37Aの縦断面図を示し、図8(b)にリテーナ37Aの平面図を示す。リテーナ37Aの上流側開口部43は、開口端面から下流側に向って小径化するテーパ孔とされており、この上流側開口部(テーパ孔)43の上縁面43bにリテーナ37Aの外周面側に抜ける4つの貫通孔38(38−1〜38−4)が上流側流体圧力取出部として円周方向に等間隔(90゜間隔)に形成されている。
【0052】
また、リテーナ37Aをボールバルブ101Aに取り付けた状態(図7)において、上流側流体圧力取出部(貫通孔)38が形成されている部分より下流側外周面には、バルブ本体1の内周面とリテーナ37Aの外周面との間に上流側流体圧力連通路39が形成されている。この上流側流体圧力連通路39は、リテーナ37Aの軸線方向に延び、かつリテーナ37Aの周方向に連通した空間として形成されており、各上流側流体圧力取出部38に連通している。
【0053】
なお、上流側開口部(テーパ孔)43の周面(テーパ面)43aには、このリテーナ37Aをバルブ本体1に取り付ける際に用いられる工具の爪が入る凹部43c,43cが形成されている。
【0054】
図9(a),(b),(c)にボールバルブ101Aの上流側フランジ部4に装着されるアダプタ105(105A)の縦断面図、底面図および側面図を示す。アダプタ105Aは、円筒状とされており、その下端面に第1の開口部57が形成され、その上端面に第2の開口部58が形成され、第1の開口部57と第2の開口部58とが連通路59によって連通されている。なお、この例において、第1の開口部57の径は第2の開口部58の径よりもやや小さくされている。
【0055】
アダプタ105Aの第1の開口部57の周縁面(アダプタの底面)57cには、第1の開口部57の周囲を2分する位置に対向してピン60−1,60−2が埋め込まれており、ピン60−1,60−2の頭部はアダプタ105Aの下端面に突出している。
【0056】
また、アダプタ105Aの第1の開口部57の周縁面(アダプタの底面)57cには、丸孔57aと横溝57bとが形成されている。横溝57bは第1の開口部57の内周面から外周面に向けて形成されており、横溝57bの一方の端部は、第1の開口部57の内周面に開口しているが、横溝57bの他方の端部は、第1の開口部57の外周面には開口しておらず、その手前で閉塞されている。また、アダプタ105Aには、その外周面に開口する横孔62が形成されており、この横孔62は、アダプタ105Aの軸方向に形成された連通路62aによって、第1の開口部57の周縁面57cに形成されている丸孔57aと連通している。
【0057】
図7はこのアダプタ105Aをボールバルブ101Aの上流側フランジ部4に装着した状態を示している。アダプタ105Aをボールバルブ101Aの上流側フランジ部4に装着した状態において、アダプタ105Aの第1の開口部57すなわち連通路59は、ボールバルブ101Aのバルブ本体1の他方側の開口部(流入口7)に連通された状態となる。また、リテーナ37Aの上流側流体圧力取出部38−1と38−3は、アダプタ105Aの下端面に突出しているピン60−1と60−2の頭部によって塞がれた状態となる。また、リテーナ37Aの上流側流体圧力取出部38−2には、アダプタ105Aの第1の開口部57の周縁面57cに形成されている丸孔57aが対向し、リテーナ37Aの上流側流体圧力取出部38−4には、アダプタ105Aの第1の開口部57の周縁面57cに形成されている横溝57bが対向する。
【0058】
これにより、リテーナ37Aの外周面とバルブ本体1の内周面との間に形成されている上流側流体圧力連通路39が、アダプタ105Aに形成されている横孔62と連通状態とされる。すなわち、リテーナ37Aの上流側流体圧力取出部38−2にアダプタ105Aの第1の開口部57の周縁面57cに形成されている丸孔57aが対向することによって、アダプタ105Aに形成されている横孔62とリテーナ37Aの外周面とバルブ本体1の内周面との間に形成されている上流側流体圧力連通路39とが連通路62aを通して連通状態となる。
【0059】
なお、アダプタ105Aの横孔62には、ボールバルブ101Aの上流側フランジ部4に装着された状態において、圧縮空気の供給用のホース63が取り付けられる。
【0060】
〔送風ユニット〕
ボールバルブ101Aの上流側フランジ部4に装着されたアダプタ105Aには、図13に示されるように、送風ユニット104が連結される。送風ユニット104は、円筒状のユニットであり、外周面に圧縮空気の供給口65を、上端面に空気の取り入れ口66を、下端面に空気の送風口67を備えている。送風ユニット104の供給口65には圧縮空気の供給用のホース68が取り付けられる。
【0061】
送風ユニット104は、供給口65から圧縮空気が供給されると、空気の取り入れ口66から周囲の空気を取り入れ、その空気を送風口67から吹き出す。
【0062】
なお、本実施の形態では、送風ユニット104としてSMC株式会社製のバキュームフローと呼ばれるユニットを用いている(非特許文献1参照)。
【0063】
〔ロープ巻出装置〕
送風ユニット104は、バルブ載置テーブル102に設けられたバルブ支持用ネスト103のステージ51に形成されている貫通孔51b(バルブ載置テーブル102の板面102aに形成されている貫通孔102b)の直上に、ステージ51の板面51a(バルブ載置テーブル102の板面102a)からの高さ位置を調整可能に吊り下げられている。
【0064】
この実施の形態では、フレーム107によって骨組みされた構造物110の天井にロープ巻出装置106を取り付けて吊下機構とし、この吊下機構のロープ巻出装置106から巻き出されるロープ64の先端を送風ユニット104に取り付けることによって、ステージ51の板面51a(バルブ載置テーブル102の板面102a)からの高さ位置を調整可能に送風ユニット104をボールバルブ101Aの真上に吊り下げている。
【0065】
ロープ巻出装置106は、ロープ64の巻き出しおよび巻き戻し機能と、ロープ64の先端に取り付けられた送風ユニット104を任意の高さ位置でバランスを保って静止させる機能とを備えている。
【0066】
すなわち、この実施の形態で用いられているロープ巻出装置106は、ロープ64を引き下げ後、ロープ64が自動で引き上がる一般的なタイプのものではなく、ロープ64の巻き出し位置をバランスを保って任意の位置で静止させるラチェット機構を有する特殊なタイプとされている。
【0067】
なお、本実施の形態では、ロープ巻出装置106として、遠藤工業株式会社製のツールバランサと呼ばれる装置を用いている(非特許文献2参照)。このツールバランサにはラチェット機構が付加されたものもある。
【0068】
図1においては、ロープ巻出装置106からロープ64を巻き出して送風ユニット104をボールバルブ101Aの直上に位置させて、ボールバルブ101Aの上に装着されているアダプタ105Aに送風ユニット104を連結させている。すなわち、送風ユニット104の送風口67とアダプタ105Aの開口部58とを連通させている(図13参照)。
【0069】
ロープ巻出装置106は送風ユニット104を任意の高さ位置でバランスを保って静止させる機能を有しているため、送風ユニット104をアダプタ105Aに連結させた後、送風ユニット104から手を離しても、送風ユニット104の送風口67がアダプタ105Aの開口部58から外れることはない。
【0070】
これにより、送風ユニット104の高さが定位置に保持され、送風ユニット104の送風口67とアダプタ105Aの開口58との連通した状態が保たれる。
【0071】
〔水受け、温風発生装置〕
バルブ載置テーブル102の下面には、図10に示すように、水受け108や温風発生装置109が設けられている。水受け108には、排水ダクト69を通して、ボールバルブ101Aの内部から排出される流体(この例では、ボールバルブ101Aの内部に残留している検査時に使用された水)が導かれる。温風発生装置109は、内蔵されたヒータによって空気を加熱し、この加熱された空気を温風ダクト70へ送る。
【0072】
〔ダクト切替装置〕
バルブ載置テーブル102の裏面には、図11に示すように、ダクト切替装置111が設けられている。このダクト切替装置111によって、排水ダクト69とバルブ載置テーブル102の板面102aに形成されている貫通孔102bとの連通状態と、温風ダクト70とバルブ載置テーブル102の板面102aに形成されている貫通孔102bとの連通状態とが選択的に切り替えられる。
【0073】
図12(a),(b)にダクト切替装置111の平面図および側面図を示す。図12(c)に図12(a)におけるII−II線断面図を示す。
【0074】
このダクト切替装置111は、ダクトホルダ71とエアシリンダユニット72とから構成されており、エアシリンダユニット72はエアシリンダ73とレール74−1,74−2とを備えている。
【0075】
このダクト切替装置111において、エアシリンダ73の圧縮空気供給口73aへ圧縮空気を供給すると、ダクトホルダ71がレール74−1,74−2に沿って矢印A方向へスライド移動し、逆に、エアシリンダ73の圧縮空気供給口73bへ圧縮空気を供給すると、ダクトホルダ71がレール74−1,74−2に沿って矢印B方向へスライド移動する。矢印A方向や矢印B方向へスライド移動した後は、エアシリンダ73への圧縮空気の供給を停止しても、その移動した状態が保たれる。ダクトホルダ71には、排水ダクト69が接続される開口71a(第1のポート)と、温風ダクト70が接続される開口71b(第2のポート)とが形成されている。
【0076】
また、ダクト切替装置111は、ダクトホルダ71を矢印A方向へスライド移動させた時、排水ダクト69が接続された開口71aがバルブ載置テーブル102の板面102aに形成されている貫通孔102bに合致するように、ダクトホルダ71を矢印B方向へスライド移動させた時、温風ダクト70が接続された開口71bがバルブ載置テーブル102の板面102aに形成されている貫通孔102bに合致するように、バルブ載置テーブル102の裏面に取り付けられている(図12参照)。本実施の形態においては、エアシリンダ73が、開口71a(第1のポート)の位置と開口71b(第2のポート)の位置とを貫通孔102bが形成されている位置(定位置)に選択的に切り替える切替機構を構成している。
【0077】
〔全体構成〕
図13に本実施の形態のバルブ乾燥システムの全体構成の概略を示す。このバルブ乾燥システムには、上述した構成に加えて、圧縮空気供給装置112や制御装置113が設けられている。
【0078】
圧縮空気供給装置112には、アダプタ105Aに取り付けられたホース63、送風ユニット104に取り付けられたホース68、ダクト切替装置111に取り付けられたホース75および76が接続されている。
【0079】
また、圧縮空気供給装置112からのホース63への圧縮空気の供給路には電磁弁(リテーナ向け電磁弁)78が設けられ、ホース68への圧縮空気の供給路には電磁弁(送風ユニット向け電磁弁)79が設けられ、 ホース75,76への圧縮空気の供給路には電磁弁(シリンダ向け電磁弁)80,81が設けられている。また、バルブ載置テーブル102の上には、スタートスイッチ82や緊急停止スイッチ83などが設けられている。
【0080】
制御装置113は、本実施の形態のバルブ乾燥システムの全体の動作を制御する装置として設けられており、電磁弁78〜81、温風発生装置109、圧縮空気供給装置112などの動作を制御する。制御装置113は、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現される。
【0081】
以下、図15および図16に分割して示すフローチャートに従って、このバルブ乾燥システムにおいて自動的に行われるボールバルブの乾燥動作について説明する。
【0082】
なお、この例において、ダクト切替装置111は、図15および図16に示したフローチャートに従う自動乾燥動作に入る前の状態として、図13に示された状態、すなわち排水ダクト69とバルブ載置テーブル102の貫通孔102bとを連通させた状態(排水ダクトに切り替えられている状態(ダクトが排水側に切り替えられている状態))にあるものとする。
【0083】
〔準備作業〕
作業者は、ボールバルブの自動乾燥動作に入る前に、先ず準備作業として、乾燥対象のボールバルブ101Aをバルブ支持用ネスト103にセットし、このセットしたボールバルブ101Aの上流側フランジ部4にアダプタ105Aを装着する。
【0084】
ボールバルブ101Aのバルブ支持用ネスト103へのセットに際しては、スライド52のステージ51における前後方向の位置を調整し、セットしようとするボールバルブ101Aの外径に対応するピン挿入孔52cがT字状のガイド溝51cの横溝51c2に対向するように位置を合わせる。そして、この位置を合わせたピン挿入孔52cにピン53を挿入し、そのピン挿入孔52cに挿入されたピン53の先端を横溝51c2に嵌め込むことによって、ステージ51におけるスライド52の前後方向の位置を規定する。そして、このステージ51におけるスライド52の前後方向の位置を規定させた状態で、ボールバルブ101Aのバルブ本体1の外周面(下流側フランジ部5の外周面)をスライド52のV字状の切欠52bの傾斜面52b1,52b2に当接させ、バルブ本体1の流路の軸心とステージ51に形成されている貫通孔51b(バルブ載置テーブル102の板面102aに形成されている貫通孔102b)の中心とを一致させる。
【0085】
また、アダプタ105Aのボールバルブ101Aの上流側フランジ部4への装着に際しては、第1の開口部57の径を異ならせたアダプタ105Aが複数種類用意されているので、この複数種類の中から乾燥対象のボールバルブ101Aの口径に適したアダプタ105Aを選び、その選んだアダプタ105Aをボールバルブ101Aの上流側フランジ部4に装着する。
【0086】
このボールバルブ101Aのバルブ支持用ネスト103へのセット、ボールバルブ101Aの上流側フランジ部4へのアダプタ105Aの装着に際し、送風ユニット104はボールバルブ101Aの直上の高い位置に吊り下げられているので、邪魔になることはない。これにより、バルブ支持用ネスト103へのボールバルブ101Aの設置作業やボールバルブ101Aへのアダプタ105Aの取付作業が容易となる。
【0087】
次に、このボールバルブ101Aの上流側フランジ部4に装着したアダプタ105Aに、送風ユニット104を連結する。この場合、送風ユニット104はロープ巻出装置106によってボールバルブ101Aの直上に吊り下げられているので、このロープ巻出装置106からロープ64を巻き出すことによって、送風ユニット104を下に降ろし、その高さ位置を合わせて、アダプタ105Aに連結させる。
【0088】
この場合、ロープ巻出装置106は送風ユニット104を任意の高さ位置でバランスを保って静止させる機能を有しているので、送風ユニット104をアダプタ105Aに連結させた後、送風ユニット104から手を離しても、送風ユニット104の送風口67がアダプタ105Aの開口部58から外れることはない。また、送風ユニット104の高さが定位置に保持され、送風ユニット104の送風口67とアダプタ105Aの開口58との連通した状態が保たれる。また、上にある送風ユニット104を引き下げるだけでよく、アダプタ105Aへの送風ユニット104の連結作業、すなわちアダプタ105Aが装着されたボールバルブ101Aへの送風ユニット104の連結作業が容易となる。
【0089】
〔ボールバルブの内部の自動乾燥〕
〔リテーナの水切り〕
作業者は、このようにして準備作業を行い、送風ユニット104をアダプタ105Aが装着されたボールバルブ101Aに連結させた後、スタートスイッチ82をオンとする(図15:ステップS101)。
【0090】
すると、制御装置113は、スタートスイッチ82がオンとされたことを確認して、リテーナ向け電磁弁78を開とする(ステップS102)。これにより、圧縮空気供給装置112からの圧縮空気がホース63を通してアダプタ105Aの横孔62(図7参照)へ送られ、この横孔62から連通路62aを通して、リテーナ37Aの上流側流体圧力取出部38−2に送られる。
【0091】
この場合、リテーナ37Aの上流側流体圧力取出部38−1と38−3はピン60−1と60−2の頭部によって塞がれた状態となっているので、リテーナ37Aの上流側流体圧力取出部38−2に送られた圧縮空気がリテーナ37Aの外周面とバルブ本体1の内周面との間に形成されている上流側流体圧力連通路39に入り込み、開口状態とされているリテーナ37Aの上流側流体圧力取出部38−4から横溝57bを通ってバルブ本体1の流路内に流れ出る。
【0092】
これにより、リテーナ37Aの外周面とバルブ本体1の内周面との間に形成されている上流側流体圧力連通路39に残留している水分(リテーナ37Aの外周面とバルブ本体1の内周面との間の隙間に残留している水分)が、リテーナ37Aの上流側流体圧力取出部38−2からの圧縮空気と共にバルブ本体1の流路内に排出される。
【0093】
本実施の形態では、このリテーナ向け電磁弁78を開としての水分の除去を、すなわちアダプタ105Aの横孔62から圧縮空気を供給してのリテーナ37Aの外周面とバルブ本体1の内周面との間の隙間に残留している水分の除去を、リテーナの水切りと呼ぶ。
【0094】
制御装置113は、このリテーナの水切り中、リテーナ向け電磁弁78を開としてからの時間をタイマによって計時し、この計時時間が規定時間に到達すると(ステップS104のYES)、リテーナ向け電磁弁78を閉とする(ステップS105)。
【0095】
なお、リテーナの水切り中、緊急停止スイッチ83がオンとされると(ステップS103のYES)、制御装置113は、ボールバルブ101Aの乾燥をやり直す(再開する)と判断し、バルブ乾燥システムの状態をスタートスイッチ82がオンとされる前の状態(初期状態)に戻す。
【0096】
〔バルブ本体の流路の水切り〕
制御装置113は、リテーナ向け電磁弁78を閉とした後(ステップS105)、送風ユニット向け電磁弁79を開とする(ステップS106)。これにより、圧縮空気供給装置112からの圧縮空気がホース68を通して、送風ユニット104の圧縮空気の供給口65へ送られる。
【0097】
送風ユニット104は、供給口65へ圧縮空気が供給されると、空気の取り入れ口66から周囲の空気を取り入れ、その空気を送風口67から吹き出す。
【0098】
送風ユニット104の送風口67から吹き出された空気は、アダプタ105Aの連通路59を通り、バルブ本体1の流路内に吹き付けられる。これにより、バルブ本体1の流路内に残留している水分(リテーナ37Aの外周面とバルブ本体1の内周面との間の隙間に残留していた水分+リテーナの水切り前にバルブ本体1の流路内に残留していた水分)がバルブ本体1の流路の一方側の開口部(流出口6)から吹き出される。この吹き出された水分は、バルブ支持用ネスト103の貫通孔51bを通り、バルブ載置テーブル102の板面102aに形成されている貫通孔102bに入る。
【0099】
この時、ダクト切替装置111は、最初の状態として、排水ダクト69とバルブ載置テーブル102の貫通孔102bとを連通させている状態にあり、バルブ載置テーブル102の板面102aに形成されている貫通孔102bに入った水分(バルブ本体1の内部から排出された水分)は、排水ダクト69を通って水受け108へと送られる。
【0100】
この際、バルブ本体1の流路内に残留していた水分は、送風ユニット104の送風口67からの空気の吹き付け力に重力が加わって落下するようにバルブ本体1の流路内から排出され、排水ダクト69を通って水受け108へ至る。これにより、ボールバルブ101Aの内部の水切りが効率的に行われる。
【0101】
本実施の形態では、この送風ユニット向け電磁弁79を開としての水分の除去を、すなわち送風ニット104の送風口67から空気を吹き出してのバルブ本体1の流路内に残留している水分(リテーナ37Aの外周面とバルブ本体1の内周面との間の隙間に残留していた水分+リテーナの水切りの前にバルブ本体1の流路内に残留していた水分)の除去を、バルブ本体の流路の水切りと呼ぶ。
【0102】
なお、この例において、温風発生装置109はバルブ載置テーブル102の板面102aに形成されている貫通孔102bの真下にあるが、バルブ本体1の流路内から排出された水分は排水ダクト69を通って水受け108へ至るので、温風発生装置109に水がかかってしまうというようなことはない。
【0103】
制御装置113は、このバルブ本体の流路の水切り中、送風ユニット向け電磁弁79を開としてからの時間をタイマによって計時し、この計時時間が規定時間に到達すると(ステップS108のYES)、送風ユニット向け電磁弁79を閉とする(図16:ステップS109)。
【0104】
なお、バルブ本体の流路の水切り中、緊急停止スイッチ83がオンとされると(ステップS107のYES)、制御装置113は、ボールバルブ101Aの乾燥をやり直す(再開する)と判断し、バルブ乾燥システムの状態をスタートスイッチ82がオンとされる前の状態(初期状態)に戻す。
【0105】
なお、図15中に点線で示すように、スタートスイッチ82がオンとされる前の状態ではなく、送風ユニット向け電磁弁79を開とする前の状態(バルブ本体の流路の水切工程の初期状態)に戻すようにしてもよい。
【0106】
〔温風による乾燥〕
制御装置113は、送風ユニット向け電磁弁79を閉とした後(ステップS109)、シリンダ向け電磁弁81を開とする(ステップS110)。これにより、圧縮空気供給装置112からの圧縮空気がホース76を通して、ダクト切替装置111のエアシリンダ73へ送られる。この場合、エアシリンダ73へB方向への圧縮空気が送られる。
【0107】
これにより、ダクトホルダ71がB方向へスライド移動し、温風ダクト70が接続された開口71bがバルブ載置テーブル102の板面102aの貫通孔102bに合致する(図14参照)。すなわち、温風ダクト70とバルブ載置テーブル102の貫通孔102bとを連通させた状態(温風ダクトに切り替えられている状態(ダクトがヒータ側に切り替えられている状態))に切り替えられる。
【0108】
なお、ダクトをヒータ側へ切り替えた後は、シリンダ向け電磁弁81を閉とする。シリンダ向け電磁弁81を閉としても、ダクト切替装置111はダクトをヒータ側へ切り替えた状態を保つ。
【0109】
そして、制御装置113は、温風発生装置109のヒータをオンとする(ステップS111)。温風発生装置109は、送風機を備えており、ヒータによって加熱された空気を温風として送風する。この加熱された空気(温風)は、温風ダクト70を通って、ダクト切替装置111の開口71bに至る。
【0110】
この時、ダクト切替装置111の開口71bは、ステップS110においてバルブ載置テーブル102の板面102aの貫通孔102bに合致するように切り替えられている。このため、温風発生装置109からの加熱された空気は、すなわち温風ダクト70の排風口(送風口)70aから吹き出される加熱された空気は、バルブ載置テーブル102の板面102aの貫通孔102b(ステージ51の貫通孔51b)を通って、バルブ本体1の流路内に吹き付けられる。
【0111】
この際、温風ダクト70の排風口(送風口)70aから吹き出される加熱された空気(温風)は、排風口(送風口)70aからの空気の吹き付け力に加熱された空気の浮力が加わって上昇するようにバルブ本体1の流路内に流入する。これにより、ボールバルブ101Aの内部の温風乾燥が効率的に行われる。
【0112】
制御装置113は、このボールバルブ101Aの内部の温風乾燥中、シリンダ向け電磁弁81を開としてからの時間をタイマによって計時し、この計時時間が規定時間に到達すると(ステップS114のYES)、シリンダ向け電磁弁80を開とする(ステップS115)。
【0113】
これにより、圧縮空気供給装置112からの圧縮空気がホース75を通して、ダクト切替装置111のエアシリンダ73へ送られる。この場合、エアシリンダ73へA方向への圧縮空気が送られる。これにより、ダクトホルダ71がA方向へスライド移動し、排水ダクト69が接続された開口71aがバルブ載置テーブル102の板面102aの貫通孔102bに合致する(図13参照)。すなわち、ダクトが排水側へ切り替わる。
【0114】
なお、ダクトを排水側へ替えた後は、シリンダ向け電磁弁80を閉とする。シリンダ向け電磁弁80を閉としても、ダクト切替装置111はダクトを排水側へ切り替えた状態を保つ。
【0115】
制御装置113は、ダクトを排水側へ切り替えた後、温風発生装置109のヒータをオフとし(ステップS116)、温風発生装置109からの加熱された空気の送風を停止する。
【0116】
なお、ボールバルブ101Aの内部の温風乾燥中、緊急停止スイッチ83がオンとされると(ステップS112のYES)、制御装置113は、ボールバルブ101Aの乾燥をやり直す(再開する)と判断し、バルブ乾燥システムの状態をスタートスイッチ82がオンとされる前の状態(初期状態)に戻す。
【0117】
また、不図示の温度スイッチによって温風発生装置109のヒータの異常昇温を検知した場合(ステップS113のYES)、制御装置113は、ボールバルブ101Aの乾燥をやり直す(再開する)と判断し、バルブ乾燥システムの状態をスタートスイッチ82がオンとされる前の状態(初期状態)に戻す。
【0118】
温風発生装置109のヒータの異常昇温を検知する温度スイッチは、ボールバルブ101Aの乾燥を行う前にその内部にセットするようにしてもよいし、ボールバルブ101Aが温度スイッチを備えている場合には、その温度スイッチを流用するようにしてもよい。
【0119】
なお、緊急停止スイッチ83がオンとされた時や温風発生装置109のヒータの異常昇温を検知した時、ボールバルブ101Aの乾燥をやり直す(再開する)と判断し、スタートスイッチ82がオンとされる前の状態ではなく、図16中に点線で示すように、温風発生装置109のヒータをオンとする前の状態(温風による乾燥工程の初期状態(ダクトをヒータ側に切り替えた後の状態))に戻すようにしてもよい。
【0120】
この場合、スタートスイッチ82がオンとされる前の状態ではなく、温風による乾燥工程の初期状態に戻すことにより、ダクト切替装置111をヒータ側に切り替えたまま、すなわち排水側に切り替えられたダクト切替装置111をヒータ側へ再び切り替えるというような手間のかかる工程を経ることなく、温風による乾燥工程をやり直すことができるようになる。これにより、何らかの異常が生じた場合、温風による乾燥工程を再開するまでの時間が短縮される。
【0121】
なお、図15および図16に示したフローチャートでは、タイマとリレーを使用して水切りをする箇所の切り替えのタイミング、排水ダクト/温風ダクトの切り替えのタイミングを制御するようにしているが、タイマーによる時間管理でなく、乾燥度センサ(バルブ取り付けのセンサ、またはセンサを外部から内部へ挿入)を使用し、バルブ内部の乾燥度で切り替えのタイミングを制御するようにしてもよい。すなわち、ステップS104、ステップS108、ステップS114などにおいて、タイマの計時時間ではなく、各動作の完了を是とする状態に至ったことを検出するセンサからの信号に基づいて、次の動作に移行するようにしてもよい。
【0122】
また、本実施の形態のバルブ乾燥システムは、図13図14の全体構成には示していないが、スタートスイッチ82や緊急停止スイッチ83と同様にして、電磁弁やヒータを一時的にOFFとする一時停止スイッチも備えている。これにより、圧縮空気の供給を一時的に止めたり、ヒータによる空気の加熱を一時的に止めたりすることも可能である。
【0123】
〔リテーナ付きのボールバルブの別の例〕
図17に、ボールバルブ101の別の例として、タイプB(小型)のリテーナ37Bが組み込まれたボールバルブ101Bの上流側フランジ部4にアダプタ105Bを装着した状態を示す。
【0124】
このボールバルブ101Bにおいても、ボールバルブ101Aと同様、リテーナ37Bは両端開放の円筒状に形成され、シートリング36を上流流路11の軸線方向に移動自在に収納しており、上流側端部の外周面35に雄ねじが形成され、バルブ本体1の上流側開口部の内周面45に形成された雌ねじにねじ込まれている。
【0125】
図18(a)にリテーナ37Bの縦断面図を示し、図18(b)にリテーナ37Bの平面図を示す。リテーナ37Bの上流側開口部43は開口端面から下流側に向って小径化するテーパ孔とされている。このリテーナ37Bの上流側開口部(テーパ孔)43の周面(テーパ面)43aには、リテーナ37Bの内周面と外周面とを貫通する4つの貫通孔38(38−1〜38−4)が上流側流体圧力取出部として円周方向に等間隔(90゜間隔)に形成されている。
【0126】
また、リテーナ37Bをボールバルブ101Bに取り付けた状態(図17)において、上流側流体圧力取出部(貫通孔)38が形成されている部分より下流側外周面には、バルブ本体1の内周面とリテーナ37Bの外周面との間に上流側流体圧力連通路39が形成されている。この上流側流体圧力連通路39は、リテーナ37Bの軸線方向に延び、かつリテーナ37Bの周方向に連通した空間として形成されており、各上流側流体圧力取出部38に連通している。
【0127】
図19(a),(b),(c)にボールバルブ101Bの上流側フランジ部4に装着されるアダプタ105Bの縦断面図、底面図および側面図を示す。アダプタ105Bは、円筒状とされており、その下端面に小径の第1の開口部57が形成され、その上端面に大径の第2の開口部58が形成され、第1の開口部57と第2の開口部58とが連通路59によって連通されている。
【0128】
アダプタ105Bの第1の開口部57の周縁面(アダプタの底面)57cには、第1の開口部57の周囲を2分する位置に対向してスタッドピン60−1,60−2が埋め込まれており、スタッドピン60−1,60−2の頭部はアダプタ105Bの下端面に突出している。
【0129】
また、アダプタ105Bの第1の開口部57の周縁面(アダプタの底面)57cには、スタッドピン60−1と60−2との間の周囲を2分する位置にパイプ61が埋め込まれている。このパイプ61もスタッドピン60−1,60−2と同様、その頭部がアダプタ105Bの下端面に突出しているが、パイプ61の先端部(頭部)は縦に割られてその一部が開かれており、その開かれた部分がアダプタ105Bの外周方向に面している。
【0130】
また、アダプタ105Bには、その外周面に開口する横孔62が形成されている。この横孔62は、アダプタ105Bの軸方向に形成されている連通路62aを通して、パイプ61の中空部と連通した状態とされている。
【0131】
図17はこのアダプタ105Bをボールバルブ101Bの上流側フランジ部4に装着した状態を示している。アダプタ105Bをボールバルブ101Bの上流側フランジ部4に装着した状態において、アダプタ105Bの第1の開口部57すなわち連通路59は、ボールバルブ101Bのバルブ本体1の他方側の開口部(流入口7)に連通した状態となる。また、リテーナ37Bの上流側流体圧力取出部38−1と38−3は、アダプタ105Bの下端面に突出しているスタッドピン60−1と60−2の頭部によって塞がれた状態となる。また、リテーナ37Bの上流側流体圧力取出部38−2には、アダプタ105Bの下端面に突出しているパイプ61の頭部が嵌まり込む。
【0132】
これにより、リテーナ37Bの外周面とバルブ本体1の内周面との間に形成されている上流側流体圧力連通路39が、アダプタ105Bに形成されている横孔62と連通状態とされる。すなわち、リテーナ37Bの上流側流体圧力取出部38−2にアダプタ105Bの第1の開口部57の周縁面57cに埋め込まれているパイプ61の頭部が嵌まり込むことによって、アダプタ105Bに形成されている横孔62とリテーナ37Bの外周面とバルブ本体1の内周面との間に形成されている上流側流体圧力連通路39とが連通路62aを通して連通状態となる。
【0133】
アダプタ105Bの横孔62には、ボールバルブ101Bの上流側フランジ部4に装着された状態において、圧縮空気の供給用のホース63が取り付けられる。これにより、ホース63からの圧縮空気が、アダプタ105Bの横孔62へ送られ、連通路62aに入り、パイプ61を通して、リテーナ37Bの上流側流体圧力取出部38−2に送られる。
【0134】
この場合、リテーナ37Bの上流側流体圧力取出部38−1と38−3はスタッドピン60−1と60−2の頭部によって塞がれた状態となっているので、リテーナ37Bの上流側流体圧力取出部38−2に送られた圧縮空気がリテーナ37Bの外周面とバルブ本体1の内周面との間に形成されている上流側流体圧力連通路39に入り込み、開口状態とされているリテーナ37Bの上流側流体圧力取出部38−4からバルブ本体1の流路内に流れ出る。
【0135】
これにより、リテーナ37Bの外周面とバルブ本体1の内周面との間に形成されている上流側流体圧力連通路39に残留している水分(リテーナ37Bの外周面とバルブ本体1の内周面との間の隙間に残留している水分)が、リテーナ37Bの上流側流体圧力取出部38−2からの圧縮空気と共にバルブ本体1の流路内に排出される。
【0136】
以上の説明から分かるように、本実施の形態では、バルブ載置テーブル102の板面102aに形成されている貫通孔102bにバルブ本体1の流路が連通するように、バルブ本体1の流路の一方側の開口部(流出口6)を板面側102aとして、かつ板面102aに対してバルブ本体1の流路の軸線が直交するように板面102aに載置されたボールバルブ101のバルブ本体1の流路内に、このバルブ本体1の流路の他方側の開口部(流入口7)から空気を吹き付け、この吹き付けられた空気によってボールバルブ101の内部から板面102aに形成されている貫通孔102bを通して排出される水分を排水ダクト69を通して外部に導いた後、排水ダクト69を温風ダクト70に切り替えて、この温風ダクト70を通して送風される加熱された空気を板面102aに形成されている貫通孔102bを通してバルブ本体1の流路の一方側の開口部(流出口6)からバルブ本体1の流路内に吹き付けるようにしているので、大がかりな設備とすることなく、短時間で、かつ安定した品質で、ボールバルブ101の内部を自動的に乾燥させることができるようになる。
【0137】
なお、上述した実施の形態では、ボールバルブ位置調節機構としてバルブ支持用ネスト103を用いるようにしたが、必ずしもこのようなバルブ支持用ネスト103を設けなくてもよく、例えば、ボールバルブ101をバルブ載置テーブル102に直接載置するようにし、手作業で、ボールバルブ101の流路とバルブ載置テーブル102の板面102aに形成されている貫通孔102aとを合わせるようにしてもよい。
【0138】
また、上述した実施の形態では、ボールバルブ101と送風ユニット104との間にアダプタ105を介装させるようにしたが、必ずしもアダプタ105を介装させなくてもよい。例えば、乾燥対象とされるボールバルブ101が1種類であれば、そのボールバルブ101の口径に送風ユニット104の送風口67の口径を合わせるようにして、また、特殊な構造とはなるが、スタッドピンやパイプなどのリテーナの水切り構造を送風ユニット104側に設けるようにして、アダプタ105を介装させることなく、ボールバルブ101の内部の乾燥を行わせることも可能である。
【0139】
また、上述した実施の形態では、リテーナ付きのボールバルブを乾燥対象として説明したが、リテーナ付きではないボールバルブを乾燥対象としてもよいことは言うまでもない。この場合、リテーナの水切りが不要であるので、アダプタ105にはリテーナの水切り構造を設けなくてもよい。
【0140】
また、上述した実施の形態では、ロープ巻出装置106から巻き出されるロープ64によってその高さ位置を調整可能にボールバルブ101の直上に送風ユニット104を吊すようにしたが、必ずしもこのようなロープ巻出装置106で送風ユニット104を吊すようにしなくてもよい。例えば、作業性は悪くなるが、送風ユニット104を人手で持ち上げて、ボールバルブ101に対して連結するようにしてもよい。
【0141】
また、上述した実施の形態では、フレーム107で構成された構造物110の天井にロープ巻出装置106を設け、この構造物110の天井から送風ユニット104を吊すようにしたが、室内の天井にロープ巻出装置106を設け、室内の天井から送風ユニット104を吊すようにするなどしてもよい。
【0142】
また、上述した実施の形態では、ダクトホルダ71とエアシリンダユニット72とから構成されるシリンダ式のダクト切替装置111をダクト切替機構とし、このダクト切替装置111によって排水ダクト69と温風ダクト70とを切り替えるようにしたが、排水ダクト69と温風ダクト70とを選択的に切り替えるダクト切替機構はこのような方式のものに限られるものではない。
【0143】
また、上述した実施の形態では、送風ユニット104としてバキュームフローを用いるようにしたが、すなわち、外周面に圧縮空気の供給口65を、上端面に空気の取り入れ口66を、下端面に空気の送風口67を備えた円筒状の送風ユニット104を用いるようにしたが、このような構造のものに限られるものではない。また、必ずしも送風ユニット104を用いなくてもよく、例えば、送風機につながれたホースの先端をアダプタ105に連結し、この連結したホースの先端(送風口)から大量の空気をバルブ本体1の流路内に吹き付けるようにしてもよい。
【0144】
また、上述した実施の形態において、水受け108や温風発生装置109は、図10に示されているように、バルブ支持用ネスト103毎に設けるようにしてもよいが、例えば、3つのボールバルブ101に対して同時に乾燥を行うような場合には、3つのバルブ支持用ネスト103に対して水受け108や温風発生装置109を1つとし、水受け108や温風発生装置109の共用化を図るようにしてもよい。
【0145】
また、上述した実施の形態では、バルブ本体1の内周面とリテーナ37の外周面との間の上流側流体圧力連通路39をリテーナ37の軸線方向に延び、かつリテーナ37の周方向に連通した空間としたが、この空間はその軸線方向の全てが周方向に連通した空間であってもよいし、その軸線方向の下端部のみが周方向に連通した空間であってもよい。
【0146】
上述した実施の形態におけるボールバルブ101A,101Bにおいて、バルブ本体1の内周面とリテーナ37の外周面との間の上流側流体圧力連通路39は、その軸線方向の全てが周方向に連通した空間とされている。これに対し、図20に従来例として示したボールバルブ101では、バルブ本体1の内周面とリテーナ37の外周面との間の上流側流体圧力連通路39が溝とされ、各溝の軸線方向の下端部を環状の溝でつなぐことにより周方向に連通した空間とされている。
【0147】
また、上述した実施の形態では、乾燥対象のバルブをボールバルブとしたが、乾燥対象のバルブはボールバルブに限られるものではない。すなわち、弁体の動作量を調整することによってバルブ本体の流路を流れる流体の流量を調節するバルブであればよく、そのバルブの種別は問わない。
【0148】
また、上述した実施の形態では、乾燥対象のバルブに検査時に使用された流体として水が残留していることを前提としたが、検査時に使用される流体は水に限られるものではない。すなわち、バルブの内部に残されている流体は水ではない場合もあり、水ではない液体の場合も同様にしてその液体の排出および蒸発が行われる。
【0149】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0150】
1…バルブ本体、2…ボール弁体、4…上流側フランジ部、5…下流側フランジ部、6…流出口、7流入口、23…貫通流路、37(37A,37B)…リテーナ、38…上流側流体圧力取出部(貫通孔)、39…上流側流体圧力連通路、51…ステージ、52…スライド、53…ピン、54…ブロック、69…排水ダクト、70…温風ダクト、101(101A,101B)…ボールバルブ、102…バルブ載置テーブル、102a…板面、102b…貫通孔、103…バルブ支持用ネスト、104…送風ユニット、105(105A,105B)…アダプタ、106…ロープ巻出装置、107…フレーム、108…水受け、109…温風発生装置、110…構造物、111…ダクト切替装置、112…圧縮空気供給装置、113…制御装置。
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図11