【解決手段】シャシ11に固定されたベースボード28に機能ユニット20が側面同士を突き合わせて並んで装着される。シャシ11に固定される第1ブラケット30及び第2ブラケット40が、機能ユニット20が並ぶ方向の両端の機能ユニット21,27の側面を相反する方向に押し付ける。機能ユニット20の側面に働く摩擦力で、第1ブラケット30及び第2ブラケット40を介して機能ユニット20がシャシ11に固定される。シャシ11が加振されるときにベースボード28に対して機能ユニット20を振動させ難くできるので接続不良を生じ難くできる。
前記第3ブラケットは、前記第1部に連設されると共に、前記機能ユニットの前記底面の反対面の上面に接する第2部を備えていることを特徴とする請求項5記載の機能ユニットの固定構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1に開示される技術では、シャシが加振されると、ベースボードに対して機能ユニットが振動するので、機能ユニットとベースボードとの接続不良が生じ易くなるという問題点がある。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、機能ユニットとベースボードとの接続不良を生じ難くできる機能ユニットの固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために請求項1記載の機能ユニットの固定構造は、制御盤のシャシに固定されるベースボードと、側面同士を突き合わせて並んで底面が前記ベースボードに装着されると共に、互いに同一または異なる機能を有する複数の機能ユニットと、その複数の機能ユニットが並ぶ方向の両端の前記機能ユニットの側面を相反する方向に押し付けると共に、互いに向かい合って前記シャシに固定される第1ブラケット及び第2ブラケットとを備えている。
【0007】
請求項2記載の機能ユニットの固定構造は、請求項1において、前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットは、軸状部材によって前記シャシに固定される固定部と、その固定部に結合すると共に前記機能ユニットの前記側面を押し付ける押圧部と、前記複数の機能ユニットが並ぶ方向において前記固定部に取り付けられた前記軸状部材と前記押圧部との間の前記固定部の前記シャシ側に凸起状に配置される凸起部とを備えている。
【0008】
請求項3記載の機能ユニットの固定構造は、請求項2において、前記第1ブラケットは、前記固定部および前記押圧部に結合すると共に前記機能ユニットが並ぶ方向へ向かって延設され互いに対向する一対の対面部と、その一対の対面部に両端が連結される連結部材とを備え、その連結部材は、前記機能ユニットの前記底面の反対面の上面に接する。
【0009】
請求項4記載の機能ユニットの固定構造は、請求項1から3のいずれかにおいて、前記シャシに対して開閉されると共に閉じたときに前記シャシに対向して配置される開閉部材と、その開閉部材に配置されると共に前記開閉部材との間で前記機能ユニットを押圧する弾性体とを備えている。
【0010】
請求項5記載の機能ユニットの固定構造は、請求項1から4のいずれかにおいて、前記機能ユニットは、前記機能ユニットの前記側面および前記底面に連絡する面であって互いに対向する第1面および第2面のいずれかの面に装着される付属部材を備え、前記シャシに固定される第3ブラケットを備え、前記第3ブラケットは、前記付属部材に接する第1部を備えている。
【0011】
請求項6記載の機能ユニットの固定構造は、請求項5において、前記第3ブラケットは、前記第1部に連設されると共に、前記機能ユニットの前記底面の反対面の上面に接する第2部を備えている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の機能ユニットの固定構造によれば、互いに同一または異なる機能を有する複数の機能ユニットは、制御盤のシャシに固定されたベースボードに側面同士を突き合わせて並んで底面が装着される。互いに向かい合ってシャシに固定される第1ブラケット及び第2ブラケットが、複数の機能ユニットが並ぶ方向の両端の機能ユニットの側面を相反する方向に押し付ける。第1ブラケット及び第2ブラケットによって押し付けられる機能ユニットの側面に働く摩擦力で、第1ブラケット及び第2ブラケットを介して機能ユニットがシャシに固定される。その結果、シャシが加振されるときにベースボードに対して機能ユニットを振動させ難くできるので、機能ユニットとベースボードとの接続不良を生じ難くできる効果がある。
【0013】
請求項2記載の機能ユニットの固定構造によれば、第1ブラケット及び第2ブラケットは、固定部が軸状部材によってシャシに固定され、機能ユニットの側面を押し付ける押圧部が固定部に結合する。固定部のシャシ側に凸起部が凸起状に配置される。凸起部は、複数の機能ユニットが並ぶ方向において、固定部に取り付けられた軸状部材と押圧部との間に位置するので、軸状部材によって固定部をシャシに固定すると、凸起部の分だけ押圧部が傾いて機能ユニットの側面を押す。これにより、請求項1の効果に加え、第1ブラケット及び第2ブラケットが機能ユニットの側面を押し付ける力を確保できる効果がある。
【0014】
請求項3記載の機能ユニットの固定構造によれば、第1ブラケットは、一対の対面部が、固定部および押圧部に結合されると共に、機能ユニットが並ぶ方向へ向かって延設される。一対の対面部は互いに対向し、連結部材の両端が連結される。連結部材は、機能ユニットの底面の反対面の上面に接するので、請求項2の効果に加え、上面の方向へのベースボードに対する機能ユニットの変位を抑制できる効果がある。
【0015】
請求項4記載の機能ユニットの固定構造によれば、シャシに対して開閉される開閉部材は、閉じたときにシャシに対向して配置される。開閉部材に配置される弾性体は、開閉部材との間で機能ユニットを押圧するので、請求項1から3のいずれかの効果に加え、ベースボードに対して離れる方向への機能ユニットの変位を抑制できる効果がある。
【0016】
請求項5記載の機能ユニットの固定構造によれば、機能ユニットは、機能ユニットの側面および底面に連絡する面であって互いに対向する第1面および第2面のいずれかの面に付属部材が装着される。シャシに固定される第3ブラケットは第1部が付属部材に接するので、請求項1から4のいずれかの効果に加え、機能ユニットに対して離れる方向への付属部材の変位を抑制できる効果がある。
【0017】
請求項6記載の機能ユニットの固定構造によれば、第3ブラケットは第2部が第1部に連設される。第2部は、機能ユニットの底面の反対面の上面に接するので、請求項5の効果に加え、ベースボードに対して離れる方向への機能ユニットの変位を抑制できる効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず
図1を参照して機能ユニット20(
図2参照)が配置される制御盤10について説明する。
図1(a)は本発明の一実施の形態における制御盤10が設置された運転室の平面図であり、
図1(b)は運転室の正面図である。なお、
図1(a)の矢印U,D,R,L,F,Bは、それぞれ車両の上方、下方、右方、左方、前方、後方を示している(
図2おいて同じ)。
【0020】
図1(a)及び
図1(b)に示すように制御盤10は、車両のシステムを制御・操作するための各種電気機器を収容する箱であり、有底の四角筒状に形成されたシャシ11と、ヒンジ(図示せず)を介してシャシ11に接続される開閉部材であってシャシ11の開口部を閉鎖する扉12とを備えている。制御盤10は、運転手が座る第1シート13と同乗者が座る第2シート14との間に配置された台15の上に立った状態で設置されている。これにより、シャシ11は鉛直方向(矢印U−D方向)に沿って配置される。
【0021】
次に
図2を参照して制御盤10の内部の状態について説明する。
図2は車両の前方から見た制御盤10の正面図であり、扉12を開放した状態が図示されている。制御盤10は、機能ユニット20、リレー70,71、端子台72がシャシ11に配置され、ダイオード73、リレー74、スイッチングレギュレータ75が扉12に配置されている。扉12は、シャシ11に配置された機能ユニット20に対応する位置にゴムスポンジ製の弾性体61,62が配置されている。よって、扉12を閉じると機能ユニット20に弾性体61,62が押し付けられる。
【0022】
機能ユニット20は、互いに同一または異なる機能を有するユニット(モジュール)の組み合わせにより構成される機器であり、本実施の形態では、外部機器に対する入出力制御を行うプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)である。機能ユニット20は、各ユニットに電源を供給するための電源ユニット21、システムを制御するCPUユニット22、シリアル通信ユニット23,24(以下「通信ユニット」と称す)、外部機器と接続用の入出力ユニット25,26,27が左右(矢印L−R方向)に並んで配置される。
【0023】
電源ユニット21、CPUユニット22、通信ユニット23,24、入出力ユニット25,26,27が並ぶ方向(左右方向)の両端に第1ブラケット30及び第2ブラケット40が配置されている。また、機能ユニット20の鉛直方向下側の第1ブラケット30と第2ブラケット40との間に第3ブラケット50が配置されている。機能ユニット20は、第1ブラケット30、第2ブラケット40及び第3ブラケット50によりシャシ11に固定される。通信ユニット23,24は、それぞれコネクタ23a,24aが設けられる。
【0024】
次に
図3を参照して機能ユニット20について説明する。
図3(a)は機能ユニット20の上面図であり、
図3(b)は機能ユニット20の左側面図であり、
図3(c)は機能ユニット20の正面図である。なお、
図3(a)に示す上面図は、制御盤10に配置された機能ユニット20を車両の前方から後方(
図2矢印B方向)へ向かって見た図であり、
図3(b)に示す左側面図は、車両の右方から左方(
図2矢印L方向)へ向かって機能ユニット20を見た図であり、
図3(c)に示す正面図は、車両の下方から上方(
図2矢印U方向)へ向かって機能ユニット20を見た図である(
図4から
図7において同じ)。
図3(a)では、通信ユニット23,24のコネクタ23a,24aの図示が省略されている。
【0025】
図3(a)に示すように機能ユニット20は、電源ユニット21、CPUユニット22、通信ユニット23,24、入出力ユニット25,26,27の組合せによって構成される。
図3(b)及び
図3(c)に示すように、電源ユニット21、CPUユニット22、通信ユニット23,24、入出力ユニット25,26,27は、略同一の大きさの直方体の箱状に形成されており、底面側がベースボード28にコネクタ29によって連結されている。ベースボード28は、機能ユニット20を装着し、電源ユニット21、CPUユニット22、通信ユニット23,24、入出力ユニット25,26,27間を電気的に接続するためのユニットである。ベースボード28は、ねじ(図示せず)により四隅がシャシ11に取り付けられるので、機能ユニット20はベースボード28を介してシャシ11に結合される。
【0026】
図3(a)に示すように電源ユニット21、CPUユニット22、通信ユニット23,24、入出力ユニット25,26,27は、側面21b,22b,23b,24b,25b,26b,27b同士を突き合わせて並んで配置される。CPUユニット22は、正面22cに電池ケース22aが固定されている。電池ケース22aは、CPUユニット22に電力を供給するメモリバックアップ用の電池(図示せず)が格納される部材であり、CPUユニット22の正面22cに設けられた爪(図示せず)に係止されている。
【0027】
図3(c)に示すように電源ユニット21は、側面21a,21b、正面21c及び背面21dが連絡する上面21eが略長方形の形状を呈する。入出力ユニット27も同様に、側面27a,27b、正面27c及び背面27dが連絡する上面27eが略長方形の形状を呈する。電源ユニット21の上面21eの面積は、入出力ユニット27の上面27eの面積より大きく設定される一方、ベースボード28からの電源ユニット21の上面21eの高さは、ベースボード28からの入出力ユニット27の上面27eの高さより低く設定される。CPUユニット22、通信ユニット23,24、入出力ユニット25,26は、入出力ユニット27と略同一の形状および大きさに設定されている。
【0028】
次に
図4を参照して、機能ユニット20の電源ユニット21側に取り付けられる第1ブラケット30について説明する。
図4(a)は第1ブラケット30の上面図であり、
図4(b)は第1ブラケット30の左側面図であり、
図4(c)は第1ブラケット30の正面図である。
【0029】
第1ブラケット30は、鋼板により一体に成形される部材であり、縦長の矩形状にそれぞれ形成されると共に所定の間隔をあけて互いに対向する一対の対面部31と、対面部31と同一面上であって対面部31と直交する方向へ対面部31の長手方向の中央から突出されると共に互いに対向する略方形状の一対の腕部32と、腕部32の先端を互いに連結する押圧部33とを備えている。押圧部33は略矩形状に形成されると共に、対面部31に沿って腕部32よりも上方へ向かって延びている。第1ブラケット30は、上面視において対面部31、腕部32及び押圧部33によりコ字状に形成されている(
図4(a)参照)。対面部31が互いに対向する間隔は、電源ユニット21の正面21cから背面21d(
図3(a)参照)までの長さより大きく設定されている。
【0030】
対面部31は、相反する方向へ張り出す固定部34が、長手方向の一端にそれぞれ設けられている。固定部34は、シャシ11に当接する部位であり、上面視において略矩形状に形成されると共に板厚方向に貫通する孔部35が形成されている。孔部35は、長穴状に形成されており、対面部31から腕部32が突出する方向と反対方向の固定部34の縁部に開口する。孔部35は、固定部34をシャシ11に取り付けるためのボルト80(後述する)が挿通される部位である。シャシ11はボルト80が螺合するねじ穴(図示せず)が設けられている。
【0031】
対面部31は、固定部34が形成された長手方向の一端と反対側の端部に、板厚方向に貫通する貫通孔36が形成されている。貫通孔36は、連結部材83(後述する)が挿通される孔であり、固定部34からの高さが、ベースボード28と電源ユニット21とを加えた高さと略等しい位置に設けられている。対面部31は、互いに対向する対向面の中央に防振材37が貼着されており、押圧部33は、対面部31側の面の上部側に防振材38が貼着されている。防振材37,38は、ゴム状の弾性体から構成されている。
【0032】
固定部34は、対面部31が設けられる面と反対側の面(底面)に凸起部39が設けられている。凸起部39は、固定部34の底面の一部を盛り上げる部位であり、対面部31から腕部32が突出する方向の固定部34の縁部に設けられている。本実施の形態では、凸起部39はゴム状の弾性体から構成されており、固定部34の底面に貼着されている。
【0033】
次に
図5を参照して、機能ユニット20の入出力ユニット27側に取り付けられる第2ブラケット40について説明する。
図5(a)は第2ブラケット40の上面図であり、
図5(b)は第2ブラケット40の正面図であり、
図5(c)は第2ブラケット40の右側面図である。
【0034】
第2ブラケット40は、鋼板により一体に成形される部材であり、縦長の矩形状にそれぞれ形成されると共に所定の間隔をあけて互いに対向する一対の対面部41と、対面部41と同一面上であって対面部41と直交する方向へ対面部41の端部から突出されると共に互いに対向する略方形状の一対の腕部42と、腕部42の先端を互いに連結する押圧部43とを備えている。押圧部43は略矩形状に形成されると共に、腕部42よりも上方へ向かって延びている。第2ブラケット40は、上面視において対面部41、腕部42及び押圧部43によりコ字状に形成されている(
図5(a)参照)。対面部41が互いに対向する間隔は、入出力ユニット27の正面27cから背面27d(
図3(a)参照)までの長さより大きく設定されている。
【0035】
対面部41は、相反する方向へ張り出す固定部44が、長手方向の一端にそれぞれ設けられている。固定部44は、シャシ11に当接する部位であり、上面視において略矩形状に形成されると共に板厚方向に貫通する孔部45が形成されている。孔部45は、長穴状に形成されており、対面部41から腕部42が突出する方向と反対方向の固定部44の縁部に開口する。孔部45は、固定部44をシャシ11に取り付けるためのボルト81(後述する)が挿通される部位である。シャシ11はボルト81が螺合するねじ穴(図示せず)が設けられている。
【0036】
押圧部43は、対面部41側の面の上部側に防振材48が貼着されている。防振材48は、ゴム状の弾性体から構成されている。固定部44は、対面部41が設けられる面と反対側の面(底面)に凸起部49が設けられている。凸起部49は、固定部44の底面の一部を盛り上げる部位であり、対面部41から腕部42が突出する方向の固定部44の縁部に設けられている。本実施の形態では、凸起部49はゴム状の弾性体から構成されており、固定部44の底面に貼着されている。
【0037】
次に
図6を参照して、機能ユニット20のCPUユニット22付近に取り付けられる第3ブラケット50について説明する。
図6(a)は第3ブラケット50の上面図であり、
図6(b)は第3ブラケット50の左側面図であり、
図6(c)は第3ブラケット50の正面図である。
【0038】
第3ブラケット50は、鋼板により一体に成形される部材であり、縦長の矩形状に形成される第1部51と、第1部51の上端から第1部51と直交する方向へ突出される第2部52と、第1部51と直交すると共に第2部52が延びる方向と反対方向へ向かって第1部51の下端から突出される固定部53とを備えている。第3ブラケット50は、側面視において略Z字状に形成されている(
図6(b)参照)。第1部51の長さ(
図6(b)上下方向寸法)は、ベースボード28とCPUユニット22とを加えた高さより少し大きく設定されている。第2部の長さ(
図6(b)左右方向寸法)は、CPUユニット22(
図3(a)参照)の正面22cに対する電池ケース22aの張り出し長さより大きく設定されている。
【0039】
固定部53は、シャシ11に当接する部位であり、上面視において略矩形状に形成されると共に板厚方向に貫通する孔部54が、第1部51に対して固定部53が突出する方向に沿って長穴状に形成されている。孔部54は、固定部53をシャシ11に取り付けるためのボルト82(後述する)が挿通される部位である。シャシ11はボルト82が螺合するねじ穴(図示せず)が設けられている。第1部51及び第2部52は、それぞれ第2部52及び第1部51側の面に防振材55,56が貼着されている。防振材55,56は、ゴム状の弾性体から構成されている。
【0040】
次に
図7及び
図8を参照して第1ブラケット30、第2ブラケット40及び第3ブラケット50の使用方法について説明する。
図7は第1ブラケット30、第2ブラケット40及び第3ブラケット50が取り付けられた機能ユニット20の正面図であり、
図8は第1ブラケット30及び第3ブラケット50が取り付けられた機能ユニット20の左側面図である。なお、
図7は貫通孔36に挿通される連結部材83の図示が省略されている。
【0041】
図7に示すように第1ブラケット30は、電源ユニット21の側面21aに押圧部33を沿わせつつ、固定部34に形成された孔部35(
図4(a)参照)に挿通するボルト80を介してシャシ11に固定される。機能ユニット20が並ぶ方向(
図7左右方向)において、ボルト80と押圧部33との間に凸起部39が配置されるので、ボルト80の締結に伴い、シャシ11に対して固定部34及び押圧部33が傾けられる。傾いた押圧部33によって側面21aが押されることで、側面21aに働く摩擦力によって、第1ブラケット30を介してシャシ11に電源ユニット21が固定される。その結果、シャシ11が加振されるときにベースボード28に対して電源ユニット21を振動させ難くできるので、電源ユニット21とベースボード28との接続不良(コネクタ29の接続不良)を生じ難くできる。
【0042】
第1ブラケット30は、貫通孔36に連結部材83(
図8参照)が挿通され対面部31間に固定される。連結部材83(ボルト)は電源ユニット21の上面21e(
図3(c)参照)に密接するので、連結部材83によって電源ユニット21がベースボード28に対して離れる方向へ変位することを防止できる。電源ユニット21は、CPUユニット22や通信ユニット23,24、入出力ユニット25〜27と比較して質量が大きいが、連結部材83によって変位が規制されるので、電源ユニット21のシャシ11に対する振動を抑制できる。
【0043】
なお、電源ユニット21は、押圧部33との間に防振材38が介設されるので、防振材38を設けない場合と比較して、押圧部33による電源ユニット21の側面21aに働く摩擦力を大きくしつつ、第1ブラケット30を介してシャシ11の振動が電源ユニット21に伝達されることを抑制できる。また、対面部31との間に防振材37(
図8参照)が介設されるので、第1ブラケット30を介してシャシ11の振動が電源ユニット21に伝達されることを抑制できる。連結部材83によって対面部31間の距離が広がることを防止できるので、対面部31と電源ユニット21との間に介設される防振材37によって、電源ユニット21の対面部31側への変位を規制できる。
【0044】
第1ブラケット30の押圧部33によって電源ユニット21の上端側がCPUユニット22側へ押されるので、電源ユニット21をCPUユニット22側へわずかに傾け易くできる。その結果、電源ユニット21の側面21bによってCPUユニット22の側面22b(
図3(a)参照)に働く摩擦力で、電源ユニット21に加え、CPUユニット22もベースボード28に対して振動し難くできる。
【0045】
図7に示すように第2ブラケット40は、入出力ユニット27の側面27aに押圧部43を沿わせつつ、固定部44に形成された孔部45(
図5(a)参照)に挿通するボルト81を介してシャシ11に固定される。機能ユニット20が並ぶ方向(
図7左右方向)において、ボルト81と押圧部43との間に凸起部49(
図5(b)参照)が配置されるので、ボルト81の締結に伴い、シャシ11に対して固定部44及び押圧部43が傾けられる。傾いた押圧部43によって側面27aが押されることで、側面27aに働く摩擦力によって、第2ブラケット40を介してシャシ11に入出力ユニット27が固定される。その結果、シャシ11が加振されるときにベースボード28に対して入出力ユニット27を振動させ難くできるので、入出力ユニット27とベースボード28との接続不良(コネクタ29の接続不良)を生じ難くできる。
【0046】
入出力ユニット27は、押圧部43との間に防振材48(
図5(b)参照)が介設されるので、防振材48を設けない場合と比較して、押圧部43による入出力ユニット27の側面27aに働く摩擦力を大きくできる。さらに、第2ブラケット40を介してシャシ11の振動が入出力ユニット27に伝達されることを抑制できる。
【0047】
第2ブラケット40の押圧部43によって入出力ユニット27の上端側が入出力ユニット26側へ押されるので、入出力ユニット27を入出力ユニット26側へ傾け易くできる。その結果、入出力ユニット27の側面27bによって入出力ユニット26の側面26b(
図3(a)参照)に働く摩擦力で、入出力ユニット27に加え、入出力ユニット26もベースボード28に対して振動し難くできる。
【0048】
なお、第1ブラケット30及び第2ブラケット40は、ボルト80,81が挿通される孔部35,45が長穴状に形成されているので、孔部35,45に沿って第1ブラケット30及び第2ブラケット40をスライドさせることで、押圧部33,43を機能ユニット20の側面21a,27aに押し付け易くできる。よって、シャシ11に形成するボルト80,81のねじ穴(図示せず)の位置精度を緩和できる。
【0049】
また、第1ブラケット30及び第2ブラケット40は、凸起部39,49がゴム状の弾性体で形成されているので、ボルト80,81を締結した後は、シャシ11と固定部34,44との間に介設される凸起部39,49の復元力によって、機能ユニット20の側面21a,27aに押圧部33,43を押し付ける押圧力を確保できる。その結果、第1ブラケット30及び第2ブラケット40が機能ユニット20を固定する力が経時的に低下することを抑制できる。
【0050】
以上のように、第1ブラケット30及び第2ブラケット40は、機能ユニット20が並ぶ方向の両端の電源ユニット21及び入出力ユニット27の側面21a,27aを相反する方向に押し付けることで、シャシ11に対して機能ユニット20を固定する。そのため、第1ブラケット30及び第2ブラケット40をシャシ11に固定するボルト80,81を緩め、側面21b,22b,23b,24b,25b,26b,27b間に働く摩擦力を小さくすることで、CPUユニット22や通信ユニット23,24、入出力ユニット25〜27をベースボード28から容易に取り外すことができる。さらに、長穴状の孔部35に沿ってボルト80に対して固定部34をスライドさせ、電源ユニット21の上面21eから連結部材83を取り除くことで、電源ユニット21をベースボード28から取り外すことができる。電源ユニット21、CPUユニット22、通信ユニット23,24、入出力ユニット25〜27の着脱を容易にできるので、機能ユニット20の交換やメンテナンスを容易にできる。
【0051】
また、第1ブラケット30及び第2ブラケット40は、シャシ11に形成されたねじ穴(図示せず)にボルト80,81を螺合することで、シャシ11に固定される。そのため、機能ユニット20を構成するユニットの数(左右方向の全長)に応じ、シャシ11に設けるねじ穴の位置を適宜設定することで、第1ブラケット30及び第2ブラケット40を介して機能ユニット20をシャシ11に固定できる。ユニットの数を問わずに機能ユニット20をシャシ11に固定できるので、汎用性を向上できる。
【0052】
なお、第1ブラケット30及び第2ブラケット40は、対面部31,41及び腕部32,42に対して押圧部33,43をそれぞれ屈曲させているので、押圧部33,43に対して屈曲した対面部31,41及び腕部32,42がない構造と比べて、剛性を向上できる。固定部34,44は、押圧部33,43が機能ユニット20を押し付ける方向(
図7左右方向)と交差する方向(直交する方向、
図7紙面垂直方向)へ対面部31,41に対して屈曲しているので、凸起部39,49によってシャシ11に対して固定部34,44を傾斜させることで、押圧部33,43を傾けて機能ユニット20に押し付けることができる。押圧部33,43は、屈曲した腕部32,42に対して高さ方向(
図7上下方向)へ延びているので、押圧部33,43を機能ユニット20に押し付けるときに、押圧部33,43の高さ方向の端部側(腕部32,42を超えた部分)が撓むことによる反力を利用できる。
【0053】
図7に示すように弾性体61,62は、扉12(
図2参照)が閉じられることで、通信ユニット23,24に押し付けられる。これにより、ベースボード28に対して通信ユニット23,24を振動させ難くできる。また、通信ユニット23,24に設けられたコネクタ23a,24aを弾性体61,62が覆うので、弾性体61,62が押し付けられることで、コネクタ23a,24aに接続された配線(図示せず)の振動を防ぐことができる。その結果、配線とコネクタ23a,24aとの接続不良や振動による断線を生じ難くできる。
【0054】
また、弾性体61,62は、第1ブラケット30及び第2ブラケット40に押し付けられる電源ユニット21や入出力ユニット27から離れた通信ユニット23,24を押し付ける。通信ユニット23,24は、機能ユニット20の並びの中央に位置するので、第1ブラケット30及び第2ブラケット40による押力の影響が及び難く、電源ユニット21や入出力ユニット27と比べてシャシ11に対して振動し易い。しかし、通信ユニット23,24を弾性体61,62によりベースボード28へ押し付けるので、通信ユニット23,24の振動を抑制できる。
【0055】
第3ブラケット50は、ボルト82によって固定部53がシャシ11に固定されると、防振材55を介して第1部51が電池ケース22aに接触し、防振材56を介して第2部52がCPUユニット22に接触する。第1部51によってCPUユニット22に対する電池ケース22aの変位を規制できるので、電池ケース22aを係止する爪(図示せず)の破損を防止できる。
【0056】
なお、第1部51と電池ケース22aとの間に防振材55が介設されるので、防振材55を設けない場合と比較して、第1部51による電池ケース22aに働く摩擦力を大きくしつつ、第3ブラケット50を介してシャシ11の振動が電池ケース22aに伝達されることを抑制できる。また、固定部53に長穴状の孔部54が形成されているので、シャシ11に取り付けられたボルト82に対して、孔部54に沿って固定部53の位置を適宜設定できる。その結果、第1部51及び防振材55を電池ケース22aに密接させることができる。
【0057】
第3ブラケット50は、第2部52によってベースボード28及びシャシ11に対するCPUユニット22の変位を規制できるので、シャシ11に対してCPUユニット22を振動させ難くできる。なお、第2部52とCPUユニット22との間に防振材56が介設されるので、防振材56を設けない場合と比較して、第2部52によるCPUユニット22に働く摩擦力を大きくしつつ、第3ブラケット50を介してシャシ11の振動がCPUユニット22に伝達されることを抑制できる。
【0058】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0059】
上記実施の形態では、機能ユニット20がPLC(コントローラ)の場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、制御盤10のシャシ11に並べて配置される他の電子機器を採用することは当然可能である。他の電子機器としては、リレー、ダイオード等が例示される。なお、シャシ11及び扉12のいずれにもベースボード28を取り付けることができ、シャシ11及び扉12の内いずれが開閉すると言うかは相対的なものである。従って、上記実施の形態とは異なり、扉12にベースボード28が取り付けられる場合には、扉12が、特許請求の範囲のシャシを意味し、シャシ11が、特許請求の範囲の扉(開閉部材)を意味する。
【0060】
上記実施の形態では、第1ブラケット30、第2ブラケット40及び第3ブラケット50がボルト80,81,82によって締結固定される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ボルト80,81,82に代えて、他の軸状部材を採用することは当然可能である。他の軸状部材としては、ピン、リベット等が例示される。
【0061】
上記実施の形態では、第1ブラケット30及び第2ブラケット40に設けられる凸起部39,49がゴム状の弾性体の場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、固定部34,44の一部を塑性変形によって底面側へ盛り上げ、凸起部39,49を形成することは当然可能である。
【0062】
上記実施の形態では、CPUユニット22に電力を供給する電池が電池ケース22aに内蔵される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、電池ケース22aを省略することは当然可能である。電池ケース22aが省略された場合には、電池を受ける受け部を第1部51に形成することで、CPUユニット22と第3ブラケット50との間で電池の変位を規制する。なお、CPUユニット22(機能ユニット20)に電池ケース22aや電池が付属されない場合には、第3ブラケット50は省略できる。
【0063】
上記実施の形態では説明を省略したが、機能ユニット20は、第1ブラケット30、第2ブラケット40及び第3ブラケット50による固定に加え、特許文献1に開示されるように係止片やねじでベースボード28に固定することは当然可能である。