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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-16708(P2016-16708A)
(43)【公開日】2016年2月1日
(54)【発明の名称】非常停止表示器設置装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 7/00 20060101AFI20160105BHJP
   B60Q 1/52 20060101ALI20160105BHJP
   B60Q 1/26 20060101ALI20160105BHJP
【FI】
   B60Q7/00 Z
   B60Q1/52
   B60Q7/00 610H
   B60Q7/00 670A
   B60Q1/26 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-139632(P2014-139632)
(22)【出願日】2014年7月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】クラリオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 康二
(72)【発明者】
【氏名】荒井 貴志
(72)【発明者】
【氏名】大槻 真也
(72)【発明者】
【氏名】中川 達朗
(72)【発明者】
【氏名】金子 通孝
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA12
3K339AA22
3K339AA31
3K339AA38
3K339BA09
3K339BA11
3K339CA30
3K339GB26
3K339GB30
3K339JA21
3K339KA18
3K339KA27
3K339KA38
3K339KA39
3K339MA01
3K339MA10
3K339MB01
3K339MB04
3K339MB05
3K339MC25
3K339MC27
3K339MC28
3K339MC41
3K339MC48
3K339MC52
3K339MC55
3K339MC69
3K339MC70
3K339MC77
(57)【要約】
【課題】車両故障のみならず車両事故の場合でも道路形状に応じて後続車両に対して適切な距離を離した地点に、かつ適切な設置位置に非常停止表示器を自動的に設置する装置を提案する。
【解決手段】車両本体の走行中の非常状況を検出する非常状況検出手段と、非常状況検出後の前記車両本体の停止を判断する車両停止判定手段と、車両本体停止後に前記車両本体から非常停止表示器を切り離す非常停止表示器分離手段と、前記非常停止表示器との通信手段と、前記非常停止表示器に電力を供給する電力供給手段とを備えた。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体の走行中の非常状況を検出する非常状況検出手段と、非常状況検出後の前記車両本体の停止を判断する車両停止判定手段と、車両本体停止後に前記車両本体から非常停止表示器を切り離す非常停止表示器分離手段と、前記非常停止表示器との通信手段と、前記非常停止表示器に電力を供給する電力供給手段とを備えたことを特徴とする非常停止表示器設置装置。
【請求項2】
車両本体との通信内容を記憶する記憶手段と、車両本体から供給された電力を蓄積する電力保存手段と、自走するための走行手段と、車両本体から分離された後に車両本体が進行してきた方向を判断する進行方向判断手段と、車両の下から脱出する際の障害物回避手段と、非常停止表示器を格納状態から表示状態に設置するための非常停止表示器設置手段と、非常停止表示器を設置する概略の方向を判断する目的方位判断手段と、目的地まで道路上の白線を認識して道路形状に沿って進むための白線認識手段と、停車した車両本体から非常停止表示器設置位置まで道路形状に沿った距離を測定する距離測定手段と、車両本体との通信手段と、車両本体からの電力を受取る電力受信手段とを備えたことを特徴とする非常停止表示器設置装置。
【請求項3】
前記非常停止表示器は三角表示板及びカメラを搭載し、車両下から脱する程度走行させた後に前記三角表示板を起立させ、前記カメラで前方を撮影し、道路上の位置を検出することを特徴とする請求項1、2に記載の非常停止表示器設置装置。
【請求項4】
前記非常停止表示器は車両下から脱する程度走行させる際、車両本体の外形に所定寸法加算した距離、或いは車両本体の中心から車両の全長分の距離を走行させることを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の非常停止表示器設置装置。
【請求項5】
前記非常停止表示器はカメラを備え、前記カメラからの映像信号を画像処理して道路上の白線検出を行い、前記白線検出結果に応じて、車両本体の道路方向の延長上に停止している前記非常停止表示器の位置を判定することを特徴とする請求項1ないし4の何れか一項に記載の非常停止表示器設置装置。
【請求項6】
前記非常停止表示器はカメラを備え、前記カメラ映像上に複数の白線認識枠を設け、認識枠内にある白線の有無により前記非常停止表示器の位置を判定することを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の非常停止表示器設置装置。
【請求項7】
前記白線が破線である場合、複数の短い白線を長手方向に延長し、これを一本の白線と見なす補完処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の非常停止表示器設置装置。
【請求項8】
前記車両本体の損傷状況を判断し、車両本体の損傷が激しい場合、非常停止表示器を分離作動させることを特徴とする請求項1ないし7の何れか一項に記載の非常停止表示器設置装置。
【請求項9】
衛星ロケーション装置の電波が届かない場所において、前記車両本体はデジタル地図データ、ジャイロ情報、および車速情報などの使用により、自車位置を確定することを特徴とする請求項1ないし8の何れか一項に記載の非常停止表示器設置装置。
【請求項10】
衛星ロケーション装置の電波が届かない場所において、前記非常停止表示器はジャイロ情報、車速情報などの使用により、自車位置を確定することを特徴とする請求項1ないし9の何れか一項に記載の非常停止表示器設置装置。
【請求項11】
前記非常停止表示器が前記車両本体の非常停止表示器分離手段により車両本体より分離された後に、車両の下から車両本体が走行してきた方向に抜け出す際に、車両本体の車輪や泥よけなどの障害物を回避する障害物回避手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし10の何れか一項に記載の非常停止表示器設置装置。
【請求項12】
前記障害物回避手段はカメラによる画像認識を利用することを特徴とする請求項11に記載の非常停止表示器設置装置。
【請求項13】
前記非常停止表示器は車両本体下部の形状情報を格納する制御ECUを備え、前記形状情報に基づいて自走して車両の下から車両本体が走行してきた方向に抜け出すことを特徴とする請求項1ないし12の何れか一項に記載の非常停止表示器設置装置。
【請求項14】
前記非常停止表示器は汎用であり、車両本体下部の形状情報を車両本体のナビゲーション装置から通信によって得て、前記形状情報に基づいて自走して車両の下から車両本体が走行してきた方向に抜け出すことを特徴とする請求項1〜13の何れか一項に記載の非常停止表示器設置装置。
【請求項15】
前記非常停止表示器が前記車両本体の非常停止表示器分離手段により車両本体より分離された後に、車両本体から最終的に非常停止表示器を設置する場所までの設置にあたり事故・故障の直前までの走行速度を使用して判断することを特徴とする請求項1〜14の何れか一項に記載の非常停止表示器設置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常停止表示器を道路上に自動設置する非常停止表示器設置装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この分野の技術として、下記特許文献1に記載の停止表示器が知られている。この装置は、停止表示器を収納する取り付け箱と、折りたたみ式の停止表示板と、取り付け箱から停止表示板の出し入れが容易な構造と、取り出した停止表示板が取り付け箱に戻らない構造と、取り付け箱をナンバープレート取付け位置に取り付けられる構造と、取り付け箱にナンバープレートを取付け可能な構造を備えている。これにより、自動車や自動二輪車に小型でかつ容易に取り付けることができ、緊急停止時に停止表示板の使用が迅速かつ簡単に行なうことができることが示されている。
また、別の技術として下記特許文献2に記載の非常停止表示器設置装置が知られている。この装置は、非常状況検出手段と、走行車線検知手段と、複数の非常停止表示器を道路上に落下させて設置する表示器落下手段と、複数の非常停止器の配置を制御する落下制御手段を備えている。そして、この装置は車両や運転者の非常事態を自動的に検出し、走行している車線に応じて複数の非常停止表示器を自動的に設置可能なことが示されている。
さらに、別の技術として下記特許文献3に記載の車両の非常事態を他の車両に緊急通報する手段が知られている。この装置は、衝撃センサーと、車両後部のバンパーに取り付けた光学的反射部を持つエアバック標識を備えている。そして、この装置は衝撃検出時や手動によって車両の後方にエアバック標識を瞬時に設置することにより二次災害事故を回避可能なことが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3184250号公報
【特許文献2】特開2011−111071号公報
【特許文献3】特開2013−256204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は、非常停止表示器の収納形態を小型化し、取り付けを容易にし、使用時および収納時の作業時間を短縮しようとするものであるが、この特許文献1には以下に示す課題がある。
非常停止表示器の設置は手動であり車両の搭乗者が車両事故の場合の怪我等で動けない状況や意識がないような場合には効果がない。
設置方向はナンバープレートの取り付け方向に限定されるので、車両故障による非常停止の場合には有効であるが車両の事故のような必ずしも車両の進行方向と道路が平行とは限らない場合には設置効果が無くなる、もしくは低くなる。
設置場所が車両と一体になっており一般的に推奨されている設置距離(一般道路20m後方、高速道路50m後方)を確保することができないため、後方車両からの視認性が悪く回避操作が遅れて二次災害事故に繋がる可能性が高い。
【0005】
上記特許文献2は、走行している車線に応じた複数の非常停止表示器を自動的に設置しようとするものであるが、この特許文献2には以下に示す課題がある。
車両が非常停止する場合に、進行方向に直線走行して減速・停車することが前提となっており、車両故障による非常停車の場合にはある程度有効と推察されるが、車両の接触事故のような必ずしも直線走行が可能とは限らない場合や、道路形状が湾曲している場合など、最終的に非常停止表示器を設置した車線と異なる車線に停車した場合には非常停止器の設置効果が無くなる、もしくは低くなる。
車両が非常停止する以前に、停止位置を予測して非常停止表示器を事前に設置しているため車両事故のように車両の停止までの車両の挙動が他の静的・動的障害物に接触するなど予測できない動きをする場合には予測が外れて非常停止表示器を想定した距離を離して設置することができない可能性が高い。
【0006】
上記特許文献3は、バンパーに設置したエアバック表示機を、衝撃センサーまたは手動により作動させて後方車両に対して車両の非常停止を通報しようとするものであるが、この特許文献3には以下に示す課題がある。
設置方向が車両後方バンパーの取り付け方向に限定されており、車両故障による非常停車の場合には有効であるが、車両の事故のような必ずしも車両の前後方が後続車から見える方向とは限らない場合には設置効果が無くなる、もしくは低くなる。
設置場所が車両と一体になっており一般的に推奨されている設置距離(一般道路20m後方、高速道路50m後方)を確保することができないため、後方車両からの視認性が悪く回避操作が遅れて二次災害事故に繋がる可能性が高い。
【0007】
以上より、上記特許文献1、2、3には以下の3点の課題がある。
課題1
特許文献1、3、の方法では、車両が進行方向に直線的に進行・停止した場合には非常停止表示器を有効に設置できるが、いずれも車両事故のような横滑りやスピンを起こした場合や、最終的に横向きに停車した場合には有効な非常停止表示器の設置ができない。
課題2
特許文献2の方法では、車両が進行方向に直線的に進行・停止した場合には非常停止表示器を有効に設置できるが、車両事故のような横滑りやスピンを起こした場合や、最終的に非常停止表示器を設置した車線と異なる車線に停車した場合には有効な非常停止表示器の設置ができない。
課題3
停止車両に対して推奨される距離を離して非常停止表示器を設置することに関して、特許文献1、3、の方法では明らかに対応することができず、特許文献2の方法でも車両が直線的に走行し予定通りの減速・停止動作を行なうことを前提としており、車両の事故や重大な車両故障の場合には適切な距離に設置できるとは限らない。
【0008】
そこで、本発明は上記の課題1から3を踏まえ、車両故障のみならず車両事故の場合でも道路形状に応じて後続車両に対して適切な距離を離した地点に、かつ適切な設置位置に非常停止表示器を自動的に設置する装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の非常停止表示器設置装置は、車両と非常停止表示器で構成される。
車両は、車両本体の走行中の非常状況を検出する非常状況検出手段と、非常状況検出後の前記車両本体の停止を判断する車両停止判定手段と、車両本体停止後に前記車両本体から非常停止表示器を切り離す非常停止表示器分離手段と、前記非常停止表示器との通信手段と、前記非常停止表示器に電力を供給する電力供給手段とを備えている。
また、非常停止表示器は、車両本体との通信内容を記憶する記憶手段と、車両本体から供給された電力を蓄積する電力保存手段と、自走するための走行手段と、車両本体から分離された後に車両本体が進行してきた方向を判断する進行方向判断手段と、車両の下から脱出する際の障害物回避手段と、非常停止表示器を格納状態から表示状態に設置するための非常停止表示器設置手段と、非常停止表示器を設置する概略の方向を判断する目的方位判断手段と、目的地まで道路上の白線を認識して道路形状に沿って進むための白線認識手段と、停車した車両本体から非常停止表示器設置位置まで道路形状に沿った距離を測定する距離測定手段と、車両本体との通信手段と、車両本体からの電力を受取る電力受信手段とを備えている。
【0010】
前記非常停止表示器は三角表示板及びカメラを搭載し、車両下から脱する程度走行させた後に前記三角表示板を起立させ、前記カメラで前方を撮影し、道路上の位置を検出するように構成してもよい。
前記非常停止表示器は車両下から脱する程度走行させる際、車両本体の外形に所定寸法加算した距離、或いは車両本体の中心から車両の全長分の距離を走行させてもよい。
前記非常停止表示器はカメラを備え、前記カメラからの映像信号を画像処理して道路上の白線検出を行い、前記白線検出結果に応じて、車両本体の道路方向の延長上に停止している前記非常停止表示器の位置を判定してもよい。
前記非常停止表示器はカメラを備え、前記カメラ映像上に複数の白線認識枠を設け、認識枠内にある白線の有無により前記非常停止表示器の位置を判定してもよい。
前記白線が破線である場合、複数の短い白線を長手方向に延長し、これを一本の白線と見なす補完処理を行ってもよい。
また、事故や故障の程度が激しく、車両本体が非常停止表示器分離手段の制御ができない、もしくは電力が供給できない場合でも、非常停止表示器は通信内容の確認、もしくは通信の途絶、電力の途絶を検出し、タイマー等の補助機能を使用して自らの電力保存手段を使用して車両本体から分離して自走できる。
【0011】
車両本体GPSに代表される衛星ロケーション装置の利用を想定した場合に、トンネル内等の電波が届かない状況においても、デジタル地図データ、ジャイロ情報、車速情報等の補助的手段を用いて非常停止表示器を適切な位置に設置することが可能である。
また、自走式停止表示器が車両の下から抜け出す際に、車両本体の車輪などが進行方向の障害になっている場合には、あらかじめ登録しておいた車両本体の形状情報と非常停止表示器のロケーション機能により、障害物を避けて抜け出すことが可能である。
車両本体から自走式停止表示器を設置する位置までの距離の設定に際し、直前の車両本体の走行速度を参考にすることも可能である。
また、車両本体から非常停止表示器を設置する距離を決定する手段として、自走式停止表示器に取り付けた車軸等の回転数の計測により移動距離を算出してもよい。
また、運転者や搭乗者が非常状況の判断や操作ができなくても自動的に非常停止表示器を設置することが可能である。
【0012】
車両が接触事故のように、進行方向に平行に停車しなかった場合や、直線的に進行・停止しなかった場合、または最終的に走行してきた車線と異なる車線に停車した場合でも、非常停止表示器を適切な位置に設置できる手段は以下のように実現される。
すなわち、非常停止表示器は、車両が通常に走行している場合は、常に車両のロケーション手段により算出される自車位置の軌跡情報を、通信手段を経由して入手し、記憶手段に格納しているので、車両が異常事態を検出した場合に非常停止表示器を設置するべき位置の情報を概ね把握しており、さらに実際に車両が事故や故障で非常事態を検出した後も、車両本体と非常停止表示器は相互の通信手段により車両本体の挙動の情報を通信しており、車両が停止するまで車両本体の位置情報と車両本体の前後方向等の絶対方位、および道路の絶対方位の情報を通信手段で入手して、車両本体が停止した時点での道路の進行方向に対する車両本体の停車角度を算出することができ、車両本体の停車後に車両本体から離れて自走する際に非常停止表示器を設置する方向に向かって、かつ道路形状に対して平行に車両本体の下から自走して抜け出すことができる。
車両本体の下から出てからは、格納していた非常停止表示器を可視状態に設置し、道路上の白線および白破線を認識することにより道路形状に則して自走するので、走行してきた車線と異なる車線に車両本体が停止した場合でも車両本体が停止している車線上に非常停止表示器を設置することが可能である。
【0013】
車両本体が高速走行中の接触事故のように、予測不能な減速・停止をした場合でも、非常停止表示器を適切な距離に設置できる手段として、非常停止表示器は車両本体の下を抜け出てから、ジャイロ情報やGPS等の衛星ロケーション装置の利用により、目的方向への走行経路に沿って移動した距離を積算することにより、事故・故障の前の走行時に車両本体から通信によって得ていた道路情報を使用して車両本体から最適な設置距離に非常停止表示器を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る非常停止表示器設置装置を搭載した車両の側面図である。
図2】自走式非常停止表示器の斜視図である。
図3】車両側の構成を示すブロック図である。
図4】非常停止表示器側の構成を示すブロック図である。
図5】自走式非常停止表示器の切離し処理を示すフローチャートである。
図6】自走式非常停止表示器の切離しの手順を説明するための模式図である。(A)は自走式非常停止表示器を収容部に収容中の図であり、(B)は自走式非常停止表示器の収容部開放時の図であり、(C)は自走式非常停止表示器の車両本体からの分離中の図である。
図7】車両本体から自走式非常停止表示器が切離されて、地上に出た後の処理を示すフローチャートである。
図8】車両本体から自走式非常停止表示器が切離されて、地上に出た後の処理を示すフローチャートである。
図9】(A)は、車両本体が道路リンクとの成す角度を検出する概念図である。(B)は、自走式非常停止表示器が道路リンクに平行に車両本体の下から障害物を回避し出動する概念図である。
図10】車両が道路上で停止した場合の図である。(A)は、車両が路側帯に停止した場合の動作軌跡のイメージ図である。(B)は、車両が白線上に停止した場合の動作軌跡のイメージ図である。(C)は、車両が車線内に停止した場合の動作軌跡のイメージ図である。
図11】自走式非常停止表示器が路側帯に沿って走行する場合のカメラ画像認識処理の動作原理図である。(A)はカメラ画像を示した図であり、(B)は白線の位置を示した図である。
図12】自走式非常停止表示器が車線を跨いで走行する場合のカメラ画像の認識処理の動作原理図である。(A)はカメラ画像を示した図であり、(B)は白線の位置を示した図である。
図13】自走式非常停止表示器が車線の中間を走行する場合のカメラ画像の認識処理の動作原理図である。(A)はカメラ画像を示した図であり、(B)は白線の位置を示した図である。
図14】自走式非常停止表示器が走行する場合の操舵制御の動作原理図である。(A)は、自走式非常停止表示器が路側帯の内側を走行する場合であり、(B)は、自走式非常停止表示器が白線上を走行する場合であり、(C)は、自走式非常停止表示器が車線中央を走行する場合であり、(D)は、自走式非常停止表示器のカメラ画像の消失点を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る自走式非常停止表示器20を搭載した車両1の外観図である。車両1は、車両本体2と、前輪3と、後輪4とを備える。車両1には、車両1が前進する矢印A方向をフロント側、車両1が後退する矢印B方向をリア側とすると、車両本体2のうち、車両本体2の底面部であり、かつ、前輪3のリア側に、自走式非常停止表示器20の収容部10が配置されている。収容部10には、自走式非常停止表示器20が収容されている。
図2は、自走式非常停止表示器20の斜視図である。
自走式非常停止表示器20は、例えばクローラ21、21を備え、モーター22により自走する。クローラ21、21の間には、後述のように、制御ECU31、バッテリー(電力保存手段)32、通信インターフェイス65、電力インターフェイス66が配置されている。自走式非常停止表示器20は、三角形状の停止表示板35が配置され、停止表示板35の上端部には、カメラ36が備えられている。この停止表示板35は、通常時、破線で示すように後方に倒されており、非常時にモーター23により駆動されて、実線で示すように起立する。
自走式非常停止表示器20は、車両本体2が異常状況を検出して車線上や路側帯に停車したときに、後述するように、車両本体2から分離されて、自走して車両本体2の下側を抜け出し、その後に停止表示板35を後続車から可視状態に設置して所定の距離に設置するものである。
【0016】
図3は、車両側のブロック図を示す。
この車両本体2は、各種センサー51〜54を備えたナビゲーション装置55と、非常状況検出手段56と、デジタル地図データ57と、自走式非常停止表示器収納手段58と、自走式非常停止表示器20と通信を行なう車両側の通信インターフェイス59と、自走式非常停止表示器20に電力を供給する車利用側の電力インターフェイス60を備えている。非常状況検出手段56は、図示は省略したが、エアバック装置と、車両故障モニタ部と、非常停止表示器設置ボタンとを備えている。
図4は、自走式非常停止表示器側のブロック図を示す。
各種センサー51〜54を備えた制御ECU31と、各部に供給する電力を保存する電力保存手段32と、白線を認識するためのカメラ36と、停止表示板35を表示する停止表示板表示手段34と、自走するための走行手段37と、車両本体2と通信を行なう表示器側の通信インターフェイス65と、車両本体2から電力の供給を受ける表示器側の電力インターフェイス66と、を備えている。
なお、本実施形態ではナビゲーション装置55に自走式非常停止表示器20の機能を持たせているが、自走式非常停止表示器20の機能をナビゲーション装置55と車両側の制御ECU31に分かれて持たせる構成でもかまわない。
【0017】
ナビゲーション装置55および制御ECU31は、例えばCPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成された電子制御ユニットである。
ナビゲーション装置55、および制御ECU31は、これらのCPU、ROM、RAM等が、所定のプログラムに従い協働して動作することによって車両本体2を統括制御する。
【0018】
非常状況検出手段56は、車両本体2に搭載されており、以下の3つの方法で非常状態を検出する。ひとつは走行中、停車中の車両本体2の事故の発生を、搭載が義務付けられているエアバック装置(不図示)の動作状況で検出し、車両状態信号としてエアバックの動作をナビゲーション装置55に送信する。
もうひとつは、車両故障モニタ部(不図示)で、走行中の車両本体2の故障を検出する。この故障には、潤滑オイル切れなど、車両1のインパネに警告表示がなされるような故障が含まれる。この場合、車両故障モニタ部(不図示)は、車両1のインパネに警告表示を行う故障警告表示部として構成されているが、このような車両故障が発生した場合には、車両本体2は非常停止を行う必要がある。
車両故障モニタ部(不図示)は、車両故障発生の有無を示す情報を、車両状態信号としてインパネに送信すると共に、ナビゲーション装置55に送信する。
3つめは、非常停止表示器設置ボタン(不図示)で、自動検出されない故障や運転者・搭乗者の体調不良などにより非常停車する場合に、手動で自走式非常停止表示器20を設置するためのスイッチである。非常停止表示器設置ボタン(不図示)の使用が検出されるとナビゲーション装置55にこの情報が送信される。
【0019】
デジタル地図データ57は、車両本体2に搭載されたナビゲーション装置55の構成要素のひとつで、車両本体2の中ではナビゲーション装置55のロケーション機能でのマップマッチングや道路リンク情報の絶対方位情報の取得、道路ランクの取得などに使用される。道路の情報としては、車線数や中央分離帯の有無、白線の有無なども含まれる。地図情報の取得方法は車両に搭載のものであっても良いし、通信によってリアルタイムに入手するものであっても良い。
自走式非常停止表示器収納手段58は、車両本体2に搭載されている。この自走式非常停止表示器収納手段58は、車両本体2の非常状態を検出した時に、自走式非常停止表示器20を車両本体2の外に分離するための制御手段(不図示)を備えている。
【0020】
電力保存手段32は、自走式非常停止表示器20に搭載されており、制御ECU31、停止表示板表示手段34、走行手段37等に、電力を供給するものである。リチウムイオンバッテリーのようなインテリジェント二次電池の場合は、制御ECU31と通信を行い充放電の制御が行なわれる。
カメラ36は、自走式非常停止表示器20に搭載されており、車両本体2の下を抜け出した後に、車両本体2から所定の距離を道路形状に沿って走行するために、制御ECU31が画像処理を行なうための道路上の破線を含む白線を撮影するための画像情報入力手段である。
停止表示板表示手段34は、自走式非常停止表示器20に搭載されており、車両本体2の下を抜け出した後に、停止表示板35を遠方から近づく後続車両の運転者に見える状態に立ち上げる手段である。
走行手段37は、自走式非常停止表示器20の移動手段で、各車輪を制御して前進・後退・右左折・旋回等の動作を可能にする手段である。
通信インターフェイス59、65は、車両本体2と自走式非常停止表示器20の双方に搭載されており、ナビゲーション装置55と制御ECU31間でロケーションや地図情報のデータ通信を行なうための手段である。
電力インターフェイス60、66は、車両本体2と自走式非常停止表示器20の双方に搭載されており、ナビゲーション装置55により制御された電力を、車両本体2から自走式非常停止表示器20に伝送するための手段である。
【0021】
GPS51は、車両本体2と自走式非常停止表示器20の双方に搭載されており、GPS衛星からの電波を利用して搭載された機器の現在位置を取得する装置である。ナビゲーション装置55においては、デジタル地図データ57にデジタル地図情報を備えており、GPS51との協働によって、車両本体2の地図上における位置情報を取得することができる。ナビゲーション装置55は、取得された車両本体2の位置情報を、ロケーション情報として制御ECU31に送信する。制御ECU31は、非常状態で車両本体2の下から抜け出した後、カメラ36による画像認識処理手段とGPS51との協働によって、自走式非常停止表示器20の走行距離を算出する際に使用する。
ジャイロ52は、車両本体2と自走式非常停止表示器20の双方に搭載されており、角加速度を検出するセンサーで、搭載されている機器と同じ動きを検出するように水平に設置されており、その出力を積分することにより搭載している機器が水平面に対して回転した角度を検出するためのセンサーである。
【0022】
加速度センサー53は、車両本体2と自走式非常停止表示器20の双方に搭載されており、搭載されている機器の、特に前後方向の加速度を検知するセンサーであり、検知した前後方向の加速度情報を加速度信号としてナビゲーション装置55、および制御ECU31に送信する。ナビゲーション装置55、および制御ECU31は、加速度信号に基づいて自身の進行方向の加速度を算出する。
車速センサー54は、車両本体2と自走式非常停止表示器20の双方に搭載されており、車軸の単位時間当たりの回転数を検出する車輪速センサーである。車速センサー54では、その回転速度を車速信号としてナビゲーション装置55、および制御ECU31に送信する。ナビゲーション装置55、および制御ECU31は、この車速センサー54のカウント数から自身の車速や走行距離を算出する。
【0023】
続いて、車両1の通常走行時の、車両本体2と自走式非常停止表示器20との間の通信と電力供給について説明する。
通常走行時に車両本体2のナビゲーション装置55は、GPS51、ジャイロ52、加速度センサー53、車速センサー54、デジタル地図データ57とのマップマッチング、等の使用により、車両本体2の位置座標、進行方向の絶対方位、マッチングしている道路の絶対方位とその道路の白線有無の情報、および時刻情報を算出し、これを車両本体2の中心近くの底部の収容部10に車両1の後方向きに設置している自走式非常停止表示器20に常に通信で情報を提供している。
【0024】
次に、通信インターフェイス59、65、および、電力インターフェイス60、66間の機械的着脱について説明する。
例えば、車載機器の防犯用にエスカッションを着脱するDCP用と同様のコネクタを使用している。通常走行時には、端子の弾力で車両走行の振動や衝撃に関わらず接触を保って電力や通信信号の授受を可能にしているが、必要な場合には切り離すことができる構造である。これらのインターフェイスの着脱手段は、マグネット式の着脱手段であっても良い。また、機械的着脱手段ではなく、無線給電や無線によるデータ通信による電気的着脱であっても良い。自走式非常停止表示器20の側では、通信インターフェイス59、65を経由して得られた、ロケーション情報を順次メモリーに格納し、メモリーの容量使い切った場合は古いデータから上書き処理を行い常に新しい情報を保持しており、車両1の非常状況が検出されるまでは、それぞれ、この通信のフローを繰り返している。また、電力についても車両本体2から電力インターフェイス60、66を経由して供給されており、自走式非常停止表示器20の側では、電力保存手段32にこの電力を蓄積している。
【0025】
図5は、自走式非常停止表示器20の切離し処理を示すフローチャートである。
まず、カメラ36から制御ECU31に走行データ/道路データが送信され(S1)、走行中には、エアバックが作動したか(S2)、車両故障が検出されたか(S3)、が判定される。S2、S3は、図3に示す非常状況検出手段56において検出される。S2では、例えば非常状況検出手段56は、走行中、停車中の車両本体2の事故の発生を、車両1に搭載が義務付けられているエアバック装置(不図示)の動作状況で検出し、車両状態信号としてエアバックの動作をナビゲーション装置55に送信する。S3では、例えば車両故障モニタ部(不図示)で、走行中の車両本体2の故障を検出する。この故障には、潤滑オイル切れなど、車両1のインパネに警告表示がなされるような故障が含まれる。この場合、車両故障モニタ部(不図示)は、車両故障発生の有無を示す情報を、ナビゲーション装置55に送信する。
【0026】
S2、S3がYesであれば、道路に白線があるか、が判定される(S4)。道路に白線がある場合、自走式非常停止表示器20の切離し処理に移行する。
道路に白線がない場合には、自走式非常停止表示器20の切離し処理、すなわち車両本体2の停止判断(S6)には移行しない。
またS2、S3で、判断が、いずれもNoであれば、非常停止表示器設置ボタンが作動したか、が判定される(S5)。この検出は、非常状況検出手段56により行われ、その使用が検出されるとナビゲーション装置55に情報が送信される。
S5で、非常停止表示器設置ボタンが作動しない場合、S1に処理が戻る。非常停止表示器設置ボタンが作動した場合、自走式非常停止表示器20の切離し処理に移行する。非常状況の検出が、非常停止表示器設置ボタンの作動による場合には、道路に白線があるか否かに係わらず、車両本体2の停止判断(S6)に移行する。
【0027】
車両本体2の停止判定(S6)において、車両本体2は、GPS51、ジャイロ52、加速度センサー53、車速センサー54等の情報から車両1が停止したことを検出する。この場合の車両停止の検出方法は、例えばGPS51情報での位置情報が動かない、ジャイロ52の情報の回転が検出されない、加速度センサー53の加速度が重力加速度のみで安定している、車速信号が動かない、等を総合して判断すればよい。
そして、S6において、車両本体2の停止が検出されると、自走式非常停止表示器20の切離しが行われる(S7)。
【0028】
図6は、自走式非常停止表示器20の切離しの手順を説明するための模式図である。
図6(A)は、車両本体2の収容部10に配置した自走式非常停止表示器20を示している。収容部10には可動式の底板11が配置され、底板11の一端は車両本体2にヒンジ連結(支持部12)されている。底板11の他端は固定手段13により支持されている。収容部10は箱状の形状をしており、車両側の通信インターフェイス59と電力インターフェイス60を備えている。収容部10には自走式非常停止表示器20が収納され、自走式非常停止表示器20の通信インターフェイス65と電力インターフェイス66が、車両側の通信インターフェイス59と電力インターフェイス60に接続されている。また通常走行時は、車外に分離しないように収容部10の底板11(開閉装置)が固定されている。接続を保持するために、自走式非常停止表示器20が機械的に動かないように車輪が固定されている。
【0029】
非常停止表示器分離手段は、まず、固定手段13を解除して、図6(B)に示すように、底板11(収容部10)を開放する。
次いで、自走式非常停止表示器20のタイヤロック(不図示)を解除して、自走式非常停止表示器20を、収容部10から地上Gに出られる状態にする。固定手段13の固定や解除には例えばソレノイドを使用すれば良い。
自走式非常停止表示器20は自走により、図6(C)に示すように、車両本体2から離れて地上Gに降りる。この例では、一端を固定した底板11(収容部10)の他端を開放することによって、地上Gへのスロープを作る方法としている。スロープ上では、モーター駆動による開放動作や重力を利用してオイルダンパー等で動作速度を制限する。
この場合には、自走式非常停止表示器20の通信インターフェイス65と電力インターフェイス66が、車両側の通信インターフェイス59と電力インターフェイス60から離脱されている。車両本体2から分離された自走式非常停止表示器20は、その後は搭載している電力保存手段32からの電力で動作を継続する。
【0030】
図7及び図8は、車両本体2から自走式非常停止表示器20が切離されて、地上Gに出た後の処理を示すフローチャートである。
図7において、自走式非常停止表示器20は車両1が停止した時点で、ナビゲーション装置55と通信を行い、時刻データ、車両1の自車位置データ、現在マッチングしている道路の方位データ、車両1の進行方向データ、車速データを取得する(S10)。
次いで、道路の方位と車両1の進行方向のなす角度Rを算出する(S11)。
ここでは、図9(A)に示すように、最初に通信手段によって得られた車両本体2のロケーション情報から、最終的に車両1が停車した時点での車両1の絶対方位L1(車両1の進行方向)と、ナビゲーション装置55が持つデジタル地図データ57上の走行していた道路リンク情報から得られる車両本体2の停車位置での道路の絶対方位L2(道路の方位)の差分を取ることにより、道路の方向に対して停止した車両本体2の前後方向がなす角度Rを算出する。なお、この角度Rの算出はナビゲーション装置55の側で行なって通信により制御ECU31に送信する方法でも可能である。
【0031】
地上Gに降りた自走式非常停止表示器20は、前記算出により求めた道路に対する停止した車両本体2の角度Rを基に、図9(B)に示すように、その場所で回転制御を行い、車両本体2が走行してきた方向に対して180°の方向に進行方向を向ける。
この実現手段として簡便な方法は、図2を参照し、自走式非常停止表示器20の移動用駆動装置にクローラ21を使用する方法である。左右のクローラ21を逆回転させることでその場所での回転が可能である。回転角度の制御には、モーター22の制御パルス数で回転角を制御しても良いし、クローラ21のスリップ等による誤差の発生に対しては搭載しているジャイロで補正しても良い。
また、クローラ21ではなく四輪操舵によって各車輪の操舵角と回転方向を制御して回転する方法でも良いし、通常の車両1のように方向輪を操舵することにより切り返しを行なって方向を変える方法でも良い。
この制御により、図9(B)に示すように、自走式非常停止表示器20は、道路と平行な進行方向で、かつ車両本体2が走行してきた後ろ方向を向き、かつ車両1の中心に止まっている状態となる。
【0032】
また、図7において、自走式非常停止表示器20は、ナビゲーション装置55と通信によって取得した各種データ、および算出した車両本体2の角度Rのデータを、時刻をラベルとした1つの軌跡情報としてメモリーに保存する。この場合、最も古いデータから上書きして時間の新しいデータを残していく(S12)。
すなわち、自走式非常停止表示器20は、制御ECU31の持つロケーション機能により、前記の収容部10から動き出す時点から、車速センサー54、加速度センサー53、ジャイロ52等による移動距離、水平垂直移動方向のデータをデットレコニング等の処理を行ない、移動開始からの相対移動量を把握し続ける。これにより自走式非常停止表示器20は停止した車両本体2に対して常に相対的にどの位置で、どちらの方位を向いているかを把握することができる。
次に、自走式非常停止表示器20が、車両本体2から切り離されたか、について判定し(S13)、切り離されていなければ、S10に処理が戻される。
自走式非常停止表示器20が、車両本体2から切り離されていれば、上記メモリーから最新のデーターセットが読み出される(S14)。
この読み出した最新のデーターセットのうち、停止した車両本体2の道路に対する角度Rを参照し、この角度Rが、5〜180°の範囲でずれているか否かを判定する(S15)。ずれている場合には、左右のクローラ21を逆回転させて、その場で、車両本体2を−R°旋回させる(S16)。
同様に、この角度Rが、−180〜−5°の範囲でずれているか否かを判定する(S17)。そして、ずれている場合には、左右のクローラ21を逆回転させて、その場で、今度は車両1をR°旋回させる(S18)。
【0033】
次いで、自走式非常停止表示器20は、事前に登録されている車両形状情報を用いて、障害物を避けながら直進する(S19)。
自走式非常停止表示器20は、搭載する車両本体2が決まっているので、あらかじめ車両本体2の下部の形状の情報を制御ECU31のROMに格納しておくことができる。この仕組みは、自走式非常停止表示器20を汎用とする場合は、車両本体2のナビゲーション装置55から通信によってこの情報を得てRAMに格納する方法でもかまわない。ここで使用する車両本体2の情報とは、自走式非常停止表示器20が、車両本体2の下から抜け出す際に障害となる物、例えば車両本体2の車輪や泥よけ、収容部10から分離するためのスロープや、特別に低い位置にある構造物などの位置・形状の情報、および車両本体2の大きさ、形状等である。
制御ECU31は、前記車両本体2に対する相対位置および方向の情報、および前記車両本体2の下部の形状情報、および自走式非常停止表示器20自体の形状情報を記憶手段に持つことにより、車両1の下部の障害物を避ける制御を行いながら自走式非常停止表示器20を車両本体2の下から、車両本体2が進行してきた方向に出るよう制御する。
これにより自走式非常停止表示器20は停車した車両本体2に対して、道路の進行方向から見て中央の位置に抜け出すことができる。
【0034】
この動作例を、図9(B)に示す。
図9(B)では、自走式非常停止表示器20は、矢印Eで示すように、車両本体2の左後輪をクローラ21(図2参照。)の制御により湾曲走行させて回避し、道路リンク方向に対する車両本体2の停車位置の真後ろに出ている。
制御ECU31は、車両本体2の大きさや形状の情報と、自らのロケーション機能により、自走式非常停止表示器20を垂直に立ち上げるための上部空間が十分にある場所まで自走式非常停止表示器20を移動させることができる。
例えば車両本体2の外形に1mを足した長さ、もしくは車両本体2の中心から車両1の全長分の距離を走行する、などの制御を行えばよい。
【0035】
次に、自走式非常停止表示器20は、走行開始点から直線距離で車両1の長さ以上走行した場所で三角形状の停止表示板35(図2参照。)を立ち上げる(S20)。
停止表示板35は、収納時の体積は小さいほうが合理的である。従って使用時には、これを後続車から視認できる状態に設置する必要がある。
この実施形態では、停止表示板35は、図2の破線で示すように、自走式非常停止表示器20の上部に水平に収納されている。そして、車両本体2から離脱して、十分な距離を離れて上部の空間が確保されると、制御ECU31は、停止表示板表示手段34のモーター駆動回路を制御する。
モーター23が駆動されると、図示は省略したが、直線ギアが駆動され、それに伴い直線ギアに接続されたスライドバーが駆動され、回転できるように一端を固定されている停止表示板35は、スライドバーに押されて回転することにより鉛直に立ち上がる。停止表示板35が垂直に設置された時点で、制御ECU31はモーター23の駆動を終了する制御を行なう。垂直状態の検出は光学的センサーや機械的ストッパーによるモーター駆動電流の変化で検出すればよい。
【0036】
図10(A)〜図10(C)は、車両1が道路上で停止した場合の図である。
この道路には、走行車線の左側に白線100を境界として路側帯が存在し、走行車線の右側に破線の白線200を境界として追い越し車線が存在している。
自走式非常停止表示器20は、車両本体2の下を抜け出し、停止表示板35を立ち上げた後、図7において、停止表示板35の上端部のカメラ36で車線後方の画像を取り込み、消失点方向に向かう路面上の白線100、200を検出する(S21)。白線200が破線の場合には、補完して線分を形成する(S22)。この白線認識は、自走式非常停止表示器20の位置を判断するためである。
【0037】
図11図13は、カメラ画像の認識処理の動作原理図である。
カメラ映像上に白線認識枠をL部、C部、R部と3つ設け、認識枠内にある白線100、200の有無を見て、自走式非常停止表示器20の位置を判断する。
なお、図11図13では、車線後方が撮影されているため、L部側が、車両1の走行方向右側とされ、R部側が、車両1の走行方向左側とされる。
白線100、200を検出する際に、図12に示すように、実際には白線200が破線である場合もある。この場合は検出した複数の短い白線100を長手方向に延長し、一定の角度、例えば12°以内でそれぞれが接続する場合は、これを一本の白線100と見なす補間処理を行なう。通常このような目的に使用するカメラ36はある程度広角でありながら、コストの制約から簡易な歪み補正しかできないため、レンズの周辺では画像の歪が大きくなる。しかしながら、レンズの特性およびカメラ36の設置位置、および設置角度、および白線100が平面上に存在するという既知の条件があるので、これをROMテーブルによる座標変換等により補正することが可能である。
【0038】
図8は、図7に続いて行われる処理フローを示し、自走式非常停止表示器20を所定の位置に誘導するための処理フローである。
図8において、まず、撮影画像のL部に白線が有り、C部とR部に白線が無いか、が判定される(S30)。この状態は、図11(A)の状態であり、L部に白線100が有り、C部とR部に白線100が無い場合、車両1の走行方向においては、白線100よりも右側に位置していることを意味する。したがって、この場合には、図10(A)に示すように、自走式非常停止表示器20は、路側帯に停車していると判断する(S31)。
自走式非常停止表示器20は、路側帯に停車していると判断した場合、白線100の右脇に移動させることとなる(S32)。
なお、図11(A)のように、路側帯に非常停車した場合は、自走式非常停止表示器20は路側帯の白線100のすぐ内側に設置することが一般的であり、かつ後続車に対して安全効果も高いので、以下では、その想定で説明する。
【0039】
自走式非常停止表示器20は、白線100に沿って、図10(A)に示すように、目標位置Mに向けて50m走行させることとなる。この目標位置Mとしては、例えば白線100の20cm内側の位置である。現在の位置が白線100から50cm内側であれば、図10(A)に矢印Cで示すように直進した後に、図10(A)に矢印Dで示すように一旦左に90°回転して30cm走行させ、そこで右に90°回転させる。
まず、図14を参照して、目標位置Mまでの経路を選定する。
自走式非常停止表示器20を走行させるべき、概略の位置と方向を合わせたところで、図14(A)に示すように、白線100の両サイドエッジ100A、100Bを検出し、中央部と下部での白線100の幅を右エッジ100Aで折り返し、仮想点M,Lを設定し、そのX座標をXM,XLとする(S33)。
具体的には、路側帯の白線100の幅は20cmと規定されているので、ここではこれを利用し、自走式非常停止表示器20の直近の路側帯の白線100(図11(B)参照。)を、図14(A)に示すように、内側のエッジを基点に水平方向に折り返す。これにより、白線100のエッジから約20cmの仮想点L(XL、YL)が得られる。仮に30cm内側を求めたい場合は、折り返すときに幅を1.5倍に設定すれば良い。同様の方法で、映像の中央付近で仮想点M(XM、YM)を求める。
この実施形態では、仮想点Lと仮想点Mを結ぶ線分が画面中央で垂直になれば目的地に向かって進んでいることになる。
【0040】
この実施形態では、X座標の差を演算し、走行の目標とする方向を修正する。
すなわち、XM−XLの結果が判定される(S34)。XM−XL≒0であれば、操舵の必要はなくそのまま直進する(S35)。XM−XL>0の場合は、仮想の走行線に対して自走式非常停止表示器20は右側にあることが分かるので左に曲がりながら進む操舵制御を行なう(S36)。XM−XL<0の場合は逆の操舵制御を行なう(S37)。自走式非常停止表示器20が50m進んだか、が判定され(S38)、50m進むまで、これらを継続的に行なうことにより、自走式非常停止表示器20は路側帯の白線100の形状に沿って、路側帯の内側に20cm離れた位置で進むことができる。
【0041】
次に、撮影画像のC部の範囲内に白線を検出し、L部とR部に白線が無いか、が判定される(S39)。この状態は、図12(A)の状態であり、C部の範囲内に白線200を検出し、L部とR部に白線が無い場合、図10(B)に示すように、車両本体2が白線200を跨いで停車していると判断する(S40)。この場合は、後続車に対する自走式非常停止表示器20の設置位置としては白線200上が適切である。
自走式非常停止表示器20は、図12(B)に示すように、中央の白線200の座標から自車位置と白線200の概略の距離を想定し、図10(B)に示すように、概略白線200の中央上の位置に移動し、かつ進行する白線200の方向を向く(S41)。
次に、図14(B)に示すように、白線200の両サイドエッジ200A、200Bを検出し、中央部と下部の白線幅の中央を、仮想点M,Lとして設定し、そのX座標をXM,XLとする(S42)。この場合には、画像処理により、画面のほぼ中央にある白線200の輝度の立ち上がりおよび立下りのエッジから、白線200の両端200A、200Bを検出し、その中央の座標を結ぶ線分を進むべき想定経路(走行線)に設定する。
【0042】
この実施形態では、X座標の差を演算し、走行の目標とする方向を修正する。
すなわち、XM−XLの結果が判定される(S43)。XM−XL≒0であれば、操舵の必要はなくそのまま直進する(S44)。XM−XL>0の場合は、仮想の走行線に対して自走式非常停止表示器20は右側にあることが分かるので左に曲がりながら進む操舵制御を行なう(S45)。XM−XL<0の場合は逆の操舵制御を行なう(S46)。自走式非常停止表示器20が50m進んだか、が判定され(S47)、50m進むまで、これらを継続的に行なうことにより、自走式非常停止表示器20は、概略白線200の中央上に沿って進むことができる。
【0043】
次に、撮影画像のL部およびR部の双方に白線を検出しC部に白線が無い、が判定される(S48)。この状態は、図13(A)、(B)の状態であり、L部に白線200、R部に白線100を検出し、C部に白線が無い場合は、図10(C)に示すように、車両本体2が走行車線の中間に停車していると判断する(S49)。この場合は、後続車に対する自走式非常停止表示器20の設置位置としては走行車線の中央が適切である。
自走式非常停止表示器20は、上記説明と同様の方法で、まず、概略走行車線の中央上の位置に移動し、かつ進行する車線の方向を向く(S50)。
次に、図14(C)に示すように、左右の白線200、および白線100の位置を検出し、中央部と下部での、それらの中間点を仮想点M,Lとして設定し、そのX座標をXM,XLとする(S51)。この場合には、画像処理により、画面の両端にある白線200、および白線100の輝度の立ち下がりおよび立ち上がりのエッジから、車線の両端を検出し、その中央の座標を結ぶ線分を進むべき想定経路(走行線)に設定する。
【0044】
この実施形態では、X座標の差を演算し、走行の目標とする方向を修正する。
すなわち、XM−XLの結果が判定される(S52)。XM−XL≒0であれば、操舵の必要はなくそのまま直進する(S53)。XM−XL>0の場合は、仮想の走行線に対して自走式非常停止表示器20は右側にあることが分かるので左に曲がりながら進む操舵制御を行なう(S54)。XM−XL<0の場合は逆の操舵制御を行なう(S55)。
次いで、自走式非常停止表示器20が50m進んだか、が判定される(S56)。自走式非常停止表示器20が50m進むまで、これらを継続的に行なうことにより、自走式非常停止表示器20は、車線の中央上を進むことができる。
【0045】
次に、撮影画像のL部、C部およびR部のいずれかに白線が有るか、が判定される(S57)。L部、C部およびR部のいずれかに白線が有る場合は、画像の下部で中央に近い白線を走行のガイド線とする(S58)。そして、図14(D)に示すように、白線の消失点が、画面中央に近くなるように、その場で旋回する(S59)。
次いで、画面下部での白線の中央よりの座標をLとし、そのX座標をXLとし、初回のXLの値をXL1とする(S60)。
この実施形態では、XL1−XLの結果が判定される(S61)。XL1−XL≒0であれば、操舵の必要はなくそのまま直進する(S62)。XL1−XL>0の場合は、仮想の走行線に対して自走式非常停止表示器20は右側にあることが分かるので左に曲がりながら進む操舵制御を行なう(S63)。これに対し、XL1−XL<0の場合は逆の操舵制御を行なう(S64)。
次いで、自走式非常停止表示器20が50m進んだか、が判定され(S65)、50m進むまで、これらを継続的に行なうことにより、自走式非常停止表示器20は、走行のガイド線上を進むことができる。
S57において、L部、C部およびR部のいずれにも白線が無い場合は、自走式非常停止表示器20は直進し(S66)、自走式非常停止表示器20が50m進んだか、が判定され(S67)、50m進むまで、自走式非常停止表示器20は単に直進し、その後に、停車することとなる(S68)。
【0046】
通常の道路上で起こり得る画像パターンは、上記の図11図13の3パターンであるが、道路の改修工事等で上記の白線パターンが検出できなかった場合は、フェールセーフとして以下のように処理を行なう。
自走式非常停止表示器20を設置する場所としては、車両本体2が停車している場所に対して道路形状に則した後方が適切である。
よって、上記の3パターンに当てはまらない白線が検出された場合は、初期の移動動作は行わず、画像の中央に近い白線に対して平行に、初期の距離を保って平行に走行する。これは図12の後半の画像処理による制御と同様に行なう。また、白線が全く検出されなかった場合は、初期位置から画像の取り込み処理を実行しながら直進走行を行ない、所定の距離を進む間に、新たに白線が検出された場合は、上記と同様に白線に対して一定の距離で平行に進む制御に切り替える。
【0047】
上記のいずれの場合も、所定の距離を走行したら、目的の位置で停止して、後続車に停止表示板35を提示する。所定の距離とは例えば高速道路では50m(S38、S47、S56、S65参照。)であり、一般道路では20mである。この距離は車両本体2が非常停車した道路のデジタル地図データ57の情報を用いて設定することも可能である。デジタル地図データ57の情報は、自走式非常停止表示器20が車両本体2から分離する前に、車両本体2のナビゲーション装置55と制御ECU31間の通信によって、走行している道路の道路ランク情報等を取得すればよい。
別の方法として、例えば、同じ一般道路でもデジタル地図データ57の情報に含まれる制限速度や車線数により細かく設定することも可能である。リアルタイムの渋滞情報を設置位置までの距離に反映させることも可能である。
自走式非常停止表示器20が停車するまでの所定の距離の算出には、一般のナビゲーション装置55と同様にGPS51、ジャイロ52、加速度センサー53、車速センサー54からの情報により、走行した距離を積算すればよい。
【0048】
以上に説明したように、この自走式非常停止表示器20の自動設置装置によれば、走行中の車両1が事故や、車両1の故障、運転者の急病、などの非常状況を検出して道路上に停車した場合に、車両本体2が最終的に停車した角度Rや、車両本体2が走行してきた車線にかかわらず、車両本体2が最終的に停車した場所から車両本体2が走行してきた方向、つまり後続車両が来る方向に、カーブ等の道路形状にかかわらず、適切な距離を離した地点に自走式非常停止表示器20を設置することができ、特に高速道路での非常停車による二次的交通事故発生の抑制に効果が発揮される。
【0049】
また、車両本体2の損傷状況を判断し、車両本体2の損傷が激しい場合に、自走式非常停止表示器20が自ら車両本体2の非常停止表示器分離手段を作動させてもよい。
制御ECU31は、車両本体2が走行中や非常状態検出後に、車両本体2のナビゲーション装置55のロケーション情報の取得など、通信インターフェイス65を経由して常に通信を行なっている。これらの通信が途絶したり、もしくはナビゲーション装置55から本体の異常を通知するメッセージが送られて来たり、あるいは、非常状態検出後に、速度=0kmの状態を一定時間以上検出するなどの場合がある。これらの場合には、自走式非常停止表示器20の側で、車両本体2に重大な損傷が発生し、収納手段の制御ができなくなったと判断し、制御ECU31で持っているロケーション機能で得られたロケーション情報に基づいて車両停止を判断し、収容部10の固定手段13や車輪の固定手段を自ら解除して、自走式非常停止表示器20を設置することができる。例えば解除装置が電気的にアクティブな制御回路であれば電力系を論理和(OR)回路の構成にすればよい。
【0050】
また、自走式非常停止表示器20の自動設置装置は、トンネル内などGPS51の電波が受信でない状況でも自走式非常停止表示器20を設置することが可能である。ジャイロ52、加速度センサー53、車速センサー54、デジタル地図データ57の情報を組み合わせ、マップマッチング、デットレコニング処理を行なうことで、車両本体2および自走式非常停止表示器20のロケーションを算出することが可能なので、道路の絶対方位に対する車両本体2の角度Rを算出できる。
自走式非常停止表示器20は、分離された後での所定の距離を離して自走式非常停止表示器20を設置する際にGPS51の情報を使用しているが、これも車速センサー54からの情報を積算することにより距離の算出が可能である。
【0051】
自走式非常停止表示器20が車両1の下から出る際に、車両1の下部の障害物回避する手段としてカメラ画像による画像認識を利用しても良い。
自走式非常停止表示器20に取付けてあるカメラ36は、例えば錘を使うなどして地上Gに対して常に水平を向くように構成しておけば、自走式非常停止表示器20が車両本体2から分離され、車両本体2の下から車両本体2を抜け出すまでの間は、前方のカメラ映像を用いて車輪などの障害物を認識し、ぶつからない方向に操舵して自走し車両本体2の下から抜け出ることができる。
【0052】
自走式非常停止表示器20の自動設置装置は、自走式非常停止表示器20を設置する距離を決定するにあたり、非常状況を検出する直前の走行速度を使用することができる。例えば、直前の平均走行速度が、高速道路走行時の速度である場合は、高速道路における推奨設置距離である50m後方に、直前の平均走行速度が一般道路走行時の速度である場合は、一般道路における推奨設置距離である20m後方に設置するという制御も可能である。一般道路でも自動車専用道のように走行する車両1の走行速度が高ければ20mより離れた距離に設置するほうが安全であり、前記の直前の平均速度に対する変換テーブルを持つなどして細かい設置距離を設定することも可能である。
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、自走式非常停止表示器20の鉛直設置にバネ機構を使用するもの、自走式非常停止表示器20の収納時に折りたたむ構造とするもの等、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 車両
2 車両本体
10 収容部
11 底板
12 支持部
13 固定手段
20 自走式非常停止表示器
31 制御ECU
32 バッテリー(電力保存手段)
34 停止表示板表示手段
35 停止表示板
36 カメラ
37 走行手段
51 GPS
52 ジャイロ
53 加速度センサー
54 車速センサー
55 ナビゲーション装置
56 非常状況検出手段
57 デジタル地図データ
59 通信インターフェイス
60 電力インターフェイス
65 通信インターフェイス
66 電力インターフェイス
100 白線
100A サイドエッジ
100B サイドエッジ
200 白線
200A サイドエッジ
200B サイドエッジ
L1 絶対方位(車両の進行方向)
L2 絶対方位(道路の方位)
R 角度
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