特開2016-176775(P2016-176775A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アンリツ株式会社の特許一覧

特開2016-176775測定装置及び方法、並びに測定システム
<>
  • 特開2016176775-測定装置及び方法、並びに測定システム 図000004
  • 特開2016176775-測定装置及び方法、並びに測定システム 図000005
  • 特開2016176775-測定装置及び方法、並びに測定システム 図000006
  • 特開2016176775-測定装置及び方法、並びに測定システム 図000007
  • 特開2016176775-測定装置及び方法、並びに測定システム 図000008
  • 特開2016176775-測定装置及び方法、並びに測定システム 図000009
  • 特開2016176775-測定装置及び方法、並びに測定システム 図000010
  • 特開2016176775-測定装置及び方法、並びに測定システム 図000011
  • 特開2016176775-測定装置及び方法、並びに測定システム 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-176775(P2016-176775A)
(43)【公開日】2016年10月6日
(54)【発明の名称】測定装置及び方法、並びに測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01R 13/20 20060101AFI20160909BHJP
【FI】
   G01R13/20 R
   G01R13/20 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-56253(P2015-56253)
(22)【出願日】2015年3月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 直博
(72)【発明者】
【氏名】前川 直志
(72)【発明者】
【氏名】熊木 成央
(72)【発明者】
【氏名】堀 重雄
(57)【要約】
【課題】被試験対象から出力される信号を受信し、その信号を所望のタイミングで再生することが可能な測定装置及び方法、並びに測定システムを提供する。
【解決手段】被測定信号を受信し、当該被測定信号の波形データを含む波形ファイルを生成する信号受信部11と、信号受信部11により生成された波形ファイルを記憶する波形ファイル記憶部12と、波形ファイル記憶部12に記憶された複数の波形ファイルの中から1つの波形ファイルを選択するための操作部16と、操作部16で選択された波形ファイルに基づいて出力信号を発生する信号発生部17と、信号受信部11により生成された波形ファイルを必要に応じて圧縮して波形ファイル記憶部12に記憶させる波形ファイル圧縮部15と、操作部16で選択された波形ファイルを必要に応じて解凍して信号発生部17に出力する波形ファイル解凍部20と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験対象(100)から出力される被測定信号を受信し、当該被測定信号の波形データを含む波形ファイルを生成する信号受信部(11)と、
前記信号受信部により生成された波形ファイルを記憶する波形ファイル記憶部(12)と、
前記波形ファイル記憶部に記憶された複数の前記波形ファイルの中から1つの波形ファイルを選択するための波形ファイル選択操作部(16)と、
前記波形ファイル選択操作部で選択された波形ファイルに基づいて出力信号を発生する信号発生部(17)と、
前記信号受信部により生成された波形ファイルを必要に応じて圧縮して前記波形ファイル記憶部に記憶させる波形ファイル圧縮部(15)と、
前記波形ファイル選択操作部で選択された波形ファイルを必要に応じて解凍して前記信号発生部に出力する波形ファイル解凍部(20)と、を備えることを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記信号受信部により生成された波形ファイルが圧縮対象のファイルであるか否かを判断する圧縮対象ファイル判断部(13)を更に備え、
前記波形ファイル圧縮部は、前記圧縮対象ファイル判断部により、前記信号受信部により生成された波形ファイルが圧縮対象のファイルであると判断された場合に、当該波形ファイルを圧縮することを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記圧縮対象ファイル判断部は、前記波形ファイル記憶部の記憶容量の残量に基づいて、前記信号受信部により生成された波形ファイルが前記圧縮対象のファイルであるか否かを判断することを特徴とする請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記波形ファイル選択操作部で選択された波形ファイルの波形データに対して測定を実行する測定部(21)を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項5】
前記波形ファイル解凍部で解凍された波形ファイルを展開するための波形メモリ(18)を更に備え、
前記信号発生部は、前記波形メモリに展開された波形ファイルに基づいて前記出力信号を発生することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項6】
被試験対象(100)から出力される被測定信号を受信し、当該被測定信号の波形データを含む波形ファイルを生成する信号受信部(11)を備える測定装置(10)と、当該測定装置を制御する外部制御装置(40)と、を備える測定システムであって、
前記外部制御装置は、
前記信号受信部により生成された波形ファイルが入力される波形ファイル入力部(25)と、
前記波形ファイル入力部に入力された波形ファイルを必要に応じて圧縮する波形ファイル圧縮部(15)と、を備え、
前記測定装置は、
前記波形ファイル入力部に入力された波形ファイル、又は、前記波形ファイル圧縮部により圧縮された波形ファイルを記憶する波形ファイル記憶部(12)と、
前記波形ファイル記憶部に記憶された複数の前記波形ファイルの中から1つの波形ファイルを選択するための波形ファイル選択操作部(16)と、
前記波形ファイル選択操作部で選択された波形ファイルに基づいて出力信号を発生する信号発生部(17)と、
前記波形ファイル選択操作部で選択された波形ファイルを必要に応じて解凍して前記信号発生部に出力する波形ファイル解凍部(20)と、を更に備えることを特徴とする測定システム。
【請求項7】
被試験対象(100)から出力される被測定信号を受信し、当該被測定信号の波形データを含む波形ファイルを生成する信号受信ステップ(S1,S2)と、
前記信号受信ステップにより生成された波形ファイルを記憶する波形ファイル記憶ステップ(S5)と、
前記信号受信ステップにより生成された波形ファイルを必要に応じて圧縮して前記波形ファイル記憶ステップにより記憶させる波形ファイル圧縮ステップ(S4)と、
前記波形ファイル記憶ステップにより記憶された複数の前記波形ファイルの中から1つの波形ファイルを選択するための波形ファイル選択操作ステップ(S11)と、
前記波形ファイル選択操作ステップで選択された波形ファイルに基づいて出力信号を発生する信号発生ステップ(S14)と、
前記波形ファイル選択操作ステップで選択された波形ファイルを必要に応じて解凍して前記信号発生ステップに出力する波形ファイル解凍ステップ(S13)と、を備えることを特徴とする測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置及び方法、並びに測定システムに係り、特に圧縮された波形データを解凍して信号を発生する信号発生部を備えた測定装置及び方法、並びに測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マルチメディア通信の普及や利用者数の増加、さらには通信技術の発達に伴い、多数の通信規格が策定されており、複数の通信規格に対応した無線端末機器(携帯電話等)などが盛んに生産されるようになっている。また、通信ネットワークを構成する各種機器の性能や、通信ネットワーク内を伝送される信号の品質を通信規格ごとに測定することが求められている。
【0003】
このような測定を行うための測定系としては、例えば、各通信規格に対応した専用の測定装置を採用する場合がある。しかしながら、新たな通信規格が策定される度に専用の測定装置を準備することは、効率の面やコストの面からは望ましくない。そこで、通信規格に依存しない汎用的な信号発生装置や信号解析装置を用いて、測定の効率化が図られるようになってきている。
【0004】
汎用的な信号発生装置としては、あらかじめディジタル値の波形データをメモリに記憶しておき、これをアナログ値に変換して所望の波形を出力するものが既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に開示された信号発生装置は、ファイルサイズの大きいディジタル値の波形データを圧縮することにより、波形データをメモリへ書き込む際に要する時間を短縮するものである。なお、この信号発生装置においては、波形データを作成するツールと、波形データを圧縮する波形圧縮部とがソフトウェアで構成されているのに対して、圧縮された波形データを解凍する復号器はハードウェア(FPGA)で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−215516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されたような従来の信号発生装置は、圧縮された波形データを解凍して、任意の周波数成分の信号を発生させることは可能であるが、被試験対象から出力される信号を受信し、その信号を所望のタイミングで再生することはできなかった。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、被試験対象から出力される信号を受信し、その信号を所望のタイミングで再生することが可能な測定装置及び方法、並びに測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1の測定装置は、被試験対象から出力される被測定信号を受信し、当該被測定信号の波形データを含む波形ファイルを生成する信号受信部と、前記信号受信部により生成された波形ファイルを記憶する波形ファイル記憶部と、前記波形ファイル記憶部に記憶された複数の前記波形ファイルの中から1つの波形ファイルを選択するための波形ファイル選択操作部と、前記波形ファイル選択操作部で選択された波形ファイルに基づいて出力信号を発生する信号発生部と、前記信号受信部により生成された波形ファイルを必要に応じて圧縮して前記波形ファイル記憶部に記憶させる波形ファイル圧縮部と、前記波形ファイル選択操作部で選択された波形ファイルを必要に応じて解凍して前記信号発生部に出力する波形ファイル解凍部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2の測定装置は、前記信号受信部により生成された波形ファイルが圧縮対象のファイルであるか否かを判断する圧縮対象ファイル判断部を更に備え、前記波形ファイル圧縮部は、前記圧縮対象ファイル判断部により、前記信号受信部により生成された波形ファイルが圧縮対象のファイルであると判断された場合に、当該波形ファイルを圧縮することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3の測定装置においては、前記圧縮対象ファイル判断部は、前記波形ファイル記憶部の記憶容量の残量に基づいて、前記信号受信部により生成された波形ファイルが前記圧縮対象のファイルであるか否かを判断することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項4の測定装置は、前記波形ファイル選択操作部で選択された波形ファイルの波形データに対して測定を実行する測定部21を更に備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項5の測定装置は、前記波形ファイル解凍部で解凍された波形ファイルを展開するための波形メモリを更に備え、前記信号発生部は、前記波形メモリに展開された波形ファイルに基づいて前記出力信号を発生することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項6の測定システムは、被試験対象から出力される被測定信号を受信し、当該被測定信号の波形データを含む波形ファイルを生成する信号受信部を備える測定装置と、当該測定装置を制御する外部制御装置と、を備える測定システムであって、前記外部制御装置は、前記信号受信部により生成された波形ファイルが入力される波形ファイル入力部と、前記波形ファイル入力部に入力された波形ファイルを必要に応じて圧縮する波形ファイル圧縮部と、を備え、前記測定装置は、前記波形ファイル入力部に入力された波形ファイル、又は、前記波形ファイル圧縮部により圧縮された波形ファイルを記憶する波形ファイル記憶部と、前記波形ファイル記憶部に記憶された複数の前記波形ファイルの中から1つの波形ファイルを選択するための波形ファイル選択操作部と、前記波形ファイル選択操作部で選択された波形ファイルに基づいて出力信号を発生する信号発生部と、前記波形ファイル選択操作部で選択された波形ファイルを必要に応じて解凍して前記信号発生部に出力する波形ファイル解凍部と、を更に備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項6の測定方法は、被試験対象から出力される被測定信号を受信し、当該被測定信号の波形データを含む波形ファイルを生成する信号受信ステップと、前記信号受信ステップにより生成された波形ファイルを記憶する波形ファイル記憶ステップと、前記信号受信ステップにより生成された波形ファイルを必要に応じて圧縮して前記波形ファイル記憶ステップにより記憶させる波形ファイル圧縮ステップと、前記波形ファイル記憶ステップにより記憶された複数の前記波形ファイルの中から1つの波形ファイルを選択するための波形ファイル選択操作ステップと、前記波形ファイル選択操作ステップで選択された波形ファイルに基づいて出力信号を発生する信号発生ステップと、前記波形ファイル選択操作ステップで選択された波形ファイルを必要に応じて解凍して前記信号発生ステップに出力する波形ファイル解凍ステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、被試験対象から出力される信号を受信し、その信号を所望のタイミングで再生することが可能な測定装置及び方法、並びに測定システムを提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態としての測定装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態としての測定装置が備える信号受信部の詳細な構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態としての測定システムの構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施形態としての測定装置が備える信号発生部の詳細な構成を示すブロック図である。
図5】波形ファイルの圧縮率とロード時間との関係を示すグラフである。
図6】圧縮前の波形ファイルのファイルサイズと、波形ファイルの圧縮率との関係を通信規格ごとに模式的に示すグラフである。
図7】本発明の実施形態としての測定装置で再生された被測定信号を他の測定装置に入力する構成を示すブロック図である。
図8】本発明の実施形態としての測定装置による波形ファイルの圧縮処理を説明するフローチャートである。
図9】本発明の実施形態としての測定装置による波形ファイルの解凍処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る測定装置及び方法、並びに測定システムの実施形態について、図面を用いて説明する。
【0019】
図1に示すように、本発明の実施形態としての測定装置1は、信号受信部11、波形ファイル記憶部12、圧縮対象ファイル判断部13、切替部14、波形ファイル圧縮部15、波形ファイル選択操作部としての操作部16、信号発生部17、波形メモリ18、波形ファイル解凍部20、測定部21、表示部22、及び制御部23を備える。
【0020】
信号受信部11は、被試験対象(Device Under Test:DUT)100から出力される信号(以下、「被測定信号」という)を受信し、被測定信号の波形ファイルを生成するようになっている。波形ファイルは、例えば、I相成分(同相成分)及びQ相成分(直交成分)のベースバンドの波形データ(ディジタル値)や通信規格の情報を含む。DUT100は、例えば、携帯電話などの無線端末機器、あるいは基地局装置である。
【0021】
ここで、DUT100が対応する通信規格としては、例えば、セルラ(LTE、W−CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、1xEV−DO、TD−SCDMA等)、WLAN(IEEE802.11b/g/a/n/ac等)、Bluetooth(登録商標)、GNSS(GPS、Galileo、GLONASS、BeiDou等)、FM、及びディジタル放送(DVB−H、ISDB−T等)が挙げられる。
【0022】
波形ファイル記憶部12は、信号受信部11により生成された波形ファイルを蓄積記憶するようになっている。例えば、波形ファイル記憶部12は、1つ又は複数のDUT100から出力される複数の被測定信号から得られる複数の波形ファイルを記憶可能な記憶容量を有する。
【0023】
圧縮対象ファイル判断部13は、信号受信部11により生成された波形ファイルが圧縮対象のファイルであるか否かを判断するようになっている。
【0024】
切替部14は、圧縮対象ファイル判断部13により、信号受信部11により生成された波形ファイルが圧縮対象であると判断された場合に、当該波形ファイルを波形ファイル圧縮部15に入力するようになっている。一方、切替部14は、圧縮対象ファイル判断部13により、信号受信部11により生成された波形ファイルが圧縮対象でないと判断された場合に、当該波形ファイルをそのまま波形ファイル記憶部12に入力するようになっている。
【0025】
波形ファイル圧縮部15は、信号受信部11により生成された波形ファイルを必要に応じて圧縮して波形ファイル記憶部12に記憶させるようになっている。波形ファイル圧縮部15は、圧縮対象ファイル判断部13により、信号受信部11により生成された波形ファイルが圧縮対象のファイルであると判断された場合に、7−Zip、ZIP、RAR、CABなどの公知の様々な圧縮/解凍アルゴリズムを用いて当該波形ファイルを圧縮する。
【0026】
また、波形ファイル圧縮部15は、波形ファイルを圧縮する際に、当該波形ファイルが圧縮されていることを示す情報(以下、「圧縮情報」ともいう)を制御部23に登録するようになっている。
【0027】
操作部16は、波形ファイル記憶部12に記憶された複数の波形ファイルの中から1つの波形ファイルを選択するために、ユーザが操作するものである。操作部16は、例えば、波形ファイル記憶部12に記憶された複数の波形ファイルを選択可能に表示するディスプレイと、キーボード、ダイヤル又はマウスのような入力デバイスと、を含んで構成される。
【0028】
また、操作部16は、例えば波形ファイルごとや通信規格ごとに波形ファイルを圧縮するか否かをユーザが入力可能となっており、当該入力情報を圧縮対象ファイル判断部13に入力するようになっていてもよい。
【0029】
信号発生部17は、操作部16で選択されて波形メモリ18に展開された波形ファイルに含まれた波形データをアナログ値に変換することにより出力信号を発生するものである。つまり、信号発生部17は、ユーザの所望のタイミングで、波形ファイル記憶部12に記憶された任意の波形ファイルから被測定信号を再生して出力信号として出力することができる。また、信号発生部17は、周波数変換手段や増幅手段を備えており、出力信号の波形データの振幅や周波数を適宜調整するようになっている。
【0030】
制御部23は、上記の圧縮情報に基づいて、波形ファイル記憶部12に記憶された各波形ファイルが圧縮されたファイルであるか否かの情報を管理している。また、制御部23は、操作部16で選択された波形ファイルが圧縮されているか否かを判断するようになっている。
【0031】
波形ファイル解凍部20は、操作部16で選択された波形ファイルを必要に応じて解凍するようになっている。波形ファイル解凍部20は、制御部23により、操作部16で選択された波形ファイルが圧縮されていると判断された場合に、当該波形ファイルを解凍して波形メモリ18に出力する。一方、制御部23により、操作部16で選択された波形ファイルが圧縮されていないと判断された場合には、波形ファイル解凍部20は、当該波形ファイルをそのまま波形メモリ18に入力する。
【0032】
測定部21は、波形メモリ18に入力された被測定信号の波形データに対して各種測定を行うようになっている。例えば、測定部21は、変調解析や、占有帯域幅、隣接チャネル漏洩電力、スプリアス等の測定を行う。
【0033】
表示部22は、例えばLCDやCRTなどの表示機器で構成され、制御部23からの制御信号に応じて各種表示内容を表示するようになっている。この表示内容には、測定部21による測定結果や、測定条件などを設定するためのソフトキー、プルダウンメニュー、テキストボックスなどの操作対象が含まれる。
【0034】
制御部23は、例えばCPU、ROM、RAMなどを含むマイクロコンピュータで構成され、測定装置1を構成する上記各部の動作を制御するとともに、所定のプログラムを実行することにより、信号受信部11、圧縮対象ファイル判断部13、切替部14、波形ファイル圧縮部15、信号発生部17、波形ファイル解凍部20、及び測定部21をソフトウェア的に構成するようになっている。
【0035】
図2に示すように、信号受信部11は、例えば、局部発振器31、ミキサ32、アナログディジタルコンバータ(ADC)33、及び波形ファイル生成部34を備えている。
【0036】
局部発振器31は、ローカル周波数fのローカル信号を発振して、当該ローカル信号をミキサ32へ送出するようになっている。
【0037】
ミキサ32は、DUT100から入力された周波数fの被測定信号とローカル周波数fのローカル信号とをミキシングして中間周波数f(=f−f)の信号に変換して、当該中間周波数信号をADC33へ送出するようになっている。
【0038】
ADC33は、ミキサ32から出力される中間周波数信号を、制御部23からの所定のクロックでディジタルデータに変換するようになっている。
【0039】
波形ファイル生成部34は、ADC33により変換されたディジタルデータ、すなわち被測定信号の波形データを含む波形ファイルを生成する。
【0040】
なお、図3に示すように、測定装置は、GPIB、Ethernet(登録商標)、USBなどのリモート制御インタフェース(I/F)24,25を介して、外部制御装置40により遠隔制御される構成であってもよい。図3に示す測定装置10及び外部制御装置40は、測定システム3を構成する。なお、I/F25は、信号受信部11により生成された波形ファイルが入力される波形ファイル入力部としても機能する。
【0041】
例えば、外部制御装置40は、I/F25に加えて、圧縮対象ファイル判断部13、切替部14、波形ファイル圧縮部15、操作部26、及び制御部27を含んでいてもよい。操作部26及び制御部27の基本的な構成は、測定装置1が有する操作部16及び制御部23と同様である。操作部26は、操作部16と同様に、波形ファイル選択操作部として機能する。制御部27は、外部制御装置40を構成する各部の駆動制御を行うようになっている。
【0042】
図4に示すように、信号発生部17は、例えば、ディジタルアナログコンバータ(DAC)41、直交変調器42、局部発振器43、自動レベル制御回路(ALC)44、及びステップアッテネータ(ステップATT)45を備えている。
【0043】
DAC41は、波形メモリ18から入力されるI相成分及びQ相成分のディジタル値のベースバンド信号の波形データをアナログ値に変換して直交変調器42に出力するようになっている。
【0044】
局部発振器43は、制御部23からの制御信号に基づいた局部発振周波数の局部発振信号を生成し、直交変調器42に出力するように構成されている。
【0045】
直交変調器42は、DAC41から入力されたI相成分及びQ相成分と、局部発振器43から入力された局部発振信号とを乗算することにより直交変調及び周波数変換を行って無線周波数の信号(RF信号)を生成するようになっている。また、直交変調器42は、生成したRF信号をALC44に出力するようになっている。
【0046】
ALC44は、直交変調器42の出力信号の電力レベルを所定の電力レベルに調整してステップATT45に出力するようになっている。ALC44が設定する電力レベルは、制御部23からの制御信号によって設定されるようになっている。ALC44は、出力信号レベルを例えば0.1dB単位で調整できるものである。
【0047】
ステップATT45は、各々の減衰量が予め定められた複数のアッテネータセクションを備え、各アッテネータセクションの減衰量の組み合わせにより、入力されたRF信号のレベルを所定の減衰量のステップで減衰することができるATTである。このステップATT45は、制御部23からの制御信号によって設定された減衰量で入力信号を減衰し、ユーザが所望する電力レベルの出力RF信号を出力するようになっている。
【0048】
図5は、波形ファイルの圧縮率と、波形ファイルの波形ファイル記憶部12へのロード時間との関係を示すグラフである。ここで、圧縮率=圧縮後の波形ファイルのファイルサイズ/圧縮前の波形ファイルのファイルサイズ、ロード時間増加倍率=圧縮後の波形ファイルのロード時間/圧縮前の波形ファイルのロード時間、としている。
【0049】
図5のグラフから、圧縮率が悪い(高い)波形ファイルほど、ロード時間増加倍率が大きくなる傾向が見て取れる。つまり、同じファイルサイズの波形ファイルであっても、圧縮率が悪いほどロード時間が長くなっていくことが分かる。
【0050】
図6は、圧縮前の波形ファイルのファイルサイズと、波形ファイルの圧縮率との関係を通信規格ごとに模式的に示すグラフである。また、表1に通信規格ごとの波形ファイルの圧縮要否の一例を示す。
【0051】
GNSS用の波形ファイルは、他の通信規格と比較して圧縮前のファイルサイズが大きい傾向があるが、圧縮率が常に非常に良い(低い)ため、圧縮して扱うことが推奨される。
【0052】
ディジタル放送(図中の「Digital broadcast」)用の波形ファイルは、圧縮率が比較的悪く(高く)、圧縮効果が薄い。また、圧縮率が高いディジタル放送用の波形ファイルを圧縮する場合には、図5に示したようにロード時間が長くなってしまう。このため、ディジタル放送用の波形ファイルの圧縮は基本的には非推奨である。
【0053】
ただし、ディジタル放送用の波形ファイルは、ファイルサイズが大きくなる傾向にあるため、波形ファイル記憶部12において波形ファイルの入れ替えを余り生じさせない使用状況であれば、若干でも波形ファイル記憶部12の空き容量を増加させるために圧縮することは有効である。
【0054】
WLAN(図中の「Wireless LAN」)及びBluetooth(登録商標)用の波形ファイルは、一般的にファイルサイズが小さい傾向にある。このため、大量にこれらの波形ファイルを扱う場合以外は圧縮のメリットが得られないため、WLAN及びBluetooth(登録商標)用の波形ファイルの圧縮は非推奨である。
【0055】
セルラ(図中の「Cellular」)用の波形ファイルは、圧縮率がおおむね良好であり、圧縮効果が高いと言えるため、圧縮して扱うことが推奨される。
【表1】
【0056】
圧縮対象ファイル判断部13は、例えば表1のようなテーブルを記憶しており、通信規格ごとに波形ファイルが圧縮対象であるか否かを判断するものであってもよい。あるいは、圧縮対象ファイル判断部13は、圧縮率が比較的良い(低い)波形ファイルを圧縮対象であると判断し、圧縮率が比較的悪い(高い)波形ファイルを圧縮対象でないと判断するものであってもよい。
【0057】
なお、セルラ用の波形ファイルは、ファイルサイズや圧縮率が波形データの内容によって様々な値を取るため、個々の波形ファイルのファイルサイズと圧縮率、測定時間に占めるロード時間の割合、波形ファイル記憶部12の記憶容量等に基づいて、圧縮すべきかどうかを波形ファイルごとに圧縮対象ファイル判断部13が判断するようになっていてもよい。
【0058】
また、圧縮対象ファイル判断部13は、波形ファイル記憶部12の記憶容量の残量に基づいて、信号受信部11により生成された波形ファイルが圧縮対象のファイルであるか否かを判断するものであってもよい。あるいは、既に述べたように、ユーザの操作部16の操作により、波形ファイルごとに波形ファイルを圧縮するか否かを決定できるようになっていてもよい。
【0059】
図7に示すように、本実施形態の測定装置1によれば、DUT100からの被測定信号を再生して、当該被測定信号を他の測定装置2に入力することができる。これにより、例えば、本実施形態の測定装置1でDUT100からの被測定信号をキャプチャし、他の測定装置2において当該被測定信号に対する測定を実行することなどが可能になる。
【0060】
以下、図8,9のフローチャートを参照しながら、本実施形態の測定装置1を用いた信号発生方法について説明する。
【0061】
<波形ファイル圧縮>
図8に示すように、まず、任意のDUT100からの被測定信号が信号受信部11に入力される(ステップS1)。
【0062】
次に、信号受信部11は、入力された被測定信号の波形ファイルを生成する(ステップS2)。
【0063】
次に、圧縮対象ファイル判断部13は、信号受信部11で生成された波形ファイルが圧縮対象であるか否かを判断する(ステップS3)。当該波形ファイルが圧縮対象である場合には、ステップS4に進む。一方、当該波形ファイルが圧縮対象でない場合には、ステップS4を飛ばしてステップS5に進む。
【0064】
ステップS4において、波形ファイル圧縮部15は、ステップS3で圧縮対象であると判断された波形ファイルを圧縮する。
【0065】
ステップS5において、波形ファイル記憶部12は、ステップS3で圧縮対象でないと判断された波形ファイル、又は、ステップS4で圧縮された波形ファイルを蓄積記憶する。
【0066】
<波形ファイル解凍>
図9に示すように、まず、ユーザの操作部16の操作により、波形ファイル記憶部12に記憶された複数の波形ファイルの中から1つの波形ファイルが選択される(ステップS11)。
【0067】
次に、制御部23は、ステップS11で選択された波形ファイルが圧縮されているか否かを判断する(ステップS12)。当該波形ファイルが圧縮されている場合には、ステップS13に進む。一方、当該波形ファイルが圧縮されていない場合には、ステップS13を飛ばしてステップS14に進む。
【0068】
ステップS13において、波形ファイル解凍部20は、ステップS12で圧縮されていると判断された波形ファイルを解凍する。
【0069】
ステップS14において、信号発生部17は、ステップS12で圧縮されていないと判断された波形ファイル、又は、ステップS13で解凍された波形ファイルに含まれた波形データをアナログ値に変換することにより、任意のDUT100からの被測定信号を再生して出力する。
【0070】
なお、上記のステップS14の代わりに、ステップS13で解凍された波形データに対して測定部21が測定を行ってもよい。
【0071】
以上説明したように、本実施形態の測定装置1は、DUT100から出力される被測定信号を受信し、当該被測定信号の波形データを含む波形ファイルを生成する信号受信部11と、信号受信部11により生成された波形ファイルを必要に応じて圧縮して波形ファイル記憶部12に記憶させる波形ファイル圧縮部15と、操作部16で選択された波形ファイルに基づいて出力信号を発生する信号発生部17と、操作部16で選択された波形ファイルを必要に応じて解凍して信号発生部17に出力する波形ファイル解凍部20と、を備える。
【0072】
これにより、1つ又は複数のDUT100からの複数の被測定信号を波形ファイルとして波形ファイル記憶部12に記憶し、波形ファイル記憶部12に記憶された任意の波形ファイルから被測定信号を所望のタイミングで再生して出力信号として出力することができる。
【0073】
また、波形ファイルを圧縮して波形ファイル記憶部12に記憶させることにより、波形ファイル記憶部12の記憶容量が限られている場合であっても、多数の波形ファイルを保管、再生することができる。特に、圧縮効果の高い波形ファイルを圧縮して波形ファイル記憶部12に記憶させることにより、波形ファイル記憶部12の記憶容量を有効に利用することができる。
【0074】
また、本実施形態の測定装置1は、信号受信部11により生成された波形ファイルが圧縮対象のファイルであるか否かを判断する圧縮対象ファイル判断部13を更に備える。
【0075】
これにより、あらかじめ圧縮対象を適切に設定しておくことにより、圧縮処理及び解凍処理に要する時間を短縮したり、記憶容量を有効に利用したりすることができる。
【0076】
また、本実施形態の測定装置1においては、圧縮対象ファイル判断部13は、波形ファイル記憶部12の記憶容量の残量に基づいて、波形ファイルが圧縮対象のファイルであるか否かを判断する。
【0077】
これにより、例えば、波形ファイル記憶部12の記憶容量の残量が多い場合には、波形ファイルの圧縮/解凍処理を省略することができる。一方、波形ファイル記憶部12の記憶容量の残量が少ない場合には、波形ファイルの圧縮/解凍処理を実行して、限られた記憶容量を有効に利用することができる。
【0078】
また、本実施形態の測定装置1においては、操作部16で選択された波形ファイルの波形データに対して測定を実行する測定部21を更に備える。これにより、ユーザの所望のタイミングで被測定信号に対する測定を行うことができる。
【0079】
また、本実施形態の測定装置1は、波形ファイル解凍部20で解凍された波形ファイルを展開するための波形メモリ18を更に備える。
【0080】
これにより、波形ファイル解凍部20により解凍された波形ファイルを波形メモリ18に展開する構成とすることにより、高速に解凍処理を行うためのハードウェアが不要となり、コストを抑えることができる。
【符号の説明】
【0081】
1,2,10 測定装置
3 測定システム
11 信号受信部
12 波形ファイル記憶部
13 圧縮対象ファイル判断部
14 切替部
15 波形ファイル圧縮部
16 操作部
17 信号発生部
18 波形メモリ
20 波形ファイル解凍部
21 測定部
22 表示部
23 制御部
25 I/F(波形ファイル入力部)
40 外部制御装置
100 DUT(被試験対象)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9