【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、ハーフトーン加工は画像加工フィルターによって行われ、スクリーントーン貼付加工は選択範囲へのスクリーントーンパターン画像インポート並びにスクリーントーンパターンブラシによる塗り及び塗りつぶしによって行われていた。これらの方式はいずれも加工を行うと同時に、画像が加工後の状態のものとして固定化されてしまうため、再加工及び再編集が困難な状態となっていた。
【0007】
従来の方法でも、スクリーントーンパターンの描画されたレイヤーの1つ上のレイヤーにクリッピングマスクを使用することにより、スクリーントーン貼付領域の形を再編集することは可能であったが、スクリーントーンパターンの濃淡及び密度などを含めた再編集を自在に行う方法は提供されていなかった。
【0008】
従来の方法では、スクリーントーンパターンブラシによる塗り及び塗りつぶし後に、スクリーントーンパターンが塗られた2つの異なる濃淡及び密度の領域の境界をぼかして滑らかにつなぐといったことが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、スマートフォンまたはパーソナルコンピュータなどのデバイス内部(
図1の11)に、ブレンドモードとしてハーフトーン加工及びスクリーントーン貼付加工を行う処理(
図1の11の処理A)を提供することにより、スマートフォンまたはパーソナルコンピュータなどのデバイス上で動く画像処理アプリケーションにおいて、従来困難であった再加工及び再編集を容易にするものである。
【0010】
スマートフォンまたはパーソナルコンピュータなどのデバイスは、キーボード、マウス、ペンタブレット、スタイラスペン、及びタッチスクリーンなどの一部または全部の入力装置(
図1の12)を備え、出力装置(
図1の13)としてCRTまたは液晶ディスプレイなどのモニタ画面を備える。
【0011】
スマートフォンまたはパーソナルコンピュータなどのデバイス内部(
図1の11)で動く画像処理アプリケーションは、ユーザによる操作を入力装置(
図1の12)によって受け取り、その操作によって画像を処理し、複数のレイヤーに分かれた画像を内部に構築していく。しかしユーザが実際に出力装置(
図1の13)で確認するのは、これらレイヤー画像の一部または全部を、ブレンドモードと呼ばれる画像の重ね合わせの仕方に従って処理し、重ね合わせて1つの画像にしたものである。この複数の画像を1つの画像に重ね合わせる処理が、
図1の11の処理Bである。
【0012】
この重ね合わせの処理(
図1の11の処理B)の前に、ブレンドモードとしてスクリーントーンモードが指定されているレイヤーの各画素に対して計算を行い、ハーフトーン加工及びスクリーントーン貼付加工が施された状態を作成する処理(
図1の11の処理A)を行い、処理後のものを、
図1の11の処理Bにより1つの画像に重ね合わせるものとする。ブレンドモードは、層に分かれた画像を1つの両像にまとめる際の、各層の画素に対する計算方法に過ぎないため、ブレンドモードによって加工された画像の状態は、元の状態が保管されたまま、出力装置(
図1の13)上に表示される画像が計算によって算出されている。そのため、更に別の加工を施した後であっても、前に行ったハーフトーン加工及びスクリーントーン貼付加工の加工方法並びに加工範囲並びに濃淡及び密度の再加工及び再編集が可能となる。
【0013】
図1の11の処理Aをどのように行うかを示したものが、
図2のフローチャートである。ここではスクリーントーンパターン画像を読み込む形で示しているが、実際にはスクリーントーンパターン画像は仮想的に計算によって都度求められるものであっても同じ機構が実行可能である。
図2のフローチャートにおいて、「レイヤーの画像データの入力」として示されたものが
図1の11において処理Aがレイヤー2から画像を受け取っている部分であり、「加工された画像の出力」として示されたものが
図1の11において処理Aから処理B(1つの画像に重ね合わせる処理)に出力されている画像である。
【0014】
ブレンドモードを使用して、ハーフトーン加工及びスクリーントーン貼付加工を行うための方法の1例として、予めスクリーントーンパターン画像を作成しておく方法がある。横nドット幅、縦mドット幅のスクリーントーンパターン画像である場合、そのスクリーントーンパターン画像を、横16個、縦16個、格子状に計256個並べた画像を作成する。従って、横16×nドット幅、縦16×mドット幅の画像サイズとなる。256個中、最も左上の1個を最も暗い階調に対応するスクリーントーンパターン画像とし、その1つ右隣りを最も暗い画像より1階調明るい階調に対応するスクリーントーンパターン画像とし、右に行くにつれ順次1階調ずつ明るくなり、右端まで行ったら、1段下に降りてその最左端が次の1階調明るい階調とし、これを最下段の右端に行くまで繰り返すものとする。このようにスクリーントーンパターン画像の明るさを徐々に変更しながら、左上から右下まで変化させた画像を作成しておく。例えば、横4ドット幅、縦4ドット幅の網点画像のスクリーントーンパターン画像であるなら、
図3の31のようになる。例えば、横16ドット幅、縦16ドット幅の網点画像のスクリーントーンパターン画像であるなら、
図3の32のようになる。便宜上、網点画像の図面で説明をしたが、この画像はどのような種類の画像でも構わない。左上が最も暗く、順次明るくしながら右下まで画像を敷き詰めるという原則を守れば、いかなるスクリーントーンパターン画像も使用可能である。また、ここでは画像を作成する方法として述べているが、画像を作成しなくても画像相当のものが仮想的に計算によって構成されていれば、プログラム内部的には画像があるのと同値の状況であるので、画像を作成しなくても何も問題ない。このように画像を作成しない方法もあるが、説明の便宜上画像を作成する形で説明を述べる。またこの場合、画像を横16個、縦16個、格子状に並べているが、全て横方向に並べても構わないし、どういう並べ方でも実際には構わない。画像を横16個、縦16個、格子状に並べる方法で説明したのは、本発明が実際に実施可能であることを説明するための便宜上の話で、もっと別の作り方であっても何も問題はない。明るさの異なるスクリーントーンパターン画像は、線や点の大きさを調整する濃淡スクリーントーンパターンとしても作成することが出来、線や点の個数を調整する粗密スクリーントーンパターンとしても作成することが出来、またこれ以外の方法でも見た目上の明るさが変化して感じる方法であれば、いかなる方法でも作成することが出来る。
【0015】
このようにして作成したスクリーントーンパターン画像を基に、レイヤー画像に対してどのようにブレンドモードとしてハーフトーン加工及びスクリーントーン貼付加工を行うかを述べる。階調を最も暗い状態を0、最も明るい状態を255の数値を取るものと定める。また画像の座標を左上を原点の(0,0)として、右に行くにつれx座標の数値が高くなり、下に行くにつれy座標の数値が高くなるものと定める。また、t%16という演算を、tを16で割った剰余の意味と定め、t/16という演算をtを16で割った商(小数点以下は切り捨て)と定める。画像レイヤーの座標(x,y)の点の階調(t)に対して、横nドット幅、縦mドット幅のスクリーントーンパターン画像の座標(n×(t%16)+(x%n),m×(t/16)+(y%m))の点にある階調に変換することが、
図2のフローチャートの「レイヤー画像をスクリーントーンパターン画像によって加工する」の動作である。この方法は、本発明を実施する場合の1例に過ぎないが、この方法の場合、このように1画素に対する演算だけで、変換後の1画素が決定できるので高速である。
【0016】
このような方法によって、加工したい画像レイヤーの画像(
図3の33)を、横4ドット幅、縦4ドット幅のスクリーントーンパターン画像(
図3の31)によって変換したものが
図3の34であり、横16ドット幅、縦16ドット幅のスクリーントーンパターン画像(
図3の32)によって変換したものが
図3の35である。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、ハーフトーン加工及びスクリーントーン貼付加工を施した後に、何らかの別の加工及び描画が施された後であっても、ハーフトーン加工及びスクリーントーン貼付加工の領域の形状の再加工及び再編集並びに領域の濃淡及び密度の再加工及び再編集を行うことが可能となる。
【0018】
レイヤーごとに指定されたブレンドモードを、スクリーントーンモードに変更し、スクリーントーンパターンを指定すると、そのレイヤーの画像をそのスクリーントーンパターンの形状で、線や点の大きさを調整する形式での濃淡スクリーントーンパターン及び線や点の個数を調整する粗密スクリーントーンパターンとして、そのレイヤーを変更した状態で重ね合わせが行われる。またスクリーントーンモードをオフにすれば、スクリーントーンモードとして加工する前の状態に、そのレイヤーだけをいつでも戻すことが可能である。
【0019】
レイヤーに描かれた描画物を、どんなタイミングで再編集することも可能である。
【0020】
レイヤーのスクリーントーンモードに指定されたスクリーントーンパターンを、どんなタイミングで変更することも可能である。