特開2016-174537(P2016-174537A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2016-174537バイオサーファクタントの製造方法およびバイオサーファクタント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-174537(P2016-174537A)
(43)【公開日】2016年10月6日
(54)【発明の名称】バイオサーファクタントの製造方法およびバイオサーファクタント
(51)【国際特許分類】
   C12P 1/00 20060101AFI20160909BHJP
   C07G 99/00 20090101ALI20160909BHJP
   B01F 17/52 20060101ALI20160909BHJP
   B01D 61/14 20060101ALI20160909BHJP
【FI】
   C12P1/00 Z
   C07G99/00 C
   B01F17/52
   B01D61/14 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-54815(P2015-54815)
(22)【出願日】2015年3月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 勝也
(72)【発明者】
【氏名】高見澤 一裕
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩平
【テーマコード(参考)】
4B064
4D006
4D077
4H055
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064CA02
4B064CD11
4B064CE08
4B064CE10
4B064CE20
4B064DA16
4B064DA19
4B064DA20
4D006GA07
4D006HA41
4D006KE13R
4D006KE16R
4D006MA03
4D006MA22
4D006PA01
4D006PB20
4D006PB24
4D006PB70
4D006PC24
4D077AA10
4D077AB20
4D077AC01
4D077CA02
4D077CA11
4D077DA02Y
4D077DD62Y
4H055AA01
4H055AA02
4H055AB70
4H055AB90
4H055AB99
4H055AC62
4H055AD22
4H055AD32
4H055BA50
4H055CA11
(57)【要約】
【課題】乳化作用に優れるバイオサーファクタントを効率的に得ることができるバイオサーファクタントの製造方法、およびこの製造方法により得られたバイオサーファクタントを提供すること。
【解決手段】炭素源として0.0006〜600mMのテトラクロロエチレンを含有する条件で活性汚泥を馴養し、馴養化活性汚泥を得る馴養工程、馴養化活性汚泥を10℃以下で濾過して濾液を得る濾過工程を含むバイオサーファクタントの製造方法とすることにより、乳化作用に優れるバイオサーファクタントを効率的に得ることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素源として0.0006〜600mMのテトラクロロエチレンを含有する条件で活性汚泥を馴養し、馴養化活性汚泥を得る馴養工程、
馴養化活性汚泥を10℃以下で濾過して濾液を得る濾過工程
を含むバイオサーファクタントの製造方法。
【請求項2】
馴養する活性汚泥のpHが7.0〜9.0、全有機炭素濃度が0.21〜1.00kg/m3、カルシウム濃度が200〜1000mg/Lである請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
濾過工程が、孔径0.025〜0.45μmの濾材による濾過を含む濾過工程である請求項1または2記載の製造方法。
【請求項4】
バイオサーファクタントのコロイド粒子径が、100nm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
濾液中のタンパク質濃度が、120μg/mL以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
炭素源として0.0006〜600mMのテトラクロロエチレンを含有する条件で活性汚泥を馴養し、馴養化活性汚泥を得る馴養工程、
馴養化活性汚泥を10℃以下で濾過して濾液を得る濾過工程
を含む製造方法により製造されたバイオサーファクタント。
【請求項7】
馴養する活性汚泥のpHが7.0〜9.0、全有機炭素濃度が0.21〜1.00kg/m3、カルシウム濃度が200〜1000mg/Lである請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
濾過工程が、孔径0.025〜0.45μmの濾材による濾過を含む濾過工程である請求項6または7記載のバイオサーファクタント。
【請求項9】
コロイド粒子径が、100nm以下である請求項6〜8のいずれか1項にバイオサーファクタント。
【請求項10】
濾液中のタンパク質濃度が、120μg/mL以上である請求項6〜9のいずれか1項に記載のバイオサーファクタント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、馴養された活性汚泥を低温で濾過して濾液を得る工程を含むバイオサーファクタントの製造方法および該製造方法により製造されるバイオサーファクタントに関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに多くの電子基板工場やドライクリーニング店などで使用されてきた揮発性有機化合物(以下、VOC)による土壌および地下水の汚染が問題となっている。主な汚染VOCとしては、テトラクロロエチレン(以下、PCE)、トリクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレンなどの揮発性有機塩素化合物が挙げられ、いずれも難分解性である。さらに、VOCは人体への変異原性や発がん性を有する恐れがあることから、健康被害も懸念される。
【0003】
PCE等の揮発性有機化合物で汚染された土壌や地下水を浄化するための一つの方法として、例えば、微生物を用いたバイオレメディエーションが挙げられる(特許文献1)。このバイオレメディエーションによれば、省エネルギーかつ低コストで土壌や地下水の汚染を浄化することが期待できるが、実際の浄化対象の土壌や地下水の温度、pHや酸素濃度等は様々であり、実験室で発揮されたような微生物の増殖や分解作用が進まないことも多く、結果として浄化に長時間を要することがある。
【0004】
そこで、本発明者らは、比較的高濃度のPCEを炭素源として好気条件下で馴養して得られた活性汚泥から所定の方法によって調製される揮発性有機化合物分解剤が、土壌や地下水の諸条件に左右されることなく、揮発性有機化合物を分解できることを見出した(特許文献2)。しかし、この揮発性有機化合物分解剤によりPCEを分解することは可能であるが、分解効率には改善の余地がある。
【0005】
また、バイオサーファクタントとは、微生物が生産する高機能界面活性剤であり、より乳化作用に優れたバイオサーファクタントが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−262842号公報
【特許文献2】特開2013−184994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、所定の活性汚泥に由来し、乳化作用に優れるバイオサーファクタントを効率的に得ることができるバイオサーファクタントの製造方法、およびこの製造方法により得られたバイオサーファクタントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、炭素源として0.0006〜600mMのテトラクロロエチレンを含有する条件で活性汚泥を馴養する馴養工程、馴養された活性汚泥を10℃以下で濾過して濾液を得る濾過工程を含むバイオサーファクタントの製造方法に関する。
【0009】
また本発明は、炭素源として0.0006〜600mMのテトラクロロエチレンを含有する条件で活性汚泥を馴養する馴養工程、馴養された活性汚泥を10℃以下で濾過して濾液を得る濾過工程を含む製造方法により製造されたバイオサーファクタントに関する。
【0010】
活性汚泥のpHが7.0〜9.0、全有機炭素(TOC)濃度が0.21〜1.00kg/m3、カルシウム濃度が200〜1000mg/Lであることが好ましい。
【0011】
濾過工程が、孔径0.025〜0.45μmの濾材による濾過を含む濾過工程であることが好ましい。
【0012】
バイオサーファクタントのコロイド粒子径が、100nm以下であることが好ましい。
【0013】
濾液中のタンパク質濃度が、120μg/mL以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のバイオサーファクタントの製造方法によれば、コロイド粒子径が小さく、乳化作用に優れるバイオサーファクタントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例1のHPLCクロマトグラム(220nm)である。
図2】実施例1のHPLCクロマトグラム(280nm)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のバイオサーファクタントの製造方法は、所定の馴養工程および濾過工程を含む製造方法である。
【0017】
馴養工程
馴養工程は、炭素源として0.0006〜600mMのPCEを含有する条件で活性汚泥を馴養し、馴養化活性汚泥を得る工程である。
【0018】
本発明に用いられる活性汚泥としては、特に限定されないが、活性汚泥法を利用する廃水処理施設、例えば下水処理場やその他の産業廃棄物処理場等に由来する活性汚泥を利用することができる。
【0019】
利用する活性汚泥は、pHが7.0〜9.0、全有機炭素(TOC)濃度が0.21〜1.00kg/m3、カルシウム(Ca)濃度が200〜1000mg/Lであることが、後工程での特定の細菌を含む微生物を含有する馴養化活性汚泥を得やすくなるという理由から好ましい。ここで、TOCは炭素源(C源)および窒素源(N源)を含む。C源としては、エチレングリコール、ジエチレングリコールあるいはジエチレングリコールモノブチルエーテル等が含まれていることが好ましい。また、N源としては、硝酸、アンモニア、モノエタノールアミン等が含まれていることが好ましく、なかでもモノエタノールアミンが含まれていることがより好ましい。これらのC源もしくはN源を含む活性汚泥を用いることにより、後工程での特定の細菌を含む微生物を含有する馴養化活性汚泥を得やすくなる。
【0020】
さらに、前記活性汚泥は、後工程での特定の細菌を含む微生物を含有する馴養化活性汚泥をより得やすくなるという理由から、上記の成分指標以外にも、汚泥濃度(MLSS)が8K〜55K mg/L、有機物濃度(MLVSS)が3K〜20K mg/L、生物化学的酸素要求量(BOD)が平均0.10〜4.28kg/m3、全窒素(T−N)濃度が0.02〜1.37kg/m3、もしくは活性汚泥の温度が平均18〜45℃であることがさらに好ましい。
【0021】
かかる活性汚泥を、0.0006〜600mMのPCEを炭素源として含有する条件で馴養することにより、特定の細菌を含む微生物を含有する馴養化活性汚泥が得られる。馴養時の活性汚泥の量としては、馴養期間を通して撹拌や曝気が可能な程度であれば特に限定されないが、例えば、1Lの水に対して、乾燥重量で5〜10gの範囲が好ましい。また、馴養時のPCEの濃度としては、PCEを分解し得る微生物を効率的に選択する観点から、0.006〜180mMの範囲が好ましく、0.06〜60mMの範囲がより好ましい。
【0022】
活性汚泥を馴養する期間としては、特に限定されないが、1〜24週間の期間が好ましい。馴養時の他の条件、例えば温度、溶存酸素濃度、pHとしては、以下の範囲が好ましい。温度としては、10〜40℃の範囲が好ましく、15〜30℃の範囲がより好ましい。馴養時の溶存酸素濃度としては特に限定されないが、空気、酸素等を供給しながら馴養を実施する程度でよい。従って、馴養に用いる装置としては、曝気手段を備えたものが好ましい。さらに、馴養時のpHとしては、馴養時の温度において、例えば6.0〜10.0の範囲が好ましく、7.0〜9.0の範囲がより好ましい。
【0023】
濾過工程
濾過工程は、馴養された活性汚泥(馴養化活性汚泥)を10℃以下で濾過して濾液を得る工程である。
【0024】
前記馴養化活性汚泥を10℃以下の条件で濾過することにより、コロイド粒子径の小さいバイオサーファクタントを効率的に回収することができる。そして、コロイド粒子径が小さいバイオサーファクタントは、PCEなどの汚染物質に対する接触頻度が高いことから汚染物質の乳化作用に優れ、その結果、分解剤による分解効率を向上させることができる。
【0025】
10℃以下での濾過は、濾過に供する馴養化活性汚泥の温度を10℃以下の所定の設定温度に調整後、濾過すればよい。濾過を行う環境の温度も所定の設定温度であることが好ましいが、活性汚泥の温度調整後、直ちに濾過を行えばよい。
【0026】
濾過方法としては、所定の孔径を有する濾材を用いた濾過方法とすることができる。濾材としては、特に限定されず、メンブレンフィルター、セルロースフィルター、ガラス繊維フィルターなどを用いることができる。なかでも、精密濾過膜であり、孔径が小さく菌体を除去しやすいという理由からメンブレンフィルターが好ましい。
【0027】
濾材の孔径は、一般的に最も小さい菌の幅長が0.3μm前後という理由から0.025〜0.45μmが好ましく、0.10〜0.22μmがより好ましい。
【0028】
濾液
濾過工程により得られた濾液は、本発明に係るバイオサーファクタントを含む濾液である。
【0029】
本発明に係るバイオサーファクタントは、他の製造方法により得られたバイオサーファクタントに比べてコロイド粒子径が小さいことを特徴とする。コロイド粒子径が小さい本発明に係るバイオサーファクタントは、油滴や汚染物質に対する接触頻度が高く、汚染物質の乳化作用に優れる。さらには、汚染物質の乳化作用に優れるため、揮発性有機化合物分解剤と併用することにより揮発性有機化合物の分解効率を向上させることができる。
【0030】
本発明に係るバイオサーファクタントのコロイド粒子径は、50nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましい。50nmを超える場合は分解剤による分解効率の向上効果が不十分となる傾向がある。また、コロイド粒子径の下限は特に限定されないが、コロイドの一般的な定義である1nm以上であればよい。なお、バイオサーファクタントのコロイド粒子径は、Malvern Instruments社製のゼータサイザーなどの動的光散乱型粒子径測定装置により測定される平均一次粒子径である。
【0031】
前記濾過工程により得られた濾液中のタンパク質濃度は、120μg/mL以上が好ましく、140μg/mL以上がより好ましく、160μg/mL以上がより好ましい。当該タンパク質濃度が120μg/mL未満の場合は、バイオサーファクタントの回収効率が不十分となる傾向がある。なお、本発明に係るバイオサーファクタントは、220nm付近および280nm付近に極大波長のピークが認められ、Cによってクロロホルム:メタノール=5:1で展開するとニンヒドリンでRf値0.98付近に発色スポットが認められ、リンモリブデン酸や硫酸では発色が認められなかったことから糖脂質ではなく、アミノ基を有するリポペプチド型である可能性が示唆されたアミノ基を有するリポペプチド型であり、かつ、タンパク質定量キットのQubitで測定した濃度と油膜排除活性と相関があることから、濾液中のタンパク質濃度が濾液中のバイオサーファクタント濃度の目安となる。
【0032】
バイオサーファクタントの精製
本発明のバイオサーファクタントの製造方法は、前記の馴養工程および濾過工程に加え、濾過工程で得られた濾液中のバイオサーファクタントを精製する精製工程を含んでいてもよい。
【0033】
精製工程としては、メタノールなどによる抽出の後、C18カラム(例えば、(株)YMC製のTriartシリーズ)を装着したHPLC(液体クロマトグラフ)、ODSカラム(例えば、(株)YMC製のYMC-DispoPackAT ODS-25)などによる精製を行うことが好ましい。
【0034】
本発明のバイオサーファクタントは、乳化作用に優れることから従来の界面活性剤と同様に、乳化剤や洗剤などに使用することができる。特に本発明のバイオサーファクタントは、揮発性有機塩素化合物の乳化作用に優れることから、揮発性有機塩素化合物の分解剤と併用することにより、揮発性有機塩素化合物の分解効率を向上させることができる。
【実施例】
【0035】
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
【0036】
<各試験用濾液の調製>
各実施例および比較例の試験用濾液を、下記の馴養工程および濾過工程により調製した。
【0037】
馴養工程
日本国岐阜県にある電子機器の製造工場に設置された、該工場に由来する廃液を活性汚泥法を利用して処理する施設から、活性汚泥を得た。リービッヒ冷却器を上部に、フラスコ内部を曝気するためのポンプを取り付けた丸底フラスコに、得られた活性汚泥(1000mL、乾燥重量は1g)を投入した。
【0038】
得られた活性汚泥の各種指標を以下に示す。
PH:8.2
TOC濃度:平均0.75kg/m3
Ca濃度:500mg/L
MLSS:40K mg/L
MLVSS:16K mg/L
BOD濃度:平均1.2kg/m3
T−N濃度:0.35kg/m3
温度:29℃
【0039】
次いで、炭素源としてのPCE(和光純薬工業(株)製)のエタノール溶液を、PCEの終濃度が12mMとなるように、活性汚泥を投入した丸底ラスコに添加した。該エタノール溶液を一週間ごとに追加し、最終的に丸底フラスコ内のPCEを60mMの濃度とした。リン源および窒素源としてのリン酸水素二アンモニウムを終濃度が37.88mMとなるようにフラスコに添加した。さらに、ミネラル源およびビタミン源としての少量の酵母エキス(Difco、細胞培養用)もフラスコに添加した。フラスコ内の温度を20℃、pHを6.8〜8.0の範囲とし、ポンプから空気をフラスコ内に曝気しながら、好気的条件下で2週間の馴養を行い馴養化活性汚泥を得た。
【0040】
馴養化活性汚泥の細菌叢の分析
馴養化活性汚泥の細菌叢の分析を、Genome Sequencer FLX(タカラバイオ(株)に委託)により行った。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1に示す結果より、馴養化活性汚泥中の細菌叢はAlcaligenesに属する微生物が支配的であることがわかる。
【0043】
濾過工程
馴養化活性汚泥をメンブレンフィルター(孔径:0.2μm、Advantec製)で濾過することにより試験用濾液(実施例1〜3、比較例1〜5)を調製した。各濾液は表2に示す各温度で活性汚泥を3時間静置後、濾過を行い各試験用濾液を得た。
【0044】
<評価>
得られた試験用濾液に対し、次の評価を行った。
【0045】
タンパク質濃度測定
各試験用濾液中のタンパク質濃度を濾液タンパク質定量キット(Invitrogen社製のQubit fluorometer)を用いて行った。結果は表2に示す。前述のように濾液中のタンパク質濃度が濾液中のバイオサーファクタント濃度の目安となるため、タンパク質濃度が高いほど効率的に活性汚泥中のバイオサーファクタントが回収できたことを示す。
【0046】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析
実施例1の試験用濾液20mLを凍結乾燥させて完全に脱水乾固させた後、20mL以上のメタノールに溶解させ、120rpmで一晩振盪抽出した。そして、抽出溶液を5000×gで10分間遠心分離させ、上清を回収しエバポレーターで乾固させた後、上清と同量の超純水(日本ミリポア(株)製のDirectQシステムにて製造)に溶解させてHPLC分析用サンプルを調製した。
【0047】
得られた実施例1のHPLC分析用サンプルについて下記条件のHPLC分析を行った。吸光度220nmでのHPLCクロマトグラムを図1に、吸光度220nmでのHPLCクロマトグラムを図2に示す。
測定装置:(株)島津製作所製のLC−2010AHT
カラム:(株)YMC製のTriart C18カラム(長さ250mm、内径4.6mm、粒径5μm)
流速:1mL/min
検出波長:220nm、256nm、280nm
カラム温度:40℃
注入量:20μL
移動相(A):水
移動相(B):メタノール
【0048】
コロイド粒子径(平均一次粒子径)測定
各濾液中のコロイド粒子の平均一次粒子径をMalvern Instruments社製のゼータサイザーナノZSにより測定した。結果は表2に示す。
【0049】
油膜排除試験
ガラスシャーレ(直径8.5cm)に純水15mLを入れ、水面が安定した後に原油50μLを水面に滴下して油膜を形成させた。そして、油膜の中央に各試験用濾液5μLを滴下し、油膜が除去されることにより形成された円の面積を画像解析ソフト(三谷商事(株)製のWinROOF)にて測定し、各実施例および比較例について試験を3回行いその平均値を下記の基準に基づいて評価した。結果は表2に示す。
◎:20%以上
○:10%以上、20%未満
△:1%以上、10%未満
×:1%未満
【0050】
塩素化エチレン乳化試験
実施例1〜3ならびに比較例1および2の各試験用濾液を各バイアル瓶(20mL容量)に5mLずつ入れ、テフロン(登録商標)コートのブチルゴム栓およびアルミキャップにて密栓した。各試験用濾液について3本ずつのバイアル瓶を用意し、それぞれに「テトラクロロエチレン(PCE)」、「トリクロロエチレン(TCE)」および「シス−1,2−ジクロロエチレン(cDCE)」のそれぞれを終濃度が100mg/20mLとなるように添加後、20℃の恒温層内にて150rpmで24時間振盪させた。なお、コントロールとして、濾液に替えて超純水(日本ミリポア(株)製のDirectQシステムにて製造)を5mLを入れたこと以外は、実施例と同様の操作を行ったサンプルを調製した。
【0051】
・気相の分析
振盪後のバイアル瓶内の気相から100μLの気体をシリンジにてサンプリングし、下記条件でガスクロマトグラフ((株)島津製作所製のGC−FID)による分析を行い、気相全体中の塩素化エチレン濃度を算出した。
【0052】
・液相の分析
気相のサンプリング後、各バイアル瓶に30%のNaClを添加し、60℃で60分間加温後、バイアル瓶内の気相から100μLの気体をシリンジにてサンプリングし、下記条件でガスクロマトグラフ((株)島津製作所製のGC−FID)による分析を行い、液相全体中の塩素化エチレン濃度を算出した。
【0053】
気相および液相の分析結果、および液相中の塩素化エチレンの存在率(液相中の量/液相中の量+気相中の量)を表2に示す。液相中の塩素化エチレンの存在率が高いほど、より気相中の塩素化エチレンを液相中に乳化させたこと、つまり乳化作用に優れることを示す。さらに、振盪後の各濾液中のコロイド粒子の平均一次粒子径をMalvern Instruments社製のゼータサイザーナノZSにより測定した結果、セル内部に塩素化エチレンが取り込まれ、振盪前の結果(前記コロイド粒子径の測定結果)に比べて大きくなっていることを確認した。
【0054】
・ガスクロマトグラフ分析条件
カラム:GCキャピラリーカラムRt−Q−BOND(30m×0.53mm×20μm)
カラム初期温度:120℃
カラム昇温速度:15℃/min
カラム最終温度:220℃
カラム最終温度保持時間:14.0min
検出器温度:240℃
気化室温度:200℃
キャリアガス:He(0.55kg/cm2
2圧:0.56kg/cm2
空気圧:0.41kg/cm2
【0055】
【表2】
【0056】
表2に示す結果より、本発明の製造方法により製造されたバイオサーファクタントが、コロイド粒子径が小さく、油滴に対する乳化作用および各種塩素化エチレンに対する乳化作用に優れることがわかる。
図1
図2