【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)「歩行者事故削減のためのGPSと車両からの情報を用いた歩行者位置精度向上の提案」平成26年度 国立大学法人電気通信大学 情報・通信工学科 コンピュータサイエンスコース 卒研計画発表会 平成26年10月3日発表
【解決手段】位置測定装置は、衛星から送信される測位信号を受信して、測位信号を送信した衛星の位置および距離を計測する衛星信号受信部と、車両の位置を少なくとも含む位置情報メッセージの送信に用いられる通信信号を受信する通信信号受信部と、通信信号を受信した際の信号強度に応じて、位置情報メッセージを送信した車両との距離を推定する推定部と、衛星信号受信部により計測された衛星の位置および距離、位置情報メッセージに含まれる車両の位置、並びに、推定部により推定された車両との距離に基づいて、位置測定装置自身の位置を測定する測位部とを備える。本技術は、例えば、衛星、車両、および位置測定装置からなる位置測定システムに適用できる。
前記通信信号受信部は、無線通信を行う無線機から送信される、前記無線機自身を識別する識別情報を少なくとも含むビーコンメッセージの送信に用いられる通信信号を受信し、ネットワークを介して接続されるサーバ装置のデータベースから、前記識別情報により識別される前記無線機の位置を取得し、
前記推定部は、前記通信信号を受信した際の信号強度に応じて、前記ビーコンメッセージを送信した前記無線機との距離を推定し、
前記測位部は、前記通信信号受信部により取得された前記無線機の位置、および、前記推定部により推定された前記無線機との距離をさらに用いて、前記位置測定装置自身の位置を測定する
請求項1に記載の位置測定装置。
前記測位部は、前記衛星の距離を計測する際の計測誤差、および、前記車両の距離を推定する際の距離推定誤差を推測し、前記計測誤差および前記距離推定誤差の分散値に従って重み付けを行って、前記位置測定装置の位置を測定する
請求項1乃至4のいずれかに記載の位置測定装置。
前記車両は、前記無線機から送信される前記ビーコンメッセージの送信に用いられる通信信号を受信し、前記通信信号を受信した際の信号強度に応じて、前記ビーコンメッセージを送信した前記無線機との距離を推定し、前記無線機の識別情報、前記無線機との距離、および前記車両自身の位置を含む計測メッセージを、ネットワークを介して接続される前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は、前記車両から送信されてくる前記計測メッセージに基づいて、前記無線機の位置を推定して、前記無線機の識別情報に対応付けて前記データベースに登録する
請求項8または9に記載の位置測定システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本技術を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は、本技術を適用した位置測定システムの第1の実施の形態の構成例を示す図である。
【0016】
図1の位置測定システム11において、歩行者により携帯される位置測定装置12は、複数個のGPS衛星13からの測位信号を受信するのに加えて、複数台の車両14と通信を行うことで、より高精度に位置の測定を行うことができる。
図1の例では、位置測定装置12は、4個のGPS衛星13−1乃至13−4からの測位信号を受信し、7台の車両14−1乃至14−7と通信を行っている。
【0017】
位置測定装置12は、歩行者が携帯する端末、例えば、小学生または高齢者の位置監視用のGPS端末や、インターネット通信用のタブレット端末、スマートフォン等が備える位置情報端末の一機能として提供される。なお、位置測定装置12の詳細な構成については、
図4を参照して後述する。
【0018】
GPS衛星13−1乃至13−4は、位置の測定に利用するための測位信号を送信する。なお、以下適宜、GPS衛星13−1乃至13−4それぞれを区別する必要がない場合、単に、GPS衛星13と称する。
【0019】
車両14−1乃至14−7は、GPS衛星13を利用した位置測定と、ジャイロセンサや加速度センサなどの各種のセンサによる計測結果から開始場所、移動速度、および移動方向に基づいて位置を推定する演算処理(Dead Reckoning)とを組み合わせて測位を行う技術により、位置測定装置12よりも正確に位置情報を算出することができる。車両14−1乃至14−7における位置測定機能は、車両盗難防止用のGPS装置や車両に固定搭載または着脱可能に備え付けられるカーナビ等が備える一機能として提供される。なお、以下適宜、車両14−1乃至14−7それぞれを区別する必要がない場合、単に、車両14と称する。また、
図1では、7台の車両14−1乃至14−7を図示しているが、車両14は1台以上あればよく、位置測定装置12の位置測位精度を高めるには、車両14は2台以上であることが望ましい。
【0020】
このように構成される位置測定システム11において利用される車両14は、安全運転支援のために、互いの位置情報を交換するための車両14どうしの間で通信(以下、車車間通信と称する)を行うための通信装置を固定搭載または着脱可能に備える。例えば、車両14それぞれは、車車間通信において、タイプ=車両、車両ID(Identification)、車両位置、測位時刻、および車両速度を含む位置情報メッセージを周期的に送信する。同様に、位置測定装置12は、タイプ=歩行者、装置ID、装置位置、および測位時刻を含む位置情報メッセージを周期的に送信する。このとき、位置測定装置12および車両14は、通信パケットの衝突を回避するために、ランダムバックオフ機能によって、それぞれ送信タイミングをランダムにずらして位置情報メッセージを送信する。このため、位置情報メッセージは測位時点と異なるタイミングで送信されることになる。
【0021】
ここで、位置測定装置12が、ランダムな送信タイミングで送信される車両14−1乃至14−7すべてからのメッセージを、100ms以内に完全に受信すると仮定する。例えば、歩行者の速度が5km/hである場合には、100msの間で歩ける距離は0.15m以下であることより、車両14−1乃至14−7すべてからのメッセージを受信する間、歩行者の位置は、ほぼ固定されたものとみなすことができる。
【0022】
また、位置測定装置12は、GPSモジュールを使って車両14とほぼ時間同期している。なお、位置測定装置12および車両14の同期誤差が1ms以下である場合、車両14が100km/hで走行していたとしても、同期誤差が距離の誤差に与える影響は0.03m以下である。そして、車両14の位置情報メッセージに測位時刻が含まれていることより、位置測定装置12は、受信時刻と車両14の測位時刻との差分、車両速度、および移動方向を用いて、車両14から位置情報メッセージを受信した時の車両位置を算出することができる。
【0023】
以上のように、位置測定システム11では、位置測定装置12は、車両14−1乃至14−7の車車間通信で送受信される位置情報メッセージを受信し、位置情報メッセージを受信した車両14−1乃至14−7の車両位置を推定する。さらに、位置測定装置12は、位置情報メッセージを送信する通信信号(例えば、無線LAN(Local Area Network)信号)を利用して、位置情報メッセージを受信した車両14−1乃至14−7との距離を推定する。
【0024】
従って、位置測定装置12は、車両14−1乃至14−7の車両位置および距離に基づいて、位置測定装置12を携帯する歩行者の位置を推定することができる。このとき、車両14の台数が多いほど、歩行者の位置を推定する精度を向上させることができる。さらに、位置測定装置12は、このようにして求めた位置を、GPS測位と一緒に使用することで、歩行者の測位精度のさらなる向上を図ることができる。
【0025】
ところで、通信信号による距離推定は、通信信号を受信した際の信号強度と距離の関係に基づいて実現することができるが、電波の反射の影響を受けやすいという欠点がある。
【0026】
例えば、
図2に示すように、車両14から送信される通信信号は、車両14から位置測定装置12に直接的に届く直接波として、または、建造物15−1および15−2に反射した間接波として、位置測定装置12において受信される。このように、通信信号は、複数の経路を経由して、車両14から位置測定装置12に届くことになる。
【0027】
また、
図3には、
図2に示したような複数の経路を経由した通信信号の振幅(信号の強さ)と、その到着時間を表すチャネル状態情報が示されている。このチャネル状態情報は、専用の無線装置によって直接的に計測することができる。また、市販の無線LANカードなどのOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を利用して周波数軸のチャネルレスポンスを得ることもでき、逆フーリエ変換することにより、チャネル状態情報も算出することができる。
【0028】
例えば、
図3Aに示すように、直接波成分がある場合、直接波成分は、どの反射波よりも早く到着し、かつ、反射による減衰がないため、後続の反射波よりも非常に振幅が大きく(信号が強い)なる。これに対し、
図3Bに示すように、直接波成分がない場合、一番早く到着した信号も反射波であるため、後続の反射波とは、信号の強さで区別することは困難である。
【0029】
そこで、「一番早く到着した信号の強さ」と「その後到着した信号のうち一番強い信号の強さ」の比率が一定閾値を超える場合、それを直接波として認識し、距離の推定に使用することができる。または、直接波成分ありと直接波成分なしとの、それぞれのチャネル状態情報を用いて、SVM(support vector machine)などのモデルを訓練し、通信信号のチャネル状態情報から直接波が含まれているかどうかを識別することができる。以下で説明するように、位置測定装置12では、車両14との距離の推定に、直接波の強さから選択された通信信号の直接波成分が用いられ、電波の距離減衰特性を基に、距離が算出される。
【0030】
次に、
図4は、位置測定装置12の構成例を示すブロック図である。
【0031】
図4に示すように、位置測定装置12は、GPSアンテナ21、通信アンテナ22、衛星信号受信装置23、通信信号受信装置24、および測位処理装置25を備えて構成される。
【0032】
GPSアンテナ21は、GPS衛星13から送信されてくる測位信号(電磁波)を、電気信号に変換して衛星信号受信装置23に供給する。なお、現実には、複数個のGPS衛星13が地球の周りに存在しているが、都心部ではビルが隣接し空が開けていないため、GPSアンテナ21は1つのGPS衛星13から送信されてくる測位信号(電磁波)しか受信できない場合もある。
【0033】
通信アンテナ22は、車両14が位置情報メッセージの送信に用いる通信信号(電磁波)を、電気信号に変換して通信信号受信装置24に供給する。
【0034】
衛星信号受信装置23は、GPSアンテナ21を介して供給されるGPS衛星13の測位信号を受信する。そして、衛星信号受信装置23は、例えば、GPS衛星13−k(k:GPS衛星13のインデックス)からの測位信号からデコードして得られるGPS衛星13−kの軌道暦を用いた位置演算を行うことで、GPS衛星13−kの衛星位置R
k=(X
Rk,Y
Rk,Z
Rk)
Tを算出することができる。さらに、衛星信号受信装置23は、GPS衛星13−kの測位信号の送信時刻と受信時刻との差に従って、GPS衛星13との疑似距離を計測することができる。従って、n個のGPS衛星13−1乃至13−nから送信された測位信号を受信した場合、衛星信号受信装置23は、GPS衛星13−1乃至13−nそれぞれの衛星位置R
1乃至R
nおよび疑似距離P
1乃至P
nを求めて、測位処理装置25に供給する。
【0035】
通信信号受信装置24は、通信アンテナ22を介して供給される通信信号をデコードすることにより車両14の位置情報メッセージを取得して、測位処理装置25に供給する。また、通信信号受信装置24は、上述した
図3に示したような、通信信号の到着時間ごとの強さ(チャネル状態情報)を計測して、通信信号の強さを測位処理装置25に供給する。
【0036】
測位処理装置25は、衛星信号受信装置23から供給される衛星位置R
1乃至R
nおよび疑似距離P
1乃至P
n、並びに、通信信号受信装置24から供給される位置情報メッセージおよび通信信号の強さに基づいて、位置測定装置12の位置を測定する測位処理を行う。なお、測位処理装置25は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(例えば、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory))などを備えたコンピュータにより構成され、ROMまたはフラッシュメモリに記憶されているプログラムをRAMにロードして実行することで、測位処理を実行する機能ブロックが構成される。
【0037】
即ち、図示するように、測位処理装置25は、機能ブロックとして、信号識別選択部31、推定部32、および測位部33を備えて構成される。
【0038】
信号識別選択部31は、通信信号受信装置24から供給される通信信号の強さ(チャネル状態情報)に基づいて、
図2および
図3を参照して上述したように、車両14との距離を求めるのに使用することができる直接波が含まれる通信信号を識別する。そして、信号識別選択部31は、通信信号受信装置24が受信した通信信号のうち、直接波が含まれる通信信号を選択して、その通信信号により送信された位置情報メッセージを推定部32に供給する。さらに、信号識別選択部31は、選択した通信信号に含まれる直接波の強さを、推定部32に供給する。
【0039】
推定部32は、信号識別選択部31から供給される位置情報メッセージに基づいて、その位置情報メッセージを送信した車両14の車両位置を推定する。例えば、推定部32は、位置情報メッセージに含まれる車両位置、車両速度、および測位時刻と、位置情報メッセージを受信した受信時刻とに基づいて、次の式(1)を演算することにより、送受信時の車両位置を推定する。
【0041】
例えば、推定部32は、車両14−i(i:車両14のインデックス)からの位置情報メッセージに基づいて、送受信時の車両位置M
i=(X
Mi,Y
Mi,Z
Mi)
Tを推定する。さらに、推定部32は、信号識別選択部31から供給される通信信号に含まれる直接波の強さに基づいて、車両14−iとの距離D
iを推定することができる。従って、m台の車両14−1乃至14−mから送信された位置情報メッセージを受信した場合、推定部32は、車両14−1乃至14−mそれぞれの車両位置M
1乃至M
mおよび距離D
1乃至D
mを推定して、測位部33に供給する。
【0042】
測位部33は、衛星信号受信装置23により算出されたGPS衛星13−1乃至13−nそれぞれの衛星位置R
1乃至R
nおよび疑似距離P
1乃至P
n、並びに、推定部32により推定された車両14−1乃至14−mそれぞれの車両位置M
1乃至M
mおよび距離D
1乃至D
mに基づいて、位置測定装置12の位置を算出する。
【0043】
例えば、衛星位置R
1乃至R
nおよび疑似距離P
1乃至P
nは、位置測定装置12の位置rおよび位置測定装置12の時刻誤差に相当する距離誤差δを用いて、次の式(2)により表される。
【0045】
同様に、車両位置M
1乃至M
mおよび距離D
1乃至D
mは、位置測定装置12の位置rを用いて、次の式(3)により表される。
【0047】
従って、測位部33は、式(2)および式(3)を最も満足するような位置rを求めることで、位置測定装置12の位置を決定することができる。例えば、測位部33は、GPS衛星13および車両14の合計数が4以上であれば、位置rを求めることができ、その合計数が多くなる程、測位精度を向上させることができる。
【0048】
さらに、例えば、測位部33は、式(2)および式(3)に対し、GPS衛星13の疑似距離Pを計測する際の計測誤差、および、車両14の距離Dを推定する際の距離推定誤差を推測し、計測誤差および距離推定誤差の分散値に従って重み付けを行うことで、より正確に位置測定装置12の位置を算出することができる。
【0049】
次に、
図5および
図6を参照して、位置測定システム11において実行される処理について説明する。
【0050】
図5は、車両14において行われる処理を説明するフローチャートである。
【0051】
例えば、車両14が備える安全運転支援システムが起動すると処理が開始され、ステップS11において、車両14は、位置情報メッセージの送信を行う送信タイミングになったか否かを判定し、送信タイミングになったと判定するまで処理を待機する。車両14には、位置情報メッセージの送信を周期的に行う一定期間が設定されており、処理を開始してから一定期間が経過したとき、または、前回の送信タイミングから一定期間が経過したとき、車両14は、送信タイミングになったと判定する。そして、車両14が、送信タイミングになったと判定した場合、処理はステップS12に進む。
【0052】
ステップS12において、車両14は、タイプ=車両、車両ID、車両位置、測位時刻、および車両速度などの情報を含む位置情報メッセージを送信する。そして、ステップS12の処理後、処理はステップS11に戻り、以下、同様の処理が繰り返されることにより、位置情報メッセージが周期的に車両14から送信される。
【0053】
図6は、位置測定装置12において行われる処理を説明するフローチャートである。
【0054】
例えば、位置測定装置12の位置を測定する処理を開始するように、図示しない上位の制御装置による制御が行われると処理が開始される。ステップS21において、衛星信号受信装置23は、GPS衛星13−1乃至13−nから送信されてくる測位信号を、GPSアンテナ21を経由して受信する。そして、衛星信号受信装置23は、上述したように、GPS衛星13−1乃至13−nそれぞれの衛星位置R
1乃至R
nおよび疑似距離P
1乃至P
nを求めて、測位処理装置25の測位部33に供給する。
【0055】
ステップS22において、通信信号受信装置24は、車両14から位置情報メッセージが送信されてきたか否かを判定する。例えば、位置測定装置12と通信を行うことが可能な距離にある近隣の車両14において位置情報メッセージの送信を行う送信タイミングとなり、位置情報メッセージが送信(
図5のステップS12)されると、通信信号受信装置24は、車両14から位置情報メッセージが送信されてきたと判定する。
【0056】
ステップS22において、通信信号受信装置24が車両14から位置情報メッセージが送信されてきたと判定した場合、処理はステップS23に進む。
【0057】
ステップS23において、通信信号受信装置24は、車両14から送信されてくる位置情報メッセージを、通信アンテナ22を介して受信し、測位処理装置25の信号識別選択部31に供給する。これにより、信号識別選択部31は、通信信号受信装置24が受信した通信信号のうち、直接波が含まれる通信信号を選択して、その通信信号により送信された位置情報メッセージと、その通信信号の直接波の強さとを、推定部32に供給する。そして、推定部32は、上述したように、車両14−1乃至14−mそれぞれの車両位置M
1乃至M
mおよび距離D
1乃至D
mを推定して、測位部33に供給する。
【0058】
ステップS24において、測位部33は、ステップS21で受信した測位信号から求められた衛星位置R
1乃至R
nおよび疑似距離P
1乃至P
n、並びに、ステップS23で受信した位置情報メッセージから推定された車両位置M
1乃至M
mおよび距離D
1乃至D
mに基づいて、上述の式(2)および式(3)を用いて、位置測定装置12の位置rを算出する。
【0059】
一方、ステップS22において、通信信号受信装置24が車両14から位置情報メッセージが送信されてきていないと判定した場合、処理はステップS25に進む。即ち、この場合、位置情報メッセージを送信する車両14が位置測定装置12の近隣に存在せず、ステップS25において、測位部33は、ステップS21で受信した測位信号から求められた衛星位置R
1乃至R
nおよび疑似距離P
1乃至P
nだけで、位置測定装置12の位置rを算出する。
【0060】
そして、ステップS24またはS25の処理後、処理はステップS21に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0061】
以上のように、位置測定システム11では、複数個のGPS衛星13からの測位信号に加えて、複数台の車両14からの位置情報メッセージを用いることで、位置測定装置12の位置を測定する測位精度のさらなる向上を図ることができる。
【0062】
次に、
図7および
図8を参照して、本技術を適用した位置測定システムの第2の実施の形態の構成例について説明する。
【0063】
図7に示すように、位置測定システム11Aでは、車両14は、ネットワーク41を介してサーバ装置42と通信を行うことができ、路側に配置される複数個のアクセスポイント51の位置情報が車両14によりサーバ装置42に蓄積される。
【0064】
そして、
図8に示すように、位置測定システム11Aでは、位置測定装置12は、通信を行うことが可能な距離にある近隣の車両14が少なくても、複数個のアクセスポイント51の位置情報を利用することで、より高精度に位置の測定を行うことができる。
【0065】
なお、
図7および
図8の例では、5個のアクセスポイント51−1乃至51−5の位置情報を利用して、位置測定装置12の位置が測定されており、以下適宜、アクセスポイント51−1乃至51−5それぞれを区別する必要がない場合、単に、アクセスポイント51と称する。また、サーバ装置42として、専用装置を用意する他、例えば、いずれか1個のアクセスポイント51をサーバ装置42として利用してもよい。
【0066】
例えば、都市部では、無線LANにより通信を行う無線機であるアクセスポイント51を、路側機の一種として路側に設置することが増加している。但し、アクセスポイント51は、位置情報の計測が行われていないため、設置された位置を手動で計測するにはコストを要することになる。
【0067】
そこで、位置測定システム11Aにおいて、車両14は、アクセスポイント51がビーコンメッセージを送信するのに用いる通信信号を受信して信号識別選択を行い、直接波がある場合、その通信信号の直接波の受信強度に基づいてアクセスポイント51までの距離を推定する。そして、車両14は、ビーコンメッセージから読み出したアクセスポイント51を認識するためのアクセスポイントID、アクセスポイント51の推定距離、および、車両14の車両位置を含むアクセスポイント計測メッセージをサーバ装置42に送信する。なお、車両14は、直接波がない場合、アクセスポイント計測メッセージの送信を行わない。
【0068】
これに応じて、サーバ装置42は、車両14の車両位置と、アクセスポイント51の推定距離とに基づいて、アクセスポイント51の位置を推定して、アクセスポイント51のアクセスポイントIDに対応付けて位置情報をデータベースに登録する。
【0069】
その後、位置測定装置12は、アクセスポイント51から送信されてくるビーコンメッセージを受信し、ビーコンメッセージに含まれているアクセスポイント51のアクセスポイントIDをサーバ装置42に送信し、位置情報を要求する。そして、サーバ装置42は、その要求に応じて、位置測定装置12から送信されたアクセスポイントIDに対応するアクセスポイント51の位置情報をデータベースから読み出して、位置測定装置12に送信する。
【0070】
これにより、位置測定装置12は、複数個のGPS衛星13からの測位信号、および、複数台の車両14からの位置情報メッセージに加えて、アクセスポイント51の位置および距離を用いて、さらに正確に位置を算出することができる。なお、サーバ装置42のデータベースにアクセスポイント51の位置情報が登録済みであれば、位置測定装置12は、車両14が近隣になくても、アクセスポイント51の位置情報を利用して、位置を算出することができる。
【0071】
次に、
図9乃至
図13を参照して、位置測定システム11Aにおいて実行される処理について説明する。
【0072】
図9は、アクセスポイント51において行われる処理を説明するフローチャートである。
【0073】
例えば、アクセスポイント51が起動すると処理が開始され、ステップS31において、アクセスポイント51は、ビーコンメッセージの送信を行う送信タイミングになったか否かを判定し、ビーコンメッセージになったと判定するまで処理を待機する。アクセスポイント51には、ビーコンメッセージの送信を周期的に行う一定期間が設定されており、処理を開始してから一定期間が経過したとき、または、前回の送信タイミングから一定期間が経過したとき、アクセスポイント51は、送信タイミングになったと判定する。そして、アクセスポイント51が、送信タイミングになったと判定した場合、処理はステップS32に進む。
【0074】
ステップS32において、アクセスポイント51は、アクセスポイント51のアクセスポイントIDを含むビーコンメッセージを送信する。そして、ステップS32の処理後、処理はステップS31に戻り、以下、同様の処理が繰り返されることにより、ビーコンメッセージが周期的にアクセスポイント51から送信される。
【0075】
図10は、車両14において行われる処理を説明するフローチャートである。
【0076】
例えば、車両14が備える安全運転支援システムが起動すると処理が開始される。ステップS41において、車両14は、アクセスポイント51からビーコンメッセージが送信されてきたか否かを判定する。例えば、車両14と通信を行うことが可能な距離にある近隣のアクセスポイント51においてビーコンメッセージの送信を行う送信タイミングとなり、ビーコンメッセージが送信(
図9のステップS32)されると、車両14は、アクセスポイント51からビーコンメッセージが送信されてきたと判定する。
【0077】
ステップS41において、車両14が、アクセスポイント51からビーコンメッセージが送信されてきたと判定した場合、処理はステップS42に進む。
【0078】
ステップS42において、車両14は、アクセスポイント51から送信されてくるビーコンメッセージを受信する。そして、車両14は、ビーコンメッセージの送信に利用される送信信号の直接波の強さに基づいて、ビーコンメッセージを送信したアクセスポイント51との距離を推定する。
【0079】
ステップS43において、車両14は、ビーコンメッセージから読み出したアクセスポイント51のアクセスポイントID、アクセスポイント51の推定距離、および、車両14の車両位置を含むアクセスポイント計測メッセージを、ネットワーク41を介してサーバ装置42に送信する。
【0080】
ステップS43の処理後、または、ステップS41でアクセスポイント51からビーコンメッセージが送信されてきていないと判定された場合、処理はステップS44に進む。
【0081】
ステップS44およびS45において、車両14は、
図5のステップS11およびS12と同様に、位置情報メッセージを周期的に送信する処理を行った後、処理はステップS41に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0082】
図11は、サーバ装置42において行われる処理を説明するフローチャートである。
【0083】
ステップS51において、サーバ装置42は、車両14からアクセスポイント計測メッセージが送信されてきたか否かを判定する。例えば、
図10のステップS43で車両14がアクセスポイント計測メッセージを送信すると、サーバ装置42は、車両14からアクセスポイント計測メッセージが送信されてきたと判定し、処理はステップS52に進む。
【0084】
ステップS52において、サーバ装置42は、車両14から送信されてくるアクセスポイント計測メッセージを受信し、アクセスポイント51のアクセスポイントID、アクセスポイント51の推定距離、および、車両14の車両位置を保存する。
【0085】
ステップS53において、サーバ装置42は、アクセスポイント51が固定であることより、アクセスポイント51ごとに対して、複数の車両14から受信したアクセスポイント計測メッセージに基づいて、アクセスポイント51の位置を推定する。例えば、アクセスポイント51の位置は、上述の式(3)を用いて、車両14−iの車両位置M
i、および、アクセスポイント51と車両14−iとの距離D
iを用いて、アクセスポイント51の位置rを推定することができる。そして、サーバ装置42は、推定した位置rを、アクセスポイント51のアクセスポイントIDに対応付けて、アクセスポイント位置情報としてデータベースに保存する。
【0086】
そして、ステップS53の処理後、または、ステップS51において車両14からアクセスポイント計測メッセージが送信されてきていないと判定された場合、処理はステップS54に進む。
【0087】
ステップS54において、サーバ装置42は、位置測定装置12からアクセスポイントIDが送信されてきたか否かを判定する。例えば、後述する
図12のステップS66において位置測定装置12がアクセスポイントIDを送信した場合に、サーバ装置42は、位置測定装置12からアクセスポイントIDが送信されてきたと判定し、処理はステップS55に進む。
【0088】
ステップS55において、サーバ装置42は、位置測定装置12から送信されてくるアクセスポイントIDを受信して、そのアクセスポイントIDに対応づけられているアクセスポイント位置情報を、データベースから検索する。そして、サーバ装置42は、検索結果として得られたアクセスポイント位置情報を、位置測定装置12に送信する。
【0089】
ステップS55の処理後、または、ステップS54において位置測定装置12からアクセスポイントIDが送信されてきていないと判定された場合、処理はステップS51に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0090】
図12および
図13は、位置測定装置12において行われる処理を説明するフローチャートである。
【0091】
例えば、位置測定装置12の位置を測定する処理を開始するように、図示しない上位の制御装置による制御が行われると処理が開始される。ステップS61乃至S63において、位置測定装置12は、
図6のステップS21乃至S23と同様の処理を行う。
【0092】
ステップS63の処理後、処理はステップS64に進み、通信信号受信装置24は、アクセスポイント51からビーコンメッセージが送信されてきたか否かを判定する。例えば、位置測定装置12と通信を行うことが可能な距離にある近隣のアクセスポイント51においてビーコンメッセージの送信を行う送信タイミングとなり、ビーコンメッセージが送信(
図9のステップS32)されると、位置測定装置12は、アクセスポイント51からビーコンメッセージが送信されてきたと判定する。
【0093】
ステップS64において、位置測定装置12が、アクセスポイント51からビーコンメッセージが送信されてきたと判定した場合、処理はステップS65に進む。
【0094】
ステップS65において、位置測定装置12は、アクセスポイント51から送信されてくるビーコンメッセージを受信する。そして、位置測定装置12は、ビーコンメッセージの送信に利用される送信信号の直接波の強さに基づいて、ビーコンメッセージを送信したアクセスポイント51との距離を推定する。なお、このとき、位置測定装置12は、上述したように、直接波成分が含まれる通信信号を選択して、アクセスポイント51との距離の推定に用いる。
【0095】
ステップS66において、位置測定装置12は、ステップS64で受信したビーコンメッセージに含まれているアクセスポイント51のアクセスポイントIDを、ネットワーク41を介してサーバ装置42に送信する。
【0096】
このアクセスポイントIDの送信に応じて、
図11のステップS55でサーバ装置42がアクセスポイント位置情報を送信すると、ステップS67において、位置測定装置12は、アクセスポイント位置情報を受信する。
【0097】
ステップS68において、位置測定装置12は、ステップS61で受信した測位信号から求められた衛星位置Rおよび疑似距離P、ステップS63で受信した位置情報メッセージから推定された車両位置Mおよび距離D、および、ステップS65で推定したアクセスポイント51との距離、ステップS67で受信したアクセスポイントの位置情報に基づいて、上述の式(2)および式(3)を用いて、位置測定装置12の位置rを算出する。
【0098】
一方、ステップS64において、アクセスポイント51からビーコンメッセージが送信されてきていないと判定された場合、処理はステップS69に進む。ステップS69において、位置測定装置12は、ステップS61で受信した測位信号、および、ステップS63で受信した位置情報メッセージから推定された車両位置Mおよび距離Dに基づいて、上述の式(2)および式(3)を用いて、位置測定装置12の位置rを算出する。
【0099】
一方、ステップS62において、車両14から位置情報メッセージが送信されてきていないと判定された場合、処理は
図13のステップS71に進む。
【0100】
ステップS71において、通信信号受信装置24は、
図12のステップS64と同様に、アクセスポイント51からビーコンメッセージが送信されてきたか否かを判定する。ステップS71において、位置測定装置12が、アクセスポイント51からビーコンメッセージが送信されてきたと判定した場合、処理はステップS72に進む。
【0101】
そして、ステップS72乃至S74において、
図12のステップS65乃至S67と同様の処理が行われた後、ステップS75において、位置測定装置12は、ステップS61で受信した測位信号、および、ステップS72で推定したアクセスポイント51との距離、ステップS74で受信したアクセスポイントの位置情報に基づいて、上述の式(2)および式(3)を用いて、位置測定装置12の位置rを算出する。
【0102】
一方、ステップS71において、アクセスポイント51からビーコンメッセージが送信されてきていないと判定された場合、処理はステップS76に進む。この場合、ステップS76において、位置測定装置12は、ステップS61で受信した測位信号から求められた衛星位置Rおよび疑似距離Pだけで、位置測定装置12の位置rを算出する。
【0103】
そして、ステップS68,S69,S75、またはS76の処理後、処理はステップS61に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0104】
以上のように、位置測定システム11Aでは、アクセスポイント51の位置および距離も利用して、位置測定装置12の位置を算出することができるので、
図1の位置測定システム11よりも、さらに高精度に位置測定装置12の位置を測定することができる。
【0105】
なお、位置測定システム11Aでは、位置測定装置12により自身の位置を算出するのに替えて、サーバ装置42において、位置測定装置12の位置(測位信号および位置情報メッセージの受信位置)を算出することができる。
【0106】
図14乃至
図16を参照して、位置測定システム11Aにおいて行われる処理の変形例について説明する。
【0107】
図14および
図15は、位置測定装置12において行われる処理の変形例を説明するフローチャートである。
【0108】
ステップS81乃至S85において、位置測定装置12は、
図12のステップS61乃至S65と同様の処理を行う。
【0109】
そして、ステップS86において、位置測定装置12は、自身の位置を測定するのに必要な測位情報を、ネットワーク41を介してサーバ装置42に送信する。ここで、位置測定装置12が送信する測位情報には、ステップS81で受信した測位信号から求められたGPS衛星13の個数に応じた衛星位置Rおよび疑似距離P、ステップS83で受信した位置情報メッセージから推定された車両14の台数に応じた車両位置Mおよび距離D、ステップS85で受信したアクセスポイント51の台数に応じたビーコンメッセージに含まれているアクセスポイントID、および、そのビーコンメッセージから推定されたアクセスポイント51との距離が含まれる。
【0110】
ステップS87において、位置測定装置12は、ステップS86で送信した測位情報に基づいてサーバ装置42において測位演算が行われ、位置測定装置12の位置情報が送信(後述の
図16のステップS106)されると、位置情報を受信する。
【0111】
また、ステップS84において、アクセスポイント51からビーコンメッセージが送信されてきていないと判定された場合、処理はステップS88に進み、位置測定装置12は、測位情報をサーバ装置42に送信する。この場合、位置測定装置12が送信する測位情報には、ステップS81で受信した測位信号から求められたGPS衛星13の個数に応じた衛星位置Rおよび疑似距離P、および、ステップS83で受信した位置情報メッセージから推定された車両14の台数に応じた車両位置Mおよび距離Dが含まれる。
【0112】
ステップS89において、位置測定装置12は、ステップS88で送信した測位情報に基づいてサーバ装置42において測位演算が行われ、位置測定装置12の位置情報が送信(後述の
図16のステップS106)されると、位置情報を受信する。
【0113】
一方、ステップS82において、車両14から位置情報メッセージが送信されてきていないと判定された場合、処理は
図15のステップS91に進む。
【0114】
ステップS91において、通信信号受信装置24は、
図14のステップS84と同様に、アクセスポイント51からビーコンメッセージが送信されてきたか否かを判定する。ステップS91において、位置測定装置12が、アクセスポイント51からビーコンメッセージが送信されてきたと判定した場合、処理はステップS92に進む。
【0115】
そして、ステップS92において、位置測定装置12は、アクセスポイント51から送信されてくるビーコンメッセージを受信し、ビーコンメッセージを送信したアクセスポイント51との距離を推定して、ステップS93において、測位情報を送信する。この場合、ステップS93で送信される測位情報には、ステップS81で受信した測位信号から求められたGPS衛星13の個数に応じた衛星位置Rおよび疑似距離P、ステップS92で受信したアクセスポイント51の台数に応じたビーコンメッセージに含まれているアクセスポイントID、および、そのビーコンメッセージから推定されたアクセスポイント51との距離が含まれる。
【0116】
ステップS94において、位置測定装置12は、
図14のステップS87と同様に、位置情報を受信する。
【0117】
一方、ステップS91において、アクセスポイント51からビーコンメッセージが送信されてきていないと判定された場合、処理はステップS95に進む。この場合、ステップS95において、位置測定装置12は、ステップS81で受信した測位信号から求められた衛星位置Rおよび疑似距離Pだけで、位置測定装置12の位置rを算出する。
【0118】
そして、ステップS87,S89,S94、またはS95の処理後、処理はステップS81に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0119】
図16は、サーバ装置42において行われる処理の変形例を説明するフローチャートである。
【0120】
ステップS101乃至S103において、サーバ装置42は、
図11のステップS51乃至S53と同様の処理を行う。
【0121】
そして、ステップS104において、サーバ装置42は、位置測定装置12から測位情報が送信されてきたか否かを判定する。上述したように、
図14のステップS86またはS88、或いは、
図15のステップS93において位置測定装置12が測位情報を送信すると、サーバ装置42は、位置測定装置12から測位情報が送信されてきたと判定し、処理はステップS105に進む。
【0122】
ステップS105において、サーバ装置42は、位置測定装置12から送信されてくる測位情報を受信して、測位情報に基づいて、アクセスポイントIDの位置をデータベースから探し出し、さらに、位置測定装置12の位置を算出する測位演算を行う。即ち、上述した
図12のステップS68またはS69、或いは、
図13のステップS75において位置測定装置12で行っていた処理を、サーバ装置42において行い、位置測定装置12の位置を算出する。
【0123】
ステップS106において、サーバ装置42は、ステップS105の測位演算で求めた位置測定装置12の位置情報を、位置測定装置12に送信する。なお、サーバ装置42が送信した位置測定装置12の位置情報は、
図14のステップS87またはS89、或いは、
図15のステップS94において、位置測定装置12によって受信される。
【0124】
ステップS106の処理後、または、ステップS104で位置測定装置12から測位情報が送信されてきていないと判定された場合、処理はステップS101に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0125】
以上のように、位置測定システム11Aでは、例えば、位置測定装置12よりも処理能力の高いサーバ装置42において位置測定装置12の位置を算出することで、システム全体として、より高速に処理を行うことができる。また、ステップS81の測位信号の受信は必須ではなく、位置測定装置12は、例えば、測位信号を受信せずにステップS87でサーバ装置41から位置情報(測位信号以外の位置情報メッセージおよびビーコンメッセージから求められる位置情報)を受信することもできる。この場合、例えば、位置測定装置12において、
図4の測位部33を設ける必要がなく、位置測定装置12の構成を簡易化することができる。また、処理能力が低い位置測定装置12であっても、より高精度に位置を求めることができる。
【0126】
なお、位置測定システム11および11Aでは、位置測定装置12の位置を求める際に、適切な座標系を適宜選択して測位演算を行ってもよい。例えば、GPSに基づいたグローバルな座標系でなく、位置測定装置12の近傍を基準としたローカルな座標系を選択することで、測位演算を簡易化することができ、測位演算における誤差の発生を抑制することができる。
【0127】
また、上述したように、位置測定装置12では、推定部32が、位置情報メッセージに含まれる車両位置、車両速度、および測位時刻と、位置情報メッセージを受信した受信時刻とに基づいて送受信時の車両位置を推定し、位置測定装置12の位置の算出に用いている。この他、例えば、位置情報メッセージに含まれる車両位置を、そのまま位置測定装置12の位置の算出に用いてもよい。
【0128】
以上のように、位置測定システム11および11Aでは、位置測定装置12の測位精度を向上させることができるので、歩車間通信を介して正確な位置情報を車両14に送信することで、例えば、見通しの効かない場所であっても、位置測定装置12を携帯する歩行者と車両14との距離を正確に算出することができる。これにより、車両14において、歩行者との距離に従った注意喚起を行うことができ、交通事故から歩行者を保護することができる。このとき、位置測定装置12の位置を高精度に算出することができるので、誤った注意喚起が行われることを回避することができ、注意喚起の信頼性を向上させることができる。
【0129】
また、位置測定システム11および11Aでは、位置測定装置12を携帯する歩行者の正確な位置情報に基づいて、歩行者のコンテキストが求められる。これにより、歩車間通信により位置情報を送信する送信頻度などを制御することができ、例えば、危険性の高い歩行者からの位置情報を高優先度で車両14に送信させることができる。
【0130】
さらに、位置測定システム11および11Aは、様々な位置情報サービスに適用することができ、例えば、商店街で歩行者がよく訪れる店を通過するとき、より高い確度で適切に、クーポンや割引情報などを送信することができる。
【0131】
なお、上述のフローチャートを参照して説明した各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。また、プログラムは、1のCPUにより処理されるものであっても良いし、複数のCPUによって分散処理されるものであっても良い。
【0132】
また、上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラムが記録されたプログラム記録媒体からインストールされる。また、本願の図は概念図であり、例えば
図4に示した位置測定装置12の信号識別選択部31、推定部32、測位部33等はソフトウエアで構成することもできるし、GPSアンテナ21と通信アンテナ22を一本のアンテナで兼用すること等もできる。
【0133】
図17は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0134】
コンピュータにおいて、CPU101,ROM102,RAM103は、バス104により相互に接続されている。
【0135】
バス104には、さらに、入出力インタフェース105が接続されている。入出力インタフェース105には、タッチパネル、ボタン、マイクロホンなどよりなる入力部106、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部107、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部108、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部109、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア111を駆動するドライブ110が接続されている。
【0136】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU101が、例えば、記憶部108に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース105及びバス104を介して、RAM103にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0137】
コンピュータ(CPU101)が実行するプログラムは、例えば、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)等)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア111に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供される。
【0138】
そして、プログラムは、リムーバブルメディア111をドライブ110に装着することにより、入出力インタフェース105を介して、記憶部108にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部109で受信し、記憶部108にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM102や記憶部108に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0139】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0140】
なお、本実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。