特開2016-175040(P2016-175040A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-175040(P2016-175040A)
(43)【公開日】2016年10月6日
(54)【発明の名称】ハニカム構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/04 20060101AFI20160909BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20160909BHJP
【FI】
   B01J35/04 301N
   B01J35/04 301F
   B01J35/04 301B
   B01J35/04 301E
   B01D53/94ZAB
   B01D53/94 241
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-58363(P2015-58363)
(22)【出願日】2015年3月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾久 和丈
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 英之
【テーマコード(参考)】
4D048
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
4D048AA14
4D048AA21
4D048AB01
4D048BB02
4D048BB14
4D148AA14
4D148AA21
4D148AB01
4D148BB02
4D148BB14
4G169AA01
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA13C
4G169CA03
4G169CA07
4G169CA09
4G169CA18
4G169DA06
4G169EA19
4G169EA26
4G169EA27
4G169EB15X
4G169FA01
4G169FB06
4G169FB30
4G169FB67
(57)【要約】
【課題】 製造されるハニカム構造体に形状の歪みが生じにくく、ハニカム構造体の表面に欠け等の損傷が生じにくいハニカム構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】 原料組成物を押出成形することにより、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設され、成形体外周壁が形成された柱状のハニカム成形体とする成形工程と、上記ハニカム成形体を乾燥することにより、上記成形体外周壁を乾燥体外周壁とし、上記ハニカム成形体をハニカム乾燥体とする乾燥工程と、上記ハニカム乾燥体を焼成することにより、上記乾燥体外周壁を焼成体外周壁とし、上記ハニカム乾燥体をハニカム焼成体とする焼成工程と、上記焼成体外周壁を切削し上記焼成体外周壁を全て削除する切削工程と、上記ハニカム構造体の外周に外周コート層を形成する外周コート層形成工程とからなることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料組成物を押出成形することにより、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設され、成形体外周壁が形成された柱状のハニカム成形体とする成形工程と、
前記ハニカム成形体を乾燥することにより、前記成形体外周壁を乾燥体外周壁とし、前記ハニカム成形体をハニカム乾燥体とする乾燥工程と、
前記ハニカム乾燥体を焼成することにより、前記乾燥体外周壁を焼成体外周壁とし、前記ハニカム乾燥体をハニカム焼成体とする焼成工程と、
前記焼成体外周壁を切削し前記焼成体外周壁を全て削除する切削工程と、
前記ハニカム構造体の外周に外周コート層を形成する外周コート層形成工程とからなることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
【請求項2】
前記成形体外周壁の厚さは、1.0〜5.0mmである請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項3】
前記ハニカム構造体の隔壁の厚さは、0.1〜0.3mmである請求項2に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項4】
前記ハニカム成形体は円柱状である請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項5】
原料組成物を押出成形することにより、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設され、成形体外周壁が形成された柱状のハニカム成形体とする成形工程と、
前記ハニカム成形体を乾燥することにより、前記成形体外周壁を乾燥体外周壁とし、前記ハニカム成形体をハニカム乾燥体とする乾燥工程と、
前記ハニカム乾燥体を焼成することにより、前記乾燥体外周壁を焼成体外周壁とし、前記ハニカム乾燥体をハニカム焼成体とする焼成工程と、
前記焼成体外周壁を切削し前記焼成体外周壁の厚さを薄くしハニカム構造体の外周壁とする切削工程とからなることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
【請求項6】
前記成形体外周壁の厚さは、1.0〜5.0mmである請求項5に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項7】
前記ハニカム構造体の隔壁の厚さは、0.1〜0.3mmである請求項6に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項8】
前記ハニカム構造体の外周壁の厚さは、0.2〜1.0mmである請求項5〜7のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項9】
前記ハニカム成形体は円柱状である請求項5〜8のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中には、すす等のパティキュレート(以下、PMもしくはすすともいう)が含まれており、近年、このPMが環境又は人体に害を及ぼすことが問題となっている。また、排ガス中には、CO、HC又はNOx等の有害なガス成分も含まれていることから、この有害なガス成分が環境又は人体に及ぼす影響についても懸念されている。
【0003】
そこで、内燃機関と連結されることにより排ガス中のPMを捕集したり、排ガスに含まれるCO、HC又はNOx等の排ガス中の有害なガス成分を浄化したりする排ガス浄化装置として、コージェライトやSiC(炭化ケイ素)等の多孔質セラミックからなるハニカム構造体が種々提案されている。
【0004】
ハニカム構造体とは、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状の構造体である。このようなハニカム構造体は、通常、量産性を向上させるため、押出成形によりハニカム成形体を作製し、得られたハニカム成形体を焼成することにより製造することができる。
【0005】
押出成形によりハニカム成形体を作製する場合には、成形時の押し応力やハニカム成形体の自重により貫通孔が潰れたり、ハニカム成形体の形状が変形することがあった。特に、このような問題はサイズの大きいハニカム構造体を製造する際に顕著に表れた。
【0006】
このような問題を解決するための方法として、特許文献1には所定の硬度を有する坏土を用い、所定の押し応力以下の応力で押出成形する方法が記載されている。
すなわち、特許文献1には、セラミック原料を含有する成形原料を混合し混練して坏土を得る坏土調製工程と、得られた前記坏土をハニカム形状に押出成形してハニカム成形体を得る成形工程と、得られた前記ハニカム成形体を乾燥し、焼成して、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と、前記隔壁を囲むように配置された外壁とを有するハニカム構造体を得る焼成工程とを備え、前記坏土調製工程において、レオメーター硬度を2.0kgfに調節した状態での押出成形時における押出し応力が25MPa以下となる前記坏土を調製するハニカム構造体の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−247509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の方法でハニカム構造体を製造したとしても、自重による歪みが完全に抑制できるとは言えなかった。
【0009】
また、ハニカム構造体を製造する際には、ハニカム成形体の乾燥、焼成等を行うことになる。これらによりハニカム成形体は収縮するので、ハニカム成形体を作製する際には、その収縮分を考慮し少し大きめのハニカム成形体が作製されることになる。
しかし、乾燥、焼成等の際、ハニカム成形体が置かれる環境に温度の斑等が生じると、想定通りハニカム成形体が収縮せず、所望の大きさのハニカム構造体を得ることができない場合があった。
特許文献1に記載されたハニカム構造体の製造方法では、押出成形する際のハニカム成形体の歪みをある程度制御できるものの、乾燥、焼成等の際のハニカム成形体の収縮の制御はできなかった。
【0010】
さらに、特許文献1に記載された方法により得られたハニカム構造体を焼成炉から取り出す際や、搬送する際に、ハニカム構造体同士が接触したり、ハニカム構造体と機械とが接触したりしてハニカム構造体の表面に欠け等の損傷が生じることがあった。このようにハニカム構造体の表面に欠け等の損傷が生じると、そのハニカム構造体は不良品となり排ガス浄化装置に用いることができなくなった。
【0011】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、製造されるハニカム構造体に形状の歪みが生じにくく、ハニカム構造体の表面に欠け等の損傷が生じにくいハニカム構造体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明者は鋭意検討を重ねた結果、ハニカム成形体に外周壁が設けられるように押出成形し、焼成工程後にハニカム焼成体の外周壁を切削することにより、形状の歪みがないハニカム構造体とすることができ、搬送等の際に、ハニカム焼成体の表面の一部に欠け等の損傷が生じたとしても不良品とならないハニカム構造体とすることができることを見出し本発明を完成させた。
【0013】
すなわち、本発明の第1態様のハニカム構造体の製造方法は、原料組成物を押出成形することにより、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設され、成形体外周壁が形成された柱状のハニカム成形体とする成形工程と、上記ハニカム成形体を乾燥することにより、上記成形体外周壁を乾燥体外周壁とし、上記ハニカム成形体をハニカム乾燥体とする乾燥工程と、上記ハニカム乾燥体を焼成することにより、上記乾燥体外周壁を焼成体外周壁とし、上記ハニカム乾燥体をハニカム焼成体とする焼成工程と、上記焼成体外周壁を切削し上記焼成体外周壁を全て削除する切削工程と、上記ハニカム構造体の外周に外周コート層を形成する外周コート層形成工程とからなることを特徴とする。
【0014】
本発明の第1態様のハニカム構造体の製造方法では、切削工程において、上記焼成体外周壁を切削し上記焼成体外周壁を全て削除する。
通常、ハニカム成形体は、乾燥工程、焼成工程等において収縮することになる。一般的なハニカム構造体の製造方法では、このような収縮をあらかじめ計算して収縮後のハニカム焼成体が所定の大きさになるようにハニカム成形体の大きさを決定する。しかし、計算通りハニカム成形体が収縮せず、その大きさが所定の大きさよりも大きくなる場合や小さくなる場合がある。所定の大きさに収縮しなかったハニカム焼成体は不良品となる。
一方、本発明の第1態様のハニカム構造体の製造方法のように、上記焼成体外周壁を切削し上記焼成体外周壁を全て削除する場合には、計算通りにハニカム成形体が収縮しなかったとしても、切削工程後のハニカム構造体の形状、大きさを一定にすることができる。
【0015】
また、ハニカム焼成体を焼成炉から取り出したり、搬送したりする際に、ハニカム焼成体同士が接触したり、ハニカム焼成体と機械とが接触したりして焼成体外周壁の表面に欠け等の損傷が生じたとしても、焼成体外周壁は切削されることになるので、このような損傷部分も一緒に除去される。つまり、本発明の第1態様のハニカム構造体の製造方法により製造されるハニカム構造体には欠陥が生じにくい。
【0016】
本発明の第1態様のハニカム構造体の製造方法では、外周コート層形成工程において、ハニカム構造体の外周に外周コート層を形成する。
外周コート層を形成することで、排ガス浄化装置に用いるハニカム構造体として機能させることができ、ハニカム構造体の強度を補強でき、断熱性を向上させることができる。
【0017】
本発明の第1態様のハニカム構造体の製造方法では、上記成形体外周壁の厚さは、1.0〜5.0mmであることが望ましい。
成形体外周壁の厚さが上記範囲であるハニカム成形体は、一般的なハニカム構造体を製造する際に作製されるハニカム成形体より、成形体外周壁の厚さが充分に厚い。そのため、本発明のハニカム構造体の製造方法において成形されたハニカム成形体では、ハニカム成形体の形状を支える外枠である成形体外周壁が充分な厚さを有するので、充分な強度も有する。従って、ハニカム成形体が自重により歪むことを抑制することができる。
成形体外周壁の厚さが1.0mm未満であると、成形体外周壁の厚さが薄いため、ハニカム成形体の形状を支える外枠をしての機能が低下し、ハニカム成形体が自重により歪みやすくなる。
成形体外周壁の厚さが5.0mmを超えると、焼成工程後のハニカム焼成体の焼成体外周壁の厚さが厚くなりすぎる。そのため、切削される焼成体外周壁の部分が多くなり、切削に時間を要することになる。また、廃棄する部分が多くなるので経済的ではない。
【0018】
本発明の第1態様のハニカム構造体の製造方法では、上記ハニカム構造体の隔壁の厚さは、0.1〜0.3mmであることが望ましい。
ハニカム構造体の隔壁の厚さが上記範囲であると、隔壁が充分に薄いので、このようなハニカム構造体を排ガス浄化装置に用いると圧力損失が上昇することを抑制することができる。また、通常、隔壁の厚さが薄い場合には、ハニカム成形体を成形する際に、貫通孔が潰れやすくなる。しかし、本発明のハニカム構造体の製造方法では、ハニカム成形体の成形体外周壁の厚さが充分に厚いので、隔壁の厚さが薄かったとしても貫通孔が潰れることを防ぐことができる。
【0019】
本発明の第1態様のハニカム構造体の製造方法では、上記ハニカム成形体は円柱状であることが望ましい。
柱状構造のうち円柱状は、長手方向に垂直な方向の圧力に対し強い形状である。従って、ハニカム成形体が円柱状であるとハニカム成形体が自重により歪むことを抑制することができる。
【0020】
本発明の第2態様のハニカム構造体の製造方法は、原料組成物を押出成形することにより、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設され、成形体外周壁が形成された柱状のハニカム成形体とする成形工程と、上記ハニカム成形体を乾燥することにより、上記成形体外周壁を乾燥体外周壁とし、上記ハニカム成形体をハニカム乾燥体とする乾燥工程と、上記ハニカム乾燥体を焼成することにより、上記乾燥体外周壁を焼成体外周壁とし、上記ハニカム乾燥体をハニカム焼成体とする焼成工程と、上記焼成体外周壁を切削し上記焼成体外周壁の厚さを薄くしハニカム構造体の外周壁とする切削工程とからなることを特徴とする。
【0021】
本発明の第2態様のハニカム構造体の製造方法では、切削工程において、上記焼成体外周壁を切削し上記焼成体外周壁の厚さを薄くしハニカム構造体の外周壁とする。
通常、ハニカム成形体は、乾燥工程、焼成工程等において収縮することになる。一般的なハニカム構造体の製造方法では、このような収縮をあらかじめ計算して収縮後のハニカム焼成体が所定の大きさになるようにハニカム成形体の大きさを決定する。しかし、計算通りハニカム成形体が収縮せず、その大きさが所定の大きさよりも大きくなる場合や小さくなる場合がある。所定の大きさに収縮しなかったハニカム焼成体は不良品となる。
一方、本発明の第2態様のハニカム構造体の製造方法のように、上記焼成体外周壁を切削し上記焼成体外周壁の厚さを薄くしハニカム構造体の外周壁とする場合には、計算通りにハニカム成形体が収縮しなかったとしても、切削工程後のハニカム構造体の形状、大きさを一定にすることができる。
【0022】
また、ハニカム焼成体を焼成炉から取り出したり、搬送したりする際に、ハニカム焼成体同士が接触したり、ハニカム焼成体と機械とが接触したりして焼成体外周壁の表面に欠け等の損傷が生じたとしても、焼成体外周壁は切削されることになるので、このような損傷部分も一緒に除去される。つまり、本発明の第2態様のハニカム構造体の製造方法により製造されるハニカム構造体には欠陥が生じにくい。
【0023】
本発明の第2態様のハニカム構造体の製造方法では、上記成形体外周壁の厚さは、1.0〜5.0mmであることが望ましい。
成形体外周壁の厚さが上記範囲であるハニカム成形体は、一般的なハニカム構造体を製造する際に作製されるハニカム成形体より、成形体外周壁の厚さが充分に厚い。そのため、本発明のハニカム構造体の製造方法において成形されたハニカム成形体では、ハニカム成形体の形状を支える外枠である成形体外周壁が充分な厚さを有するので、充分な強度も有する。従って、ハニカム成形体が自重により歪むことを抑制することができる。
成形体外周壁の厚さが1.0mm未満であると、成形体外周壁の厚さが薄いため、ハニカム成形体の形状を支える外枠をしての機能が低下し、ハニカム成形体が自重により歪みやすくなる。
成形体外周壁の厚さが5.0mmを超えると、焼成工程後のハニカム焼成体の焼成体外周壁の厚さが厚くなりすぎる。そのため、切削される焼成体外周壁の部分が多くなり、切削に時間を要することになる。また、廃棄する部分が多くなるので経済的ではない。
【0024】
本発明の第2態様のハニカム構造体の製造方法では、上記ハニカム構造体の隔壁の厚さは、0.1〜0.3mmであることが望ましい。
ハニカム構造体の隔壁の厚さが上記範囲であると、隔壁が充分に薄いので、このようなハニカム構造体を排ガス浄化装置に用いると圧力損失が上昇することを抑制することができる。また、通常、隔壁の厚さが薄い場合には、ハニカム成形体を成形する際に、貫通孔が潰れやすくなる。しかし、本発明のハニカム構造体の製造方法では、ハニカム成形体の成形体外周壁の厚さが充分に厚いので、隔壁の厚さが薄かったとしても貫通孔が潰れることを防ぐことができる。
【0025】
本発明の第2態様のハニカム構造体の製造方法では、上記ハニカム構造体の外周壁の厚さは、0.2〜1.0mmであることが望ましい。
ハニカム構造体の外周壁の厚さが0.2mm未満であると、壁厚が薄くなりすぎハニカム構造体の外周壁が機械的強度を保ちにくくなり、ハニカム構造体の強度を確保しにくくなる。
ハニカム構造体の外周壁の厚さが1.0mmを超えると、壁厚が厚くなりすぎ、ハニカム構造体の端面の面積に占めるハニカム構造体の外周壁の割合が大きくなりすぎ、ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面の開口率が低下することになる。その結果、このようなハニカム構造体を用いて作製される排ガス浄化装置において圧力損失が上昇しやすくなる。
【0026】
本発明の第2態様のハニカム構造体の製造方法では、上記ハニカム成形体は円柱状であることが望ましい。
柱状構造のうち円柱状は、長手方向に垂直な方向の圧力に対し強い形状である。従って、ハニカム成形体が円柱状であるとハニカム成形体が自重により歪むことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一例において作製されるハニカム成形体を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一例において作製されるハニカム乾燥体を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一例において作製されるハニカム構造体を模式的に示す斜視図である。
図4図4は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一例において作製され、外周壁が設けられたハニカム構造体を模式的に示す斜視図である。
図5図5(a)は、本発明のハニカム構造体の製造方法により製造されたハニカム構造体が、ハニカム触媒として用いられた排ガス浄化装置の長手方向に平行な断面を模式的に示す断面図である。図5(b)は、本発明のハニカム構造体の製造方法により製造されたハニカム構造体が、ハニカムフィルタとして用いられた排ガス浄化装置の長手方向に平行な断面を模式的に示す断面図である。
図6図6は、本発明のハニカム構造体の製造方法の別の一例において作製されるハニカム成形体を模式的に示す斜視図である。
図7図7は、本発明のハニカム構造体の製造方法の別の一例において作製されるハニカム乾燥体を模式的に示す斜視図である。
図8図8は、本発明のハニカム構造体の製造方法の別の一例において作製されるハニカム構造体を模式的に示す斜視図である。
【0028】
(発明の詳細な説明)
以下、本発明について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0029】
本発明のハニカム構造体の製造方法の一態様である以下のハニカム構造体の製造方法では、原料組成物を押出成形することにより、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設され、成形体外周壁が形成された柱状のハニカム成形体とする(1)成形工程と、ハニカム成形体を乾燥することにより、成形体外周壁を乾燥体外周壁とし、ハニカム成形体をハニカム乾燥体とする(2)乾燥工程と、ハニカム乾燥体を焼成することにより、乾燥体外周壁を焼成体外周壁とし、ハニカム乾燥体をハニカム焼成体とする(3)焼成工程と、焼成体外周壁を切削し焼成体外周壁を全て削除する(4)切削工程と、切削工程の後にハニカム構造体の外周に外周コート層を形成する(5)外周コート層形成工程とからなる。
【0030】
以下、上記ハニカム構造体の製造方法の各工程について図面を用いながら説明する。
【0031】
(1)成形工程
図1は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一例において作製されるハニカム成形体を模式的に示す斜視図である。
まず、図1に示すように、原料組成物を押出成形することにより、多数の貫通孔11が隔壁12を隔てて長手方向に並設され、成形体外周壁13が形成された円柱状のハニカム成形体10とする成形工程を行う。
【0032】
図1に示すように、ハニカム成形体10の形状は円柱状である。
柱状構造のうち円柱状は、長手方向に垂直な方向の圧力に対し強い形状である。従って、ハニカム成形体10の形状が円柱状であると、ハニカム成形体10が自重により歪むことを抑制することができる。
なお、本発明のハニカム構造体の製造方法では、成形工程において作製するハニカム成形体の形状は、円柱状に限られず、三角柱、四角柱、五角柱、六角柱、八角柱等の角柱や、長手方向に垂直な断面が楕円形やレーストラック形である柱状の形状であってもよい。
【0033】
成形体外周壁13の厚さは、特に限定されないが、1.0〜5.0mmであることが望ましい。
成形体外周壁13の厚さが上記範囲であるハニカム成形体10は、一般的なハニカム構造体を製造する際に作製されるハニカム成形体より、成形体外周壁13の厚さが充分に厚い。そのため、上記ハニカム構造体の製造方法において成形されたハニカム成形体10では、ハニカム成形体10の形状を支える外枠である成形体外周壁13が充分な厚さを有するので、充分な強度も有する。従って、ハニカム成形体10が自重により歪むことを抑制することができる。
成形体外周壁13の厚さが1.0mm未満であると、成形体外周壁13の厚さが薄いため、ハニカム成形体10の形状を支える外枠をしての機能が低下し、ハニカム成形体10が自重により歪みやすくなる。
成形体外周壁13の厚さが5.0mmを超えると、後述する焼成工程後のハニカム焼成体の焼成体外周壁の厚さが厚くなりすぎる。そのため、切削される焼成体外周壁の部分が多くなり、切削に時間を要することになる。また、廃棄する部分が多くなるので経済的ではない。
【0034】
(2)乾燥工程
図2は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一例において作製されるハニカム乾燥体を模式的に示す斜視図である。
次に、図2に示すように、ハニカム成形体10を乾燥することにより、成形体外周壁13を乾燥体外周壁23とし、ハニカム成形体10をハニカム乾燥体20とする乾燥工程を行う。
ハニカム成形体の乾燥に用いる機器は、特に限定されないが、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、又は、凍結乾燥機等を用いることが望ましい。ハニカム成形体10の乾燥では、マイクロ波乾燥機と熱風乾燥機とを併用するか、又は、マイクロ波乾燥機を用いてハニカム成形体をある程度の水分となるまで乾燥させた後、熱風乾燥機を用いてハニカム成形体中の水分を完全に除去してもよい。
【0035】
なお、乾燥工程において、ハニカム成形体10が乾燥されハニカム乾燥体20になる際に、ハニカム成形体10から水分等が蒸発し、ハニカム成形体10は収縮する。
【0036】
(3)焼成工程
次に、ハニカム乾燥体を焼成することにより、乾燥体外周壁を焼成体外周壁とし、ハニカム乾燥体をハニカム焼成体とする焼成工程を行う。焼成は、従来のハニカム成形体を焼成する条件と同じ条件で行うことができる。
【0037】
(4)切削工程
図3は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一例において作製されるハニカム構造体を模式的に示す斜視図である。
次に、図3に示すように、ハニカム焼成体の焼成体外周壁を切削し焼成体外周壁を全て削除し、ハニカム構造体40を作製する切削工程を行う。
通常、ハニカム成形体は、乾燥工程、焼成工程等において収縮することになる。一般的なハニカム構造体の製造方法では、このような収縮をあらかじめ計算して収縮後のハニカム焼成体が所定の大きさになるようにハニカム成形体の大きさを決定する。しかし、計算通りハニカム成形体が収縮せず、その大きさが所定の大きさよりも大きくなる場合や小さくなる場合がある。所定の大きさに収縮しなかったハニカム焼成体は不良品となる。
一方、上記ハニカム構造体の製造方法のように、焼成体外周壁を切削し焼成体外周壁を全て削除する場合には、計算通りにハニカム成形体が収縮しなかったとしても、切削工程後のハニカム構造体40の形状、大きさを一定にすることができる。
【0038】
また、ハニカム焼成体を焼成炉から取り出したり、搬送したりする際に、ハニカム焼成体同士が接触したり、ハニカム焼成体と機械とが接触したりして焼成体外周壁の表面に欠け等の損傷が生じることがある。このような損傷が深かったとしても、上記ハニカム構造体の製造方法のように、焼成体外周壁を全て削除することによりその損傷を除去することができる。つまり、上記ハニカム構造体の製造方法により製造されるハニカム構造体40には欠陥が生じにくい。
【0039】
なお、焼成体外周壁の切削には、ダイヤモンドカッター等の切削機器を用いることができる。
【0040】
(5)外周コート層形成工程
図4は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一例において作製され、外周壁が設けられたハニカム構造体を模式的に示す斜視図である。
次に、図4に示すように、ハニカム構造体40の外周に外周コート層45を形成する外周コート層形成工程を行う。
外周コート層45を形成することで、ハニカム構造体40を、排ガス浄化装置に用いるハニカム構造体として機能させることができ、ハニカム構造体40の強度を補強でき、断熱性を向上させることができる。
【0041】
外周コート層の厚さは、特に限定されないが、1.0〜5.0mmであることが望ましい。
【0042】
外周コート層は、ハニカム構造体40の外周に外周コート層ペーストを塗布し、外周コート層ペーストを乾燥させることにより形成することができる。
外周コート層ペーストの構成材料は、特に限定されないが、例えば、無機バインダと有機バインダと無機粒子とからなるものであってもよい。また、外周コート層ペーストは、さらに無機繊維及び/又はウィスカを含んでいてもよい。
外周コート層ペーストに含まれる無機粒子としては、例えば、炭化物粒子、窒化物粒子等が挙げられる。具体的には、炭化ケイ素粒子、窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機粒子の中では、熱伝導性に優れる炭化ケイ素粒子が望ましい。
外周コート層ペーストに含まれる無機繊維及び/又はウィスカとしては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等からなる無機繊維及び/又はウィスカ等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機繊維の中では、アルミナファイバが望ましい。また、無機繊維は、生体溶解性ファイバであってもよい。
さらに、外周コート層ペーストには、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等を添加してもよい。バルーンとしては、特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。
【0043】
以上の工程を経て、外周コート層45が形成されたハニカム構造体40を製造することができる。
【0044】
なお、製造されたハニカム構造体40を排ガスを浄化するためのハニカム触媒として機能させるために、ハニカム構造体40の貫通孔に触媒を担持してもよい。
担持させる触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属が望ましく、この中では、白金がより望ましい。また、その他の触媒として、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、バリウム等のアルカリ土類金属を用いることもできる。これらの触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これら触媒が担持されていると、有毒な排ガスの浄化も可能になる。
【0045】
触媒を担持する方法としては、特に限定されず、例えば、ハニカム構造体40を触媒含有溶液に浸漬した後、ハニカム構造体を触媒含有溶液から取り出して加熱することにより触媒を担持してもよい。
【0046】
また、ハニカム構造体40を、排ガス中のPMを捕集するハニカムフィルタとして機能させるために、貫通孔の一方の端部を封止しセルとしてもよい。
貫通孔の一方の端部を封止する方法としては、特に限定されないが、例えば、上記(2)乾燥工程の後に、ハニカム乾燥体20の所定の貫通孔に封止材となる封止材ペーストを充填して貫通孔を封止してもよい。ここで、封止材ペーストとしては、上記原料組成物を用いることができる。
また、上記(4)切削工程の後に、ハニカム構造体40の所定の貫通孔に封止材となる封止材ペーストを充填して貫通孔を封止してもよい。その後、(3)焼成工程と同じ条件で焼成することにより封止材ペーストを焼結させてもよい。
【0047】
なお、上記ハニカム構造体の製造方法においては、上記(3)焼成工程において焼成を行う前に、有機成分を分解させるため、脱脂工程を行ってよい。脱脂は、従来のハニカム成形体を脱脂する条件と同じ条件ですることができる。
【0048】
次に、製造されたハニカム構造体40について説明する。
図4に示すように、ハニカム構造体40は、多数の貫通孔41が隔壁42を隔てて長手方向に並設され、その周囲に外周コート層45が形成されている。
【0049】
ハニカム構造体40において、ハニカム構造体40の隔壁42の厚さは、特に限定されないが、0.1〜0.3mmであることが望ましい。
ハニカム構造体40の隔壁42の厚さが上記範囲であると、隔壁42が充分に薄いので、このようなハニカム構造体40を排ガス浄化装置に用いると圧力損失が上昇することを抑制することができる。また、通常、隔壁の厚さが薄い場合には、ハニカム成形体を成形する際に、貫通孔が潰れやすくなる。しかし、上記ハニカム構造体の製造方法では、ハニカム成形体10の成形体外周壁13の厚さが充分に厚いので、隔壁12の厚さが薄かったとしても貫通孔11が潰れることを防ぐことができる。
【0050】
次に、ハニカム構造体40の使用方法について説明する。
【0051】
まず、ハニカム構造体40が、貫通孔41に触媒が担持されたハニカム触媒51として用いられる場合を詳しく説明する。
図5(a)は、本発明のハニカム構造体の製造方法により製造されたハニカム構造体が、ハニカム触媒として用いられた排ガス浄化装置の長手方向に平行な断面を模式的に示す断面図である。
【0052】
図5(a)に示すように、ハニカム構造体40はハニカム触媒51として、排ガス浄化装置60に用いることができる。
排ガス浄化装置60は、ハニカム触媒51と、ハニカム触媒51を収容する管状体からなるケーシング61と、ハニカム触媒51とケーシング61との間に挿入された無機繊維からなるマット62とからなる。
図5(a)に示すように、内燃機関から排出され、排ガス浄化装置60に流入した排ガス(図5(a)中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、ハニカム触媒51の貫通孔41に流入する。ハニカム触媒51の貫通孔41には触媒が担持されているので、排ガスに含まれるCO、HC又はNOx等の排ガス中の有害なガス成分を浄化することができる。
【0053】
次に、ハニカム構造体40が、貫通孔41の一方の端部が封止されセル44とされたハニカムフィルタ52として用いられる場合を詳しく説明する。
図5(b)は、本発明のハニカム構造体の製造方法により製造されたハニカム構造体が、ハニカムフィルタとして用いられた排ガス浄化装置の長手方向に平行な断面を模式的に示す断面図である。
【0054】
図5(b)に示すように、ハニカム構造体40はハニカムフィルタ52として、排ガス浄化装置70に用いることができる。
排ガス浄化装置70は、ハニカムフィルタ52と、ハニカムフィルタ52を収容する管状体からなるケーシング71と、ハニカムフィルタ52とケーシング71との間に挿入された無機繊維からなるマット72とからなる。
図5(b)に示すように、内燃機関から排出され、排ガス浄化装置70に流入した排ガス(図5(b)中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、排ガス流入側のハニカムフィルタ52に開口しているセル44に流入する。そして、排ガスは、セル44を隔てる隔壁42を通過する。この際、排ガス中のPMが隔壁42で捕集され、排ガスを浄化することができる。
なお、浄化された排ガスは、排ガス流出側のハニカムフィルタ52に開口している他のセル44から流出し、外部に排出される。また、図5(b)中、符号46は目封止部を示している。
【0055】
次に、本発明のハニカム構造体の製造方法の別の態様を説明する。
別の態様の本発明のハニカム構造体の製造方法は、原料組成物を押出成形することにより、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設され、成形体外周壁が形成された柱状のハニカム成形体とする(1)成形工程と、ハニカム成形体を乾燥することにより、成形体外周壁を乾燥体外周壁とし、ハニカム成形体をハニカム乾燥体とする(2)乾燥工程と、ハニカム乾燥体を焼成することにより、乾燥体外周壁を焼成体外周壁とし、ハニカム乾燥体をハニカム焼成体とする(3)焼成工程と、焼成体外周壁を切削し前記焼成体外周壁の厚さを薄くしハニカム構造体の外周壁とする(4´)切削工程とからなることを特徴とする。
すなわち、本発明のハニカム構造体の製造方法の別の態様は、上記ハニカム構造体40を製造するハニカム構造体の製造方法における(4)切削工程を以下の(4´)切削工程に変更し、(5)外周コート層形成工程を行わないハニカム構造体の製造方法である。
【0056】
以下、別の態様の本発明のハニカム構造体の製造方法について図面を用いて説明する。
【0057】
(1)成形工程
図6は、本発明のハニカム構造体の製造方法の別の一例において作製されるハニカム成形体を模式的に示す斜視図である。
まず、図6に示すように、原料組成物を押出成形することにより、多数の貫通孔111が隔壁112を隔てて長手方向に並設され、成形体外周壁113が形成された円柱状のハニカム成形体110とする成形工程を行う。
ハニカム成形体110の大きさ、形状、構成材料(原料組成物の組成)の望ましい態様は、上記ハニカム成形体10の望ましい態様と同じであるので、ここでの説明は省略する。
【0058】
(2)乾燥工程
図7は、本発明のハニカム構造体の製造方法の別の一例において作製されるハニカム乾燥体を模式的に示す斜視図である。
次に、図7に示すように、ハニカム成形体110を乾燥することにより、成形体外周壁113を乾燥体外周壁123とし、ハニカム成形体110をハニカム乾燥体120とする乾燥工程を行う。
望ましい乾燥条件は、上記ハニカム成形体10をハニカム乾燥体20にする乾燥条件と同じであるのでここでの説明は省略する。
【0059】
(3)焼成工程
次に、に示すように、ハニカム乾燥体を焼成することにより、乾燥体外周壁を焼成体外周壁とし、ハニカム乾燥体をハニカム焼成体とする焼成工程を行う。
望ましい乾燥条件は、上記ハニカム乾燥体をハニカム焼成体にする焼成条件と同じであるのでここでの説明は省略する。
【0060】
(4´)切削工程
図8は、本発明のハニカム構造体の製造方法の別の一例において作製されるハニカム構造体を模式的に示す斜視図である。
次に、図8に示すように、ハニカム焼成体の焼成体外周壁を切削し焼成体外周壁の厚さを薄くしハニカム構造体の外周壁145とし、ハニカム構造体140を作製する切削工程を行う。
焼成体外周壁をハニカム構造体140の外周壁145とすることにより、ハニカム構造体145をそのまま排ガス浄化装置に用いることができる。
【0061】
また、ハニカム構造体140の外周壁145の厚さは、0.2〜1.0mmであることがより望ましい。
ハニカム構造体140の外周壁145の厚さが0.2mm未満であると、壁厚が薄くなりすぎハニカム構造体140の外周壁145が機械的強度を保ちにくくなり、ハニカム構造体140の強度を確保しにくくなる。
ハニカム構造体140の外周壁145の厚さが1.0mmを超えると、壁厚が厚くなりすぎ、ハニカム構造体140の端面の面積に占めるハニカム構造体140の外周壁145の割合が大きくなりすぎ、ハニカム構造体140の長手方向に垂直な断面の開口率が低下することになる。その結果、このようなハニカム構造体140を用いて作製される排ガス浄化装置において圧力損失が上昇しやすくなる。
【0062】
以上の工程を経て、ハニカム構造体140を製造することができる。
【0063】
ハニカム構造体140は、上記ハニカム構造体40と同様に、排ガス浄化装置に用いることができる。
【0064】
以下に、本発明の構造体の作用効果を列挙する。
(1)本発明のハニカム構造体の製造方法では、切削工程において、上記焼成体外周壁を切削し上記焼成体外周壁の厚さを薄くしハニカム構造体の外周壁とする、又は、上記焼成体外周壁を切削し上記焼成体外周壁を全て削除する。
そのため、乾燥工程等において計算通りにハニカム成形体が収縮しなかったとしても、切削工程後のハニカム構造体の形状、大きさを一定にすることができる。
【0065】
(2)本発明のハニカム構造体の製造方法では、ハニカム焼成体を焼成炉から取り出したり、搬送したりする際に、ハニカム焼成体同士が接触したり、ハニカム焼成体と機械とが接触したりして焼成体外周壁の表面に欠け等の損傷が生じたとしても、焼成体外周壁は切削されることになるので、このような損傷部分も一緒に除去される。つまり、本発明のハニカム構造体の製造方法により製造されるハニカム構造体には欠陥が生じにくい。
【0066】
(実施例)
以下に、本発明を実施するための形態をより具体的に開示した実施例を示すが、本発明を実施するための形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0067】
(実施例1)
(1)成形工程
平均粒子径22μmを有する炭化ケイ素の粗粉末52.8重量%と、平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末22.6重量%とを混合し、得られた混合物に対して、有機バインダ(メチルセルロース)4.6重量%、潤滑剤(日油社製 ユニルーブ)0.8重量%、グリセリン1.3重量%、造孔材(アクリル樹脂)1.9重量%、オレイン酸2.8重量%、及び、水13.2重量%を加えて混合して原料組成物を準備した。
次に、原料組成物を押出成形し、円柱状のハニカム成形体を作製した。
ハニカム成形体の大きさは、長手方向に垂直な断面が半径115mmの円であり、長手方向の長さが130mmであった。ハニカム成形体の成形体外周壁の厚さは、3.5mmであった。
【0068】
(2)乾燥工程
次いで、マイクロ波乾燥機を用いてハニカム成形体を乾燥することにより、成形体外周壁を乾燥体外周壁とし、ハニカム成形体をハニカム乾燥体とした。
なお、乾燥は、マイクロ波乾燥機を120℃にセットして行った。
【0069】
(3)焼成工程
(3−1)脱脂工程
次いで、ハニカム乾燥体を、窒素雰囲気下、400℃で脱脂した。
(3−2)焼成工程
その後、アルゴン雰囲気下、2200℃の条件で、ハニカム乾燥体を焼成することにより、乾燥体外周壁を焼成体外周壁とし、ハニカム乾燥体をハニカム焼成体とした。
【0070】
(4)切削工程
次いで、ダイヤモンドカッターを用いて、ハニカム焼成体の焼成体外周壁を切削し焼成体外周壁を全て削除し、ハニカム構造体を作製した。切削後のハニカム構造体の形状は、図3に示す形状であり、その長手方向に垂直な断面は、最長部分の直径が110mmの略円形であった。
【0071】
(5)外周コート層形成工程
平均繊維長20μmのアルミナファイバ30重量%、平均粒子径0.6μmの炭化ケイ素粒子21重量%、シリカゾル15重量%、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、及び、水28.4重量%を混合し耐熱性の外周コート層ペーストを準備した。
次に、ハニカム構造体の外周に外周コート層を形成した。外周コート層の厚さは、1.5mmであった。また、外周コート層塗布後のハニカム構造体の長手方向に垂直な断面の形状は、直径111mmの円形であった。
【0072】
以上の工程を経て、実施例1に係るハニカム構造体を製造した。
【0073】
(実施例2)
上記「(4)切削工程」を以下の「(4´)切削工程」に変更し、上記「(5)外周コート層形成工程」を行わなかった以外は、実施例1と同様にして実施例2に係るハニカム構造体を製造した。
【0074】
(4´)切削工程
次いで、ダイヤモンドカッターを用いて、ハニカム焼成体の焼成体外周壁を切削し焼成体外周壁の厚さを0.5mmとした。
【0075】
(比較例1)
上記(1)成形工程において、焼成後のハニカム焼成体の焼成体外周壁の厚さが0.5mmとなるようにハニカム成形体を成形し、上記(4)切削工程及び上記(5)外周コート層形成工程を行わない以外は実施例1と同様にして比較例1に係るハニカム構造体を製造した。
【0076】
(形状の均一性の評価)
実施例1、実施例2及び比較例1に係るハニカム構造体をそれぞれ10個製造し、各ハニカム構造体の外観を目視で観察した。
比較例1に係るハニカム構造体は、長手方向に垂直な方向の断面の形状が直径111mmの円となる円柱状となるように製造しているが、側面が若干波打つ等しており、断面の形状が直径111mmの円になっていない箇所があり、厳密に良品と言えない外観であった。
これに対し、実施例1に係るハニカム構造体は(3)焼成工程後に、(4)切削工程及び(5)外周コート層形成工程を行い、また、実施例2に係るハニカム構造体は(3)焼成工程後に、(4´)切削工程を行い、寸法を調整しているので、断面の形状が直径111mmの円となっており、良品と言える外観であった。
【符号の説明】
【0077】
10、110 ハニカム成形体
11、41、111 貫通孔
12、42、112 隔壁
13、113 成形体外周壁
20、120 ハニカム乾燥体
23、123 乾燥体外周壁
40、140 ハニカム構造体
44 セル
45 外周コート層
46 目封止部
51 ハニカム触媒
52 ハニカムフィルタ
60、70 排ガス浄化装置
61、71 ケーシング
62、72 マット
145 外周壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8