【課題】チャンバの内部空間に対するパージ処理を一旦停止する処理を要することなく、ドア部を移動させて収納容器の内部空間をチャンバの内部空間に向かって開放させる処理をスムーズ且つ適切に行うことができ、開放処理に伴うパーティクルの舞い上がりや収納容器内での被搬送物の位置ズレの発生を防止可能なドア開閉装置を提供する。
【解決手段】搬送室の壁面の一部を構成し、搬送室内を開放するための開口21aが形成されたフレーム21と、開口21aを開閉可能なドア部22と、収納容器4を載置可能な載置台23と、搬送室側において開口21aと対向する位置に設けられ、且つ環境ガスによってパージ処理される内部空間5Sを有するチャンバ5と、開口21aとは別の経路を用いてチャンバ5の内部空間5Sと収納容器4の内部空間4Sを相互に連通させる圧力調整部6とを備えた構成を採用した。
前記圧力調整部は、前記チャンバの内部空間に供給した環境ガスを当該チャンバの外部に排出するガス排出部と、上流端を前記ガス排出部に連結させたガス排気経路と、前記ガス排気経路の下流端が連結され、且つ当該ガス排気経路を通じて前記収納容器の内部空間に前記環境ガスを導入するガス導入部とを備えている請求項1に記載のドア開閉装置。
前記搬送室と、前記搬送室の壁面に設けた請求項1乃至4の何れかに記載のドア開閉装置と、前記搬送室内に設けられ、且つ前記ドア開閉装置の前記載置台上に載置された前記収納容器と前記搬送室と間で前記被搬送物を出し入れ可能な搬送ロボットとを備えていることを特徴とする搬送装置。
前記搬送室と、前記搬送室の壁面に複数設けた請求項1乃至4の何れかに記載のドア開閉装置と、前記搬送室内に設けられ、且つ少なくとも複数の前記ドア開閉装置の前記載置台上に載置された前記収納容器同士の間で前記被搬送物を出し入れ可能な搬送ロボットとを備えていることを特徴とするソータ装置。
蓋部によって内部空間が密閉されている収納容器を請求項1乃至4の何れかに記載のドア開閉装置の前記載置台上に載置した状態で、前記蓋部を前記ドア部とともに移動させて、前記開口を通じて前記収納容器の内部空間を前記チャンバの内部空間に向かって開放させる際に適用される収納容器の開放方法であり、
前記収納容器の内部空間を密閉した状態で前記チャンバの内部空間に対して環境ガスによるパージ処理を行い、当該パージ処理が施された前記チャンバの内部空間から、前記開口とは別の経路を用いた前記圧力調整部によって前記収納容器の内部空間に対して前記チャンバ内の環境ガスを導入して、前記収納容器の内部空間の圧力を前記チャンバの内部空間の圧力と均一にする圧力調整ステップに続いて、前記蓋部を前記ドア部とともに移動させて、前記開口を通じて前記収納容器の内部空間を前記チャンバの内部空間に向かって開放させることを特徴とする収納容器の開放方法。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0027】
本実施形態に係るドア開閉装置2は、例えば半導体の製造工程において用いられ、
図1に示すように、クリーンルーム内において、搬送室3の壁面の一部を構成し、搬送室3と収納容器4との間で被搬送物Wの出し入れを行うためのものである。以下では、ドア開閉装置2が、本発明に係る搬送装置の一例であるEFEM1(Equipment Front End Module)の一部を構成するロードポートであって、被搬送物Wである例えばウェーハを収納容器4(例えばFOUP)と搬送室3(ウェーハ搬送室)の間で出し入れ処理する態様について説明する。なお、EFEMで取り扱うウェーハのサイズはSEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格として標準化されているが、生産性向上の観点からウェーハの大径化が進められ、これまでの直径300(半径150)mmから直径450(半径225)mm乃至直径500(半径250)mmのウェーハへの移行が推進されている。
【0028】
本実施形態に係るドア開閉装置2は、
図1乃至
図4に示すように、搬送室3の壁面3Aの一部を構成し、且つ搬送室3の内部空間3Sを開放するための開口21aが形成された板状をなすフレーム21と、フレーム21の開口21aを開閉するドア部22と、フレーム21に略水平姿勢で設けた載置台23とを備えている。なお、
図2及び
図3は、
図1で示す載置台23の下方に設けた外部カバー20(
図2参照)を取外し、内部構造の一部を露出させた状態を示している。
【0029】
フレーム21は、起立姿勢で配置され、載置台23上に載置した収納容器4の搬出入口41と連通し得る大きさの開口21aを有する略矩形板状のものである。本実施形態のドア開閉装置2は、フレーム21を搬送室3に密着させた状態で使用可能なものである。また、フレーム21の下端には、キャスタ及び設置脚を有する脚部24を設けている。本実施形態では、両側方に起立させた支柱211と、これら支柱211により支持されたフレーム本体212と、フレーム本体212に略矩形状に開放された窓部213に取り付けられたウインドウユニット214とを備えたフレーム21を適用している。
【0030】
ウインドウユニット214は、収納容器4の蓋部43と対向する位置に設けられており、このウインドウユニット214に設けた開口215が、本発明におけるフレーム21に形成された開口21aに相当する。後出の
図5以降の各図では、ウインドウユニット214を省略し、フレーム本体212に開口21aを形成した構成のフレーム21を模式的に示している。
【0031】
ドア開閉装置2の載置台23は、フレーム21のうち高さ方向中央よりもやや上方寄りの位置に略水平姿勢で配置される水平基台25(支持台)の上部に設けられ、収納容器本体42の内部空間4Sを開閉可能とする蓋部43をドア部22に対向させる向きで収納容器4を載置可能なものである。また、載置台23は、
図5及び
図6に示すように、収納容器4の蓋部43をドア部22に密着させる位置(
図6参照)と、蓋部43をドア部22から所定距離離間した位置(
図5参照)との間で、フレーム21に対して進退移動可能に構成されている。載置台23は、
図2に示すように、上向きに突出させた複数の突起231を有し、これらの突起231を収納容器4の底面に形成された穴(図示省略)に係合させることで、載置台23上における収納容器4の位置決めを図っている。なお、
図5及び
図6等では、載置台23上における収納容器4の載置状態として、載置台23の上面に収納容器4の底面が接触している状態を示している。しかしながら、実際には、載置台23の上面よりも上方に突出している複数の位置決め用突起231が、収納容器4の底面に形成された有底の穴に係合することで収納容器4を支持しており、載置台23の上面と収納容器4の底面は相互に接触せず、載置台23の上面と収納容器4の底面の間に所定の隙間が形成されるように規定されている。また、載置台23に対して収納容器4を固定するためのロック爪232を設けている。このロック爪232を収納容器4の底面に設けた被ロック部(図示省略)に引っ掛けて固定したロック状態にすることで、位置決め用の突起231と協働して収納容器4を載置台23上における適正な位置に案内しながら固定することができる。また、収納容器4の底面に設けた被ロック部に対するロック爪232のロック状態を解除することで収納容器4を載置台23から離間可能な状態にすることができる。
【0032】
本実施形態では、このようなロードポートの載置台23に載置した収納容器4とフレーム21が並ぶ前後方向D(
図1等参照)において、フレーム21側を前方と定義し、収納容器4側を後方と定義する。
【0033】
本実施形態のドア開閉装置2は、載置台23上の所定箇所に複数のノズル261を設けている。これらのノズル261は、収納容器4の底面側から当該収納容器4内に窒素ガスや不活性ガス又はドライエア等の適宜選択された気体である環境ガス(パージガスとも称され、主に窒素ガスやドライエアが用いられる)を注入し、収納容器4内の気体雰囲気を環境ガスに置換可能なボトムパージ部26を構成するものとして備えられたものである。しかしながら、本実施形態のドア開閉装置2では、これら予め載置台23上に設けられているノズル261を、後述する圧力調整部6の一部を構成するノズルとして利用している。これら複数のノズル261は、本来であれば、環境ガスを収納容器4内に注入するボトムパージ注入用ノズルや、収納容器4内の気体雰囲気を排出するボトムパージ排出用ノズルとして機能するものであり、例えば載置台23の幅方向に沿って離間した位置に対にして設けることができる。また、これら複数のノズル261は、収納容器4の底部に設けた注入口及び排出口(ともに図示省略)に嵌合した状態で連結可能なものである。各ノズル261(ボトムパージ注入用ノズル、ボトムパージ排出用ノズル)又は注入口及び排出口は、気体の逆流を規制する弁機能を有するものである。各ノズル261(ボトムパージ注入用ノズル、ボトムパージ排出用ノズル)と収納容器4の注入口及び排出口との嵌合部分は、ノズル261に設けたパッキン等によって密閉状態になる。なお、本実施形態のドア開閉装置2は、載置台23上に収納容器4が載置されていない状態であれば、各ノズル261(ボトムパージ注入用ノズル、ボトムパージ排出用ノズル)を載置台23の上面よりも下方に位置付けている。そして、載置台23に設けた例えば加圧センサの被押圧部を収納容器4のうち底面部が押圧したことを検出した際に、制御部2Cからの信号によって、各ノズル261(ボトムパージ注入用ノズル、ボトムパージ排出用ノズル)を上方に進出させて収納容器4の注入口と排出口にそれぞれ連結するように構成している。
【0034】
ドア部22は、収納容器4の蓋部43に当該ドア部22を連結して、蓋部43を収納容器本体42から取り外し可能な蓋連結状態と、蓋部43に対する連結状態を解除し、且つ蓋部43を収納容器本体42に取り付けた蓋連結解除状態との間で切り替え可能な連結機構221(
図4参照)を備えている。ドア部22は、連結機構221によって蓋部43を一体化した状態で保持したまま所定の移動経路に沿って移動可能なものである。本実施形態のドア開閉装置2は、
図5乃至
図8に示すように、ドア部22を、当該ドア部22が保持する蓋部43によって収納容器本体42の内部空間4Sを密閉する全閉位置(C)と、当該ドア部22が保持する蓋部43を収納容器本体42から離間させて当該収納容器本体42の内部空間4Sを搬送室3内に向かって前方に全開放させる全開位置(O)との間で移動可能に構成している。本実施形態では、
図8に示す全開位置(O)に位置付けたドア部22の姿勢を、
図5及び
図6に示す全閉位置(C)に位置付けたドア部22の起立姿勢と同じ姿勢に設定し、全開位置(O)と全閉位置(C)との間も起立姿勢を維持したまま移動するように設定している。すなわち、全開位置(O)と全閉位置(C)との間におけるドア部22の移動経路は、全閉位置(C)にあるドア部22をその高さ位置を維持したまま搬送室3側へ移動させた経路(水平経路)と、全開位置(O)にあるドア部22をその前後位置を維持したまま上方へ移動させた経路(鉛直経路)とからなる。水平経路と鉛直経路が交わるポイントにおいて、ドア部22の移動方向が水平方向から鉛直方向に、或いは鉛直方向から水平方向に切り替わる。この水平経路と鉛直経路が交わるポイントにおいて、ドア部22は、
図7に示す移動方向切替位置(P)に位置付けられる。同図から把握できるように、移動方向切替位置(P)に位置付けたドア部22が鉛直方向及び水平方向の何れにも移動できるように、移動方向切替位置(P)に位置付けたドア部22に保持される収納容器4の蓋部43は、ドア部22と共にフレーム21よりも前方の位置(収納容器本体42から完全に離間し、搬送室3の内部空間3Sに配置される位置)に位置付けられる。特に、後述するように本実施形態のドア開閉装置2はチャンバ5を備えている。そのため、少なくともドア部22の全閉位置(C)と移動方向切替位置(P)との間の移動がチャンバ5の内部空間5Sで行われるように構成している。また、移動方向切替位置(P)を経由して全閉位置(C)と全開位置(O)との間で移動するドア部22がチャンバ5と干渉しないように構成している。
【0035】
このようなドア部22の移動は、ドア開閉装置2に設けたドア移動機構27によって実現している。ドア移動機構27は、
図5乃至
図8に示すように、ドア部22を支持する支持フレーム271と、スライド支持部272を介して支持フレーム271を前後方向Dに移動可能に支持する可動ブロック273と、可動ブロック273を上下方向Hに移動可能に支持するスライドレール274と、ドア部22の水平経路に沿った前後方向Dの移動、及び鉛直経路に沿った上下方向Hの移動を行わせるための駆動源(例えば図示しないアクチュエータ)とを備えている。このアクチュエータに対して制御部2Cから駆動指令を与えることで、ドア部22を前後方向D及び上方方向に移動させるものである。なお、前後移動用のアクチュエータと、上下移動用のアクチュエータとを別々に備えた態様であってもよいし、共通のアクチュエータを駆動源として前後移動及び上下移動を行う態様であってもよい。
【0036】
支持フレーム271は、ドア部22の後部下方を支持するものである。この支持フレーム271は、下方に向かって延材した後に、フレーム21に形成したスリット状の挿通孔21bを通過して搬送室3の外側(載置台23側)に張り出した略クランク上の形状をしている。この支持フレーム271を支持するためのスライド支持部272、可動ブロック273、スライドレール274もフレーム21よりも載置台23側、つまり搬送室3の外側に配置している。これらスライド支持部272、可動ブロック273、スライドレール274は、ドア部22を移動させる際の摺動箇所となる。本実施形態では、これらを搬送室3の外側に配置することで、万が一ドア部22の移動時にパーティクルが発生した場合であっても、挿通孔21bを微小なスリット状に設定していることにより、搬送室3内にパーティクルが進入する事態を防止・抑制することができる。また、ドア移動機構27のうち搬送室3の外側に配置されるパーツや部分、具体的には、支持フレーム271の一部、スライド支持部272、可動ブロック273及びスライドレール274を被覆するカバー28を設けている。これにより、フレーム21に形成した上述の挿通孔21bを通じて搬送室3内の環境ガスがEFEM1の外部に流出しないように設定している。
【0037】
また、本実施形態に係るドア開閉装置2は、
図1、
図5乃至
図8に示すように、フレーム21の開口21aよりも搬送室3側に設けられるチャンバ5を備えている。このチャンバ5は、ドア部22によって内部空間を開放した状態にある収納容器4を収納容器4の前面側から遮蔽し得るものである。なお、
図1では、チャンバ5全体を陰線(一点鎖線)で示し、ドア開閉装置2の側断面を示す
図5乃至
図8では、チャンバ5全体を側断面ではなく側面図として模式的に示している。また、
図2乃至
図4ではチャンバ5を省略している。
【0038】
チャンバ5は、収納容器4の搬出入口41及びフレーム21の開口21aと対向する位置に設けられる。そして、本実施形態では、ドア部22を全開位置(O)に移動させて蓋部43による密閉状態が解除された収納容器4の内部空間4Sを前方に開放した際に、当該収納容器4の内部空間4Sが連通する空間をチャンバ5で少なくとも前後方向に遮断するように構成している。つまり、収納容器4の内部空間4Sが連通する空間をチャンバ5の内部空間5Sに制限できる。このチャンバ5は、フレーム21に形成した開口21aの開口寸法よりも一回り大きい起立壁51と、この起立壁51の両側縁からそれぞれフレーム21側に延伸する左右一対の側壁52と、起立壁51の上縁及び下縁からそれぞれフレーム21側に延伸する上壁53及び底壁54とを一体ないし一体的に設けたものである。そして、チャンバ5の内部空間5Sは、ドア部22を全閉位置(C)に位置付けている場合、チャンバ5の各壁51,52,53,54とフレーム21及びドア部22によって密閉または略密閉された空間になる。また、ドア部22を全開位置(O)に移動させた場合、チャンバ5の内部空間5Sは、搬出入口41及びフレーム21の開口21aを介して収納容器4の内部空間4Sに連通する密閉または略密閉された空間になる。
【0039】
本実施形態のドア開閉装置2では、チャンバ5を、図示しないチャンバ移動機構によって、フレーム21の開口21aを搬送室3側から被覆する遮蔽位置(
図5乃至
図8参照)と、開口21aに通じる収納容器4の内部空間4Sを搬送室3の内部空間3S、ひいては処理装置Mの内部空間MSに開放し得るチャンバ退避位置(図示省略)との間で移動可能に構成している。チャンバ移動機構としては、チャンバ5を水平駆動させるためのエアシリンダと、チャンバ5の水平動作をガイドするガイドレール部と、チャンバ5を昇降駆動させるためのエアシリンダと、チャンバ5の昇降動作をガイドするガイドレール部とを用いたものを挙げることができる。本実施形態のドア開閉装置2は、ドア部22及びチャンバ5をそれぞれ相互に独立して移動可能に設定している。また、チャンバ5の底壁54には、これら各部材や機構が通過可能な開口部やスリットを形成している(図示省略)。これにより、チャンバ5を遮蔽位置に設定した状態においてドア部22を移動させた際に、ドア部22やドア移動機構27がチャンバ5と干渉する事態を回避することができる。
【0040】
そして、本実施形態のドア開閉装置2は、チャンバ5内に窒素ガス等の環境ガスを供給するガス供給用ノズル55と、チャンバ5内に充填された環境ガスをチャンバ5外に排出するガス排出用ノズル56とを備えたチャンバ5を適用している。チャンバ5の上壁53に設けたガス供給用ノズル55からガス供給用ノズル55から環境ガスをチャンバ5内に供給するチャンバ内パージ処理を実施することができる。このチャンバ内パージ処理を実施すると、チャンバ5の底壁54に設けたガス排出用ノズル56からチャンバ5内の気体雰囲気が排出されるように構成している。すなわち、本実施形態のドア開閉装置2は、チャンバ5の内部空間5Sに充満していた空気や空気以外の清浄度が低い環境ガスなどの気体を、このガス排出用ノズル56を通じてチャンバ5の外へ排出するように構成している。これにより、ガス供給用ノズル55から供給する環境ガスをチャンバ5内に高濃度で充填できる。なお、ガス供給用ノズル55及びガス排出用ノズル56は、気体の逆流を規制する弁機能を有するものである。
【0041】
また、本実施形態に係るドア開閉装置2は、フレーム21に形成した開口21aとは別の経路を用いてチャンバ5の内部空間5Sと収納容器4の内部空間4Sを相互に連通させる圧力調整部6を備えている。
【0042】
本実施形態の圧力調整部6は、チャンバ5の内部空間5Sに供給した環境ガスを当該チャンバ5の外部に排出するガス排出部61と、収納容器4の内部空間4Sに環境ガスを導入するガス導入部63と、ガス排出部61とガス導入部63の間に配置されるガス排気経路62とを備えている。ガス排気経路62の上流端はガス排出部61に連結されている。ガス排気経路62の下流端はガス導入部63に連結されている。このようなガス排気経路62を通じて、チャンバ5内から排出される環境ガスを収納容器4内に導入することができる。本実施形態では、上述のチャンバ5の底壁54に設けたガス排出用ノズル56によってガス排出部61を構成している。また、載置台23に設けたノズル261のうちボトムパージ注入用ノズルによってガス導入部63を構成している。ここで、
図5乃至
図8では、載置台23上において前後方向Dに離間する位置に設けた複数のノズル261のうち相対的にフレーム21側のノズル261をガス導入部63として機能させている態様を例示している。また、本実施形態の圧力調整部6は、ガス排気経路62を、上流端をガス排出用ノズル56に連結した排気チューブによって構成している。そして、この排気チューブ62の下流端をガス導入部63として機能するノズル261に連結している。
【0043】
図6乃至
図8に模式的に示すように、圧力調整部8を構成する排気チューブ62のうち上流端と下流端との間の所定部分は、フレーム21を厚み方向(前後方向)に貫通したり、水平基台25及び載置台23を高さ方向に貫通している。なお、これらフレーム21、水平基台25及び載置台23のうち排気チューブ62が貫通する部分に適宜のシール処理を施している。これにより、貫通部分の隙間による密閉性の低下を防止・抑制することができる。また、本実施形態では、チャンバ5の移動や載置台23の移動にも追従可能なフレキシブル性或いは伸縮性(蛇腹タイプも含む)に優れた排気チューブ62を適用している。排気チューブ62のうちガス排出用ノズル56やガス導入用ノズル63との嵌合部分は、パッキン等によって密閉状態にしている。
【0044】
上記のように構成したドア開閉装置2は、制御部2Cから各部に駆動指令を与えることで所定の動作を実行する。本実施形態のEFEM1は、このようなドア開閉装置2を、搬送室3の一つの壁面3Aに複数(例えば3台)並べて配置している。上述したように、収納容器4とフレーム21が並ぶ前後方向Dにおいて、フレーム21側を前方と定義し、収納容器4側を後方と定義した本実施形態において、搬送室3のうちドア開閉装置2を配置した壁面3Aは背面と捉えることができる。
【0045】
EFEM1は、
図1に示すように、共通のクリーンルーム内に相互に隣接する位置に設けたドア開閉装置2(ロードポート)及び搬送室3を主体として構成されたものである。搬送室3のうちドア開閉装置2を配置した壁面3A(背面)に対向する壁面3Bには例えば処理装置M(半導体処理装置)が隣接して設けられる。クリーンルームにおいて、処理装置Mの内部空間MS、搬送室3の内部空間3S及びドア開閉装置2上に載置される収納容器4の内部空間4Sは高清浄度に維持される。一方、ドア開閉装置2を配置した空間、換言すれば処理装置M外、EFEM1外は比較的低清浄度となる。なお、
図1は、ドア開閉装置2及び搬送室3の相対位置関係、及びこれらドア開閉装置2及び搬送室3を備えたEFEM1と、処理装置Mとの相対位置関係を模式的に示した側面図である。
【0046】
処理装置Mは、相対的に搬送室3に近い位置に配置したロードロック室と、相対的に搬送室3から遠い位置に配置した処理装置本体とを備えたものである。本実施形態では、
図1に示すように、EFEM1の前後方向Dにおいてドア開閉装置2、搬送室3、処理装置Mをこの順で相互に密接させて配置している。
【0047】
搬送室3は、被搬送物WであるウェーハWを収納容器4と処理装置Mとの間で搬送可能な搬送ロボット31を内部空間3Sに設けている。搬送ロボット31は、例えば複数のリンク要素を相互に水平旋回可能に連結し、先端部にハンドを設けたアームと、アームの基端部を構成するアームベースを旋回可能に支持し且つ搬送室3の幅方向(ドア開閉装置2の並列方向)に走行する走行部とを備え、アーム長が最小になる折畳状態と、アーム長が折畳状態時よりも長くなる伸長状態との間で形状が変わるリンク構造(多関節構造)のものである。なお、搬送室3の側面にバッファステーション、アライナの何れか一方または両方を配置したEFEMを構成することも可能である。
【0048】
搬送室3は、ドア開閉装置2及び処理装置Mが接続されることによって、内部空間3Sが略密閉された状態となる。搬送室3内は、図示しないガス供給口及びガス排出口を用いて環境ガスによるパージ処理を行うことで、環境ガス濃度を高めることが可能となっている。そして、ウェーハ搬送室3の上部にファンフィルタユニット32を設けて下方に向けてガスを送出し、下部に設けたケミカルフィルタよりガスの吸引を行う。吸引したガスは、循環ダクト321を介して上部のファンフィルタユニット32に向けて戻される。こうすることで、搬送室3の内部空間3Sで上方から下方に向かう気流であるダウンフローを形成する。したがって、搬送室3内のガスを循環させて清浄な状態に維持することができる。また、搬送室3の内部空間3SにウェーハWの表面を汚染するパーティクルが存在した場合であっても、ダウンフローによってパーティクルを下方に押し下げ、搬送中のウェーハWの表面へのパーティクルの付着を抑制することが可能となる。
図1には、ファンフィルタユニット32によるガスの流れを矢印で模式的に示している。
【0049】
このような環境ガス濃度の高い搬送室3の内部空間3Sに上述のチャンバ5を配置した本実施形態では、チャンバ5の内部空間5Sに対する環境ガスのパージ処理(チャンバ内パージ処理)を、搬送室3の内部空間3Sに対する環境ガスのパージ処理と同時に、或いは個別に実施できるように制御している。つまり、上述のチャンバ5の上壁53に設けたガス供給用ノズル55は、チャンバ内パージ処理専用のガス供給源から供給される環境ガスをチャンバ5内に供給するものであってもよいし、搬送室3内に供給される環境ガスをそのままチャンバ5内に供給するものであってもよい。
【0050】
本実施形態では、収納容器4としてFOUPを適用している。本実施形態における収納容器4は、前面(フレーム21側の面)に形成した搬出入口41を通じて内部空間4Sを前方にのみ開放可能な収納容器本体42と、搬出入口41を開閉可能な蓋部43を備えている。収納容器4は、内部に複数枚の被搬送物WであるウェーハWを上下方向Hに多段状に収容し、搬出入口41を介してこれらウェーハWを出し入れ可能に構成された既知のものである。
【0051】
収納容器本体42は、背壁、左右一対の側壁、上壁及び底壁を一体に有する。これら各壁によって囲まれる内部空間4Sに被搬送物Wを複数段所定ピッチで載せることが可能な棚部421(ウェーハ載置部)が設けられている。収納容器本体42を構成する各壁同士の境界部分は緩やかな湾曲形状をなす。また、上壁における上向面の中央部に、収納容器搬送装置(例えばOHT:Over Head Transport)等に把持されるフランジ部を設けている。
【0052】
蓋部43は、ドア開閉装置2の載置台23に載置された状態においてドア開閉装置2のドア部22と対面するものであり、概略板状をなす。蓋部43の高さ寸法は、ドア部22のうち蓋部43に密着し得る面の高さ寸法と略等しく設定されている。なお、
図5等では、ドア部22のうち蓋部43に密着し得る面の高さ寸法よりも僅かに大きい高さ寸法に設定された蓋部43を模式的に示している。蓋部43には、この蓋部43を収納容器本体42にロックし得るラッチ部(図示省略)を設けている。また、
図9に示すように、蓋部43の内向き面431にはリテーナ44を設けている。リテーナ44は、蓋部43に一体又は一体的に設けられたものでもよいが、蓋部43に着脱可能に設けたものであれば、損傷した場合等には該当するリテーナ44だけを交換するだけで対応することができる。さらに、一枚のウェーハを保持するリテーナの数は単数又は複数の何れであってもよく、リテーナ44の形状も適宜変更することも可能である。このような、収納容器4内に収納されたウェーハWを蓋部43の内向き面431側から弾性変形しながら保持してウェーハ押さえとして機能するリテーナ44を蓋部43の内向き面431(具体的には内向き面431に形成した凹部432)に設けている。これにより、収納容器4内における各被搬送物Wの収納位置を位置決めするとともに、薄く脆弱なウェーハ等の被搬送物Wの損傷を防止することができる。なお、内向き面431のうち搬出入口41を蓋部43で閉止した状態において収納容器本体42に接触または近接する所定の部分(図示例では内向き面431の両サイド)にガスケット433を設けている。そして、蓋部43の内向き面431よりも優先してガスケット433を収納容器本体42に接触させて弾性変形させることで、収納容器4の内部空間4Sを完全密閉できるように構成されている。なお、
図9ではチャンバ5を省略している。
【0053】
本実施形態に係るドア開閉装置2は、制御部2Cから各部に駆動指令を与えることで所定の動作を実行する。なお、本実施形態では、ドア開閉装置2が有する制御部2Cから各部に駆動指令を与えるように構成している。制御部2Cは、記憶部と、ROMと、RAMと、I/Oポートと、CPUと、外部の表示装置(不図示)等との間でのデータの入出力を行う入出力インタフェース(IF)と、これらを相互に接続して各部の間で情報を伝達するバスとを備えた構成を有する。記憶部には、このドア開閉装置2で実行される処理の種類に応じて、制御手順が記憶されている。つまり、この記憶部には、装置各部の所定の動作プログラムが格納されている。このように、本実施形態におけるプログラムは、非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体(ハードディスク等)に実行可能なプログラムとして格納されているものである。ROMは、ハードディスク、EEPROM、フラッシュメモリなどから構成され、CPUの動作プログラムなどを記憶する記録媒体である。RAMは、CPUのワークエリアなどとして機能する。I/Oポートは、例えば、CPUが出力する制御信号を装置の各部へ出力したり、センサからの情報をCPUに供給する。CPUは、制御部2Cの中枢を構成し、ROMに記憶された動作プログラムを実行する。CPUは、記憶部に記憶されているプログラムに沿ってドア開閉装置の動作を制御する。記憶部に記憶されているプログラム内容は、ドア開閉装置2を備えたEFEM1の使用方法及び作用と併せて、EFEM1の動作フローを示す
図10及び
図11等を参照しながら説明する。
【0054】
先ず、搬送室3のうちドア開閉装置2を配置した共通の壁面3Aに沿って延伸する直線上の搬送ライン(動線)で作動するOHT等の収納容器搬送装置により収納容器4がドア開閉装置2の上方まで搬送され、載置台23上に載置される。この際、例えば載置台23に設けた位置決め用突起231が収納容器4の位置決め用凹部に嵌まる。また、制御部2Cが、載置台23上のロック爪232をロック状態にする(ロック処理St1)。具体的には、収納容器4の底面に設けた被ロック部(図示省略)に対して、載置台23上のロック爪232を引っ掛けて固定することでロック状態になる。これにより、収納容器4を載置台23上の所定の正規位置に載置して固定することができる。本実施形態では、搬送室3の幅方向に3台並べて配置したドア開閉装置2の載置台23にそれぞれ収納容器4を載置することができる。また、収納容器4が載置台23上に所定の位置に載置されているか否かを検出する着座センサ(図示省略)により収納容器4が載置台23上の正規位置に載置されたことを検出するように構成することもできる。
【0055】
次いで、本実施形態のドア開閉装置2では、制御部2Cが、
図5に示す位置にある載置台23を
図6に示す位置までフレーム21に向かって前進させて、フレーム21のうち開口21aの周縁における最も収納容器本体42に近いフレーム最背面21Aに収納容器4の前面(相互に面一な収納容器本体42の前面42B及び蓋部43の外向き面434)を接触させる(ドッキング処理St2)。なお、
図5等における符号21Bが指す面は、フレーム21のうち開口21aの周縁において収納容器本体42から最も遠いフレーム最前面である。引き続き、本実施形態のドア開閉装置2では、制御部2Cが、連結機構221を蓋連結状態に切り替える(蓋連結処理St3)。この処理により、予め全閉位置(C)で待機させているドア部22に蓋部43を連結機構221で連結して密着状態で保持することができる。また、収納容器本体42から蓋部43を取り外し可能な状態になる。また、本実施形態のドア開閉装置2では、載置台23上の正規位置に収納容器4が載置された時点で、制御部2Cが、載置台23に設けた例えば加圧センサの被押圧部を収納容器4のうち底面部が押圧したことを検出する。これをきっかけに、制御部2Cが、載置台23に設けたノズル261(ガス導入部63として機能するノズルを含む全てのノズル261)を載置台23の上面よりも上方へ進出させる駆動命令(信号)を与える。その結果、これら各ノズル261を収納容器4の注入口と排出口にそれぞれ連結し、収納容器4内に対するパージ処理を実行可能な状態になる。
【0056】
次いで、本実施形態のドア開閉装置2は、チャンバ5内に対して環境ガスを供給するチャンバ内パージ処理St4を実行する。このチャンバ内パージ処理St4は、適宜の環境ガス供給源から供給される環境ガスを、チャンバ5の上壁53に設けたガス供給用ノズル55からチャンバ5内に注入して、チャンバ5内を環境ガスに置換する処理である。このようなチャンバ内パージ処理St4を実行することにより、チャンバ5の底壁54に設けたガス排出用ノズル56(ガス排出部61)からチャンバ5内の気体雰囲気が排出される。その排出された気体雰囲気(排出ガス)は、排気チューブ62を通って、載置台23に設けたノズル261のうち排気チューブ62の下流端が接続されてガス導入部63として機能するノズル261から収納容器4の内部空間4Sに導入される。これにより、収納容器4の内部空間4Sは、チャンバ5の内部空間5Sと同じ環境ガスで充填され、収納容器4の内部空間4Sの圧力が、チャンバ5の内部空間5Sの圧力と等しくなる。
【0057】
すなわち、本実施形態では、収納容器4の内部空間4Sを密閉した状態でチャンバ内パージ処理St4を行い、当該パージ処理St4が施されたチャンバ5の内部空間5Sから、開口21aとは別の経路を用いた圧力調整部6によって収納容器4の内部空間4Sに対してチャンバ5内の環境ガスを導入して、収納容器4の内部空間4Sの圧力をチャンバ5の内部空間5Sの圧力と均一にする圧力調整処理St5(本発明における圧力調整ステップに相当)を実施している。圧力調整処理St5の実行中は、載置台23に設けたノズル261のうち、収納容器4に形成された排出口に連結され且つ圧力調整部6の排気チューブ62が接続されていないノズル261(ボトムパージ排出用ノズル)から収納容器4内の気体雰囲気を排出し、その排出した気体雰囲気(この気体雰囲気は、圧力調整処理実行開始から所定時間までは空気や空気以外の清浄度が低い環境ガスであり、当該所定時間経過後は収納容器4の内部空間4Sに充填された環境ガスである)を、図示しない適宜の排気経路を通じて収納容器4内及び搬送室3内に連通していない適宜の空間に排気するように構成している。これにより、ガス導入部63として機能するノズル261から供給する環境ガスを収納容器4内に高濃度で充填できるようにしている。このような圧力調整処理St5を実施することによって、収納容器4の内部空間4Sを環境ガスで満たして、収納容器4内の水分濃度及び酸素濃度をそれぞれ所定値以下にまで低下させて収納容器4内における被搬送物Wの周囲環境を低湿度環境及び低酸素環境にする。したがって、圧力調整処理St5は、収納容器4の内部空間4Sを環境ガスに置換する処理(収納容器内パージ処理)を兼ねる処理であると捉えることもできる。
【0058】
そして、本実施形態のドア開閉装置2では、制御部2Cが、圧力調整処理St5に続いて、蓋部43をドア部22とともに移動させて、フレーム21の開口21a及び収納容器4の搬出入口41を開放して、収納容器4内の密閉状態を解除する処理(収納容器密閉解除処理St6)を実行する。具体的には、制御部2Cが、
図7及び
図8に示すように、ドア部22をドア移動機構27により全閉位置(C)からチャンバ5の内部空間5Sにおいて搬送室3側に向かって上述の水平経路に沿って所定距離移動させる。さらに、制御部2Cが、
図7及び
図8に示すように、上述の移動方向切替位置(P)に到達したドア部22を上述の鉛直経路に沿って所定距離降下させて全開位置(O)に位置付ける。この収納容器密閉解除処理St6を実行する時点では、上述の圧力調整処理St5によってチャンバ5の内部空間5Sと収納容器4の内部空間4Sの圧力差をなくした状態にあるため、ドア部22をチャンバ5の内部空間5S側に移動させる処理をスムーズ且つ適切に行うことができる。なお、収納容器密閉解除処理St6は、収納容器4内を開放する処理であることから、「収納容器開放処理」とも言える。
【0059】
引き続いて、本実施形態のドア開閉装置2では、制御部2Cが、チャンバ5を、遮蔽位置から、開口21aに通じる収納容器4の内部空間4Sを搬送室3の内部空間3S、ひいては処理装置Mの内部空間MSに開放し得るチャンバ退避位置(図示省略)に移動させる処理(チャンバ退避処理St7)を実行する。これにより、収納容器本体42の内部空間4S及び搬送室3の内部空間3Sがチャンバ5に遮蔽されずに相互に連通した状態になる。なお、チャンバ内パージ処理St4を実行した後に、ドア部22を全閉位置(C)から移動方向切替位置(P)まで移動させて、その位置で一旦待機させた状態で、チャンバ5を遮蔽位置からチャンバ退避位置に移動させ、その後に、ドア部22を移動方向切替位置(P)から全開位置(O)に移動させる処理手順を採用することも可能である。また、本実施形態では、圧力調整処理St5を完了した後の適宜の時点、例えばチャンバ退避処理St7を実行する前の時点で、チャンバ5の内部空間5Sに対する環境ガスの供給を停止しておくことで、ガス使用量及びガス使用時間を制限し、コストの削減を図ることもできる。
【0060】
そして、収納容器本体42の内部空間4Sと搬送室3の内部空間3Sとを連通させた状態で、搬送室3の内部空間3Sに設けた搬送ロボット31が収納容器4内にアクセスして、被搬送物Wに対する搬送処理を実施する(搬送処理St8)。搬送処理St8において実施可能な搬送処理内容は、搬送ロボット31がハンドで収納容器4内の被搬送物Wを取り出す処理や、製造装置Mによる適宜の処理を終えた処理済みの被搬送物Wをハンドで収納容器4内に入れる処理である。例えば搬送処理St8によって収納容器4内の被搬送物Wを搬送室3内に搬送した場合、搬送室3内に搬送された被搬送物Wは、搬送ロボット31によって処理装置M(具体的にはロードロック室)に搬送したり、バッファステーション又はアライナに搬送される。また、製造装置Mによる適宜の処理を終えた処理済みの被搬送物Wは、搬送ロボット31によって処理装置Mの内部空間MSから収納容器4の内部空間4Sに直接収納されたり、バッファステーションを経由してから収納容器4の内部空間4Sに順次収納される。
【0061】
そして、本実施形態に係るドア開閉装置2では、収納容器4に対する搬送ロボット31の次のアクセスを実行する場合(
図13におけるSt9;Yes)、搬送処理St6を繰り返し行う。本実施形態に係るドア開閉装置2では、収納容器4内の被搬送物Wが全て処理装置Mによる処理工程を終えたものになると、制御部2Cが、次の搬送処理を実行しない場合(
図13におけるSt9;No)の処理を実行する。つまり、制御部2Cが、ドア移動機構27によりドア部22を全閉位置(C)に移動させて、フレーム21の開口21a及び収納容器4の搬出入口41を閉止して、収納容器4の内部空間4Sを密閉する処理(収納容器密閉処理St10、
図11参照)を実行する。具体的には、制御部2Cが、
図7及び
図8に示すように、ドア部22を上述の鉛直経路に沿って所定距離上昇させて全開位置(O)から移動方向切替位置(P)まで移動させる。続いて、制御部2Cが、移動方向切替位置(P)に到達したドア部22を搬送室3から離間する方向(後方)に向かって上述の水平経路に沿って所定距離移動させる。その結果、フレーム21の開口21a及び収納容器4の搬出入口41は閉止されて、収納容器4の内部空間4Sは密閉状態になる。この収納容器密閉処理St10に伴って、蓋部43の内向き面431に設けたリテーナ44が、弾性変形しながら被搬送物Wのエッジを保持し、収納容器4に収納されている全ての被搬送物Wを正規の収納位置に位置決めすることができる(
図9参照)。
【0062】
次いで、本実施形態のドア開閉装置2では、制御部2Cが、チャンバ5をチャンバ退避位置から遮蔽位置に移動させる処理(チャンバ遮蔽処理St11)を実行する。続いて、本実施形態のドア開閉装置2では、制御部2Cが、上述のチャンバ内パージ処理St4及び圧力調整処理St5とそれぞれ同じ処理内容である第二次チャンバ内パージ処理St12及び第二次圧力調整処理St13を実行する。なお、ドア部22を全開位置(O)から移動方向切替位置(P)まで移動させ、その位置で一旦待機させた状態で、チャンバ遮蔽処理St11を実行してから、第二次チャンバ内パージ処理St12及び第二次圧力調整処理St13を実行し、その後に、ドア部22を移動方向切替位置(P)から全閉位置(C)に移動させる処理手順を採用することも可能である。また、本実施形態では、チャンバ内パージ処理St4を開始した後の適宜の時点でチャンバ5の内部空間5Sに対する環境ガスの供給を停止することにより、ガスの使用量及び使用時間を制限し、コストの削減を図ることが可能である。
【0063】
引き続いて、本実施形態に係るドア開閉装置2では、制御部2Cが、連結機構221を蓋連結状態から蓋連結解除状態に切り替える処理(蓋連結解除処理St14)を実行する。この処理により、連結機構221によるドア部22と蓋部43の連結状態(蓋連結状態)を解除して、収納容器本体42に蓋部43を取り付けることができる。次いで、本実施形態のドア開閉装置2では、制御部2Cが、載置台23をフレーム21から離間する方向に後退させる処理(ドッキング解除処理St15)を実行する。また、制御部2Cが、載置台23上のロック爪232で収納容器4をロックしている状態を解除する(ロック解除処理St16)。具体的には、収納容器4の底面に設けた被ロック部に対するロック爪232のロック状態を解除する。これにより、所定の処理を終えた被搬送物Wを格納した収納容器4は、各ドア開閉装置2の載置台23上から収納容器搬送装置に引き渡され、次工程へと運び出される。
【0064】
以上のように、本実施形態に係るドア開閉装置2は、搬送室3側において開口21aと対向する位置に設けたチャンバ5の内部空間5Sと、蓋部43によって密閉可能な収納容器4の内部空間4Sとを開口21aとは別の経路を用いて相互に連通させる圧力調整部6を備えているため、チャンバ内パージ処理によってチャンバ5内に供給する環境ガスを、圧力調整部6を通じて収納容器4の内部空間4Sに導入することでチャンバ5の内部空間5Sと収納容器4の内部空間4Sの圧力差をなくすことができ、チャンバ5内の圧力が収納容器4内の圧力よりも高くなる構成と比較して、ドア部22をチャンバ5側に移動させて収納容器4の内部空間4Sをチャンバ5の内部空間5Sに向かって開放させる処理(収納容器開放処理)に要する力を小さくすることができ、収納容器開放処理をスムーズ且つ適切に行うことができるとともに、収納容器開放処理時の衝撃を防止・抑制できることによって、ドア開閉装置2全体の揺動や振動、さらにはパーティクルの舞い上がり、或いは載置台23上の収納容器4内に収納されている被搬送物Wの位置ズレといった諸問題の発生を悉く防止・抑制することができる。
【0065】
特に、チャンバ5の内部空間5Sを短時間で窒素ガス等の環境ガスで充填させる場合には、そのパージ処理時の到達圧力を所定値を超える値まで高める必要があり、従来の構成のままであれば、このような高圧力下で全閉位置(C)にあるドア部22に対して収納容器4側に押し出す方向に作用する圧力が飛躍的に増大し、ドア部22を搬送室3側(チャンバ5側)に向かって移動させるために必要な力も大きく設定しなければならず、収納容器開放処理時の衝撃もまた増大することで、ドア開閉装置2全体の揺動や振動、さらにはパーティクルの舞い上がり、或いは載置台23上の収納容器4内に収納されている被搬送物Wの位置ズレといった不具合が起こり易い。しかしながら、本実施形態のドア開閉装置2は、圧力調整部6を備えていることによって、チャンバ内パージ処理時において、全閉位置(C)にあるドア部22に対して収納容器4側に押し出す方向に過度な圧力が作用する事態を回避することができ、ドア部22をチャンバ5側にスムーズに移動させることができ、上述の不具合の発生を防止・抑制することができる。
【0066】
さらにまた、チャンバ内パージ処理によってチャンバ5内が陽圧になる構成を採用している場合、従来のドア開閉装置の構成であれば、ドア部22を全閉位置(C)から移動させて収納容器4の内部空間4Sをチャンバ5の内部空間5Sに連通させた際に、相対的に圧力の低い収納容器4の内部空間4S内にチャンバ5内の窒素ガス等の環境ガスが急激に流れ込むことによって、収納容器4内にパーティクルが舞い上がる事態も生じ得るが、本実施形態のドア開閉装置2は、圧力調整部6によって、収納容器4内とチャンバ5内の圧力差をゼロまたは僅かな差にすることが可能であるため、収納容器4内にチャンバ5内の環境ガスが一気に流れ込む事態を防止・抑制することができ、収納容器4内でのパーティクルの舞い上がりを防止・抑制できる。
【0067】
加えて、本実施形態のドア開閉装置2は、チャンバ5の内部空間5Sに対するパージ処理中であっても圧力調整部6によってチャンバ5内と収納容器4内の圧力差をなくすことができる。そのため、チャンバ5の内部空間5Sの圧力を下げるためにチャンバ内パージ処理を一旦停止する必要もなく、パージ処理効率の点においても優れている。
【0068】
本実施形態に係るドア開閉装置2では、チャンバ5の内部空間5Sに供給した環境ガスを当該チャンバ5の外部に排出するガス排出部61と、上流端をガス排出部61に連結させたガス排気経路62と、ガス排気経路62の下流端が連結され、且つ当該ガス排気経路62を通じて収納容器4の内部空間4Sに環境ガスを導入するガス導入部63とを用いて圧力調整部6を構成している。これにより、構造の複雑化を招来することなく、比較的簡単な構成で圧力調整部6を実現することができる。
【0069】
特に、本実施形態に係るドア開閉装置2は、本来は収納容器4内の気体雰囲気を環境ガスに置換可能なボトムパージ部26を構成するパーツとして載置台23上の所定箇所に設けたノズル261を、圧力調整部6のガス導入部63として利用している。このため、圧力調整部6のガス導入部63として機能する専用のノズルを新たに設ける必要がなく、構造の簡略化及びコストの削減を図ることができる。
【0070】
また、本実施形態に係る搬送装置(EFEM1)は、搬送室3と、搬送室3の壁面3Aに設けた上述の構成を有するドア開閉装置2と、搬送室3内に設けられ、且つドア開閉装置2の載置台23上の収納容器4と搬送室3と間で被搬送物Wを出し入れ可能な搬送ロボット31とを備えている。したがって、ドア開閉装置2が奏する上述の作用効果を得て、搬送ロボット31による収納容器4と搬送室3と間での被搬送物Wの出し入れ処理を開始する直前までに要する収納容器開放処理をスムーズ且つ適切に行うことができ、パーティクルの舞い上がりや被搬送物Wの位置ズレを防止・抑制可能な環境下で、搬送ロボット31によって搬送装置1全体による処理効率の向上を図ることができる。
【0071】
また、本実施形態では、上述のドア開閉装置2を利用した収納容器4の開放方法として、蓋部43によって内部空間4Sが密閉されている収納容器4をドア開閉装置2の載置台23上に載置した状態で、チャンバ内パージ処理を行い、圧力調整部6によって収納容器4の内部空間4Sの圧力をチャンバ5の内部空間5Sの圧力と均一にする圧力調整ステップSt5に続いて、蓋部43をドア部22とともに移動させて、フレーム21の開口21aを通じて収納容器4の内部空間4Sをチャンバ5の内部空間5Sに向かって開放させる方法を採用している。したがって、収納容器4を開放した際に収納容器4の内部空間4Sが連通する空間の狭小化を図り、収納容器4内のパージ濃度を維持するためにチャンバ内パージ処理を実施した場合であっても、上述の作用効果を得ることができる。その結果、収納容器開放処理をスムーズ且つ適切に行うことができ、開放処理時の衝撃に起因するパーティクルの舞い上がりや、収納容器4内における被搬送物Wの位置ズレを防止・抑制することができる。このような収納容器4の開放方法を採用することで、被搬送物Wの品質が低下するリスクを回避することが可能であり、歩留まりの向上に寄与する。
【0072】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、本来はボトムパージ部の一部を構成するパーツとして載置台に設けた複数のボトムパージ用のノズルのうちパージガス注入用ノズルとして機能するノズルの全部をガス導入部として利用する構成を例示した。このような構成に代えて、パージガス注入用ノズルとして機能するノズルのうち全部ではない所定数のノズルだけをガス導入部として利用しつつ、パージガス注入用ノズルとして機能するノズルのうちガス導入部として利用してないノズルは、従来通りボトムパージ部のパージガス注入用ノズルとして用いる構成を採用することも可能である。この場合、収納容内に対するパージ処理は、上述した圧力調整部によってチャンバ内の環境ガスを収納容器内に導入する処理(ガス導入部として利用するノズルによって収納容器内に環境ガスを導入する処理)と、ボトムパージ部の機能を所期通り発揮させる処理(パージガス注入用ノズルのうちガス導入部として利用しないノズルによって収納容器内に環境ガスを導入する処理)の何れか一方、または両方によって実現できる。
【0073】
さらにはまた、本来はボトムパージ部の一部を構成するパーツとして載置台に設けた複数のボトムパージ用のノズルのうちパージガス注入用ノズルとして機能するノズルの全部または全部ではない所定数を、圧力調整部のガス導入部として利用する第1状態と、ボトムパージ部としての機能を所期通り発揮させる第2状態との間で切替構成に構成することも可能である。この場合、第1状態と第2状態との間で切替可能なノズルに直結する経路(チューブ等)に例えば切替弁を設け、チャンバ内から排出された環境ガスをノズルに向かわせるか、チャンバ内からではなく本来のボトムパージ用の環境ガス供給源から供給される環境ガスをノズルに向かわせるかを切替・選択可能に構成すればよい。
【0074】
また、圧力調整部のガス排出部として機能するノズルを、載置台上にボトムパージ用として設けられているノズルとは別に専用に設けた構成を採用することもできる。この場合、圧力調整部の有無に関係なく収納容器の底面から収納容器内に環境ガスを供給するボトムパージ部の供給経路と、圧力調整部による収納容器内への環境ガスの供給経路とを完全に別々に設けた構成となる。
【0075】
サイドパージ(収納容器の側方から環境ガスを供給するパージ処理の一態様)が採用されている収納容器やドア開閉装置であれば、サイドパージ部として利用されるパージガス注入用ノズルを圧力調整部のガス導入部として利用することもできる。また、ノズル以外のパーツや貫通孔などを利用してガス排出部やガス導入部を構成しても構わない。
【0076】
さらにはまた、ドア開閉装置として、圧力調整部とは別に収納容器の底面から環境ガスを供給するボトムパージ部を備えていないものを適用してもよい。この場合、載置台に適宜のガス導入部を設けて、圧力調整機能を発揮可能なドア装置を構成することができる。
【0077】
また、上述の実施形態では、圧力調整部のガス排気経路を単一のチューブで構成した態様を例示した。このような態様に代えて、空洞上の内部を流路として活用可能なチューブ等の管状パーツを複数連結してガス排気経路を構成したり、例えばフレームの厚み方向に貫通させた貫通孔等、パーツに形成した貫通孔そのものをガス排気経路の一部として利用することも可能である。
【0078】
本発明における圧力調整部は、フレームに形成した開口(ドア部によって開閉可能な開口)とは別の経路を用いてチャンバの内部空間と収納容器の内部空間を相互に連通させるものであればよい。例えば、
図12に示すように、ガス排出部61’をフレーム21に設け、このガス排出部61’に上流端を連結したガス排気経路62’を備えた圧力調整部6’を採用することができる。フレーム21に設けたガス排出部61’は、チャンバ5の内部空間5Sに連通する貫通孔である。このガス排出部61’にガス排気経路62’の上流端を密着させている。ガス排気経路62’の大部分は、上述のカバー28内に配置される。ガス排気経路62’のうち少なくとも上述のカバー28内に配置される部分は、チューブによって形成される。ガス排気経路62’の下流端は、ガス導入部63に密着している。このような圧力調整部6’により、チャンバ内パージ処理によってチャンバ5内に供給する環境ガスは、ガス排出部61’、ガス排気経路62’及びガス導入部63をこの順に通過して収納容器4の内部空間4Sに導入される。したがって、このような圧力調整部6’を通じてチャンバ5の内部空間5Sと収納容器4の内部空間4Sの圧力差をなくすことができる。このようなガス排気経路62’であれば、チャンバ5の移動に追従して移動または変形可能であるという条件が要求されない。したがって、ガス排気経路62’を構成する部材の選択や、設置スペース上の設計自由度が高まる。ガス排気経路62’として、
図12に示すように、ガス排出部61’から流れてくるチャンバ5内の環境ガスをガス導入部63に向かわせる経路(圧力調整経路)に加えて、ガス排出部61’から流れてくるチャンバ5内の環境ガスを適宜の排気空間(例えば搬送室の内部空間)に向かわせる経路(排気経路)を有する構成を採用することができる。
図12には、排気経路の下流端を、フレーム21のうち上述のカバー28の内部空間と搬送室の内部空間を連通する位置に設けた貫通孔64’に密着させている。この場合、ガス排出部61’から流れてくるチャンバ5内の環境ガスの排気経路を、圧力調整経路または排気経路の何れかに切替可能な構成(例えば切替弁を配置する構成)にすればよい。なお、ガス排気経路62’は、載置台23の移動に追従して移動または変形可能である。
【0079】
また、チャンバは、遮蔽位置に位置付けた状態でフレームやドア部と間に密閉状態または略密閉状態の内部空間を形成可能なものであればよい。例えば、遮蔽位置とチャンバ退避位置との間で移動させる際に、実際に移動する部分(可動部分)は、チャンバ全体であってもよいし、チャンバのうち少なくともフレームの開口に対向し得る起立壁を含む所定部分(一例として上壁以外の部分)であっても構わない。すなわち、チャンバの一部をフレームに対して固定した構成を採用することが可能である。
【0080】
また、ドア部が、全閉位置と全開位置との間の移動の全部または一部に回転動作を伴うものであっても構わない。例えば、
図13及び
図14に示すように、全閉位置(C)と移動方向切替位置(P)との間におけるドア部22の移動を回転動作に設定しつつ、移動方向切替位置(P)と全開位置(O)との間におけるドア部22の移動を直線動作に設定する構成を挙げることができる。この場合、移動方向切替位置(P)に位置付けたドア部22の姿勢は、所定角度傾斜した姿勢となる。この傾斜姿勢を維持したまま移動方向切替位置(P)と全開位置(O)の間で移動することになる。なお、
図13及び
図14では一部省略しているドア移動機構27の具体的な構成や駆動源も適宜変更することができる。
【0081】
また、上述の実施形態では、被搬送物の出し入れ処理中はドア部を全開位置に待機させるように構成した態様を例示した。このような態様に代えて、例えば、
図15に示すように、被搬送物Wの出し入れ処理中はその被搬送物Wを収納容器4に対して出し入れするために必要な分だけ収納容器本体42の内部空間4Sを開放する中途開放位置(I)にドア部22を待機させるように構成することも可能である。このような構成であれば、被搬送物Wの出し入れ処理中における収納容器本体42の内部空間4Sの高さ方向における開放度合いを効果的に低減することが可能である。また、収納容器本体42の内部空間4Sを開放した時点で収納容器4内のパージ濃度は一旦低下し、水分濃度が上昇するが、その上昇した水分濃度を所定値の低水分濃度に戻すまでの時間を短縮することができる。さらに、ドア部22を全閉位置(C)と全開位置(O)の間で移動させる態様よりも、ドア部22の移動ストロークの短縮化を図ることができるというメリットもある。なお、全開位置(O)の設定次第では、収納容器4内の最下段の位置に収納される被搬送物Wの出し入れ処理中の中途開放位置が、全開位置(O)と同じ位置または略同じ位置になる場合もある。なお、
図15では、チャンバを省略している。
【0082】
本発明に係るドア開閉装置は、搬送装置の一例であるEFEMの一部を構成するものとして使用可能であることは上述した通りである。したがって、EFEM以外の搬送装置やソータ装置の一部を構成するものとして使用することも可能である。ソータ装置は、例えば、搬送室の壁面に本発明に係るドア開閉装置を複数配置し、各ドア開閉装置の載置台上に載置した収納容器間で被搬送物を搬送室内に設けた搬送ロボットによって入替可能な装置である。搬送室の共通の壁面に複数のドア開閉装置を配置したソータ装置、或いは搬送室の相互に異なる壁面(例えば前壁と後壁のように対向する壁面)にそれぞれ1又は複数のドア開閉装置を配置したソータ装置、あるいは何れかの側面にバッファステーションやアライナを配置し、各ドア開閉装置の載置台上に載置した収納容器同士、或いは、収納容器とバッファステーションまたはアライナとの間で被搬送物を搬送ロボットによって入替・出し入れ可能なソータ装置、これら何れであっても構わない。
【0083】
このようなソータ装置であれば、上述の構成を有するドア開閉装置を備えていることによって、上述した作用効果を得ることができ、被搬送物の出し入れ処理を好適に行うことができる。
【0084】
搬送室の壁面に配置するドア開閉装置は1台であってもよい。
【0085】
上述した実施形態では、被搬送物としてウェーハを例示したが、被搬送物が、レティクル、液晶基板、ガラス基板、カルチャープレート、培養容器、ディッシュ、或いはシャーレ等であってもよい。すなわち、本発明は、半導体、液晶、細胞培養等の各種分野での容器に収容される搬送対象の搬送技術に適用することができる。
【0086】
また、本発明に係るドア開閉装置は、ロードポートに限定されず、収納容器と搬送室のインターフェース部分として機能する用途で使用可能なものである。
【0087】
収納容器内のパージ処理として、上述したボトムパージ処理に加えて、収納容器の内部空間を前方(チャンバ側)に開放した状態で、収納容器の内部空間の前方から環境ガスを供給するいわゆるフロントパージ処理を適用することも可能である。フロントパージ処理を実行するフロントパージ部は、収納容器本体または蓋体に設けてもよいし、ドア開閉装置に設けてもよい。本発明における収納容器は、上述の実施形態で述べたように、ドア開閉装置の載置台上に載置された時点以降の適宜のタイミングでパージ処理が施される収納容器であってもよい。しかしながら、本発明における収納容器として、ドア開閉装置の載置台上に載置された時点以降の適宜のタイミングでパージ処理が施されない収納容器や、載置台上に載置されるよりも前の時点で予めパージ処理が施されている収納容器を適用することもできる。ドア開閉装置の載置台上に載置されるよりも前の時点で予め施されるパージ処理のタイミングの具体例としては、複数の収納容器を保管可能な保管庫に保管されている時点、ドア開閉装置とは別の専用パージステーション上に載置されている時点、他の被搬送物製造装置における製造工程中の適宜の時点乃至製造完了後の適宜の時点を挙げることができる。
【0088】
収納容器の種類やタイプ、搬送室の具体的な構成や機能も適宜変更することができる。パージ処理に要する環境ガスとして、窒素ガスやドライエア以外の気体を適用しても構わない。
【0089】
搬送ロボットとして、被搬送物把持部(上述の実施形態であればハンド)を複数有するものを適用することができる。また、被搬送物把持部がハンド以外の所定のパーツ等から構成された搬送ロボットを適用することもできる。また、搬送ロボットは、搬送室内に配置されるものであればよい。搬送ロボットを備えたドア開閉装置であってよい。
【0090】
上述の実施形態では、ドア開閉装置2が制御部2Cを備え、ドア部22の移動等、各部の作動を制御部2Cが司る態様を例示した。この態様に代えて、ドア開閉装置の上位の装置(上述の実施形態であればEFEM、あるいは処理装置)の作動を司る制御部(上位コントローラである上述のEFEM全体の制御部3Mや処理装置Mの制御部MC)によって、ドア開閉装置の作動も司るように構成することも可能である。
【0091】
また、上述の制御部は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROMなど)から当該プログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行する制御部を構成することができる。そして、これらのプログラムを供給するための手段は任意である。上述のように所定の記録媒体を介して供給できる他、例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システムなどを介して供給してもよい。この場合、例えば、通信ネットワークの掲示板(BBS)に当該プログラムを掲示し、これをネットワークを介して搬送波に重畳して提供してもよい。そして、このように提供されたプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行することができる。
【0092】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。