特開2016-168341(P2016-168341A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-168341(P2016-168341A)
(43)【公開日】2016年9月23日
(54)【発明の名称】加湿器
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/16 20060101AFI20160826BHJP
   F24F 6/10 20060101ALI20160826BHJP
   F24F 6/00 20060101ALI20160826BHJP
【FI】
   A61M16/16 A
   F24F6/10
   F24F6/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2016-82696(P2016-82696)
(22)【出願日】2016年4月18日
(62)【分割の表示】特願2013-549676(P2013-549676)の分割
【原出願日】2012年1月24日
(31)【優先権主張番号】2011900214
(32)【優先日】2011年1月24日
(33)【優先権主張国】AU
(31)【優先権主張番号】2011901960
(32)【優先日】2011年5月20日
(33)【優先権主張国】AU
(71)【出願人】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ResMed Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー・メルヴィン・ロイド・フート
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・ジェームズ・ヒュービー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ロデリック・バス
【テーマコード(参考)】
3L055
【Fターム(参考)】
3L055AA10
3L055BA01
3L055CA04
3L055DA01
(57)【要約】
【課題】呼吸ガスに供給するための液体を急速蒸発させるように構成されている加湿装置および方法を提供する。
【解決手段】加湿器は、多孔質構造体を通過する液体を実質的に蒸発させるように構成された、電気的抵抗性および熱伝導性材料の多孔質構造体を含む発熱体を具備する。多孔質構造体は、液体入口および蒸気出口を有する。加湿器は、液体および蒸気を多孔質構造体内に封じ込めるために多孔質構造体の少なくとも一部を囲む外側ハウジングをさらに備える。多孔質構造体は、第1の電気的コネクタおよび第2の電気的コネクタを備え、第1および第2のコネクタは電力を受け取り、多孔質構造体に電圧を印加して熱を発生させる。
【選択図】図2b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的抵抗性および熱伝導性のある材料からなる多孔質構造体を備え、前記多孔質構造体を通過する液体を実質的に蒸発させるように構成された発熱体であって、前記多孔質構造体が液体入口および蒸気出口を有する、発熱体と、
前記液体および蒸気を前記多孔質構造体内に封じ込めるために前記多孔質構造体の少なくとも一部を囲む外側ハウジングと、
を備える加湿器であって、
前記多孔質構造体が、第1の電気的コネクタおよび第2の電気的コネクタを備え、前記第1のコネクタおよび第2のコネクタが、電力を受け取って前記多孔質構造体に電圧を印加して熱を発生させるように構成されている、
加湿器。
【請求項2】
前記第1の電気的コネクタが、前記液体入口のところ、またはその近くに配置され、前記第2の電気的コネクタが、前記蒸気出口のところ、またはその近くに配置される、請求項1に記載の加湿器。
【請求項3】
液体の供給源から前記液体入口に液体を送達するように構成されたコネクタ用器具をさらに備える請求項1または2に記載の加湿器。
【請求項4】
前記コネクタ用器具が、接続用栓を備えており、
前記接続用栓と前記外側ハウジングとの間の封止された接続を形成するように構成された封止チューブをさらに備える請求項3に記載の加湿器。
【請求項5】
前記コネクタ用器具が、液体の前記供給源から液体を受け入れるように構成された液体入口栓を備えており、
前記液体入口栓に接続された液体供給チューブをさらに備える請求項3または4に記載の加湿器。
【請求項6】
前記第1の電気的コネクタ若しくは前記第2の電気的コネクタ、またはその両方が、圧着コネクタである、請求項1から5のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項7】
前記多孔質構造体および前記外側ハウジングがそれぞれ細長く、前記多孔質構造体の前記蒸気出口が、前記外側ハウジングの開放端部によって加湿しようとする呼吸に適したガスの流れに曝されるように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項8】
前記多孔質構造体の前記蒸気出口が、前記外側ハウジングを越えて延在する、請求項7に記載の加湿器。
【請求項9】
前記多孔質構造体が、円筒形状または先細り形状を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項10】
前記多孔質構造体が、開放気孔金属発泡体から形成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項11】
前記金属がクロム合金を含み、前記クロム合金がMCrAlXを含み、Mが、少なくとも50質量%を占める1つまたは複数のニッケル(Ni)、コバルト(Co)、または鉄(Fe)であり、クロム(Cr)が8質量%から35質量%の間を占め、アルミニウム(Al)が0質量%を超え、8質量%未満を占め、Xが、約25質量%未満を占めると共に、モリブデン(Mo)、レニウム(Re)、ルテニウム(Ru)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、ホウ素(B)、炭素(C)、ケイ素(Si)、イットリウム(Y)、およびハフニウム(Hf)を含むゼロ個またはそれ以上の他の元素を含む、請求項10に記載の加湿器。
【請求項12】
前記金属発泡体が、開放気泡ポリウレタン発泡体などのポリマー発泡体の熱分解若しくは金属化、又はその両方によって形成される、請求項10または11に記載の加湿器。
【請求項13】
前記多孔質構造体が、繊維の本体部を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項14】
前記繊維の本体部が、麻、撚り、ニット、編組、フェルト、織物、またはテープ構造の形態で束ねられる、請求項13に記載の加湿器。
【請求項15】
前記繊維の本体部が、炭素繊維を含む、請求項13または14に記載の加湿器。
【請求項16】
前記炭素繊維が、ポリアクリルニトリルの前駆体、レイヨン、およびピッチのうちの少なくとも1つを有する、請求項15に記載の加湿器。
【請求項17】
前記多孔質構造体が、炭化ケイ素、窒化チタン、または熱分解炭素などのセラミック材料から形成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項18】
前記多孔質構造体が、実質的に均一な気孔率を有するか、或いは、その長さ若しくは直径、又はその両方に沿って変化する気孔率を有する、請求項1から17のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項19】
前記外側ハウジングが、電気的絶縁性および断熱性のある材料から形成される、請求項1から18のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項20】
前記外側ハウジングが、アルミナ、石英ガラス、または、ヒートシュリンクもしくはシリコーンゴムなどのポリマーから形成される、請求項19に記載の加湿器。
【請求項21】
空気送達チューブ内に装着されるのに適しており、且つ、前記空気送達チューブ内に前記加湿器を装着するための装着構造体をさらに備える請求項1から20のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項22】
前記装着構造体が、前記空気送達チューブの内壁から間隔をあけて前記加湿器を配置するように構成される、請求項21に記載の加湿器。
【請求項23】
前記装着構造体が、前記空気送達チューブの長手方向軸に実質的に平行に前記加湿器を装着するように構成されたコイル構造体を含む、請求項21または22に記載の加湿器。
【請求項24】
前記コイル構造体が、前記空気送達チューブを通って流れる空気を加熱するように構成された抵抗加熱器を備える、請求項23に記載の加湿器。
【請求項25】
前記電圧を前記多孔質構造体にかけるように構成された電源と、患者の呼吸周期のうちの一部の相の間だけ前記蒸気が送達されるように前記電源を制御するように構成されたコントローラと、をさらに備える請求項1から24のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項26】
呼吸に適したガスの流れを患者に送達するための呼吸装置であって、
前記呼吸に適したガスの流れを発生させるように構成された流動発生器と、
液体供給源と、
呼吸に適したガスの加湿された流れを発生させるために前記呼吸に適したガスの流れを加湿するように構成された請求項1から25のいずれか一項に記載の前記加湿器と
を備える呼吸装置。
【請求項27】
前記流動発生器に入る周囲空気の第1の温度、
前記周囲空気の第1の相対湿度、
前記周囲空気の第1の絶対湿度、
前記呼吸に適したガスの流れの第2の温度、
前記呼吸に適したガスの流れの第3の温度、
前記呼吸に適したガスの加湿された流れの第2の相対湿度、
前記呼吸に適したガスの流れの第2の絶対湿度、
前記呼吸に適したガスの流れの圧力、および
前記呼吸に適したガスの流れの流量
のうちの少なくとも1つを検出するように構成された少なくとも1つのセンサーをさらに備える請求項26に記載の呼吸装置。
【請求項28】
少なくとも1つのセンサーから信号を受信するように構成されていると共に、前記加湿器を制御して前記呼吸に適したガスの加湿された流れを所定の温度および所定の相対湿度で供給するように構成されたコントローラをさらに備える請求項27に記載の呼吸装置。
【請求項29】
前記液体供給源が、マイクロポンプまたは圧電ポンプを備える、請求項28に記載の加湿器。
【請求項30】
前記液体供給源が、重力送り装置を備える、請求項28に記載の加湿器。
【請求項31】
電気的抵抗性および熱伝導性のある材料からなる多孔質構造体を備え、前記多孔質構造体を通過する液体を実質的に蒸発させるように構成された発熱体であって、前記多孔質構造体が液体入口および蒸気出口を有する、発熱体と、
前記液体および蒸気を前記多孔質構造体内に封じ込めるために前記多孔質構造体の少なくとも一部を囲む外側チューブと、
第1の電気的コネクタによって前記液体入口に接続されている第1の電源リードと、
第2の電気的コネクタによって前記蒸気出口に接続されている第2の電源リードと、
を備え、前記第1の電源リードおよび前記第2の電源リードが、前記多孔質構造体に電圧を印加するように構成されている、
加湿器。
【請求項32】
液体の供給源から前記液体入口に液体を送達するように構成されたコネクタをさらに備える請求項31に記載の加湿器。
【請求項33】
前記コネクタが、接続用栓を備えており、
前記接続用栓と前記外側チューブとの間の封止された接続を形成するように構成された封止チューブをさらに備える請求項32に記載の加湿器。
【請求項34】
前記コネクタが、液体供給源から液体を受け入れるように構成された液体入口栓を備える、請求項32または33に記載の加湿器。
【請求項35】
前記液体入口栓に接続された液体供給チューブをさらに備える請求項34に記載の加湿器。
【請求項36】
前記コネクタが、前記コネクタを通って前記液体入口に至る前記第1の電源リードを封止するように構成された封止コネクタを備える、請求項32から35のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項37】
前記第1の電気的コネクタが、圧着コネクタである、請求項31から36のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項38】
前記多孔質構造体および前記外側チューブがそれぞれ細長く、前記多孔質構造体の前記蒸気出口が、前記外側チューブの開放端部によって加湿しようとする呼吸に適したガスの流れに曝されるように構成されている、請求項31から37のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項39】
前記多孔質構造体の前記蒸気出口が、前記外側チューブを越えて延在する、請求項38に記載の加湿器。
【請求項40】
前記第2の電気的コネクタが、圧着コネクタである、請求項38または39に記載の加湿器。
【請求項41】
前記多孔質構造体が、円筒形状を有する、請求項31から40のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項42】
前記多孔質構造体が、先細り形状を有する、請求項31から40のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項43】
前記多孔質構造体が、前記液体入口における直径よりも前記蒸気出口における直径が大きい、請求項42に記載の加湿器。
【請求項44】
前記多孔質構造体が、開放気孔金属発泡体から形成される、請求項31から43のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項45】
前記金属が、クロム合金を含む、請求項44に記載の加湿器。
【請求項46】
クロム合金がMCrAlXを含み、Mが、少なくとも約50質量%を占める1つまたは複数のニッケル(Ni)、コバルト(Co)、または鉄(Fe)であり、クロム(Cr)が約8質量%から35質量%の間を占め、アルミニウム(Al)が0質量%を超え、約8質量%未満を占め、Xが、約25質量%未満を占めると共に、モリブデン(Mo)、レニウム(Re)、ルテニウム(Ru)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、ホウ素(B)、炭素(C)、ケイ素(Si)、イットリウム(Y)、およびハフニウム(Hf)を含むゼロ個またはそれ以上の他の元素を含む、請求項45に記載の加湿器。
【請求項47】
前記金属発泡体が、開放気泡ポリウレタン発泡体などのポリマー発泡体の熱分解若しくは金属化、又はその両方によって形成される、請求項44から46のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項48】
前記金属発泡体が、90%以上、例えば、約95%の開放気孔容積を有する、請求項44から47のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項49】
前記金属発泡体の気孔サイズが、約0.1から2mmまで、例えば、約0.4mmなど、約0.2から1mmまでである、請求項44から48のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項50】
前記多孔質構造体が、繊維の本体部を備える、請求項31から43のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項51】
前記繊維の本体部が、麻、撚り、ニット、編組、織物、フェルト、またはテープ構造の形態で束ねられる、請求項50に記載の加湿器。
【請求項52】
前記繊維の本体部が、炭素含有量が約50%を超える炭素繊維を含む、請求項50または51に記載の加湿器。
【請求項53】
前記炭素繊維が、ポリアクリルニトリルの前駆体、レイヨン、およびピッチのうちの少なくとも1つを有する、請求項52に記載の加湿器。
【請求項54】
前記炭素繊維が、約20ミクロン未満、例えば、約5から7ミクロンまでの直径を有する、請求項52または53に記載の加湿器。
【請求項55】
前記多孔質構造体が、炭化ケイ素、窒化チタン、または熱分解炭素などのセラミック材料から形成される、請求項31から43のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項56】
前記多孔質構造体が、実質的に均一な気孔率を有する、請求項31から55のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項57】
前記多孔質構造体が、その長さ若しくは直径、又はその両方に沿って変化する気孔率を有する、請求項31から55のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項58】
前記多孔質構造体が、約1から5mmの間、例えば、約2mmの直径を有する、請求項31から57のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項59】
前記多孔質構造体が、約20から200mmの間、例えば、約100mmの長さを有する、請求項31から58のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項60】
前記多孔質構造体が、約10から4000mm3の間、例えば、約314mm3などの約15から500mm3までの容積を有する、請求項31から59のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項61】
前記外側チューブが、電気的絶縁性および断熱性のある材料から形成される、請求項31から60のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項62】
前記外側チューブが、アルミナまたは石英ガラスから形成される、請求項61に記載の加湿器。
【請求項63】
前記外側チューブが、ヒートシュリンクまたはシリコーンゴムなどのポリマーから形成される、請求項61に記載の加湿器。
【請求項64】
空気送達チューブと、前記空気送達チューブ内に前記加湿器を装着するための装着構造体と、をさらに備える請求項31から63のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項65】
前記装着構造体が、前記空気送達チューブの内壁から間隔をあけて前記加湿器を配置するように構成される、請求項64に記載の加湿器。
【請求項66】
前記装着構造体が、前記空気送達チューブの長手方向軸に実質的に平行に前記加湿器を装着するように構成されたコイル構造体を含む、請求項64または65に記載の加湿器。
【請求項67】
前記コイル構造体が、前記空気送達チューブを通って流れる空気を加熱するように構成された抵抗加熱器を備える、請求項66に記載の加湿器。
【請求項68】
液体を前記液体入口に供給するように構成された液体供給源をさらに備える請求項31から67のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項69】
前記液体供給源が、マイクロポンプまたは圧電ポンプを備える、請求項68に記載の加湿器。
【請求項70】
前記液体供給源が、重力送り装置を備える、請求項68に記載の加湿器。
【請求項71】
前記液体供給源が、約2〜10ml/分、例えば、約4〜5ml/分など、約2〜6ml/分の液体を送達するように構成されている、請求項68から70のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項72】
前記液体供給源が、水を供給するように構成されている、請求項68から71のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項73】
前記電圧を前記多孔質構造体にかけるように構成された電源をさらに備える請求項31から72のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項74】
前記電源を制御するように構成されたコントローラをさらに備える請求項73に記載の加湿器。
【請求項75】
前記コントローラは、患者の呼吸周期の吸息相の間にのみ蒸気が送達されるように前記電源を制御する請求項74に記載の加湿器。
【請求項76】
呼吸に適したガスの流れを患者に送達するための呼吸装置であって、
前記呼吸に適したガスの流れを発生させるように構成された流動発生器と、
前記呼吸に適したガスの流れを加湿するように構成された請求項31から75のいずれか一項に記載の加湿器と
を備える呼吸装置。
【請求項77】
前記流動発生器が、約4から28cm H2Oまでの圧力で前記呼吸に適したガスの流れを発生させるように構成されている、請求項76に記載の呼吸装置。
【請求項78】
前記流動発生器が、約100から180L/分の間の呼吸に適したガスの流れを発生させるように構成されている、請求項76または77に記載の呼吸装置。
【請求項79】
前記流動発生器に入る周囲ガスの温度、前記周囲ガスの相対湿度、前記周囲ガスの絶対湿度、前記呼吸に適したガスの流れの温度、前記呼吸に適したガスの加湿された流れの温度、前記呼吸に適したガスの加湿された流れの相対湿度、前記呼吸に適したガスの流れの絶対湿度、前記呼吸に適したガスの流れの圧力、および前記呼吸に適したガスの流れの流量を検出するように構成された少なくとも1つのセンサーをさらに備える請求項76から78のいずれか一項に記載の呼吸装置。
【請求項80】
少なくとも1つのセンサーから信号を受信するように構成されていると共に、前記加湿器を制御して前記呼吸に適したガスの加湿された流れを所定の温度および所定の相対湿度で供給するように構成されたコントローラをさらに備える請求項79に記載の呼吸装置。
【請求項81】
前記呼吸装置の前記コントローラが、前記流動発生器および前記加湿器の電源を制御するように構成されている、請求項80に記載の呼吸装置。
【請求項82】
前記加湿器が、前記流動発生器と、前記患者の気道と一緒になって封止するように構成された患者インターフェースとの間の送達チューブ内に配設される、請求項76から81のいずれか一項に記載の呼吸装置。
【請求項83】
中を通過する液体を実質的に蒸発させる発熱体として機能するように構成された熱伝導性材料の多孔質構造体
を備える加湿器。
【請求項84】
前記多孔質構造体が、中にある前記液体の少なくとも一部を蒸発させるための抵抗加熱器として機能する、請求項83に記載の加湿器。
【請求項85】
前記多孔質構造体が、電気的抵抗性材料から形成される、請求項83または84に記載の加湿器。
【請求項86】
電源と、
液体供給源と連通するように適合された液体入口および加湿されるガス流と連通する蒸気出口を有する熱伝導性材料の多孔質構造体と、
を備え、
前記多孔質構造体が前記電源に接続されており、これにより、前記多孔質構造体を加熱器として機能させ、前記多孔質構造体内の液体を前記蒸気出口の方へ移動するにつれて蒸発させる、
加湿器。
【請求項87】
呼吸ガス用の加湿器である請求項83から86のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項88】
前記多孔質構造体が、開放気孔金属発泡体の本体部を備える、請求項83から87のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項89】
前記多孔質構造体が、繊維の本体部を備える、請求項83から87のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項90】
前記繊維の本体部が、麻長繊維、撚り、ニット、編組、織物、またはテープ構造の形態で束ねられる、請求項89に記載の加湿器。
【請求項91】
前記繊維の本体部が、炭素繊維を含む、請求項89または90に記載の加湿器。
【請求項92】
液体および蒸気を前記多孔質構造体内に封じ込めるために前記多孔質構造体の少なくとも一部を囲む囲みチューブをさらに備える請求項83から91のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項93】
前記多孔質構造体および前記チューブがそれぞれ細長く、前記多孔質構造体の蒸気出口が、前記チューブの開放端部によって加湿しようとするガス流に曝される、請求項92に記載の加湿器。
【請求項94】
前記多孔質構造体の前記蒸気出口が、前記囲みチューブを越えて延在する、請求項92または93に記載の加湿器。
【請求項95】
空気送達チューブ内に装着されるのに適しており、且つ、その配置構成が、前記空気送達チューブ内に前記加湿器を装着するための装着構造体をさらに備える、請求項83から94のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項96】
前記装着構造体が、前記空気送達チューブの内壁から間隔をあけて前記加湿器を配置するように構成される、請求項95に記載の加湿器。
【請求項97】
前記装着構造体が、前記空気送達チューブの長手方向軸に実質的に平行に前記加湿器を装着するように構成されたコイル構造体を含む、請求項95または96に記載の加湿器。
【請求項98】
前記コイル構造体が、前記空気送達チューブを通って流れる空気を加熱するための抵抗加熱器として機能するようにさらに構成される、請求項97に記載の加湿器。
【請求項99】
供給手段と、
蒸気発生器と、
を備え、
前記供給手段が、前記蒸気発生器に必要なときに水供給源から一定量の水を供給するように構成され、前記蒸気発生器が、前記一定量の水を蒸気に実質的に転換し、前記蒸気が、呼吸ガス流れ経路内に供給されて患者に送達される、
加湿器。
【請求項100】
前記蒸気発生器が、前記一定量の水が中を通る熱伝導性材料の多孔質構造体を備える、請求項99に記載の加湿器。
【請求項101】
前記蒸気発生器が、前記一定量の水が中を通る熱伝導性材料の繊維質構造を備える、請求項99に記載の加湿器。
【請求項102】
前記繊維質構造が、束ねられた炭素繊維を備える、請求項101に記載の加湿器。
【請求項103】
前記呼吸空気流が、予熱される、請求項99から102のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項104】
前記供給手段が、一定量の水を前記蒸気発生器にくみ上げるように構成されたポンプである、請求項99から103のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項105】
前記蒸気が、前記患者の呼吸周期のうちの吸息相の間だけ送達される、請求項99から104のいずれか一項に記載の加湿器。
【請求項106】
呼吸に適したガスの流れを加湿する方法であって、
熱伝導性及び電気的抵抗性のある材料からなる多孔質構造体の入口に液体を送るステップと、
電流を前記多孔質構造体中に流して前記液体を蒸発させるステップと、
前記多孔質構造体の出口を前記呼吸に適したガスの流れに曝して前記呼吸に適したガスの流れを加湿するステップと、
を含む方法。
【請求項107】
前記多孔質構造体の前記入口を前記呼吸に適したガスの流れから封止するステップをさらに含む請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記液体を送るステップが、前記液体をポンプでくみ上げるステップを含む、請求項106または107に記載の方法。
【請求項109】
前記液体を送るステップが、前記液体を重力で送るステップを含む、請求項106または107に記載の方法。
【請求項110】
前記呼吸に適したガスの流れを形成するために使用されるガスの周囲温度、前記呼吸に適したガスの流れを形成するために使用される前記ガスの相対湿度、前記呼吸に適したガスの流れを形成するために使用される前記ガスの絶対湿度、前記呼吸に適したガスの流れの圧力、および前記呼吸に適したガスの流れの量のうちの少なくとも1つを決定するステップと、
前記電流、前記多孔質構造体の前記入口への前記液体の供給、および、前記呼吸に適したガスの流量のうちの少なくとも1つを制御し、それにより、前記呼吸に適した加湿された流れに所定の相対湿度、所定の絶対湿度、および所定の温度のうちの少なくとも1つをもたらすステップと、
をさらに含む請求項106から109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記呼吸に適したガスの流れを前記多孔質構造体の前記出口に触れさせる前に前記呼吸に適したガスの流れを加熱するステップをさらに含む請求項106から110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
多孔質構造体の前記入口に前記液体を送るステップが、約2〜10ml/分、例えば、約4〜5ml/分など、約2〜6ml/分の液体を送るステップを含む、請求項106から111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
前記電流を前記多孔質構造体に流すステップが、約12Vから24Vの間の電圧を前記多孔質構造体に印加する、請求項106から112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
前記多孔質構造体の前記出口を前記呼吸に適したガスの流れに曝すステップが、前記出口を約100から180L/分の間の呼吸に適したガスの流れに曝すステップを含む、請求項106から113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記多孔質構造体の前記出口を前記呼吸に適したガスの流れに曝すステップが、前記出口を約4cm H2Oから28cm H2Oの間の圧力の呼吸可能ガスの流れに曝すステップを含む、請求項106から114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
複数のループまたは花弁を備える呼吸デバイス内の空気流を加熱するように構成された空気加熱器コイルであって、それぞれのループまたは花弁が隣接するループもしくは花弁とオーバーラップし、前記呼吸デバイス内の空気流経路の断面領域の実質的すべてまたは大半を覆うように構成されたロゼット構成を形成するように配置構成されている空気加熱器コイル。
【請求項117】
前記呼吸デバイスが、流動発生器、加湿器、空気送達チューブ、患者インターフェース、およびこのような構成要素間に結合されるコネクタのうちの少なくとも1つを1つまたは複数備え、前記空気加熱器が、前記構成要素のうちの少なくとも1つに配置される、請求項116に記載の空気加熱器。
【請求項118】
前記複数のループまたは花弁が、抵抗線から形成される、請求項116から117のいずれか一項に記載の空気加熱器。
【請求項119】
呼吸デバイス内の空気流を加熱する方法であって、
請求項116から118のいずれか一項に記載の空気加熱器を前記呼吸デバイスの1つの構成要素内に挿入するステップと、前記空気加熱器に電流を流して前記空気加熱器を所望の温度まで加熱するステップと、
を含む方法。
【請求項120】
患者インターフェースに供給される所定のレベルの湿度を与えるように加湿器を制御する方法であって、
周囲絶対湿度を決定するステップと、
呼吸に適したガスの流れに加えられる液体の必要量を計算するステップと、
前記必要量の液体を蒸発させるために必要なエネルギーの量を計算するステップと、
前記必要量の液体を多孔質発熱体に送達するように給水ユニットを制御するステップと、
前記多孔質発熱体に、前記必要量の液体を蒸発させて前記必要量の液体を前記呼吸に適したガスの流れに送達できる前記量のエネルギーを送るステップと、
を含む方法。
【請求項121】
所定のレベルの湿度で患者の呼吸器疾患を治療する方法であって、
空気または呼吸に適したガスの供給を患者に対して行うステップと、
患者への呼吸ガスの空気流量を決定するステップと、
空気もしくは呼吸に適したガスの前記供給を前記所定の湿度レベルまで加湿するのに必要な水の量を決定するステップと、
前記必要な所定のレベルの湿度を与えるために必要なエネルギーの前記量を決定するステップと、
患者の呼吸周期の相を決定するステップと、
前記一定量の水を加熱して、一定量の蒸気を発生させるステップと、
前記一定量の蒸気を患者の前記呼吸周期の一部の間に患者への空気もしくは呼吸に適したガスの供給源に送達するステップと
を含む方法。
【請求項122】
患者の前記呼吸周期の前記一部が、患者の前記呼吸周期の吸息相である、請求項121に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりそれぞれの全内容が本明細書に組み込まれている、2011年1月24日に出願された豪州仮出願第2011900214号および2011年5月20日に出願された豪州仮出願第2011901960号の優先権を主張するものである。
【0002】
本技術は、患者換気で使用するための、例えば、持続的気道陽圧法(CPAP)もしくは非侵襲陽圧換気(NIPPV)による睡眠呼吸障害(SDB)の治療、または他の呼吸器疾患の治療のための、加湿器および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
SDBのCPAP治療は、導管およびマスクを使用して、加圧された呼吸に適したガス、通常は空気を患者の気道に送達することを伴う。CPAPに使用されるガス圧力は、通常、患者の要件に応じて、最大180L/分(マスクのところで測定)までの流量で、4cm H2Oから28cm H2Oまでの範囲内にある。加圧ガスは、患者の気道のための空気スプリント(pneumatic splint)として働き、特に呼吸の吸息相中に、気道がつぶれるのを防ぐ。
【0004】
CPAP装置は、空気などの加圧呼吸ガスを、鼻もしくは口鼻マスク、または鼻クッションもしくは鼻ピローの配置構成などの、患者インターフェースに至る空気送達チューブを介して患者に供給するための流動発生器またはブロワーを備える。
【0005】
CPAP機械は、加湿デバイスを、流動発生器とは別に、または流動発生器と一体化して、組み込むものが知られている。流動発生器/加湿器ユニットの一例は、本発明の出願人によって販売されているH5i加湿器を備えるResMed(登録商標)S9である。このような加湿器の容積は、水供給源を加熱するために大きな表面積を必要とするため比較的大きく、例えば、1680000mm3(1,680ml)の近似的容積をとる。
【0006】
給気の加湿は、通常、加熱貯水槽内の水体の表面上に流動発生器から出る空気を通すことによって実施される。しかし、このような加湿器は、扱いにくく、溢れを生じがちであり、作動させてから加湿レベルを調整するまでに比較的時間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願第2008/0105257A1号
【特許文献2】米国特許出願第2011/0023874A1号
【特許文献3】米国特許出願第2009/0223514A1号
【特許文献4】米国特許出願第2010/0319697号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術の一態様は、加湿器に関する。本技術はまた、例えば、呼吸器疾患の患者治療用の呼吸ガスを加湿するのに適した方法にも関する。加湿装置および方法は、呼吸ガスに供給するための液体を急速蒸発させるように構成されている。
【0009】
本技術の別の態様は、患者治療用の呼吸ガスに、蒸発させて供給するための少量の液体を有する加湿器に関する。いくつかの例では、加湿器の容積は、約19000mm3(19ml)から190000mm3(190ml)の間である。したがって、加湿器の容積は、現行の加湿器に比べて、約1〜12%など、20%小さいものとしてもよい。
【0010】
本技術のさらなる態様は、低速で、例えば、0〜10ml/分、好ましくは、0〜6ml/分、より好ましくは0〜1.5ml/分の速度で水を蒸発させる加湿器に関する。
【0011】
本技術のさらなる態様は、例えば、0〜10ml、好ましくは、0〜6ml、より好ましくは0〜1.5mlの少量の水を蒸発させる加湿器に関する。
【0012】
いくつかの例では、水の量を制御して、加湿器によって送達される加湿レベルを制御する。いくつかの例では、水を蒸発させる電力を制御して、加湿器によって送達される加湿レベルを制御する。
【0013】
本技術のさらに別の態様は、液体、例えば、中を通過する水を実質的に蒸発させるための発熱体として働くように構成された熱伝導性材料の多孔質構造体を備える加湿器構成要素に関する。いくつかの例では、多孔質構造体は、金属発泡体などの導電性材料であり、この中を電流と水とが通り、多孔質構造体が抵抗加熱器として働き、中に入っている水の少なくとも一部を蒸発させる。
【0014】
本技術のさらなる態様は、加湿器に関し、この加湿器は、水供給源、電源、ならびに水供給源と連通する水入口および加湿されるガス流と連通する蒸気出口を有する熱伝導性材料の多孔質構造体を備え、多孔質構造体は電源に接続されており、これにより、多孔質構造体は加熱器として働き多孔質構造体内の水を蒸気出口の方へ移動するにつれて蒸発させる。いくつかの例では、加湿器は、呼吸ガス用の加湿器である。
【0015】
本技術の別の態様は、加湿器に関し、この加湿器は、水供給源、一定量の水を供給するための手段、および蒸気発生器を備え、供給手段は、蒸気発生器に必要なときに水供給源から一定量の水を供給するように構成され、蒸気発生器は、その一定量の水を蒸気に実質的に転換し、蒸気は呼吸ガス流れ経路内に供給され、患者に送達される。蒸気発生器は、給水が中を通る熱伝導性材料の多孔質構造体を備えることができる。
【0016】
いくつかの例では、多孔質構造体は、開放気孔金属発泡体または他の電気的抵抗性および/または熱伝導性のある材料の本体部を備える。多孔質構造体は、中に流体を通せる複数の気孔を有する構造であると考えられる。気孔のサイズの例は、約0.1から2mmまでの孔径、例えば、約0.2から1.0mmまで、例えば約0.4mmなどの口径とすることができる。
【0017】
発泡体用の金属の例として、クロム合金などの超合金が挙げられる。例示的なクロム合金はMCrAlXを含み、Mは、少なくとも約50質量%を占めるニッケル(Ni)、コバルト(Co)、または鉄(Fe)のうちの1つまたは複数であり、クロム(Cr)は8質量%から35質量%の間を占め、アルミニウム(Al)は0質量%を超え、約8質量%未満を占め、Xは約25質量%未満を占め、Xは限定はしないが、モリブデン(Mo)、レニウム(Re)、ルテニウム(Ru)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、ホウ素(B)、炭素(C)、ケイ素(Si)、イットリウム(Y)、およびハフニウム(Hf)を含む、ゼロ個またはそれ以上の他の元素からなる。別の例示的なクロム合金は、ニッケルクロム合金またはInconel(登録商標)合金である。他の好適な材料は、炭化ケイ素、窒化チタン、または熱分解炭素などの炭素などの多孔質セラミック材料を含むものとしてもよい。
【0018】
本技術のさらに別の態様によれば、多孔質構造体化蒸気発生器は、電気的抵抗性および/または熱伝導性を有する繊維性材料を備えることができる。繊維の本体部は、麻、撚り、ニット、編組、フェルト、織物、またはテープ構造を形成するグループに束ねることが好ましい。複数の開口、または気孔を有する束ねられた繊維性構造は、流体を中に通すことができる。繊維性材料の例として、炭素含有量が約50%を超え、ポリアクリルニトリル(PAN)の前駆体、レイヨン、またはピッチを有する炭素繊維が挙げられる。炭素繊維の直径は、20ミクロン未満、例えば、約5から7ミクロンまでとすることができる。
【0019】
本技術のさらに別の態様は、水および水蒸気を多孔質構造体内に封じ込めるための多孔質構造体の少なくとも一部を囲むチューブを備える加湿器に関する。多孔質構造体およびチューブは、それぞれ、細長く、多孔質構造体の蒸気出口端部は、チューブの開放端部によって加湿しようとするガス流に曝されうる。一例では、多孔質構造体の蒸気出口端部は、囲みチューブを越えて延在する。
【0020】
本技術のさらなる態様は、空気送達チューブ内に装着するのに適した加湿器に関し、その配置構成は、空気送達チューブ内に加湿器を装着するための装着構造体をさらに備える。装着構造体は、空気送達チューブの内壁から間隔をあけて加湿器を配置するように構成されうる。装着構造体は、空気送達チューブ内の中心位置において加湿器を支持し、配置することができる。いくつかの例では、装着構造体は、空気送達チューブの長手方向軸に実質的に平行に加湿器を装着するように構成された「ヤマアラシ」コイル構造体などのコイル構造体を含むものとしてもよい。
【0021】
本技術の一例によれば、加湿器は、液体入口および蒸気出口を有する多孔質構造体を通過する液体を実質的に蒸発させるように構成された電気的抵抗性および熱伝導性のある材料の多孔質構造体を含んだ発熱体と、液体および蒸気を多孔質構造体内に封じ込めるために多孔質構造体の少なくとも一部を囲む外側チューブと、第1の電気的コネクタによって液体入口に接続されている第1の電源リードと、第2の電気的コネクタによって蒸気出口に接続されている第2の電源リードとを備え、第1の電源リードおよび第2の電源リードは、多孔質構造体に電圧を印加するように構成されている。
【0022】
本技術の別の態様は、空気流を加熱するように適合された空気加熱器コイルを備える呼吸デバイスおよび方法に関する。好ましくは、空気加熱器コイルは、空気流経路の実質的にすべてまたは大半を覆うように構成されている。空気コイル加熱器は、流動発生器、加湿器、患者インターフェース、空気送達チューブ、および/またはそのようなデバイス間の任意の接続点に配置されうる。
【0023】
本技術のさらなる態様によれば、空気加熱器コイルは、空気流がその流れの何らかの段階でヒーティングワイヤの少なくとも一部に近接近することを確実にするように複数のオフセットされた、またはオーバーラップするループもしくは「花弁」を備えて空気流経路の断面領域の実質的にすべてまたは大半を覆うように構造化されたロゼット構成を形成する。
【0024】
本技術の別の例によれば、呼吸に適したガスの流れを患者に送達するための呼吸装置は、呼吸に適したガスの流れを発生させるように構成された流動発生器と、本技術による加湿器とを備える。
【0025】
本技術のいくつかの形態の別の態様は、加湿された空気で呼吸器疾患を治療するための方法に関する。本技術のいくつかの形態の別の態様は、空気を加湿する方法に関する。本技術のいくつかの形態の別の態様は、加湿器構成要素を操作する方法に関する。本技術のいくつかの形態の別の態様は、加湿器を操作する方法に関する。
【0026】
本発明の他の態様および例は、以下の説明および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。さらなる態様について、以下で説明する。
【0027】
態様1によれば、加湿器は、電気的抵抗性および熱伝導性のある材料からなる多孔質構造体を備え、前記多孔質構造体を通過する液体を実質的に蒸発させるように構成された発熱体であって、前記多孔質構造体が液体入口および蒸気出口を有する、発熱体と、液体および蒸気を多孔質構造体内に封じ込めるために多孔質構造体の少なくとも一部を囲む外側チューブと、第1の電気的コネクタによって液体入口に接続されている第1の電源リードと、第2の電気的コネクタによって蒸気出口に接続されている第2の電源リードと、を備え、第1の電源リードおよび第2の電源リードは、多孔質構造体に電圧を印加するように構成されている。
【0028】
2. 液体の供給源から液体入口に液体を送達するように構成されたコネクタをさらに備える態様1に記載の加湿器。
【0029】
3. コネクタは接続用栓を備えており、接続用栓と外側チューブとの間の封止接続を形成するように構成された封止チューブをさらに備える態様2に記載の加湿器。
【0030】
4. コネクタは液体供給源から液体を受け入れるように構成された液体入口栓を備える態様2または3に記載の加湿器。
【0031】
5. 液体入口栓に接続された液体供給チューブをさらに備える態様4に記載の加湿器。
【0032】
6. コネクタは、コネクタを通って液体入口に至る第1の電源リードを封止するように構成された封止コネクタを備える態様2から5のいずれか1つに記載の加湿器。
【0033】
7. 第1の電気的コネクタは、圧着コネクタである態様1から6のいずれか1つに記載の加湿器。
【0034】
8. 多孔質構造体および外側チューブはそれぞれ細長く、多孔質構造体の蒸気出口は、外側チューブの開放端部によって加湿しようとする呼吸に適したガスの流れに曝されるように構成されている態様1から7のいずれか1つに記載の加湿器。
【0035】
9. 多孔質構造体の蒸気出口は、囲みチューブを越えて延在する態様8に記載の加湿器。
【0036】
10. 第2の電気的コネクタは、圧着コネクタである態様8または9に記載の加湿器。
【0037】
11. 多孔質構造体は、円筒形状を有する態様1から10のいずれか1つに記載の加湿器。
【0038】
12. 多孔質構造体は、先細り形状を有する態様1から10のいずれか1つに記載の加湿器。
【0039】
13. 多孔質構造体は、液体入口における直径よりも蒸気出口における直径が大きい態様12に記載の加湿器。
【0040】
14. 多孔質構造体は、開放気孔金属発泡体から形成される態様1から13のいずれか1つに記載の加湿器。
【0041】
15. 金属は、クロム合金を含む態様14に記載の加湿器。
【0042】
16. クロム合金はMCrAlXを含み、Mは、少なくとも約50質量%を占める1つまたは複数のニッケル(Ni)、コバルト(Co)、または鉄(Fe)であり、クロム(Cr)は約8質量%から35質量%の間を占め、アルミニウム(Al)は0質量%を超え、約8質量%未満を占め、Xは、約25質量%未満を占めると共に、モリブデン(Mo)、レニウム(Re)、ルテニウム(Ru)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、ホウ素(B)、炭素(C)、ケイ素(Si)、イットリウム(Y)、およびハフニウム(Hf)を含むゼロ個またはそれ以上の他の元素を含む態様15に記載の加湿器。
【0043】
17. 金属発泡体は、開放気泡ポリウレタン発泡体などのポリマー発泡体の熱分解若しくは金属化、又はその両方によって形成される態様14から16のいずれか1つに記載の加湿器。
【0044】
18. 金属発泡体は、90%以上、例えば、約95%の開放気孔容積を有する態様14から17のいずれか1つに記載の加湿器。
【0045】
19. 金属発泡体の気孔サイズは、約0.1から2mmまで、例えば、約0.4mmなど、約0.2から1mmまでである態様14から18のいずれか1つに記載の加湿器。
【0046】
20. 多孔質構造体は、繊維の本体部を備える態様1から13のいずれか1つに記載の加湿器。
【0047】
21. 繊維の本体部は、麻長繊維、撚り、ニット、編組、織物、またはテープ構造の形態で束ねられる態様20に記載の加湿器。
【0048】
22. 繊維の本体部は、炭素含有量が約50%を超える炭素繊維を含む態様20または21に記載の加湿器。
【0049】
23. 炭素繊維は、ポリアクリルニトリルの前駆体、レイヨン、およびピッチのうちの少なくとも1つを有する態様22に記載の加湿器。
【0050】
24. 炭素繊維は、約20ミクロン未満、例えば、約5から7ミクロンまでの直径を有する態様22または23に記載の加湿器。
【0051】
25. 多孔質構造体は、炭化ケイ素、窒化チタン、または熱分解炭素などのセラミック材料から形成される態様1から13のいずれか1つに記載の加湿器。
【0052】
26. 多孔質構造体は、実質的に均一な気孔率を有する態様1から25のいずれか1つに記載の加湿器。
【0053】
27. 多孔質構造体は、その長さ若しくは直径、又はその両方に沿って変化する気孔率を有する態様1から25のいずれか1つに記載の加湿器。
【0054】
28. 多孔質構造体は、約1から5mmの間、例えば、約2mmの直径を有する態様1から27のいずれか1つに記載の加湿器。
【0055】
29. 多孔質構造体は、約20から200mmの間、例えば、約100mmの長さを有する態様1から28のいずれか1つに記載の加湿器。
【0056】
30. 多孔質構造体は、約10から4000mm3の間、例えば、約314mm3などの約15から500mm3までの容積を有する態様1から29のいずれか1つに記載の加湿器。
【0057】
31. 外側チューブは、電気的絶縁性および断熱性のある材料から形成される態様1から30のいずれか1つに記載の加湿器。
【0058】
32. 外側チューブは、アルミナまたは石英ガラスから形成される態様31に記載の加湿器。
【0059】
33. 外側チューブは、ヒートシュリンクまたはシリコーンゴムなどのポリマーから形成される態様31に記載の加湿器。
【0060】
34. 空気送達チューブと空気送達チューブ内に加湿器を装着するための装着構造体とをさらに備える態様1から33のいずれか1つに記載の加湿器。
【0061】
35. 装着構造体は、空気送達チューブの内壁から間隔をあけて加湿器を配置するように構成される態様34に記載の加湿器。
【0062】
36. 装着構造体は、空気送達チューブの長手方向軸に実質的に平行に加湿器を装着するように構成されたコイル構造体を含む態様34または態様35に記載の加湿器。
【0063】
37. コイル構造体は、空気送達チューブを通って流れる空気を加熱するように構成された抵抗加熱器を備える態様15に記載の加湿器。
【0064】
38. 液体を液体入口に供給するように構成された液体供給源をさらに備える態様1から37のいずれか1つに記載の加湿器。
【0065】
39. 液体供給源は、マイクロポンプまたは圧電ポンプを備える態様38に記載の加湿器。
【0066】
40. 液体供給源は、重力送り装置を備える態様38に記載の加湿器。
【0067】
41. 液体供給源は、約2〜10ml/分、例えば、約4〜5ml/分などの約2〜6ml/分の液体を送達するように構成されている態様38から40のいずれか1つに記載の加湿器。
【0068】
42. 液体供給源は、水を供給するように構成されている態様38から41のいずれか1つに記載の加湿器。
【0069】
43. 電圧を多孔質構造体にかけるように構成された電源をさらに備える態様1から42のいずれか1つに記載の加湿器。
【0070】
44. 電源を制御するように構成されたコントローラをさらに備える態様43に記載の加湿器。
【0071】
45. コントローラは、患者の呼吸周期の吸息相の間にのみ蒸気が送達されるように電源を制御する態様44に記載の加湿器。
【0072】
46. 呼吸に適したガスの流れを患者に送達するための呼吸装置であって、
呼吸に適したガスの流れを発生させるように構成された流動発生器と、
【0073】
呼吸に適したガスの流れを加湿するように構成された態様1から45のいずれか1つに記載の加湿器と
を備える呼吸装置。
【0074】
47. 流動発生器は、約4から28cm H2Oの圧力で呼吸に適したガスの流れを発生させるように構成されている態様46に記載の呼吸装置。
【0075】
48. 流動発生器は、約100から180L/分の間の呼吸に適したガスの流れを発生させるように構成されている態様46または47に記載の呼吸装置。
【0076】
49. 流動発生器に入る周囲ガスの温度、周囲ガスの相対湿度、周囲ガスの絶対湿度、呼吸に適したガスの流れの温度、呼吸に適したガスの加湿された流れの温度、呼吸に適したガスの加湿された流れの相対湿度、呼吸に適したガスの流れの絶対湿度、呼吸に適したガスの流れの圧力、および呼吸に適したガスの流れの流量を検出するように構成された少なくとも1つのセンサーをさらに備える態様46から48のいずれか1つに記載の呼吸装置。
【0077】
50. 少なくとも1つのセンサーから信号を受信するように構成されていると共に、加湿器を制御して呼吸に適したガスの加湿された流れを所定の温度および所定の相対湿度で供給するように構成されたコントローラをさらに備える態様49に記載の呼吸装置。
【0078】
51. 呼吸装置のコントローラは、流動発生器および加湿器の電源を制御するように構成されている態様50に記載の呼吸装置。
【0079】
52. 加湿器は、流動発生器と患者の気道と一緒になって封止するように構成された患者インターフェースとの間の送達チューブ内に配設される態様46から51のいずれか1つに記載の呼吸装置。
【0080】
53. 加湿器は、流動発生器と患者の気道と一緒になって封止するように構成された患者インターフェースとの間の送達チューブ内に配設される態様46から51のいずれか1つに記載の呼吸装置。
【0081】
54. 中を通過する液体を実質的に蒸発させる発熱体として機能するように構成された熱伝導性材料の多孔質構造体を備える、加湿器。
【0082】
55. 多孔質構造体は、中にある液体の少なくとも一部を蒸発させるための抵抗加熱器として機能する態様54に記載の加湿器。
【0083】
56. 多孔質構造体は、電気的抵抗性材料から形成される態様54または55に記載の加湿器。
【0084】
57. 加湿器であって、電源と、液体供給源と連通するように適合された液体入口および加湿されるガス流と連通する蒸気出口を有する熱伝導性材料の多孔質構造体とを備え、多孔質構造体は電源に接続されており、これにより、多孔質構造体を加熱器として機能させ、多孔質構造体内の液体を蒸気出口の方へ移動するにつれて蒸発させる、加湿器。
【0085】
58. 加湿器は、呼吸ガス用の加湿器である態様54から57のいずれか1つに記載の加湿器。
【0086】
59. 多孔質構造体は、開放気孔金属発泡体の本体部または麻長繊維、撚り、ニット、編組、織物、またはテープ構造の形態で束ねられる繊維の本体部を備える態様54から58に記載の加湿器。
【0087】
61. 繊維の本体部は、炭素繊維を含む態様59または60に記載の加湿器。
【0088】
62. 加湿器は、液体および蒸気を多孔質構造体内に封じ込めるために多孔質構造体の少なくとも一部を囲むチューブをさらに備える態様53から61のいずれか1つに記載の加湿器。
【0089】
63. 多孔質構造体およびチューブは、それぞれ、細長く、多孔質構造体の蒸気出口は、チューブの開放端部を通して加湿されるガス流に曝される態様62に記載の加湿器。
【0090】
64. 多孔質構造体の蒸気出口は、囲みチューブを越えて延在する態様62または63に記載の加湿器。
【0091】
65. 加湿器は、空気送達チューブ内に装着されるのに適しており、且つ、その配置構成は、空気送達チューブ内に加湿器を装着するための装着構造体をさらに備える態様53から64のいずれか1つに記載の加湿器。
【0092】
66. 装着構造体は、空気送達チューブの内壁から間隔をあけて加湿器を配置するように構成される態様65に記載の加湿器。
【0093】
67. 装着構造体は、空気送達チューブの長手方向軸に実質的に平行に加湿器を装着するように構成されたコイル構造体を含む態様65または66に記載の加湿器。
【0094】
68. コイル構造体は、空気送達チューブを通って流れる空気を加熱するための抵抗加熱器として機能するようにさらに構成される態様67に記載の加湿器。
【0095】
69. 加湿器であって、供給手段と、蒸気発生器とを備え、供給手段は、蒸気発生器に必要なときに水供給源から一定量の水を供給するように構成され、蒸気発生器は、その一定量の水を蒸気に実質的に転換し、蒸気は呼吸ガス流れ経路内に供給され、患者に送達される、加湿器。
【0096】
70. 蒸気発生器は、給水が中を通る熱伝導性材料の多孔質構造体を備える態様69に記載の加湿器。
【0097】
71. 蒸気発生器は、給水が中を通る熱伝導性材料の繊維質構造を備える態様69に記載の加湿器。
【0098】
72. 繊維質構造は、束ねられた炭素繊維を備える態様71に記載の加湿器。
【0099】
73. 呼吸空気流は、予熱される態様69から72のいずれか1つに記載の加湿器。
【0100】
74. 供給手段は、一定量の水を蒸気発生器にくみ上げるように構成されたポンプである態様69から73のいずれか1つに記載の加湿器。
【0101】
75. 蒸気は、患者の呼吸周期のうちの吸息相の間だけ送達される態様69から74のいずれか1つに記載の加湿器。
【0102】
76. 呼吸に適したガスの流れを加湿する方法であって、熱伝導性及び電気的抵抗性のある材料からなる多孔質構造体の入口に液体を送るステップと、電流を多孔質構造体中に流して液体を蒸発させるステップと、多孔質構造体の出口を呼吸に適したガスの流れに曝して呼吸に適したガスの流れを加湿するステップとを含む方法。
【0103】
77. 多孔質構造体の入口を呼吸に適したガスの流れから封止するステップをさらに含む態様76に記載の方法。
【0104】
78. 液体を送るステップは、液体をポンプでくみ上げるステップを含む態様76または77に記載の方法。
【0105】
79. 液体を送るステップは、重力で液体を送るステップを含む態様76または77に記載の方法。
【0106】
80. 呼吸に適したガスの流れを形成するために使用されるガスの周囲温度、呼吸に適したガスの流れを形成するために使用されるガスの相対湿度、呼吸に適したガスの流れを形成するために使用されるガスの絶対湿度、呼吸に適したガスの流れの圧力、および/または呼吸に適したガスの流れの量のうちの少なくとも1つを決定するステップと、電流、多孔質構造体の入口への液体の供給、および呼吸に適したガスの流量のうちの少なくとも1つを制御し、それにより、呼吸に適したガスの加湿された流れに所定の相対湿度、絶対湿度、および温度のうちの少なくとも1つをもたらすステップとをさらに含む態様76から79のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
81. 呼吸に適したガスの流れを多孔質構造体の出口に触れさせる前に呼吸に適したガスの流れを加熱するステップをさらに含む態様76から80のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
82. 多孔質構造体の入口に液体を送るステップは、約2〜10ml/分、例えば、約4〜5ml/分などの約2〜6ml/分の液体を送るステップを含む態様76から81のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
83. 電流を多孔質構造体に流すステップは、約12Vから24Vの間の電圧を多孔質構造体に印加する態様76から82のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
84. 多孔質構造体の出口を呼吸に適したガスの流れに曝すステップは、この出口を約100から180L/分の間の呼吸に適したガスの流れに曝すステップを含む態様76から83のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
85. 多孔質構造体の出口を呼吸に適したガスの流れに曝すステップは、この出口を約4cm H2Oから28cm H2Oの間の圧力の呼吸に適したガスの流れに曝すステップを含む態様76から84のいずれか1つに記載の方法。
【0112】
86. 複数のループまたは花弁を備える呼吸デバイス内の空気流を加熱するように構成された空気加熱器コイルであって、それぞれのループまたは花弁は隣接するループもしくは花弁とオーバーラップし、呼吸デバイス内の空気流経路の断面領域の実質的すべてまたは大半を覆うように構成されたロゼット構成を形成するように配置構成されている、空気加熱器コイル。
【0113】
87. 呼吸デバイスは、流動発生器、加湿器、空気送達チューブ、患者インターフェース、およびこのような構成要素間に結合されるコネクタのうちの少なくとも1つを1つまたは複数備え、空気加熱器は、これらの構成要素のうちの少なくとも1つに配置される態様86に記載の空気加熱器。
【0114】
88. 複数のループまたは花弁は、抵抗線から形成される態様86から87のいずれか1つに記載の空気加熱器。
【0115】
89. 呼吸デバイス内の空気流を加熱する方法であって、
態様86から88のいずれか1つに記載の空気加熱器を呼吸デバイスの1つの構成要素内に挿入するステップと、空気加熱器に電流を流して空気加熱器を所望の温度まで加熱するステップとを含む方法。
【0116】
90. 患者インターフェースに供給される所定のレベルの湿度を与えるように加湿器を制御する方法であって、周囲絶対湿度を決定するステップと、呼吸に適したガスの流れに加えられる液体の必要量を計算するステップと、必要量の液体を蒸発させるために必要なエネルギーの量を計算するステップと、必要量の液体を多孔質発熱体に送達するように給水ユニットを制御するステップと、多孔質発熱体に、必要量の液体を蒸発させて必要量の液体を呼吸に適したガスの流れに送達できる量のエネルギーを送るステップとを含む方法。
【0117】
91. 所定のレベルの湿度で患者の呼吸器疾患を治療する方法であって、空気または呼吸に適したガスの供給を患者に対して行うステップと、患者への呼吸ガスの空気流量を決定するステップと、空気もしくは呼吸に適したガスの供給を所定の湿度レベルまで加湿するのに必要な水の量を決定するステップと、必要な所定のレベルの湿度を与えるために必要なエネルギーの量を決定するステップと、患者の呼吸周期の相を決定するステップと、その一定量の水を加熱して、一定量の蒸気を発生させるステップと、その一定量の蒸気を患者の呼吸周期の一部の間に患者への空気もしくは呼吸に適したガスの供給源に送達するステップとを含む方法。
【0118】
92. 患者の呼吸周期の一部は、患者の呼吸周期の吸息相である態様91に記載の方法。
【0119】
次に、本技術のさらなる例を添付図面を参照しつつ説明することにする。
【図面の簡単な説明】
【0120】
図1a】本技術による加湿器を組み込んだ呼吸装置の例の概略図である。
図1b】本技術による加湿器を組み込んだ呼吸装置の例の概略図である。
図1c】本技術による加湿器を組み込んだ呼吸装置の例の概略図である。
図2a】本技術の一態様による加湿器アセンブリの一例の概略斜視図である。
図2b】本技術の一態様による加湿器アセンブリの別の例の概略斜視図である。
図3a】本技術の一態様による例示的な金属発泡体材料の写真である。
図3b】本技術の一態様による例示的な束ねられた繊維材料の概略図である。
図4】本技術の一態様による呼吸装置の空気送達チューブ内に加湿器を装着するステップを示す縦断面図である。
図5図4の装着構造体の等軸測視図である。
図6a図4および図5の装着構造体の等軸測視図である。
図6b図6aの装着構造体の端面図である。
図6c図6aの装着構造体の側面図である。
図6d図6a図6cの装着構造体のコイルの寸法を示す図である。
図6e】本技術の別の例による装着構造体の側面図である。
図7】本技術の別の態様による加湿器の図である。
図8】装着構造体の図である。
図9】別の装着構造体の図である。
図10】本技術の一例による加湿器の動作モードを示す流れ図である。
図11】本技術の別の例による加湿器の動作モードを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0121】
本明細書では、「備える、含む(comprising)」という言い回しは、それの「オープン」の意味で、つまり、「含む、備える(including)」の意味で理解されるべきであり、したがって、それの「クローズド」の意味、つまり、「〜のみからなる(consisting only of)」の意味に限定されない。対応する意味は、出現する場所の対応する言い回し「備える、含む(comprise)」、「備えられる、含まれる(comprised)」、および「備える、含む(comprises)」に帰すべきである。
【0122】
図1aは、本技術の一例による加湿器を備える呼吸装置の概略図である。この装置は、陽圧の下で空気の供給を発生させるための流動発生器10と、流動発生器から出るガスの湿度を高めるための加湿器12と、空気送達チューブ16a、16bによって相互接続された、鼻もしくは口鼻マスクまたは鼻クッションまたは鼻ピローインターフェースなどの患者インターフェース14を備える。あるいは、加湿器12は、例えばResMed S9(商標)PAPシステムのように、送達チューブ16aの相互接続が必要でないように(図1bを参照)流動発生器10の出口に直接結合されるように構成されうる。さらに、図1cに例示されているように、また以下でさらに詳しく説明されているように、加湿器12は、相互接続チューブ16b内に組み込まれうる。この配置構成では、空気送達チューブ16b内に配置されている加湿器12への水の供給源(液体の供給源)を構成するために給水チューブ12bを有する水供給源(または水槽)12aが必要である。チューブ16a、16bは、例えば、約15mmから22mmまで、例えば、約12mm、13mm、14mm、15mm、19mmなど、約10mmから22mmまでの内径を有することができる。他の直径も可能であることは理解されるであろう。
【0123】
流動発生器10は、流動発生器の制御インターフェース(図示せず)からの入力および1つまたは複数のセンサー20a、20b、20cからの信号(複数可)を受け取り、流動発生器10および加湿器12の動作を制御するためのコントローラ18も備えることができる。センサー20a、20b、20cは、例えば、周囲の加湿されていない流れ、および加湿されている流れの特性を検出するため、温度センサー、圧力センサー、相対湿度センサー、絶対湿度センサー、および/または流量センサーのうちの1つまたは複数とすることができる。センサーは、周囲空気の温度を決定することができる。センサー20a、20b、20cは、図1aに示されているように加湿器12および/または患者インターフェース14など離れた場所に配置することができる。あるいは図1bに示されているように、センサー20a、20b、20cは、流動発生器10および/または加湿器12内に配置することができる。センサー20a、20b、20cの個数および配置は、異なる呼吸装置配置構成では異なることがあり、またセンサー20a、20b、20cは、流動発生器10および/または加湿器12および/または患者インターフェース14内に設けることができることは理解されるであろう。図1aから図1cに示されている個数よりも多い個数のセンサーを備えることができることも理解されるであろう。
【0124】
図2aは、破線で示されている隠された細部を含む、本技術の一例による加湿器アセンブリを例示している。
【0125】
加湿器アセンブリ12は、外側ハウジング、例えば、多孔質構造体24をきっちりと囲むチューブ26に収容された熱伝導性電気的抵抗性多孔質材料の概括的に多孔質の構造を備える。例示されているように、多孔質構造体24は、円筒形状を有することができるが、他の形状も、使用されうる。多孔質構造体24の1つの端部27は、図2aに示されているように、外側チューブ26の開放端を越えて延在しうる。
【0126】
コネクタ用器具28は、液体/水供給源(図示せず)から延びている液体供給チューブ32への接続のため、液体入口栓を形成するため、栓などの形態の液体(例えば、水)入口30を有する。水は、ポンプまたは重力送り装置または他の知られている水輸送手段などの供給源(図示せず)、およびコネクタ用器具28と外側チューブ26との間の封止接続を形成する封止チューブ36の接続のための封止チューブ接続栓34を使用して水供給チューブに供給されうる。コネクタ用器具28は、3方向または多方向コネクタ、例えば、YまたはT字形コネクタを備えることができる。コネクタ内の内部通路は、水を水入口栓30から栓34に流し、次いで、封止チューブ36に通し、多孔質構造体24に通すことができる。
【0127】
コネクタ用器具28は、導線39を加湿器に接続するための封止コネクタ35をさらに備える。導線39は、加湿器の端部から延在して電源に接続する第1の端部39aと外側チューブ26内の多孔質構造体24に接続される第2の端部39bとを有する。封止コネクタ35は、封止チューブ接続栓34と同じ軸上を通る導線39に封止され、導線39の第2の端部39bは、次いで、第1の電気的コネクタ33との接続、例えば圧着接続によって外側チューブ26内に配置されている多孔質構造体24の端部31に接続される。
【0128】
多孔質構造体24の他方の露出している端部27に、電源リード38を接続するための、圧着コネクタなどの第2の電気的コネクタ37との接続がある。導線39を有する電源リード38は、抵抗加熱器として動作するように多孔質構造体24に電圧を印加する。印加電圧は、約12Vまたは24VDCなどの低電圧DCであってもよく、例えば、流体発生器の電源から取り出される。あるいは、個別の電源を使用することもできる。AC電圧を使用できることも理解されるであろう。
【0129】
多孔質構造体24は、熱伝導性開放気孔材料からなり、水および/または水蒸気を中に通すことができる。多孔質材料は、圧力を加えることなく入口から出口へ、ポンプでくみ上げるか、または重力で送るなど、水を材料中に流して通すのに十分に多孔質である開放気孔領域を有する。多孔質構造体24の多孔質材料の一例を示す詳細図が、図3aおよび図3bに示されている。
【0130】
多孔質構造体24に対する例示的な材料は、材料の気孔内に入り込んだ水に対する抵抗加熱器として使用するのに適した熱伝導性および抵抗性を有する多孔質金属もしくはセラミック材料(例えば、炭化ケイ素または窒化チタン)を含みうる。金属、抵抗性のセラミックまたは炭素発泡体または繊維などの材料が適している場合もある。
【0131】
多孔質構造体用の例示的な材料は、オランダのRecemat International BV社から入手可能なような金属発泡体である。ニッケルクロムアルミニウムまたはInconel(登録商標)金属発泡体が、好適であることが判明している。発泡体用の金属の多の例として、クロム合金などの超合金が挙げられる。例示的なクロム合金はMCrAlXを含み、Mは、少なくとも約50質量%を占めるニッケル(Ni)、コバルト(Co)、または鉄(Fe)のうちの1つまたは複数であり、クロム(Cr)は約8質量%から35質量%を占め、アルミニウム(Al)は0質量%を超え、約8質量%未満を占め、Xは約25質量%未満を占め、Xは限定はしないが、モリブデン(Mo)、レニウム(Re)、ルテニウム(Ru)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、ホウ素(B)、炭素(C)、ケイ素(Si)、イットリウム(Y)、およびハフニウム(Hf)を含む、ゼロ個またはそれ以上の他の元素からなる。別の例示的なクロム合金は、ニッケルクロム合金またはInconel(登録商標)合金である。他の好適な材料は、炭化ケイ素、窒化チタン、または熱分解炭素などの炭素などの多孔質セラミック材料を含むものとしてもよい。十分な強度、耐腐食、耐滲出性、および適切な電気的抵抗性を持つ多の多孔質金属も使用することができる。
【0132】
例示的な金属発泡体は、開放気泡ポリウレタン発泡体などのポリマー発泡体の熱分解および/または金属化によって形成されるタイプのものであってもよい。金属発泡体は、約90%以上、例えば、約95%の開放気孔容積、および約0.1〜2mm、例えば、約0.4mmなど、約0.2〜1mmの気孔サイズを有することができる。
【0133】
多孔質構造体24の気孔率は、実質的に均一であるか、または円筒の長さおよび/または直径に沿って変化しうる。
【0134】
多孔質構造体24の電気的抵抗は、多孔質構造体24の幾何学的形状および材料タイプに依存する。所望の加湿能力を得るために必要な電力(つまり、水を蒸発させる処理能力)により、必要電圧が決定される。
【0135】
図2bは、熱伝導性および電気的抵抗性多孔質構造体25が繊維性材料、例えば、炭素繊維を含む代替的例を示している。この繊維は、麻、撚り、ニット、編組、フェルト、織物、またはテープ構造を形成するグループに束ねることが好ましい。複数の開口、または気孔を有する繊維性構造は、流体を中に通すことができる。繊維25の編み組まれた束の一例を示す詳細図が、図3bに示されている。繊維性材料の例として、炭素含有量が50%を超え、ポリアクリルニトリル(PAN)の前駆体、レイヨン、またはピッチを有する炭素繊維が挙げられる。炭素繊維の直径は、約20ミクロン未満、例えば、約5から7ミクロンまでとすることができる。
【0136】
約100L/分の流量の睡眠呼吸障害(SDB)の治療用の陽性気道圧(PAP)デバイスなどの呼吸装置のために空気の加湿を行うように適合された図2aおよび図2bの加湿器アセンブリにおいて、約0から10ml/分まで、例えば、2から5ml/分まで、または0から3ml/分までの加湿器水処理能力は、28℃の温度で約80%の相対湿度(RH)を達成するのに適切であることが判明している。これは、蒸発用に最大約240Wまでの電力を必要とする。あるいは、幾何学的形状が異なる場合には、異なる電力出力、例えば、最大約50Wまでの、最大約100Wまでの、または最大約200Wまでの電力出力を使用することができる。
【0137】
多くの医療加湿用途には、約0.5〜2ml/分など、より小さな水処理能力で十分である。
【0138】
図2aに示されている多孔質構造体の寸法は、直径約1mm〜5mmの範囲、例えば約2mm、および長さ約20mm〜200mmの範囲、例えば約100mmとすることができる。これは、多孔質構造体の体積範囲を約10mm3から4000mm3までの範囲内の、例えば、15mm3から500mm3までの範囲内の、例えば、314mm3など、15mm3から500mm3までの範囲内とする。
【0139】
多孔質構造体24、25を囲む外側チューブ26は、多孔質を通って移動する水を封じ込め、多孔質構造体のバイパスを改善するように多孔質構造体24、25をきっちり囲む。外側チューブ26は、電気的絶縁性、断熱性、熱衝撃抵抗性を有し、低い比熱容量を有する材料から形成されうる。アルミナもしくは石英ガラスなどのセラミックチューブを使用するか、あるいは、ヒートシュリンクもしくはシリコーンゴムチュービングなどのポリマーを多孔質構造体24、25の外面に施すことができる。他の形態では、外側チューブ26を使用する必要がない場合があり、例えば、多孔質構造体を他の何らかの容器内に配置することができる。
【0140】
動作時に、制御された水の流れは、供給源(これも図示せず)からコネクタ用器具28の水入口30への圧力の下で、供給手段(図示せず)、例えば、圧電ポンプなどのマイクロポンプによって供給することができる。供給手段は、所望の量の水を水入口30に送達するように構成されうる。この水の流れは、加湿器の多孔質構造体24、25の気孔構造内に入り、通され、また電流も多孔質構造体24、25の電気的抵抗性材料中に通される。多孔質構造体24、25の材料は、したがって、気孔構造と密に接触する、水の抵抗発熱装置として働き、水を水入口から加湿器の蒸気出口27に流れるときに加熱し、蒸発させる。そこで、蒸気が形成され、多孔質構造体24、25の蒸気出口27から追い出され、呼吸ガス流れ経路に送達される。蒸気出口27は、囲んでいる外側チューブ26の端部を越えて、空気送達チューブ内に貫入し、これにより、蒸気が呼吸ガス流れ経路内に送達され患者に供給される。
【0141】
図示されている一例において、多孔質構造体24、25は、水入口から蒸気出口に向かって直径が大きくなる先細り形状、例えば、円錐台の形状とすることができ、これにより水が蒸発するときに蒸気の膨張を補正する。この場合、外側チューブ26は、多孔質構造体24、25の形状に合うような対応する形をとる。
【0142】
開放度の高い領域があるため多孔質構造体24、25に水を押し通すのに比較的低い圧力が必要であり、また多孔質構造体24、25を通る電流を制御することによって加湿レベルを制御する場合に、外部の水のボトルまたは折り畳み可能な空気袋などの重力送り方式の水供給手段をポンプの代わりに使用することができる。多孔質構造体24、25の目詰まりを防ぐため、蒸溜水を使用するとよい。
【0143】
そこで、加湿器配置構成は、低い熱質量、したがって従来技術の水槽加湿配置構成と比較して高速な制御応答を有する比較的コンパクトで、効率的であり、容易に制御可能である加湿装置を形成することができる。熱遅れが短縮されると、加湿のより高速で正確な制御を行うことができる。
【0144】
いくつかの例では、加湿器は、水蒸気の量が患者への空気流量に依存するか、または比例するように制御されうる。それに加えて、または代替的に、呼吸周期の一部の間にのみ、例えば、患者の吸入と同期するパルス周期で蒸気が生成され、したがって、呼息時に加湿しないことによって必要な水量および電力を減らすことができる。したがって、より小さな水供給源または水槽を使用することができ、デバイスの電力効率および/または電池寿命が改善されうる。
【0145】
図7は、本技術の代替的例を示している。図示されているように、加湿器アセンブリ50は、熱伝導性電気的抵抗性多孔質材料の概して多孔質の構造体52を備える。加湿器50の配置構成は、この例の場合を除き、図2aおよび図2bに示されている例と概して類似しており、多孔質構造体は、2つの部分54aおよび54bを有する外側ハウジング(または代替として、2つの別個のハウジング54aおよび54b)内に収容される。多孔質構造体52の一部は、加湿器50の蒸気出口56である、ハウジング54a、54bの開放端部のところに露出される。他方の端部では、コネクタ用器具58は、液体供給チューブ60から液体(例えば、水)を受け入れ、その液体を封止チューブ接続栓64を介して封止チューブ62に供給する。液体は、ポンプを使用して、または重力送り装置、もしくは他の知られている液体輸送手段によって供給されうる。
【0146】
露出されている蒸気出口端部56は、空気流チューブ(図示せず)内に挿入される加湿器アセンブリ50の一部にすぎない。蒸気出口56は、さまざまな角度で、例えば、空気流チューブの長手方向軸に対して平行、垂直、またはそれらの間の任意の角度で空気流に挿入され、露出されうる。加湿器アセンブリ配置構成50により、すべての水供給源および電気的接続端部は、1つの端部にまとめて配置され、蒸気出口56は、反対側の端部に配置される。これは、よりコンパクトな設計を実現し、組み立てと分解を行いやすく改善することができる。例えば、加湿器アセンブリ50を、封止チューブ62のところで分解し、液体供給チューブ60の接続を外して、発熱体部分80を分離することができる。発熱体部分80は、消耗品であってもよく、何回か使用した後に処分し交換することができる。あるいは、発熱体部分80を、電気的接続端部70のところで加湿器50から分解し、消耗品として処分し交換することができる。
【0147】
空気加熱器コイル
図4は、概括的に上で説明されている図2aおよび図2bに示されている加湿器に概して類似する、加湿器112が、PAPデバイスなどの呼吸装置の空気送達チューブ116内に支持されるか、または空気送達チューブ116の一部の中で支持されうる一例を示している。参照番号は「1」から始まり、図2aおよび図2bの特徴と似た特徴を指定する(例えば、参照番号128は、コネクタ用器具を示す)。
【0148】
空気経路内で空気を加熱する場合、容積の小さな空気加熱器を有していることが望ましいことがある。これは、CPAPデバイスを小型化し、低コスト化し、消費電力を節減することが可能である(例えば、携帯型デバイスの電池寿命を延ばす)。空気加熱器は、呼吸システム内で、加湿器とともに、または加湿器なしで、使用することができる。
【0149】
与えられた空気導管について、その断面は、長手方向長さに沿って均一である(概して丸い)可能性が高く、したがって、その長さが容積を決定することになる。空気を効率よく加熱するために、効果的な熱伝達を行えるようにそれぞれの空気流の流れがヒーティングワイヤに接触していなければならない(または非常に近くにある)。流れが層流である場合、空気経路の全断面をヒーターワイヤの軸方向突出で「被覆し」、オーバーラップするワイヤ突出部を有しない(または最小限、有する)ことが望ましいことがある。
【0150】
ヤマアラシ様の加熱器コイルを、マンドレル上に、前記マンドレルの周りに張力をかけてワイヤを巻き付けることによって形成することができる。マンドレルが円形の断面を有する場合、その結果得られる形態は、図8に示されているようにつる巻きバネとなる。
【0151】
マンドレルが高アスペクト比の矩形断面を有する場合、その結果得られる形態は、図9に示されているように一連の星形ワイヤ曲部となる。ヤマアラシ様のコイルがマンドレルの周りに巻き付けられ、完成すると、バネでマンドレルから外れ、外周上に点もしくはコーナーを有する食い違い配置の「星」形要素を持つコイルの形状をとりうる。しかし、この結果、空気加熱が生じないコイルの中心部に沿って大きな開放空間が生じうる。ヤマアラシ様のコイル内のヒーティングワイヤの長さは、中央の孔領域の周りに集中し、コーナーもしくは点のみが外径上にある(端面図を見たとき)。
【0152】
これらの形状はそれぞれ、中心コアを通って流れる空気流を加熱しない中心にコアを有する。空気流を均等に加熱するために、外側の高温の空気から熱を冷却装置の中心部の空気流に拡散させる必要がある。あるいは、乱流を誘発して空気流を混合し、空気温度を均一にすることができる。しかし、乱流を誘発するステップは、空気流のインピーダンスを増大し、システムに必要な電力を増やす可能性がある。
【0153】
ヤマアラシ様のコイルの別の問題は、突出しているワイヤがかなり狭い環状帯内に集中し(巻いたときのワイヤの張力およびマンドレルの形状に依存する)、この狭い環状帯を通る空気流は、概して、発熱の大半を受け入れるという点である。これは、不均一な空気加熱を引き起こし、その結果、さらなる不効率を引き起こしうる。
【0154】
ワイヤベンダーを使用してワイヤを、加熱領域が空気チューブの断面の全体または実質的にすべてまたは大半を覆い、空気加熱がより短い距離で完了できる構造に曲げることができる。コイルは、ワイヤのループ(ヤマアラシ様のマンドレル形成コイルのように、中央の開放コア領域をぐるっと囲む)がその代わりに中心コアに接近するときに曲げられるように形成されうる。したがって、多数のコイルループの組み合わせが、中心コアの周を形成しうる。これにより、中心コアの寸法を可変にすることができるか、または中心コアが完全に閉鎖する、つまり、断面の全体、または実質的にすべて、または大半をヒーティングワイヤで効果的に埋めるように形成されうる。
【0155】
それぞれ360°一回りする間のそれぞれのワイヤループの角度を360°の倍数にならないように選択することによって、その後のコイルは、第1の「行」に揃わない。これにより、ヒーティングワイヤをもっと空気流に曝すことで断面領域の異なる部分を覆うことができる。外側曲部および内側曲部の曲率半径を使用して、中心コアの開放空洞のサイズを決定することができる。例えば、外半径によるコイルの形状、外半径の外側長さ、内半径、および内半径の内側長さ、さらにはコイルのピッチを決定する。これらの寸法は、内側を中心開放コア空間の直径およびコイル構造体全体の外径も決定することができる。
【0156】
コイルの寸法例は、図6dに示されている。コイルは、約20mmから30mmまで、例えば、約25.4mmの外径O.D.を有することができる。コイルは、約1mmから5mmまで、例えば、約3.0mmの内径I.D.を有することができる。コイルのループは、約15mmから25mmまで、例えば、約19.3mmの第1の長さ、および約5mmから12mmまで、例えば、約8.85mmの第2の長さを有するものとしてもよい。第1の長さL1は、ワイヤを約15mmから20mmまで、例えば、約17.4mmの半径R1のところで曲げることによって形成され、第2の長さL2は、ワイヤを約1mmから5mmまで、例えば、約3mmの半径R2のところで曲げることによって形成されうる。
【0157】
コイル構造体によって放射される熱は、コイル構造体の抵抗率、コイル構造体の長手方向長さ、およびコイル構造体の断面直径によって決定されうる。
【0158】
代替的な一例では、コイル半径は、ループFのいくつかが平坦になり、コイル構造体の中心軸から離れるようにコイル構造体内で変化しうる。この構成によって、図6eに示されているように空気流でなおいっそう均一に覆われうる。
【0159】
図4に概略が表されている加湿器112は、加湿器の主軸が概してチューブ116の軸に平行になりチューブ内の空気流に対する干渉が最小になるように1つまたは複数の装着構造体140を使って空気送達チューブ116内に支持される。つまり、加湿器は、空気送達チューブの長手方向軸に実質的に平行になるように装着される。あるいは、加湿器は、長手方向軸に沿わない異なる構成で装着することができるが、蒸気出口は空気流に対して露出される。
【0160】
装着構造体(複数可)は、例えば図8および図9に示されているような「螺旋コイル」もしくは「ヤマアラシ様のコイル」配置構成、または空気送達導管116の内面と係合し、また加湿器112の外面と係合して図5および図6に例示されているように加湿器をチューブ内に実質的に同軸となるように保持する形成物を作るワイヤで形成される「ロゼットコイル」配置構成などのコイル構造体を備えることができる。「ロゼットコイル」構造は、ワイヤを曲げる装置を使用して形成されうる。この配置構成では、装着構造体は、加湿器から水蒸気を受け入れる前に空気送達チューブ116内を流れる空気を加熱するために適宜、抵抗加熱器として使用することもでき、したがってガス流による蒸気の受け入れ量が増える。
【0161】
図4図6eを参照すると、「ロゼット」加熱コイルの形態の装着構造体140が示されている。ロゼット加熱コイルでは、ワイヤはマンドレルの周りに巻き付けられず、2つの異なる半径を使用してワイヤ曲げ工具上に形成される。このロゼットコイルの形態では、この領域内で流れる加熱される空気の量を増やすために、コイルの周に配置されるヒーティングワイヤの長さをそれに比例して大きくすることができる。また、この形態では、比較的小さな穴をコイルの中心より下に形成することができ(サイズを調整できる)、この穴を使用して、蒸気発生要素を封入する外側チューブ26を支持することができる。
【0162】
ロゼットの「花弁」またはループは、これらがそれぞれのセクションまたは「花」上に複数あり、次の花が前の花に対して花弁オフセットまたはオーバーラップを有し、チューブに沿った空気経路がその流れのいくつかの段階でヒーティングワイヤの任意の一部に近接近することが確実になるように設計される。外側チューブ126と空気送達導管116との間の環状領域の断面を完全に覆うように適切なオフセットを選択することができる。この設計では、従来技術の加熱コイルに比べてコンパクトな空気加熱コイルが形成される。
【0163】
加湿および水管理
コントローラ18(図1に示されているような)は、少なくとも1つのセンサー20a、20b、20cから信号(複数可)を受信し、加湿器を制御して呼吸に適したガスの加湿された流れを所定の温度および所定の相対湿度で供給するように構成されうる。さらに、コントローラ18は、患者の呼吸周期の相の一部の間に、例えば患者の吸息相の間にのみ蒸気が送達されるように電力の供給を制御するように構成されうる。これを行うことによって、水の使用を必要に応じて管理し、水を節約して消耗を減らすことができる。
【0164】
加湿器の動作は、知られている周囲条件から、患者インターフェース端部における所望の条件が得られるように配置構成されうる。例えば、最初に周囲の温度および相対湿度を測定する(または、例えば、流動発生器内の、加湿器の前の任意の同一の点における温度および相対湿度を測定する)。これらの測定結果を使用して、以下の公式により絶対湿度を計算する。
【0165】
【数1】
【0166】
【表1】
【0167】
【表2】
【0168】
次いで、%RHから水蒸気の圧力を計算する:
計算 Pw=Pws*RH/100(hPa単位)
【0169】
例:
周囲温度は、40℃であり、RHは、50%である。Tdを計算する:
Pw=Pws(40℃)*50/100=36.88hPa
30℃および80%RH(ターゲット点)の例
Pws=6.1162x10*(7.5892x30/(30+240.71))
Pws=42.415 hPa
および
Pw=Pws×RH/100
Pw=33.932 hPa
絶対湿度は、特定の容積内の水蒸気の質量とし定義される。理想気体の挙動が仮定される場合、絶対湿度は、(17)を使用して計算することができる:
A=C*Pw/T(g/m3)、 (17)、ただし
C=定数2.16679 gK/J
Pw=Pa単位の蒸気圧
T=温度iK
【0170】
例:
周囲温度は、20℃であり、相対湿度は、80%である。絶対湿度を計算する:
Pw=Pws(20℃)*80/100=18.7hPa
A=2.16679*1870/(273.16+20)=13.82g/m3
30℃および80%RH(ターゲット点)の例
Pw=33.932 hPa(上から)
および
AH=2.16679×3393.2/(273.16+30)
AH=24.252g/m3(またはmg/L)
したがって、ターゲットAHは、24.252mg/Lである。
与えられた流量F(L/分を単位)について、空気流中に注入される水の量(Q)は、
Q=(24.252-周囲温度におけるAH)×Fmg/分
室温に近い水については、1mg〜1mLである。
【0171】
所望の患者状態は、約24.5mg/L(水/空気1リットル)の絶対湿度とすることができる。測定された絶対湿度を24.5mg/Lから引くと、これがmg/L単位の追加する必要のある水の量である。空気流を測定して、空気流(L/分)に追加すべき水の必要量(mg/L単位)をかけると、所望の揚水速度(mg/分単位)が結果として得られる。この水の量は、電圧および/または周波数によって制御可能であるものとすることができる圧電ポンプによってくみ上げることができる。
【0172】
水流量から、必要な電力を経験から導かれたチャート(以下のチャート1)を参照して決定することができる。
【0173】
【表3】
【0174】
動作モード
加湿器制御装置
図10は、加湿器の動作モードの例を示す流れ図である。プロセスステップ1002は、加熱されたチュービング300の制御装置を示している。加熱されたチュービングは、例えば、参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願第2008/0105257A1号および/または米国特許出願第2011/0023874A1号において説明されているものに類似したものであってもよい。プロセスは、S1から開始し、患者インターフェースに送達される感知ガス温度の測定結果を受信するステップを含む。感知ガス温度は、センサー20bから与えられる。患者インターフェースに送達されるガスの所定の温度Tmは、S2で与えられる。例えば、所定の温度Tmは、例えば、図1aから図1cに示されているような装置の入力からユーザー(例えば、医師)もしくは患者によって選択されうる。所定の温度は、例えば、米国特許出願第2009/0223514A1号および/または米国特許出願第2011/0023874A1号で開示されているように与えることもできる。センサー20bでは、感知ガス温度を測定し、S2で与えられた所望の(つまり、所定の)ターゲット温度と比較する。差ΔTmは、S6で決定され、加熱されたチュービング300の動作を制御するために加熱チューブコントローラ18にフィードバックされる。このプロセスは、参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願第2009/0223514A1号で開示されているものに類似しているものであってもよい。
【0175】
プロセスステップ1004は、所望のターゲット温度で所望のもしくは所定のターゲット湿度をもたらすのに必要な水流量を決定する。計算例ですでに説明されているように、周囲絶対湿度は、周囲空気温度および周囲相対湿度を測定することによって計算されうる。この周囲絶対湿度をターゲットの必要な絶対湿度(ターゲット(例えば、所望のまたは所定の)温度および相対湿度を使用して計算された)と比較して、必要な水の量を計算する。感知ガス流に対して、ガスの単位体積あたりの送達される必要のある水の量を知って、水流量を計算することができる。図10に示されているように、所定の送達ガス温度Tmは、S2で与えられ、患者インターフェースに送達される所定の相対湿度RHmは、S4で与えられる。所定の相対湿度RHmは、例えば、米国特許出願第2009/0223514A1号/または米国特許出願第2011/0023874A1号で説明されているものに類似した方法で、例えば、ユーザーまたは患者によって選択されうる。RHmおよびTmの所定の値は、S8で湿度計算に与えられ、患者インターフェースに送達される所定の絶対湿度AHmは、S12で与えられる。
【0176】
周囲絶対湿度は、S10で例えばセンサー20aによって決定される周囲温度Ta、および例えばセンサー20dによって決定される周囲相対湿度RHaを湿度計算に入力し、S14で周囲絶対湿度AHaを与えることによって決定される。所定の絶対湿度AHmと周囲絶対湿度Ahaとの間の差ΔAHは、S16で決定される。
【0177】
プロセスステップ1006は、ポンプによる水のくみ上げと発熱体の加熱の両方を行うために投入される電力の制御装置を示している。計算された水流量を使用し、適切にポンプにより水をくみ上げ、加熱し、蒸発させるために必要な所定のエネルギーを知って、蒸気インジェクタのプロセスを制御するために必要な電圧、周波数、電力などを決定することができる。S22で例えばセンサー20cによって決定された感知されたガス流F、および差ΔAHを使用して、所定の温度で所定の湿度を与えるために必要な水流量を計算する。あるいは、流量は、米国特許出願第2010/0319697号で説明されているようなモーターの電流に基づき推定することができる。S24で所定の水流量の水をポンプでくみ上げるための所定の電圧および周波数が決定されるか、または与えられ、S26で、必要な水流量の水をポンプでくみ上げるために必要な電圧および周波数が決定される。S20で液体の流れを蒸発させる所定の電力は、ポンプでくみ上げられる液体の流れを蒸発させるために必要な電力をS28で決定するために必要なポンプの電圧および周波数とともに使用される。S28で決定された必要な電力は、加湿器に、例えば、加湿器のコントローラ18に供給される。
【0178】
プロセスステップ1008は、空気加熱器コイル140の制御装置を示している。例えばセンサー20eを使用して加湿器出口における温度を感知し、所望のターゲット空気流温度Tmと比較することによって、S18でセンサー20eによって与えられる感知温度と所定の温度Tmとの間の差ΔTを決定することができる。差ΔTを空気加熱器コントローラ18に与えて、空気加熱器140のフィードバック制御を行うことができる。
【0179】
コントローラ18は、液体輸送装置(例えば、ポンプ)、空気加熱器(例えば、コイル140)、加熱チュービング300、加湿器(例えば、加湿器112)を制御するために備えられうることは理解されるであろう。また、コントローラ18は、複数のコントローラであってもよく、またこれら複数のコントローラは、さまざまな構成要素内に備えることができることも理解されるであろう。例えば、コントローラは、流動発生器、加湿器、ポンプ、加熱チュービングなどに設けることができる。このコントローラ、またはそれぞれのコントローラは、例えば、マイクロコントローラ、または特別にプログラムされた汎用コンピュータ、またはASICの形態をとりうることも理解されるであろう。図10に示されているプロセスは、コントローラに備えられているメモリ内に格納されているソフトウェアプログラムまたは他の実行可能コードもしくは命令から実行されうることはさらに理解されるであろう。コントローラのメモリ(複数可)が、例えば、経験で決定された係数および/またはプロセスのさまざま室湿度および他の計算で使用するためルックアップテーブルを備えることができることもさらに理解されるであろう。
【0180】
図11は、加湿器の動作モードの別の例を示す流れ図である。図11は、図10に示されているすべてのプロセスステップを含み、発熱体の動作を整理するための制御ステップ1010をさらに含む。1010に示されているように、発熱体の動作は、S30で所望のターゲット発熱体の出口温度を予め決定しておくことによって制御されうる。例えば、この所定の温度は、発熱体を通して流れる液体を完全に蒸発させるために必要な最低温度とすることができる。例えば、センサー20fにより発熱体の出口のところの感知温度を監視することによって、発熱体は、S32で差ΔTを決定し、フィードバック制御ループを使用することで最低温度が確実に維持されるように制御されうる。本技術のいくつかの形態において、図10または図11に示されているステップすべてが必要であるわけではないことに留意されたい。いくつかの場合には、代替的ステップを含め、他のステップを省くことができる。
【0181】
平衡回路テスト
平衡回路テストは、空気加熱器および/または発熱体に障害がないか検出するために使用されうる。平衡回路テストは、発熱体のそれぞれの端部に2つの電気的接続点を備えることに加えて、発熱体の中心に接続部を設けることによって使用可能になりうる。中央タップから端部の電気的接続点のそれぞれまでの電圧、電流、または抵抗などを測定したときに、それぞれのセグメントの結果は他方と同じである(平衡している)べきである。測定結果が一致しない場合、これは、回路が故障していることを示すものとしてもよい。
【0182】
温度プローシビリティモード
発熱体および/または空気加熱器がオンになっていないときに異なるセンサーにおける感知温度を比較することによって、同じ結果を与えるべきなのに、いくつかの条件の下で他のセンサーと同じ結果をもたらさないセンサーの故障を検出するようにシステムを有効化することができる。
【0183】
水供給源および加熱器の構成
液体供給源は、水がポンプに供給され、発熱体の入口にポンプで送られるようにポンプ入口に接続された水ボトルとすることができる。ボトルは、剛性を有するか、または折り畳めるものとすることができる。発熱体の出口のところで、水は蒸気に転換され、発生した蒸気は、加圧された空気流内に注入される。ポンプ動作を改善するために、水供給を加圧するとよい。これにより、システムのバランスをとり、ポンプは発熱体の出口のところに生じる圧力に抗して動作することはない。例示的な構成では、加圧された空気流に接続されたボトルの頂部に開口部を有する剛性のある液体容器を取り付ける。あるいは、折り畳み可能な容器を、加圧される剛体ハウジング内に設けることができる。容器は、圧力を変化させてわずかに膨張/収縮させることも可能である。このような構成により、水に対してゼロ水頭ポンプを使用することが可能になる。
【0184】
別の代替的形態では、患者の吐息を、発熱体内への水のくみ上げを作動させるように向き付けられうる。例えば、減圧機構および制御装置を使用して、患者からの吐息圧力を伝えて、患者の吸入周期が生じているときに水供給をポンプで送ることができる。これは、ポンプを補助し、またはポンプによって実行される機能を置き換えることができる。
【0185】
本技術を実装するために、多くの加湿器システム構成を実現することができる。例えば、水供給源は、流動発生器/加湿器システムの近く、もしくはその中、またはシステムの外部に配置することができ、導管を介して加湿器に接続することができる。ポンプは、流動発生器/加湿器システムの近く、もしくはその中、または水供給源とともに上で説明されているようにシステムの外部に設けることができ、または患者インターフェース(マスク)に設け、導管を介して水供給源および発熱体に接続することができる。空気加熱器は、流動発生器/加湿器システムの近く、もしくはその中に、流動発生器/加湿器システムの近くの場所の、空気流チュービングの近く、もしくはその中に、空気流チュービングの長さに沿った位置に、または患者インターフェースの近くに設けることができる。発熱体は、流動発生器/加湿器システムの近く、もしくはその中に、流動発生器/加湿器システムの近くの場所の、空気流チュービングの近く、もしくはその中に、空気流チュービングの長さに沿った位置に、または患者インターフェースの近くに設けることができる。発熱体は、空気加熱器の下流に配置することが好ましく、空気流を加熱する空気加熱器は、空気流の水収容力を維持し相対湿度を保つのを助けることができる。
【0186】
センサー
故障状態を検出するために温度センサーを加湿器の入口端部および出口端部に付加し、例えば、発熱体が過熱する(例えば、水が不足するのを)防ぐ際に使用することができる。センサーによって検出される状態は、故障状態を示しうる。
【0187】
例えば、出口センサーが100℃未満の温度を検出した場合、これは、蒸気が形成されておらず、蒸気の代わりに水が出て来る可能性があるという指標となりうる。この条件は、発熱体の故障、不正な水流量、および/または不正な電力レベルの結果と考えられる。出口センサーが、100℃を著しく超える温度を検出した場合、これは、水の流れが停止してしまっている可能性があるという指標となりうる。これは、ポンプの故障および/または閉塞の結果と考えられる。
【0188】
入口センサーが室温に近い温度を検出し、電力が印加された場合、これは、水が流れていることを示す指標となりうる(つまり、発熱体は乾式加熱していない)。入口センサーが、室温を著しく超える温度を検出した場合、これは、水が流れていないか、または印加される電力が大きすぎるという指標となりうる。
【0189】
センサーは、概して、通常動作時に予想動作範囲を有し、したがって、予想動作状態からの逸脱は、センサーの故障を示すものとしてもよい。チャート1などの経験的チャートを使用する代わりにセンサーを発熱体への電力を制御するために使用することもできる。
【0190】
空気温度センサーは、空気加熱器および蒸気注入出口の位置の下流に配置されうる。このセンサーは、リアルタイムで空気温度を検出し、閉ループフィードバックに入り、空気加熱器のコイル構造体に印加される電力を制御することができる。したがって、加湿空気温度は、所望の条件、例えば、30℃に合わせて制御、調整することができる。
【0191】
滅菌および洗浄モード
加湿器は、乾熱滅菌法を使用して微生物を破壊することができる。つまり、一定期間水蒸気のない状態で加湿器を加熱し、加熱プロセスで微生物を破壊する。CPAP加湿器の乾熱滅菌は、患者がデバイスを使用していないときに、例えば日中に実行することができる。あるいは、患者の治療セッションの前および/または後に実行することができる。
【0192】
乾熱滅菌に対して有効と思われるいくつかの例示的な加熱温度/時間プロセスは以下のとおりである。
● 160〜170℃で、120分間
● 170〜180℃で、60分間
● 180〜190℃で、30分間
期間を短くして温度を上げた加熱、または期間を長くして温度を下げた加熱も有効である場合がある。
【0193】
すでに説明されているように、加湿器は、発熱体を入口端部と出口端部のところに配置された温度センサーを有することができる。センサーによって検出される温度レベルは、閉ループフィードバックシステム内に入力され、これにより、発熱体の加熱を選択された期間にわたって所望の温度レベルに制御することができる。発熱体の代替えとして、または発熱体と組み合わせて、空気加熱器コイルを加熱して乾熱滅菌プロセスを実行することもできる。
【0194】
加湿器は、残留物、堆積物、および/または微生物を発熱体から取り除くために湿式加熱/非加熱洗浄機能モードを有することができる。加湿器は、発熱体に液体を流して(発熱体の抵抗加熱を作動させて、または作動させずに)不要な粒子もしくは微生物を洗い出してしまうように構成されうる。洗浄モードは、例えば、患者の治療セッションの前および/または後に開始することができる。洗浄モードは、液体流量、加熱温度の制御パラメータを変化させて設定され、連続的に、または頻度が変化する周期で実行されうる。洗浄モードの作動、作動停止のタイミングは、タイマーを使用して監視し、および/または制御することができる。
【0195】
本技術のいくつかの態様の一利点は、加湿器を小型化し、および/またはコンパクト化することができる点にある。例えば、水の量を減らすことができる。本技術のいくつかの形態の別の態様として、形態がより安価なものである、例えば、水が別のシステム内にあり、加圧されていない場合に、水槽内にタブが不要になるものが考えられる。いくつかの形態において、水が少ない量で済むため溢れ防止の必要が少ない。
【0196】
本技術のいくつかの態様の一利点は、変化する状況により迅速に対応できる、例えば、呼吸に基づき対応できるか、またはより早い始動が可能である加湿器を実現することができる点である。本技術のいくつかの態様の一利点は、加湿の量をより正確に制御することである。
【0197】
本技術のいくつかの態様の別の利点は、より効率的な発熱体を使用することによる、より効率的なエネルギー利用である。本技術のいくつかの態様の別の利点は、広範な異なる形状および/または構成のものを製造することが可能になる、例えば、さまざまな異なる形状および/または構成で配置構成されうる発熱体を形成することが可能であるという点である。一形態では、発熱体を加湿チューブ内に設けることができる。
【0198】
本技術の特定の実施形態が説明されているが、本発明は、本発明の本質的特性から逸脱することなく他の特定の形態で具現化されうることは当業者には明白なことであろう。本実施形態および例は、すべての点において、例示的であり、制限的ではないとみなされ、本発明の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲により指示され、特許請求の範囲の等価の意味および範囲に含まれるすべての変更形態は、したがって、そこに包含されることが意図されている。本明細書において知られている従来技術への参照がある場合は、断りのない限り、そのような従来技術が、本発明が関する当業者に通例知られていることを認めるものとしてもよいことはさらに理解されるであろう。
【符号の説明】
【0199】
10 流動発生器
12 加湿器
12a 水供給源(または水槽)
12b 給水チューブ
14 患者インターフェース
16a、16b 空気送達チューブ
18 コントローラ
20a、20b、20c センサー
24 多孔質構造体
25 多孔質構造体、繊維
26 チューブ
27 端部
28 コネクタ用器具
30 入口
32 液体供給チューブ
31 端部
33 第1の電気的コネクタ
34 封止チューブ接続栓
35 封止コネクタ
36 封止チューブ
37 第2の電気的コネクタ
38 電源リード
39 導線
39a 第1の端部
39b 第2の端部
50 加湿器アセンブリ
52 概括的に多孔質の構造体
54a、54b 部分、ハウジング
56 蒸気出口
58 コネクタ用器具
60 液体供給チューブ
62 封止チューブ
64 封止チューブ接続栓
80 発熱体部分
112 加湿器
116 空気送達チューブ
126 外側チューブ
140 装着構造体、空気加熱器コイル
300 加熱されたチュービング
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2016年5月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に送達される呼吸に適したガスの流れをターゲット湿度に加湿するように構成された加湿器であって、
多孔質発熱体と、
給水ユニットと、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
周囲湿度を決定し、
決定された前記周囲湿度及び前記ターゲット湿度に基づいて前記呼吸に適したガスの流れに追加される液体の量を計算し、
前記液体の量を蒸発させるために必要なエネルギー量を計算し、
前記多孔質発熱体に前記液体の量を送達する前記給水ユニットを制御し、
前記液体の量を蒸発させるためのエネルギーの量で前記多孔質発熱体にエネルギーを与えて前記呼吸に適したガスの流れに前記蒸発された液体を送達し、それによって前記呼吸に適したガスの流れが前記ターゲット湿度に加湿される、加湿器。
【請求項2】
前記コントローラが、患者の呼吸周期の一部の間に、前記呼吸に適したガスの流れに前記蒸発された液体を送達するように更に構成されている、請求項1に記載の加湿器。
【請求項3】
前記コントローラが、患者の呼吸周期の吸息相の間だけに、前記呼吸に適したガスの流れに前記蒸発された液体を送達するように更に構成されている、請求項2に記載の加湿器。
【請求項4】
前記周囲湿度が絶対湿度として決定される、請求項1〜3の何れか一項に記載の加湿器。
【請求項5】
前記コントローラは、前記多孔質発熱体に前記液体の量を送達するために必要なエネルギー量を計算するように更に構成されている、請求項1〜4の何れか一項に記載の加湿器。
【請求項6】
前記ターゲット湿度が絶対湿度である、請求項1〜5の何れか一項に記載の加湿器。
【請求項7】
前記コントローラは、前記呼吸に適したガスの流れの流量に基づいて追加される前記液体の量を計算するように更に構成されている、請求項1〜6の何れか一項に記載の加湿器。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の加湿器と、
加湿される前記呼吸に適したガスの流れを発生させるための流動発生器と、
前記患者に加湿された前記ガスの流れを送達するための患者インターフェースと、
を備える、呼吸装置。
【請求項9】
患者のための供給される空気を所定の湿度に加湿する方法であって、
前記供給される空気を加湿器に送達するステップと、
周囲湿度を決定するステップと、
前記供給される空気を前記所定の湿度に加湿するために前記供給される空気に追加される液体の必要な流量を決定するステップと、
液体の前記必要な流量を蒸発させるために必要なエネルギーの量を決定するステップと、
前記必要な流量で前記液体を多孔質発熱体に送達するステップと、
前記液体を蒸発させる前記多孔質発熱体を加熱するステップと、
前記供給される空気を前記所定の湿度に加湿するために前記供給される空気に前記蒸発された液体を送達するステップと、
を備える方法。
【請求項10】
患者の呼吸周期の一部の間に、前記供給される空気に前記蒸発された液体が送達される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
患者の呼吸周期の吸息相の間だけに、前記供給される空気に前記蒸発された液体が送達される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記周囲湿度が相対湿度及び温度から決定される、請求項9〜11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記多孔質発熱体に液体の前記必要な流量を送達するために必要なエネルギー量を決定するステップを更に備える、請求項9〜12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記液体の送達は、液体の前記必要な流量を前記多孔質発熱体に送達するために決定された前記必要なエネルギー量で制御される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記所定の湿度が絶対湿度である、請求項9〜14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記追加される液体の前記流量は前記供給される空気の流量を用いて決定される、請求項9〜15の何れか一項に記載の方法。
【外国語明細書】
2016168341000001.pdf