【解決手段】半導体装置1Aは、電界効果トランジスタのための半導体構造を提供する活性領域11、並びに活性領域11の周囲に設けられた不活性領域12を有する半導体層10と、活性領域11上に設けられたゲート電極20と、ゲート電極20の両側の活性領域11上に設けられたソース電極40及びドレイン電極30と、ドレイン電極30と電気的に接続されたドレインパッド60と、ドレイン電極30及びドレインパッド60を覆い、ドレインパッド60上に開口82bを有する絶縁膜82と、ソース電極40とドレインパッド60との間の領域における、不活性領域12に接して設けられた金属製のガード部90とを備える。
前記ガード部は、前記ドレイン電極に電気的に接続された電極パッドと前記ソース電極との間、および、前記ソース電極に電気的に接続された電極パッドと前記ドレイン電極との間のそれぞれに設けられている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に、本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。本願発明の一実施形態による半導体装置は、電界効果トランジスタのための半導体構造を提供する活性領域、並びに活性領域の周囲に設けられた不活性領域を有する半導体層と、活性領域上に設けられたゲート電極と、ゲート電極の両側の活性領域上に設けられたソース電極及びドレイン電極と、ソース電極及びドレイン電極のうち一方の電極と電気的に接続された電極パッドと、電極パッドを覆い、電極パッド上に開口を有する絶縁膜と、ソース電極及びドレイン電極のうち他方の電極と電極パッドとの間の領域における、不活性領域に接して設けられた金属製のガード部とを備える。
【0012】
通常、絶縁膜の開口から電極パッドと絶縁膜との界面に水分が侵入した場合、その水分は、絶縁膜の下面を伝って移動する。上記の半導体装置のように、電極パッドが一方の電極と電気的に接続されている場合、該一方の電極の下に位置する活性領域への水分の移動は、該一方の電極によって妨げられる。しかし、他方の電極の下に位置する活性領域へは、水分が移動し易い。そこで、上記の半導体装置では、他方の電極と電極パッドとの間に金属製ガード部が設けられており、このガード部は不活性領域に接している。これにより、電極パッドと絶縁膜との界面から絶縁膜の下面を伝って移動する水分が他方の電極下の活性領域に到達するためには、ガード部を越えなければならなくなる。従って、ガード部が設けられない場合と比較して水分の移動経路が長くなり、該活性領域に水分を到達しにくくすることができる。故に、上記の半導体装置によれば、耐湿性を改善することができる。
【0013】
上記の半導体装置では、ガード部が絶縁膜に覆われてもよい。
【0014】
上記の半導体装置では、ガード部の一部は絶縁膜から露出してもよい。これにより、水分の移動をより効果的に妨げることができる。
【0015】
上記の半導体装置では、ガード部が、ドレイン電極に電気的に接続された電極パッドとソース電極との間、および、ソース電極に電気的に接続された電極パッドとドレイン電極との間のそれぞれに設けられてもよい。これにより、ソース電極下の活性領域、及びドレイン電極下の活性領域の双方におけるイオン水分の侵入を抑制し、耐湿性を更に高めることができる。
【0016】
上記の半導体装置では、電極パッドと他方の電極との間の領域に複数のガード部が設けられてもよい。この様な構成により、上記の半導体装置の効果をより顕著に得ることができる。
【0017】
上記の半導体装置では、ガード部が、電極パッドと電気的に接続されてもよい。
【0018】
上記の半導体装置では、ガード部が、ゲート電極、ドレイン電極、およびソース電極と電気的に分離されてもよい。これにより、ガード部によって生じる寄生容量を低減することができる。
【0019】
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る半導体装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置1Aの構成を示す平面図である。
図2は、
図1のII−II断面を示す断面図である。
図3は、
図1のIII−III断面を示す断面図である。
図4は、
図1のIV−IV断面を示す断面図である。
図1〜
図4に示されるように、半導体装置1Aは、半導体層10、複数のゲート電極20、複数のドレイン電極30、複数のソース電極40、ゲートパッド50、ドレインパッド60、ソースパッド70、絶縁膜81及び82、並びにガード部90を備えている。
【0021】
半導体層10は、例えばGaN系半導体或いはGaAs系半導体といったIII−V族化合物系半導体からなる。一例では、半導体層10は、異種基板(SiC基板等)の上にGaN系半導体からなるエピタキシャル層が結晶成長されてなるか、或いはGaAs基板上にGaAs系半導体からなるエピタキシャル層が結晶成長されてなる。半導体層10は、活性領域11及び不活性領域12を有する。活性領域11は、電界効果トランジスタのための半導体構造を提供する領域であって、半導体層10の表面に沿った或る方向A1を長手方向として半導体層10の表面に形成されている。活性領域11は、ドレイン電極30及びソース電極40と接触する第1導電型のソース/ドレイン領域と、ゲート電極20と接触する第2導電型のチャネル領域とを含む。また、不活性領域12は、活性領域11の周囲に設けられた領域である。不活性領域12は、活性領域11と半導体基板上の他の半導体素子領域とを電気的に分離する。不活性領域12は、例えば不純物(例えばAr)をイオン注入することにより、半導体層10を部分的に高抵抗化することによって形成される。あるいは、不活性領域12は、活性領域11となる部分を残して半導体層10をメサエッチングすることにより形成されてもよい。なお、半導体層10は、電子供給層と、その上に結晶成長されたキャップ層とを含んでもよい。半導体層10がGaN系半導体からなる場合、電子供給層は例えばAlGaNによって構成され、キャップ層は例えばGaNによって構成される。
【0022】
複数のゲート電極20は、活性領域11のチャネル領域上に設けられた金属膜である。各ゲート電極20は、絶縁膜82によって完全に覆われている。各ゲート電極20は、半導体層10の表面に沿い方向A1と交差する方向A2に沿って延びる細長形状を呈しており、該方向A2に沿って活性領域11上を横断している。複数のゲート電極20の一端は、不活性領域12上に設けられて方向A1に沿って延びる一本のゲート配線21に接続されている。一例では、複数のゲート電極20とゲート配線21とは一体に形成されている。なお、ゲート配線21もまた絶縁膜82によって完全に覆われている。
【0023】
ゲートパッド50は、ゲート配線21に隣接して不活性領域12上に設けられた金属膜である。ゲートパッド50は、ゲート配線21に接続されており、一例ではゲート配線21と一体に形成されている。ゲートパッド50は、絶縁膜82によって覆われており、ゲートパッド50上に形成された絶縁膜82の開口82aからその一部が露出している。ゲートパッド50の露出した部分には、ゲート用ボンディングワイヤの一端が接合される。
【0024】
複数のドレイン電極30は、活性領域11のドレイン領域上に設けられた金属膜である。各ドレイン電極30は、ドレイン領域に接するオーミックコンタクト層31と、オーミックコンタクト層31上に形成された金属層32とを有する。オーミックコンタクト層31は例えばTiからなり、金属層32は例えばAuからなる。なお、図ではオーミックコンタクト層31が半導体層10の表面(すなわちキャップ層)に接しているが、オーミックコンタクト層31は、キャップ層の下の電子供給層に接してもよい。
【0025】
各ドレイン電極30は、絶縁膜82によって完全に覆われている。各ドレイン電極30は、方向A2に沿って延びる細長形状を呈しており、該方向A2に沿って活性領域11上を横断している。また、各ドレイン電極30は、方向A1において各ゲート電極20と並んで配置されている。複数のドレイン電極30の一端は、不活性領域12上にわたって延びており、ドレインパッド60に接続されている。ドレイン電極30は、本実施形態における一方の電極に相当する。
【0026】
ドレインパッド60は、金属製の電極パッドであって、活性領域11を挟んでゲートパッド50とは反対側の不活性領域12上に設けられ、方向A1に沿って延びている。また、ドレインパッド60は、不活性領域に接している。一例では、複数のドレイン電極30とドレインパッド60とは一体に形成されている。ドレインパッド60は、絶縁膜82によって覆われており、ドレインパッド60上に形成された絶縁膜82の開口82bからその一部が露出している。ドレインパッド60の露出した部分には、ドレイン用ボンディングワイヤの一端が接合される。
【0027】
複数のソース電極40は、活性領域11のソース領域上に設けられた金属膜である。各ソース電極40は、ソース領域に接するオーミックコンタクト層41と、オーミックコンタクト層41上に形成された金属層42とを有する。オーミックコンタクト層41は例えばTiからなり、金属層42は例えばAuからなる。なお、図ではオーミックコンタクト層41が半導体層10の表面(すなわちキャップ層)に接しているが、オーミックコンタクト層41は、キャップ層が部分的に除去されることによりキャップ層から露出した電子供給層に接してもよい。
【0028】
各ソース電極40は、絶縁膜82によって完全に覆われている。各ソース電極40は、方向A2に沿って延びる細長形状を呈しており、該方向A2に沿って活性領域11上を横断している。また、各ソース電極40は、方向A1において、各ゲート電極20を挟んでドレイン電極30とは反対側に並んで配置されている。すなわち、ドレイン電極30及びソース電極40は、ゲート電極20の両側にそれぞれ並んで設けられている。なお、本実施形態では、方向A1に沿って、ドレイン電極30、ゲート電極20、ソース電極40、ゲート電極20、ドレイン電極30、・・・のようにこれらの電極が繰り返し配置されている。ソース電極40は、本実施形態における他方の電極に相当する。
【0029】
複数のソース電極40の一端は、不活性領域12上にわたって延びており、ソースパッド70に接続されている。ソースパッド70は、金属製の電極パッドであって、ゲートパッド50と同じ側の不活性領域12上に設けられ、方向A1に沿って延びている。また、ソースパッド70は、不活性領域に接している。一例では、複数のソース電極40とソースパッド70とは一体に形成されている。ソースパッド70は、絶縁膜82によって覆われており、ソースパッド70上に形成された絶縁膜82の開口82cからその一部が露出している。ソースパッド70の露出した部分には、ソース用ボンディングワイヤの一端が接合される。
【0030】
ガード部90は、金属製の膜であって、ドレインパッド60と同じ側の不活性領域12上において、ソース電極40とドレインパッド60との間に設けられ、不活性領域12に接している。ガード部90は、方向A1に沿って延びる細長形状を呈している。本実施形態のガード部90は、ドレイン電極30及びドレインパッド60と同一の材料からなり、ドレイン電極30と一体に形成されることによって、ドレイン電極30及びドレインパッド60と電気的に接続されている。具体的には、複数本のガード部90が複数のドレイン電極30の間にそれぞれ配置されており、各ガード部90の両端が、隣り合う2本のドレイン電極30にそれぞれ連結されている。方向A2におけるガード部90の幅は、例えば1μm〜50μmである。このように、ガード部90がドレイン電極30及びドレインパッド60と電気的に接続されることにより、これらを同一プロセスによって形成可能となり、プロセス工程の工数を簡略化することができる。また、ガード部90とドレイン電極30及びドレインパッド60との隙間を低減できるので、水分の侵入を抑制することができる。
【0031】
絶縁膜81は、半導体層10上に設けられ、半導体層10と接している。
図2及び
図3に示されるように、絶縁膜81は、ドレイン電極30と活性領域11とを接触させるための開口81a、及び、ソース電極40と活性領域11とを接触させるための開口81bを有する。なお、ゲート電極20は、活性領域11とショットキ接触しており、その表面は絶縁膜81によって覆われている。また、
図2に示されるように、絶縁膜81は、ドレインパッド60と不活性領域12とを接触させるための開口81c、ソースパッド70と不活性領域12とを接触させるための開口81d、及び、ガード部90と不活性領域12とを接触させるための開口81eを有する。絶縁膜81の厚さは、例えば500nmである。
【0032】
絶縁膜82は、絶縁膜81上に設けられた表面保護膜である。絶縁膜82は、前述したように、ゲート電極20、ドレイン電極30、ソース電極40、ゲートパッド50、ドレインパッド60、ソースパッド70、及びガード部90を覆う。絶縁膜81,82は、例えばSiN、SiO
2、SiONといったシリコン化合物からなる。絶縁膜82の厚さは、例えば500nmである。このように、ガード部90が絶縁膜82に覆われていることによって、ガード部90における外部からの水分の侵入を抑制することができる。
【0033】
ここで、半導体装置1Aの作製方法のうち、ドレインパッド60、ガード部90及びそれらの周辺構造の作製方法について説明する。
図5は、作製方法を示す断面図である。まず、半導体層10を用意する(
図5(a))。次に、半導体層10の活性領域内に電界効果トランジスタのための領域を形成しつつ、その過程で絶縁膜81を半導体層10上に形成する(
図5(b))。
【0034】
そして、通常のフォトリソグラフィー技術を用いて絶縁膜81にエッチング(例えば塩素系ガスを用いたドライエッチング)を施すことにより、絶縁膜81に開口81c及び81eを形成する(
図5(c))。続いて、開口81c,81e内の不活性領域12上に種メタル(例えばTi/Au、一例ではTi厚さ10nm、Au厚さ100nm)を成膜し、その上に、Auメッキ(例えば厚さ4μm)によってドレインパッド60及びガード部90を形成する(
図5(d))。その後、ドレインパッド60、ガード部90、及び露出した絶縁膜81を覆うように絶縁膜82を形成する(
図5(e))。最後に、通常のフォトリソグラフィー技術を用いて絶縁膜82にエッチング(例えば塩素系ガスを用いたドライエッチング)を施すことにより、絶縁膜82に開口82bを形成する(
図5(f))。こうして、ドレインパッド60、ガード部90及びそれらの周辺構造を好適に作製することができる。
【0035】
以上に説明した本実施形態による半導体装置1Aによって得られる効果について説明する。
図6は、比較例として、ガード部90を備えない半導体装置1Bの構成を示す平面図である。このような構造では、
図7に示すように、絶縁膜82の開口82bから露出しているドレインパッド60と絶縁膜82との界面に水分Wが侵入した場合、水分Wは、絶縁膜82と絶縁膜81との界面を移動し、また、絶縁膜81と不活性領域12との界面を移動して、活性領域11に至る。
【0036】
そして、前述したように、活性領域11に浸入した水分Wはイオンマイグレーションを生じさせる。ここで、イオンマイグレーションとは、電界及び水分によって引き起こされる腐食現象である。活性領域11に浸入した水分Wは、ドレイン電極30とゲート電極20或いはソース電極40との間に印加された高電界によって、電極金属をイオン化させる。正イオンは負の電極に、負のイオンは正の電極にそれぞれ引き寄せられ、電子の授受が行われる。そのため、電極間でリーク電流が発生する。リーク電流が発生すると、電界効果トランジスタに電圧が正常に印加されなくなるため、電界効果トランジスタの特性が劣化する。更にイオンマイグレーションが続くと、引き寄せられたイオンが再析出されることによって各電極が延伸されて互いに近づく。そして、過度に近づいた電極間に電圧が印加されると、絶縁破壊が起きる。このような現象によって、ドレイン電極30若しくはソース電極40とゲート電極20とがショートしてしまう。
【0037】
上記の問題に対し、本実施形態の半導体装置1Aでは、
図8に示されるように、ソース電極40とドレインパッド60との間にガード部90が設けられており、このガード部90は不活性領域12に接している。ここで、ガード部90は金属で構成されている。金属と半導体の接触部分は、水分Wの侵入を阻止する効果が、絶縁膜と絶縁膜との界面、及び金属と絶縁膜との界面に比べて高い。このため、デバイス内部に侵入した水分Wが、ガード部90と不活性領域12の界面を通過することが抑制される。一方、デバイス内部に侵入した水分Wは、絶縁膜82と絶縁膜81との界面を移動するが、途中でガード部90の上側を越えなければならない。これにより、ガード部90が設けられない場合と比較して水分Wの移動経路が長くなることから、電界効果トランジスタの特性劣化が抑制できる。また、この観点から、絶縁膜81上におけるガード部90の厚みは大きいことが望ましい。ドレインパッド60は、ボンディング衝撃を受け止めるために比較的厚く形成されることから、ガード部90は、ドレインパッド60の形成時に併せて形成されることが、製造工程の削減の点からも有利である。
【0038】
このように、本実施形態の半導体装置1Aによれば、活性領域11に水分Wを到達しにくくし、或いは水分Wを遮断することができる。故に、半導体装置1Aによれば、耐湿性を改善することができる。
【0039】
本実施形態のように、ガード部90がドレインパッド60とソース電極40との間に配置されることは、デバイスの信頼性向上に寄与する。通常、ドレイン電極30に印加される電圧が最も大きく、これに対して、ソース電極40の電位は接地電位である。電位差が大きいと、イオンマイグレーションが促進されるので、ドレイン電極用のドレインパッド60とソース電極40の間にガード部90を設けることにより、デバイスの耐湿性を効果的に改善することができる。
【0040】
また、半導体層10は、本実施形態のようなGaN系半導体の他、GaAs系半導体によって構成されていてもよい。GaN系半導体及びGaAs系半導体は高電圧デバイスに好適に用いられるが、そのようなデバイスではイオンマイグレーションが顕著に生じる。本実施形態の半導体装置1Aによれば、そのようなデバイスにおいて、耐湿性を効果的に改善することができる。
【0041】
(第1変形例)
図9は、上記実施形態の第1変形例に係る半導体装置1Cの構成を示す平面図である。半導体装置1Cは、上記実施形態の構成に加えて、ガード部91を更に備える。ガード部91は、金属製の膜であって、ソースパッド70と同じ側の不活性領域12上において、ドレイン電極30とソースパッド70との間に設けられ、
図2に示されたガード部90と同様に、不活性領域12に接している。ガード部91は、方向A1に沿って延びる細長形状を呈している。本実施形態のガード部91は、ソース電極40及びソースパッド70と同一の材料からなり、ソース電極40と一体に形成されることによってソースパッド70と電気的に接続されている。具体的には、複数本のガード部91が複数対のソース電極40の間にそれぞれ配置されており、各ガード部91の両端が、隣り合う2本のソース電極40にそれぞれ連結されている。
【0042】
水分の侵入は、ドレインパッド60だけでなく、ソースパッド70においても生じる。本変形例のように、ドレイン電極30とソースパッド70との間にガード部91が設けられることにより、ドレイン電極30の下の活性領域11への水分の侵入を抑制し、耐湿性を更に高めることができる。なお、半導体装置は、ガード部90及び91の双方を備えてもよく、何れか一方のみを備えてもよい。半導体装置がガード部91のみを備える場合、ソース電極40が本変形例における一方の電極に相当し、ドレイン電極30が本変形例における他方の電極に相当する。
【0043】
(第2変形例)
図10は、上記実施形態の第2変形例に係る半導体装置1Dの構成を示す平面図である。
図11は、
図10のXI−XI断面を示す断面図である。
図12は、
図10のXII−XII断面を示す断面図である。本変形例に係る半導体装置1Dと上記実施形態との相違点は、ガード部の構成である。なお、ガード部以外の構成については、上記実施形態と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0044】
本変形例のガード部92は、金属製の膜であって、ドレインパッド60と同じ側の不活性領域12上において、ソース電極40とドレインパッド60との間に設けられ、不活性領域12に接している。また、ガード部92は、方向A1に沿って延びる細長形状を呈しており、
図12に示されるように、ドレイン電極30と不活性領域12との間を通って延びている。一例として、本実施形態のガード部92は、ゲート電極20の形成工程において、同時に形成される。この場合、ガード部92はNi/Auの積層構造を有する。一実施例では、Niの厚さは50nmであり、Auの厚さは500nmである。ゲート電極20と同じ工程で形成される場合、ガード部92は、例えば金属の蒸着によって形成される。もちろん、ガード部92を電極形成工程とは独立した工程により形成することも可能である。
【0045】
ドレイン電極30とガード部92との間には、絶縁膜81が介在している。本実施例の絶縁膜81には開口81eが形成されておらず、絶縁膜81はガード部92を覆っている。この様な構成は、不活性領域12上にまずガード部92が形成され、次に絶縁膜81が形成されることに起因する。
【0046】
本変形例によれば、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。また、本変形例のように、ガード部92及びドレインパッド60が互いに異なる材料からなってもよい。この場合、ガード部92に適した種々の材料、例えば半導体層10との密着性が良い材料を選択することができる。また、絶縁膜81によって、ガード部92とドレイン電極30とが厚み方向において電気的に分離される。これにより、ガード部92は、ゲート電極20、ソース電極40、ドレイン電極30と電気的に分離された状態になる。この構成により、ガード部92によって生じる寄生容量を低減することができる。
【0047】
(第3変形例)
図13は、上記実施形態の第3変形例に係る半導体装置1Eの構成を示す平面図である。本変形例と上記実施形態との相違点は、ガード部の形状である。すなわち、本変形例のガード部93の両端は、ドレイン電極30と一体に形成されておらず、ドレイン電極30から平面方向に離間されている。この様な構成であっても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。また、ガード部93が、ゲート電極20、ソース電極40、ドレイン電極30、及びそれらと接続される各電極パッドと電気的に分離されるので、ガード部92によって生じる寄生容量を低減することができる。なお、本変形例のガード部93は、ドレイン電極30及びドレインパッド60と同一の材料からなっても良く、異なる材料からなっても良い。
【0048】
(第4変形例)
図14は、上記実施形態の第4変形例に係る半導体装置1Fの構成を示す平面図である。本変形例と上記実施形態との相違点は、ソース電極40とドレインパッド60との間に介在するガード部の本数である。すなわち、本変形例では、ガード部90が方向A2に沿って複数本(
図14に示される例では2本)並んで配列されている。この様な構成により、上記実施形態の効果をより顕著に得ることができる。
【0049】
(第5変形例)
図15(a)は、上記実施形態の第5変形例に係るガード部94の構成を示す断面図である。本変形例のガード部94は、不活性領域12に接する第1金属層94aと、第1金属層94a上に設けられた第2金属層94bとを含んで構成されている。第1金属層94aの構成材料と、第2金属層94bの構成材料とは互いに異なる。一例では、第1金属層94aはTiからなるが、Tiを含む合金であってもよい。また、第2金属層94bはAuからなるが、Auを含む合金であってもよい。このように、本変形例によれば、半導体層10に対する密着性が良い第1金属層94aと、ガード部94の厚さを確保するための第2金属層94bとを組み合わせることができる。なお、一実施例では、第1金属層94aの厚さは例えば100nmであり、第1金属層94aはスパッタにより形成され、第2金属層94bはメッキにより形成される。メッキによる金属の堆積は、厚膜化に好適である。
【0050】
(第6変形例)
図15(b)は、上記実施形態の第6変形例に係るガード部95の構成を示す断面図である。本変形例のガード部95は、その一部が絶縁膜82から露出している。本変形例によれば、絶縁膜82とガード部95の界面を沿って移動する水分Wは、露出部分によってその移動を妨げられる。ガード部95の露出部分は、新たな水分の侵入を生じさせる場合もあるが、ドレインパッド60の露出部分(開口82b)と比べて、その面積は格段に小さい。このため、ガード部95の露出による耐湿性の低下は無視し得る。なお、本変形例のガード部95は、ドレイン電極30及びドレインパッド60と同一の材料からなっても良く、異なる材料からなっても良い。
【0051】
(第7変形例)
図16は、上記実施形態の第7変形例に係る半導体装置1Gの構成を示す平面図である。本変形例と上記実施形態との相違点は、ガード部の形状である。すなわち、本変形例では、各ガード部96の両端部が方向A1に対して傾斜している。例えば本変形例のように、ガード部の平面形状は上記実施形態のような直線状に限らず、様々な形状であることができる。
【0052】
(第8変形例)
図17は、上記実施形態の第8変形例に係るガード部97の構成を示す断面図である。本変形例のガード部97では、不活性領域12の表面からの厚さが、上記実施形態のガード部90よりも薄い。このようなガード部97であっても、上記実施形態の効果を好適に奏することができる。なお、本変形例のガード部97は、ドレイン電極30及びドレインパッド60と同一の材料からなっても良く、異なる材料からなっても良い。
【0053】
(第9変形例)
図18は、上記実施形態の第9変形例に係る半導体装置1Hの構成を示す平面図である。本変形例と上記実施形態との相違点は、ガード部の平面形状である。すなわち、本変形例では、半導体装置1Hの端縁に最も近いガード部98において、その一端(ドレイン電極30と一体に形成された端とは反対側の端)が方向A2に沿って屈曲しており、部分的に活性領域11に沿っている。このような構成によれば、水分が活性領域11に更に到達しにくくすることができる。
【0054】
本発明による半導体装置は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態及び各変形例では半導体層がIII−V族化合物半導体からなる場合を例示したが、本発明は、様々な種類の半導体層を備える半導体装置に適用可能である。