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特開2016-180009クレンジング組成物及びクレンジング用品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-180009(P2016-180009A)
(43)【公開日】2016年10月13日
(54)【発明の名称】クレンジング組成物及びクレンジング用品
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20160916BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20160916BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20160916BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20160916BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20160916BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20160916BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20160916BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20160916BHJP
【FI】
   A61K8/73
   A61K8/34
   A61K8/37
   A61K8/89
   A61K8/92
   A61K8/64
   A61K8/06
   A61Q1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-137655(P2016-137655)
(22)【出願日】2016年7月12日
(62)【分割の表示】特願2015-32295(P2015-32295)の分割
【原出願日】2015年2月20日
(31)【優先権主張番号】特願2014-32347(P2014-32347)
(32)【優先日】2014年2月21日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 和夫
(72)【発明者】
【氏名】今井 洋子
(72)【発明者】
【氏名】本間 明日香
(72)【発明者】
【氏名】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健志
(72)【発明者】
【氏名】池口 主弥
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼垣 欣也
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB371
4C083AB372
4C083AC011
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC092
4C083AC122
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC482
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD282
4C083AD412
4C083BB21
4C083CC23
4C083DD33
4C083DD45
4C083DD47
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】汚れを落とす効果に優れたクレンジング組成物及びクレンジング用品を提供する。
【解決手段】クレンジング組成物は、炭化水素油、エステル油、シリコーン油及びロウ類からなる群から選択される1種以上の油を含む油相と、水相と、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子と、を含み、O/W型エマルションである。または、クレンジング組成物は、20℃における水に対する界面張力が20mN/m以上である油相と、水相と、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子と、を含み、O/W型エマルションである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素油、エステル油、シリコーン油及びロウ類からなる群から選択される1種以上の油を含む油相と、水相と、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子と、を含み、O/W型エマルションであるクレンジング組成物。
【請求項2】
前記組成物全体の質量に対する前記油の含有量が、15質量%以上である請求項1記載のクレンジング組成物。
【請求項3】
20℃における水に対する界面張力が20mN/m以上である油類から選択される1種以上の油を含む油相と、水相と、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子と、を含み、O/W型エマルションであるクレンジング組成物。
【請求項4】
請求項1から3いずれか記載のクレンジング組成物が、ガラス容器又はポリエチレンテレフタレート容器に収容されたクレンジング用品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレンジング組成物及びクレンジング用品に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品は一日を通じて肌に使用されるものであるため、汗や皮脂等の要因によって容易に落ちないように工夫されている。具体的には、油性基剤を含むことにより汗によって化粧落ちしにくいようにする工夫や、肌に密着して使用することにより物理的要因によって化粧落ちしないようにする工夫等がなされている。したがって、一般に化粧品は通常の石けん等では落としにくいことが多い。そのため、化粧品の油分を溶かし出して落とす専用のクレンジング組成物が広く一般に用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、エステル油と、ポリオール及びポリオキシアルキレングリコールのエーテルと、界面活性剤と、ジオールとを含むクレンジング組成物が開示されている。特許文献2には、液状油と、2種のノニオン性界面活性剤と、アニオン性界面活性剤を含むクレンジング組成物が開示されている。
【0004】
ところで、一般に乳化には界面活性剤を用いるが、それとは異なる乳化方法として、三相乳化法(特許文献3を参照)が知られている。三相乳化法とは、両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子と油相との間に働くファンデルワールス力によって乳化を維持する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−090111号公報
【特許文献2】特開2011−246404号公報
【特許文献3】特許第3855203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のとおり、従来のクレンジング組成物としては、界面活性剤を用いた乳化物が多く用いられてきた。従来のクレンジング組成物においては、界面活性剤が汚れを除去するのに重要な役割を果たす。すなわち、界面活性剤が油剤とともに汚れに吸着して合一体となり、肌表面から汚れを分離させるので、これをすすぎ流すことによって汚れを除去することができる。一方、三相乳化法においては、界面活性剤ではなくナノ粒子が乳化剤としての役割を果たすが、上述のとおり、ナノ粒子の性質は界面活性剤とは全く異なるものである。したがって、三相乳化法による乳化物をクレンジング組成物として用いたとしても、界面活性剤のようにメイクアップ等の汚れに対してクレンジング効果を発揮するか不明であった。
【0007】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、汚れを落とす効果に優れたクレンジング組成物及びクレンジング用品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討の結果、三相乳化法による乳化物の油相に特定の油が含まれることにより、三相乳化法による乳化物が優れたクレンジング効果を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0009】
(1)炭化水素油、エステル油、シリコーン油及びロウ類からなる群から選択される1種以上の油を含む油相と、水相と、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子と、を含み、O/W型エマルションであるクレンジング組成物。
【0010】
(2)前記組成物全体の質量に対する前記油の含有量が、15質量%以上である(1)記載のクレンジング組成物。
【0011】
(3)20℃における水に対する界面張力が20mN/m以上である油類から選択される1種以上の油を含む油相と、水相と、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子と、を含み、O/W型エマルションであるクレンジング組成物。
【0012】
(4)(1)から(3)いずれか記載のクレンジング組成物が、ガラス容器又はポリエチレンテレフタレート容器に収容されたクレンジング用品。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、汚れを落とす効果に優れたクレンジング組成物及びクレンジング用品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。
【0015】
<クレンジング組成物>
本発明のクレンジング組成物は、油相と、水相と、両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子(以下「重縮合ポリマー粒子」ともいう。)と、を含む、O/W型エマルションである。
【0016】
本発明において油相とは、O/W型エマルションにおける内包された滴状の油性成分のことである。
【0017】
本発明の油相は、炭化水素油、エステル油、シリコーン油及びロウ類からなる群から選択される1種以上の油を含む油相及び/又は20℃における水に対する界面張力が20mN/m以上である油類から選択される1種以上の油を含む油相である。
【0018】
閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子は、表面が親水性の粒子であり、ファンデルワールス力によって水相中の油相との界面に介在することで、乳化状態を維持する。この乳化機構は、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子による三相乳化の機構として公知であり、界面活性剤による乳化機構、すなわち、親水性部分及び疎水性部分をそれぞれ水相及び油相に向け、油水界面張力を下げることで乳化状態を維持する乳化機構とは全く異なる。本発明のクレンジング組成物が汚れを落とす効果に優れる理由について、以下のように推定される。
【0019】
従来の界面活性剤によるクレンジング組成物では、界面活性剤の疎水基部分及び油がメイクアップ用品のような油性の汚れに吸着及び混合する。これを指等の外圧を与えてなじませることにより、界面活性剤が油剤とともに汚れに吸着して合一体となり、肌表面から汚れを分離させ、肌表面をすすぎ流すことによって汚れを除去することができる。以上が、界面活性剤によるクレンジング組成物がクレンジング効果を発揮する機序と考えられる。
【0020】
しかしながら、界面活性剤によるクレンジング組成物では、界面活性剤、油及び汚れからなる合一体が肌表面から全て分離するわけではなく、界面活性剤が界面張力を低下させるため油の凝集力(油が凝集して肌表面から分離しようとする力)が弱まることにより、一部がそのまま肌表面に残存してしまうと考えられる。また、界面活性剤の一部は乳化剤として機能せず肌に吸着してしまう。これら肌に残存した汚れや界面活性剤が肌にダメージを与え、ひいては、肌の乾燥や肌荒れの一因となり得る。また、汚れと肌との隙間に界面活性剤が入り込むのは難しいことから、残存した汚れを落とすには多量の水や摩擦が必要となり、これも肌にダメージを与え、ひいては、肌荒れやくすみの一因となり得る。
【0021】
これに対して、本発明のクレンジング組成物では、ナノ粒子の付着したO/W型エマルションがその状態を保ったまま、油性の汚れに付着すると考えられる。この際、特定の油、すなわち、炭化水素油、エステル油、シリコーン油及びロウ類からなる群から選択される1種以上の油、及び/又は油水界面張力が高い油類(20℃における水に対する界面張力が20mN/m以上である油類)から選択される1種以上の油がエマルションの油相に含まれる場合、この油相は凝集力が強いため、指等の外圧によって油と汚れが混合されると、その混合物は肌表面から分離して再乳化しやすい。そのため、肌表面をすすぐことにより汚れを除去することができると考えられる。以上が、本発明のクレンジング組成物がクレンジング効果を発揮する機序と推定する。
【0022】
本発明のクレンジング組成物は、油相の凝集力が強いため、汚れを取込んで再乳化しやすく、肌表面に残存しにくい。また、本発明のクレンジング組成物を用いた場合、再乳化後の油と汚れの混合物は、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子により囲まれた安定な乳化状態となる。この閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子は水和力が高いため、再乳化した乳化物は肌に再付着しにくく、肌表面をすすぐことにより容易に洗い流すことができる。この特性により、本発明のクレンジング組成物は汚れを落とす効果に優れると推定される。
【0023】
本発明に用いられる炭化水素油は、特に限定されないが、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、イソパラフィン、流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、汚れを落とす効果に優れる点で、流動パラフィン、スクワランが好ましい。また、流動パラフィン、スクワランは、汚れに対する接触性が高い点においても好ましい。また、炭化水素油は、保湿性に優れる点で好ましく、また、汚れとの親和性が高いため、汚れなじみに優れる点においても好ましい。
【0024】
本発明に用いられるエステル油は、特に限定されないが、例えば、パルミチン酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリル酸メチルヘプチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリエチルヘキサノイン、ジカプリン酸ネオペンチルリコール等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、パルミチン酸エチルヘキシル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリエチルヘキサノイン、ジカプリン酸ネオペンチルグリコールは、汚れを落とす効果に優れる点で好ましい。特に、パルミチン酸エチルヘキシルは、汚れに対する接触性が高い点で好ましい。また、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリエチルヘキサノインは、皮脂汚れに対する親和性が良い点で好ましい。また、エステル油は、保湿性に優れる点で好ましい。
【0025】
本発明に用いられるシリコーン油は、特に限定されないが、例えば、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、汚れを落とす効果が高い点で、メチルポリシロキサンが好ましい。また、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のメチル基を有するシリコーン油は、汚れとのなじみがよいという点で好ましい。
【0026】
本発明に用いられるロウ類としては、特に限定されないが、ホホバ油、オレンジラフィー油等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、汚れを落とす効果に優れる点で、ホホバ油が好ましい。
【0027】
本発明に用いられる20℃における水に対する界面張力が20mN/m以上である油類は、特に限定されないが、例えば、炭化水素油、エステル油、シリコーン油、ロウ類、油脂、高級アルコール、高級脂肪酸等の油であって、20℃における水に対する界面張力が20mN/m以上である油を用いてもよい。また、より凝集力が強くなり、汚れを落とす効果が高くなる観点で、20℃における水に対する界面張力が、30mN/m以上である油類を用いるのが好ましく、40mN/m以上である油類を用いるのがより好ましく、45mN/m以上である油類を用いるのがさらに好ましい。これらは単独で構成してもよく、2種以上で構成してもよい。水に対する界面張力がより高いという点で、炭化水素油、エステル油又はシリコーン油が好ましく、炭化水素油が最も好ましい。なお、本明細書において、「20℃における水に対する界面張力が20mN/m以上、30mN/m以上、40mN/m以上又は45mN/m以上である油類」とは、20℃における水に対する界面張力を、単独で測定したときの値が、20mN/m以上、30mN/m以上、40mN/m以上又は45mN/m以上である油類をさす。また、「20℃における水に対する界面張力が20mN/m以上、30mN/m以上、40mN/m以上又は45mN/m以上である油類」の水に対する界面張力の測定は、20℃で、DropMaster(協和界面化学(株)製)により測定する。
【0028】
また、20℃における水に対する界面張力が20mN/m以上である油類から選択される1種以上の油を含む油相は、より凝集力が強くなり、汚れを落とす効果が高くなる観点で、該油相自身の20℃における水に対する界面張力が、20mN/m以上であるのが好ましく、30mN/m以上であるのがより好ましく、40mN/m以上であるのがさらに好ましく、45mN/m以上であるのが最も好ましい。一方、油相の水に対する界面張力が高くなりすぎると、油の凝集力が強くなりすぎるため汚れとの相溶性が低下し、油相の汚れに対する溶媒としての機能が低下すると推察される。また人の体温付近で液状でなければ、油相の汚れに対する溶媒としての機能は低下すると推察されることから、20℃における水に対する界面張力が20mN/m以上である油類から選択される1種以上の油を含む油相の、20℃における水に対する界面張力は、実用上は最大でも100mN/m以下がより一層好ましく、70mN/m以下が最も好ましい。なお、本発明の油相の水に対する界面張力は、20℃で、DropMaster(協和界面化学(株)製)により測定する。
【0029】
本発明の油相は、上記油以外の油を含んでもよく、含まなくてもよい。上記以外の油としては、例えば、オリブ油等の油脂、イソステアリルアルコール等の高級アルコール、高級脂肪酸等が挙げられる。なお、本発明のクレンジング組成物は、汚れを落とす効果が高くなる観点から、油として抱水性油剤のみしか含まないクレンジング組成物ではないことが好ましい。同様に、本発明のクレンジング組成物は、汚れを落とす効果が高くなる観点から、油として高級アルコールのみしか含まないクレンジング組成物ではないことが好ましい。また、本発明におけるクレンジング組成物は、汚れを落とす効果が高くなる観点から、抱水性油剤の配合量が少ない方が好ましい。抱水性油剤の配合量は、例えば、80質量%未満、70質量%未満、60質量%未満、50質量%未満、40質量%未満、30質量%未満、25質量%未満、20質量%未満、15質量%未満、10質量%未満、5質量%未満、3質量%未満、1質量%未満であっても良い。同様に、本発明におけるクレンジング組成物は、汚れを落とす効果が高くなる観点から、高級アルコールの配合量が少ない方が好ましい。高級アルコールの配合量は、例えば、80質量%未満、70質量%未満、60質量%未満、50質量%未満、40質量%未満、30質量%未満、25質量%未満、20質量%未満、15質量%未満、10質量%未満、5質量%未満、3質量%未満、1質量%未満であっても良い。
【0030】
上述のとおり、炭化水素油、エステル油、シリコーン油、ロウ類、20℃における水に対する界面張力が20mN/m以上である油類の凝集力の強さに起因して、本発明は汚れを落とす効果に優れる一方で、メイク汚れに対する油の量が少ないと十分にメイク汚れを抱えることができない。このため、組成物全体の質量に対する、炭化水素油、エステル油、シリコーン油及びロウ類からなる群から選択される1種以上の油及び/または20℃における水に対する界面張力が20mN/m以上である油類から選択される1種以上の油の含有量は、特に限定されないが、多い方が好ましい。具体的には、15質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましく、50質量%以上がより一層好ましく、60質量%以上が最も好ましい。他方、これらの油の量が多すぎると、油が大量に肌に残りやすくなり、すすぎ性が低下するおそれがある。この観点で、組成物全体の質量に対する、炭化水素油、エステル油、シリコーン油及びロウ類からなる群から選択される1種以上の油の含有量は、80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
【0031】
炭化水素油、エステル油、シリコーン油及びロウ類からなる群から選択される1種以上の油及び/又は20℃における水に対する界面張力が20mN/m以上である油類から選択される1種以上の油の、油相全体の質量に対する質量は、凝集力が強くなり、汚れを落とす効果が高くなる観点で、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、60質量%以上がより一層好ましく、70質量%以上が最も好ましい。
【0032】
本発明における油相の平均粒径は、特に限定されないが、油相の平均粒径が大きくなると、油相の汚れに対する溶媒としての性質が高くなるため、汚れを落とす効果が向上する。この観点で、油相の平均粒径は、1μm以上が好ましく、5μm以上が好ましく、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、30μm以上がなお好ましく、40μm以上が更に好ましく、50μm以上がより一層好ましく、60μm以上がなお一層好ましく、70μm以上が更に一層好ましく、80μm以上がますます好ましく、100μm以上が最も好ましい。また、油相の平均粒径が大きくなるにつれて、素肌に対する接触性、汚れに対する接触性が向上するため、この観点においても、油相の平均粒径が大きい方が好ましい。他方、油相の平均粒径が大きくなると、疎水性の高い容器等に保存した際に、エマルションが容器にヌレやすくなり、安定性を損ないやすい。それを防ぐ観点で、油相の平均粒径は、2000μm以下が好ましく、1000μm以下がより好ましく、500μm以下がさらに好ましく、200μm以下がより一層好ましく、150μm以下が最も好ましい。なお、油相の平均粒径は、乳化物の粘度が十分に低い(必要に応じ、希釈する)状態で、顕微鏡またはELS−Z(大塚電子(株)製)により測定される。
【0033】
本発明における油相の平均粒径の調整方法は、特に限定されないが、例えば、攪拌効率を調整することにより、平均粒径を調整することができる。
【0034】
本発明における油相は、汚れを落とす効果が高くなる観点から、リオトロピック球状液晶の状態である油相の割合が80%未満であることが好ましく、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満であることがより好ましく、リオトロピック球状液晶を含まないことが最も好ましい。
【0035】
閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子は、乳化性能に極めて優れる。このため、クレンジング組成物における水の量は、0.1〜95質量%の範囲から幅広く選択することができ、油相の量に応じて適宜設定されてよい。
【0036】
本発明において、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマーの粒子の他、使用の態様においては界面活性剤や乳化剤を併用して含んでもよく、含まなくてもよい。ただし、界面活性剤は、油水界面張力を低下させて油相の凝集力を弱めるため、本発明において多量に含まない方が好ましい。この観点で、組成物全体の質量に対する界面活性剤の含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。別の観点で、界面活性剤は、肌に刺激性を与えるため、安全性をより高めるために、組成物全体の質量に対する界面活性剤の含有量は、0.1質量%以下が好ましく、0.05質量%以下がより好ましく、0.01質量%以下がさらに好ましく、含まないのが最も好ましい。
【0037】
本発明における両親媒性物質としては、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、ジステアリン酸デカグリセリル、下記の一般式1で表されるポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体もしくは一般式2で表されるようなジアルキルアンモニウム誘導体、トリアルキルアンモニウム誘導体、テトラアルキルアンモニウム誘導体、ジアルケニルアンモニウム誘導体、トリアルケニルアンモニウム誘導体、又はテトラアルケニルアンモニウム誘導体のハロゲン塩の誘導体を採用するとよい。
【0038】
一般式1
【化1】
【0039】
式中、エチレンオキシドの平均付加モル数であるEは、3〜100である。Eが過大になると、両親媒性物質を溶解する良溶媒の種類が制限されるため、親水性ナノ粒子の製造の自由度が狭まる。Eの上限は好ましくは50であり、より好ましくは40であり、Eの下限は好ましくは5である。
【0040】
一般式2
【化2】
【0041】
式中、R1及びR2は、各々独立して炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基であり、R3及びR4は、各々独立して水素又は炭素数1〜4のアルキル基であり、XはF、Cl、Br、I又はCH3COOである。
【0042】
あるいは、リン脂質やリン脂質誘導体等を採用してもよい。リン脂質としては、下記の一般式3で示される構成のうち、炭素鎖長12のDLPC(1,2−Dilauroyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−choline)、炭素鎖長14のDMPC(1,2−Dimyristoyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−choline)、炭素鎖長16のDPPC(1,2−Dipalmitoyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−choline)が採用可能である。
【0043】
一般式3
【化3】
【0044】
また、下記の一般式4で示される構成のうち、炭素鎖長12のDLPG(1,2−Dilauroyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−glycerol)のNa塩又はNH4塩、炭素鎖長14のDMPG(1,2−Dimyristoyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−glycerol)のNa塩又はNH4塩、炭素鎖長16のDPPG(1,2−Dipalmitoyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−glycerol)のNa塩又はNH4塩を採用してもよい。
【0045】
一般式4
【化4】
【0046】
水酸基を有する重縮合ポリマーは、天然高分子又は合成高分子のいずれであってもよく、用途に応じて適宜選択されてよい。ただし、安全性に優れ、一般的に安価である点で、天然高分子が好ましく、乳化機能に優れる点で以下に述べる糖ポリマーがより好ましい。なお、粒子とは、重縮合ポリマーが単粒子したもの、又はその単粒子同士が連なったもののいずれも包含する一方、単粒子化される前の凝集体(網目構造を有する)は包含しない。
【0047】
糖ポリマーは、セルロース、デンプン等のグルコシド構造を有するポリマーである。例えば、リボース、キシロース、ラムノース、フコース、グルコース、マンノース、グルクロン酸、グルコン酸等の単糖類の中からいくつかの糖を構成要素として微生物が産生するもの、キサンタンガム、アラビアゴム、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、フコイダン、クインシードガム、トラントガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナン、カードラン、ジェランガム、フコゲル、カゼイン、ゼラチン、デンプン、コラーゲン、シロキクラゲ多糖類等の天然高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、セルロース結晶体、デンプン・アクリル酸ナトリウムグラフト重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース誘導体(疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテル))等の半合成高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキシド等の合成高分子、スルホン化セルロース誘導体(ステアロキシPGヒドロキシエチルセルローススルホン酸Na)が挙げられる。
【0048】
閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子は、エマルション形成前では平均粒径8nm〜800nm程度であるが、O/W型エマルション構造においては平均粒径8nm〜500nm程度である。これらの調製方法は、特許第3855203号等に開示されるとおり、従来公知であるため、省略する。
【0049】
閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子の量は、油相の量に応じて適宜設定されてよく、特に限定されないが、合計で0.0001〜5質量%であってよい。これにより、クレンジング組成物の使用前における乳化状態を良好に維持することができる。従来の界面活性剤と異なり、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子は優れた乳化特性を有するため、5質量%以下(具体的には、4質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、1.0質量%以下、0.75質量%以下)という少量でも、乳化状態を維持することができる。なお、上記量は、いずれも固形分含量である。
【0050】
本発明のクレンジング組成物は、従来のクレンジング組成物に含まれるいずれの公知の成分を含んでもよい。例えば、香料、pH調整剤、防腐剤、増粘剤、安定剤、着色剤、抗酸化剤等を含んでもよい。しかし、特にこれに限定されず、含まなくてもよい。
【0051】
クレンジング組成物は、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子を含む分散液と、油性成分とを混合してO/W型エマルションを形成することで調製することができる。水溶性の任意成分は、乳化前に添加してもよく、乳化後に添加してもよい。
【0052】
<クレンジング用品>
本発明は、上記クレンジング組成物が容器に収容されたクレンジング用品を包含する。
【0053】
容器の素材は、特に限定されず、ガラスや、アクリル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PE)等の樹脂が挙げられる。ただし、エマルションのサイズが大きくなると、容器に衝突して物理的衝撃を受けた場合にエマルションが壊れやすくなり、また容器素材とエマルションとのヌレ性の違いによって油浮き等の安定性の低下を引き起こす。特に、容器素材と閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子との相互作用エネルギーが大きいと乳化安定性を悪くするおそれがある。そのため、容器素材は相互作用エネルギーが小さいことが望ましく、特に、ガラス、アクリルが好ましい。また、輸送上の破損強度や軽量化の観点からプラスチック樹脂が広く用いられるが、樹脂の素材によって相互作用エネルギーが異なるため、適切な素材を選択することが必要である。一般に疎水性が小さい樹脂は相互作用エネルギーも小さくなる。したがって、疎水性が小さい観点から、プラスチック樹脂としてはポリエチレンテレフタレートを用いることが特に好ましい。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0055】
(評価1)
油水界面張力は、水中における油の凝集力を示す指標の1つとなり得る。そこで、種々の油(流動パラフィン、スクワラン、パルミチン酸エチルヘキシル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリエチルヘキサノイン、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジメチコン、ホホバ油、オリブ油及びイソステアリルアルコール)について、油水界面張力の測定を行った。なお、油水界面張力は、20℃にて、DropMaster(協和界面化学(株)製)を用いて測定した。その結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
表1に示すとおり、炭化水素油である流動パラフィン及びスクワラン、エステル油であるパルミチン酸エチルヘキシル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリエチルヘキサノイン及びジカプリン酸ネオペンチルグリコール、シリコーン油であるジメチコン、ロウ類であるホホバ油は油水界面張力が大きいことが確認された。一方、油脂類であるオリブ油及び高級アルコールであるイソステアリルアルコールは油水界面張力が小さいことが確認された。
【0058】
(評価2)
実施例1〜5、比較例1のクレンジング組成物の調製を行い、各クレンジング組成物について、メイク汚れに対するなじみと、落とし具合を確認するために、汚れ除去性の評価を行った。また、素肌接触、口紅接触の評価も行った。
【0059】
実施例1のクレンジング組成物の調製について、まず、ヒドロキシプロピルメチルセルロース誘導体の溶液から重縮合ポリマー粒子の分散液を調製した。そこに、流動パラフィン、1,3−ブチレングリコール及びパラオキシ安息香酸エステルを添加し、攪拌して、表2に示す処方のとおりに、クレンジング組成物を調製した。なお、粘度による影響をなくすため、カルボキシビニルポリマーと水酸化ナトリウムを適量添加し、実施例1と、後述する実施例2〜5及び比較例1の粘度が同程度になるように調整した。なお、表2中の数値は、組成物全体の質量に対する各成分の質量%を示す。
【0060】
【表2】
【0061】
実施例2〜5、比較例1については、添加する油をそれぞれ表2で示す油に変更し、最終粘度を統一するためカルボキシビニルポリマーと水酸化ナトリウムを適量添加し、粘度を調整した以外は、実施例1と同様の条件でクレンジング組成物を調製した。実施例1〜5、比較例1の平均粒径は、攪拌効率を調整することにより表3に記載されるとおりに調整した。
【0062】
汚れ除去性の評価は以下の方法で行った。
【0063】
まず、前腕内側にメイクを塗布し、クレンジング組成物をスポイトによりメイクに接触させ、5秒後に延展性(なじみやすさ)を確認した。その後、15分間静置させ、キムワイプにて拭き取り、水洗いにて除去した。
【0064】
「素肌接触」の評価は、以下の基準で行った。
【0065】
− :クレンジング組成物が皮溝(皮膚の表面にある細かい溝)に入り込みにくい。
+ 〜 +++++ :クレンジング組成物が皮溝に入り込み易い。
【0066】
クレンジング組成物が皮溝に入り込み易い場合、入り込み易さの程度を以下のように評価した。
【0067】
+ :皮溝に入り込む量がやや少ない。
++ :ある程度の量が皮溝に入り込むが、やや時間がかかる。
+++ :ある程度の量が皮溝に入り込み、時間もかからない。
++++ :多くの量が皮溝に入り込むが、やや時間がかかる。
+++++ :多くの量が皮溝に入り込み、時間もかからない。
【0068】
「口紅接触」の評価は、肌に口紅を塗布した状態で、クレンジング組成物の皮溝に入り込み易さについて評価した。なお、評価基準については「素肌接触」の評価と同じとした。
【0069】
汚れ除去性は、皮丘(皮溝に囲まれた小さな盛り上がり)、皮溝に残存がない場合「◎」とし、皮丘に残存がなく、皮溝に僅かに残存がある場合「○」とし、皮丘に残存がなく、皮溝に残存がある場合「△」とし、皮丘、皮溝ともに残存がある場合「×」とした。
【0070】
実施例1〜5、比較例1のクレンジング組成物の処方と評価結果を表3に示す。
【0071】
【表3】
【0072】
上記実施例で示したとおり、実施例1〜5において、汚れを落とす効果が高いことが確認された。これらの結果より、オリブ油より、流動パラフィン、パルミチン酸エチルヘキシル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、スクワランが、オリブ油より汚れを落とす効果が高いことが示された。また、流動パラフィン(実施例1)、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル(実施例3)、スクワラン(実施例4)、流動パラフィンとトリエチルヘキサノインとパルミチン酸エチルヘキシルとの混合油(実施例5)は、口紅接触の評価も高いことが確認され、特に流動パラフィンとトリエチルヘキサノインとパルミチン酸エチルヘキシルとの混合油は、素肌接触の評価も高いことが示された。
【0073】
(評価3)
実施例6〜13、比較例2及び3のクレンジング組成物の調製を行い、各クレンジング組成物について、上記評価1と同様の方法で、汚れ除去性の評価を行った。また、指滑り性、汚れなじみ、保湿性について評価を行った。
【0074】
実施例6のクレンジング組成物の調製について、まず、ヒドロキシプロピルメチルセルロース誘導体の溶液から重縮合ポリマー粒子の分散液を調製した。そこに、流動パラフィン、1,3−ブチレングリコール及びパラオキシ安息香酸エステルを添加し、攪拌して、表4に示す処方のとおりに、クレンジング組成物を調製した。なお、実施例6と、後述する実施例7〜13及び比較例2〜3については、粘度が同程度であったため、カルボキシビニルポリマー及び水酸化ナトリウム添加による粘度調整は行わなかった。なお、表4中の数値は、組成物全体の質量に対する各成分の質量%を示す。
【0075】
実施例7〜13、比較例2及び3については、添加する油をそれぞれ表4で示す油に変更した点以外は、実施例6と同様の条件でクレンジング組成物を調製した。なお、実施例6〜13、比較例2〜3のクレンジング組成物は、油相の平均粒径を攪拌効率を調整することによって、それぞれ20μmの範囲に調整した。
【0076】
【表4】
【0077】
指滑り性の評価は、とても良い場合「◎」とし、良い場合「○」とし、やや引っかかる場合「△」とし、悪い場合「×」とした。また、汚れなじみは、とても良い場合「◎」とし、良い場合「○」とし、ふつうの場合「△」とし、悪い場合「×」とした。保湿性は、各クレンジング組成物を塗布する前と比較して、しっとり感がある場合「◎」とし、ややしっとり感がある場合「○」とし、変化がない場合「△」とし、かさかさ(乾燥)感がある場合「×」とした。
【0078】
実施例6〜13、比較例2及び3のクレンジング組成物の評価結果を表5に示す。なお、油水界面張力は、20℃にてDropMaster(協和界面化学(株)製)で測定した。
【0079】
【表5】
【0080】
上記表5に示したとおり、実施例6〜13において、比較例2、3と比較して、汚れを落とす効果が高いことが確認された。汚れを落とす効果が高いことが確認されたのは、いずれも炭化水素油、エステル油、シリコーン油又はロウ類であり、油水界面張力が20以上のものであった。実施例6〜13のクレンジング組成物において、ナノ粒子の付着したO/W型エマルションがエマルションの状態を保ったまま、油性の汚れに付着すると考えられる。この際に、炭化水素油、エステル油、シリコーン油、ロウ類が油相に含まれる場合、これら油は油水界面張力が高く、凝集力が強いため、指等の外圧により油と汚れが混合された後、その混合物は肌表面から分離して再乳化しやすいと考えられる。そのため、肌表面をすすぐことにより汚れを除去することができたと推定される。また、油の凝集力が強いため、汚れを取込んで再乳化しやすく、肌表面に残存しにくい。さらに、本発明のクレンジング組成物は、再乳化後の油と汚れの混合物が閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子により囲まれることにより安定な乳化状態となる。この閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子は水和力が高いため、水で流した際に肌に再付着しにくく洗い落としやすい。これにより、実施例6〜13のクレンジング組成物は、クレンジング効果が高かったものと推定される。
【0081】
また、実施例6〜11、13で保湿効果が高かったのはエマルションの油量が60質量%と多いため、凝集力が強いにもかかわらず、その一部が肌に付着し、肌に保湿性を与えるためであると考えられる。なお、油がジメチコンである実施例12において、評価が他と比べて低いのは、ジメチコン自体が元来の保湿効果が低いためであり、保湿性等の使用感は油相元来の性質に依存すると推定される。
【0082】
また、油が炭化水素油である実施例6及び7は、汚れなじみ(速さと量)の評価が高かった。これは、炭化水素油との親和性が高く、また炭化水素油の凝集力が強かったためであると考えられる。また、エステル油のうち、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル(実施例9)、トリエチルヘキサノイン(実施例10)は、皮脂等の油汚れになじみやすい性質を元来もち、速さは△だが量の評価が高かった。また、シリコーン油を含む実施例12においては、汚れなじみの速さの評価が高かった。これは、汚れとのなじみが良かったためであると考えられる。
【0083】
また、実施例6〜12の全てにおいて、指滑り性の評価が高かったことが確認された。
【0084】
(評価4)
実施例14〜16のクレンジング組成物の調製を行った。具体的には、まず、ジラウロイルグルタミン酸リシンNaを用いて閉鎖小胞体の分散液を調製した。そこに、流動パラフィン、トリエチルヘキサノイン、エチルヘキサン酸セチル、1,3−ブチレングリコール及びパラオキシ安息香酸エステルを添加し、攪拌して、表6に示す処方のとおりに、クレンジング組成物を調製した。なお、粘度による影響をなくすため、カルボキシビニルポリマーと水酸化ナトリウムを適量添加し、実施例14〜16の粘度が同程度になるように調整した。また、攪拌効率を調整することによって、油相の平均粒径を表7に示すように調整した。
【0085】
【表6】
【0086】
【表7】
【0087】
表7に示すとおり、実施例16、15、14と油相の平均粒径が大きくなる毎に、汚れを落とす効果が高くなったことが確認された。
【0088】
実施例17〜19のクレンジング組成物を調製し、平均粒径を変えて汚れ残存、汚れ除去性の評価、素肌接触、口紅接触の評価を行った。
【0089】
実施例17のクレンジング組成物の調製について、まず、ヒドロキシプロピルメチルセルロース誘導体の溶液から重縮合ポリマー粒子の分散液を調製した。そこに、スクワラン、1,3−ブチレングリコール及びパラオキシ安息香酸エステルを添加し、攪拌して、表8に示す処方のとおりに、クレンジング組成物を調製した。なお、実施例17〜19については、粘度が同程度であったため、カルボキシビニルポリマー及び水酸化ナトリウム添加による粘度調整は行わなかった。実施例17のクレンジング組成物の油相の平均粒径は、攪拌効率を調整することによって、表9に示すとおりに調整した。
【0090】
【表8】
【0091】
実施例18、19については、攪拌効率を調整することによって、油相の平均粒径を表9に示すとおりに変更した以外は、実施例17と同様の条件でクレンジング組成物を調製した。
【0092】
実施例17〜19のクレンジング組成物の汚れ除去性の評価、素肌接触、口紅接触の評価の結果を表9に示す。
【0093】
【表9】
【0094】
表9に示すとおり、実施例19、18、17と油相の平均粒径が大きくなる毎に、汚れを落とす効果が高くなったことが確認された。
【0095】
表7、表9に示すように、油相の平均粒径の大きいものが汚れを落とす効果が高かったのは、油相の平均粒径が大きくなると、油相の汚れに対する溶媒としての性質が強くなるため、汚れを落とす効果が向上したからであると考えられる。また、表9から、素肌接触、口紅接触の評価も、油相の平均粒径が大きくなるにつれて高くなることが観察された。
【0096】
(評価5)
油相の平均粒径が大きくなると、容器に衝突しやすくなり、安定性が低くなることが推測された。そこで、ガラス、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PE)の素材にクレンジング組成物を充填し、安定性の試験を行った(実施例20〜23)。なお、クレンジング組成物は、実施例20〜23の全てにおいて、上記実施例16のクレンジング組成物を用いた。
【0097】
安定性試験は、クレンジング組成物を、それぞれの容器に充填し、約2時間の空輸を4回行った後に、官能評価を行った。評価基準は、変化がなかった場合「◎」とし、ほとんど変化がないが、ごく僅かに油浮きが認められる場合「○」とし、やや油浮きが認められる場合「△」とし、油浮きが認められる場合「×」とした。
【0098】
表10に、安定性試験の結果を示す。
【0099】
【表10】
【0100】
表10に示すとおり、ポリエチレンテレフタラート容器に充填したものの方が、ポリプロピレン容器、ポリエステル容器に充填したものと比較して、安定性が高かったことが示された。また、ガラス容器に充填したものが、ポリエチレンテレフタラート容器に充填したものより、さらに安定性が高かったことが示された。これにより、本発明のクレンジング組成物は、ガラス容器又はポリエチレンテレフタラート容器に充填することにより安定性が向上することが示された。
【0101】
(評価6)
実施例24〜27、比較例4〜6のクレンジング組成物の調製を行い、各クレンジング組成物について、汚れ除去性、汚れなじみ、指滑り性、肌なじみ、クレンジング性についての評価を行った。なお、「汚れ除去性」の評価は、評価1と同様の手順で行った。
【0102】
実施例24のクレンジング組成物の調製について、まず、ヒドロキシプロピルメチルセルロース誘導体の溶液から重縮合ポリマー粒子の分散液を調製した。そこに、流動パラフィンを添加し、攪拌して、表11に示す処方のとおりに、クレンジング組成物を調製した。なお、粘度による影響をなくすため、カルボキシビニルポリマーと水酸化ナトリウムを適量添加し、実施例24と、後述する実施例25〜27、比較例4〜6のクレンジング組成物の粘度が同程度になるように調整した。なお、表11中の数値は、組成物全体の質量に対する各成分の質量%を示す。
【0103】
実施例25〜27、比較例4については、添加する油をそれぞれ表11で示す油に変更した点以外は、実施例6と同様の条件でクレンジング組成物を調製した。
【0104】
比較例5のクレンジング組成物の調製について、まず、ヒドロキシプロピルメチルセルロース誘導体の溶液から重縮合ポリマー粒子の分散液を調製した。そこに、表11に示す処方のとおりに、セタノールを加えた。この液を、ホモミキサーにより6000rpm、80℃、10分間に亘って撹拌し、乳化を行った。その後、15分間かけて放冷し、更に35℃まで水冷することで、比較例5のクレンジング組成物を調製した。
【0105】
比較例6については、添加する油を表11で示す油に変更した点以外は、比較例5と同様の条件でクレンジング組成物を調製した。
【0106】
なお、実施例25〜27、比較例4〜6のクレンジング組成物は、油相の平均粒径を、攪拌効率を調整することによって、それぞれ10μmの範囲に調整した。
【0107】
「指滑り性」の評価基準は、とても良い場合を「◎」とし、良い場合を「○」とし、やや引っかかる場合を「△」とし、悪い場合を「×」とした。「汚れなじみ」の評価基準は、とても良い場合を「◎」とし、良い場合を「○」とし、ふつうの場合を「△」とし、悪い場合を「×」とした。「肌なじみ」の評価基準は、各クレンジング組成物の肌への親和性がある場合を「◎」とし、やや親和性がある場合を「○」とし、親和性が悪い場合を「△」とし、全く親和しない場合を「×」とした。「汚れ除去性」の評価基準は、すすぎ後の肌への汚れ残存性が、よい又はふつうの場合を「○」とし、悪い場合を「×」とした。「汚れ除去性」、「指滑り性」、「汚れなじみ」、及び「肌なじみ」のこれら全ての項目の評価から総合的にクレンジング適性を判断し、ふさわしい場合を「◎」とし、ややふさわしいを「○」とし、どちらとも言えない場合を「△」とし、ややふさわしくない場合を「×」とし、全くふさわしくない場合を「××」とした。表12に、その評価結果を示す。
【0108】
【表11】
【0109】
【表12】
【0110】
評価の結果、表12に示すとおり、実施例24〜27のクレンジング組成物が、比較例4〜6のクレンジング組成物より、クレンジング性の評価が高いことが確認された。特に実施例24〜26と比較例5〜6との対比から、油として抱水性油剤(高級アルコール)のみしか含まないクレンジング組成物は、クレンジング性の観点で好ましくないことが分かった。
【0111】
また、実施例24、実施例27のクレンジング組成物は、実施例25、実施例26のクレンジング組成物より、汚れなじみ(速さ)に優れ、クレンジング性において優れていることが確認され、20℃における水に対する界面張力が高いことがクレンジング性の更なる向上に寄与し得ることが分かった。
【0112】
(処方例1)
ジラウロイルグルタミン酸リシンNaの代わりにレシチンを用いた以外は、実施例16と同様の条件で実施例28のクレンジング組成物を調製した。
【0113】
(処方例2)
ジラウロイルグルタミン酸リシンNaの代わりにジステアリン酸デカグリセリルを用いた以外は、実施例16と同様の条件で実施例29のクレンジング組成物を調製した。
【0114】
(処方例3)
ジラウロイルグルタミン酸リシンNaの代わりにポリオキシエチレン硬化ひまし油(PEG−100水添ひまし油)を用いた以外は、実施例16と同様の条件で実施例30のクレンジング組成物を調製した。なお、PEG−100水添ひまし油は、配合量が0.1w/w%になるように調製した。
【0115】
(処方例4)
ジラウロイルグルタミン酸リシンNaを用いて閉鎖小胞体の分散液を調製した代わりに、スルホン化セルロース誘導体の溶液から重縮合ポリマー粒子の分散液を調製した以外は、実施例16と同様の条件で実施例31のクレンジング組成物を調製した。なお、スルホン化セルロース誘導体は、配合量が0.05w/w%になるように調製した。
【0116】
(処方例5)
スルホン化セルロース誘導体の代わりに、シロキクラゲ多糖類を用いた以外は、実施例31と同様の条件で実施例32のクレンジング組成物を調製した。