【解決手段】ケーシング内に燃焼室23が設けられる。燃焼室23には煙管が接続される。燃焼装置31は、燃焼用空気供給スロート33の軸線上に配設された一次燃料ノズル37と、前記燃焼用空気供給スロート33の内周側であって前記一次燃料ノズル37の周囲に配設された保炎器41と、前記燃焼用空気供給スロート33の外周側であって軸線100を中心とした環状領域上に周方向に相互間隔をあけて配設され、保炎器41の下流部に形成される一次火炎の先端部から下流方向の中央部の範囲に対して二次燃料を供給する複数の二次燃料ノズル52とを備えた。
前記燃焼用空気供給スロートの外周側には、前記環状領域上に相互間隔をあけて複数本の二次空気ノズルを配設し、前記二次空気ノズルと前記二次燃料供給手段とを交互に配設したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の炉筒煙管ボイラ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を
図1〜
図8に基づいて説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の炉筒煙管ボイラ21の水缶を構成するケーシング22内には炉筒を構成する横向きの燃焼室23が設置されており、この燃焼室23の基端部に燃焼装置31が取り付けられている。本実施形態では
図1の右側を基端側,左側を前部側とする。
【0016】
燃焼室23の前端の中央部には狭窄部24が形成されており、この狭窄部24を介して燃焼室23と連通するようにケーシング22内には副燃焼室25が形成されている。この副燃焼室25の奥行及び内径はメインの燃焼室23の奥行及び内径より短くされている。副燃焼室25の外周部には複数の煙管26が接続され、この煙管26はケーシング22内の水中を通り、燃焼室23の外側を延びて排気路29に接続されている。
【0017】
次に、前記燃焼装置31の構成を説明する。
図3に示すように、燃焼装置31の風箱32における中心部の水平な軸線100上にはパイプ状の燃焼用空気供給スロート(以下、単にスロートという)33が配置されている。このスロート33内には風箱32内の後部の第1送風室34から一次空気が送られ、その一次空気がスロート33の先端開口35から前記燃焼室23内の中心において前方に向かって噴出される。
【0018】
図3及び
図4に示すように、前記スロート33内においてその軸線100上には中央燃料供給管36が貫通配置されている。この中央燃料供給管36の先端には一次燃料供給手段としての一次燃料ノズル37が取り付けられ、その先端外周部には複数(本実施形態では6個)のノズル孔38が前記軸線100を中心とした環状領域に等間隔を隔てて配列されている。
図5(a),(b)に示すように、前記ノズル孔38は軸線100方向から見て軸線100を中心とした半径線上に配置されるとともに、軸線100と直交する方向から見て軸線100に対して中心角θ1が30度〜80度(本実施形態では60度)程度の方向に向かって開口されている。そして、中央燃料供給管36を介して一次燃料ノズル37内には都市ガスよりなる一次燃料としての燃料ガスが供給され、その燃料ガスがノズル孔38から燃焼室23内に対して放射方向に、つまり燃焼室23内の外周側の斜め方向に向けて噴射される。
【0019】
なお、スロート33内において一次燃料ノズル37の後部側には、着火用のパイロットバーナ(図示しない)が設けられている。
図3及び
図4に示すように、前記ノズル孔38の直近の後部において、一次燃料ノズル37の外周面には、その外周面とスロート33の内周面との間に位置する保炎器41が取り付けられており、この保炎器41の外周部の6箇所には等間隔をおいて複数(実施形態では6箇所)の凸部43が形成されている。これらの凸部43間の凹部が通気口42になっているとともに、凸部43の先端とスロート33の内周面との間が狭い通気間隙44になっている。凸部43は前記ノズル孔38間の部分に対応して位置している。そして、スロート33内の一次空気が通気口42及び通気間隙44を通って燃焼室23内に前記軸線100に沿って噴出される。この保炎器41とスロート33とによって、燃焼室23内に一次空気を噴出するための一次空気ノズルが構成されている。保炎器41の前面は前記スロート33の先端面より所定長さ分だけ奥側に位置している。
【0020】
図3,
図4及び
図6(a),
図6(b)に示すように、スロート33の周囲において風箱32の前壁321には等間隔をおいて複数本(本実施形態では6本)の外側燃料供給管51が貫通されている。この外側燃料供給管51の先端には軸線100を中心とした環状領域上に位置する二次燃料供給手段としての二次燃料ノズル52が固定されている。二次燃料ノズル52の先端部には単一のノズル孔53が形成されている。従って、このノズル孔53により単孔燃料ノズルが構成されている。このノズル孔53は、前記軸線100を中心とし、前記保炎器41の通気口42を通る半径線上に位置している。
図6(a)に示すように、ノズル孔53は、軸線100と直交する方向から見て、軸線100に対して中心角θ2が5度〜30度(本実施形態では15度)程度の角度で半径方向の内向きに開口している。一次燃料ノズル37の先端部はスロート33の先端開口と同位置に配置されている。そして、外側燃料供給管51を介して二次燃料ノズル52内に都市ガスよりなる燃料ガスが供給され、その燃料ガスがノズル孔53から燃焼室23の中心部に向けて斜め方向に噴射される。
【0021】
図3,
図4及び
図7に示すように、前記外側燃料供給管51の間において、風箱32の前壁321の複数箇所(本実施形態では6箇所)には連通口61が等間隔をおいて形成され、各連通口61の部分において前壁321には二次空気ノズル62が相互に等間隔をおいて取り付けられている。この二次空気ノズル62は連通口61を介して風箱32の第2送風室63に接続されている。そして、第2送風室63からの空気が二次空気ノズル62の先端開口621から二次空気として燃焼室23内に前記軸線100に沿う方向に噴出される。この二次空気ノズル62の先端開口621は矩形のスリット状に形成されている。
【0022】
二次空気ノズル62の先端開口621は前記凸部43を通る軸線100を中心とした半径線上に位置し、その長辺が半径線に沿って延長されている。二次空気ノズル62の先端開口621は、スロート33の先端開口に対して所定長さ分だけ燃焼室23側に突出している。
図5に示すように、二次空気ノズル62の側壁622は前記先端開口621に向かって収束するように傾斜されている。また、二次空気ノズル62の先端開口621は、底壁623を傾斜させることによりスロート33に近接している。
【0023】
二次空気ノズル62及びその先端開口621は、前記二次燃料ノズル52とともに軸線100を中心とした同心の環状領域上に配置されるとともに、二次燃料ノズル52と等間隔をおいて交互に配置されている。
【0024】
本実施形態において、二次空気ノズル62の先端開口621は、軸線100を中心とした半径線の方向に延長され、その半径線方向の長さが半径線に対する直交線方向の長さより長ければよい。従って、先端開口621の形状は、矩形スリットに限定されず、長円状、楕円形状、前記半径線の方向の両端部が膨らんだ分銅形状等、各種形状が実現可能である。
【0025】
図3に示すように、前記風箱32の前壁は前記燃焼室23の端壁231とほぼ同一面上に位置し、前記スロート33,外側燃料供給管51及び二次空気ノズル62は燃焼室23の端壁231から燃焼室23内に突出されている。従って、燃焼装置31の主要部分は端壁231から燃焼室23内に突出している。
【0026】
次に、以上のように構成された炉筒煙管ボイラの作用について説明する。
図1,
図3及び
図8に示すように、燃焼装置31の燃焼作動時には、一次燃料ノズル37の軸線100の周囲のノズル孔38から一次燃料ガスが燃焼室23に向かって斜め外周方向に噴出されて、一次火炎201が形成される。そして、一次燃料ノズル37の周囲において、保炎器41の通気口42及び通気間隙44から一次空気が軸線100の延長方向に沿って燃焼室23内の前方に向かって噴出される。このとき、保炎器41がスロート33内に位置しているため、保炎器41の凸部43の前面側に小さな再循環流204が形成される。よって、この一次火炎201が、高空気比下において保炎されるとともに、保炎器41の凸部43間の凹部からのエアによって一次火炎201が分割状態になって、表面積が増大し、その一次火炎201は温度低下される。このため、NOxの排出量が抑えられる。
【0027】
一方、二次燃料ノズル52のノズル孔53から二次燃料ガスが軸線100に向かう傾斜方向に噴出されて、この二次燃料ガスが保炎器41の前方に形成される一次火炎201の先端部からその前方の中央部の範囲に対して供給される。
【0028】
このため、一次火炎201をパイロット火炎として一次火炎201の先端部に続く二次火炎202が形成される。この二次燃料ガスの噴出によって、燃焼ガスが二次燃料ノズル52の上流側から巻き込まれて再循環されて、その再循環流203に二次燃料ガスが混合されるため、二次火炎202は緩慢燃焼となりNOxの発生が低減される。つまり、ノズル孔53からの二次燃料ガスはノズル孔53から離れた部位で燃焼されるために、その燃焼が緩慢になる。
【0029】
そして、このとき、二次燃料ノズル52の間に位置する二次空気ノズル62の先端開口621から燃焼室23に向かって二次空気が噴出される。このため、この二次空気によって、二次火炎202の温度が低下される。これとともに、二次空気ノズル62の先端開口から、二次火炎202、その外側及び二次空気ノズル62の基端部付近を周回する前記再循環流203が形成されて、この再循環流203によって二次空気,二次燃料ガス及び両ガスの噴流によって誘引される燃焼ガスが循環し、それらが混合して緩慢燃焼が実現されるとともに、二次火炎が保炎される。
【0030】
二次燃料ノズル52及び二次空気ノズル62はスロート33の周囲において交互に均等間隔で配置されているため、
図2に示すように、再循環流203は二次燃料ノズル52と二次空気ノズル62との間の空間を通る。このため、燃焼ガスと二次空気とが分割状態になってそれらの混合が遅れる。しかも、二次燃料ノズル52と二次空気ノズル62との間の空間を通る再循環流によって緩慢燃焼が達成される。
【0031】
加えて、二次空気ノズル62が二次燃料ノズル52の先端より前方に突出しているため、二次空気が再循環流の前方位置、すなわち、二次火炎202を上流とした再循環流の下流側に合流するため、二次火炎202に対する酸素供給が遅れ、NOxの抑制に有効である。
【0032】
そして、本実施形態においては二次燃料ノズル52が燃焼室23内へ突出して配設されることによって、燃焼ガスが、二次燃料ノズル52の上流側から巻き込まれて再循環して火炎の燃焼ガス中に混合されるため、緩慢燃焼となり、NOxの発生が低減される。
【0033】
また、二次燃料ノズル52間に二次空気ノズル62が相互間隔をあけて配置されることによって、二次燃料ノズル52からの二次燃料及び二次空気ノズル62からの二次空気の双方による高速噴流効果によって、燃焼室23内の燃焼ガスの再循環が促進され、低NOxを得ることができる。さらに、一次火炎201は二次火炎202のために保炎すればよい程度の強さでよい。このため、一次燃料ガス及び一次空気の量を少なくすることができて、高TDR(ターンダウン比)を確保しながら低NOxが可能となる。
【0034】
さらに、前記のように、保炎器41の下流部において燃焼室23の前方の中央部に形成される一次火炎201の先端部に対し、二次燃料ノズル52によって二次燃料を供給することで二次火炎202が形成される。従って、燃焼室23内の上流部から中央部及び下流部にわたって長い火炎が形成される。このため、燃焼室内全体にわたって一様に燃焼反応が生じて、局所的な高温領域が形成されにくくなるので、火炎の発熱変動に起因する振動条件を緩和できて、振動を抑えることができる。
【0035】
そして、炉筒煙管ボイラ21には狭窄部24及び副燃焼室25が形成されているため、前記二次火炎202の中心部の直進流が狭窄部24を経て副燃焼室25内に至る。従って、直進火炎流の周囲に燃焼装置31側に向かう反転流が生じやすくなる。言い換えれば、燃焼室23内の狭窄部24の周囲の燃焼ガスが再循環流203として上流側へ戻りやすくなる。このため、燃焼ガスの自己循環作用が高められるとともに、燃焼ガスが燃焼室23の外周部において温度低下されて、NOxの発生が低くなるとともに、火炎の継続燃焼及び撹拌効果によって酸化反応が進み、一酸化炭素(以下、単にCOという)の発生が低下される。さらに、副燃焼室25においても燃焼が継続されるため、COの発生量がさらに低くなる。
【0036】
加えて、狭窄部24及び副燃焼室25により、燃焼空間の表面積が拡大される。このため、火炎が狭窄部24及び副燃焼室25において温度低下される。従って、NOx排出量をさらに低下させることができる。
【0037】
従って、本実施形態においては、以下の効果がある。
(1)保炎器41の下流部に形成される一次火炎201の先端部から燃焼室23の中央部の範囲に対し、二次燃料ノズル52によって二次燃料を供給することで、その中央部からさらに前方に延びる二次火炎202が形成される。従って、炉筒煙管ボイラ21の燃焼室23内の上流部から中央部及び下流部にわたって長い火炎が形成されるために、燃焼室内全体にわたって一様に燃焼反応が生じて、局所的な高温領域が形成されにくくなる。従って、火炎の発熱変動に起因する振動条件を抑制できる。このため、炉筒煙管ボイラ21を低振動及び低騒音で運転させることができるとともに、異常燃焼を防止できる。
【0038】
(2)燃焼室23の前端に狭窄部24及び副燃焼室25が形成されているため、火炎がさらに長く形成されて、振動燃焼をさらに有効に抑制できる。
(3)二次燃料ノズル52がスロート33の先端より燃焼室23内へ突出しているため、燃焼ガスが、再循環流としてスロート33及び二次燃料ノズル52の上流側で、かつ外周側から中心側に巻き込まれる。このため、二次燃料ノズル52からの燃料ガスが再循環流に対して徐々に混合されて、緩慢に燃焼され、NOxが低減される。このとき、二次燃料ノズル52からの高速噴流に基づく再循環が円滑に実行されて、低NOx化に貢献できる。
【0039】
(4)一次燃料ノズル37からの燃料ガスは、二次火炎を保炎する程度の小さな一次火炎が形成される量であればよい。そして、燃焼に必要な全空気量のうちの一部を一次空気としてスロート33へ供給できるため、従来と比較して、二次燃料ガス量に対し、一次燃料ガス量を少なくできる。例えば、(一次燃料ガス量)/(二次燃料ガス量)との比を1/2〜1/10程度とし、二次燃料ガスの量のみを制御することによって、高TDRを得ることができる。従って、燃焼装置の燃焼量を幅広い範囲で制御することができる。また、一次燃料ガス量と二次燃料ガス量とを個別に制御する必要がないため、ガス調量弁が二次燃料ガス用のみとなり、設備費用を低減できる。
【0040】
(5)軸線100上に形成された高空気比の一次燃料ガス領域に向けて二次燃料ガスを噴出することによって、二次火炎を安定化することが可能となるとともに、未燃分のガス及びCOの排出を抑えることが可能となる。
【0041】
(6)二次燃料ノズル52のノズル孔53は、軸線100の方向の下流側に向かって半径方向内側向きに傾斜して配設される単孔である。従って、高空気比の一次燃料ガス領域に向けて二次燃料ガスが高い圧力で噴出されることになり、未燃分のガス及びCOの排出を抑えることが可能となる。
【0042】
(7)スロート33の外周側であって軸線100を中心とした環状領域上に相互間隔をあけて複数本の二次空気ノズル62が設けられているため、軸線100上に形成される低濃度の残存酸素を含む燃焼ガスに対し、周囲から二次燃料ガスを有効に混合させて、緩慢燃焼させるとともに、未燃分のガスを有効に燃焼させることができる。従って、一次燃料ガス量を減らしても、一次火炎201を安定させることができる。
【0043】
(8)複数本の二次空気ノズル62と複数本の二次燃料ノズル52とが環状領域上に交互に配設されているため、二次燃料ノズル52、二次空気ノズル62の双方による高速噴流効果によって、燃焼ガスの再循環が行われて、低NOx状態となる。しかも、二次空気ノズル62と複数本の二次燃料ノズル52とが相互に離間されているため、二次空気と二次燃料ガスとの混合を遅らせて、それらを長時間分割状態に維持できて、有効な緩慢燃焼状態を得ることができる。
【0044】
(9)二次空気ノズル62の開口が軸線100を中心とした半径方向に延びるスリット状の単孔であることにより、二次燃料ノズルと二次空気ノズルとの間の間隔を確保できる。このため、前記分割状態をより確実に形成できて、より有効な緩慢燃焼状態を得ることができる。
【0045】
(10)二次空気ノズル62が、燃焼室23内へ突出しているため、再循環流203が二次空気ノズル62の後方から流れてきて、その流れの下流側に二次空気が巻き込まれて混合していくので、再循環流203に対する二次空気の混合が遅れる。このため、より緩慢な燃焼が可能となる。
【0046】
(11)燃焼室23の前端に狭窄部24が形成されているため、燃焼室23内の狭窄部24の周囲の燃焼ガスが再循環流として上流側へ戻りやすくなる。このため、燃焼ガスの自己循環作用が高められるとともに、循環される燃焼ガスが燃焼室23の外周部において温度低下されて、NOxの発生が低くなるとともに、火炎の継続燃焼及び撹拌効果によってCOの発生が低下される。さらに、副燃焼室25においても燃焼が継続されるため、COの発生量がさらに低くなる。
【0047】
(12)二次空気ノズル62の開口がスリット状をなして、スロート33に近接しているため、一次火炎201に対する酸素量が不足することを避けることができ、COの発生を抑制できる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を
図9及び
図10に基づいて説明する。本実施形態においては、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0049】
図9及び
図10に示すように、本実施形態の炉筒煙管ボイラ21は、戻り燃焼タイプであって、第1実施形態における炉筒煙管ボイラ21の狭窄部24及び副燃焼室25は設けられていない。すなわち、本実施形態の炉筒煙管ボイラ21は、燃焼室23の中心部を経て前方に向かって流れる燃焼ガスが燃焼室23の前端部で反転して、燃焼室23の外周部を通って燃焼装置31側に戻ってくる燃焼方式である。
【0050】
本実施形態においては、燃焼室23の基端上部に戻り口27が形成されている。戻り口27は燃焼装置31の先端より燃焼室23の基端側に位置している。従って、前記燃焼用空気供給スロート33、前記二次燃料ノズル52及び前記二次空気ノズル62が、前記戻り口27よりも、軸方向下流向きに突出して配設されている。
【0051】
燃焼室23の外側部において、ケーシング22内には側部室28が設けられており、この側部室28に前記戻り口27が連通されている。側部室28には複数の煙管26が接続されており、これらの煙管26は後煙室30を介して排気路29に接続されている。
【0052】
本実施形態においては、燃焼室23の基端周壁に戻り口27が設けられているため、燃焼室23の中心部において前方に流れる燃焼ガスが燃焼室23の前端部で反転し、燃焼室23の外周部の内面を通って基端側に戻り、前記戻り口27から側部室28に導出され、そこから煙管26側に流れる。
【0053】
従って、本実施形態においては、以下の効果がある。
(13)燃焼ガスが燃焼室23の基端側から全量戻ってくるため、自己排ガス循環をさらに活発化させることが可能である。従って、燃焼ガスの低NOx化と低CO化が可能となる。
【0054】
(14)燃焼室23内の火炎の流れがカウンターフローになる。従って、二次火炎202の吹き飛びが抑制される。よって、二次火炎202を撹拌するとともに及び引き伸ばして、低NOx化と低振動を達成できる。
【0055】
(変更例)
本発明は前記第1,第2実施形態に限定されるものではなく、以下のような態様で具体化してもよい。
【0056】
・第1実施形態においては、燃焼室23の前端に狭窄部24及び副燃焼室25が設けられているが、狭窄部24及び副燃焼室25を設けることなく、煙管26を燃焼室23に直接接続すること。この場合,前述の(1)〜(10)及び(12)の効果を発揮するのはいうまでもない。
【0057】
・スロート33,二次燃料ノズル52及び二次空気ノズル62の形状、あるいは数を適宜に変更すること。例えば、二次燃料ノズル52及び二次空気ノズル62の数を少なくしてする。このように構成すれば、二次空気ノズル62と二次燃料ノズル52との間の空間が広くなり、再循環流203が円滑に流れる。
【0058】
・二次燃料ノズル52及び二次空気ノズル62の数を同数ではなく、それらの数を異ならせること。
・二次空気ノズル62の先端開口621を内向きに形成すること。
【0059】
・一次、二次燃料をガス燃料ではなく、噴霧状の液体燃料とすること。
・二次燃料ノズル52を二次空気ノズル62より燃焼室23側に突出させること。
・前記二次燃料ノズル52のノズル孔38を前記軸線100を中心とした半径線に沿って延びるスリット状の単孔にすること。このように、ノズル孔38をスリット状の単孔とすることで、二次燃料ノズル52と二次空気ノズル62との間の間隔を広げることができる。従って、燃焼ガスの再循環が良好に行われながら緩慢燃焼するため、より低NOx化が可能となる。
【0060】
(他の技術的思想)
前記実施形態から把握される技術的思想は以下の通りである。
(A)水缶内に、炉筒と、その炉筒の端部に接続された煙管とを設け、前記炉筒の前記煙管とは反対側の端部に燃焼装置を設けた炉筒煙管ボイラにおいて、
前記燃焼装置は、
燃焼用空気供給スロートの軸線上に配設された一次燃料供給手段と、
前記燃焼用空気供給スロートの内周側であって前記一次燃料供給手段の周囲に配設された保炎器と、
前記燃焼用空気供給スロートの外周側であって前記軸線を中心とした環状領域上に周方向に相互間隔をあけて配設され、前記保炎器の下流部に形成される一次火炎の先端部付近に対して二次燃料を供給する複数の二次燃料供給手段とを備えたことを特徴とする炉筒煙管ボイラ。
【0061】
このように構成すれば、前記第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
(B)前記燃焼室の反対側の端部に狭窄部と、この狭窄部を介して前記炉筒内と連通する副燃焼室とを設けるとともに、この副燃焼室に前記煙管を接続した前記請求項1〜3,技術的思想(A)項のうちのいずれか一項に記載の炉筒煙管ボイラ。
【0062】
このように構成すれば、狭窄部及び副燃焼室の存在により、火炎がさらに長く形成されて、振動燃焼をさらに有効に抑制できる。
(C)前記炉筒は、燃焼装置側の基端部に戻り口を設け、炉筒の中心部に向かって流れる燃焼ガスが炉筒の前端部で反転し、炉筒の内面の外周部を通って前記戻り口から煙管側に排出される請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃焼装置。
【0063】
このように構成すれば、燃焼ガスが燃焼室の基端側に全量戻ってくるため、自己排ガス循環をさらに活発化させることが可能である。
(D)前記燃焼用空気供給スロート、前記二次燃料ノズル及び前記二次空気ノズルが、前記流入口よりも、軸方向下流向きに突出して配設された前記請求項1〜3,前記技術的思想(A)〜(C)項のうちのいずれか一項に記載の燃焼装置。
【0064】
このように構成すれば、再循環流が二次空気ノズルの後方から流れてきて、その流れの下流側に二次空気が巻き込まれて混合していくので、再循環流に対する二次空気の混合が遅れる。このため、より緩慢な燃焼が可能となる。