【解決手段】トレーニング器具1は,背中を当てて,体幹部を緩やかに固定することが可能な背部支持体2と,左右の腕に対応して設けられ,負荷に抗して略前方に独立して引っ張ることが可能な一対の引っ張り操作部材3を有する引っ張り操作機構4と,を備えている。背部支持体2は,鉛直方向に立設された柱状部材5と,嵌合台16を介して柱状部材5に取り付けられた,背中を当てるための背部支持板6と,を備えている。ここで,背部支持板6は,前方に凸の湾曲形状に形成されており,水平方向(左右方向)および前後方向に回動可能に設けられている。
前記引っ張り操作機構が,前記滑車を高さ調整可能に支持するT字状のローイング動作用アーム部材と,前記重量体に連結された棒状の負荷調節用アーム部材と,を備えたことを特徴とする請求項4に記載のトレーニング器具。
前記背部支持体が,略鉛直方向に立設された柱状部材と,背中を当てるための背部支持板と,を備えたことを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載のトレーニング器具。
前記臀部支持部材が板状部材からなり,水平面を基準とした前記臀部支持部材の前傾角度が2〜7度の範囲で調整可能であることを特徴とする請求項10に記載のトレーニング器具。
前記略棒状部材は,その基端部が前記脚部支持体に取り付けられ,当該取り付けられた部分を軸として,上下左右に回動可能であることを特徴とする請求項14又は15に記載のトレーニング器具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては,前端部に立枠部,後端部に自由回転することができるクランク部を有する本体と,前記クランク部の両側にそれぞれ枢接された左右のペダルリンクを有するペダルユニットと,それぞれの上段部がグリップに構成され,中段部が前記立枠部の両側に枢接され,下端がそれぞれ前記左右のペダルリンクの前端に枢接された左右のハンドルリンクを備えるハンドルユニットと,を有するトレーニング器具であって,前記左右のペダルリンクそれぞれの活動軌跡が,所定の角度を成して互いに交叉する楕円形であるトレーニング器具が開示されている。
【0006】
特許文献2においては,利用者の身体周辺の様々な箇所に鍛錬用ゴムチューブを繋着可能とするのに留まらず,腹筋や腰捻り運動および踏み台昇降運動などの様々な運動を1台で実現可能とする安全性に優れ,経済的に利用できる新たなトレーニング技術が開示されている。
【0007】
特許文献3においては,装置基台部と,前記装置基台部の一側に立設された支柱と,前記支柱の上下方向に向かって昇降自在に設けられた支持部材と,前記装置基台部の中央上方でほぼ水平姿勢に配置されるとともに前記支持部材に対して角度調整可能に支持され,少なくとも略半周の円弧によって形成されたサークルフレームと,前記サークルフレームに対し該サークルフレームの円周方向に沿って摺動動作可能な状態で設けられた摺動部と該摺動部からサークルフレームの求心方向に延びて使用者がトレーニング時に把持する把持部とからなる一の摺動ボックスと,この摺動ボックスの一部に選択的に付設されたウエイトと,を有する体幹トレーニング装置が開示されている。
【0008】
しかしながら,これらに開示された従来のトレーニング器具は,単なる筋力アップを目的としたトレーニング器具にすぎない。すなわち,競技への展開等を目的として,筋肉の動きと小脳の働きを連動させたことを目的とするトレーニング器具は存在していない。
【0009】
上記事情を背景として,本発明では,従来の筋力トレーニング器具と異なり,筋力アップや体幹強化を図るとともに,筋肉の動きと小脳の働きを連動させることが可能なトレーニング器具の開発を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者は,鋭意研究の結果,体幹の屈曲・伸展・回旋などによる筋力向上を行う際に,常に足裏に圧(負荷)がかかるよう設計された足圧連動体幹トレーニングマシンに着想し,本発明を完成させるに至った。この足圧連動体幹トレーニングマシンでは,動作中の支点を足裏(母指球)に置きながら筋力負荷を発生させることにより,立位での身体活動に類似したトレーニングが可能であり,筋力向上に加え,脳,前庭神経,筋との神経伝達を良好なものへと導くことができる。
【0011】
すなわち,発明者は,頭位変移性理論に基づくトレーニング器具の開発を達成したものである。
頭位変移性理論とは,頭の位置が変移するに伴い,体幹・末梢における運動機能ないしは可動範囲が変移していくという理論である。発明者は,この頭位変移性理論に基づき,頭の位置変更を可能にしつつ,足裏を支点として,体幹の運動を行い,単なる筋力向上のみならず,神経伝達についても向上させうるトレーニング器具の発明を完成させたものである。
【0012】
本発明は,以下の構成からなる。
本発明の第一の構成は,体幹部を緩やかに固定するための体幹支持機構と,左右一対に設けられ,腕に負荷をかけることが可能な腕部負荷機構と,を備え,前記体幹支持機構における部材の位置および/又は角度を調整することにより,腕を動かす動きと連動して体幹部に負荷をかけつつ,足裏に支点を置きながら運動を行うことが可能であることを特徴とするトレーニング器具である。
【0013】
本発明の第二の構成は,前記体幹支持機構として,背中を当てて,体幹部を緩やかに固定することが可能な背部支持体と,前記腕部負荷機構として,左右の腕に対応して設けられ,負荷に抗して略前方に独立して引っ張ることが可能な一対の引っ張り操作部材を有する引っ張り操作機構と,を備えたことを特徴とする第一の構成に記載のトレーニング器具である。
本発明の第三の構成は,前記引っ張り操作部材が,一端にグリップ部を有する弾性部材からなり,前記弾性部材の他端が器具本体に固定されていることを特徴とする第二の構成に記載のトレーニング器具である。
本発明の第四の構成は,前記引っ張り操作部材が,一端にグリップ部を有するロープからなり,前記ロープの他端が滑車を通して重量体に連結され,当該重量体を変更することにより負荷の調整が可能であることを特徴とする第二の構成に記載のトレーニング器具である。
本発明の第五の構成は,前記引っ張り操作部材の高さを調整するための調整機構をさらに備えたことを特徴とする第二から第四の構成に記載のトレーニング器具である。
本発明の第六の構成は,前記引っ張り操作機構が,前記滑車を高さ調整可能に支持するT字状のローイング動作用アーム部材と,前記重量体に連結された棒状の負荷調節用アーム部材と,を備えたことを特徴とする第四の構成に記載のトレーニング器具である。
【0014】
本発明の第七の構成は,前記背部支持体が,略鉛直方向に立設された柱状部材と,背中を当てるための背部支持板と,を備えたことを特徴とする第二から第六の構成に記載のトレーニング器具である。
本発明の第八の構成は,前記背部支持板が,略水平方向に回動可能であることを特徴とする第七の構成に記載のトレーニング器具である。
本発明の第九の構成は,前記背部支持体が,臀部支持部材をさらに備えたことを特徴とする第二から第八の構成に記載のトレーニング器具である。
本発明の第十の構成は,前記臀部支持部材が,略鉛直方向に角度調整可能であることを特徴とする第九の構成に記載のトレーニング器具である。
本発明の第十一の構成は,前記臀部支持部材が板状部材からなり,水平面を基準とした前記臀部支持部材の前傾角度が2〜7度の範囲で調整可能であることを特徴とする第十の構成に記載のトレーニング器具である。
本発明の第十二の構成は,前記臀部支持部材が,略鉛直方向に高さ調整可能であることを特徴とする第九から第十一の構成に記載のトレーニング器具である。
【0015】
本発明の第十三の構成は,前記背部支持体に連結された脚部支持部材をさらに備えことを特徴とする第二から第十二の構成に記載のトレーニング器具である。
【0016】
本発明の第十四の構成は,前記体幹支持機構として,脚部を固定することにより間接的に体幹部を緩やかに固定することが可能な脚部支持体,ならびに,足を載せるための載置部材と,前記腕部負荷機構として,左右の腕に対応して設けられ,負荷に抗して体側に独立して引くことが可能な一対のアーム部材と,を備えたことを特徴とする第一の構成に記載のトレーニング器具である。
本発明の第十五の構成は,前記アーム部材が,把持部と重り取り付け部を有する略棒状部材からなることを特徴とする第十四の構成に記載のトレーニング器具である。
本発明の第十六の構成は,前記略棒状部材は,その基端部が前記脚部支持体に取り付けられ,当該取り付けられた部分を軸として,上下左右に回動可能であることを特徴とする第十四又は第十五の構成に記載のトレーニング器具である。
【発明の効果】
【0017】
本発明により,従来の筋力トレーニング器具と異なり,筋力アップや体幹強化を図るとともに,筋肉の動きと小脳の働きを連動させることが可能なトレーニング器具の提供が可能となった。本発明におけるトレーニング器具は,競技における筋力向上のみに限定されず,負荷を和らげることにより,ロコモティブ症候群や高齢者などに対しての筋力向上および運動機能改善を図ることができ,介護予防に関しても効果が期待できるものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下,好適な実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し,下記の実施の形態は本発明を具現化した例に過ぎず,本発明はこれに限定されるものではない。
【0020】
<<本発明のトレーニング器具の原理>>
本発明のトレーニング器具は,体幹の屈曲・伸展・回旋などによる筋力向上を行う際に,常に足裏に圧(負荷)がかかることを原理とする。すなわち,この原理に基づいた足圧連動体幹トレーニングマシンでは,動作中の支点を足裏(母指球)に置きながら筋力負荷を発生させるため,立位での身体活動に類似したトレーニングが可能であり,これにより,腕への負荷と連動して体幹部の筋肉にも負荷がかかり,筋力向上に加え,脳,前庭神経,筋との神経伝達を良好なものへと導くことが可能となる。
【0021】
このような原理を満たすため,本発明の足圧連動体幹トレーニングマシンでは,下記の要素を含む。
(1) 左右一対の独立した動きが可能であり,腕に負荷をかけることが可能な腕部負荷機構を備える。
(2) 体幹部を緩やかに固定するための体幹支持機構を備える。
(3) トレーニング者の足が直立又は屈曲した際に,動作中の支点が足裏になるよう,各種構成を備える。
【0022】
<<実施態様1>>
実施態様1においては,腕部負荷機構として,左右の腕に対応して設けられ,負荷に抗して略前方に独立して引っ張ることが可能な一対の引っ張り操作部材を有する引っ張り操作機構を備える。また,体幹支持機構として,背中を当てて,体幹部を緩やかに固定することが可能な背部支持体を備える。加えて,背部支持体や臀部支持部材の高さを調整するなどすることにより,使用者が足を直立又は屈曲した際に,動作中の支点を足裏に置きながらトレーニングを行うことができる。
【0023】
実施態様1においては,体幹部を緩やかに固定しながら,左右の腕に対応して設けられた一対の引っ張り操作部材を,負荷に抗して体の略前方に独立して引っ張ることにより,動作中の支点を足裏に置きながら身体のひねりと体幹との連動を可能とし,これらの動きに連動した筋肉に負荷をかけることを原理とする。
また,一対の引っ張り操作部材は,それぞれ負荷に抗して独立して引っ張ることが可能であるため,典型的には投げる動作など,左右非対称な運動をも可能とするものである。加えて,一対の引っ張り操作部材は,体の前方の様々な方向に引っ張ることが可能であるとともに,高さ調整を行うこともでき,これらにより,各競技における多種多様な動きを再現でき,運動競技などの目的に応じた体の動きに連動して筋力アップや体幹強化を図ることが可能となるものである。
【0024】
実施態様1にかかるトレーニング器具は,背部支持体と,負荷に抗して略前方に独立して引っ張ることが可能な一対の引っ張り操作部材を有する引っ張り操作機構と,を必須の構成要素とする。
【0025】
背部支持体は,体幹部を緩やかに固定するとともに,本発明のトレーニング器具を構成する中心的な部材としての役割を有する。背部支持体は,この役割を果たす限り,特に限定されるものではなく,種々の形状・素材のものを用いることができる。
背部支持体は,典型的には,
図1に示すように,柱状部材と,背中を当てて体幹部を安定させるための背部支持板と,からなる構成とすればよい。柱状部材としては,
図1に示すような直方体状の部材を用いてもよいが,これに限定されるものではなく,円柱状の部材や多角柱状の部材,もしくはアーチ形の部材などを用いることもできる。
【0026】
背部支持板は,背中を当てて体幹部を安定させる役割を果たす限り,特に限定されるものではなく,種々の形状・素材のものを用いることができる。背部支持板としては,
図2に示すような歪曲した板状の部材を典型的には用いることができ,これにクッション性を有する部材を付加しても構わない。
本発明において,背部支持板は,略水平方向に回動可能であることが好ましい。この好ましい構成によれば,引っ張り操作部材の引っ張り操作と同時に,体をひねる動作を行うことができ,体の動きと連動した筋力負荷の提供が可能となるため,本発明のトレーニング器具の性能を向上させることができる。
【0027】
背部支持体の高さは,背中に当てて体幹部を緩やかに固定・安定させうる限り,特に限定されるものではない。典型的には,背部支持体は,腰椎部分に当たるよう調整すればよい。また,背部支持体については,鉛直方向等にスライド可能な形式として,使用者が適宜調整できるようにすることが好ましい。
【0028】
本発明において,背部支持体は,
図1,
図3に示すような臀部支持部材をさらに備えていることが好ましい。この好ましい構成によれば,臀部支持部材に臀部を不完全に乗せたり,これを挟むように用いたりすることにより,体幹部の自由度を確保しながら,当該体幹部をより安定させることが可能となり,本発明のトレーニング器具の性能を向上させることができる。
臀部支持部材としては,典型的には,
図1,
図3に示すような板状の部材を用いることができるが,棒状の部材を用いるなどしても構わない。
本発明において,臀部支持部材は,略鉛直方向に角度調整可能であることが好ましい。この好ましい構成によれば,体格等に応じた自由度の高い体幹部の緩やかな固定が可能となるため,本発明のトレーニング器具の汎用性を向上させることができる。さらに,臀部支持部材は,水平面を基準とした前傾角度が2〜7度の範囲で調整可能であることが好ましい。これに加え,背部支持板の高さを調整することにより,理想的な骨盤の傾斜角度を保ちつつ,自然な腰椎カーブを作り出すことが可能となり,無理のない腰部骨盤律動および体幹部の屈曲・伸展運動が可能になるという効果が得られる。そして,これにより,臀部支持部材に臀部を乗せた際においても,当該臀部支持部材には体重の30〜40%しかかからず,残りは僅かに屈曲した脚部に依存することとなり,無理のない立位姿勢を実現することができる。
本発明において,臀部支持部材は,略鉛直方向に高さ調整可能であることが好ましい。この好ましい構成によれば,体格等に応じた自由度の高い体幹部の緩やかな固定が可能となるため,本発明のトレーニング器具の汎用性を向上させることができる。
【0029】
一対の引っ張り操作部材を有する引っ張り操作機構は,負荷に抗して略前方に独立して引っ張ることが可能な一対の引っ張り操作部材を有する限り,特に限定されるものではなく,種々の構成のものを採用することができる。
引っ張り操作部材としては,バネ状部材やスプリング機構を備えた棒状部材など,種々の構成のものを採用することができるが,かかる弾性部材を用いる場合には,一端にグリップ部を有し,他端が器具本体に固定されていることが好ましい。また,引っ張り操作部材としては,
図1,
図5に示すような一端にグリップ部を有するロープを用いることもできる。そして,この場合には,ロープの他端が滑車を通してバーベルなどの重量体に連結されていることが好ましい。これらの好ましい構成によれば,引っ張り操作について前方への自由度を大きく確保することが可能となり,様々な方向に引っ張り操作を行うことができるため,本発明のトレーニング器具の性能を向上させることができる。また,引っ張り操作部材として,一端にグリップ部を有するロープを用いる場合であって,当該ロープの他端が滑車を通してバーベルなどの重量体に連結されているという好ましい構成によれば,重量体を変更することにより負荷の程度を自由かつ容易に調整することが可能となるため,本発明のトレーニング器具の性能をさらに向上させることができる。
引っ張り操作機構においては,引っ張り操作部材の高さを調整するための調整機構をさらに備えていることが好ましい。この好ましい構成によれば,体格や想定する競技に合致した引っ張り操作が可能となるため,本発明のトレーニング器具の汎用性ならびに性能を向上させることができる。
【0030】
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1におけるトレーニング器具の構成について,
図1から
図7を参照しながら説明する。
【0031】
図1は,本発明の実施の形態1におけるトレーニング器具の全体構成を示す斜視図,
図2は,当該トレーニング器具の構成部材である背部支持板周りの構成を示す図(A:側面図,B:斜視図),
図3は,当該トレーニング器具の構成部材である臀部支持板周りの構成を示す図(A:側面図,B:斜視図),
図4は,当該トレーニング器具の構成部材であるローイング動作用滑車周りの構成を示す斜視図,
図5は,当該トレーニング器具の構成部材であるロープ付きグリップ部周りの構成を示す斜視図,
図6は,当該トレーニング器具の構成部材である負荷調節用アーム部材周りの構成を示す側面図,
図7は,当該トレーニング器具の構成部材であるローイング動作用アーム部材周りの構成を示す側面図である。
【0032】
図1に示すように,本実施の形態のトレーニング器具1は,背中を当てて,体幹部を緩やかに固定することが可能な背部支持体2と,左右の腕に対応して設けられ,負荷に抗して略前方に独立して引っ張ることが可能な一対の引っ張り操作部材3を有する引っ張り操作機構4と,を備えている。
【0033】
図1,
図2に示すように,背部支持体2は,鉛直方向に立設された柱状部材5と,嵌合台16を介して柱状部材5に取り付けられた,背中を当てるための背部支持板6と,を備えている。ここで,背部支持板6は,前方に凸の湾曲形状に形成されており,水平方向(左右方向)および前後方向に回動可能に設けられている(回動式背部支持板6)。
回動式背部支持板6は,高さが35〜55cm,幅が10〜20cmであり,上方および下方ともに1/3〜1/5部分の幅が上端および下端にいくにしたがって徐々に狭くなっている。
また,回動式背部支持板6の軸は板の中心部よりも2〜10mm下方に位置し,前方に凸の湾曲形状に形成された板と軸とが交差している。
図1,
図3に示すように,背部支持体2は,背部支持板6の下端に位置して嵌合台16に固定された臀部支持部材7をさらに備えている(固定式臀部支持部材7)。ここで,臀部支持部材7は,嵌合台16を柱状部材5に沿って摺動させることにより,背部支持板6とともに鉛直方向に高さ調整可能となっている。また,臀部支持部材7は,鉛直方向に角度調整可能に設けられている。より具体的には,臀部支持部材7は板状部材からなり,水平面を基準とした臀部支持部材7の前傾角度が2〜7度の範囲で調整可能となっている。
固定式臀部支持板7は,後端部の幅が10〜20cm,先端部の幅が2〜5cm,長さが20〜30cmの略三角形状に形成され,かつ,水平面を基準として2〜7度前傾した構造となっている。
図1に示すように,トレーニング器具1は,背部支持体2に連結された脚部支持部材8をさらに備えている。
【0034】
固定式臀部支持部材7は,回動式背部支持板6によって作り出される体幹部の回旋動作時において身体の軸を安定させる役割を有する。また,固定式臀部支持部材7は,腹筋群の起始部を固定し,筋の停止部が起始部に近づくという本来の筋収縮形態を作り出すことにより,神経系を含めた筋組織の発達を促す役割を有する。
また,固定式臀部支持部材7は,その構造により,骨盤の前傾を促し,かつ,回動式背部支持板6の下部構造と併せて股関節の屈曲および伸展を容易にしている。
また,回動式背部支持板6の軸は板の中心部よりもやや下方に位置し,前方に凸の湾曲形状に形成された板と軸とが交差している。このため,体幹部の左右回旋動作時に伸展した胸椎および腰椎が回旋しながら屈曲する際,脊柱の回転と板の回転が限りなく一致し,実際のスローイング動作や他の体幹部を回旋させる動作が介在するスポーツ動作により近い感覚で体幹をトレーニングすることが可能となっている。
【0035】
図1,
図5に示すように,引き操作部材3は,一端にロープ付きグリップ部9を有するロープ10からなり,ロープ10の他端は,ローイング動作用滑車11を通してバーベル12に連結されている。
図1,
図4から
図7に示すように,引き操作機構4は,ローイング動作用滑車11を高さ調整可能に支持するT字状のローイング動作用アーム部材13と,バーベル12に連結された棒状の負荷調節用アーム部材14と,を備えている。ここで,ローイング動作用アーム部材13の基端は,本体フレーム15に固定されている。また,負荷調節用アーム部材14の一端は,柱状部材5に回動可能に連結されており,負荷調節用アーム部材14の他端部にバーベル12が取り付けられている。さらに,負荷調節用アーム部材14の途中は,本体フレーム15に設けられたストッパ17によって支持されている。
【0036】
負荷調節用アーム部材14は,第2種テコの原理を応用して,スタート時の力点および支点の位置(アーム部材の角度)を調整することにより,動作中の負荷レベルを,中→強→弱に変化させることができるようになっており,実際のスポーツ動作における筋肉への負担度に酷似したものとなっている。さらに,作用点(バーベル12の位置)を力点近くに置くことにより,軽いバーベル12でも十分な負荷が得られるようになっている。
【0037】
本実施の形態のトレーニング器具1によれば,柱状部材5に回動式背部支持板6および固定式臀部支持板7を設け,本体フレーム15の上後部に設置したローイング動作用アーム部材13に固定されたローイング動作用滑車11に通されたロープ10の一端のロープ付きグリップ部9を身体の後部で把持し,体幹部が右(左)に回旋した状態からスローイング動作を行うことにより,その作用筋への神経伝達順位を適切なものへと導いて,トレーニング効果と投球動作やテニスのサーブ,バレーボールのスパイクやアタック動作等との融合およびその修正を図ることができる。
【0038】
また,本実施の形態のトレーニング器具1によれば,柱状部材5に回動式背部支持板6および固定式臀部支持板7を設け,本体フレーム15の上後部に設置したローイング動作用アーム部材13に固定されたローイング動作用滑車11に通されたロープ10の一端のロープ付きグリップ部9aを肩関節にかけた状態で,体幹部を回旋および屈曲させる動作に負荷をかけることにより,内腹斜筋,腹直筋,外腹斜筋を鍛錬することができる。
【0039】
また,本実施の形態のトレーニング器具1によれば,柱状部材5に回動式背部支持板6および固定式臀部支持板7を設け,本体フレーム15の上後部に設置したローイング動作用アーム部材13に固定されたローイング動作用滑車11に通された左右のロープ10を両肩上に通し,両腕を内転屈曲した状態でロープ付きグリップ部9を胸の前で把持し,上体が伸展位から屈曲位へと移行する動作に負荷をかけることにより,内腹斜筋,腹直筋,外腹斜筋を鍛錬することができる。
【0040】
本実施の形態のトレーニング器具1は,上記した運動形態の他に,ローイング動作用アーム部材13に固定されたローイング動作用滑車11に通された左右のロープ10の一端のロープ付きグリップ部9を用いて,肩関節の内転・外転運動,屈曲・伸展運動,内旋・外旋運動,水平内転・水平外転運動および上肢の屈曲・伸展運動等を鍛錬することもできるように設計されている。そして,このように設計された本実施の形態のトレーニング器具1を用いれば,スポーツの体力強化を図ることができ,例えば,投げる力をアップさせることができるとともに,ゴルフの飛距離をアップさせることもできる。
【0041】
本実施の形態のトレーニング器具1による運動形態は,動作中に足底圧が上昇するように設計されている。これは,実際のスポーツ活動における重心移動と酷似しており,筋肉の起始および停止の動作への関与と同様に本実施の形態のトレーニング器具1の機能の中核をなすものである。
【0042】
本実施の形態のトレーニング器具1によって提供される体幹部における主動筋収縮,拮抗筋伸展および固定筋,共働筋,中立筋の動作介入に連動する足底圧の上昇により,足圧中心動揺を含む平衡性の維持・向上が期待できる。すなわち,本実施の形態のトレーニング器具1は,スポーツ活動における補強用器具にとどまらず,介護予防器具としての機能性をも兼ね備えている。
【0043】
(実施例1)
本実施例のトレーニング器具1において,回動式背部支持板6は,高さが40cm,幅が15cmであり,上方および下方ともに1/4部分の幅が上端および下端にいくにしたがって徐々に狭くなっている。また,回動式背部支持板6の軸は板の中心部よりも7mm下方に位置し,前方に凸の湾曲形状に形成された板と軸とが交差している。固定式臀部支持板7は,後端部の幅が15cm,先端部の幅が3cm,長さが25cmの略三角形状に形成され,かつ,水平面を基準として3度前傾した構造となっている。そして,本体フレーム15の上後部に設置したローイング動作用アーム部材13に固定されたローイング動作用滑車11に通された左右のロープ10の一端のロープ付きグリップ部9aは,両腕によって握持できるようになっている。また,幅400mmのパイプの両端にローイング動作用滑車11を取り付け,当該ローイング動作用滑車11に通された左右のロープ10の一端のロープ付きグリップ部9を所持して,身体の後部で掴めるようにされている。
種々の身体活動に連動した体幹トレーニングが可能となり,かつ,屈曲動作への腸腰筋の関与を排除した安全かつ効果的な腹筋運動を可能とするために,脚部支持板8は,足の甲部を固定する装置を有さず,動作中盤および動作終盤にかけて足底圧を上昇させるように,脚の長さよりも短い距離の位置に設けられ,かつ,足の大きさの1.5倍の平面形状に形成されている。
【0044】
本実施例のトレーニング器具1の寸法は,幅が70〜80cm,高さが165〜185cm,長さが120〜145cmであり,省スペースで設置することができるものとなっている。また,柱状部材5,本体フレーム15,嵌合台16の材料としては2.3mm厚の一般構造用鋼管を使用し,脚部支持部材8の材料としては3.2mm厚の縞鋼板を使用し,曲げ・切断加工,アークおよび半自動溶接加工を施した。また,回動式背部支持板6,固定式臀部支持板7の材料としては7mm厚の平鋼を使用し,曲げ・切断加工,溶接加工を施し,2.3mm厚の一般構造用鋼管および6mm厚の鋼板により加工した14mmボルトおよび12mmボルトを用いて固定した。
【0045】
また,ローイング動作用アーム部材13,負荷調節用アーム部材14としては,厚さ2.3mm,直径38〜42mmの丸パイプを用い,同じく曲げ・切断加工,アークおよび半自動溶接加工を施して十分な耐久性を持たせた。ローイング動作用滑車11としては真鍮製ベアリング入り滑車を使用し,4mm厚の平鋼,6mmの丸鋼および内径17mmの丸パイプを,16mmのボルト,ナットと合わせて加工し,十分な強度および滑らかな回転,動作に合わせて180度回転する形状にした。また,ロープ10としては直径4〜6mmの鉄製ワイヤーを使用し,その一端には直径20〜30mmのロープ付きグリップ部9,ゴム製すべり止め付ロープ9aまたは鉄製ハンドル9bを連結した。また,回動式背部支持板6,負荷調節用アーム部材14の動きを滑らかにするために,連結にはベアリングユニットを使用した。
【0046】
本実施例のトレーニング器具1を用いることにより,肩関節の内転・外転運動,屈曲・伸展運動,内旋・外旋運動,水平内転・水平外転運動および上肢の屈曲・伸展運動等を鍛錬することができた。
また,本実施例のトレーニング器具1を用いれば,左右独立したローイング動作用アーム部材13および負荷調節用アーム部材14および回動式背部支持板6,固定式臀部支持板7によって左右両面およびどちらか一方の体幹部,胸部,上肢,背部,肩部を鍛錬することができ,本実施例のトレーニング器具1は,左右の筋力バランスの是正およびリハビリテーション器具としても使用することができる。
さらに,本実施例のトレーニング器具1を用いれば,立ったまま楽に,効果的な腹筋運動を行うことができた。また,腹筋のみをダイレクトに刺激して,重力を足で感じながら体幹を中心に全身運動を行うことができた。
【0047】
(実施例2)
本実施例のトレーニング器具1において,回動式背部支持板6は,高さが50cm,幅が18.2cmであり,上方および下方ともに1/3部分の幅が上端および下端にいくにしたがって徐々に狭くなっている。また,回動式背部支持板6の軸は板の中心部よりも8mm下方に位置し,前方に凸の湾曲形状に形成された板と軸とが交差している。固定式臀部支持板7は,後端部の幅が17cm,先端部の幅が3cm,長さが28cmの略三角形状に形成され,かつ,水平面を基準として5度前傾した構造となっている。そして,本体フレーム15の上後部に設置したローイング動作用アーム部材13に固定されたローイング動作用滑車11に通された左右のロープ10の一端のロープ付きグリップ部9aは,両腕によって握持できるようになっている。また,幅450mmのパイプの両端にローイング動作用滑車11を取り付け,当該ローイング動作用滑車11に通された左右のロープ10の一端のロープ付きグリップ部9を所持して,身体の後部で掴めるようにされている。
種々の身体活動に連動した体幹トレーニングが可能となり,かつ,屈曲動作への腸腰筋の関与を排除した安全かつ効果的な腹筋運動を可能とするために,脚部支持板8は,足の甲部を固定する装置を有さず,動作中盤および動作終盤にかけて足底圧を上昇させるように,脚の長さよりも短い距離の位置に設けられ,かつ,足の大きさの2〜5倍の平面形状に形成されている。
【0048】
本実施例のトレーニング器具1の寸法は,幅が70〜80cm,高さが165〜180cm,長さが120〜140cmであり,省スペースで設置することができるものとなっている。また,柱状部材5,本体フレーム15,嵌合台16の材料としては2.3mm厚の一般構造用鋼管を使用し,脚部支持部材8の材料としては3.2mm厚の縞鋼板を使用し,曲げ・切断加工,アークおよび半自動溶接加工を施した。また,回動式背部支持板6,固定式臀部支持板7の材料としては7mm厚の平鋼を使用し,曲げ・切断加工,溶接加工を施し,2.3mm厚の一般構造用鋼管および6mm厚の鋼板により加工した14mmボルトおよび12mmボルトを用いて固定した。
【0049】
また,ローイング動作用アーム部材13,負荷調節用アーム部材14としては,厚さ2.3mm,直径38〜42mmの丸パイプを用い,同じく曲げ・切断加工,アークおよび半自動溶接加工を施して十分な耐久性を持たせた。ローイング動作用滑車11としては真鍮製ベアリング入り滑車を使用し,4mm厚の平鋼,6mmの丸鋼および内径17mmの丸パイプを,16mmのボルト,ナットと合わせて加工し,十分な強度および滑らかな回転,動作に合わせて180度回転する形状にした。また,ロープ10としては直径4〜6mmの鉄製ワイヤーを使用し,その一端には直径20〜30mmのロープ付きグリップ部9,ゴム製すべり止め付ロープ9aまたは鉄製ハンドル9bを連結した。また,回動式背部支持板6,負荷調節用アーム部材14の動きを滑らかにするために,連結にはベアリングユニットを使用した。
【0050】
本実施例のトレーニング器具1を用いることにより,肩関節の内転・外転運動,屈曲・伸展運動,内旋・外旋運動,水平内転・水平外転運動および上肢の屈曲・伸展運動等を鍛錬することができた。
また,本実施例のトレーニング器具1を用いれば,左右独立したローイング動作用アーム部材13および負荷調節用アーム部材14および回動式背部支持板6,固定式臀部支持板7によって左右両面およびどちらか一方の体幹部,胸部,上肢,背部,肩部を鍛錬することができ,本実施例のトレーニング器具1は,左右の筋力バランスの是正およびリハビリテーション器具としても使用することができる。
さらに,本実施例のトレーニング器具1を用いれば,立ったまま楽に,効果的な腹筋運動を行うことができた。また,腹筋のみをダイレクトに刺激して,重力を足で感じながら体幹を中心に全身運動を行うことができた。
【0051】
<<実施態様2>>
実施態様2においては,腕部負荷機構として,左右の腕に対応して設けられ,負荷に抗して体側に独立して引くことが可能な一対のアーム部材を備える。さらに,体幹支持機構として,脚部を固定することにより間接的に体幹部を緩やかに固定することが可能な脚部支持体,ならびに,足を載せるための載置部材を備える。これら脚部支持体と載置部材の高さや角度の調整を行うことにより,動作中の支点を足裏に置きながらトレーニングを行うことができる。
【0052】
実施態様2においては,脚部を固定することにより間接的に体幹部を緩やかに固定し,左右の腕に対応して設けられた一対のアーム部材を,負荷に抗して体側に引くことにより,動作中の支点を足裏に置きながら腕を引く操作と体幹との連動を可能とし,これらの動きに連動した筋肉に負荷をかけることを原理とする。これにより,一連の動作を行った際,外旋筋である広背筋を最大限伸展・収縮させることが可能となる。また,好ましい構成によれば,両腕の左右への広がりと相まって体幹の屈曲時に広背筋が最大限に伸長され,屈曲時に最大限に収縮することとなる。
【0053】
実施態様2にかかるトレーニング器具は,脚部支持体と,負荷に抗して体側に引くことが可能なアーム部材と,足を載せるための載置部材と,を必須の構成要素とする。
【0054】
脚部支持体は,脚部を固定することにより間接的に体幹部を緩やかに固定する役割を有する。すなわち,脚部は動かないものの,体幹部は腕の動きと連動して屈伸したり,ひねったりするなどの動きが可能となるものである。脚部支持体は,この役割を果たす限り,特に限定されるものではなく,種々の形状ないし材質のものを用いることができる。
脚部支持体は,典型的には,
図8に示すように,棒状部材に太ももに当てるための柔軟部材を備える構成とすればよく,その柔軟部材の位置や棒状部材の角度などが調整できるようにすればよい。
【0055】
載置部材は,足を載せ,脚部支持体と合わさって,脚部を固定する役割を有する。載置部材は,この役割を果たす限り,特に限定されるものではなく,種々の形状のものを用いることができる。また,載置部材は,足裏が支点となるよう,適度な角度を有する必要があるが,これについては,脚部支持体との関係で調整すればよく,一例として,60から110度の角度とするなどすればよい。
これら脚部支持体と載置部材により,脚部が固定されるとともに,運動を行う際に足裏に支点を置きながらの運動が可能となる。
【0056】
アーム部材は,腕を用いて体側に引き上げられることにより腕への負荷を可能とする役割を有する。アーム部材は,この役割を果たすための把持部と重り取り付け部を有する限り,特に限定されるものではなく,種々の形状ないし構成のものを用いることができる。
アーム部材は,典型的には,
図8,
図9に示すように,棒状部材に把持部と重り取り付け部を備えた構成とすればよい。棒状部材は,その基端部が脚部支持体に取り付けられ,当該取り付けられた部分を軸として,上下左右に回動可能である。これにより,一連の動作を行った際,外旋筋である広背筋を最大限伸展・収縮させることが可能となる。また,両腕の左右への広がりと相まって体幹の屈曲時に広背筋が最大限に伸長され,屈曲時に最大限に収縮することとなる。
なお,アーム部材については,少なくとも上下に回動可能な部材とすればよく,
図16や
図17に示す態様のものでも構わない。
【0057】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2におけるトレーニング器具の構成について,
図8,
図9を参照しながら説明する。
【0058】
図8は,本発明の実施の形態2におけるトレーニング器具の全体構成を示す側面図,
図9は,当該トレーニング器具の構成部材であるアーム部材周りの構成を示す平面図である。
【0059】
図8,
図9に示すように,本実施の形態のトレーニング器具18は,脚部支持体19と,負荷に抗して体側に引く,ないしは左右に広げることが可能なアーム部材20と,足を載せるための載置部材21と,を備えている。
【0060】
脚部支持体19は,脚部を固定することにより間接的に体幹部を緩やかに固定する役割を有する。すなわち,脚部は動かないものの,体幹部は腕の動きと連動して屈伸したり,ひねったりするなどの動きが可能となるものである。
図8に示すように,脚部支持体19は,棒状部材19aに太ももに当てるための柔軟部材19bを備えた構成となっており,棒状部材19aは,支持部材19cによって支持されている。ここで,柔軟部材19bの位置や棒状部材19aの角度は,使用者の体格に合わせて調整できるようになっている(
図8の両矢印C,角度θ1参照)。
棒状部材19aの長さは約135cmである。また,柔軟部材19bは,略矩形状に形成され,縦方向の長さが約33cmに設定されている。また,支持部材19cの長さは約61cmである。
【0061】
載置部材21は,足を載せ,脚部支持体19と合わさって,脚部を固定する役割を有する。載置部材21は,足裏が支点となるよう,適度な角度を有する必要があるが,これについては,脚部支持体19との関係で調整すればよく,例えば,60から110度の角度とするなどすればよい(
図8の角度θ2参照)。なお,載置部材21の長さは約30cmである。
また,載置部材21は,棒状部材19aにスライド可能に取り付けられたスライド部材22に固着されている。これにより,載置部材21の位置は,使用者の体格に合わせて調整できるようになっている(
図8の両矢印D)。
そして,これら脚部支持体19と載置部材21により,脚部が固定されるとともに,運動を行う際に足裏に支点を置きながらの運動が可能となる。
【0062】
アーム部材20は,腕を用いて体側に引き上げられることにより腕への負荷を可能とする役割を有する。
図8,
図9に示すように,アーム部材20は,左右に一対設けられている。そして,各アーム部材20は,棒状部材20aにシャフト状の把持部20bおよび重り取り付け部20cを備えた構成となっている。ここで,棒状部材20aは,その基端部が脚部支持体19の支持部材19cに取り付けられ,当該取り付けられた部分を軸として,上下左右に回動可能となっている(左右には多少回動するにすぎない)。また,把持部20bは,棒状部材20aの先端部に直角に水平外方に突出した状態で固着されており,左右の把持部20bをそれぞれ左右の手で把持することができるようになっている。さらに,重り取り付け部20cは,棒状部材20aの中ほどに直角に水平外方に突出した状態で固着されており,左右の重り取り付け部20cにそれぞれ円盤形の重り部材23を装着することができるようになっている。なお,棒状部材20aは,長さが約70cmであり,その先端部分が支持部材20d上に載せられている。
そして,左右の把持部20bをそれぞれ左右の手で把持して,棒状部材20aを上下左右に動かすことにより,外旋筋である広背筋を最大限伸展・収縮させることが可能となる。また,両腕の左右への広がりと相まって体幹の屈曲時に広背筋が最大限に伸長され,屈曲時に最大限に収縮することとなる。
【0063】
本実施の形態のトレーニング器具18の寸法は,幅が約85cm,長さが約130cmであり,省スペースで設置することができるものとなっている。なお,各部材の材料や固定方法等は上記実施例1,2とほぼ同様である。
なお,本実施の形態のトレーニング器具18において,アーム部材20を構成する棒状部材20aは,左右には多少回動するにすぎないものとなっているが,上下回動の場合と同様に回動する構成としてもよい。
【0064】
<<試作例および使用例>>
図10に実施の態様1における試作例を,
図11および
図12に実施の態様1における使用例を示す。
図に示すとおり,使用者は,立位に近い形で引っ張り操作部材を前方向に引っ張ることができ,このとき,足裏に重心がかかるとともに,体幹も合わせて負荷をかけることができる。
【0065】
図13および
図14に実施の態様2における試作例を,
図15から
図17に実施の態様2における使用例を示す。
図に示すとおり使用者は,脚部が緩やかに固定され,アーム部材を体側に引き上げることにより体幹に連動して負荷がかかる。加えて,足裏が載置部材に適度な角度で載っており,足裏に重心がかかっている。