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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-170411(P2016-170411A)
(43)【公開日】2016年9月23日
(54)【発明の名称】近接露光装置及び近接露光方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20160826BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20160826BHJP
【FI】
   G03F7/20 501
   H01L21/68 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-43588(P2016-43588)
(22)【出願日】2016年3月7日
(31)【優先権主張番号】特願2015-47711(P2015-47711)
(32)【優先日】2015年3月10日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】500171707
【氏名又は名称】株式会社ブイ・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川島 洋徳
【テーマコード(参考)】
2H197
5F131
【Fターム(参考)】
2H197AA04
2H197CD03
2H197CD06
2H197CD07
2H197CD12
2H197CD15
2H197CD17
2H197DB31
2H197DB37
2H197DC05
2H197DC20
5F131BA13
5F131CA06
5F131DA09
5F131EA02
5F131EA14
5F131EA15
5F131EA22
5F131EA23
5F131EA24
5F131EA25
5F131EA27
5F131FA17
5F131FA37
5F131KA16
5F131KA44
5F131KA47
5F131KA72
5F131KB12
5F131KB53
(57)【要約】
【課題】予め測定されたマスクの平坦度及びワークチャックの平坦度から、マスク、基板間の面内ギャップ分布が一様になるように制御して、露光精度を向上させることができる近接露光装置及び近接露光方法を提供する。
【解決手段】上下微動装置8を制御する制御装置100は、パターンが描かれたマスクMの周縁部及び内部の複数の測定点P1〜P25で予め測定されたマスクMの下面の高さ座標C(η)と、ワーク載置面2aの高さ座標S(ξ)とから得られる複数の測定点P
1〜P25でのマスクMの下面及びワーク載置面2a間の差分C(η)−S(ξ)に
基づいて、マスクM及びワーク載置面2a間のギャップ分布Gができるだけ一様になるように、上下微動装置8を駆動制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光すべきパターンを有するマスクを支持するマスク支持部と、
被露光材としてのワークを支持するワーク載置面を有するワーク支持部と、
前記マスク又は前記ワーク載置面の傾きを調整すべく、前記マスク支持部又は前記ワーク支持部を駆動するチルト調整機構と、
前記マスク及び前記ワークとの間のギャップを測定するギャップセンサと、
前記ワークに対してパターン露光用の光を前記マスクを介して照射する照明光学系と、
前記チルト調整機構を制御する制御装置と、
を備え、前記マスクと前記ワークとを近接して対向配置した状態で、前記パターン露光用の光を前記マスクを介して前記ワークに照射して前記マスクのパターンを前記ワークに露光転写する近接露光装置であって、
前記制御装置は、前記パターンが描かれた前記マスクの周縁部及び内部の複数の測定点で予め測定された、前記マスク支持部に支持された前記マスクの下面と前記ワーク載置面との高さ座標に基づいて、前記マスク及び前記ワーク載置面間のギャップ分布ができるだけ一様になるように、前記チルト調整機構を駆動制御することを特徴とする近接露光装置。
【請求項2】
前記複数の測定点での前記マスクの下面と前記ワーク載置面の高さ座標から、最小2乗法により得られる値に基づいて、前記チルト調整機構を駆動制御することを特徴とする請求項1に記載の近接露光装置。
【請求項3】
前記マスク及び前記ワーク載置面間のギャップ分布は、前記マスクの下面の前記複数の測定点での高さ座標に基づくマスク側パラメトリック曲面と、前記ワーク載置面の前記複数の測定点での高さ座標に基づくワーク側パラメトリック曲面とを用いて算出されることを特徴とする請求項1又は2に記載の近接露光装置。
【請求項4】
前記マスク側パラメトリック曲面及び前記ワーク側パラメトリック曲面は、スプライン曲線又は線形補間によって与えられるパラメトリック曲線を組み合わせることでそれぞれ与えられ、
前記マスク側パラメトリック曲面及び前記ワーク側パラメトリック曲面は、前記マスクの下面の前記複数の測定点での高さ座標、前記ワーク載置面の前記複数の測定点での高さ座標をそれぞれ通ることを特徴とする請求項3に記載の近接露光装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記マスク側パラメトリック曲面及び前記ワーク側パラメトリック曲面が接触しないように前記チルト調整機構を駆動することを特徴とする請求項4に記載の近接露光装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記マスクの最下点を通り鉛直方向に垂直なマスク側仮想平面と、前記ワークの最上点を通り鉛直方向に垂直なワーク側仮想平面とを求め、前記マスク側仮想平面と前記ワーク側仮想平面とが交差しない様に前記チルト調整機構を駆動することを特徴とする請求項1又は2に記載の近接露光装置。
【請求項7】
前記近接露光装置は、近接ステップ露光装置であり、
前記制御装置は、ステップ露光を行う際の前記ワーク載置面の複数の露光領域ごとに、前記マスク及び前記ワーク載置面間のギャップ分布を算出して、前記マスク及び前記ワーク載置面間のギャップ分布ができるだけ一様になるように、前記チルト調整機構を駆動制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の近接露光装置。
【請求項8】
露光すべきパターンを有するマスクを支持するマスク支持部と、
被露光材としてのワークを支持するワーク載置面を有するワーク支持部と、
前記マスク又は前記ワーク載置面の傾きを調整すべく、前記マスク支持部又は前記ワーク支持部を駆動するチルト調整機構と、
前記マスク及び前記ワークとの間のギャップを測定するギャップセンサと、
前記ワークに対してパターン露光用の光を前記マスクを介して照射する照明光学系と、を備える近接露光装置を用いて、前記マスクと前記ワークとを近接して対向配置した状態で、前記パターン露光用の光を前記マスクを介して前記ワークに照射して前記マスクのパターンを前記ワークに露光転写する近接露光方法であって、
前記パターンが描かれた前記マスクの周縁部及び内部の複数の測定点で、前記マスク支持部に支持された前記マスクの下面と前記ワーク載置面との高さ座標を測定する工程と、
前記複数の測定点での前記マスクの下面及び前記ワーク載置面の高さ座標に基づいて、前記マスク及び前記ワーク載置面間のギャップ分布ができるだけ一様になるように、前記チルト調整機構を駆動制御する工程と、
を有することを特徴とする近接露光方法。
【請求項9】
前記複数の測定点での前記マスクの下面と前記ワーク載置面の高さ座標から、最小2乗法により得られる値に基づいて、前記チルト調整機構を駆動制御することを特徴とする請求項8に記載の近接露光方法。
【請求項10】
前記マスク及び前記ワーク載置面間のギャップ分布は、前記マスクの下面の前記複数の測定点での高さ座標に基づくマスク側パラメトリック曲面と、前記ワーク載置面の前記複数の測定点での高さ座標に基づくワーク側パラメトリック曲面とを用いて算出されることを特徴とする請求項8又は9に記載の近接露光方法。
【請求項11】
前記マスク側パラメトリック曲面及び前記ワーク側パラメトリック曲面は、スプライン曲線又は線形補間によって与えられるパラメトリック曲線を組み合わせることでそれぞれ与えられ、
前記マスク側パラメトリック曲面及び前記ワーク側パラメトリック曲面は、前記マスクの下面の前記複数の測定点での高さ座標、前記ワーク載置面の前記複数の測定点での高さ座標をそれぞれ通ることを特徴とする請求項10に記載の近接露光方法。
【請求項12】
前記駆動制御工程は、前記マスク側パラメトリック曲面及び前記ワーク側パラメトリック曲面が接触しないように前記チルト調整機構を駆動することを特徴とする請求項11に記載の近接露光方法。
【請求項13】
前記駆動制御工程は、前記マスクの最下点を通り鉛直方向に垂直なマスク側仮想平面と、前記ワークの最上点を通り鉛直方向に垂直なワーク側仮想平面とを求め、前記マスク側仮想平面と前記ワーク側仮想平面とが交差しない様に前記チルト調整機構を駆動することを特徴とする請求項8又は9に記載の近接露光方法。
【請求項14】
前記近接露光方法は、近接ステップ露光方法であり、
前記駆動制御工程は、ステップ露光を行う際の前記ワーク載置面の複数の露光領域ごとに、前記マスク及び前記ワーク載置面間のギャップ分布を算出して、前記マスク及び前記ワーク載置面間のギャップ分布ができるだけ一様になるように、前記チルト調整機構を駆動制御することを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載の近接露光方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近接露光装置及び近接露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近接露光装置によるパターン露光において、マスクと基板との間のギャップは、解像度や露光パターンの一様性に大きな影響を及ぼす重要な要因であり、マスク・基板間のギャップを調整する各種の装置が知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。特許文献1の基板露光装置は、1枚の基板に対して複数枚の被割付基板を割付けて露光する装置であり、マスクに対する被割付基板高さ位置をマスクの隅部4箇所で測定し、この測定値に基づいて回帰平面を求め、回帰平面とマスクとのギャップが所定値となるようにチルト機構を駆動して平行出し処理して、ギャップを設定値に設定している。
【0003】
また、特許文献2の近接露光装置は、マスクと基板との間のギャップをマスクの隅部4箇所の測定点で測定し、各測定点の4箇所の中点のうち、3箇所の中点における各ギャップが一様になるようにZ−チルト調整機構を駆動してマスクと基板とのギャップを一様化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4608193号公報
【特許文献2】特開2011−164595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2によると、被露光基板及びマスクの平坦度ができるだけ小さくなるように調整した後、マスクの隅部4箇所のギャップセンサの測定値に基づいて仮想平面を求め、被露光基板が仮想平面に対して平坦になるようにチルト機構を駆動していた。しかし、実際には、マスクや被露光基板の各表面は曲面を形成しており、マスクの隅部で測定した測定値に基づいて調整したギャップ値は、マスク中央部のたわみを含めたマスク全体の曲面形状を反映しておらず、改善の余地があった。
【0006】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、マスクと基板との間の面内ギャップ分布をできるだけ一様にして、露光精度を向上させることができる近接露光装置及び近接露光方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 露光すべきパターンを有するマスクを支持するマスク支持部と、
被露光材としてのワークを支持するワーク載置面を有するワーク支持部と、
前記マスク又は前記ワーク載置面の傾きを調整すべく、前記マスク支持部又は前記ワーク支持部を駆動するチルト調整機構と、
前記マスク及び前記ワークとの間のギャップを測定するギャップセンサと、
前記ワークに対してパターン露光用の光を前記マスクを介して照射する照明光学系と、
前記チルト調整機構を制御する制御装置と、
を備え、前記マスクと前記ワークとを近接して対向配置した状態で、前記パターン露光用の光を前記マスクを介して前記ワークに照射して前記マスクのパターンを前記ワークに露光転写する近接露光装置であって、
前記制御装置は、前記パターンが描かれた前記マスクの周縁部及び内部の複数の測定点で予め測定された前記マスク支持部に支持された前記マスクの下面と前記ワーク載置面との高さ座標に基づいて、前記マスク及び前記ワーク載置面間のギャップ分布ができるだけ一様になるように、前記チルト調整機構を駆動制御することを特徴とする近接露光装置。
(2) 前記複数の測定点での前記マスクの下面と前記ワーク載置面の高さ座標から、最小2乗法により得られる値に基づいて、前記チルト調整機構を駆動制御することを特徴とする(1)に記載の近接露光装置。
(3) 前記マスク及び前記ワーク載置面間のギャップ分布は、前記マスクの下面の前記複数の測定点での高さ座標に基づくマスク側パラメトリック曲面と、前記ワーク載置面の前記複数の測定点での高さ座標に基づくワーク側パラメトリック曲面とを用いて算出されることを特徴とする(1)又は(2)に記載の近接露光装置。
(4) 前記マスク側パラメトリック曲面及び前記ワーク側パラメトリック曲面は、スプライン曲線又は線形補間によって与えられるパラメトリック曲線を組み合わせることでそれぞれ与えられ、
前記マスク側パラメトリック曲面及び前記ワーク側パラメトリック曲面は、前記マスクの下面の前記複数の測定点での高さ座標、前記ワーク載置面の前記複数の測定点での高さ座標をそれぞれ通ることを特徴とする(3)に記載の近接露光装置。
(5) 前記制御装置は、前記マスク側パラメトリック曲面及び前記ワーク側パラメトリック曲面が接触しないように前記チルト調整機構を駆動することを特徴とする(4)に記載の近接露光装置。
(6) 前記制御装置は、前記マスクの最下点を通り鉛直方向に垂直なマスク側仮想平面と、前記ワークの最上点を通り鉛直方向に垂直なワーク側仮想平面とを求め、前記マスク側仮想平面と前記ワーク側仮想平面とが交差しない様に前記チルト調整機構を駆動することを特徴とする(1)又は(2)に記載の近接露光装置。
(7) 前記近接露光装置は、近接ステップ露光装置であり、
前記制御装置は、ステップ露光を行う際の前記ワーク載置面の複数の露光領域ごとに、前記マスク及び前記ワーク載置面間のギャップ分布を算出して、前記マスク及び前記ワーク載置面間のギャップ分布ができるだけ一様になるように、前記チルト調整機構を駆動制御することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の近接露光装置。
(8) 露光すべきパターンを有するマスクを支持するマスク支持部と、
被露光材としてのワークを支持するワーク載置面を有するワーク支持部と、
前記マスク又は前記ワーク載置面の傾きを調整すべく、前記マスク支持部又は前記ワーク支持部を駆動するチルト調整機構と、
前記マスク及び前記ワークとの間のギャップを測定するギャップセンサと、
前記ワークに対してパターン露光用の光を前記マスクを介して照射する照明光学系と、を備える近接露光装置を用いて、前記マスクと前記ワークとを近接して対向配置した状態で、前記パターン露光用の光を前記マスクを介して前記ワークに照射して前記マスクのパターンを前記ワークに露光転写する近接露光方法であって、
前記パターンが描かれた前記マスクの周縁部及び内部の複数の測定点で、前記マスク支持部に支持された前記マスクの下面と前記ワーク載置面との高さ座標を測定する工程と、
前記複数の測定点での前記マスクの下面及び前記ワーク載置面の高さ座標に基づいて、前記マスク及び前記ワーク載置面間のギャップ分布ができるだけ一様になるように、前記チルト調整機構を駆動制御する工程と、
を有することを特徴とする近接露光方法。
(9) 前記複数の測定点での前記マスクの下面と前記ワーク載置面の高さ座標から、最小2乗法により得られる値に基づいて、前記チルト調整機構を駆動制御することを特徴とする(8)に記載の近接露光方法。
(10) 前記マスク及び前記ワーク載置面間のギャップ分布は、前記マスクの下面の前記複数の測定点での高さ座標に基づくマスク側パラメトリック曲面と、前記ワーク載置面の前記複数の測定点での高さ座標に基づくワーク側パラメトリック曲面とを用いて算出されることを特徴とする(8)又は(9)に記載の近接露光方法。
(11) 前記マスク側パラメトリック曲面及び前記ワーク側パラメトリック曲面は、スプライン曲線又は線形補間によって与えられるパラメトリック曲線を組み合わせることでそれぞれ与えられ、
前記マスク側パラメトリック曲面及び前記ワーク側パラメトリック曲面は、前記マスクの下面の前記複数の測定点での高さ座標、前記ワーク載置面の前記複数の測定点での高さ座標をそれぞれ通ることを特徴とする(10)に記載の近接露光方法。
(12) 前記駆動制御工程は、前記マスク側パラメトリック曲面及び前記ワーク側パラメトリック曲面が接触しないように前記チルト調整機構を駆動することを特徴とする(11)に記載の近接露光方法。
(13) 前記駆動制御工程は、前記マスクの最下点を通り鉛直方向に垂直なマスク側仮想平面と、前記ワークの最上点を通り鉛直方向に垂直なワーク側仮想平面とを求め、前記マスク側仮想平面と前記ワーク側仮想平面とが交差しない様に前記チルト調整機構を駆動することを特徴とする(8)又は(9)に記載の近接露光方法。
(14) 前記近接露光方法は、近接ステップ露光方法であり、
前記駆動制御工程は、ステップ露光を行う際の前記ワーク載置面の複数の露光領域ごとに、前記マスク及び前記ワーク載置面間のギャップ分布を算出して、前記マスク及び前記ワーク載置面間のギャップ分布ができるだけ一様になるように、前記チルト調整機構を駆動制御することを特徴とする(8)〜(13)のいずれかに記載の近接露光方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の近接露光装置及び近接露光方法によれば、制御装置が、マスクの周縁部及び内部の複数の測定点で測定されたマスクの下面及びワーク載置面の高さ座標に基づいてチルト調整機構を駆動制御して、マスク及びワーク載置面間のギャップ分布ができるだけ一様になるので、マスク中央部のたわみを含めたマスク全体の曲面を反映してギャップ分布を一様化することができ、露光精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る近接露光装置の正面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る照明光学系の構成を示す図である。
図3】マスク支持部に支持されたマスクと、ワーク載置面上に載置されたワークとの状態を示す要部側面図である。
図4】マスク及びワーク載置面の高さ座標を測定する測定点を示す平面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るマスク側パラメトリック曲面を示す斜視図である。
図6】近接ステップ露光装置におけるマスク及びワーク載置面の高さ座標を測定する測定点を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る近接露光装置の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、近接露光装置PEは、被露光材としてのワークWより小さいマスクMを用い、マスクMをマスクステージ1で保持すると共に、ワークWをワークステージ(ワーク支持部)2で保持し、マスクMとワークWとを近接させて所定の露光ギャップで対向配置した状態で、照明光学系3からパターン露光用の光をマスクMに向けて照射することにより、マスクMのパターンをワークW上に露光転写する。
【0011】
ワークステージ2をX軸方向にステップ移動させるため、装置ベース4上には、X軸送り台5aをX軸方向にステップ移動させるX軸ステージ送り機構5が設置されている。X軸ステージ送り機構5のX軸送り台5a上には、ワークステージ2をY軸方向にステップ移動させるため、Y軸送り台6aをY軸方向にステップ移動させるY軸ステージ送り機構6が設置されている。Y軸ステージ送り機構6のY軸送り台6a上には、ワークステージ2が設置されている。ワークステージ2の上面であるワーク載置面2aには、ワークWがワークチャック等で真空吸引された状態で保持される。また、ワークステージ2の側部には、マスクMの下面高さを測定するための基板側変位センサ15が配設されている。従って、基板側変位センサ15は、ワークステージ2と共にX、Y軸方向に移動可能である。
【0012】
装置ベース4上には、複数(図に示す実施形態では4本)のX軸リニアガイドのガイドレール51がX軸方向に配置され、それぞれのガイドレール51には、X軸送り台5aの下面に固定されたスライダ52が跨架されている。これにより、X軸送り台5aは、X軸ステージ送り機構5の第1リニアモータ20で駆動され、ガイドレール51に沿ってX軸方向に往復移動可能である。また、X軸送り台5a上には、複数のY軸リニアガイドのガイドレール53がY軸方向に配置され、それぞれのガイドレール53には、Y軸送り台6aの下面に固定されたスライダ54が跨架されている。これにより、Y軸送り台6aは、Y軸ステージ送り機構6の第2リニアモータ21で駆動され、ガイドレール53に沿ってY軸方向に往復移動可能である。
【0013】
Y軸ステージ送り機構6とワークステージ2の間には、ワークステージ2を上下方向に移動させるため、比較的位置決め分解能は粗いが移動ストローク及び移動速度が大きな上下粗動装置7と、上下粗動装置7と比べて高分解能での位置決めが可能でワークステージ2を上下に微動させてマスクMとワークWとの対向面間のギャップを所定量に微調整するチルト調整機構としての上下微動装置8が設置されている。
【0014】
上下粗動装置7は後述の微動ステージ6bに設けられた適宜の駆動機構によりワークステージ2を微動ステージ6bに対して上下動させる。ワークステージ2の底面の4箇所に固定されたステージ粗動軸14は、微動ステージ6bに固定された直動ベアリング14aに係合し、微動ステージ6bに対し上下方向に案内される。なお、上下粗動装置7は、分解能が低くても、繰り返し位置決め精度が高いことが望ましい。
【0015】
上下微動装置8は、Y軸送り台6aに固定された固定台9と、固定台9にその内端側を斜め下方に傾斜させた状態で取り付けられたリニアガイドの案内レール10とを備えており、該案内レール10に跨架されたスライダ11を介して案内レール10に沿って往復移動するスライド体12にボールねじのナット(図示せず)が連結されると共に、スライド体12の上端面は微動ステージ6bに固定されたフランジ12aに対して水平方向に摺動自在に接している。
【0016】
そして、固定台9に取り付けられたモータ17によってボールねじのねじ軸を回転駆動させると、ナット、スライダ11及びスライド体12が一体となって案内レール10に沿って斜め方向に移動し、これにより、フランジ12aが上下微動する。
なお、上下微動装置8は、モータ17とボールねじによってスライド体12を駆動する代わりに、リニアモータによってスライド体12を駆動するようにしてもよい。
【0017】
この上下微動装置8は、Z軸送り台6aのY軸方向の一端側(図1の左端側)に1台、他端側に2台、合計3台設置されてそれぞれが独立に駆動制御されるようになっている。これにより、上下微動装置8は、3箇所のフランジ12aの高さを独立に微調整してワークステージ2の高さ及び傾きを微調整する。即ち、上下微動装置8は、後述する制御装置100からの指令に基づいて3台の上下微動装置8を独立して制御することで、ワークステージ2の傾きを制御するチルト調整機構として機能する。ギャップセンサ(マスク側変位センサ)27は、複数箇所でのマスクMとワークWとのギャップ量を計測する。
【0018】
また、Y軸送り台6a上には、ワークステージ2のY方向の位置を検出するY軸レーザ干渉計18に対向するバーミラー19と、ワークステージ2のX軸方向の位置を検出するX軸レーザ干渉計に対向するバーミラー(共に図示せず)とが設置されている。Y軸レーザ干渉計18に対向するバーミラー19は、Y軸送り台6aの一側でX軸方向に沿って配置されており、X軸レーザ干渉計に対向するバーミラーは、Y軸送り台6aの一端側でY軸方向に沿って配置されている。
【0019】
Y軸レーザ干渉計18及びX軸レーザ干渉計は、それぞれ常に対応するバーミラーに対向するように配置されて装置ベース4に支持されている。なお、Y軸レーザ干渉計18は、X軸方向に離間して2台設置されている。2台のY軸レーザ干渉計18により、バーミラー19を介してY軸送り台6a、ひいてはワークステージ2のY軸方向の位置及びヨーイング誤差を検出する。また、X軸レーザ干渉計により、対向するバーミラーを介してX軸送り台5a、ひいてはワークステージ2のX軸方向の位置を検出する。
【0020】
マスクステージ1は、略長方形状の枠体からなるマスク基枠24と、該マスク基枠24の中央部開口にギャップを介して挿入されてX,Y,θ方向(X,Y平面内)に移動可能に支持されたマスクフレーム25とを備えており、マスク基枠24は装置ベース4から突設された支柱4aによってワークステージ2の上方の定位置に保持されている。
【0021】
図3も参照して、マスクフレーム25の中央部開口の下面には、枠状のマスクホルダ(マスク支持部)26が設けられている。また、マスクホルダ26の下面には、マスクMのマスクパターンが描かれていない周縁部を吸着するための複数のマスク吸着溝26aが開設されており、マスクMは、マスク吸着溝26aを介して図示しない真空式吸着装置によりマスクホルダ26の下面に着脱自在に保持される。なお、マスクホルダ26の下面は、マスクMの自重による中央部付近での撓みを考慮し、マスクホルダ26がマスクMの下面の高さのばらつきを抑えてマスクMを保持すべく、中央部に向かって上方となるように傾斜している。
【0022】
図2に示すように、本実施形態の露光装置PEの照明光学系3は、紫外線照射用の光源である例えば高圧水銀ランプ61、及びこの高圧水銀ランプ61から照射された光を集光するリフレクタ62をそれぞれ有するランプユニット60と、光路ELの向きを変えるための平面ミラー63と、照射光路を開閉制御する露光制御用シャッターユニット64と、露光制御用シャッターユニット64の下流側に配置され、リフレクタ62で集光された光を照射領域においてできるだけ均一な照度分布となるようにして出射するオプティカルインテグレータ65と、オプティカルインテグレータ65から出射された光路ELの向きを変えるための平面ミラー66と、高圧水銀ランプ61からの光を平行光として照射するコリメーションミラー67と、該平行光をマスクMに向けて照射する平面ミラー68と、を備える。なお、オプティカルインテグレータ65と露光面との間には、DUVカットフィルタ、偏光フィルタ、バンドパスフィルタが配置されてもよい。また、光源は、高圧水銀ランプは、単一のランプであってもよく、或いは、LEDによって構成されてもよい。
【0023】
そして、露光時にその露光制御用シャッターユニット64が開制御されると、ランプユニット60から照射された光が、平面ミラー63、オプティカルインテグレータ65、平面ミラー66、コリメーションミラー67、平面ミラー68を介して、マスクホルダ26に保持されるマスクM、ひいてはワークWの表面にパターン露光用の光として照射され、マスクMの露光パターンがワークW上に露光転写される。
【0024】
次に、制御装置100による上下微動装置(チルト調整機構)8の制御について、図3及び図4を参照して説明する。
【0025】
マスク支持部26に支持されたマスクMは、自重などにより撓んでおり、図3に示すように下面は曲面となっている。また、ワーク載置面2aも曲面となっている場合があり、ワーク載置面2a上に吸着保持されるワークWも、ワーク載置面2aに倣って曲面となる。制御装置100は、予め測定されているマスクMの下面の平坦度と、ワーク載置面2aの平坦度とから、露光領域内におけるマスクM及びワーク載置面2a間のギャップ分布ができるだけ一様になるように上下微動装置8を制御してチルト調整し、露光精度を向上させる。
【0026】
制御装置100は、マスク支持部26に支持された状態におけるマスクMの平坦度、及びワーク載置面2aの平坦度を記憶する。即ち、制御装置100は、基板側変位センサ15によって測定された、マスク支持部26に支持された状態におけるマスクMの下面の高さ座標、及びマスクフレーム25に取り付けられたマスク側変位センサ27によって測定されたワーク載置面2aの高さ座標を、複数の測定点において予め記憶している。マスクM及びワーク載置面2aの測定点は、マスクMの中央部でのギャップも考慮されるように、マスクMの露光領域の周縁部及び該周縁部より内側の内部を含む複数の点であればよく、本実施形態では、図4に示すように、5行×5列、合計25箇所が測定点P1〜P25に設定されている。なお、基板側変位センサ15やマスク側変位センサ27は、備え付けのセンサーを用いてもよいし、或いは、上記高さ座標の測定用に別途取り付けられてもよい。
【0027】
各測定点P1〜P25におけるマスクMの下面の高さ座標の測定値をC(η)、ワー
ク載置面2aの高さ座標の測定値をS(ξ)とすると、各測定点P1〜P25における
マスクMの下面とワーク載置面2aとの間のギャップGは、
=C(η)−S(ξ
で与えられる。ここで、ηはマスクMの座標系、ξはワークステージ2の座標系を意味し、i=1,2,・・・N(Nは測定点の数)である。
【0028】
本実施形態では、マスクM及びワーク載置面2a間の各測定点P1〜P25におけるギャップGが設定ギャップ(100〜300μm)に近づくように、3台の上下微動装置8を駆動制御してチルト調整することで、露光領域内におけるマスクM及びワーク載置面2a間のギャップ分布をできるだけ一様にする。このため、マスクM及びワーク載置面2a間の各測定点P1〜P25におけるギャップG、設定ギャップ、3台の上下微動装置8によるワーク載置面2aの回転をパラメータとして、最小2乗法により3台の上下微動装置8のZ移動量(チルト量)を求め、この値に基づいて各上下微動装置8を駆動制御してチルト調整する。これにより、マスクM及びワーク載置面2a間のギャップ分布ができるだけ一様化されるワーク載置面2aが与えられる。なお、一様化する手法は、最小2乗法に限定されず、ロバスト推定やラグランジュの未定係数法であってもよい。
【0029】
また、最小2乗法に基づいてチルト駆動した後の各測定点でのギャップは、設定ギャップに対してチルトの変位分を考慮した数値となる。このため、マスクMの周縁部の複数の測定点(本実施形態では、隅部4箇所)におけるギャップGをギャップセンサ27で測定して4点でのギャップが設定ギャップに対して許容範囲内にチルト調整できたことを確認する。
その後、ワーク載置面2aにワークWを載置し、マスクMとワークWとのアライメント調整を行った後、照明光学系3から露光光を照射してマスクMの露光パターンをワークW上に露光転写する。
【0030】
なお、マスクMの平坦度、及びワーク載置面2aの平坦度は、近接露光装置PEに固有のものとして与えられることから、近接露光装置PEの使用前の初期段階で、3台の上下微動装置8の駆動量を予め制御装置100のメモリに記憶させておくことで、実際にワークWを露光する際に、容易にギャップ分布を一様化することができる。
【0031】
なお、上述した平坦度測定及びチルト調整は、ワーク載置面2aにワークWが載置されていない状態で行われている。したがって、上記のようなチルト調整を、ワーク載置面2aにワークWを載置した状態で行った場合、ワークWがマスクMに接触する虞がある。しかし、図3に示すように、マスクMの最下点M1を通り鉛直方向に垂直なマスク側仮想平面MFと、ワークWの最上点を通り鉛直方向に垂直なワーク側仮想平面WFとが交差しない様に、制御装置100が上下微動装置8の作動量を制限してチルト調整することで、ワークWとマスクMとの接触を回避することができる。
【0032】
この際、測定点P1〜P25が、マスクMの最下点M1及びワークWの最上点と一致するとは限らないため、各測定点P1〜P25での測定値をスプライン曲線で補間してマスクMの最下点M1及びワークWの最上点を求めることもできる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態の近接露光装置及び近接露光方法によれば、パターンが描かれたマスクの周縁部及び内部の複数の測定点で予め測定されたマスクホルダ26に支持されたマスクMの下面とワーク載置面2aとの高さ座標を取得し、複数の測定点でのマスクMの下面及びワーク載置面2aの高さ座標に基づいて、マスクM及びワーク載置面2a間のギャップ分布ができるだけ一様になるように、制御装置100が上下微動装置8を駆動制御する。これにより、マスクMの中央部のたわみを含めたマスク全体の曲面を反映してギャップ分布を一様化することができ、露光精度を向上させることができる。
【0034】
また、複数の測定点でのマスクMの下面とワーク載置面2aの高さ座標の差分から、最小2乗法により得られる値に基づいて、上下微動装置8を駆動制御するので、比較的容易にギャップ分布を一様化することができる。
【0035】
また、制御装置100は、マスクMの最下点を通り鉛直方向に垂直なマスク側仮想平面と、ワークWの最上点を通り鉛直方向に垂直なワーク側仮想平面とを求め、マスク側仮想平面とワーク側仮想平面とが交差しない様に上下微動装置8を駆動するので、ワークWが載置された状態で、上下微動装置8を駆動しても、ワークWとマスクMとの接触を回避することができる。
【0036】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る近接露光装置及び近接露光方法について説明する。なお、本実施形態は、制御装置100における制御手法が異なるのみであるため、この点を中心に説明する。
【0037】
第1実施形態では、マスクM及びワーク載置面2a間のギャップ分布として、複数の測定点P1〜P25でのマスクMの下面とワーク載置面2aのギャップGを直接用いて、チルト調整が行われている。
一方、本実施形態では、マスクM及びワーク載置面2a間のギャップ分布は、マスクMの下面の複数の測定点P1〜P25での高さ座標に基づくマスク側パラメトリック曲面と、ワーク載置面2aの複数の測定点P1〜P25での高さ座標に基づくワーク側パラメトリック曲面とを用いて算出される。そして、互いに対向するマスク側パラメトリック曲面とワーク側パラメトリック曲面間のギャップ分布ができるだけ一様になるように、チルト調整が行われる。
【0038】
マスク側パラメトリック曲面及びワーク側パラメトリック曲面は、複数の測定点P1〜P25での高さ座標に基づいて、スプライン曲線又は線形補間によって与えられる複数のパラメトリック曲線を組み合わせることでそれぞれ形成される。また、パラメトリック曲線は、隣接する測定点の線形補間のみから与えられてもよい。
また、マスク側パラメトリック曲面及びワーク側パラメトリック曲面は、マスクMの下面の複数の測定点P1〜P25での高さ座標(即ち、x、y、z座標)、ワーク載置面2aの複数の測定点P1〜P25での高さ座標(即ち、x、y、z座標)をそれぞれ通るようにして設計される。
【0039】
図5は、一例として、マスク側パラメトリック曲面を示しており、複数の測定点P1〜P25での高さ座標に基づいて、3次元スプライン曲線によってパラメトリック曲線を得ている。また、このパラメトリック曲面は、隣り合う測定点間を5等分した各点においてx、y、z座標が与えられている。なお、ワーク側パラメトリック曲面は、図示しないが、マスク側パラメトリック曲面と同様に表される。図5において、x、y座標の単位は、mmであり、z座標の単位は、μmである。
【0040】
したがって、マスク側パラメトリック曲面とワーク側パラメトリック曲面間のギャップ分布において、チルト調整の際には、複数の測定点P1〜P25を含む任意の複数の点におけるマスクMの下面とワーク載置面2aのギャップを用いて演算することができ、ギャップ分布をより一様化することができる。
【0041】
なお、第2実施形態においても、ギャップ分布を一様化する演算手法は、最小2乗法、ロバスト推定、ラグランジュの未定係数法のいずれであってもよい。
また、第2実施形態においても、マスクMの周縁部の複数の測定点(本実施形態では、隅部4箇所)におけるギャップGをギャップセンサ27で測定して4点でのギャップが設定ギャップに対して許容範囲内にチルト調整できたことを確認する。
【0042】
さらに、制御装置100は、マスク側パラメトリック曲面及びワーク側パラメトリック曲面が接触しないように上下微動装置8を駆動制御することでチルト調整される。その際、マスク側及びワーク側パラメトリック曲面がいずれも測定点P1〜P25での高さ座標を通っているので、ワークWとマスクMとの接触がより確実に回避される。
その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0043】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、上記実施形態では、上下微動装置8によりワークステージ2の傾きを変更してチルト量を調整するようにしたが、マスク支持部26にチルト調整機構を配設してマスクM側の傾きを調整するようにしてもよく、或いは、ワークステージ2及びマスク支持部26の両側にチルト調整機構を配設してもよい。
【0044】
また、マスクMに対してワークWを相対移動させながら、1枚のワークWに複数の転写パターンを形成する近接ステップ露光装置の場合では、実際には、ワーク載置面2aは、図6に示すように、マスクMのサイズよりも大きく、ワーク載置面2aに載置されるワークWは、複数の露光領域Aを備える。
この場合、マスクMの下面では、X方向及びY方向にm行×n列の測定点Pでの高さ座標が測定されるとともに、ワーク載置面2aでは、X方向及びY方向にm1行×n1列の測定点P´での高さ座標が測定され、各測定点P、P´での高さ座標を測定データとして保存しておく。
そして、ワーク載置面2aでは、使用するマスクMに応じて複数の露光領域Aが設定されるため、露光領域Aごとに、露光領域A内における測定点P´の高さ座標を用いて、各ワーク側パラメトリック曲面をそれぞれ設計しておく。
その後、制御装置100は、ステップ露光を行う際のワーク載置面2aの複数の露光領域Aごとに、マスクMの複数の測定点Pから与えられるマスク側パラメトリック曲面と、各露光領域Aの複数の測定点P´から与えられるワーク側パラメトリック曲面とに基づいて、マスクM及びワーク載置面間2aのギャップ分布ができるだけ一様になるように、上下微動装置8を駆動制御する。したがって、このチルト駆動制御は、次の露光領域Aを露光するため、マスクMとワークWが相対的にステップ移動するたびに行われる。
【0045】
さらに、本発明のマスクMの下面の測定、及び、ワーク載置面2aの測定は、露光動作が行われていないタイミングで実施し、測定後に内部の曲面データを更新する。なお、上記測定は、自動で行われてもよく、或いは、手動で行われてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 マスクステージ
2 ワークステージ(ワーク支持部)
2a ワーク載置面
3 照明光学系
8 上下微動装置(チルト調整機構)
26 マスクホルダ(マスク支持部)
27 ギャップセンサ(マスク側変位センサ)
100 制御装置
G ギャップ
M マスク
M1 最下点
MF マスク側仮想平面
P1-P25 測定点
PE 近接露光装置
W ワーク
WF ワーク側仮想平面
C(η) マスクMの下面の高さ座標
S(ξ) ワーク載置面の高さ座標
図1
図2
図3
図4
図6
図5