の目標圧力値P1を高く、第2ボイラ群2Bのボイラ20Bは、ヘッダ圧力値PVの目標圧力値P2を低く、設定し、それぞれ個別に目標圧力値制御される、ボイラ20A及び第2ボイラ群2Bからなるボイラシステム1において、使用蒸気量に関係なく第2ボイラ群2Bが所定量以上の燃焼量を確保する。
【解決手段】第2ボイラ群2Bは、ヘッダ圧力値PVが予め設定された第2目標圧力値P2と一致するようにPI又はPIDアルゴリズムにより算出される必要蒸気量MVが予め設定された第1蒸気量V1を下回る場合、第1蒸気量V1を出力し、必要蒸気量MVが第1蒸気量V1以上となる場合、必要蒸気量MVを出力するように構成される。
前記第2目標圧力値は、前記第1目標圧力値に、蒸気管における圧力損失を加味して算出されるヘッダ圧力値よりも小さな値となるように設定される、請求項1に記載のボイラシステム。
前記出力制御部は、前記第1蒸気量を出力する場合、前記第2ボイラ群における予め設定される台数のボイラを予め設定された固定燃焼率で燃焼させる、請求項1又は請求項2に記載のボイラシステム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係るボイラシステム1について説明する。
図1は、ボイラシステム1の概略を示す図である。
【0017】
図1に示すように、ボイラシステム1は、1台のボイラ20Aからなる第1ボイラ群2Aと、2台のボイラ20Bからなる第2ボイラ群2Bとからなるボイラ群2と、複数のボイラ20A及び20Bにおいて生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダ6と、この蒸気ヘッダ6の内部の圧力(以下「ヘッダ圧力」ともいう)を測定する蒸気圧センサ7と、第2ボイラ群2Bの燃焼状態を制御する制御部4Bを有する台数制御装置3Bと、を備える。なお、蒸気圧センサ7により測定された蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値を以下、「ヘッダ圧力値PV」ともいう。
【0018】
ボイラ群2は、蒸気使用設備18に供給する蒸気を生成する。
蒸気ヘッダ6は、蒸気管11を介してボイラ群2を構成する複数のボイラ20A及び20Bに接続されている。この蒸気ヘッダ6の下流側は、蒸気管12を介して蒸気使用設備18に接続されている。
蒸気ヘッダ6は、ボイラ群2で生成された蒸気を集合させて貯留することにより、複数のボイラ20A及び20Bの相互の圧力差及び圧力変動を調整し、圧力が調整された蒸気を蒸気使用設備18に供給する。
【0019】
第1ボイラ群2Aのボイラ20Aは、例えば、炉筒煙管ボイラ等の丸ボイラ、又は貫流ボイラ等の水管ボイラから構成される。ボイラ20Aは、燃焼が行われるボイラ本体21Aと、ボイラ20Aの缶内圧力値を測定するボイラ圧検出部23Aと、ローカル制御部22Aと、を備える。
ボイラシステム1において、ボイラ20Aは、メイン出力ボイラ(ベースロードボイラ)として機能する。ボイラ20Aは、例えば、燃焼量が100%の時に、相当蒸発量として10〜30t/hの蒸気出力が可能に構成されている。
【0020】
ボイラ圧検出部23Aは、ボイラ20Aの缶内圧力値PV
Aを測定し、測定した缶内圧力値PV
Aをローカル制御部22Aに送信する。
ローカル制御部22Aは、ボイラ圧検出部23Aにより測定される缶内圧力値PV
Aに基づいて、ボイラ20Aの燃焼状態を制御する。
【0021】
他方、第2ボイラ群2Bのボイラ20Bは、例えば、多管式貫流ボイラから構成される。ボイラ20Bは、燃焼が行われるボイラ本体21Bと、連続制御ボイラ20Bの燃焼状態を制御するローカル制御部22Bと、を備える。
ボイラシステム1において、ボイラ20Bは、サブ出力ボイラ(ピークロードボイラ)として機能する。ボイラ20Bは、例えば、燃焼量が100%の時に、相当蒸発量が2〜3t/hの蒸気出力が可能に構成されている。
【0022】
蒸気圧センサ7は、信号線13を介して、台数制御装置3Bに電気的に接続されている。蒸気圧センサ7は、ヘッダ圧力を測定し、測定したヘッダ圧力値PVに係る信号(蒸気圧信号)を、信号線13を介して、台数制御装置3Bに送信する。
【0023】
台数制御装置3Bは、信号線16Bを介して、複数のボイラ20Bと電気的に接続されている。この台数制御装置3Bは、蒸気圧センサ7により測定されるヘッダ圧力値PVに基づいて、それぞれボイラ20Bの燃焼状態を制御する。
【0024】
以上のように、ボイラシステム1は、第1ボイラ群2A及び第2ボイラ群2Bで発生させた蒸気を、蒸気ヘッダ6を介して、蒸気使用設備18に供給可能とされている。
【0025】
具体的には、蒸気使用設備18の需要の増大により要求負荷(蒸気消費量)が増加し、蒸気ヘッダ6に供給される蒸気量が不足すれば、ボイラ20Aの缶内圧力及びヘッダ圧力がそれぞれ減少することになる。一方、蒸気使用設備18の需要の低下により要求負荷(蒸気消費量)が減少し、蒸気ヘッダ6に供給される蒸気量が過剰になれば、ボイラ20Aの缶内圧力及びヘッダ圧力がそれぞれ増加することになる。従って、ボイラシステム1は、ボイラ圧検出部23Aにより測定されたボイラ20Aの缶内圧力値PV
A及び蒸気圧センサ7により測定されたヘッダ圧力値PVの変動に基づいて、要求負荷の変動をモニターすることができる。
より具体的には、第1ボイラ群2Aを構成するボイラ20Aは、ボイラ20Aの缶内圧力値PV
Aに基づいて、蒸気使用設備18の消費蒸気量(要求負荷)に応じて必要とされる蒸気量である必要蒸気量MV
Aを算出する。
第2ボイラ群2Bは、ヘッダ圧力値PVに基づいて、蒸気使用設備18の消費蒸気量(要求負荷)に応じて必要とされる蒸気量である必要蒸気量MVを算出する。
【0026】
ここで、第1実施形態のボイラ20A及び20Bについて説明する。
図2は、第1実施形態に係るボイラ群2の概略を示す図である。
第1実施形態のボイラ20A及び20Bは、負荷率を連続的に変更して燃焼可能な連続制御ボイラからなる。
連続制御ボイラとは、少なくとも、最小燃焼状態S1(例えば、最大燃焼量の20%の燃焼量における燃焼状態)から最大燃焼状態S2の範囲で、燃焼量が連続的に制御可能とされているボイラである。連続制御ボイラは、例えば、燃料をバーナに供給するバルブや、燃焼用空気を供給するバルブの開度(燃焼比)を制御することにより、燃焼量を調整するようになっている。
【0027】
また、燃焼量を連続的に制御するとは、ローカル制御部22A及び22Bにおける演算や信号がデジタル方式とされて段階的に取り扱われる場合(例えば、ボイラ20A及び20Bの出力(燃焼量)が1%刻みで制御される場合)であっても、事実上連続的に出力を制御可能な場合を含む。
【0028】
第1実施形態におけるボイラ20A及び20Bにおける、燃焼停止状態S0と最小燃焼状態S1との間の燃焼状態の変更については、それぞれボイラ20A及び20B(バーナ)の燃焼をオン/オフすることで制御される。そして、最小燃焼状態S1から最大燃焼状態S2の範囲においては、燃焼量が連続的に制御可能となっている。
より具体的には、複数のボイラ20A及び20Bそれぞれには、変動可能な蒸気量の単位である単位蒸気量Uが設定されている。これにより、ボイラ20A及び20Bは、最小燃焼状態S1から最大燃焼状態S2の範囲においては、単位蒸気量U単位で、蒸気量を変更可能となっている。
【0029】
単位蒸気量Uは、ボイラ20A及び20Bの最大燃焼状態S2における蒸気量(最大蒸気量)に応じて適宜設定できるが、ボイラシステム1における出力蒸気量の必要蒸気量に対する追従性を向上させる観点から、ボイラ20の最大蒸気量の0.1%〜20%に設定されることが好ましく、1%〜10%に設定されることがより好ましい。
尚、出力蒸気量とは、第1ボイラ群2A及び第2ボイラ群2Bにより出力される蒸気量を示し、この出力蒸気量は、複数のボイラ20A及び20Bそれぞれから出力される蒸気量の合計値により表される。
【0030】
また、第1実施形態では、第2ボイラ群2Bを構成する複数のボイラ20Bには、それぞれボイラ効率が最も高くなる負荷率であるエコ運転ポイントが設定される。
【0031】
また、複数のボイラ20Bには、優先順位が設定されている。優先順位は、台数制御装置3Bが、燃焼指示や燃焼停止指示を行うボイラ20Bを選択するために用いられる。優先順位は、例えば整数値を用いて、数値が小さいほど優先順位が高くなるよう設定することができる。
図2に示すように、例えば、第2ボイラ群2Bのボイラ20Bの2号機及び3号機のそれぞれに「1」及び「2」の優先順位が割り当てられている場合、2号機の優先順位が最も高く、3号機の優先順位が最も低い。この優先順位は、通常の場合、後述の制御部4Bの制御により、所定の時間間隔(例えば、24時間間隔)で変更される。
【0032】
ボイラ20A及び20Bは、それぞれ、燃焼が行われるボイラ本体21A及び21Bと、ボイラ20A及び20Bの燃焼状態を制御するローカル制御部22A及び22Bと、を備える。
ローカル制御部22A及び22Bは、それぞれ蒸気消費量に応じてボイラ20A及び20Bの燃焼状態を変更させる。
【0033】
具体的には、第1ボイラ群2Aを構成するボイラ20Aにおいては、ローカル制御部22Aは、ボイラ圧検出部23Aにより測定される缶内圧力値PV
Aに基づいて、ボイラ20Aの燃焼状態を制御する。
【0034】
ローカル制御部22Aは、ボイラ20Aに対して行われた指示の内容や、ボイラ20Aから受信した燃焼状態等の情報、ボイラ20Aの単位蒸気量Uの設定に関する情報を、ローカル記憶部(図示せず)に記憶する。
また、ローカル記憶部(図示せず)には、ボイラ圧検出部23Aにより測定される缶内圧力値PV
Aに係る設定条件として、ボイラ20Aの燃焼制御に係る第1目標圧力値P1を予め設定することができる。
【0035】
他方、第2ボイラ群2Bを構成するボイラ20Bにおいては、ローカル制御部22Bは、信号線16Bを介して台数制御装置3Bから送信される制御信号又は運転者の手動操作により入力された制御信号に基づいて、ボイラ20Bの燃焼状態を制御する。また、ローカル制御部22Bは、台数制御装置3Bで用いられる信号を、信号線16Bを介して台数制御装置3Bに送信する。台数制御装置3Bで用いられる信号としては、ボイラ20Bの実際の燃焼状態、及びその他のデータ等が挙げられる。
【0036】
台数制御装置3Bの詳細について説明する。
台数制御装置3Bは、蒸気圧センサ7からの蒸気圧信号に基づいて、要求負荷に応じた各ボイラ20Bの燃焼状態を算出し、各ボイラ20B(ローカル制御部22B)に台数制御信号を送信する。この台数制御装置3Bは、
図1に示すように、記憶部5Bと制御部4Bとを備え、信号線16Bを介して各ボイラ20Bに電気的に接続されている。
【0037】
制御部4Bは、信号線16Bを介してボイラ20Bに各種の指示を送信したり、各ボイラ20Bから各種のデータを受信したりして、ボイラ20Bの燃焼状態及び運転台数の制御を実行する。各ボイラ20Bは、台数制御装置3Bから燃焼状態の変更指示の信号を受けると、その指示に従って該当するボイラ20Bの燃焼量を制御する。なお、制御部4Bは、信号線16Bを介してボイラ20Bの燃焼状態に関する情報を受信する。
制御部4Bの詳細な構成については後述する。
【0038】
記憶部5Bは、台数制御装置3B(制御部4B)の制御により、ボイラ20Bに対して行われた指示の内容や、各ボイラ20Bからそれぞれ受信した燃焼状態等の情報、各ボイラ20Bの単位蒸気量Uの設定に関する情報、複数のボイラ20Bの優先順位の設定に関する情報、優先順位の変更(ローテーション)に関する設定の情報等を、それぞれ記憶する。
また、記憶部5Bには、蒸気圧センサ7により測定されるヘッダ圧力値PVに係る設定条件として、第2ボイラ群2Bの燃焼制御に係る第2目標圧力値P2を予め設定することができる。
さらに、記憶部5Bには、第2ボイラ群2Bに予めベースロードに該当する一定蒸気量を設定するとともに、一定蒸気量を出力するための、第2ボイラ群2Bのボイラ20B毎の固定燃焼率及びボイラ台数を予め設定することができる。
そうすることで、後述するように、第2ボイラ群2Bの出力制御部41Aは、ヘッダ圧力値PVに基づいて算出される必要蒸気量MV
nと第1蒸気量V1を比較することにより、必要蒸気量MV
nに基づいて、第2ボイラ群2Bの燃焼状態を制御するか、又は第1蒸気量V1を出力するように、第2ボイラ群2Bにおける予め設定される台数のボイラを予め設定された固定燃焼率で燃焼させるかを判断することができる。
【0039】
以上のように構成されたボイラシステム1では、第1ボイラ群2A及び第2ボイラ群2Bで発生させた蒸気が、蒸気ヘッダ6を介して蒸気使用設備18に供給される。
【0040】
次に、第1ボイラ群2A及び第2ボイラ群2Bにおける燃焼制御についてそれぞれ説明する。
まず、第1ボイラ群2Aの燃焼制御を実行するローカル制御部22Aの詳細な構成について説明する。
【0041】
ローカル制御部22Aは、第1ボイラ群2Aを構成するボイラ20Aから発生した蒸気の缶体内の圧力値、すなわちボイラ圧検出部23Aにより測定される缶内圧力値PV
Aが、予め設定された第1目標圧力値P1となるような制御量を算出し、この制御量に基づいてボイラ20Aの燃焼量を制御する。
すなわち、ローカル制御部22Aは、ボイラ20Aの缶内圧力値PV
Aと予めローカル記憶部に設定されたボイラ20Aの第1目標圧力値P1との偏差に対して、所定のPIアルゴリズム又はPIDアルゴリズムに基づくフィードバック制御を行うことで、缶内圧力値PV
Aが第1目標圧力値P1となるために必要な蒸気量MV
Anを算出し、算出した蒸気量MV
Anを発生するようにボイラ20Aを制御する。
【0042】
ここで、ローカル制御部22AのPIDアルゴリズムに基づくフィードバック制御について簡単に説明する。
ローカル制御部22Aは、ボイラ20Aのボイラ圧検出部23Aにより測定される缶内圧力値PV
A(フィードバック値)と予め設定されたボイラ20Aの缶内圧力値の第1目標圧力値P1(設定値)との偏差がゼロとなるように、現時点の必要蒸気量MV
Anを、以下に示す速度形PIDアルゴリズムにより算出する。なお、速度形PIアルゴリズムについては、速度形PIDアルゴリズムにおいて、D制御出力(変化分)を省略したものであり、その説明は省略する。
【0043】
ローカル制御部22Aは、ボイラ20Aから発生させるべき現時点の必要蒸気量MV
Anを、下記の速度形演算式(式1)により算出する。
MV
An=MV
An−1+ΔMV
An ・・・・・・・・(式1)
(式1)において、MV
An:現時点の必要蒸気量(今回必要蒸気量)、MV
An−1:前回の制御周期時点の必要蒸気量(前回必要蒸気量)、ΔMV
An:前回から今回までの必要蒸気量変化分である。ここで、添字nは、繰り返し演算の演算回数(n回目:n=1,2,…,Nの正の整数値)を示す。
速度形演算は、制御周期毎に前回から今回までの必要蒸気量変化分ΔMV
Anのみを計算し、これに前回必要蒸気量MV
An−1を加算して、今回必要蒸気量MV
Anを計算する方法である。
これに対して、制御周期毎に今回必要蒸気量MV
Anを直接計算するPID制御アルゴリズムは、位置形演算と言う。
【0044】
前回から今回までの必要蒸気量変化分ΔMV
Anは、下記の(式2)により算出される。
ΔMV
An=ΔP
An+ΔI
An+ΔD
An ・・・・(式2)
(式2)において、ΔP
An:P制御出力(変化分)、ΔI
An:I制御出力(変化分)、
ΔD
An:D制御出力(変化分)であり、それぞれ下記の(式3)〜(式5)により求められる。
ΔP
An=K
AP×(e
An−e
An−1) ・・・・・・(式3)
ΔI
An=K
AP×(Δt/T
AI)×e
An ・・・・(式4)
ΔD
An=K
AP×(T
AD/Δt)×(e
An−2e
An−1+e
An−2) (式5)
(式3)〜(式5)において、Δt:制御周期、K
AP:比例ゲイン、T
AI:積分時間、T
AD:微分時間、e
An:現時点の偏差量、e
An−1:前回の制御周期時点の偏差量、
e
An−2:前々回の制御周期時点の偏差量である。
現時点の偏差量e
Anは、第1目標圧力値P1と、ボイラ圧検出部23Aにより測定される缶内圧力値PV
Aとの差であって、下記の(式6)により求められる。
e
An=P1−PV
A ・・・・・・・・・・・・(式6)
【0045】
ローカル制御部22Aは、(式3)、(式4)、(式5)で算出された各出力(変化分)を、(式2)に従って合計することにより、前回から今回までの必要蒸気量変化分ΔMV
Anを算出する。
そして、ローカル制御部22Aは、(式1)のように、前回必要蒸気量MV
An−1に必要蒸気量変化分ΔMV
Anを加算して、今回必要蒸気量MV
Anを計算することができる。
こうすることで、ローカル制御部22Aは、ボイラ圧検出部23Aにより測定される、ボイラ20Aの缶内圧力値PV
Aが第1目標圧力値P1となるために必要な蒸気量を算出し、算出した蒸気量を発生するようにボイラ20Aを制御する。
以上、第1ボイラ群2Aを構成するボイラ20Aを制御するローカル制御部22Aについて説明した。
【0046】
次に、第2ボイラ群2Bの燃焼制御を実行する制御部4Bの詳細な構成について説明する。
図3に示すように、制御部4Bは、必要蒸気量算出部41Bと、出力制御部42Bと、を含んで構成される。
【0047】
必要蒸気量算出部41Bは、ヘッダ圧力値PVと予め記憶部5Bに設定された第2ボイラ群2Bの第2目標圧力値P2との偏差に対して、所定のPIアルゴリズム又はPIDアルゴリズムに基づき、ヘッダ圧力値PVが第2目標圧力値P2となるために必要な必要蒸気量MV
nを算出する。
なお、必要蒸気量算出部41BのPIアルゴリズム又はPIDアルゴリズムによる必要蒸気量の算出方法については、前述したローカル制御部22AのPIアルゴリズム又はPIDアルゴリズムによる必要蒸気量の算出方法において、第1ボイラ群2Aを構成するボイラ20A、ボイラ圧検出部23Aにより測定される缶内圧力値PV
A(フィードバック値)、及び予め設定された第1目標圧力値P1(設定値)、をそれぞれ、第2ボイラ群2Bを構成する複数のボイラ20B、蒸気圧センサ7により測定されるヘッダ圧力値PV、及び第2ボイラ群2Bの燃焼制御に係る第2目標圧力値P2に読み替えることで説明できる。
より具体的には、次のとおり算出される。
【0048】
必要蒸気量算出部41Bは、第2ボイラ群2Bを構成する複数のボイラ20Bから発生させるべき現時点の必要蒸気量MV
nを、下記の速度形演算式(式1B)により算出する。
MV
n=MV
n−1+ΔMV
n ・・・・・・・・(式1B)
(式1B)において、MV
n:現時点の必要蒸気量(今回必要蒸気量)、MV
n−1:前回の制御周期時点の必要蒸気量(前回必要蒸気量)、ΔMV
n:前回から今回までの必要蒸気量変化分である。ここで、添字nは、繰り返し演算の演算回数(n回目:n=1,2,…,Nの正の整数値)を示す。
【0049】
前回から今回までの必要蒸気量変化分ΔMV
nは、下記の(式2B)により算出される。
ΔMV
n=ΔP
n+ΔI
n+ΔD
n ・・・・・・(式2B)
(式2)において、ΔP
n:P制御出力(変化分)、ΔI
n:I制御出力(変化分)、ΔD
n:D制御出力(変化分)であり、それぞれ下記の(式3B)〜(式5B)により求められる。
ΔP
n=K
P×(e
n−e
n−1) ・・・・・・・・・(式3B)
ΔI
n=K
P×(Δt/T
I)×e
n ・・・・・・・・・・・・(式4B)
ΔD
n=K
P×(T
D/Δt)×(e
n−2e
n−1+e
n−2) ・・(式5B)
(式3)〜(式5)において、Δt:制御周期、K
P:比例ゲイン、T
I:積分時間、T
D:微分時間、e
n:現時点の偏差量、e
n−1:前回の制御周期時点の偏差量、e
n−2:前々回の制御周期時点の偏差量である。
現時点の偏差量e
nは、第2目標圧力値P2と、蒸気圧センサ7で測定されたヘッダ圧力値PVとの差であって、下記の(式6B)により求められる。
e
n=P2−PV ・・・・・・・・・・・・・・・・(式6B)
【0050】
必要蒸気量算出部41Bは、(式3B)、(式4B)、(式5B)で算出された各出力(変化分)を、(式2B)に従って合計することにより、前回から今回までの必要蒸気量変化分ΔMV
nを算出する。
そして、必要蒸気量算出部41Bは、(式1B)のように、前回必要蒸気量MV
n−1に必要蒸気量変化分ΔMV
nを加算して、今回必要蒸気量MV
nを計算することができる。
【0051】
出力制御部42Bは、必要蒸気量算出部41Bにより算出される必要蒸気量MV
nが予め設定された第1蒸気量V1を下回る場合、第1蒸気量V1を出力するように、第2ボイラ群2Bにおける予め設定される台数のボイラを予め設定された固定燃焼率で燃焼させる。
また、出力制御部42Bは、必要蒸気量算出部41Bにより算出された必要蒸気量MV
nが予め設定された第1蒸気量V1以上となる場合、必要蒸気量算出部41Bにより算出された必要蒸気量MV
nを出力するように制御する。
そうすることで、全体負荷が低い場合であっても、第2ボイラ群2Bを一定量燃焼させることができるため、ボイラ缶体腐食を防止するとともに、第1ボイラ群2A及び第2ボイラ群2Bにおける負荷不均一を改善することができる。
【0052】
なお、固定燃焼率は、第2ボイラ群2Bにおける燃焼させるボイラ20Bの燃焼効率の最も高い燃焼率とすることが好ましい。また、固定燃焼率は、第2ボイラ群2Bにおける燃焼させるボイラ20Bの最小燃焼率とすることもできる。
前述したように、記憶部5Bに、第2ボイラ群2Bが、ベースロードに該当する第1蒸気量V1を出力するように、第2ボイラ群2Bのボイラ20B毎に、固定燃焼率を予め設定することができる。
【0053】
<出力制御部42Bによる出力蒸気量制御>
制御部4Bは、必要蒸気量算出部41Bにより算出された必要蒸気量MV
nが予め設定されたベースロードとなる第1蒸気量V1を下回る場合、出力制御部42Bにより第1蒸気量V1を出力するように、第2ボイラ群2Bにおける予め設定される台数のボイラを予め設定された固定燃焼率で燃焼させる。
また、必要蒸気量算出部41Bにより算出された必要蒸気量MV
nが予め設定されたベースロードとなる第1蒸気量V1以上となる場合、制御部4Bは、出力制御部42Bにより、必要蒸気量算出部41Bにより算出された必要蒸気量MV
nを出力するように制御する。
【0054】
そうすることで第2ボイラ群2Bにおける負荷が低い場合(第2ボイラ群2Bにおいてヘッダ圧力値PVに基づいて算出された必要蒸気量MV
nが予め設定されたベースロードに該当する第1蒸気量V1を下回る場合)であっても第2ボイラ群2Bに割り当てたベースロード分のボイラを予め設定された第1蒸気量V1に対応する固定燃焼率で固定燃焼させることができるため、ボイラ缶体腐食を防止するとともに、第1ボイラ群2A及び第2ボイラ群2Bにおける負荷不均一を改善することができる。
【0055】
逆に、全体負荷が上昇し、要求負荷に対して第1ボイラ群2Aだけで賄えなくなり、第2ボイラ群2Bにおける負荷が高くなった場合(必要蒸気量算出部41Bにより算出された必要蒸気量MV
nが予め設定されたベースロードに該当する一定蒸気量以上となる場合)には、固定燃焼率で燃焼させる固定燃焼ボイラを含む第2ボイラ群2Bに属するすべてのボイラで負荷追従を行うことができる。
【0056】
次に、第1実施形態のボイラシステム1の処理の流れについて、
図4及び
図5を参照して説明する。
図4及び
図5は、それぞれ、第1ボイラ群2Aを構成するボイラ20A及び第2ボイラ群2Bの処理の流れを示すフローチャートである。
まず、
図4を参照して、第1ボイラ群2Aを構成するボイラ20Aにおける処理の流れを説明する。
【0057】
処理の前準備として、第1ボイラ群2Aを構成するボイラ20Aに対して缶体内の圧力値である缶内圧力値の第1目標圧力値P1の設定を行い、ローカル記憶部に記憶しておく(図示せず)。
【0058】
ステップST1において、ローカル制御部22Aによりボイラ20Aの燃焼制御を開始する。
【0059】
ステップST2において、ローカル制御部22Aにより、制御周期毎にボイラ20Aの燃焼状態を制御する。
より具体的には、ローカル制御部22Aは、制御周期毎に、ボイラ圧検出部23Aにより測定されるボイラ20Aの缶内圧力値PV
A(フィードバック値)と、予めローカル記憶部に設定されたボイラ20Aの缶内圧力値の第1目標圧力値P1との偏差に対して、所定のPIアルゴリズム又はPIDアルゴリズムに基づくフィードバック制御を行うことで、ボイラ20Aの缶内圧力値PV
Aが第1目標圧力値P1となるために必要な蒸気量MV
Anを算出し、算出した蒸気量MV
Anを発生するようにボイラ20Aを制御する。
【0060】
ローカル制御部22Aは、制御周期毎に、ステップST2を繰り返す。
【0061】
次に、
図5を参照して、第2ボイラ群2Bにおける処理の流れを説明する。
処理の前準備として、第2ボイラ群2Bに対して第2目標圧力値P2を設定し、記憶部5Bに記憶しておく。また、第2ボイラ群2Bに予めベースロードに該当する一定蒸気量(第1蒸気量V1)を設定するとともに、ベースロードに該当する第1蒸気量V1を出力するように、第2ボイラ群2Bのボイラ20B毎の固定燃焼率及びボイラ台数を設定し、記憶部5Bに記憶しておく。なお、第1蒸気量V1と固定燃焼率との関係について、第1蒸気量V1は、全台を燃焼させるのではなく、任意の台数を燃焼させることで生成されるように設定することができる。(以上、図示せず)。
【0062】
ステップST11において、台数制御装置3Bにより第2ボイラ群2Bの燃焼制御を開始する。
【0063】
ステップST12において、制御部4Bは、制御周期毎に、必要蒸気量算出部41Bにより算出された必要蒸気量MV
nが予め設定されたベースロードとなる第1蒸気量V1を下回るか否かを判定する。必要蒸気量MV
nが第1蒸気量V1を下回る場合(Yes)、ステップST13に移る。必要蒸気量MV
nが第1蒸気量V1以上の場合(No)、ステップST14に移る。
【0064】
ステップST13において、出力制御部42Bは、第1蒸気量V1を出力するように、第2ボイラ群2Bにおける予め設定される台数のボイラを予め設定された固定燃焼率で燃焼させる。
【0066】
ステップST14において、制御部4B(必要蒸気量算出部41B)は、必要蒸気量算出部41Bにより、制御周期毎に、ヘッダ圧力値PVと予め記憶部5Bに設定された第2ボイラ群2Bの第2目標圧力値P2との偏差(P2−PV)に対して、所定のPIアルゴリズム又はPIDアルゴリズムに基づくフィードバック制御を行うことで、ヘッダ圧力値PVが第2目標圧力値P2となるために必要蒸気量MV
nを算出し、制御部4B(出力制御部42B)は、算出した必要蒸気量MV
nを発生するように第2ボイラ群2Bを構成するボイラ20Bを制御する。
【0068】
次に、
図6及び
図7を参照して、第1ボイラ群2Aを構成するボイラ20Aの缶内圧力値PV
Aの第1目標圧力値P1を高く設定し、第2ボイラ群2Bの燃焼制御に係る第2目標圧力値P2を低く設定して、所定のPIアルゴリズム又はPIDアルゴリズムに基づくフィードバック制御を行う場合(以下「従来の燃焼制御」という)と比較しながら、第1実施形態に係る燃焼制御を実施した場合の動作を説明する。
なお、ヘッダ圧力値の目標値となる第2目標圧力値P2は、第1ボイラ群2Aを構成するボイラ20Aの缶内圧力値PV
Aの目標値となる第1目標圧力値P1に、蒸気管11における圧力損失αを加味して算出されるヘッダ圧力値(P1−α)よりも小さな値となるように設定される。
【0069】
ここで、
図6は、「従来の燃焼制御」を行った場合のヘッダ圧力の推移を示す図である。これに対して、
図7は、本発明の第1実施形態に係る燃焼制御を実施した場合のヘッダ圧力の推移を示す図である。
ここで、
図6の(B)〜(D)及び
図7の(B)〜(D)ともに、縦軸を蒸気量、横軸を時間としている。従って、
図6及び
図7における第1ボイラ群発生蒸気量は、ボイラ20Aの発生蒸気量となる。また、第1ボイラ群2Aを構成するボイラ20AのMAXとは、ボイラ20Aの最大出力蒸気量となる。
図6及び
図7における第2ボイラ群発生蒸気量は、第2ボイラ群2Bを構成するボイラ20Bの発生蒸気量となる。また、第2ボイラ群2Bを構成するボイラ20BのMAXとは、第2ボイラ群2Bを構成するボイラ20Bの最大出力蒸気量となる。についても同様である。
【0070】
<従来の燃焼制御>
従来の燃焼制御を実施した場合、
図6に示すように、全体負荷が低い場合(t
0〜t
1)、第1ボイラ群2Aを構成するボイラ20Aの缶内圧力値PV
Aが第1目標圧力値P1となるために必要な蒸気量を発生する。このとき、ヘッダ圧力値は、第1目標圧力値P1に、蒸気管11における圧力損失αを加味して算出されるヘッダ圧力値よりも小さな値(P1−α)となる。この間第2ボイラ群2Bは全台待機状態となる。
その後、全体負荷が上昇しても、t
2までの間、ボイラ20Aは、缶内圧力値PV
Aが第1目標圧力値P1となるために必要な蒸気量を自身の出力蒸気量で賄うことができる。この間、ヘッダ圧力値は(P1−α)を維持している。このため、第2ボイラ群2Bは全台待機状態となる。
時刻t
2以降、缶内圧力値PV
Aが第1目標圧力値P1となるために必要な蒸気量がボイラ20Aの出力可能な最大蒸気量Xを上回ると、ボイラ20Aの缶内圧力値PV
Aが低下し、それとともにヘッダ圧力値PVが低下するが、ヘッダ圧力値PVが閾値P以下になる時点(t
3)まで、第2ボイラ群2Bは全台待機状態となる。
t
3以降、依然として、使用蒸気量がボイラ20Aの出力可能な最大蒸気量Xを上回ることから、ボイラ20Aは、自身の出力可能な最大蒸気量Xを出力し、第2ボイラ群2Bは、使用蒸気量の不足分を補う形で、ヘッダ圧力値PVが第2目標圧力値P2となるために必要な蒸気量を算出し、算出した蒸気量を発生する。
このように、従来の燃焼制御を実施した場合、使用蒸気量がボイラ20Aの出力可能な最大蒸気量Xを上回るまで、第2ボイラ群2Bは全台待機状態となる。
【0071】
<第1実施形態に係る燃焼制御>
これに対して、第1実施形態に係る燃焼制御を実施した場合、
図7に示すように、全体負荷が低い場合(t
0〜t
1)、第1ボイラ群2Aを構成するボイラ20Aは缶内圧力値PV
Aが第1目標圧力値P1を保つために必要な蒸気量を発生する。このとき、ヘッダ圧力値は、第1目標圧力値P1に、蒸気管11における圧力損失αを加味して算出されるヘッダ圧力値よりも小さな値(P1−α)となる。
他方第2ボイラ群2Bは、必要蒸気量算出部41Bにより算出される必要蒸気量がゼロとなり、予め設定された第1蒸気量V1を下回ることから、出力制御部42Bにより第1蒸気量V1を出力する。
その後、全体負荷が上昇して、使用蒸気量が増加しても、t
2〜t
3までの間、ボイラ20Aは、缶内圧力値PV
Aが第1目標圧力値P1を保つために必要な蒸気量を自身の出力蒸気量で賄うことができる。この間、ヘッダ圧力値は(P1−α)を維持している。このため、第2ボイラ群2Bは依然として必要蒸気量算出部41Bにより算出される必要蒸気量がゼロとなり、予め設定された第1蒸気量V1を下回ることから、出力制御部42Bにより第1蒸気量V1を出力する。
t
2以降、缶内圧力値PV
Aが第1目標圧力値P1となるために必要な蒸気量がボイラ20Aの出力可能な最大蒸気量Xを上回ると、缶内圧力値PV
Aが低下し、それとともにヘッダ圧力値PVが低下するが、第2ボイラ群2Bは、ヘッダ圧力値PVが第2目標圧力値P2の近傍値となる時点(t
3)まで、必要蒸気量算出部41Bにより算出される必要蒸気量が、予め設定された第1蒸気量V1を下回り、出力制御部42Bにより依然として第1蒸気量V1を出力する。
以降、依然として、使用蒸気量がボイラ20Aの出力可能な最大蒸気量Xを上回ることから、ボイラ20Aは自身の出力可能な最大蒸気量Xを出力し、第2ボイラ群2Bは、必要蒸気量算出部41Bにより算出される必要蒸気量が第1蒸気量V1以上となる時点以降において、使用蒸気量の不足分を補う形で、ヘッダ圧力値PVが第2目標圧力値P2となるために必要な蒸気量を発生することとなる。
このように、第1実施形態に係る燃焼制御を実施した場合、使用蒸気量に関係なく第2ボイラ群2Bは、一定量以上、燃焼させることができる。
【0072】
第1実施形態のボイラシステム1によれば、例えば、次の効果が奏される。
第1実施形態のボイラシステム1においては、第1ボイラ群2Aを構成するボイラ20Aは、缶内圧力値PV
Aが予め設定された第1目標圧力値P1と一致するように、その燃焼状態をローカル制御部22AによりPI制御又はPID制御される。他方第2ボイラ群2Bは、ヘッダ圧力値PVが予め設定された、第2目標圧力値P2(ここで、第2目標圧力値P2は、第1ボイラ群2Aを構成するボイラ20Aの缶内圧力値PV
Aの目標値となる第1目標圧力値P1に、蒸気管11における圧力損失を加味して算出されるヘッダ圧力値よりも小さな値となるように設定される)と一致するように、PIアルゴリズム又はPIDアルゴリズムにより必要蒸気量MV
nを算出する必要蒸気量算出部41Bにより算出された必要蒸気量MV
nに基づいて、第2ボイラ群2Bの燃焼状態を制御する出力制御部42Bと、を備え、出力制御部42Bは、必要蒸気量算出部41Bにより算出された必要蒸気量MV
nが予め設定された第1蒸気量V1を下回る場合、第1蒸気量V1を出力するように、第2ボイラ群2Bにおける予め設定される台数のボイラを予め設定された固定燃焼率で燃焼させ、必要蒸気量が第1蒸気量V1以上となる場合、必要蒸気量MV
nを出力するように、第2ボイラ群2Bの燃焼状態を制御する。
【0073】
そのため、第1実施形態によれば、使用蒸気量にかかわらず第2ボイラ群2Bに対して所定量以上の燃焼量を確保することができるため、ボイラ缶体腐食を防止するとともに、ボイラ群同士の負荷不均一を改善することができる。
【0074】
また、第1実施形態のボイラシステム1においては、予め設定される固定燃焼率は第2ボイラ群2Bにおける燃焼させるボイラ20Bの燃焼効率の最も高い燃焼率(エコ運転ポイント)とすることができる。
【0075】
そのため、第1実施形態によれば、全体負荷が低い場合に、第2ボイラ群2Bを効率よく燃焼させることができる。
【0076】
また、第1実施形態のボイラシステム1においては、予め設定される固定燃焼率は第2ボイラ群2Bにおける燃焼させるボイラ20Bの最小燃焼率とすることができる。
【0077】
そのため、第1実施形態によれば、全体負荷が上昇し、第1ボイラ群2Aを構成するボイラ20Aの出力蒸気量の不足分を第2ボイラ群2Bが補う場合に、負荷追従性に優れたボイラシステム1を提供することができる。
【0078】
以上、本発明のボイラシステムの好ましい一実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、第1実施形態では、本発明を、1台のボイラ20Aからなる第1ボイラ群2A及び2台のボイラ20Bからなる第2ボイラ群2Bからなるボイラ群2を備えるボイラシステム1に適用したが、これに限らない。
すなわち、本発明を2台以上のボイラからなる第1ボイラ群であって、第1ボイラ群に属するボイラは、それぞれボイラの缶体内の圧力値である缶内圧力値を測定するボイラ圧検出部と缶内圧力値が予め設定された第1目標圧力値P1と一致するように、ボイラの燃焼状態をPI制御又はPID制御するローカル制御部を備えるものとしてもよい。
同様に、本発明を、第2ボイラ群が3台以上のボイラ20を備えるボイラシステムに適用してもよく、また、第2ボイラ群が1台のボイラ20からなるボイラシステムに適用してもよい。
【0079】
また、第1実施形態では、ボイラ20A及び20Bのそれぞれのボイラ容量について特に限定していない。ボイラ20A及び20B毎にその最小燃焼量、単位蒸気量、最大燃焼量としての燃焼能力が、同じ場合でも異なる場合でも適用可能である。
【0080】
また、第1実施形態では、第1ボイラ群2Aを構成するボイラ20A及び第2ボイラ群2BのPI(又はPID)制御アルゴリズムとして、速度形PI(又は速度形PID)アルゴリズムによるPI又はPID制御を適用したが、速度形PI(又は速度形PID)アルゴリズムに限定されない。制御周期毎に今回必要蒸気量MV
nを直接計算する位置形PI(又は位置形PID)アルゴリズムによるPI又はPID制御を適用してもよい。
【0081】
また、第1実施形態では、ボイラ20A及び20Bにおける、燃焼停止状態S0と最小燃焼状態S1との間の燃焼状態の変更を、それぞれボイラ20A及び20Bの燃焼をオン/オフすることで制御し、最小燃焼状態S1から最大燃焼状態S2の範囲においては燃焼量を連続的に制御可能な連続制御ボイラ20A及び20Bにより構成したが、これに限らない。すなわち、ボイラを、燃焼停止状態から最大燃焼状態の範囲すべてにおいて、燃焼量を連続的に制御可能な連続制御ボイラにより構成してもよい。