(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-166025(P2016-166025A)
(43)【公開日】2016年9月15日
(54)【発明の名称】紙容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/70 20060101AFI20160819BHJP
【FI】
B65D5/70 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-45824(P2015-45824)
(22)【出願日】2015年3月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074181
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 明博
(74)【代理人】
【識別番号】100152249
【弁理士】
【氏名又は名称】川島 晃一
(72)【発明者】
【氏名】米田 芳孝
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA05
3E060AB04
3E060BA03
3E060BC01
3E060BC04
3E060CF02
3E060CG12
3E060DA14
3E060EA03
(57)【要約】
【課題】 容易に注出口を開口することができるとともに、製造時に面倒な作業を要さず、撓みなどの変形を抑制する紙容器を得る。
【解決手段】 注出口35となる一方の妻壁形成パネル18、妻壁形成パネル18の上部に有する内側トップシールパネル22、妻壁形成パネル18の上端に連設された胴部パネル4、胴部パネル4の下端に連設された内側底部パネル33をその面の中央位置で縦方向に二分割し、分割した妻壁形成パネル18,18、内側トップシールパネル22,22、胴部パネル4,4、内側底部パネル33,33の分割片36の分割縁に連設されたそれぞれの縦方向シールパネル5,5を外側に折り、内面同士が対向するように重ね加熱シールして四角の筒状胴部6を形成した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏面に熱可塑性樹脂を積層した板紙素材からなり、4つの胴部パネルを備え、縦方向シールパネルによって四角の筒状胴部が形成され、前記胴部パネルの上端に、頂部横折線を介して上部に外側トップシールパネルを有し互いに対向する一対の切妻屋根形成パネルと、頂部横折線を介して上部に内側トップシールパネルを有し互いに対向する一対の妻壁形成パネルが連設されて、前記一対の切妻屋根形成パネルの間に前記一対の妻壁形成パネルが折り込まれて、前記各トップシールパネル同士が所定の位置で加熱シールされて密封されることによって頂部が形成され、前記胴部パネルの下端に、底部横折線を介して互いに対向する一対の外側底部パネルと、底部横折線を介して互いに対向する一対の内側底部パネルとが連設されて、前記一対の内側底部パネルの外側に前記一対の外側底部パネルが折り畳まれて加熱シールされて密封されることによって底部が形成され、開封時、加熱シールされた前記妻壁形成パネルを引き出して注出口とする切妻屋根型の紙容器において、
前記一対の切妻屋根形成パネルの間から引き出されて注出口となる一方の妻壁形成パネル、該妻壁形成パネルの上部に有する内側トップシールパネル、該妻壁形成パネルの上端に連設された胴部パネル、該胴部パネルの下端に連設された内側底部パネルが、その面の中央位置で縦方向に二分割され、
分割された妻壁形成パネル、内側トップシールパネル、胴部パネル、内側底部パネルの分割片の分割縁にそれぞれ前記縦方向シールパネルが連設され、それぞれの縦方向シールパネルが外側に折られて内面同士が対向するように重ねられ、加熱シールされて前記四角の筒状胴部が形成されていることを特徴とする紙容器。
【請求項2】
前記加熱シールされた前記縦方向シールパネルのシール片は折られて、前記胴部パネル及び前記内側底部パネルと加熱シールされていることを特徴とする請求項1に記載の紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛乳やジュース等の液体飲料を収容する切妻屋根型頂部を有する紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、牛乳カートンに代表される飲料用の紙容器として、表裏面に熱可塑性樹脂を積層した板紙素材からなり、4つの胴部パネルを備え、縦方向シールパネルによって四角の筒状胴部が形成され、胴部パネルの上端に、頂部横折線を介して上部に外側トップシールパネルを有し互いに対向する一対の切妻屋根形成パネルと、頂部横折線を介して上部に内側トップシールパネルを有し互いに対向する一対の妻壁形成パネルが連設され、一対の切妻屋根形成パネルの間に一対の妻壁形成パネルが折り込まれて、各トップシールパネル同士が所定の位置で加熱シールされて密封されることによって頂部が形成される切妻屋根型の紙容器(ゲーブルトップ型)が広く使用されている。
【0003】
このような切妻屋根型の紙容器の注出口の開封は、注出口となる妻壁形成パネル側における内側トップシールパネルの加熱シールされている対向面同士を剥がし、一対の切妻屋根形成パネルの間に折り込まれている妻壁形成パネルを引き出して注出口を開口させるようにして行っているが、妻壁形成パネルを引き出す際、注出口となる妻壁形成パネルの内側トップシールパネルを摘んで開けなければならず、このような開け方は衛生上好ましいものではない。
【0004】
そこで、容易に注出口を開口するものとして、注出口となる妻壁形成パネルの外側にV字状に折曲する引きしろを設け、注出口を開封する際は、この引きしろを摘まんで引っ張ることにより、妻壁形成パネルが引き出されて注出口が開口する紙容器が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平3−123823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の紙容器では、一対の切妻屋根形成パネルの間に一対の妻壁形成パネルを折り込む際、V字状の引きしろ部分を外側に折り曲げながら妻壁形成パネルを切妻屋根形成パネルの間に折り込まなければならず、製造時に面倒な作業を要するといった問題がある。
また、特許文献1に記載の紙容器においては、妻壁形成パネルをV字状に折り曲げて引きしろを形成するが、妻壁形成パネルをV字状に折り曲げると、妻壁形成パネルの上側が詰まって短くなるため、該妻壁形成パネルの下側にある頂部横折線の両端部分が内側に引っ張られ、頂部横折線の中央部分に撓みが生じ、注出口となる側の頂部横折線部分が弧状に膨らんでしまうといった問題がある。
【0007】
本発明の目的は、容易に注出口を開口することができるとともに、製造時に面倒な作業を要さず、撓みなどの変形を抑制する紙容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、表裏面に熱可塑性樹脂を積層した板紙素材からなり、4つの胴部パネルを備え、縦方向シールパネルによって四角の筒状胴部が形成され、前記胴部パネルの上端に、頂部横折線を介して上部に外側トップシールパネルを有し互いに対向する一対の切妻屋根形成パネルと、頂部横折線を介して上部に内側トップシールパネルを有し互いに対向する一対の妻壁形成パネルが連設されて、前記一対の切妻屋根形成パネルの間に前記一対の妻壁形成パネルが折り込まれて、前記各トップシールパネル同士が所定の位置で加熱シールされて密封されることによって頂部が形成され、前記胴部パネルの下端に、底部横折線を介して互いに対向する一対の外側底部パネルと、底部横折線を介して互いに対向する一対の内側底部パネルとが連設されて、前記一対の内側底部パネルの外側に前記一対の外側底部パネルが折り畳まれて加熱シールされて密封されることによって底部が形成され、開封時、加熱シールされた前記妻壁形成パネルを引き出して注出口とする切妻屋根型の紙容器において、前記一対の切妻屋根形成パネルの間から引き出されて注出口となる一方の妻壁形成パネル、該妻壁形成パネルの上部に有する内側トップシールパネル、該妻壁形成パネルの上端に連設された胴部パネル、該胴部パネルの下端に連設された内側底部パネルが、その面の中央位置で縦方向に二分割され、分割された妻壁形成パネル、内側トップシールパネル、胴部パネル、内側底部パネルの分割片の分割縁にそれぞれ前記縦方向シールパネルが連設され、それぞれの縦方向シールパネルが外側に折られて内面同士が対向するように重ねられ、加熱シールされて前記四角の筒状胴部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の、前記加熱シールされた前記縦方向シールパネルのシール片は折られて、前記胴部パネル及び前記内側底部パネルと加熱シールされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の紙容器によれば、一対の切妻屋根形成パネルの間から引き出されて注出口となる一方の妻壁形成パネル、該妻壁形成パネルの上部に有する内側トップシールパネル、該妻壁形成パネルの上端に連設された胴部パネル、該胴部パネルの下端に連設された内側底部パネルが、その面の中央位置で縦方向に二分割され、分割された妻壁形成パネル、内側トップシールパネル、胴部パネル、内側底部パネルの分割片の分割縁にそれぞれ縦方向シールパネルが連設され、それぞれの縦方向シールパネルが外側に折られて内面同士が対向するように重ねられ、加熱シールされて四角の筒状胴部が形成されているので、注出口となる妻壁形成パネルには、縦方向シールパネルが重ねられて加熱シールされたシール片が形成されており、開封時、このシール片を摘まんで引っ張ることにより、妻壁形成パネルが引き出されて注出口を容易に開口することができる。
また、開封する際に摘まむシール片は、分割片の分割縁にそれぞれ連設された縦方向シールパネルを外側に折り、内面同士が対向するように重ねて加熱シールすることにより形成されるため、製造時に面倒な作業を要することなく、注出口が容易に開口できる紙容器を簡易な方法で製造することができる。
さらに、分割した縦方向シールパネルを重ねて加熱シールしたシール片により、シール片が形成される注出口となる側の妻壁形成パネル、内側トップシールパネル、胴部パネル、内側底部パネルの剛性を向上させることができ、紙容器の撓みなどの変形を抑制することができる。
【0011】
請求項2に記載の紙容器によれば、加熱シールされた縦方向シールパネルのシール片は折られて、胴部パネル及び内側底部パネルと加熱シールされているので、シール片が胴部パネルから突出せず、紙容器の保管や搬送等に支障を来すおそれはない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る紙容器の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す紙容器の注出口を開口した状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す紙容器の組み立て加工前のカートンブランクスを示す展開図である。
【
図4】開封した紙容器を掴んだ状態を示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る紙容器の実施の形態の一例を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本例の紙容器を示す斜視図、
図2は
図1に示す紙容器の注出口を開口した状態を示す斜視図、
図3は
図1に示す紙容器の組み立て加工前のカートンブランクスを示す展開図、
図4は開封した紙容器を掴んだ状態を示す参考図である。
【0014】
本例の紙容器は、
図3に示される展開構造を有するカートンブランクスによって組み立てられる。
本例の紙容器は、表裏面に熱可塑性樹脂を積層した板紙素材からなり、4つの胴部パネル1,2,3,4を備え、縦方向シールパネル5によって四角の筒状胴部6が形成される。
【0015】
胴部パネル1,3の上端には、頂部横折線7,8を介して互いに対向する一対の切妻屋根形成パネル9,10が連設されている。この一対の切妻屋根形成パネル9,10の上部には、シール横折線11,12を介して外側トップシールパネル13,14が連設されている。
【0016】
また、筒状胴部6の他の対向する胴部パネル2,4の上端には、頂部横折線15,16
を介して互いに対向する一対の妻壁形成パネル17,18が連設されている。この一対の妻壁形成パネル17,18の上部には、シール横折線19,20を介して内側トップシールパネル21,22が連設されている。
【0017】
そして、一対の妻壁形成パネル17,18には、胴部パネル2,4との境界の頂部横折線15,16の両端から内側トップシールパネル21,22との境界のシール横折線19,20に繋がる折込線23,24が設けられており、一対の妻壁形成パネル17,18が折込線23,24で折られて一対の切妻屋根形成パネル9,10の間に折り込まれ、外側トップシールパネル13,14及び内側トップシールパネル21,22が所定の位置で加熱されシールされて密封されることによって切妻屋根型の頂部25が形成されている。
【0018】
胴部パネル1,3の下端には、底部横折線26,27を介して互いに対向する一対の外側底部パネル28,29が連設され、筒状胴部6の他の対向する胴部パネル2,4の下端には、底部横折線30,31を介して互いに対向する一対の内側底部パネル32,33とが連設され、一対の内側底部パネル32,33の外側に一対の外側底部パネル28,29が折り畳まれて加熱シールされて密封されることによって底部34が形成されている。
【0019】
本発明では、一対の切妻屋根形成パネル9,10の間から引き出されて注出口35となる一方の妻壁形成パネル18、妻壁形成パネル18とシール横折れ線20を介して連設された内側トップシールパネル22、妻壁形成パネル18と頂部横折線16を介して連設された胴部パネル4、胴部パネル4と底部横折線31を介して連設された内側底部パネル33が、その面の中央位置で縦方向に二分割されている。
【0020】
分割された妻壁形成パネル18,18、内側トップシールパネル22,22、胴部パネル4,4、内側底部パネル33,33の分割片36,36の分割縁にそれぞれシール縦折線37,37を介して縦方向シールパネル5,5が連設されている。それぞれの縦方向シールパネル5,5は、外側に折られて内面同士が対向するように重ねられ、加熱シールされて四角の筒状胴部6が形成される。
【0021】
加熱シールされた縦方向シールパネル5,5のシール片38は、折られて胴部パネル4及び内側底部パネル33に接着するように加熱シールされている。なお、シール片38は開封時に摘まむことができるように、シール片38と妻壁形成パネル18、内側トップシールパネル22は加熱シールされない。本例では、分割された縦方向シールパネル5,5の上端部が斜めにカットされている。
【0022】
また、本例では、胴部パネル4,4及び縦方向シールパネル5,5には、注出口35を大きく開口する開口補助折線39,39が形成されている。本例では、開口補助折線39,39は、頂部横折線16,16を底辺とする逆台形状となっているが、これに限定されず、頂部横折線16,16を底辺とする逆三角形状であってもよい。
【0023】
上記のように構成された紙容器によれば、注出口35の開封に際し、注出口35となる妻壁形成パネル18,18側における内側トップシールパネル22,22の加熱シールされている対向面同士を剥がし一対の切妻屋根形成パネル9,10の間に折り込まれている妻壁形成パネル18,18とシール片38を露出させる。このとき、この露出したシール片38を摘んで引っ張ることにより、妻壁形成パネル18,18が引き出されて注出口35を容易に開口することができる。
【0024】
また、本例では、加熱シールされた縦方向シールパネル5,5のシール片38は、折られて胴部パネル4及び内側底部パネル33に接着するように加熱シールされているので、シール片38は、胴部パネル4から突出せず、紙容器の保管や搬送等に支障を来すおそれはない。
【0025】
また、本例では、分割された縦方向シールパネル5,5の上端部が斜めにカットされているので、対向する内側トップシールパネル22,22を重ねて加熱シールする際に、内側トップシールパネル22,22の間に挟まるシール片38が僅かですみ、内側トップシールパネル22,22同士の接着面が多くなるため、必要なシール強度を確保することができる。
【0026】
さらに、本例では、胴部パネル4,4及び縦方向シールパネル5,5には、注出口35を大きく開口する開口補助折線39,39が形成されているので、
図4に示すように、妻壁形成パネル18,18を引き出して注出口35を開封させた後、妻壁形成パネル18,18と胴部パネル4,4の境界の両側角部に頂部横折線16,16の両側から挟むように力を加えると、胴部パネル4,4が開口補助折線39,39で谷折れして注出口35が開口する。このようにして開口した注出口35は、僅かに縦方向に長い菱形状を呈し、収容物が注ぎやすくなる。
【符号の説明】
【0027】
1,2,3,4 胴部パネル
5 縦方向シールパネル
6 筒状胴部
7,8,頂部横折線
9,10 切妻屋根形成パネル
11,12 シール横折線
13,14 外側トップシールパネル
15,16 頂部横折線
17,18 妻壁形成パネル
19,20 シール横折線
21,22 内側トップシールパネル
23,24 折込線
25 頂部
26,27 底部横折線
28,29 外側底部パネル
30,31 底部横折線
32,33 内側底部パネル
34 底部
35 注出口
36 分割片
37 シール縦折線
38 シール片
39 開口補助折線