特開2016-175023(P2016-175023A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2016175023-水蒸気を加熱源とする加熱混練装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-175023(P2016-175023A)
(43)【公開日】2016年10月6日
(54)【発明の名称】水蒸気を加熱源とする加熱混練装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 7/08 20060101AFI20160909BHJP
   B01F 15/06 20060101ALI20160909BHJP
   B01F 3/18 20060101ALI20160909BHJP
【FI】
   B01F7/08 B
   B01F15/06 Z
   B01F3/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-57486(P2015-57486)
(22)【出願日】2015年3月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平賀 恵理子
(72)【発明者】
【氏名】福永 聖二
(72)【発明者】
【氏名】清水 正紀
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4G035AB48
4G035AE13
4G035AE15
4G037CA01
4G037EA03
4G037EA04
4G078AA03
4G078AB20
4G078BA01
4G078BA05
4G078BA07
4G078CA01
4G078CA12
4G078DA09
4G078EA10
4G078EA20
(57)【要約】
【課題】粉体原料を粘度のあるバインダーと効率よく均一に混練することができる加熱混練装置を提供する。
【解決手段】粉体原料とバインダーとが供給されるケーシング1の内部に、回転する撹拌手段を設ける。撹拌手段は例えばスクリュー羽根2である。ケーシング1の底面にはケーシングの内部の粉体原料に向けて、撹拌手段による粉体原料の移動方向に対して直交する方向に、あるいは傾斜する方向に過熱水蒸気もしくは飽和水蒸気を噴出する水蒸気噴出口7を複数個設け、粉体原料を直接加熱する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体原料とバインダーとが供給されるケーシングの内部に、回転する撹拌手段を備えるとともに、ケーシングの底面にはケーシングの内部の粉体原料に向けて、前記撹拌手段による粉体原料の移動方向に対して直行する方向に、過熱水蒸気もしくは飽和水蒸気を噴出する水蒸気噴出口を複数個設けたことを特徴とする水蒸気を加熱源とする加熱混練装置。
【請求項2】
ケーシングが横型の筒状体であり、撹拌手段が2軸の横軸のスクリュー羽根であることを特徴とする請求項1記載の水蒸気を加熱源とする加熱混練装置。
【請求項3】
ケーシングが縦型の容器であり、撹拌手段が縦軸の撹拌羽根であることを特徴とする請求項1記載の水蒸気を加熱源とする加熱混練装置。
【請求項4】
粉体原料が過熱水蒸気もしくは飽和水蒸気との接触により加熱された後にバインダーと混練されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の水蒸気を加熱源とする加熱混練装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体原料をバインダーと混練するために適した、過熱水蒸気もしくは飽和水蒸気を加熱源とする加熱混練装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粉体原料を造粒の前工程等において、連続的に加熱しつつ混練する加熱混練装置が用いられている。またその加熱源として、過熱水蒸気もしくは飽和水蒸気が広く用いられている。
【0003】
このような水蒸気を加熱源とする加熱混練装置は、回転軸が縦型の縦軸型の装置と、回転軸が横型の横軸型の装置とに大別される。また水蒸気による加熱方式は、間接加熱方式と直接加熱方式とに大別される。
【0004】
縦軸型で間接加熱方式の加熱混練装置としては、特許文献1、2に示されるように、処理槽の周囲のジャケットに水蒸気を通して加熱するバッチ式縦型ミキサーがある。しかし間接加熱方式の加熱混練装置は、加熱効率のうえでは直接加熱方式に及ばない。
【0005】
そこでバッチ式縦型ミキサーの処理槽の側面から内部に水蒸気を供給して直接加熱方式とすることも考えられるが、処理量の変更にともない水蒸気供給口の取付位置の変更が必要となる。このため装置構造が複雑化したり、処理量ごとに都度設計が必要となるため、装置製作のコストが高くなる。
【0006】
一方、横軸型の加熱混練装置は、間接加熱方式、直接加熱方式ともに各種の構造のものが多数存在する。直接加熱方式の加熱混練装置も水蒸気の供給方向は、粉体原料の移動方向に対して平行とするか、粉体原料に通気するか、また平行流であっても向流とするか並流とするかなど、様々なものがある。このうち、平行流・向流型のものは特許文献3、4に記載されており、通気・並流型のものは特許文献5、6に記載されており、通気・直交流型のものは特許文献7に記載されている。
【0007】
一般に向流型のものは並流型のものよりも熱効率が大きいとされている。しかし上記した加熱混練装置は粉体単独の加熱混練に用いられるものであって、粉体原料を低温時における粘度の高いバインダーと混練するためには不向きである。何故なら、向流型の加熱混練装置では出口側から水蒸気が供給されるため入口部分の温度が低く、低温時における粘度の高いバインダーが塊りとなってしまい均一分散しにくいからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−085160号公報
【特許文献2】特開2003−305434号公報
【特許文献3】特開2005−241239号公報
【特許文献4】特開2001−252644号公報
【特許文献5】特開2003−053291号公報
【特許文献6】特開2001−191050号公報
【特許文献7】特開2002−130629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、粉体原料を低温時における粘度の高いバインダーと効率よく均一に混練することができる水蒸気を加熱源とする加熱混練装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するためになされた本発明の水蒸気を加熱源とする加熱混練装置は、粉体原料とバインダーとが供給されるケーシングの内部に、回転する撹拌手段を備えるとともに、ケーシングの底面にはケーシングの内部の粉体原料に向けて、前記撹拌手段による粉体原料の移動方向に対して直行する方向に、過熱水蒸気もしくは飽和水蒸気を噴出する水蒸気噴出口を複数個設けたことを特徴とするものである。
【0011】
なお請求項2のように、ケーシングが横型の筒状体であり、撹拌手段が2軸の横軸のスクリュー羽根である構造とすることができる。あるいは請求項3のように、ケーシングが縦型の容器であり、撹拌手段が縦軸の撹拌羽根である構造とすることができる。いずれの場合にも、請求項4のように、粉体原料が過熱水蒸気もしくは飽和水蒸気との接触により加熱された後にバインダーと混練される構造とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の加熱混練装置は、ケーシングの底面にケーシングの内部の粉体原料に向けて、前記撹拌手段による粉体原料の移動方向に対して直行する方向に、過熱水蒸気もしくは飽和水蒸気を噴出する水蒸気噴出口を複数個設けた構造である。このように水蒸気を粉体原料に直接通気するため、広い伝熱面積を確保することができ、熱が粉体原料に速く伝わるため、加熱時間を短縮することができる。また、並流で噴出するよりも熱効率が高くなる。従ってバインダーの粘性が高い場合にも、均一混練が可能となる。さらにケーシングの底面に水蒸気噴出口を複数個設けたので、縦軸型とした場合にも横軸型とした場合にも、処理量の大小にかかわらず確実な伝熱が可能となる利点がある。この複数個の水蒸気噴出口を入り口にも設ければ、昇温された粉体原料に低温粘度の高いバインダーを添加することが可能となり、分散性の向上につながる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態を示す軸線を含む平面での断面図である。
図2図1の装置の軸線に垂直な平面での断面図である。
図3】本発明の第2の実施形態を示す軸線を含む平面での断面図である。
図4図3の装置の蓋部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図1図2は、本発明の第1の実施形態である連続式横二軸ミキサーを示す断面図である。これらの図において、1は横型で筒状のケーシング、2はその内部に設けられた撹拌手段である2軸の横軸のスクリュー羽根である。これらのスクリュー羽根2はモータ3によって、図2に矢印で示すように左右対称に回転する。
【0015】
ケーシング1の天井面には原料供給口4と、バインダー供給口5とが形成されている。図1に示すように、原料供給口4はスクリュー羽根2の基部側にあり、バインダー供給口5は原料供給口4よりも先端側にある。またケーシング1の先端部には混練物取出し口6が下向きに形成されている。このため、原料供給口4から供給された粉体原料は、バインダー供給口5から供給される液状のバインダーと混練されながら図1の左方向である先端方向に搬送され、混練物は混練物取出し口6から排出される。
【0016】
ケーシング1の底面には、水蒸気噴出口7が複数個設けられている。水蒸気噴出口7はケーシング1の内部の粉体原料に向けて、過熱水蒸気もしくは飽和水蒸気を噴出する。水蒸気噴出口7は、撹拌手段による粉体原料の移動方向に対して直交する方向に、すなわち上向きに設けられるが、粉体原料の移動方向に対して傾斜させて設けても良い。図1に示すように水蒸気噴出口7は原料供給口4とバインダー供給口5とが形成されている付近により多く設けられ、それよりも先端側では数が少なくなっている。また図2に示されるように、スクリュー羽根2の先端部に向けて水平方向から過熱水蒸気もしくは飽和水蒸気を噴出する補助噴出口8を設けることができる。
【0017】
このように構成された加熱混練装置は、原料供給口4から粉体原料を投入し、バインダー供給口5から液状のバインダーを供給し、これらを撹拌手段である2軸のスクリュー羽根2によって搬送しつつ混練するものである。粉体原料は先ず最初の水蒸気噴出口7から噴出される水蒸気により直接加熱され、昇温した状態でバインダーが注入され、さらに2番目の水蒸気噴出口7から噴出される水蒸気により加熱される。このように粉体原料が昇温した状態でバインダーと混練されるため、バインダーの粘性が大きい場合にも粉体原料が塊りとなることはなく、均一に混練される。
【0018】
また水蒸気は粉体原料に直接通気されるため、広い伝熱面積を確保することができ、熱が粉体原料に速く伝わるため、迅速加熱が可能となる。水蒸気を粉体原料の移動方向に対して直交する方向または傾斜する方向に噴出することにより、並流で噴出するよりも熱効率を高めることができる。その後も混練物はケーシング1の内部を混練物取出し口6まで移動する間に、3番目以降の水蒸気噴出口7から噴出される水蒸気により加熱され続け、均一な混練状態で混練物取出し口6から取出される。特にこの実施形態のように,撹拌手段として2軸のスクリュー羽根2を用いれば、造粒に十分な混練を行なうことができる。
【0019】
図3図4は、本発明の第2の実施形態であるバッチ式縦軸ミキサーを示す図面である。11は縦型円筒状のケーシング、12はその蓋部である。ケーシング11の内部には撹拌手段である縦軸の撹拌羽根13が設けられ、図示を略したモータによって一定方向あるいは一定時間ごとに正逆両方向に回転されている。
【0020】
蓋部12には、原料供給口14とバインダー供給口15と、集塵口16とが形成されている。集塵口16には、図示を略した集塵ダクトが接続される。ケーシング11の底面には、水蒸気噴出口17が複数個設けられている。水蒸気噴出口17は第1の実施形態と同様にケーシング11の内部の粉体原料に向けて、撹拌手段による粉体原料の移動方向に対して直交する方向に、または傾斜する方向に過熱水蒸気もしくは飽和水蒸気を噴出するものである。18はケーシング11の下部側面に形成された混練物取出し口、19は混練物取出し口18を開閉するドアである。図4に示すように、水蒸気噴出口17は原料供給口14の内部あるいはその近傍にも設けることが好ましい。
【0021】
このように構成された加熱混練装置により粉体原料を混練するには、先ず原料供給口14からケーシング11の内部に粉体原料を投入した後、底面の水蒸気噴出口17から過熱水蒸気もしくは飽和水蒸気を噴出するとともに、撹拌羽根13による撹拌を開始する。粉体原料が所定の温度に到達したら、バインダー供給口15から液状のバインダーを添加し、水蒸気噴出口17からの水蒸気の供給を継続しつつ、混練物の温度が造粒に十分な状態となるまでさらに混練を続ける。その後にドア19を開いて混練物を混練物取出し口18から取出す。
【0022】
この第2の実施形態の加熱混練装置も第1の実施形態と同様、水蒸気は粉体原料に直接通気されるため、広い伝熱面積を確保することができ、熱が粉体原料に速く伝わるため、迅速加熱が可能となる。また、水蒸気を粉体原料の移動方向に対して直交する方向または傾斜する方向に噴出することにより、並流で噴出するよりも熱効率を高めることができる。さらにケーシング11の底面に水蒸気噴出口17を複数個設けたので、処理量の大小にかかわらず確実な伝熱が可能となる。
【0023】
このように、本発明の加熱混練装置は、粉体原料を粘度のあるバインダーと効率よく均一に混練することができるものである。
【符号の説明】
【0024】
1 ケーシング
2 スクリュー羽根
3 モータ
4 原料供給口
5 バインダー供給口
6 混練物取出し口
7 水蒸気噴出口
8 補助噴出口
11 ケーシング
12 蓋部
13 撹拌羽根
14 原料供給口
15 バインダー供給口
16 集塵口
17 水蒸気噴出口
18 混練物取出し口
19 ドア
図1
図2
図3
図4