【解決手段】搬送路12は直管部46と湾曲管部45を繋ぎ合わせて構成される。直管部46は、第1取り付け金具70および第2取り付け金具80を介して遊技機島に固定された剛性を有する直線状のフレーム部材60に台座部62を介して取り付けた紙幣取込装置24およびその前後の直線状搬送管41等で構成され、直管部46の前後に湾曲管部45が接続される。フレーム部材60は湾曲管部45の箇所で途切れているが、このフレーム部材60の端部に湾曲管部保持金具90を取り付け、該湾曲管部保持金具90で湾曲管部45は保持される。
遊技機と遊技媒体貸し機が曲線状に配列された遊技機島の内側に沿って延設され、前記遊技媒体貸し機から排出された紙葉類を所定の場所に搬送する搬送路の一部を支持する搬送路固定具であって、
前記搬送路は、前記遊技機島の内側に沿うように直線部と湾曲部を繋ぎ合わせて構成されており、
前記直線部は、前記遊技機島に固定された剛性を有する直線状のフレームで保持されており、前記フレームは前記湾曲部で途切れており、
当該搬送路固定具は、前記フレームに取り付けられて、前記湾曲部を保持する
ことを特徴とする搬送路固定具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
円島等の曲線状の遊技機島では、直線部と湾曲部を繋ぎ合わせて搬送路が形成されるが、搬送路の全体を前述のフレームで支持するためには、湾曲部の曲率に対応して湾曲したフレームも必要になる。しかし、搬送経路の基準となる剛性の高いフレームを、任意の曲率で精度を維持して作成することは難しい。また、円島等の曲線状の遊技機島の曲率は、遊技場に応じて様々になるので、様々な曲率のフレームを準備することは、部品共通化の観点から好ましくない。
【0009】
一方、直線部のみをフレームで支持し、湾曲部は、その湾曲部に連結された直線部の搬送路で支持する構成にすると、湾曲部の搬送路を正確な位置に保持し続けることは難しい。すなわち、湾曲した部分を紙幣等が通過する際の内壁への衝突等によって微振動が発生するので、紙幣等が繰り返し通過するうちに、湾曲部が移動して上流側の直線部との連結が外れてしまう場合がある。
【0010】
そこで、湾曲部を、従来のような島取り付け型搬送固定具で遊技機島に固定してズレを防止する方法もあるが、島取り付け型搬送固定具は、遊技機島内に設置されている各種の設備機器が存在する場所には取り付けることができないので、湾曲部の位置によっては、島取り付け型搬送固定具を使用できなくなる。また、設備機器や配線類の干渉を回避できる位置まで島取り付け型搬送固定具を延長して湾曲部を保持する場合には、遊技機島毎に設備機器の設置位置や配線の状況が異なるので、多種類の島取り付け型搬送固定具を準備する必要が生じる。
【0011】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、直線部と湾曲部を繋ぎ合わせた搬送路の湾曲部を、島環境に左右されずに、搬送経路設置基準に合わせて確実に固定することのできる紙葉類搬送装置、遊技機島、搬送路固定具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0013】
[1]遊技機と遊技媒体貸し機が曲線状に配列された遊技機島の内側に沿って延設され、前記遊技媒体貸し機から排出された紙葉類を所定の場所に搬送する搬送路を有し、
前記搬送路は、前記遊技機島の内側に沿うように直線部と湾曲部を繋ぎ合わせて構成され、
前記直線部は、前記遊技機島に固定された剛性を有する直線状のフレームで保持されており、
前記フレームは、前記湾曲部で途切れており、
前記フレームに取り付けられて、前記湾曲部を保持する湾曲部保持部材を有する
ことを特徴とする紙葉類搬送装置。
【0014】
上記発明および下記[7]に記載の発明では、搬送路は、直線部と湾曲部を繋ぎ合わせて構成され、そのうちの直線部は、遊技機島に固定されたフレームに保持される。該フレームは湾曲部に対応する箇所で途切れており、フレームが途切れた箇所にある湾曲部は、フレームの端部に取り付けられた湾曲部保持部材に保持される。
【0015】
[2]前記湾曲部の端部は、直線区間になっており、
前記湾曲部保持部材は、前記湾曲部の前記直線区間を保持する
ことを特徴とする[1]に記載の紙葉類搬送装置。
【0016】
上記発明および下記[8]に記載の発明では、湾曲部保持部材は、湾曲部の端部の直線区間を保持するので、湾曲部の曲率の違いに依らずに湾曲部を保持することができる。
【0017】
[3]前記湾曲部の上流側の前記直線区間には、外側へ拡張した拡張部が設けてあり、
前記湾曲保持部材は、前記拡張部に当接する当接部を有して前記拡張部の下流側を保持する
ことを特徴とする[2]に記載の紙葉類搬送装置。
【0018】
上記発明および下記[9]に記載の発明では、湾曲保持部材の当接部が、湾曲部の拡張部に下流側から当接することで、湾曲部の下流側への移動が阻止される。
【0019】
[4]前記搬送路は筒状であって、内部を流れる空気流の作用で前記紙葉類を搬送する
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の紙葉類搬送装置。
【0020】
[5]空気流を受けて前記搬送路内を移動する搬送補助体で前記紙葉類を後方から押し動かして搬送する
ことを特徴とする[4]に記載の紙葉類搬送装置。
【0021】
[6]遊技機と遊技媒体貸し機が曲線状に配列された遊技機島であって、
[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の紙葉類搬送装置を備える
ことを特徴とする遊技機島。
【0022】
[7]遊技機と遊技媒体貸し機が曲線状に配列された遊技機島の内側に沿って延設され、前記遊技媒体貸し機から排出された紙葉類を所定の場所に搬送する搬送路の一部を支持する搬送路固定具であって、
前記搬送路は、前記遊技機島の内側に沿うように直線部と湾曲部を繋ぎ合わせて構成されており、
前記直線部は、前記遊技機島に固定された剛性を有する直線状のフレームで保持されており、前記フレームは前記湾曲部で途切れており、
当該搬送路固定具は、前記フレームに取り付けられて、前記湾曲部を保持する
ことを特徴とする搬送路固定具。
【0023】
[8]前記湾曲部の端部は、直線区間になっており、
前記湾曲部保持部材は、前記湾曲部の前記直線区間を保持する
ことを特徴とする[7]に記載の搬送路固定具。
【0024】
[9]前記湾曲部の上流側の前記直線区間には、外側へ拡張した拡張部が設けてあり、
前記湾曲保持部材は、前記拡張部に当接する当接部を有して、前記拡張部の下流側を保持する
ことを特徴とする[8]に記載の搬送路固定具。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る紙葉類搬送装置、遊技機島、搬送路固定具によれば、直線部と湾曲部を繋ぎ合わせた搬送路の湾曲部を、島環境に左右されずに、搬送経路設置基準に合わせて確実に固定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態に係る円島に組み込まれた紙葉類搬送装置10の概略構成を示す平面図、
図2は、円島に組み込まれた紙葉類搬送装置10の斜視図である。本実施の形態では、紙葉類搬送装置10は、紙幣の投入を受けて遊技者に遊技媒体(メダル)を貸し出す遊技媒体貸し機3とスロットマシンなどの遊技機4とを一組にしたものを、正面を外向きにして円弧状に複数組配設した円島(遊技機島2)の内部に設けられ、各遊技媒体貸し機3の背面から排出された紙幣を取り込んで遊技機島2の端部に設けられた金庫5まで搬送する紙幣搬送装置として構成されている。なお、
図2では遊技機4は図示省略してある。また、
図3は、金庫5の内部構成を示している。
【0029】
紙葉類搬送装置10は、紙幣6(紙葉類)の搬送路となる搬送管12と、搬送管12内にその延設方向に流れる空気流を発生させる空気流発生装置(ブロア)14(
図3参照)を備えている。搬送管12は、遊技機島2(円弧状に配列された遊技媒体貸し機3および遊技機4)の内側に沿って円弧状に延設されている。紙葉類搬送装置10では、空気流を受けて搬送管12内を移動可能な搬送補助体16を、搬送対象の紙幣6より上流側で搬送管12内へ挿入し、該搬送補助体16で搬送管12内の紙幣6を後方から押し動かして下流へ搬送するようになっている。
【0030】
本実施の形態に係る遊技機島2では、
図3に示すように、金庫5の内部に、空気流発生装置14と、紙幣分離・搬送補助体循環装置20が設けてある。紙幣分離・搬送補助体循環装置20は、搬送補助体16を搬送管12内に送り出す搬送補助体挿入装置21の機能と、紙幣6とこれを後方から押し動かして搬送してきた搬送補助体16とを分離してそれぞれを回収する分離回収装置22の機能を備えると共に、回収した搬送補助体16を搬送補助体挿入装置21へ戻して循環させる機能を果たす。分離回収装置22で回収した紙幣6は金庫5内の紙幣収納部(図示省略)に収容される。
【0031】
空気流発生装置14の空気吹き出し側(空気吹出通路14a)は搬送補助体挿入装置21の空気流入口側に接続され、搬送補助体挿入装置21の空気流出口側に、搬送管12の始端が接続されている。搬送管12は、搬送補助体挿入装置21の空気流出口側から遊技機島2の他方の端部まで円弧状に延設された往路12aと、該他方の端部でU字状に折り返すターン部12b(
図2参照)と、ターン部12bで折り返した後、往路12aの上方を該往路12aに沿って金庫5まで戻るように延設された復路12cで構成される。復路12cの終端は、分離回収装置22の空気流入口側に接続され(
図3参照)、分離回収装置22の空気流出口側に空気流発生装置14の空気吸い込み側(空気吸込通路14b)が接続されている。
【0032】
空気流発生装置14はモータでファンを回転させることによって空気流を発生させる。空気流発生装置14が発生させた空気流は、空気吹出通路14aから搬送補助体挿入装置21を通じて搬送管12の始端に流れ込み、往路12a、ターン部12b、復路12cを経た後、分離回収装置22、空気吸込通路14bを通じて空気流発生装置14の吸い込み側へ引き込まれるように流れる。
【0033】
搬送管12の往路12aおよび復路12cはそれぞれ、直線状の直管部と、曲線状の湾曲管部を繋ぎ合わせることで、全体として遊技機島2の内側に沿う円弧状にされている。復路12cを構成する直管部には、各遊技媒体貸し機3に対応する位置に、遊技媒体貸し機3の背面から排出された紙幣6を搬送管12(復路12cの直管部)内に取り込む紙幣取込装置24が設けてある。紙幣取込装置24は復路12cの直管部の一部を成す通路部51(
図15参照)を備えており、該通路部51の中に紙幣6を取り込む。
【0034】
紙幣取込装置24から搬送管12の復路12c内に取り込まれた紙幣6は、その紙面が搬送管12の延設方向に沿う姿勢で取り込み完了位置に滞在する。この搬送管12(紙幣取込装置24の通路部)内に取り込まれて滞在している紙幣6を金庫5まで搬送して回収するために搬送補助体16が搬送補助体挿入装置21によって搬送管12内へ送り込まれる。搬送補助体挿入装置21から搬送管12内へ送り込まれた搬送補助体16は、空気流発生装置14が発生させた空気流の作用を受けて往路12a内をターン部12bに向けて移動し、ターン部12bでUターンした後、復路12c内を終端部に向けてさらに移動する。このとき、
図4に示すように、搬送管12内の紙幣6を、該紙幣6の後端側から搬送補助体16が押し動かすことで、搬送管12の終端部へ向けて(図中の搬送方向Fへ)紙幣6が搬送される。
【0035】
紙葉類搬送装置10の紙幣分離・搬送補助体循環装置20、紙幣取込装置24等は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを主要部とする図示省略の制御部に制御されて動作する。本例では、空気流発生装置14は常時作動させておき、制御部は、紙幣取込装置24に設けたセンサが遊技媒体貸し機3の背面から排出された紙幣6を検知すると紙幣取込装置24を作動させて該紙幣6を搬送管12内に取り込む。そして、この取り込み動作が完了したら搬送補助体挿入装置21から搬送補助体16を搬送管12内へ送り込む。すると、この搬送補助体16が空気流の作用を受けて搬送管12内を、往路12aからターン部12b、復路12cへと移動し、復路12cにおいて、その途中に滞在している紙幣6を後方から押し動かして搬送する。分離回収装置22は搬送補助体16の到来を検知すると紙幣6と搬送補助体16とを分離してそれぞれを回収し、その回収した搬送補助体16は次回の送出に備えて搬送補助体挿入装置21へ案内し、回収した紙幣6は金庫5内の紙幣収納部へ搬送する、というように動作を制御する。
【0036】
なお、空気流発生装置14を必要時(たとえば、紙幣取込装置24が遊技媒体貸し機3から排出された紙幣6を検知した時点からその紙幣を金庫5に搬送し終えるまでの間)のみ動作させるように制御してもよい。
【0037】
このように、空気流の作用を受けて搬送補助体16が移動し、この搬送補助体16によって紙幣6を後端側から押し動かして搬送するので、紙幣6自体は空気流を受けて推進力を得る必要がない。したがって、空気流を受けるために紙幣6を折り曲げる等の措置を施すことなく、紙幣6を空気流によって搬送することができる。また、搬送補助体16は紙幣6に比べて効率よく空気流から推進力を得ることができるので、効率よく紙幣を搬送することができる。
【0038】
次に、搬送管12および搬送補助体16の形状について詳細に説明する。
【0039】
図5は、直管部の一部を成す搬送管12の斜視図を、
図6は、同部分の搬送管12の延設方向F(=紙幣の搬送方向F=空気流の流れる方向)に垂直な断面形状を示す断面図である。搬送管12は、厚さ1.5ミリほどの樹脂で形成されている。搬送管12は、たとえば、押し出し成型によって形成される。なお搬送管12の内側形状は、湾曲管部においても同様である。
【0040】
搬送管12の直線部分の延設方向Fに垂直な断面の断面形状は、縦長の長方形の左右の側壁の中央部分が外側へ矩形に拡張した形状を成している。詳細には、搬送管12は、上下の壁部31と、左右の側壁部32と、左右の側壁部32の上下方向の中央部分において外側へ矩形に張り出した拡張部33とを備えている。なお、搬送管12の延設方向(搬送方向F)に垂直な略長方形の断面における短辺方向をX方向(もしくは幅方向、左右方向)、長辺方向をY方向(もしくは高さ方向、上下方向)とする。X方向、Y方向それぞれにおいて搬送管12の中心に向かう方向を内側、中心から内壁へ向かう方向を外側と呼ぶものとする。
【0041】
拡張部33は、搬送管12の内側方向へ立設された分離壁34によって上下2つに区切られている。分離壁34は拡張部33の内壁にT字型の部材を貼り付けて形成されている。
【0042】
側壁部32には、搬送管の内側方向へ突起した複数本のリブ35が搬送方向に沿って延設形成されている。本例では、側壁部32と拡張部33の境界部に搬送管の内側へ突出するリブ35が搬送方向に沿って形成されている。分離壁34はリブ35と同じ高さになっており、分離壁34の頂部はリブとしての作用を果たす。
【0043】
側壁部32は、搬送される紙幣6の紙面に対向する一対の内壁となっている。紙幣6は長方形をなしており、搬送管12内を、長辺が搬送方向Fとなる向きで搬送される。言い換えると、紙面が搬送管12の側壁部32に対向しかつ紙幣6の一方の短辺が搬送方向の先端側となり他方の短辺が後端側となる向きで搬送される。
【0044】
搬送管12の上下の壁部31の間隔Dyは紙幣6の短辺より僅かに長くされている。また、左右の側壁部32(リブ35や拡張部33、分離壁34が形成されていない部分(基準平面部とする))の間隔Dxは21ミリほどに設定されている。左右の側壁部32に設けられた拡張部33はそれぞれ側壁部32(基準平面部)よりも外側へ6ミリほど拡張している。リブ35および分離壁34の頂は、側壁部32(基準平面部)から内側へ約2ミリの高さになっている。リブ35の高さは適宜に設定すればよい。
【0045】
図7は、搬送補助体16の平面および正面を示している。搬送補助体16は、各部で径が異なる断面円形(軸に垂直な断面が円形)の柱状を成している。搬送補助体16は、円柱の中心軸が搬送管12のY方向(高さ方向)となるように搬送管12内に挿入されて使用される。搬送補助体16は、上下対象な形状であり、上から順に、頭部16a、頭部よりやや径の小さい首部16b、頭部16aより径が大きい大径部16c、首部16bと同径であって上下の中央に位置する括れ部16d、大径部16c、首部16b、頭部16aを有して構成される。搬送補助体16は、軽量、丈夫であり、たとえば、プラスティックなどにより内部が空洞に形成される。なお、軽量、丈夫であれば、発泡スチロールや押出発泡ポリスチレンなどにより形成されてもよい。
【0046】
図8は、搬送管12内に搬送補助体16を挿入した状態における、延設方向Fに垂直であって搬送補助体16の中心軸を通る断面を示している。搬送補助体16の各部の径は、搬送管12の内縁形状に対応している。すなわち、搬送補助体16の中心軸を通る断面形状は、延設方向Fと垂直な断面における搬送管12の内縁形状に対応した形状となっており、搬送管12の内側を、内壁との間に所定のクリアランスをあけてほぼ塞ぐ形状になっている。
【0047】
このように、搬送補助体16は、搬送管12の内縁形状に対応する形状(若干のクリアランスをもってほぼ同一の形状)をなして搬送管12の断面のほぼ全体を塞ぐので、空気流の作用を効率よく受けて移動することができる。さらに搬送補助体16は上流からの空気流が搬送補助体16の下流側へ至るのを防ぎ、下流側での空気流の乱れを抑制する役割を果たす。
【0048】
紙幣6は、搬送管12内の空気流から作用を受けると側壁部32に張り付く傾向にある。すなわち、紙幣6の一方の紙面とこれに対向する側壁部32との間隔と、他方の紙面とこれに対向する側壁部32との間隔とが均等になることはほとんどなく、いずれかの間隔が他方より狭くなると、空気流の流速は狭い間隔側で広い間隔側より速くなるため、狭い間隔側の気圧が広い間隔側の気圧より低くなり、この気圧差によって紙幣6が狭い間隔側の側壁部32へ吸着・押圧される。そうなると、狭い間隔側の間隔がさらに狭くなり、紙幣6が側壁部32へ張り付き吸着する現象が生じる。
【0049】
紙幣6が強く側壁部32に張り付くと、搬送補助体16で紙幣6を押し動かして搬送することが難しくなるが、上記のように搬送補助体16はその下流側への空気の流れを遮る(少なくする)作用を果たすので、紙幣6が張り付き吸着する力は小さくなり、円滑な搬送が実現される。
【0050】
搬送補助体16が有する2つの大径部16cは、搬送管12の分離壁34に区切られた2つの拡張部33のそれぞれに係合する。本例では、拡張部33を分離壁34によって2つに区切ると共に、これらの拡張部33を搬送管12のY方向の中央寄りに設けてあるので、搬送補助体16を安定した姿勢に維持して移動させることができる。また、搬送補助体16の姿勢が安定するので、紙幣6の後端に搬送補助体16の大径部16cが適切に当接して安定した搬送力を与えることができる。また、搬送管12と搬送補助体16との間に紙幣6が巻き込まれ難くなる。
【0051】
また、搬送補助体16は、大径部16cを設けることで、空気流の作用を受ける部分の面積が拡大し、移動するための力を効率よく受けることができる。また、大径部16cを設けて空気流の作用を効率的に受けるので、その分、頭部16aの径を小さくすることができる。頭部の径を小さくすることで、搬送管12内の対向する一対の側壁部32の間隔(幅(Dx))を狭くすることができ、紙幣6の倒れを防ぐことができる。
【0052】
さらに、側壁部32に設けた複数本のリブ35の存在により、紙幣6が側壁部32にぴったりと張り付くことが防止される。すなわち、紙幣6と側壁部32との接触面積が少なくなって摩擦が軽減され、静電気の発生等を抑えることができる。また、紙幣6が側壁部32に張り付いた場合でも、その紙幣6はリブ35の先端部分で支持されるため、リブ35の周辺では側壁部32と紙幣6との間に隙間が確保され、張り付き力が小さく抑えられる。また分離壁34によって紙幣6が支えられるので、紙幣6が拡張部33の窪みに落ち込むことが防止される。
【0053】
また、側壁部32から内側に突出する複数のリブ35や分離壁34の頂部は、搬送管12の幅方向(X方向)における実質的な紙幣6の通路幅Wを、基準平面部間距離Dxより狭くする役割を果たす。これにより、紙幣6が搬送管12内で横倒れし難くなり、紙幣6の姿勢がY方向に沿うように保持される。特に、リブ35を複数設けることで、紙幣6の倒れを適切に防ぐと共に、紙幣6の側壁部32への張り付きも効果的に防止される。なお、リブ35を設けた分だけDxを大きくすることができ、これによって搬送管12の断面積を大きくして搬送補助体16が空気流の作用を受けやすくなっている。
【0054】
本実施の形態に係る搬送補助体16の場合、大径部16cの径が最も大きいので、
図4に示すように、この大径部16cが紙幣6の後端に当接して押し動かすようになる。
【0055】
図9はターン部12bの断面図であり、
図10はターン部12bの斜視図である。ターン部12bは、搬送管12を、Y方向を半径方向として90度の円弧を描くように延設された円弧部13bと、直線部13cと、90度の円弧状の円弧部13bとを繋げた形状を有し、搬送補助体16の進路を180度変更する。ターン部12bにおいてもリブ35や拡張部33は形成されるが、搬送補助体16が円弧部13bに沿って円弧状に移動する際に引っかかることがないように、分離壁34は設けないと共に、搬送補助体16がターン部12b内を通る際の軌跡と重なる部分においてはリブ35や拡張部33を逃がすように(直線部分よりクリアランスを大きく)してある。これにより、ターン部12bの円弧部13bでの回転半径を小さくすることができる。なお、直線部13cの長さは、搬送補助体分離装置22や紙幣取込装置24の大きさなどにより往路12aと復路12cとの間に必要とされる距離に応じて適宜に定めればよい。なお、ターン部12bの拡張部33には、搬送補助体16の大径部16cに対応させて2本のリブ13aを設けてあり、搬送補助体16をX方向の中央寄りに位置規制する。
【0056】
次に、搬送管12の連結および固定について説明する。
【0057】
図11は搬送管12の一部の区間を示す斜視図であり、
図12は
図11に対応する区間の搬送管12を分解して示す分解斜視図であり、
図13は
図11に対応する区間の搬送管12を示す正面図であり、
図14は
図11に対応する区間の搬送管12を示す平面図である。
【0058】
図12に示すように、搬送管12の往路12aにおける直管部40は、所定長の直線状搬送管41と、該直線状搬送管41の下流端が接続される上流接続アダプタ42で構成される。湾曲管部45は、所定の曲率で湾曲した円弧状の部分とその両端に形成された短い直線状の搬送管接続口(後述する上流側搬送管接続口45a、下流側搬送管接続口45c)で構成される。湾曲管部45の一方の搬送管接続口(下流側搬送管接続口45c)には直線状搬送管41が接続され、他方の搬送管接続口(上流側搬送管接続口45a)には上流接続アダプタ42が接続される。
【0059】
復路12cにおける直管部46は、紙幣取込装置24の通路部51(
図16参照)と、該通路部51の一端(上流側)に接続される上流接続アダプタ42と、上流接続アダプタ42の上流側に接続される直線状搬送管41と、通路部51の他端(下流側)に接続される直線状搬送管41と、該直線状搬送管41の下流に接続される上流接続アダプタ42とから構成される。該直管部46の上流側、下流側にはそれぞれ湾曲管部45が接続される。
【0060】
搬送管12の直管部40、46は、剛性を備えた金属製、直線状のフレーム部材60に支持される。フレーム部材60は、並置された遊技機4と遊技媒体貸し機3の合計幅よりやや短い長さを備える。フレーム部材60は湾曲管部45に対応する部分にはなく、この部分で途切れている。
【0061】
フレーム部材60の一端は、遊技機4や遊技機島2の構造体等に一端が固定された第1取り付け金具70の他端に支持される。フレーム部材60の他端は、遊技媒体貸し機3の背面に一端が固定された第2取り付け金具80の他端に支持される。
【0062】
フレーム部材60は、幅方向の両側に溝を有する細長い平板状を成しており、フレーム部材60の上面には、フレーム部材60に係合し、フレーム部材60の長手方向に沿って自在にスライド移動可能な台座部62が取り付けられる。台座部62は、下部の爪がフレーム部材60の裏面側に引っ掛かるようにしてフレーム部材60に取り付けられる。この引っ掛かりにより、台座部62がフレーム部材60から容易に外れることはない。
【0063】
台座部62の上面には、紙幣取込装置24の下部が嵌め込まれる。台座部62は紙幣取込装置24を下方から支持する。紙幣取込装置24は、紙幣6の取り込み口54が、丁度、遊技媒体貸し機3の背面に設けられた紙幣6の排出口と対向する位置になるように取り付けられる(
図15参照)。
【0064】
第2取り付け金具80は、一端側が遊技媒体貸し機3に固定されて遊技媒体貸し機3の背面が臨む方向に延びた固定腕81と、この固定腕81の他端側に取り付けられると共に該固定腕81に対する取り付け角度を、遊技媒体貸し機3の背面の排出口から紙幣取込装置24の取り込み口54へ向かう紙幣6の紙面に垂直であって排出口から取り込み口54へ向かう方向を含む面内において所定の角度範囲で調整可能な支持部82とを有する。
図15に示すように、第2取り付け金具80の固定腕81は、遊技媒体貸し機3の背面に設けられた紙幣6の排出口と紙幣取込装置24の取り込み口54とを結ぶようになる。
【0065】
なお、
図15に示すように、遊技媒体貸し機3の背面に設けられた排出口から紙幣取込装置24の取り込み口54までの間は、排出口から繰り出される紙幣6を紙幣取込装置24の取り込み口54へ案内する紙幣案内通路110によって接続される。紙幣案内通路110は、複数の短い矩形筒状の通路部材111を繋ぎ合わせて構成される。繋ぎ合わせる通路部材111の数を調整することで紙幣案内通路110の長さを、遊技媒体貸し機3の背面の排出口から紙幣取込装置24の取り込み口54までの距離に合わせる。また、通路部材111同志はヒンジで連結されるため、通路部材111同志を連結箇所において所定の角度範囲で曲げることができる。
【0066】
フレーム部材60の第1取り付け金具70に支持された側の端部の近傍には、フック部材64が取り付けられる(
図12参照)。フック部材64は、フレーム部材60に引っ掛けて吊り下げられる。フック部材64は、下方に延びた後、下端が上向きコの字状に折り曲げられた吊り下げ腕部64aを備えている。搬送管12の往路12aはフック部材64の吊り下げ腕部64aに抱え込まれるようにして保持される。すなわち、搬送管12の往路12aは、フレーム部材60にフック部材64を介して吊り下げられるように保持される。
【0067】
フレーム部材60の第2取り付け金具80に支持された側の端部には、湾曲管部保持金具90が取り付けられる。湾曲管部保持金具90は、フレーム部材60の端部に一端が差し込まれてフレーム部材60に固定されるベース板91(
図25参照)と、ベース板91の他端側に取り付けられて下方に延設された往路湾曲管吊り下げ部材92と、ベース板91の他端側に取り付けられて上方に延びる復路湾曲管保持部材93とから構成される。
【0068】
往路湾曲管吊り下げ部材92は、往路12a側の湾曲管部45を、フック部材64と同様に抱え込むようにして保持する。復路湾曲管保持部材93は、復路12c側の湾曲管部45を保持する。湾曲管部保持金具90の詳細は後述する。
【0069】
搬送管12の復路12cは、第1取り付け金具70および第2取り付け金具80によってフレーム部材60が遊技機島2に固定され、該フレーム部材60に台座部62を介して紙幣取込装置24が取り付けられ、紙幣取込装置24にその前後の搬送管が取り付けられて支持される。さらに復路12cの湾曲管部45はフレーム部材60の端部に取り付けられた湾曲管部保持金具90の復路湾曲管保持部材93に保持される。
【0070】
搬送管12の往路12aは、フック部材64および湾曲管部保持金具90の往路湾曲管吊り下げ部材92を介してフレーム部材60に吊り下げられるようにして支持される。
【0071】
次に、紙幣取込装置24の構造を簡単に説明しておく。
【0072】
図16は、紙幣取込装置24の内部構造を示す断面図である。紙幣取込装置24は、搬送路12の一部となる筒状の通路部51と、通路部51に沿って設けられた矩形箱状の本体枠部52を有する。
【0073】
通路部51の一端部は、上流側の搬送管12が、上流接続アダプタ42を介して接続される上流側搬送管接続部51aになっており、他端部は下流側の搬送管12(
図12では直線状搬送管41)が接続される下流側搬送管接続部51bになっている。図中の矢印Fは搬送管12内での紙幣6の搬送方向(空気流の方向)を示している。
【0074】
上流側搬送管接続部51aと下流側搬送管接続部51bの間は、搬送管12の内縁形状に対応した内縁形状を有する紙幣通路51cになっている。紙幣通路51cの本体枠部52側の壁面には、紙幣6を紙幣通路51c内に取り込むための開口部53が設けてある。
【0075】
紙幣取込装置24の本体枠部52の正面の一方の端部には、遊技媒体貸し機3の背面に設けられた排出口から繰り出された紙幣6を受け入れる取り込み口54が開口している。遊技媒体貸し機3は、横長かつ紙面を立てた姿勢の紙幣6を、一方の短辺を先頭に長辺の向きに排出する。取り込み口54は、紙幣6の短辺よりやや長い細い長方形の開口であって、紙幣6をその短辺から受け入れる。取り込み口54と通路部51の開口部53との間には、次に開口部53から紙幣通路51c内へ送り出す紙幣6を待機させる通路としての待機部55が形成されている。待機部55はS字状に湾曲した幅狭(紙幣6の厚み方向に狭い)の通路(湾曲通路)となっており、該湾曲通路内に1枚の紙幣6を待機させることができるようになっている。
【0076】
待機部55に設けられた各種の搬送ローラ56は、取り込み口54から取り込んだ紙幣6を、待機部55を通じて開口部53から紙幣通路51c内へ送り出す。紙幣取込装置24の取り込み口54は、紙幣取込装置24の正面が向く方向と同じ方向を臨むように開口している。
【0077】
次に、湾曲管部保持金具90による復路12cの湾曲管部45の保持について説明する。
【0078】
まず、湾曲管部保持金具90によって保持される湾曲管部45の形状について説明する。
図17は、湾曲管部45を示す斜視図である。湾曲管部45は、所定の曲率で円弧状に湾曲した円弧状湾曲部45bと、円弧状湾曲部45bの上流側に設けられた上流側搬送管接続口45aと、円弧状湾曲部45bの下流側に設けられた下流側搬送管接続口45cを備えて構成される。上流側搬送管接続口45aおよび下流側搬送管接続口45cはそれぞれ直線状の管路になっている。
【0079】
上流側搬送管接続口45aは、円弧状湾曲部45bに隣接し、円弧状湾曲部45bより外形が一回り大きくされた縁部k1と、縁部k1の上流側に隣接し、円弧状湾曲部45bと同じ外形にされた直線管部k2と、湾曲管部45の上流端にあって、直線管部k2より外形が外側に拡張した拡張管部k4と、直線管部k2の上流端から拡張管部k4の下流端の間にあって拡張管部k4に向けて外形が次第に大きくなるように傾斜した壁面で直線管部k2と拡張管部k4の間を繋ぐ傾斜拡張管部k3とから構成される。傾斜拡張管部k3と拡張管部k4は、直線管部k2に比べて外側へ拡張した拡張部を成している。
【0080】
搬送管12の復路12cにおいては、上流側搬送管接続口45aに上流接続アダプタ42が接続され、下流側搬送管接続口45cに直線状搬送管41が接続される(
図12参照)。
【0081】
図18は湾曲管部保持金具90を斜め上流側から見た斜視図、
図19は湾曲管部保持金具90を斜め下流側から見た斜視図、
図20は湾曲管部保持金具90の正面図、
図21は湾曲管部保持金具90の左側面図、
図22は湾曲管部保持金具90の背面図、
図23は湾曲管部保持金具90の平面図、
図24は湾曲管部保持金具90の底面図、
図25はフレーム部材60への湾曲管部保持金具90の取り付け方を示す図、
図26はフレーム部材60の下流端に取り付けた湾曲管部保持金具90で湾曲管部45を保持した状態を示す斜視図である。
【0082】
図25に示すように、湾曲管部保持金具90は、フレーム部材60の端部に一端が差し込まれてフレーム部材60に固定されるベース板91と、ベース板91の他端側に取り付けられて下方に延設された往路湾曲管吊り下げ部材92と、ベース板91の他端側に取り付けられて上方に延びる復路湾曲管保持部材93とから構成される。
【0083】
フレーム部材60は、細長い板状の平坦部66と、該平坦部66の幅方向両端に該平坦部66の長手方向に沿って延びる断面が上向きコの字型の溝部67と、両縁の溝部67からそれぞれ平坦部66の幅方向の中央に向けて突起して該フレーム部材60の長手方向に沿って延びる一対の突起片68を有する。
【0084】
ベース板91は、フレーム部材60の一方の縁の溝部67と他方の縁の溝部67との間の距離にほぼ等しい幅を有し、平坦部66の裏面と一対の突起片68との隙間68aに対応する厚みを備えた細長い高剛性の平板であり、長手方向の中央部にはやや幅広にされた係止部91aを備えている。
【0085】
フレーム部材60の端部の隙間68aにベース板91の一端側を係止部91aが隙間68aに入るまで押し込むことで、フレーム部材60にベース板91が強固に保持される。
【0086】
ベース板91の他端側の上面の中央部には、ベース板91の長手方向に沿って一対の対向する支持板91bが立設されている。往路湾曲管吊り下げ部材92および復路湾曲管保持部材93はそれぞれ支持板91bに取り付けられる。往路湾曲管吊り下げ部材92および復路湾曲管保持部材93はそれぞれ取り付け位置を、支持板91bに対して、ベース板91の長手方向にスライド移動させて調整可能になっている。
【0087】
往路湾曲管吊り下げ部材92は、ベース板91の下方へ吊り下げる湾曲管部45の一方の側壁に沿って下方へ延びた後、下端で湾曲管部45の下部を抱え込むように上向きコの字状に折り曲げられた吊り下げ腕部92aと、湾曲管部45の他方の側壁の上部を吊り下げ腕部92aとの間に挟み込む挟持片92bとを有して構成される。
【0088】
吊り下げ腕部92aの上端には、吊り下げ腕部92aを一方の支持板91bに取り付けるための取り付け板92cが設けてある。取り付け板92cには、ベース板91の長手方向に長い長穴92dが設けてある。吊り下げ腕部92aは、該長穴92dに通したネジで一方の支持板91bに取り付けられ、長穴92dの範囲で取り付け位置を、ベース板91の長手方向にスライドさせて調整することができる。
【0089】
挟持片92bの上端には、挟持片92bを他方の支持板91bに取り付けるための取り付け板92eが設けてある。取り付け板92eには、ベース板91の長手方向に長い長穴92fが設けてある。挟持片92bは、該長穴92fに通したネジで他方の支持板91bに取り付けられ、長穴92fの範囲で取り付け位置を、ベース板91の長手方向にスライドさせて調整することができる。
【0090】
復路湾曲管保持部材93は、ベース板91の一方の支持板91bにスライド移動可能に取り付けられ、保持対象となる復路12cの湾曲管部45の一方の側壁に沿って上方へ延びた後、上端で湾曲管部45の上部を抱え込むように下向きコの字状に折り曲げられた上部保持腕93aと、保持対象となる復路12cの湾曲管部45の他方の側壁の下部を上部保持腕93aとの間に挟み込む上部挟持片93bとを備えている。
【0091】
上部保持腕93aの下端には、上部保持腕93aを一方の支持板91bに取り付けるための取り付け板93cが設けてある。取り付け板93cには、ベース板91の長手方向に長い長穴93dが設けてある。上部保持腕93aは、該長穴93dに通したネジで一方の支持板91bに取り付けられ、長穴93dの範囲で取り付け位置を、ベース板91の長手方向にスライドさせて調整することができる。
【0092】
上部挟持片93bの下端には、上部挟持片93bを他方の支持板91bに取り付けるための取り付け板93eが設けてある。取り付け板93eには、ベース板91の長手方向に長い長穴93fが設けてある。上部挟持片93bは、該長穴93fに通したネジで他方の支持板91bに取り付けられ、長穴93fの範囲で取り付け位置を、ベース板91の長手方向にスライドさせて調整することができる。
【0093】
上部保持腕93aの上方に延びる腕の途中には、該腕の幅方向の両端を内側に折り曲げて形成した当接部93gが設けてある。
【0094】
図26に示すように、湾曲管部保持金具90の復路湾曲管保持部材93は、湾曲管部45のうち、上流側搬送管接続口45aの傾斜拡張管部k3に最も近い位置で直線管部k2を保持する。これにより復路湾曲管保持部材93の上部保持腕93aの当接部93gが湾曲管部45の上流側搬送管接続口45aの傾斜拡張管部k3に下流側から当接する。
【0095】
当接部93gが傾斜拡張管部k3に当接することで、湾曲管部45が上流接続アダプタ42から抜け落ちることを防止する。紙葉類搬送装置10では、上流から下流へ移動する搬送補助体16が湾曲管部45の湾曲箇所に衝突して湾曲管部45を下流に移動させる力が作用する。この力が作用して湾曲管部45が下流に移動しようとしても、復路湾曲管保持部材93の当接部93gが上流側搬送管接続口45aの傾斜拡張管部k3に食い込むように当接し、復路湾曲管保持部材93はベース板91を介してフレーム部材60にしっかりと固定されているので、湾曲管部45が下流へ移動することはない。これにより、湾曲管部45が上流接続アダプタ42から抜け落ちることが防止される。
【0096】
また、復路湾曲管保持部材93は湾曲管部45の直線部分である直線管部k2の部分を保持するので、円弧状湾曲部45bの曲率に影響を受けることなく、湾曲管部45を保持することができる。すなわち、円弧状湾曲部45bの部分を保持する構成では、円弧状湾曲部45bの部分の曲率が異なる複数種類の湾曲管部45に対応するために、多様な曲率の復路湾曲管保持部材93を用意する必要が生じる。湾曲管部保持金具90の復路湾曲管保持部材93は、直線部分である直線管部k2の部分で湾曲管部45を保持するので、そのような問題は生じず、すべての湾曲管部45に共通に使用することができる。
【0097】
なお、縁部k1の存在により、復路湾曲管保持部材93で湾曲管部45を保持する箇所の位置決めを用意に行うことができる。
【0098】
また、湾曲管部45を保持する湾曲管部保持金具90は搬送管12の設置基準となる(特に、紙幣取込装置24の設置位置の基準となる遊技媒体貸し機3に固定された)フレーム部材60に取り付けられるので、島環境(遊技機島2における設備機器や配線類の設置状況)の影響を受けずに、湾曲管部45を、搬送管12の設置基準に合わせて確実に固定することができる。
【0099】
次に、ターン部12bの保持について説明する。
【0100】
ターン部12bも湾曲部の一種である。ターン部12bを保持するターン部保持部材は、遊技機島2もしくはフレーム部材60に取り付けられると共に、ターン部12bのU字の底の部分に外側から当接する当接部を有する。
【0101】
図27に示すターン部保持部材120は、ターン部12bが紙幣取込装置24のすぐ隣に配置される場合に対応するものである。ターン部保持部材120は、横向きコの字型を成しその縦辺が遊技媒体貸し機3の背面に取り付けられる固定腕121と、固定腕121の下辺の先端部に設けられてフレーム部材60を保持するフレーム保持部122と、該先端部の近傍の下辺から往路12aにおける下流方向へ延設された腕の先端に設けられた、U字型のターン部12bのU字の底部に外側(往路12aにおける下流側)から当接する当接部123を備えている。
【0102】
当接部123は、ターン部12bに所定の広さの面(当接面)で当接する。当接部123の当接面は、往路12aからターン部12bに到達する紙葉類の進行方向が、該当接面の法線となる向きに設定されている。
【0103】
図28に示すターン部保持部材130は、ターン部12bが該ターン部12bに最も近い紙幣取込装置24からある程度離れた位置になる場合に対応するものである(
図29参照)。ターン部保持部材130は、取り付け金具70等によって遊技機島2に固定されたフレーム部材60に沿うように取り付けられ、該フレーム部材60の往路12a方向の下流端よりさらに下流に向けて延びる延長腕131と、この延長腕131の下流端に設けられて、U字型のターン部12bのU字の底部に外側から当接する当接部132を備えている。
【0104】
当接部132は、ターン部12bに所定の広さの面(当接面)で当接する。当接部132の当接面は、往路12a側からターン部12bに到来する紙葉類の進行方向が、該当接面の法線となる向きに設定されている。
【0105】
図29は、ターン部保持部材130でターン部12bを保持した状態を示している。往路12aからターン部12bに進入してきた紙幣6や搬送補助体16が、U字状に湾曲したターン部12bに沿って進行して向きを変える際に該ターン部12bの内壁に突き当ることで、ターン部12bを下流側へ移動させる力が作用する。ターン部保持部材120、130の当接部123、132はこの力の作用する方向と反対方向からターン部12bに当接することで、該力に抗してターン部12bの移動(抜け落ち)を阻止する。
【0106】
なお、遊技場の柱を囲むように設けられる遊技機島においては、たとえば、
図30、
図31に示すような形に紙葉類搬送装置10の搬送路(搬送管12)が設置される場合もある。このような搬送路では略90度に湾曲した角となる部分に、略90度に湾曲した湾曲管160が設けられる。角の湾曲管160では、上流から進入してきた紙幣6や搬送補助体16が当該湾曲管160に沿って向きを変える際に当該湾曲管160の内壁に衝突する。これにより、上流側の搬送管から角の湾曲管160に抜け落ちる向きの力が作用する。そこで、この力によって湾曲管160が抜け落ちることを防止するために角の湾曲管160を保持する角部湾曲管保持部材140、150が設けられる。
【0107】
図32は、角部湾曲管保持部材140の一例を示している。角部湾曲管保持部材140は、一端が遊技機島に取り付けられると共に、角の湾曲管160に進入する紙幣6や搬送補助体16の進行方向と反対方向の外側から該湾曲部に当接する当接部142を備えている。
【0108】
図32に示す角部湾曲管保持部材140は、L字型の固定台部141と、固定台部141の長い方の腕の上面に、該腕の長手方向に沿ってスライド移動可能に取り付けられた当接部142を備えて構成される。固定台部141の短い方の腕は、長い方の腕が遊技機島の他端に向けて水平に延びるようにして該遊技機島の端部の壁面にネジ等で固定される。
【0109】
当接部142は、搬送管12の側壁面(特に拡張部33)に当接される当接面142aを備えている。当接部142を固定台部141へ取り付ける際に、当接部142の取り付け角度を、90度単位に4方向の中から選択可能になっている。たとえば、
図32において上側の角部湾曲管保持部材140では、当接面142aが固定台部141の長い方の腕の長手方向に沿った向きになる状態にされており、下側の角部湾曲管保持部材140は、当接面142aが遊技機島端部の壁面を臨む向きにされている。これにより、当接面142aの向きを切り替え可能にすることで、共通の角部湾曲管保持部材140で左右の角の湾曲管160に対応することができる。
【0110】
図33は、角部湾曲管保持部材140で角の湾曲管160を保持した状態を示している。角部湾曲管保持部材140は、当接面142aが、紙幣6や搬送補助体16が上流から角の湾曲管160に進入する進行方向と反対方向の外側から該湾曲管160の周面に当接するように取り付けられる。当接面142aで湾曲管160に当接することで、湾曲管160をしっかりと保持して、該湾曲管160の抜け落ちや移動を防止する。
【0111】
図34は、他の角部湾曲管保持部材150の例を示している。
図34に示す角部湾曲管保持部材150は、略90度に湾曲した角の湾曲管160に2方向から当接して位置ズレを防止する。
【0112】
角部湾曲管保持部材150は、一端が遊技機島の端部の壁面にネジ等で固定され、該壁面から遊技機島の他端方向に水平に延びる所定長の主腕151と、主腕151の途中から該主腕151の長手方向に直角かつ水平方向に延びる副腕152を有する。主腕151、副腕152には、それぞれの長手方向に沿って長穴が形成されており。該長穴に沿ってスライド移動可能な移動当接部153が主腕151、副腕152のそれぞれ、あるいは一方に取り付けられる。
【0113】
当接部153は、搬送管12を四方から囲むように保持する形状を成しており、そのうち、角の湾曲管160の外周側の壁面に当接する当接面153aにはシート状の弾性体154が貼り付けてある。
【0114】
図35は、角部湾曲管保持部材150で角の湾曲管160を保持した状態を示している。角部湾曲管保持部材150は、当接部153の当接面153aに張り付けた弾性体154が角部の湾曲管160の湾曲した周面に外側から当接するように取り付けられる。角の湾曲管160の中央より下流側の位置で該湾曲管160に当接する当接部153の当接面153aは、上流から該湾曲部160に到来する紙幣6や搬送補助体16の進行方向と反対方向の外側から該湾曲部160の側面に当接して、該湾曲部160の抜け落ちを防止する。また、弾性体154を設けることで湾曲部160の湾曲した外周面への当接を確実にしている。
【0115】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0116】
湾曲管部保持金具90の形状は、実施の形態に例示したものに限定されない。たとえば、ベース板91はフレーム部材60に対してネジ等で取り付けられてもよい。また、ベース板91に対して往路湾曲管吊り下げ部材92や復路湾曲管保持部材93の取り付け位置をベース板91の長手方向に調整可能にする構造等は、実施の形態に例示したものに限定されない。
【0117】
実施の形態では、次第に外形が大きくなる傾斜拡張管部k3に当接部93gを当接させて湾曲管部45が下流へ移動しない構造としたが、傾斜拡張管部k3を省略して、直線管部k2の上流側に隣接して拡張管部k4を設け、拡張管部k4に当接部93gが下流側から当接する構造であってもよい。また、内側に折り曲げた当接部93gを特に設けず、上部保持腕93a自体を当接部として、傾斜拡張管部k3や拡張管部k4に上部保持腕93aが当接するようにしてもよい。
【0118】
実施の形態では、搬送補助体16で紙幣6等の紙葉類を後方から押し動かす空気搬送方式の紙葉類搬送装置10を示したが、搬送補助体16を用いずに、空気の流れのみで紙幣6等の紙葉類を搬送する紙葉類搬送装置であっても本発明は適用される。さらには、空気流を利用せず、ベルトやローラなど他の方法で紙葉類を搬送する紙葉類搬送装置についても本発明は適用可能である。
【0119】
実施の形態で示した搬送補助体16の形状は一例であり、これに限定されない。たとえば、断面矩形・多角形などの柱形状としてもよい。また、搬送補助体16をY方向中央部に対して対象な形状にしたが、Y方向に非対称な形状にされてもかまわない。
【0120】
実施の形態では紙葉類として紙幣6を例に説明したが、チケット、カードなど他の種類の紙葉類であってもかまわない。また、実施の形態では、略円形の遊技機島2の内側に設置する場合を例示したが、楕円形、波状に湾曲するなど、遊技媒体貸し機3と遊技機4が任意の曲線状に配列される遊技機島に対して本発明は適用される。
【0121】
実施の形態では、紙葉類を1枚のみ搬送する例を
図4等に示したが、搬送管12の途中に複数枚の紙幣6が存在する状態で搬送補助体16を挿入した場合には、それら複数枚の紙幣6を一度に搬送することも可能である。たとえば、搬送管12の復路12cの途中の各紙幣取込装置24の取込完了位置にそれぞれ紙幣6が停留している状態で搬送補助体挿入装置21から搬送補助体16を送り込むと、搬送補助体16が押し動かす紙幣6の枚数が復路12cを進む途中で順に増加し、すべての紙幣6を搬送することができる。このような大きな搬送力は、搬送補助体16が搬送管12の断面をほぼ塞ぐ形状を成していること、またこれにより紙幣6の張り付き吸着が少なくなること、拡張部33の存在により空気流の作用を受ける面積が大きいことなどによって確保される。また、搬送補助体16が変形しない柱状をなしているので、羽などでは実現されない、多数枚の一括搬送を可能にしている。
【0122】
実施の形態では搬送管12の断面を略長方形としたが、円形や楕円形など他の形状にされてもよい。ただし、紙葉類の張り付き防止や搬送補助体の位置や姿勢のガイドとして内壁には複数のリブを設けられる。また、搬送補助体はその内縁形状に対応した形状で断面のほぼ全体を塞ぐことが好ましい。
【0123】
また遊技機島は、実施の形態で例示したスロットマシンとメダルを貸し出す遊技媒体貸し機を収容する構成に限定されず、遊技球を貸し出す遊技媒体貸し機とパチンコ機等を収容する遊技機島でもかまわない。