特開2016-166576(P2016-166576A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本車輌製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2016166576-油圧ポンプ制御装置 図000003
  • 特開2016166576-油圧ポンプ制御装置 図000004
  • 特開2016166576-油圧ポンプ制御装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-166576(P2016-166576A)
(43)【公開日】2016年9月15日
(54)【発明の名称】油圧ポンプ制御装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/00 20060101AFI20160819BHJP
   F04B 49/22 20060101ALI20160819BHJP
【FI】
   F04B49/00 A
   F04B49/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-46967(P2015-46967)
(22)【出願日】2015年3月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】栗本 真司
(72)【発明者】
【氏名】高山 浩司
【テーマコード(参考)】
3H145
【Fターム(参考)】
3H145AA02
3H145AA12
3H145AA24
3H145AA31
3H145AA44
3H145BA41
3H145BA43
3H145CA19
3H145CA29
3H145DA24
3H145DA46
3H145EA16
3H145EA34
3H145EA42
3H145EA43
3H145GA01
3H145GA13
3H145GA22
3H145GA42
(57)【要約】
【課題】 簡単な機器構成及び制御手順でエンジンのオーバーヒートを回避することができる油圧ポンプ制御装置を提供する。
【解決手段】 エンジン14で駆動される可変容量型油圧ポンプ11を定格馬力状態と減馬力状態とに調節するレギュレータ12にパイロット油を供給するパイロット配管18を備えた油圧ポンプ制御装置において、エンジンの冷却水の温度が水温設定値を超えたときにONとなる冷却水温スイッチ21と、油圧ポンプを含む油圧系統を流れる作動油の温度が油温設定値を超えたときにONとなる作動油温スイッチ22とを設けるとともに、パイロット配管に、冷却水温スイッチと作動油温スイッチとの少なくともいずれか一方がONになったときに通電されて開弁状態となる電磁切替弁23を設けた。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンで駆動される可変容量型の油圧ポンプと、該油圧ポンプの吐出容量を定格馬力状態と減馬力状態とに調節するレギュレータと、該レギュレータを作動させるパイロット油を供給するパイロット配管とを備えた油圧ポンプ制御装置において、前記エンジンの冷却水の温度があらかじめ設定された水温設定値を超えたときにONとなる冷却水温スイッチと、前記油圧ポンプを含む油圧系統を流れる作動油の温度があらかじめ設定された油温設定値を超えたときにONとなる作動油温スイッチとを設けるとともに、前記冷却水温スイッチと前記作動油温スイッチとの少なくともいずれか一方がONになったときに通電されて開弁状態となる電磁切替弁を前記パイロット配管に設けたことを特徴とする油圧ポンプ制御装置。
【請求項2】
エンジンで駆動される可変容量型の油圧ポンプと、該油圧ポンプの吐出容量を定格馬力状態と減馬力状態とに調節するレギュレータと、該レギュレータを作動させるパイロット油を供給するパイロット配管とを備えた油圧ポンプ制御装置において、前記エンジンの冷却水の温度を測定する冷却水温センサと、前記油圧ポンプを含む油圧系統を流れる作動油の温度を測定する作動油温センサとを設け、前記パイロット配管に閉弁状態に保持された電磁切替弁と低圧設定状態に保持された電磁比例減圧弁とを設けるとともに、前記冷却水温センサ及び作動油温センサの各測定温度に基づいて前記電磁切替弁及び前記電磁比例減圧弁を作動させる弁制御部を設け、該弁制御部は、前記冷却水温センサの測定温度と作動油温センサの測定温度との少なくともいずれか一方があらかじめ設定された第1水温設定値又は第1油温設定値を超えたときに前記電磁切替弁を開弁状態とし、前記冷却水温センサの測定温度と前記作動油温センサの測定温度との少なくともいずれか一方があらかじめ設定された第2水温設定値又は第2油温設定値を超えたときに前記電磁比例減圧弁を高圧設定状態に切り替えることを特徴とする油圧ポンプ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ポンプ制御装置に関し、詳しくは、エンジンで駆動される可変容量型の油圧ポンプの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械などに設けられている油圧ユニットでは、一般に、搭載したディーゼルエンジンで可変容量型の油圧ポンプを駆動するようにしている。このような油圧ユニットでは、エンジンがオーバーヒートしないように、エンジン冷却水の温度やエンジンオイルの温度、エンジンの吸気温度(外気温)や排ガスの温度、油圧ユニット内の作動油の温度などを監視して各種オーバーヒート防止対策を講じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−86284号公報
【特許文献2】特開2010−31766号公報
【特許文献3】特開2002−47965号公報
【特許文献4】特開2010−180840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のオーバーヒート防止対策は、機器構成や制御手順が複雑であるといった問題があった。
【0005】
そこで本発明は、簡単な機器構成及び制御手順でエンジンのオーバーヒートを回避することができる油圧ポンプ制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の油圧ポンプ制御装置における第1の構成は、エンジンで駆動される可変容量型の油圧ポンプと、該油圧ポンプの吐出容量を定格馬力状態と減馬力状態とに調節するレギュレータと、該レギュレータを作動させるパイロット油を供給するパイロット配管とを備えた油圧ポンプ制御装置において、前記エンジンの冷却水の温度があらかじめ設定された水温設定値を超えたときにONとなる冷却水温スイッチと、前記油圧ポンプを含む油圧系統を流れる作動油の温度があらかじめ設定された油温設定値を超えたときにONとなる作動油温スイッチとを設けるとともに、前記冷却水温スイッチと前記作動油温スイッチとの少なくともいずれか一方がONになったときに通電されて開弁状態となる電磁切替弁を前記パイロット配管に設けたことを特徴としている。
【0007】
また、本発明の油圧ポンプ制御装置における第2の構成は、エンジンで駆動される可変容量型の油圧ポンプと、該油圧ポンプの吐出容量を定格馬力状態と減馬力状態とに調節するレギュレータと、該レギュレータを作動させるパイロット油を供給するパイロット配管とを備えた油圧ポンプ制御装置において、前記エンジンの冷却水の温度を測定する冷却水温センサと、前記油圧ポンプを含む油圧系統を流れる作動油の温度を測定する作動油温センサとを設け、前記パイロット配管に閉弁状態に保持された電磁切替弁と低圧設定状態に保持された電磁比例減圧弁とを設けるとともに、前記冷却水温センサ及び作動油温センサの各測定温度に基づいて前記電磁切替弁及び前記電磁比例減圧弁を作動させる弁制御部を設け、該弁制御部は、前記冷却水温センサの測定温度と作動油温センサの測定温度との少なくともいずれか一方があらかじめ設定された第1水温設定値又は第1油温設定値を超えたときに前記電磁切替弁を開弁状態とし、前記冷却水温センサの測定温度と前記作動油温センサの測定温度との少なくともいずれか一方があらかじめ設定された第2水温設定値又は第2油温設定値を超えたときに前記電磁比例減圧弁を高圧設定状態に切り替えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の油圧ポンプ制御装置によれば、第1の構成によれば、温度スイッチと簡単なリレー回路とによって電磁切替弁を開閉することで油圧ポンプを減馬力状態に切り替えることができ、第2の構成によれば、電磁切替弁と電磁比例減圧弁とを切替作動させることにより、油圧ポンプを2段階の減馬力状態に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の油圧ポンプ制御装置の第1形態例を示す要部の回路図である。
図2】本発明の油圧ポンプ制御装置の第2形態例を示す要部の回路図である。
図3】可変容量型油圧ポンプの減馬力制御における吐出圧力と吐出流量との関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の油圧ポンプ制御装置の第1形態例を示す要部の回路図であって、制御対象となる油圧ポンプ11は、レギュレータ12にパイロット油圧を作用させることによって吐出容量を調節可能な周知の可変容量型油圧ポンプであって、第1駆動軸13を介してエンジン14に接続されている。この油圧ポンプ11から吐出された作動油は、油圧モータ15や油圧シリンダなどの油圧アクチュエータに供給される。また、エンジン14には、第2駆動軸16を介して固定容量のパイロットポンプ17が接続されている。このパイロットポンプ17から吐出されるパイロット油は、一部がレギュレータ用パイロット配管18を通って前記レギュレータ12に供給され、残部は制御用パイロット配管19からコントロールバルブなどの各種制御用機器に供給される。
【0011】
油圧ポンプ11の減馬力制御を行うための機器として、本形態例では、前記エンジン14の冷却水の温度があらかじめ設定された水温設定値を超えたときにONとなる冷却水温スイッチ21と、前記油圧ポンプ11を含む油圧系統を流れる作動油の温度、例えば、油圧ポンプ11に吸い込まれる作動油の温度があらかじめ設定された油温設定値を超えたときにONとなる作動油温スイッチ22とを設けるとともに、前記冷却水温スイッチ21と前記作動油温スイッチ22との少なくともいずれか一方のスイッチがONになったときに通電されて開弁状態となる電磁切替弁23を前記レギュレータ用パイロット配管18に設けている。さらに、電磁切替弁23の下流側(レギュレータ12側)には、レギュレータ12に供給するパイロット油の圧力を調節するための減圧弁24が設けられ、電磁切替弁23の上流側と作動油タンク25との間には、リリーフバルブ26を備えたリリーフ配管27が設けられている。また、冷却水温スイッチ21及び作動油温スイッチ22のON信号は、リレー回路などを備えた制御部28を介して電磁切替弁23に伝達される。
【0012】
エンジン14の冷却水の温度が前記水温設定値以下、例えば100℃以下で、作動油の温度が前記油温設定値以下、例えば85℃以下の通常運転状態では、冷却水温スイッチ21及び作動油温スイッチ22は、共にOFFとなっているから、電磁切替弁23は非通電状態で閉弁状態となっている。したがって、パイロット油は、レギュレータ12には供給されず、リリーフバルブ26を通ってリリーフ配管27から作動油タンク25に戻っている。また、レギュレータ12にパイロット油が供給されないことから、油圧ポンプ11は,減馬力制御が行われずに定格馬力での通常状態で運転されている。
【0013】
油圧アクチュエータへの負荷の増大や外気温の上昇などによってエンジン14の冷却水の温度が100℃を超えたり、作動油の温度が85℃を超えたりすると、冷却水温スイッチ21及び作動油温スイッチ22のいずれか一方のスイッチ、あるいは、双方のスイッチがONとなって通電状態になる。これにより、制御部28を介して電磁切替弁23のソレノイドが通電状態となり、ソレノイドが作動することによって電磁切替弁23が開弁状態になる。これにより、レギュレータ用パイロット配管18内のパイロット油が減圧弁24で減圧されてレギュレータ12に供給されるので、減圧されたパイロット油の圧力に対応して設定されている減馬力制御によって油圧ポンプ11が減馬力運転される。
【0014】
また、減圧弁24の設定圧力を変更することにより、油圧モータ11の減馬力の程度を適宜に設定することができる。すなわち、図3に示すように、減圧弁24の設定圧力を低く設定し、レギュレータ12に供給されるパイロット油の圧力を低くすることにより、油圧ポンプ11の運転状態を、定格馬力運転時の状態(線A)に対して吐出流量を僅かに減少させた第1減馬力状態(線B)での運転状態にすることができ、減圧弁24の設定圧力を高く設定し、レギュレータ12に供給されるパイロット油の圧力を高くすることにより、第1減馬力状態(線B)より更に吐出流量を減少させた第2減馬力状態(線C)での運転状態にすることができる。
【0015】
したがって、油圧ポンプ11から作動油を供給する油圧アクチュエータの種類や作業内容、温度環境などの各種条件に応じて減圧弁24の設定圧力を適宜設定することにより、作業状態などの条件に応じた適宜な減馬力運転状態で油圧ポンプ11を運転することができ、オーバーヒートを防止しながら所定の作業を継続することができる。
【0016】
減馬力運転によって冷却水や作動油の温度が低下し、冷却水が100℃以下、作動油が85℃以下になると、温度スイッチ21,22の双方がOFFとなり、電磁切替弁23が閉弁状態になってレギュレータ12へのパイロット油の供給が遮断され、油圧ポンプ11は定格馬力運転に戻る。
【0017】
このように、温度スイッチ21,22、電磁切替弁23及び減圧弁24と、簡単なリレー回路とによる簡単な機器構成で、ON・OFF制御を行うだけで油圧ポンプ11の減馬力制御を的確に行うことができ、作業を継続しながら油圧ポンプ11やエンジン14の負荷を軽減して作動油や冷却水の温度上昇を防止することができる。
【0018】
図2は、本発明の油圧ポンプ制御装置の第2形態例を示す要部の回路図である。なお、以下の説明において、前記第1形態例に示した油圧ポンプ制御装置の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0019】
本形態例は、前記エンジン14の冷却水の温度を測定する冷却水温センサ31と、前記油圧ポンプ11が吸い込む作動油の温度を測定する作動油温センサ32とを設け、前記パイロット配管18に、閉弁状態に保持された電磁切替弁33と、低圧設定状態に保持された電磁比例減圧弁34とを設けるとともに、前記冷却水温センサ31及び作動油温センサ32の各測定温度に基づいて前記電磁切替弁33及び前記電磁比例減圧弁34を作動させる弁制御部35を設けている。
【0020】
前記弁制御部35は、前記冷却水温センサ31の測定温度と作動油温センサ32の測定温度との少なくともいずれか一方の測定温度があらかじめ設定された第1水温設定値又は第1油温設定値を超えたときに前記電磁切替弁33を開弁状態とし、前記冷却水温センサ31の測定温度と前記作動油温センサ32の測定温度との少なくともいずれか一方の測定温度があらかじめ設定された第2水温設定値又は第2油温設定値を超えたときに前記電磁比例減圧弁34を高圧設定状態に切り替えるように形成されている。
【0021】
例えば、第1水温設定値を90℃、第2水温設定値を95℃、第1油温設定値を70℃、第2油温設定値を75℃にそれぞれ設定した場合、冷却水温センサ31の測定温度が90℃以下、作動油温センサ32の測定温度が70℃以下のときには、電磁切替弁33は閉弁状態、電磁比例減圧弁34は低圧設定状態となっており、電磁切替弁33が閉弁状態であるから、レギュレータ12にパイロット油が供給されないことから、油圧ポンプ11は,減馬力制御が行われずに定格馬力での通常状態で運転される(図3線A)。
【0022】
冷却水温センサ31の測定温度が90℃を超えたり、作動油温センサ32の測定温度が70℃が超えたりしたときには、弁制御部35が作動して電磁切替弁33を開弁状態にする。これにより、パイロット油が電磁切替弁33を通り、電磁比例減圧弁34で減圧されて低圧状態となった後にレギュレータ12に供給され、レギュレータ12が作動して吐出流量を減少させた第1減馬力状態(図3線B)で油圧ポンプ11を運転する。
【0023】
冷却水や作動油の温度が更に上昇し、冷却水温センサ31の測定温度が95℃を超えたり、作動油温センサ32の測定温度が75℃が超えたりしたときには、電磁切替弁33は開弁状態に保持されたまま、電磁比例減圧弁34が高圧設定状態に切り替わり、電磁比例減圧弁34で高圧状態に減圧されたパイロット油がレギュレータ12に供給され、レギュレータ12が作動して吐出流量を更に減少させた第2減馬力状態(図3線C)で油圧ポンプ11を運転する。
【0024】
このような減馬力運転で冷却水や作動油の温度が低下すると、冷却水温センサ31の測定温度及び作動油温センサ32の測定温度に基づいて第2減馬力状態から第1減馬力状態、定格馬力運転に戻る。
【0025】
このように、冷却水温センサ31及び作動油温センサ32の各測定温度に基づいて電磁切替弁33及び電磁比例減圧弁34を切り替えることにより、作業状態や外気温などの条件、冷却水の温度や作動油の温度に応じた適宜な減馬力運転を行うことができる。この第2形態例においても、冷却水や作動油の各設定温度、電磁比例減圧弁34の各減圧設定圧力を適宜設定することができる。
【符号の説明】
【0026】
11…油圧ポンプ、12…レギュレータ、13…第1駆動軸、14…エンジン、15…油圧モータ、16…第2駆動軸、17…パイロットポンプ、18…レギュレータ用パイロット配管、19…制御用パイロット配管、21…冷却水温スイッチ、22…作動油温スイッチ、23…電磁切替弁、24…減圧弁、25…作動油タンク、26…リリーフバルブ、27…リリーフ配管、28…制御部、31…冷却水温センサ、32…作動油温センサ、33…電磁切替弁、34…電磁比例減圧弁、35…弁制御部
図1
図2
図3