特開2016-165737(P2016-165737A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特開2016165737-レーザ溶接装置 図000003
  • 特開2016165737-レーザ溶接装置 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-165737(P2016-165737A)
(43)【公開日】2016年9月15日
(54)【発明の名称】レーザ溶接装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/21 20140101AFI20160819BHJP
   B23K 26/08 20140101ALI20160819BHJP
   B23K 26/14 20140101ALI20160819BHJP
【FI】
   B23K26/21 J
   B23K26/08 D
   B23K26/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2015-46070(P2015-46070)
(22)【出願日】2015年3月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】津村 佳宏
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168BA22
4E168BA87
4E168CA00
4E168CB07
4E168FB03
4E168KB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】従来のレーザ溶接装置より有効な空気遮断効果と冷却効果を保つ機構を備えたレーザ溶接装置。
【解決手段】ボールジョイントを採用することで被溶接材7−1、7−2の材質、レーザ溶接スポット径、及び回転速度等の溶接条件に応じて、ノズル口径、吹き付け角度、及びレーザ照射部とノズル先端との距離は、任意に変更できる機構を備えたレーザ溶接装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を射出して、被溶接材に照射することで、被溶接材を溶接するレーザ溶接装置において、
レーザ発振部と集光レンズから成り立つレーザ発振装置と、レーザ光射出のレーザ光ノズルと、イナートガス吹付機構と、前記被溶接材を移動する稼働機構と、制御装置とから構成する、
ことを特徴とするレーザ溶接装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記イナートガス吹付機構は、イナートガス流量装置と、ガス流量センサを備えたイナートガス供給菅と、イナートガスを吹き出すノズルアタッチメントと、複数のボールジョイントと、から構成するとともに、
前記ノズルアタッチメントは、個々の前記ボールジョイントにおいて交換可能であって、前記ノズルアタッチメントを任意の方向に向けることが可能である
ことを特徴とするレーザ溶接装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記ノズルアタッチメントは、任意の口径のノズルアタッチメントであるとともに、
前記流量センサを備え、前記制御装置は前記流量センサの信号を受信するとともに、あらかじめ定めた流量のイナートガスを流す様に前記イナートガス流量装置に指令を出す
ことを特徴とするレーザ溶接装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記制御装置は前記被溶接材に応じてあらかじめ定めたエネルギーとなるようにレーザ発振装置に指令を出する
ことを特徴とするレーザ溶接装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記被溶接材を移動する稼働機構は、
前記被溶接材が回転体の場合は前記被溶接材を回転すること
あるいは
前記被溶接材が平板の場合は、前記被溶接材を水平方向に移動する
ことを特徴とするレーザ溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を用いて、被溶接材を溶接する装置であって、レーザ照射部にイナートガスを吹き付けて、被溶接個所の酸化を原因とする溶接割れを防止するとともに、溶接箇所が過剰な加熱となることを防止することが可能なレーザ溶接装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザ光を被溶接部に照射して、レーザ照射部を溶解して溶接するレーザ溶接装置は良く知られている。先行文献1は、レーザ光の開口部を中心として、前記開口部の周囲に同心円形状の、イナートガス放出部を備えたことでレーザ光溶接ノズルから、被溶接部の周囲を、水素とアルゴンから構成するイナートガスが吹き付けることで、外気を遮断することにより、溶接部の酸化あるいは酸素混入が防止されることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−39749公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前記先行文献1は、イナートガスを流すノズル先端部と溶接個所まで距離が取れないことから、被溶接材とノズルが接触する可能性があるとともに、ノズルから出るイナートガスは吹き付け角度、方向に制限があるため空気遮断効果ならびに冷却効果の達成が困難な場合がある。そのため前記イナートガスによる前記空気遮断効果が低下すると前記被溶接箇所にブローフォールの発生、さらに溶接割れが生じる恐れが起きる。
【0005】
従来のレーザ溶接装置より有効な空気遮断効果と冷却効果を保つ機構を備えたレーザ溶接装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
オールジョイントを採用することで被溶接材の材質、レーザ溶接スポット径、及び回転速度等の溶接条件に応じて、ノズル口径、吹き付け角度、及びレーザ照射部とノズル先端との距離は、任意に変更できる機構を備えたレーザ溶接装置。
【発明の効果】
【0007】
被溶接材に応じてレーザ照射部にイナートガスの吹き出し方向、位置を適切に定めることから、空気遮断の確実性を向上するとともに、冷却効果も達成するため、溶接個所での溶接酸化や、ブローフォールの発生、及び溶接割れが多いニッケル系合金であるインコネル材のレーザ溶接に本発明のレーザ溶接装置は活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明(実施例その1)レーザ溶接装置の正面図
図2】本発明(実施例その1)レーザ溶接装置の斜視図
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態1.を図1図2を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
実施の形態1.
【0011】
図1は、本発明に関わるレーザ溶接装置の構成を説明する正面図である。1はレーザ発振部であり、その内部にレーザ発振器(図示せず)とレーザ光収束レンズ(図示せず)を備える。
ノズルベース3は、前記レーザ発振器から射出され、前記集光レンズで集光したレーザ光4をレーザ照射部Sにガイドする。前記レーザ照射部Sで発生する加熱による被溶接材の溶融により溶接される。7−1と7−2は、それぞれ円筒形状の第1の被溶接材、第2の被溶接材である。前記第1の被溶接材7−1と、第2の被溶接材7−2は、それぞれ溶接材回転駆動装置6−1と、6−2に固定されるとともに同一回転速度で回転する。前記被溶接材が回転するので前記レーザ照射部Sの位置が時間とともに変わる。前記被溶接材が少なくとも1回転すると、レーザ溶接個所8の溶接は完了する。
前記制御装置は、前記レーザ照射部Sでのレーザエネルギー加熱量を被溶接材に応じてあらかじめ定めた値になるようレーザ発振器に指令を出す。
【0012】
イナートガス吹付機構は、イナートガス流量装置(図示せず)と、ガス流量センサ(図示せず)を備えたイナートガス供給菅L1−1、L2−1と、イナートガスを放出するノズルアタッチメントL1−2、L2−2と、ボールジョイントL1−G、L2−Gから構成する。前記イナートガスとして空気より比重が重いアルゴンを採用している。
【0013】
前記ノズルベース3は、レーザ光ノズル2を備えるとともに、前記イナートガス供給管L1−1、L2−1が貫通する。前記イナートガス供給管L1−1、L2−1の先端には、それぞれ角度調整可能な前記ボールジョイントL1−G、L2−Gを備えるとともに、前記ボールジョイントL1−G、L2−Gには、それぞれ前記ノズルアタッチメントL1−2、L2−2を取り付けている。前記ノズルアタッチメントL1−2、L2−2の先端の吹き出し口から前記イナートガスを噴き出すとともに、前記レーザ照射部Sに、前記イナートガスが当たる方向、角度を独立して変えて固定することが可能である。かかるボールジョイントを備えたイナートガス吹付機構を採用したことにより前記アルゴンガスは、前記レーザ照射部Sに前記レーザ照射部Sに長く滞留して、外気との遮断効果を高め、溶接部の徐冷効果を行うとともに溶接材の酸化防止に役立つとともに溶接割れの発生の恐れが減少する。
【0014】
前記ノズルアタッチメントL1−2、L2−2は、交換可能であるとともに、吹き出し口の形状は円形を想定しているが、必ずしも円形に限らず三角形、楕円形、角形などであってもかまわない。
【0015】
前記イナートガス供給管L1−1、L2−1の内部に、ガス流量センサを備える。前記ガス流量センサの信号を受け取った前記制御装置は、被溶接材に応じてあらかじめ定めた量のイナートガスが前記イナートガス供給管L1−1、L2−1に流れる様に、前記イナートガス流量装置に指示を出す。
【0016】
図2は、本発明に関わるレーザ溶接装置の斜視図である。前記溶接材回転駆動装置6−1と6−2の中心軸は、前記第1の被溶接材7−1と、第2の被溶接材7−2の中心軸と一致している。前記溶接材回転駆動装置6−1と6−2は、ギアー付の電動機等を想定している。前記第1の被溶接材7−1と、第2の被溶接材7−2の、前記溶接材回転駆動装置6−1と、6−2への取り付け治具は図示していない。前記制御装置が出す指令により、前記溶接材回転駆動装置6−1と6−2の回転開始、停止、回転速度が制御される。前記制御装置は、レーザ照射条件、すなわち照射開始、継続照射そして照射停止をレーザ発振器に指令するとともに、イナートガス吹き出し開始、吹き出し継続そして停止を前記イナートガス流量装置に指令する。
【0017】
本発明におけるイナートガス吹付機構の具体的な事例を記述すると下記のようになる。
前記ノズルアタッチメントL1−2とL2−2のノズル内径、断面積、イナートガス流量、およびイナートガス吹き出し速度は、それぞれ8.0mm、50.3mm、10L/min、および3.3m/sである。前記ノズルアタッチメントL1−2とL2−2の、前記第1の被溶接材7−1と、第2の被溶接材7−2に向ける角度と、距離は、それぞれ斜め方向の45度、10mmである。前記レーザ照射部Sでのスポット径は0.6mmである。前記第1の被溶接材7−1と、第2の被溶接材7−2の外径と、外径での回転角度は、それぞれ35mm、1.8mm/sである。なお、記載した数値は、被溶接材の外径、回転速度に応じて異なる値になる。
【0018】
本発明により、ニッケル系合金インコネル600の溶接において、窒化チタンと外気の酸素との反応による、酸化チタンの形成や、ブローフローの発生、及びブローフローを原因とする溶接割れの発生の防止が出来る。溶接不良はほとんど見られないことを検証している。
【0019】
本発明の実施例では、前記被溶接材は回転体として説明しているが、前記被溶接材が平面構造体である場合、前記6−1、6−2の溶接材回転駆動装置は、水平に前記被溶接材を移動するX-Yステージであっても構わない。
【符号の説明】
【0020】
1 レーザ発振部
2 レーザ光ノズル
3 ノズルベース
4 レーザ光
6−1、6−2 溶接材回転駆動装置
7−1,7−2 被溶接材
8 レーザ溶接個所
L1−1、L2−1 イナートガス供給管
L1−G、L2−G 角度調整用ボールジョイント
L1−2、L2−2 ノズルアタッチメント
S レーザ照射部
図1
図2