(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-169816(P2016-169816A)
(43)【公開日】2016年9月23日
(54)【発明の名称】軸受ブッシュ及びこの軸受ブッシュを備えた連結機構
(51)【国際特許分類】
F16C 33/10 20060101AFI20160826BHJP
F16C 17/10 20060101ALI20160826BHJP
F16C 33/20 20060101ALI20160826BHJP
【FI】
F16C33/10 Z
F16C17/10 Z
F16C33/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-50483(P2015-50483)
(22)【出願日】2015年3月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000103644
【氏名又は名称】オイレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098095
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 武志
(72)【発明者】
【氏名】三柴 和大
(72)【発明者】
【氏名】川島 功
(72)【発明者】
【氏名】宮田 浩太郎
(72)【発明者】
【氏名】國松 亮次
(72)【発明者】
【氏名】中井 大造
【テーマコード(参考)】
3J011
【Fターム(参考)】
3J011AA07
3J011BA06
3J011DA01
3J011JA01
3J011KA08
3J011LA01
3J011MA12
3J011QA05
3J011SB03
3J011SB04
3J011SB19
3J011SC03
3J011SC05
3J011SC13
(57)【要約】
【課題】異音の発生を防止できる軸受ブッシュ及びこの軸受ブッシュを備えた連結機構を提供すること。
【解決手段】軸受ブッシュ1は、縮径自在となるように、軸方向Aにおける一方の端部2から他方の端部3まで伸びたスリット4を有した円筒状部5と、円筒状部5の一方の端部2に一体的に設けられた円環状の鍔部6とを具備しており、鍔部6は、端部2から円筒状部5の径方向Bの外方に伸びる湾曲基部31と、湾曲基部31から端部3に向って傾斜して伸びる先端部32とを具備している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部から他方の端部まで伸びたスリットを有した円筒状部と、この円筒状部の一方の端部に設けられた鍔部とを具備しており、この鍔部は、円筒状部の一方の端部から円筒状部の径方向外方に伸びる湾曲基部と、この湾曲基部から円筒状部の他方の端部に向って伸びる先端部とを具備している軸受ブッシュ。
【請求項2】
湾曲基部は、円筒状部の円筒状内面から連続して伸びた湾曲凸面と、この湾曲凸面から連続して伸びた他の湾曲凸面とを具備している請求項1に記載の軸受ブッシュ。
【請求項3】
湾曲凸面と他の湾曲凸面とは、同一の曲率を有している請求項2に記載の軸受ブッシュ。
【請求項4】
湾曲基部は、円筒状部の円筒状内面から連続して伸びた湾曲凸面と、この湾曲凸面から連続して伸びた平坦面とを具備している請求項1に記載の軸受ブッシュ。
【請求項5】
湾曲基部は、円筒状部の円筒状外面から連続して伸びた湾曲凹面を具備している請求項1から4のいずれか一項に記載の軸受ブッシュ。
【請求項6】
先端部は、湾曲基部から円筒状部の他方の端部に向って傾斜して伸びている請求項1から5のいずれか一項に記載の軸受ブッシュ。
【請求項7】
先端部は、円筒状部の一方の端部側に、湾曲基部から円筒状部の他方の端部に向って傾斜した平坦面を有している請求項6に記載の軸受ブッシュ。
【請求項8】
先端部は、円筒状部の他方の端部側に、湾曲基部から円筒状部の他方の端部に向って傾斜した平坦面を有している請求項6又は7に記載の軸受ブッシュ。
【請求項9】
先端部は、湾曲基部から円筒状部の他方の端部に向って湾曲して伸びている請求項1から5のいずれか一項に記載の軸受ブッシュ。
【請求項10】
先端部は、円筒状部の一方の端部側に、湾曲凸面を有している請求項9に記載の軸受ブッシュ。
【請求項11】
先端部は、円筒状部の他方の端部側に、湾曲凹面を有している請求項9又は10に記載の軸受ブッシュ。
【請求項12】
円筒状部及び鍔部は、合成樹脂、非鉄金属板又はステンレス鋼板から一体形成されてなる請求項1から11のいずれか一項に記載の軸受ブッシュ。
【請求項13】
円筒状部及び鍔部は、鋼薄板と鋼薄板上に一体的に形成された多孔質金属焼結層と多孔質金属焼結層に充填被覆された合成樹脂層とを具備した複層板から一体形成されてなる請求項1から11のいずれか一項に記載の軸受ブッシュ。
【請求項14】
円筒状部の円筒状内面及びこの円筒状内面に連続して伸びた鍔部の円環状面は、合成樹脂層の表面からなる請求項13に記載の軸受ブッシュ。
【請求項15】
一の連結部材が固着されていると共に他の一の連結部材が軸方向に移動自在に装着される軸部材と、請求項1から14のいずれか一項に記載の軸受ブッシュとを具備していると共に一の連結部材に対して他の一の連結部材を軸心の周りで相対的に回転自在となるように一の連結部材と他の一の連結部材とを互いに連結する連結機構であって、軸受ブッシュの円筒状部は、軸部材に対する他の一の連結部材の軸部材の軸心の周りでの相対的な回転を確保するべく、軸部材と他の一の連結部材との間に介在されて軸部材に装着されており、軸受ブッシュの鍔部は、軸方向における一の連結部材と他の一の連結部材との間の隙間に配されており、他の一の連結部材は、軸方向において鍔部を介して一の連結部材に押し付けられるようになっている連結機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受ブッシュ及びこの軸受ブッシュを備えていると共に車両シート収納機構に用いられる複数の連結部材を互いに回転自在に連結する連結機構に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から4に記載されているように、自動車等の車両において、シートクッション(座)及びこのシートクッション(座)に連結されたシートバック(背凭れ)からなる後部座席を、それを使用しない際に、車体床に形成された収納部に収納させる車両シート収納機構が用いられる。
【0003】
斯かる車両シート収納機構には、複数の連結部材を互いに回転自在に連結する連結部が設けられており、この連結部において、複数の連結部材は、それらの一端部で軸部材に軸受ブッシュを介して回転自在に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−208505号公報
【特許文献2】特開2014−208506号公報
【特許文献3】特開2014−141240号公報
【特許文献4】特開2014−141241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、斯かる複数の連結部材の夫々の一端部間には、軸受ブッシュの鍔部が配されるが、軸方向のガタをなくすべく、軸部材に設けられた締付け手段により当該一端部と鍔部とを軸方向において隙間なしに強圧接触させると、当該複数の連結部材の相互の滑らかな回転を確保できなくなる一方、一端部と鍔部との間に軸方向において多少の隙間をもって連結部材の夫々の一端部を軸受ブッシュを介して軸部材に回転自在に支持させると、車両の通常の走行ではそれ程問題がないが、悪路走行等の激しい横揺れが車体に生じると、連結部材の一端部が軸部材に対して軸方向に激しく移動して、この移動により衝突又は滑りに起因する異音が発生して、乗員に不安感を生じさせる虞がある。
【0006】
本発明は、上記諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、異音の発生を防止できる軸受ブッシュ及びこの軸受ブッシュを備えた連結機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の軸受ブッシュは、一方の端部から他方の端部まで伸びたスリットを有した円筒状部と、この円筒状部の一方の端部に設けられた鍔部とを具備しており、この鍔部は、円筒状部の一方の端部から円筒状部の径方向外方に伸びる湾曲基部と、この湾曲基部から円筒状部の他方の端部に向って伸びる先端部とを具備している。
【0008】
本発明の軸受ブッシュによれば、鍔部は、円筒状部の一方の端部から円筒状部の径方向外方に伸びる湾曲基部と、この湾曲基部から円筒状部の他方の端部に向って伸びる先端部とを具備しているので、斯かる鍔部が連結部材の夫々の一端部の軸方向間に配されると、連結部材の一端部が軸部材に対して軸方向に激しく移動しても、鍔部が弾性変形してこの激しい移動を緩衝し、衝突又は滑りを回避でき、而して、衝突又は滑りに起因する異音の発生をなくし得て、乗員に不安感を生じさせることがない。
【0009】
本発明の軸受ブッシュにおいて、湾曲基部は、円筒状部の円筒状内面から連続して伸びた湾曲凸面と、この湾曲凸面から連続して伸びた他の湾曲凸面とを具備していてもよく、この場合、湾曲凸面と他の湾曲凸面とは、同一の曲率を有していてもよい。
【0010】
このように、湾曲基部が湾曲凸面とこの湾曲凸面から連続して伸びた他の湾曲凸面を具備していると、連結部材の一端部への押圧接触を略線接触とし得るために、連結部材の一端部と湾曲基部との摩擦抵抗を減少できて、連結部材の回転を滑らかに行い得る。
【0011】
一方、本発明の軸受ブッシュにおいて、湾曲基部は、円筒状部の円筒状内面から連続して伸びた湾曲凸面と、この湾曲凸面から連続して伸びた平坦面とを具備していてもよく、このように、湾曲基部が湾曲凸面から連続して伸びた平坦面を具備していると、連結部材の一端部への押圧接触を略面接触とし得るために、接触面での連結部材の摩り減りを低減でき、耐久性を向上できる。
【0012】
本発明において、湾曲基部は、好ましい例では、円筒状部の円筒状外面から連続して伸びた湾曲凹面を具備しており、斯かる湾曲凹面を具備している湾曲基部は、鍔部の弾性変形を好ましく得ることができる。
【0013】
本発明において、先端部は、好ましい例では、湾曲基部から円筒状部の他方の端部に向って傾斜して伸びており、この場合、先端部は、円筒状部の一方の端部側に、湾曲基部から円筒状部の他方の端部に向って傾斜した平坦面を有していても、円筒状部の他方の端部側に、湾曲基部から円筒状部の他方の端部に向って傾斜した平坦面を有していてもよい。
【0014】
本発明においては、傾斜した先端部にする代わりに、先端部は、湾曲基部から円筒状部の他方の端部に向って湾曲して伸びていてもよく、この場合、先端部は、円筒状部の一方の端部側に、湾曲凸面を有していても、円筒状部の他方の端部側に、湾曲凹面を有していてもよい。
【0015】
本発明の軸受ブッシュにおいて、好ましくは、円筒状部及び鍔部は、ポリアセタール樹脂又はポリアミド樹脂等の合成樹脂、銅若しくは銅合金又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金等の非鉄金属板又はステンレス鋼板から一体形成されてなり、より好ましくは、円筒状部及び鍔部は、鋼薄板と鋼薄板上に一体的に形成された多孔質金属焼結層と多孔質金属焼結層に充填被覆された合成樹脂層とを具備した複層板から一体形成されてなり、この場合、円筒状部の円筒状内面及びこの円筒状内面に連続して伸びた鍔部の円環状面は、合成樹脂層の表面からなっているとよく、円筒状部の円筒状内面及び鍔部の円環状面が斯かる合成樹脂層の表面からなっていると、連結部材の一端部での回転を滑らかに行い得る。
【0016】
一の連結部材が固着されていると共に他の一の連結部材が軸方向に移動自在に装着される軸部材と、上記の軸受ブッシュとを具備していると共に一の連結部材に対して他の一の連結部材を軸心の周りで相対的に回転自在となるように一の連結部材と他の一の連結部材とを互いに連結する本発明の連結機構においては、軸受ブッシュの円筒状部は、軸部材に対する他の一の連結部材の軸部材の周りでの相対的な回転を確保するべく、軸部材と他の一の連結部材との間に介在されて軸部材に装着されており、軸受ブッシュの鍔部は、軸方向における一の連結部材と他の一の連結部材との間の隙間に配されており、他の一の連結部材は、軸方向において鍔部を介して一の連結部材に押し付けられるようになっている。
【0017】
本発明の連結機構によれば、軸受ブッシュの鍔部は、一の連結部材と他の一の連結部材との間の隙間に配されており、他の一の連結部材は、軸方向において鍔部を介して一の連結部材に押し付けられるようになっているために、一の連結部材に対する他の一の連結部材の軸方向の激しい相対的な移動は、鍔部の弾性変形で緩衝される結果、一の連結部材と他の一の連結部材との急激な衝突又は軸部材に対する他の一の連結部材の急激な軸方向の滑りを回避でき、而して、衝突又は滑りに起因する異音の発生をなくし得て、乗員に不安感を生じさせることがない。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、異音の発生を防止できる軸受ブッシュ及びこの軸受ブッシュを備えた連結機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の軸受ブッシュの好ましい実施の形態の例の
図2のI−I線矢視断面説明図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す例の形成材である複層板の断面説明図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す例を連結機構に用いた例の正面断面説明図である。
【
図6】
図6は、本発明の軸受ブッシュの好ましい実施の形態の他の例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明及びその実施の形態を、図に示す好ましい具体例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの具体例に何等限定されないのである。
【0021】
図1から
図3において、本例の軸受ブッシュ1は、縮径自在となるように、軸方向Aにおける一方の端部2から他方の端部3まで伸びたスリット4を有した円筒状部5と、円筒状部5の一方の端部2に一体的に設けられた円環状の鍔部6とを具備している。
【0022】
円筒状部5及び鍔部6を具備した鍔付巻きブッシュとしての軸受ブッシュ1は、両面11及び12に銅被覆層13及び14を有する鋼薄板15と、鋼薄板15の一方の面11上に銅被覆層13を介して一体的に形成された多孔質金属焼結層16と、多孔質金属焼結層16の細孔に充填されている一方、多孔質金属焼結層16の一方の面17上に被覆された四フッ化エチレン樹脂を含む合成樹脂層18とを具備した複層板19からプレス成型により一体形成されてなる。
【0023】
円筒状部5は、合成樹脂層18の表面からなる円筒状内面21と、銅被覆層14の表面からなる円筒状外面22と、端部3においてスリット4が開口した軸方向Aのテーパ付の円環状端面23とを具備している。
【0024】
鍔部6は、端部2から円筒状部5の径方向Bの外方に伸びる湾曲基部31と、湾曲基部31から端部3に向って傾斜して伸びる先端部(自由端部)32とを具備している。
【0025】
湾曲基部31は、円筒状内面21から連続して径方向Bの外方に伸びた円環状の湾曲凸面35と、湾曲凸面35から連続して径方向Bの外方であって軸方向Aに対して略直交して伸びた円環状の平坦面36と、円筒状外面22から連続して径方向Bの外方に伸びた円環状の湾曲凹面37とを具備している。
【0026】
先端部32は、端部2側に、即ち、平坦面36側に当該平坦面36に連続して伸びて湾曲基部31から端部3に向って傾斜した円環状の平坦面41と、端部3側に、即ち、湾曲凹面37側に当該湾曲凹面37に連続して伸びて湾曲基部31から端部3に向って傾斜した円環状の平坦面42とを有している。
【0027】
以上の軸受ブッシュ1は、例えば
図4及び
図5に示すように、車両シート収納機構に用いられる連結部材51及び52を互いに相対的に回転自在に連結する連結機構53に用いられる。
【0028】
連結部材52に対して連結部材51を円筒状部5の軸心Oの周りで相対的に方向Rに回転自在となるように連結部材51及び52を互いに連結する連結機構53は、連結部材51がその二股の一端61で軸方向Aに移動自在に且つ軸心Oの周りで方向Rに回転自在に装着されると共に連結部材52がその二股の一端62で固着される軸部材64と、軸受ブッシュ1からなる軸受ブッシュ1a及び1bを具備している。
【0029】
連結部材51は、その他端で自動車等の車両の後部座席のシートクッション(座)に回転自在に連結されており、連結部材52は、その他端で車体床に回転自在に連結されており、連結部材51に対する連結部材52の軸部材64を中心とした折り畳みで、シートクッション(座)及びこのシートクッション(座)に連結されたシートバック(背凭れ)からなる後部座席は、車体床に形成された収納部に収納されるようになっている。
【0030】
軸部材64は、円筒外周面65を有した円柱本体66、円柱本体66の軸方向Aの一端に一体的に形成された膨大頭部67及び円柱本体66の軸方向Aの他端に一体的に形成されたねじ部68を有した段付きボルト69と、ねじ部68に螺着された締め付けナット70とを具備している。
【0031】
軸部材64は、連結部材51が連結部材52に対して円柱本体66の軸心でもある軸心Oの周りで相対的に方向Rの適度の抵抗をもって回転できるように、締め付けナット70のねじ部68への螺合により、一端62の夫々を一端61の夫々に軸受ブッシュ1a及び1bの夫々の鍔部6を介して軸方向Aに締め付けている。
【0032】
軸受ブッシュ1aの円筒状部5は、一方の一端61の貫通孔75に挿入されていると共に円筒状内面21で円筒外周面65に、円筒状外面22で貫通孔75を規定する一方の一端61の円筒内周面76に夫々摺動自在に接触しており、而して、軸受ブッシュ1aの円筒状部5は、円柱本体66に対する軸心Oの周りでの連結部材51の相対的な方向Rの回転を確保するべく、円柱本体66と一方の一端61の円筒内周面76との間に介在されて円柱本体66に装着されている。
【0033】
軸受ブッシュ1aの鍔部6は、少なくともその平坦面36で一方の一端62の側面81に、その先端部32の平坦面42の円環状の外周縁82で一方の一端61の側面83に夫々押圧接触されて、軸方向Aにおける一方の一端61の側面83と一方の一端62の側面81との間の隙間84に、締め付けナット70のねじ部68への螺合に起因する軸方向Aの締め付け力により弾性変形されて配されている。
【0034】
軸受ブッシュ1bの円筒状部5及び鍔部6は、軸受ブッシュ1aの円筒状部5及び鍔部6と同様にして、他方の一端61及び62と円柱本体66との間に配されている。
【0035】
以上の連結機構53によれば、連結部材52の一端62の夫々は、軸方向Aにおいて鍔部6を介して連結部材51の一端61の夫々に押し付けられるようになっているために、連結部材52に対する連結部材51の軸方向Aの激しい相対的な移動は、鍔部6の弾性変形で緩衝される結果、連結部材51の一端61と連結部材52の一端62との急激な衝突又は円柱本体66に対する連結部材51の急激な軸方向Aの滑りを回避でき、而して、衝突又は滑りに起因する異音の発生をなくし得て、乗員に不安感を生じさせることがない。
【0036】
図4に示す連結機構53には、二つの軸受ブッシュ1a及び1bの夫々に軸受ブッシュ1を用いたが、これに代えて、軸受ブッシュ1a及び1bのうちの一方に軸受ブッシュ1を、軸受ブッシュ1a及び1bのうちの他方に、弾性変形しない鍔付ブッシュを用いてもよい。
【0037】
ところで、上記の軸受ブッシュ1の鍔部6においては、湾曲基部31は、平坦面36を有しており、先端部32は、平坦面41及び42を夫々有して湾曲基部31から端部3に向って傾斜して伸びているが、これに代えて、
図6に示すように、湾曲基部31は、円筒状内面21から連続して伸びた湾曲凸面35と、湾曲凸面35から連続して伸びていると共に湾曲凸面35と同一の曲率を有した他の湾曲凸面101とを具備していてもよく、また、先端部32は、湾曲基部31から端部3に向って湾曲して伸びて、円筒状部5の一方の端部2側、即ち、湾曲凸面101側に、当該湾曲凸面101に連続して伸びた湾曲凸面102を有する一方、端部3側、即ち、湾曲凹面37側に、当該湾曲凹面37に連続して伸びていると共に湾曲凹面37と同一の曲率を有した他の湾曲凹面103を有していてもよい。
【0038】
図6に示す軸受ブッシュ1によっても、鍔部6への軸方向Aの押圧挟持力で、鍔部6が弾性変形される結果、例えば、連結部材52の一端62の円柱本体66に対しての軸方向Aの激しい移動を緩衝し、衝突又は滑りを回避でき、而して、衝突又は滑りに起因する異音の発生をなくし得て、乗員に不安感を生じさせることがないようにし得る。
【符号の説明】
【0039】
1 軸受ブッシュ
2、3 端部
4 スリット
5 円筒状部
6 鍔部
31 湾曲基部
32 先端部