【課題】指導員と教習生とを割り付ける組み合わせに優先順位をつけ、指導員の勤務スケジュールの割り付けが均等になるように制御することができる割付制御装置、割付制御方法、及び割付制御プログラムを提供する。
【解決手段】予め設定された割り付け順(優先順位)に基づいて、自動車教習所に定められている時限毎に指導員と教習生の割り付けを行い、割り付けの結果が正しくない場合には、改めて割り付けを行い、この処理を繰り返して、全ての時限に対して指導員と教習生の割り付けを行う。
前記割付手段は、前記自動車教習所に定められている時限を単位として割り付けを行い、当該割り付けの結果、割り付けがなされなかった指導員に対して、別の作業内容を割り付ける、
ことを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の割付制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0019】
[1.構成]
本実施形態に係る割付制御装置を含む割付制御システムの構成の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、割付制御装置100を含む割付制御システム1000の構成の一例を示すブロック図である。
【0020】
図1に示す割付制御システム1000は、情報処理装置としての割付制御装置100と、サーバ200と、割付制御装置100とサーバ200とを通信可能に接続するネットワーク300とを含んでいる。なお、割付制御システム1000に含まれる割付制御装置100の数は1台に限られることはない。
【0021】
割付制御装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータであり、自動車教習所の指導員と教習生との割付を行うための情報処理装置である。この割付制御装置100は、例えば、自動車教習所につき1台設置されている。なお、割付制御装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。また、割付制御装置100は、複数の自動車教習所に対して1台設置されていてもよい。
【0022】
割付制御装置100は、制御部102と、通信インターフェース部104と、記憶部106と、入出力インターフェース部108とを備えている。割付制御装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0023】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、割付制御装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、割付制御装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。したがって、通信インターフェース部104は、
図1には図示されていない自動車教習所に備え付けの情報処理装置からの入力情報、教習生の端末からの入力情報、自動車教習所の指導員の端末からの入力情報等を、ネットワーク300又はネットワーク300及びサーバ200を介して受け付けることが可能に構成されているとともに、所定の情報処理装置や、教習生及び指導員に対して所定の情報を出力することが可能に構成されている。
【0024】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、及びファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラム(本発明の割付制御プログラムを含む)が記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。また、この記憶部106には、本発明の割付制御プログラムを実施するために用いられる各種のマスタ(データベース又はテーブル)が書き出し/読み出し可能に格納されている。各種のマスタについては後述する。
【0025】
入出力インターフェース部108には、入力装置112及び出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。
【0026】
制御部102は、割付制御装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0027】
さらに
図1を参照しながら、記憶部106の構成と制御部102の構成について詳述する。
【0028】
記憶部106には、
図1に示されるように、複数のマスタが格納されている。具体的には、記憶部106には、指導員マスタと106aと、教習生マスタ106bと、割付作業マスタ106cと、教習車マスタ106dと、コントロールマスタ106eとが格納されている。
【0029】
指導員マスタと106aには、自動車教習所に所属する指導員に関する情報が記憶されている。指導員に関する情報には、指導員の氏名、ID番号、及び指導員が保有している資格に関する情報の他、例えば、指導員の勤務区分(勤務の作業内容や教習内容)に関する情報や勤務スケジュール(教習車等を用いた教習の時限や学科指導の時限のスケジュール)に関する情報がある。指導員の勤務スケジュールは、指導員マスタ106aに、指導員がみずから登録してもよいし、自動車教習所の事務員が登録してもよい。
【0030】
教習生マスタ106bには、自動車教習所に通う教習生に関する情報が記憶されている。教習生に関する情報には、教習生の氏名、性別、ID番号、教習を希望する車種(MT車/AT車/大型車/二輪等の種別)の他、例えば、教習を希望する場所(教習の進行に伴って定まる場所(所内/路上)であってもよい)に関する情報や、教習の予約に関する情報がある。教習の予約に関する情報には、予約を希望する時限に関する情報と、予約区分に関する情報と、教習を希望する指導員(指名指導員)に関する情報が含まれる。予約区分には、高速教習、路上(MT路上/AT路上)、所内(MT所内/AT所内)、MT二輪、及び、複数時限にわたる教習(複数教習)等がある。また、教習生マスタ106bには、教習を希望しない指導員(拒否指導員)に関する情報を登録してもよく、例えば、指名指導員が登録されていれば、他の指導員を拒否指導員として設定することも可能である。教習生の予約に関する情報は、教習生マスタ106bに、教習生がみずから登録してもよいし、自動車教習所に定められている教習コースの内容に応じて少なくとも部分的に設定してもよい。
【0031】
割付作業マスタ106cには、本発明において実施される割り付け処理に必要な情報が記憶されている。具体的には、割付作業マスタ106cには、指導員の勤務区分及び教習生の予約区分の組み合わせと、割り付け順を示す優先順位とが互いに対応づけられて記憶されている。また、この割付作業マスタ106cには、指導員のリストや教習生のリストに対してソート処理を行う場合のソート処理の種類に関する情報が記憶されていてもよい。
【0032】
教習車マスタ106dは、自動車教習所が保有する教習車に関する情報が記憶されている。教習車に関する情報には、教習車の車種に関する情報や、教習車の車種別の保有台数に関する情報がある。教習車マスタ106dに、教習車の整備状況(故障中、修理中等)に関する情報等を登録してもよい。
【0033】
コントロールマスタ106eは、割付作業マスタ106cに登録されている優先順位に関する情報を規制するための制御情報がチェック項目情報として記憶されており、必要に応じて各情報には設定値が設定されている。チェック項目情報には、指名指導員及び拒否指導員に関する情報、指導員が勤務に関して保有している資格に関する情報、自動車教習所が所有している教習車の車種及び/又は数に関する情報、教習が複数の時限にわたるかどうかに関する情報、並びに、後述の割付部によって割り付けを行う教習の日の状況に関する情報が含まれている。なお、コントロールマスタ106eは、多数のチェック項目が予め用意されたものであってもよいし、そのようなマスタから、ユーザ(自動車教習所)が必要なチェック項目を選択して新たに構築したものであってもよい。
【0034】
制御部102は、
図1に示されるように、複数のモジュールを備えている。
図1に示す例では、制御部102は、割付部102aと、チェック部102bとを備えている。
【0035】
割付部102aは、本発明において実施される割り付け処理を行うためのモジュールであり、具体的には、割付部102aは、記憶部106に格納されている各種のマスタを用いて、自動車教習所の指導員と教習生の割り付けを行う割付手段として機能する。また、割付部102aは、必要に応じて、指導員に割り付けた時限の数の演算や、指導員のリストや教習生のリストに対して行うべきソート処理の種類の決定も行う。
【0036】
チェック部102bは、本発明において実施される割り付け処理に際して用いられるモジュールであって、具体的には、割付部102aによる割り付け結果が正しいかどうかに関するチェック情報に基づいて(すなわち、上述のコントロールマスタ106eを用いて)、割り付け結果が正しいかどうかチェックするチェック手段として機能する。
【0037】
[2.具体例]
本実施形態の具体例について、
図2から
図7Bを参照して説明する。
【0038】
A.概要
本実施形態は、指導員の勤務と教習生の予約のマッチング(割り付け)を行う教習所指導員割付システムに関するものである。本実施形態では、割り付ける組み合わせ(例えば、「普通車の勤務・普通車ミッションの予約」等)を複数用意し、その組み合わせに対して優先順位を付けておき、その優先順位の高い組み合わせから割り付けを行っていく。ここで、マッチングを複数回行う際は、全体を通して、設定された値(例えば、所内教習と路上教習との回数等)がなるべく均等になるように、同じ優先順位の中でもどの指導員と教習生とを割り付けるかを制御する。また、マッチング後には、その組み合わせが正しいかどうかチェックを行うことができる。このようにチェック項目を選んで組み合わせることで、各都道府県や自動車教習所によって異なるチェックを1つのシステムで実現可能とすることもできる。
【0039】
なお、本実施形態は、自動車教習所における指導員と教習生とのマッチングに限らず、例えば、病院における患者と患者が希望した条件に合う医師とのマッチング(第1の変形例)や、家庭教師と生徒とのマッチング(第2の変形例)等にも適用可能である。第1の変形例においては、本実施形態における自動車教習所の教習生を病院の患者に読み替え、指導員を医師に読み替え、患者の希望した条件を優先順位として、医師の診察スケジュールに応じて患者の予約を割り付けたり、患者の希望した条件や患者の重篤度を優先順位として、患者の予約を希望する日時に応じて医師の手術スケジュールを割り付けたりすることが可能である。また、同様に、第2の変形例においては、本実施形態における自動車教習所の教習生を生徒に読み替え、指導員を家庭教師に読み替え、家庭教師の指導可能な科目や生徒の学習レベル等を優先順位として、家庭教師の指導可能な時間帯に応じて生徒の予約を割り付けることが可能である。
【0040】
B.従来技術とその問題点
従来、自動車教習所の指導員の勤務と教習生の予約とを、“ランダムに”割り付けることはできた。しかしながら、「1日を通しての均等な割り付け」及び「必要なもののみに絞った割り付け」を行うことができるシステムは、これまで存在しなかった。そのため、従来、自動車教習所の事務員又はコーディネーターによる指導員と教習生の割り付けの組み替え作業に対する負荷は大きくなっていた。
【0041】
C.処理例
ここで、
図2から
図7Bを参照して、本実施形態の割付制御装置100を含む割付制御システム1000において実行される割付制御処理を例示的に説明する。
【0042】
C−1.第1の例
図2は、
図1に示す割付制御装置100を含む割付制御システム1000において実行される第1の割付制御方法の処理手順を示すフローチャートである。この
図2に示す処理は、概略的には、予め設定された割り付け順(優先順位)に基づいて、自動車教習所に定められている時限毎に指導員と教習生の割り付けを行い、当該割り付けの結果が正しくない場合には、改めて割り付けを行い、この処理を繰り返して、全ての時限に対して指導員と教習生の割り付けを行うというものであり、本処理の大部分は、各自動車教習所に設置された割付制御装置100の制御部102の割付部102aとチェック部102bにおいて実行される。
【0043】
まず、ステップS201において、
図1に示した各種のマスタの登録を行う。具体的には、
図3のサブルーチンに示すように、指導員マスタ106aには、勤務区分で指定された各指導員の勤務スケジュール等に関する情報が登録又は更新され(ステップS301)、教習生マスタ106bには、予約区分で指定された教習生の予約に関する情報が登録又は更新され(ステップS302)、割付作業マスタ106cには、勤務区分と予約区分の複数の組み合わせと、当該組み合わせに対応付けて設定すべき優先順位とが登録又は更新され(ステップS303)、教習車マスタ106dには、教習車に関する情報が登録又は更新され(ステップS304)、コントロールマスタ106eには、チェック項目に関する情報が登録又は更新される(ステップS305)。なお、これらのマスタの登録は、各自動車学校に設置された割付制御装置100において行われ、任意のタイミングで更新可能であり(ステップS306)、登録が済んでいれば本ステップは省略することも可能であり、また、所定のマスタに対して更新を反映しないように設定することも可能である。
【0044】
ステップS202においては、自動車教習所において割り付けを行う対象の時限を決定する。
【0045】
次に、ステップS203においては、指導員マスタ106a(例えば、
図4Aに示すような割付作業マスタ)の読み出しが行われる。より具体的には、指導員マスタ106aに登録されている情報のうち、ステップS202で決定した割り付けを行うべき時限に対応する勤務区分に関する情報が読み出される。続くステップS204においては、割付作業マスタ106c(例えば、
図4Bに示すような割付作業マスタ)を参照して割り付け順が最上位の勤務区分に関する情報を得て、この情報と、ステップS203で読み出した指導員マスタ106aに登録されている指導員の指導員作業の内容とが互いに一致する指導員を特定する。
図4Cに示す例では、割り付け順が“1”の勤務区分「普通車」と一致する指導員作業の内容「普通車」を勤務スケジュールとしている「指導員A」が特定される。なお、この処理において、複数の指導員が特定され得る場合には、指導員マスタ106aに登録されている順に指導員が特定される。また、必要に応じて、教習車マスタ106dを参照して必要なMT車/AT車の数が確認されることが好ましく、教習車の数が不足する場合には、配車の手配をとるように警告表示がなされることがより好ましい。
【0046】
また、ステップS205においては、教習生マスタ106b(例えば、
図4Dに示すような教習生マスタ)の読み出しが行われる。より具体的には、教習生マスタ106bに登録されている情報のうち、ステップS202で決定した割り付けを行うべき時限に対応する予約区分に関する情報が読み出される。続くステップS206においては、割付作業マスタ106c(ステップS204で参照した割付作業マスタと同一の割付作業マスタ)を参照して割り付け順が最上位の予約区分に関する情報を得て、この情報と、ステップS205で読み出した教習生マスタ106bに登録されている教習生が予約している教習内容とが互いに一致する教習生を特定する。
図4Eに示す例では、割り付け順が“1”の予約区分「高速教習」と一致する教習内容「高速教習」を予約している「教習生B」が特定される。なお、本処理では、複数の教習生が特定され得る場合には、教習生マスタ106bに登録されている順に教習生が特定される。
【0047】
そして、ステップS203〜S204の処理とステップS205〜S206の処理によって、1対の指導員と教習生の組み合わせが割り付けられたこととなる。なお、ステップS203〜S204の処理とステップS205〜S206の処理は、順序を入れ替えて行われてもよいし、並列的に行われてもよい。
【0048】
続いて、ステップS207においては、ステップS203〜S206で割り付けられた結果(すなわち、1対の指導員と教習生の組み合わせ)が正しいかどうかチェックする。このチェックは、コントロールマスタ106eに登録されている情報(
図4Fに示すコントロールマスタの例では、指名指導員、拒否指導員、指導員の資格、及び複数時限にわたる教習(複数教習)等に関するチェック項目情報、又は、
図4Gに示すコントロールマスタの別の例では指導員の資格、車の数、及び複数教習の3つのチェック項目情報の組み合わせのみ)に基づいて行われる。なお、
図4Gに示したようなコントロールマスタは、
図4Fに示したようなコントロールマスタのチェック項目情報から、ユーザである自動車教習所が選択的にチェック項目情報を抽出することによって用意されたものであってもよい。
【0049】
ステップS207のチェックの結果、割り付けられた結果が正しくないと判別された場合(例えば、割り付けた指導員が教習生にとっての拒否指導員に該当した場合)には、必要に応じて所定のエラー表示又は警告表示を行った上で(
図3には図示せず)、ステップS203に戻って、ステップS203〜S206において割り付け順が上位のものから割り付け処理を行う。一方、ステップS207のチェックの結果、割り付けられた結果が正しいと判別された場合には、後続のステップS208の処理に進む。
【0050】
ステップS208では、割付作業マスタ106cに登録されている全ての割り付け順に設定されている組み合わせについて、指導員マスタ106aの対応する時限の勤務区分及び教習生マスタ106bの対応する時限の予約区分の走査が完了したかどうか判別する。
【0051】
ステップS208の判別の結果、走査が完了していない場合には、ステップS203に戻って、ステップS203〜S207の処理を繰り返す。ここで、指導員の数と教習生の数が一致していない場合に生じる、割り付けがなされなかった指導員又は教習生には、所定の通知(メール送信等)をなすように割付制御装置100が構成されていることが好ましい。一方、ステップS208の判別の結果、走査が完了した場合には、ステップS209に進んで、全ての時限についてステップS202〜S208の割り付け処理が行われたかどうか判別する。
【0052】
ステップS209の判別の結果、全ての時限について割り付け処理が行われていない場合には、ステップS201に戻って各種のマスタの更新を反映した後に、ステップS202で後続の時限についての割り付け処理を行う。一方、ステップS209の判別の結果、全ての時限について割り付け処理が行われた場合には、割り付けた組み合わせのリストを予め定められた方法で出力する(ステップS210)。
図4Hに示す出力例は、時限でソートされた割り付けた組み合わせのリストであるが、このようなリストとは別に、各指導員の割り付け表や各教習生の割り付けリストを出力することも可能であり、さらには、教習生に対しては予約の成否に関する情報だけを出力してもよく、出力の方法は自動車教習所ごとに適宜設定可能に構成される。
【0053】
上述した
図2の処理、特には、ステップS202〜S209の割り付け処理は、自動車教習所ごとに行われるとしたが、1台の割付制御装置100で複数の自動車教習所について割り付け処理を行うことも可能であり、その場合には、自動車教習所ごとに設定される各種マスタを用いながらステップS202〜S209の割り付け処理を行う。そして、本処理を終了する。
【0054】
図2に示した第1の割付制御方法に係る処理手順によれば、割り付けを行うべき時限ごとに(ステップS202)、割付作業マスタ106cを参照して、割り付け順に準じて指導員と教習生の組み合わせが特定される(ステップS204,ステップS206)ので、指導員の勤務スケジュールを勤務区分ごとに登録しておくとともに、教習生の予約を受け付けて登録しておくだけで、指導員と教習生の組み合わせの割り付けを、ランダムではなく、割り付け順で制御することができる。例えば、割付作業マスタ106cを用いることで、それぞれの自動車教習所のリソース(指導員の資格保有状況・教習車の数等)に合わせて、条件の厳しいものから割り付くようにすることができる。また、割付作業マスタ106cを用いることにより、割付作業マスタ106cに存在する組み合わせのみ割り付けられるので、必要な組み合わせのみ割り付けることができ、また、自動車教習所の事務員又はコーディネーターが後から目で見て決めたいもの(例えば、当日の状況に左右されるもの等)を残しておくことができる。また、割付作業マスタ106cを用いることにより、1つの指導員作業(勤務区分)が複数の教習生の予約区分に結びつくため(例えば、普通車の勤務が、普通車ATの予約と普通車MTの予約との2つに結びつく等)、教習生の予約に合わせて指導員の勤務スケジュールを組む必要がなくなり、その結果、大まかな勤務スケジュールを決めておくだけでよくなる。
【0055】
図4A〜
図4Hを用いて説明した例では、勤務区分が普通車の指導員が複数存在していても、高速教習を希望する教習生、MT路上を希望する教習生、MT所内を希望する教習生の順に勤務スケジュールが割り当てられるので、指導員の指導力レベルに応じた割り付けが可能となったり、指導員の数が少なくても優先順位の高い教習内容から順次割り当てることが可能となったりする。そのため、指導員を匿名化し、指導員Aにベテランの指導員、指導員Bに中堅の指導員、指導員Cに新人の指導員を割り当てることも可能である。一方で、教習生にとっても、希望者が少ない教習内容から順次割り当てられるので、指導員不在のために予約が定まらずキャンセル待ちをするといった可能性が低くなるとともに他の予約区分を検討する必要性が低くなる。以上のことから、自動車教習所の事務員又はコーディネーターが、指導員と教習生との割り付けの内容の変更又は組み替えやキャンセル待ちの管理等の作業の手間といった負荷を大幅に削減することができる。
【0056】
また、
図2の処理によれば、割り付けられた結果(すなわち、1対の指導員と教習生の組み合わせ)が正しいかどうかチェックする(ステップS207)ので、指導員と教習生のミスマッチを減らすことができる。
図4Fや
図4Gを用いて説明した例では、コントロールマスタ106eを用いることでチェック項目を取捨選択することにより、教習生からの指名や拒否を割り付けに反映させること等ができるので、自動車教習所としても指名等のオプション的なサービスを提供することができる。
【0057】
C−2.第2の例
続いて、第2の割付制御方法に係る処理手順を
図5〜
図7Bを用いて説明する。
図5は、
図1に示す割付制御装置100を含む割付制御システム1000において実行される第2の割付制御方法の処理手順を示すフローチャートである。この第2の割付制御方法に係る処理は、採番処理を行う点、複数のソート項目に関する情報に基づいて並び替え処理を行う点、及び、別条件割り付け処理を行う点で、
図2を用いて説明した第1の割付制御方法に係る処理とは異なる。
【0058】
図5において、まず、ステップS501では、
図2のステップS201の処理と同様に、各種のマスタの登録/更新を行う。続くステップS502では、
図2のステップS202の処理と同様に割り付け対象の時限を決定する。
【0059】
次に、ステップS503では、
図2のステップS203の処理と同様に指導員マスタ106aの読み出しを行う。続くステップS504においては、割付作業マスタ106c(例えば、
図6Aに示すような割付作業マスタ)を参照して割り付け順が最上位の勤務区分に関する情報を得て、この情報と、ステップS503で読み出した指導員マスタ106aに登録されている指導員の指導員作業の内容とが互いに一致する指導員を検索し、特定された指導員を
図6Bに示すように抽出する。これにより、同じ勤務区分の指導員の数が把握される。
【0060】
そして、ステップS505において、ステップS504で抽出された単数又は複数の指導員に対して採番処理を施す。採番の方法は任意の方法で行うことが可能であり、
図6Cには、ステップS504の処理の結果抽出された10名の指導員に対してランダムのソート処理を施した後にSEQ番号で採番を施した例が示されている。このような採番処理により、同じ勤務区分の指導員に対して所定の番号が付されることとなる。
【0061】
次に、ステップS506では、
図2のステップS205の処理と同様に教習生マスタ106bの読み出しを行う。なお、予約区分の「路上教習」については、MT車/AT車の区別なく予約可能になっていてもよい。続くステップS507においては、割付作業マスタ106c(ステップS504で参照した割付作業マスタと同一の割付作業マスタ)を参照して割り付け順が最上位の予約区分に関する情報を得て、この情報と、ステップS506で読み出した教習生マスタ106bに登録されている教習生が予約している教習内容とが互いに一致する教習生を検索し、特定された教習生を
図6Dに示すように抽出する。
図6Dに示す例では、予約区分「路上教習」に属する「MT路上」と「AT路上」を予約した教習生が抽出されている。これにより、同じ予約区分の教習生の数が把握される。また、
図6Eには、7名の教習生が抽出された場合が例示されている。なお、複数の教習生が抽出された場合には、それら複数の教習生に対して任意のソート処理を施してもよく、例えば、ID番号でソート処理を施してもよいし、予約登録を行った順にソート処理を施してもよい。また、ステップS506〜S507の処理は、ステップS503〜S505の処理と順序を入れ替えて行われてもよいし、並列的に行われてもよい。
【0062】
そして、ステップS508では、ステップS505で採番処理が施された指導員のリストに対して空き数に関する情報の順でソート処理を施す。ここで、空き数に関する情報とは、指導員が1日に教習を行う予定の時限数から、予約済み(すなわち、教習割り当て済み)の時限数を差し引いた時限数(以下、空き数ともいう)に関する情報を意味する。このソート処理により、指導員の空き数が多い順に指導員のリストの並び替えが行われる。
図6Fには、指導員のリストに対して、空き数の降順でかつSEQ番号の昇順で並び替え(ソート処理)を施した場合の例が示されている。
【0063】
次に、ステップS509では、ステップS508でソート処理が施された指導員のリストと、ステップS506で抽出した教習生の数とから、教習生の予約を割り当てられない指導員(以下、空き指導員ともいう)の数を決定する。続いて、空き指導員の数が1以上であるかどうか判別し(ステップS510)、空き指導員の数が1以上であれば(ステップS510でYes)、指導員のリストから空き数が少ない順に空き指導員を決定し(ステップS511)、決定した空き指導員に対して別条件(例えば、休憩、教習車の整備、又は報告書作成)を割り付けて(ステップS512)、ステップS513へ進む。なお、ステップS511で空き指導員として決定した指導員については指導員のリストから除外されることが好ましい。
図6Fには、SEQ番号“10”,“3”,“5”の指導員が空き指導員として決定された場合が示されている。一方、空き指導員の数が0である場合には(ステップS510でNo)、ステップS513へ進む。
【0064】
ステップS513では、指導員のリスト及び/又は教習生のリストに対して施すべきソート処理の種類を決定する。ソート処理の種類には、指導員のリストに関しては、例えば男性の教習生を教える回数/女性の教習生を教える回数、MT車の教習を行う回数/AT車の教習を行う回数、及び、所内で教習を行う回数/路上に出て教習を行う回数等があり、また、教習生のリストに関しては、例えば、教習を希望する車種に関する情報、教習を希望する場所(所内/路上)、及び、性別に関する情報等がある。これらのソート処理の種類、より具体的には、指導員のリストに対して施すソート処理の種類と教習生のリストに対して施すソート処理の種類の組み合わせに対して優先順位が予め定められていることが好ましい。
【0065】
そして、ステップ513で決定された種類のソート処理を施して、指導員と教習生の組み合わせの候補リストを作成する(ステップS514)。
図7Aには、指導員のリストに対して、車種実施予定差(MT車教習実施予定数−AT車教習実施予定数)の昇順で、かつ、MT車教習実施予定数の昇順でソート処理を施し、かつ、教習生のリストに対して、教習を希望する車種のMT車次いでAT車の順でソート処理を施した場合の例が示されている。なお、ここでいう「実施予定数」とは、予約が割り付けられた勤務区分の数を意味する。この
図7Aに示す例では、5対の指導員と教習生の組み合わせに対してMT車での教習が割り付けられ、かつ、2対の指導員と教習生の組み合わせに対してAT車での教習が割り付けられる予定(候補)となる。この例によれば、車種実施予定数に基づいて指導員が教習で使用すべき教習車の車種が決まるので、指導員の作業負担を均等化させることができる。
【0066】
続いて、作成されている候補リストにおいて、指導員と教習生の組み合わせが正しいかチェックする(ステップS515)。このチェックは、
図2のステップS207の処理と同様に行われる。
【0067】
チェックの結果、指導員と教習生の組み合わせが正しい場合には、ステップS516に進んで、ステップS514で決定した指導員と教習生の組み合わせの候補リストに対して、別の種類のソート処理を施す必要があるかどうかを判別し、別の種類のソート処理を施す場合には(ステップS516でYes)、ステップS513に戻って施すべきソート処理の種類を決定する。
図7Bには、
図7Aに示されたMT車での教習が割り付けられた5対の指導員と教習生の組み合わせの候補リストに対して別の種類のソート処理を施した場合の例が示されている。具体的には、
図7Bに示す例では、指導員の候補リストに対して、性別実施予定差(男性次いで女性)の順でソート処理が施されており、かつ、教習生の候補リストに対しては、性別(男性次いで女性)の順でソート処理が施されている。この例によれば、性別実施予定数に基づいて指導員が教習すべき教習生の性別が決まるので、指導員の作業負担を均等化させることができる。
【0068】
一方で、別のソート処理を施す必要がない場合には(ステップS516でNo)、作成されている候補リストを、指導員と教習生の組み合わせの正式な割り付けとし、ステップS517,S518,S519において、
図2のステップS208,S209,S210と同様に、全ての割り付け順及び全ての時限に対して上述の割り当て処理を繰り返して、割り付け処理を完了し、必要に応じて出力処理を行う。そして、本処理を終了する。
【0069】
図5に示した第2の割付制御方法に係る処理手順によれば、
図2を用いて説明した第1の割付制御方法に係る処理手順で説明した効果に加えて以下の効果を奏することができる。
【0070】
ステップS508において、指導員のリストに対して空き数に関する情報の順でソート処理を施すので、指導員の作業負担を均等化させることができる。また、ステップS513においてもさらなるソート処理が施されるので、指導員の作業負担を均等化させることができ、ソート処理の種類(例えば性別実施予定数)によっては、教習生の不公平感をなくすことも可能となる。
【0071】
また、ステップS512においては、空き指導員に対して別条件が割り当てられるので、自動車教習所の事務員又はコーディネーターの負荷を軽減することができる。
【0072】
なお、
図2又は
図5を用いた処理においては、教習車マスタ106dは参照のために用いられているが、教習車マスタ106dを読み出して、教習車に関する情報と、指導員マスタ106aから読み出した指導員に関する情報と、教習生マスタ106bから読み出した教習生に関する情報の3つの情報の組み合わせに対して優先順位に基づき割り付け処理を行ってもよい。また、それに代えて、教習車に関する情報と指導員マスタに関する情報とを統合して自動車教習所に関する情報として管理してもよい。さらには、
図2の処理の一部を
図5の処理に組み入れてもよいし、
図5の処理の一部を
図2の処理に組み入れてもよいし、また、
図2又は
図5の処理の一部をスキップ又は省略してもよい。
【0073】
[3.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0074】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0075】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0076】
また、割付制御装置100及び割付制御システム1000に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0077】
例えば、割付制御装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて割付制御装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0078】
また、このコンピュータプログラムは、割付制御装置100に対して任意のネットワーク(例えばネットワーク300)を介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0079】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。したがって、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体もまた本発明を構成することとなる。
【0080】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0081】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0082】
また、割付制御装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、割付制御装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0083】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。