特開2016-166750(P2016-166750A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2016-166750斜張橋の斜材点検装置及び斜材点検方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-166750(P2016-166750A)
(43)【公開日】2016年9月15日
(54)【発明の名称】斜張橋の斜材点検装置及び斜材点検方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/90 20060101AFI20160819BHJP
   E01D 11/04 20060101ALI20160819BHJP
   E01D 22/00 20060101ALI20160819BHJP
【FI】
   G01N27/90
   E01D11/04
   E01D22/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-45605(P2015-45605)
(22)【出願日】2015年3月9日
(71)【出願人】
【識別番号】505398952
【氏名又は名称】中日本高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500271030
【氏名又は名称】株式会社日本工業試験所
(74)【代理人】
【識別番号】100134647
【弁理士】
【氏名又は名称】宮部 岳志
(72)【発明者】
【氏名】酒井 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】柳本 佳楠子
(72)【発明者】
【氏名】池堂 善人
(72)【発明者】
【氏名】今林 いちえ
【テーマコード(参考)】
2D059
2G053
【Fターム(参考)】
2D059BB08
2D059GG39
2G053AA11
2G053AB21
2G053BA14
(57)【要約】
【課題】斜張橋の斜材を構成するPC鋼線の損傷や破断の有無を、遠隔操作により無人で点検することができる斜材点検装置及び斜材点検方法を提供する。
【解決手段】移動手段、撮像手段、検査手段、制御手段、電池を備える。移動手段は、ケーブルを挟み、ケーブルの表面に密着する一対の駆動輪を有する。撮像手段は、ケーブルの表面の画像データを取得する。検査手段は、ケーブルの外周に沿って配置される環状経路上に移動自在に配置され、ケーブルに渦電流を発生させるコイルのインピーダンスを計測する。制御手段は、地上側から送信された制御信号に基づき移動手段、撮像手段、及び検査手段を動作させるとともに、撮像手段及び検査手段により取得したデータを地上側に送信する。電池は、移動手段、撮像手段、検査手段、及び制御手段に電力を供給する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルを挟み、前記ケーブルの表面に密着する一対の駆動輪を有する移動手段と、
前記ケーブルの表面の画像データを取得する撮像手段と、
前記ケーブルの外周に沿って配置される環状経路上に移動自在に配置され、前記ケーブルに渦電流を発生させるコイルを有し、前記コイルのインピーダンスを計測する検査手段と、
地上側から送信された制御信号に基づき前記移動手段、前記撮像手段、及び前記検査手段を動作させるとともに、前記撮像手段及び前記検査手段により取得したデータを地上側に送信する制御手段と、
前記移動手段、前記撮像手段、前記検査手段、及び前記制御手段に電力を供給する電池を備えることを特徴とする斜材点検装置。
【請求項2】
前記一対の駆動輪は鉛直方向に前記ケーブルを挟んで配置され、前記制御手段と前記電池が一つの筐体に収容され、前記制御手段と前記電池を含んだ前記筐体に作用する重力により、鉛直方向上側に配置された前記一対の駆動輪の一方に鉛直方向下側に働く力が付与される請求項1に記載の斜材点検装置。
【請求項3】
ケーブルを挟み、前記ケーブルの表面に密着する一対の駆動輪を有する移動手段により、前記ケーブルの表面の画像データを取得する撮像手段と、前記ケーブルに渦電流を発生させるコイルのインピーダンスを計測する検査手段と、地上側から送信された制御信号に基づき前記移動手段、前記撮像手段、及び前記検査手段を動作させるとともに、前記撮像手段及び前記検査手段により取得したデータを地上側に送信する制御手段と、前記移動手段、前記撮像手段、前記検査手段、及び前記制御手段に電力を供給する電池を、前記ケーブルに沿って移動させ、
地上側で、前記画像データに基づき検査の要否を判定し、前記検査が必要と判断された部位で、前記検査手段を前記ケーブルの外周に沿って配置される環状経路上を移動させ、前記部位の全周方向において前記インピーダンスを測定することを特徴とする斜材点検方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、斜張橋の斜材を点検するための斜材点検装置及び斜材点検方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
斜張橋の斜材は、高所作業車を用いた目視点検やクライミング技術を応用した人力による手法等で損傷の有無の確認等の点検が行われている。しかし、高所作業車を用いた作業では、作業範囲の制限や交通規制が必要となり、更には、点検員の安全面について留意する必要がある等の問題がある。また、高所作業車を用いても調査できない斜材の高所部分については、遠望目視により点検せざるを得ず、極めて大きな損傷以外は確認できないという問題がある。
【0003】
そこで、斜張橋の斜材に沿って点検装置を遠隔操作で移動させ高所部分を無人で点検する手法が提案されている。例えば、特開2012−242310号公報(特許文献1)には、走行支持手段によりケーブルの長さ方向へ移動し、リング部材をケーブルに衝突させることにより発生する音を音波として検出し記憶する探傷装置が開示されている。
【0004】
また、ケーブルの高所部分を検査対象とするものではないが、特開2006−67679号公報(特許文献2)には、電力ケーブルの外表面のケーブル長方向に沿って測定プローブを一定速度で移動させ、遮蔽銅テープの存在状態により変化する電圧波形を測定し、金属遮蔽層の亀裂や断裂などを判定する電力ケーブル点検装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−242310号公報
【特許文献2】特開2006−67679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の、ケーブルに沿って自走する点検装置では、斜張橋の斜材の高所部分において斜材を構成するPC鋼材の損傷や破断を検出することはできなかった。
【0007】
例えば、上記特許文献1に開示されている探傷装置では、PC鋼線のグラウトの損傷が点検対象となっており、PC鋼材の損傷や破断を検出することは難しい。
【0008】
また、特許文献2に開示されている電力ケーブル点検装置は、点検対象となるケーブルに電流の有ることを前提としており、電流の無い斜張橋の斜材に適用することは難しい。
【0009】
そこで、本発明は、斜張橋の斜材を構成するPC鋼線の損傷や破断の有無を、遠隔操作により無人で点検することができる斜材点検装置及び斜材点検方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る斜材点検装置は、移動手段と、撮像手段と、検査手段と、制御手段と、電池を備える。
【0011】
前記移動手段は、ケーブルを挟み、前記ケーブルの表面に密着する一対の駆動輪を有する。
【0012】
前記撮像手段は、前記ケーブルの表面の画像データを取得する。
【0013】
前記検査手段は、前記ケーブルの外周に沿って配置される環状経路上に移動自在に配置され、前記ケーブルに渦電流を発生させるコイルを有し、前記コイルのインピーダンスを計測する。
【0014】
前記制御手段は、地上側から送信された制御信号に基づき前記移動手段、前記撮像手段、及び前記検査手段を動作させるとともに、前記撮像手段及び前記検査手段により取得したデータを地上側に送信する。
【0015】
前記電池は、前記移動手段、前記撮像手段、前記検査手段、及び前記制御手段に電力を供給する。
【0016】
前記一対の駆動輪は鉛直方向に前記ケーブルを挟んで配置され、前記制御手段と前記電池が一つの筐体に収容され、前記制御手段と前記電池を含んだ前記筐体に作用する重力により、鉛直方向上側に配置された前記一対の駆動輪の一方に鉛直方向下側に働く力が付与されるものであってもよい。
【0017】
本発明に係る斜材点検方法では、まず、ケーブルを挟み、前記ケーブルの表面に密着する一対の駆動輪を有する移動手段により、前記ケーブルの表面の画像データを取得する撮像手段と、前記ケーブルに渦電流を発生させるコイルのインピーダンスを計測する検査手段と、地上側から送信された制御信号に基づき前記移動手段、前記撮像手段、及び前記検査手段を動作させるとともに、前記撮像手段及び前記検査手段により取得したデータを地上側に送信する制御手段と、前記移動手段、前記撮像手段、前記検査手段、及び前記制御手段に電力を供給する電池を、前記ケーブルに沿って移動させる。
【0018】
そして、地上側で、前記画像データに基づき検査の要否を判定し、前記検査が必要と判断された部位で、前記検査手段を前記ケーブルの外周に沿って配置される環状経路上を移動させ、前記部位の全周方向において前記インピーダンスを測定する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ケーブルに渦電流を発生させるコイルのインピーダンスを計測することにより、斜張橋の斜材を構成するPC鋼線の損傷や破断の有無を計測することができる。また、撮像データを併用し点検の必要な部位でのみ計測することとし、コイルに供給する電力を必要最小限に抑えることで、電池による動作が可能となる。そのため、遠隔操作により無人で点検することが可能となる。
【0020】
更に、移動手段の一対の駆動輪を鉛直方向にケーブルを挟んで配置し、制御手段と電池を含んだ筐体に作用する重力により、鉛直方向上側に配置された駆動輪に鉛直方向下側に働く力を付与することにより、移動手段の省電力化を図ることができる。すなわち、同じ電池による動作可能距離を伸ばし、より長大な斜張橋への適用が可能となる。
【0021】
更にまた、一対の駆動輪でケーブルを挟み込むことでケーブルに設置されるため、一定の範囲内であれば、多種なケーブル径への対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る斜材点検装置の実施形態の機能ブロック図である。
図2】同斜材点検装置の側面図である。
図3】検査手段が搭載された環状部材の平面図である。
図4】確認試験により得られた、模擬破損部におけるインピーダンスの変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1〜3を参照しながら、本発明に係る斜材点検装置及び斜材点検方法の実施形態について説明する。
この実施形態の斜材点検装置1は、主要な構成として、移動手段2、撮像手段3、検査手段4、制御手段5を備えている。また、移動手段2、撮像手段3、検査手段4、制御手段5に電力を供給する電池6を搭載し、外部から電力の供給を受けることなく、自立動作するものとなっている。
【0024】
制御手段5は、公知の演算処理装置を用いたもので、検査手段3及び撮像手段4から取得した点検データを演算処理部7で所定の形式にして記憶する。
【0025】
制御手段5は、また、通信部8として通信インターフェースを有し、地上に設置される地上側管理装置10から送信された制御信号に基づき移動手段2、撮像手段3、及び検査手段4を動作させるとともに、撮像手段3及び検査手段4により取得したデータを地上側に送信する。なお、移動手段2、撮像手段3、及び検査手段4の動作の詳細は後述する。
【0026】
移動手段2は、点検対象となるケーブル11に沿って移動するための駆動源であり、ケーブル11を挟み、ケーブル11の表面に密着する一対の駆動輪21a、21bを有する
【0027】
駆動輪21a、21bは、鉛直方向にケーブル11を挟んで配置され、斜材点検装置1の本体部分を成すフレーム12からケーブル11と平行する方向に延びる2つの支持部材13、14の各々によって、回転自在に支持されている。そして、駆動輪21a、21bの固定軸に配置された図示しないモータにより回転し、ケーブル11に沿ってフレーム12と一体に移動するための駆動力が得られるものとなっている。
【0028】
フレーム12は、相対移動可能に連結された2つの部材12a、12bで構成され、一方の駆動輪21aを支持する支持部材13が一方の部材12aに、他方の駆動輪21bを支持する支持部材14が他方の部材12bに固定されている。そして、駆動輪21a、21b間の距離を、ケーブル11の径に対応して図2の白抜矢線で示す方向に調整できるものとされている。
【0029】
フレーム12には、また、斜材点検装置1がケーブル11に設置されたときに鉛直方向下側となる部分に、制御手段5と電池6を収容する筐体15が取り付けられている。筐体15は、フレーム12に対し揺動自在に取り付けられ、フレーム12の角度に依らず一定の姿勢が保たれるものとなっている。
【0030】
鉛直方向上側に配置される駆動輪21aには、この筐体15に作用する重力により、鉛直方向下側に働く力が付与される。そのため、駆動輪21a、21bは筐体15に作用する重力を利用してケーブル11を挟持することとなる。そして、ケーブル11に密着するために必要な力の多くを重力で賄うことにより、移動手段2の省電力化が図られている。
【0031】
フレーム12には、更に、斜材点検装置1がケーブル11に設置されたたときに進行方向前側となる部分に、ケーブル11の周囲に配置される環状部材16が取り付けられている。
【0032】
環状部材16には、撮像手段3として公知のCCDカメラが複数、周方向に等間隔で配置されている。なお、図3では4つの撮像手段3が示されているが、撮像手段3の数に制限はなく、使用状況に応じて適切な数を配置することができる。
【0033】
環状部材16の内周には、検査手段4を固定したギア17(本発明の環状経路に相当)が設けられている。ギア17は、環状部材16の内側下部に取り付けたモータ18と図示しない歯車を介して連結されている。そして、モータ18によりギア17が環状部材16に沿って回転することにより、検査手段4がケーブル外周を移動できるものとなっている。
【0034】
検査手段4は、ケーブル11に渦電流を発生させる図示しないコイルと、そのコイルのインピーダンスを計測する図示しない回路を有している。そして、計測されたインピーダンスデータは、制御手段5に引き渡される。
【0035】
コイルは、渦電流を用いた渦流探傷を行う方式に応じたものとすればよいが、この実施形態では、コイル径3.0mmの相互誘導形標準比較方式のコイルが採用されている。相互誘導形であれば、検出対象となる損傷部の大きさに応じて検出コイルを決めることができる等、損傷の性質に応じた設計の自由度が大きくなるという利点がある。また、標準比較方式であれば、一方のコイルを試験体に、他方のコイルを基準体に作用させて差異を検出することにより、状況によっては、検出精度を高めることができる。
【0036】
検査手段4により実施される渦流探傷の試験周波数は、検査対象となるケーブル11を構成するPC鋼線の断面形状や外周からの距離により選定する必要がある。そのため、検査手段4は、試験周波数が500〜2MHzの範囲で調整できるものとされている。
【0037】
なお、ケーブル11は、保護管、充填材及びPC鋼線で構成されており、保護管外周からPC鋼線の表面までの間に最大約20mmの充填材が注入されている場合がある。また、渦電流を発生させるための周波数が高いほど浸透深さが浅くなるという特徴がある。そのため、試験周波数として、外周から最大20mm離れた位置にあるPC鋼線表面に渦電流を発生させコイルのインピーダンスを計測するために適した周波数を選定する必要があり、この実施形態では、10kHzとされている。
【0038】
この斜材点検装置1を使用することにより、以下の手順で、斜材の点検をすることができる。
まず、点検対象となるケーブル11に、斜材点検装置1を密着させ、その後筐体15を連結する。斜材点検装置1の設置に際しては、移動手段2の駆動輪21a、21bの間隔を調整し、ケーブル11に密着させる。なお、フレーム12及び環状部材16は、ケーブル11へ設置する前に分割しておき、ケーブル11を内側に挿通させた状態で連結させ設置する。
【0039】
なお、検査手段3は、試験対象であるケーブル11との距離が短いほど損傷の検出能力は良くなる。しかしながら、実際の使用に際しては、ケーブル11の表面に形成された凹凸や、斜材点検装置1の移動時の揺れなどの影響を受ける。そのため、検査手段3とケーブル11の外周とのギャップは5mm程度確保することが好ましい。
【0040】
続いて、ケーブル11に設置された斜材点検装置1を、地上管理装置10から送信される制御信号を介して遠隔操作する。具体的には、まず、移動手段2を作動させ、ケーブル11に沿って前進させる。また、斜材点検装置1を前進させながら、撮像手段3を作動させ、ケーブル表面の画像データを受信する。
【0041】
次に、斜材点検装置1から送信される画像データに基づき、ケーブル11表面の異常の有無を確認する。異常の有無の確認は、作業員による目視でもよく、公知の画像処理技術を利用してもよい。
【0042】
ケーブル11表面に異常が確認された場合は、検査が必要な部位であると判定し、検査手段3による検査を実行する。
【0043】
検査を実行する場合は、まず、移動手段2の作動を止め、斜材点検装置1を停止させる。次に、検査手段3を動作させ、検査手段3が有するコイルに交流電流を印加し、ケーブル11に渦電流を発生させる。そして、ケーブル11に渦電流を発生させた状態で、検査手段3を、管状部材16の内周に設けたギア17に沿って移動させ、検査が必要と判断された部位の全周方向について、コイルのインピーダンスのデータを取得する。
【0044】
取得されたインピーダンスのデータは、斜材点検装置1から地上側管理装置10に送信され、そのデータに基づき、地上側で、ケーブル11を構成するPC鋼材の損傷の有無を確認する。
【0045】
全周方向のインピーダンスのデータを取得した後は、更に、斜材点検装置1をケーブル11の軸方向に沿って所定距離(この実施形態では10mm)移動させる。そして、移動後の部位においても、全周方向のインピーダンスのデータを取得し、同様の動作を所定回数(この実施形態では31回)繰り返す。すなわち、ケーブル11の軸方向に沿って30cmの範囲で10mmピッチの測定を行う。
【0046】
この操作により、ケーブル11を構成するPC鋼線の破断の有無だけでなく、軸方向30cmの範囲で破断長さを測定することもできる。また、30cmを超える破断が予測出来る場合は、予測範囲で同様の点検を繰り返すことによって破断長さ全長を測定することができる。
【実施例】
【0047】
断面形状が直径7mmの円形の直線鋼線試験体上に5個の模擬破損部を設け、これら模擬破損部位の検出確認試験を行った。なお、模擬破損部位ではPC鋼線が破断されており、破断本数が1本、2本、3本、4本及び5本の部位を各1か所ずつ設けた。破断長さは250mmとした。また、コイル形式は相互誘導形標準比較方式とし、試験周波数は10kHzとした。
【0048】
図4は、確認試験により得られた、模擬破損部におけるインピーダンスの変化を示す図である。なお、図4において、領域Aは破断本数が1本の破損部を、領域Bは破断本数が2本の破損部を、領域Cは破断本数が3本の破損部を、領域Dは破断本数が4本の破損部を、領域Eは破断本数が5本の破損部を示す。確認試験の結果、破損部ではインピーダンス変化による波形が検出され、その検出波形は破断本数により異なることが確認された。
【符号の説明】
【0049】
1 斜材点検装置
2 移動手段
3 撮像手段
4 検査手段
5 制御手段
6 電池
7 演算処理部
8 通信部
10 地上側管理装置
11 ケーブル
12 フレーム
12a、12b フレーム部材
13、14 支持部材
15 筐体
16 環状部材
17 ギア
18 モータ
21a、21b 駆動輪

図1
図2
図3
図4