【課題】オゾン発生のために空気を供給する供給路において乾燥器や電子クーラーを使用せず、NOxは発生量を抑制でき、かつ効率よくオゾンを発生させることができる化学発光式ガス検出装置および化学発光式ガス検出方法を提供する。
【解決手段】被検知ガスを含むサンプルガスが流通可能なサンプルガス供給路10と、圧力スイング法を使用して高濃度酸素ガスを得る高濃度酸素発生部20と、高濃度酸素ガスが流通可能な高濃度酸素ガス供給路30と、供給された高濃度酸素ガスからオゾンガスを発生させるオゾンガス発生部40と、発生したオゾンガスが流通可能であるオゾンガス供給路50と、被検知ガスとオゾンガスとが化学反応を起こす反応部60と、化学反応に基づく発光の発光量を測定する光測定部70と、光測定部70における測定値に基づいて被検知ガスを検出するガス検出部80と、を備えた化学発光式ガス検出装置X。
前記高濃度酸素ガス供給路に酸素センサを配設し、当該酸素センサと、前記高濃度酸素発生部からの酸素ガスを排出可能な酸素ガス排出路に配設した比例制御弁と、を接続してある請求項1に記載の化学発光式ガス検出装置。
被検知ガスを含むサンプルガスと、圧力スイング法を使用して得た高濃度酸素ガスから発生させたオゾンガスと、を化学反応させて前記化学反応に基づく発光の発光量を測定し、この測定値に基づいて前記サンプルガス中の被検知ガスを検出する際に、
前記化学反応に供する高濃度酸素ガスの濃度を制御可能に構成してある化学発光式ガス検出方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の装置では、オゾン発生器に導入する乾燥空気は、シリカゲル等を収容した乾燥器に雰囲気を通すことによって乾燥空気としている。また、他の態様では、ペルチェ素子を使って雰囲気の除湿する電子クーラーを使用することが知られている。このような乾燥器やペルチェ素子を使用する電子クーラーを使用すると、装置が高価となる。
【0006】
また、オゾン発生器においてオゾンを発生させる際には、空気中に含まれる窒素を基にNOxが発生するが、有害なNOxは発生量が少ない方が望ましい。
【0007】
従って、本発明の目的は、オゾン発生のために空気を供給する供給路において乾燥器や電子クーラーを使用せず、NOxは発生量を抑制でき、かつ効率よくオゾンを発生させることができる化学発光式ガス検出装置および化学発光式ガス検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る化学発光式ガス検出装置の第一特徴構成は、被検知ガスを含むサンプルガスが流通可能なサンプルガス供給路と、圧力スイング法を使用して高濃度酸素ガスを得る高濃度酸素発生部と、前記高濃度酸素ガスが流通可能な高濃度酸素ガス供給路と、前記高濃度酸素ガス供給路が接続し、供給された前記高濃度酸素ガスからオゾンガスを発生させるオゾンガス発生部と、前記オゾンガス発生部で発生した前記オゾンガスが流通可能であるオゾンガス供給路と、前記サンプルガス供給路および前記オゾンガス供給路が接続し、前記サンプルガスおよび前記オゾンガスが供給されて、前記サンプルガスに含まれる前記被検知ガスと前記オゾンガスとが化学反応を起こす反応部と、前記反応部における前記化学反応に基づく発光の発光量を測定する光測定部と、前記光測定部における測定値に基づいて前記サンプルガス中の被検知ガスを検出するガス検出部と、を備えた点にある。
【0009】
高濃度酸素発生部で得た高濃度酸素ガスにおいて、窒素濃度は通常の空気に含まれる濃度より遥かに低い。従って、本発明の化学発光式ガス検出装置は、高濃度酸素発生部で得た高濃度酸素ガスに基づいてオゾンガス発生部でオゾンを発生させるため、通常の空気中に含まれる窒素を基にオゾンを発生させる場合に比べて、NOxの発生量を大幅に削減することができる。さらに、本発明の化学発光式ガス検出装置は、高濃度酸素ガスを利用してオゾンを発生させるため、効率よくオゾンを発生させることができる。
【0010】
また、本発明の化学発光式ガス検出装置は、オゾン発生のために空気を供給する供給路において乾燥器や電子クーラーを使用しないため、化学発光式ガス検出装置の製造コストを削減することができる。
【0011】
本発明に係る化学発光式ガス検出装置の第二特徴構成は、前記高濃度酸素ガス供給路に酸素センサを配設し、当該酸素センサと、前記高濃度酸素発生部からの酸素ガスを排出可能な酸素ガス排出路に配設した比例制御弁と、を接続した点にある。
【0012】
本構成によれば、酸素センサは高濃度酸素ガス供給路を流通する高濃度酸素ガスの濃度をモニタリングすることができ、さらに、モニタリングした酸素濃度に基づいて比例制御弁の比例制御を行うことができる。例えば酸素センサのモニタリングにより酸素ガスの濃度が高すぎると判断された場合は、比例制御弁によって排出される酸素ガスの量を多くして高濃度酸素発生部に供する高濃度酸素ガスの量を減じる等の制御を行うことができるため、常に適切な濃度の高濃度酸素ガスをオゾンガス発生部に供給することができる。
【0013】
本発明に係る化学発光式ガス検出装置の第三特徴構成は、前記高濃度酸素ガス供給路における前記酸素センサの上流側に、雰囲気ガスを供給可能な外気供給路を接続した点にある。
【0014】
本構成によれば、外気供給路により雰囲気ガスを酸素センサの上流側に供することができる。これにより、雰囲気ガスが外気供給路によって供された場合には、高濃度酸素ガス供給路における外気供給路の合流点より下流側において、高濃度酸素ガスおよび雰囲気ガスが混合した状態で酸素センサに供されることとなる。従って、酸素センサに流通させる酸素ガスの濃度を雰囲気ガスによって調節することができる。
【0015】
本発明に係る化学発光式ガス検出装置の第四特徴構成は、前記酸素センサが、所定の期間内にゼロ点調節を行うように構成した点にある。
【0016】
本構成であれば、経年劣化による酸素センサのセンサ出力値の低下を未然に防止することができる。
【0017】
本発明に係る化学発光式ガス検出方法の第一特徴構成は、被検知ガスを含むサンプルガスと、圧力スイング法を使用して得た高濃度酸素ガスから発生させたオゾンガスと、を化学反応させて前記化学反応に基づく発光の発光量を測定し、この測定値に基づいて前記サンプルガス中の被検知ガスを検出する際に、前記化学反応に供する高濃度酸素ガスの濃度を制御可能に構成した点にある。
【0018】
本構成によれば、例えば高濃度酸素ガスの濃度をモニタリングするセンサや、高濃度酸素ガスの流量を調整できる弁等を使用して、常に適切な濃度および量の高濃度酸素ガスを化学反応に供給することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の化学発光式ガス検出装置Xは、被検知ガスを含むサンプルガスが流通可能なサンプルガス供給路10と、圧力スイング法を使用して高濃度酸素ガスを得る高濃度酸素発生部20と、高濃度酸素ガスが流通可能な高濃度酸素ガス供給路30と、高濃度酸素ガス供給路30が接続し、供給された高濃度酸素ガスからオゾンガスを発生させるオゾンガス発生部40と、オゾンガス発生部40で発生したオゾンガスが流通可能であるオゾンガス供給路50と、サンプルガス供給路10およびオゾンガス供給路50が接続し、サンプルガスおよびオゾンガスが供給されて、サンプルガスに含まれる被検知ガスとオゾンガスとが化学反応を起こす反応部60と、反応部60における化学反応に基づく発光の発光量を測定する光測定部70と、光測定部70における測定値に基づいてサンプルガス中の被検知ガスを検出するガス検出部80と、を備える。
【0021】
〔サンプルガス/高濃度酸素ガス供給路・サンプルガス用/雰囲気ガス用ポンプ〕
化学発光式ガス検出装置Xは、サンプルガスをサンプルガス導入口11からサンプルガス供給路10に流通させるサンプルガス用ポンプP1を、サンプルガス供給路10のうち第一分岐路12及び第二分岐路13の分岐部よりも上流側、即ち、反応部60よりも上流側に備えている。
また、化学発光式ガス検出装置Xは、空気を雰囲気ガス導入口21から高濃度酸素発生部20に流通させる雰囲気ガス用ポンプP2を、高濃度酸素発生部20よりも上流側、即ち、オゾンガス発生部40よりも上流側に備えている。両ポンプP1,P2が駆動すると、両ポンプP1,P2の下流側は正圧状態となる。
【0022】
サンプルガスの導入経路と雰囲気ガスの導入経路とを各別に備えると共に、サンプルガス用ポンプP1と雰囲気ガス用ポンプP2とを各別に備えると、サンプルガスを採取環境に応じて適切に採取できる。即ち、サンプルガスのサンプルガス供給路10への導入抵抗と、空気の雰囲気ガス供給路2への導入抵抗が全く異なる場合、例えば、装置本体は設置可能な場所に設置して雰囲気ガスは使用者の裁量で装置に導入させつつ、サンプルガス供給路10を長くして狭所・閉所のサンプルガスを収集することができる。また、サンプルガス中に空気が存在しない場合には、サンプルガスとは別途に空気を化学発光式ガス検出装置Xに流入させなければならない場合にも、空気を確実に装置内に導入できる。このように、種々多様な環境に対応可能な化学発光式ガス検出装置Xとすることが可能である。
【0023】
サンプルガス用ポンプP1の稼働によって、サンプルガスはサンプルガス導入口11からサンプルガス供給路10に導入される。ただし、反応部60における化学反応に必要なサンプルガス量は少量かつ一定量でなければならないのに対して、一般的にポンプの吐出量を少量かつ一定量に制御するのは困難である。そこで、サンプルガス供給路10において、第一分岐路12にキャピラリ12aを設けると共に、第二分岐路13にキャピラリ13aを設け、第一分岐路12を介して反応部60に流入するサンプルガスを少量かつ一定量に調整している。また、サンプルガス供給路10にはフローセンサ14が配設してある。
【0024】
また、キャピラリ12a,13aに供給されるサンプルガスの供給圧が一定となるよう、サンプルガス用ポンプP1の直下に圧力センサPS1を設けてサンプルガス用ポンプP1の吐出圧をモニタリングし、その吐出圧に基づいてサンプルガス用ポンプP1をフィードバック制御している。また、例えば、サンプルガス導入口11付近にスペースがなくサンプルガス供給路10に配管抵抗が生じたとしても、反応部60へのサンプルガスの供給量・供給圧が自動的に調整され、ガス検出の応答速度は一定となる。
【0025】
雰囲気ガス用ポンプP2の稼働によって、空気は雰囲気ガス導入口21から高濃度酸素発生部20に導入される。高濃度酸素発生部20で得た高濃度酸素ガスが流通する高濃度酸素ガス供給路30には、レギュレータ31、電磁弁32,33およびキャピラリ34,35を設け、オゾンガス供給路50を介して反応部60に流入する高濃度酸素ガス量を少量かつ一定量に調整している。また、キャピラリ34,35に供給される高濃度酸素ガスの圧力が一定となるよう、オゾン源ガス用ポンプP2の下流に圧力センサPS2を設けて雰囲気ガス用ポンプP2の吐出圧をモニタリングしている。
【0026】
サンプルガス供給路10のうち、サンプルガス導入口11とサンプルガス用ポンプP1との間には、ダストフィルタDF1が配設されており、サンプルガス中の粉塵はダストフィルタDF1によって除去される。同様に、高濃度酸素ガス供給路30のうち、雰囲気ガス導入口21と雰囲気ガス用ポンプP2との間にも、ダストフィルタDF2が配設されている。また、高濃度酸素ガス供給路30には、高濃度酸素発生部20の上流および下流のそれぞれにバッファ36,37が配設してある。バッファ36の直下には、活性炭を充填した吸着部38およびダストフィルタDF3が配設してある。本実施形態では、吸着部38およびダストフィルタDF3の消音のため、雰囲気ガス用ポンプP2の上流に、バッファ36、吸着部38およびダストフィルタDF3を配設している。また、高濃度酸素ガス供給路30にはフローセンサ39が配設してある。
【0027】
さらに、本実施形態では、高濃度酸素ガス供給路30に酸素センサ90を配設し、当該酸素センサ90と、高濃度酸素発生部20からの酸素ガスを排出可能な酸素ガス排出路100に配設した比例制御弁101と、を接続してある。
【0028】
高濃度酸素ガス供給路30における酸素センサ90の上流側には、雰囲気ガスを供給可能な外気供給路110を接続してある。当該外気供給路110には、雰囲気ガスを外気導入口111から外気供給路110に流通させる雰囲気ガス用ポンプP3を備えている。
【0029】
〔高濃度酸素発生部〕
高濃度酸素発生部20は、圧力スイング法を使用して高濃度酸素ガスを得ることができる。圧力スイング法とは、窒素を吸着する吸着剤を利用し、加圧と減圧を繰り返すことにより空気中の酸素と窒素を分離する手法(PSA:Pressure Swing Adsorption)である。本実施形態では、第一吸着部22および第二吸着部23を使用し、これらを交互に加圧と減圧を繰り返す場合について説明する。即ち、高圧の第一吸着部22により窒素が吸着され、高純度の酸素ガスが第一吸着部22から流出する。この時、低圧の第二吸着部23では、第一吸着部22で発生した酸素ガスをパージすることにより、すでに窒素を吸着している吸着剤から窒素を脱着させ吸着力を回復させる。低圧の第二吸着部23の吸着剤の吸着力が回復すると、ロータリーバルブ24の切換により空気は第二吸着部23に送られ、高圧であった第一吸着部22の圧力が低下して、第二吸着部23で発生した酸素ガスでパージすることにより、吸着剤の吸着力の回復を行う。このようにして、第一吸着部22と第二吸着部23への空気の供給と加圧と減圧の繰り返しによって、連続的に高純度の酸素ガスを得ることができる。第一吸着部22および第二吸着部23の下流には、キャピラリ25,26がそれぞれ接続してある。
【0030】
高濃度酸素発生部20で使用できる吸着剤は、アルカリ土類金属を含む結晶性含水アミノ珪酸塩、所謂ゼオライトを使用できるがこれに限定されるものではなく、酸素より窒素を多量に吸着する性質を有する吸着剤であれば使用することができる。このように高濃度酸素発生部20では、吸着剤を用いて空気中より酸素を選択的に取り出して高濃度(約90〜95%)の酸素ガスを得ることができる。
【0031】
高濃度酸素発生部20で得た高濃度酸素ガスにおいて、窒素濃度は通常の空気に含まれる濃度より遥かに低い。従って、本発明の化学発光式ガス検出装置Xは、高濃度酸素発生部20で得た高濃度酸素ガスに基づいてオゾンガス発生部40でオゾンを発生させるため、通常の空気中に含まれる窒素を基にオゾンを発生させる場合に比べて、NOxの発生量を大幅に削減することができる。さらに、本発明の化学発光式ガス検出装置Xは、高濃度酸素ガスを利用してオゾンを発生させるため、効率よくオゾンを発生させることができる。
【0032】
〔酸素センサ〕
酸素センサ90は、高濃度酸素ガス供給路30において、電磁弁32,33の間に配設してある。当該酸素センサ90は、酸素の濃度を測定できるものであれば、隔膜型ガルバニ電池式酸素センサ等、公知の酸素センサを利用することができる。酸素センサ90は、高濃度酸素発生部20からの酸素ガスを排出可能な酸素ガス排出路100に配設した比例制御弁101と接続してある。比例制御弁101は、弁を流通する流体の流量を比例制御できるものであれば使用することができる。酸素センサ90は、検知した酸素濃度に基づいて比例制御弁101を制御できるよう、必要に応じてマイコン(図示しない)等と接続すればよい。
【0033】
本構成により、酸素センサ90は高濃度酸素ガス供給路30を流通する高濃度酸素ガスの濃度をモニタリングすることができ、さらに、モニタリングした酸素濃度に基づいて比例制御弁101の比例制御を行うことができる。例えば酸素センサ90のモニタリングにより酸素ガスの濃度が高すぎると判断された場合は、比例制御弁101によって排出される酸素ガスの量を多くして高濃度酸素発生部20に供する高濃度酸素ガスの量を減じる等の制御を行うことができるため、常に適切な濃度の高濃度酸素ガスをオゾンガス発生部40に供給することができる。
【0034】
また、酸素センサ90、比例制御弁101および上述したマイコンを使用して、反応部60におけるサンプルガスに含まれる被検知ガスとオゾンガスとの化学反応に供する高濃度酸素ガスの濃度を制御可能に構成することができる。
【0035】
酸素センサ90の上流側には、雰囲気ガスを供給可能な外気供給路110を接続してある。本構成では、外気供給路110により雰囲気ガスを酸素センサ90の上流側に供することができる。これにより、雰囲気ガスが外気供給路110によって供された場合には、高濃度酸素ガス供給路30における外気供給路110の合流点より下流側において、高濃度酸素ガスおよび雰囲気ガスが混合した状態で酸素センサ90に供されることとなる。従って、酸素センサ90に流通させる酸素ガスの濃度を雰囲気ガスによって調節することができる。
【0036】
例えば、酸素センサ90を隔膜型ガルバニ電池式酸素センサとした場合、酸素濃度が高い場合や高濃度ガスの乾燥度が高い場合は、ガルバニ電池の電解液が蒸発し易くなる等により、センサ寿命が短くなる虞がある。このような場合に、本構成のように酸素センサ90に流通させる酸素ガスの濃度や高濃度ガスの湿潤度を雰囲気ガスによって調節することができれば、酸素センサ90の寿命を延ばすことができる。
【0037】
酸素センサ90は、経年劣化によるセンサ出力値の低下を防止するため、所定の期間内にゼロ点調節を行うとよい。
【0038】
〔オゾンガス発生部〕
高濃度酸素発生部20により得られた高濃度酸素ガスは、オゾンガス発生部40に供給される。オゾンガス発生部40は、例えば無声放電方式とすることが可能であるがこれに限定されるものではない。図示はしないが、無声放電式のオゾンガス発生部40は、対向した電極間に高周波高電圧を印加して電極間の空間内で無声放電を発生させることにより、酸素ガスからオゾンガスを発生させるものである。ただし、無声放電式のオゾンガス発生部40は一例であり、例えば、PSA(圧力変動分離)式のオゾンガス発生部40であっても良い。
【0039】
オゾンガス発生部40は、筐体を二重構造とすることが可能である。この場合、外側筐体と内側筐体との間を加圧して、オゾンガスがオゾンガス発生部40の所定の経路以外から外部に漏洩するのを防止することができる。
【0040】
〔オゾンガス供給路〕
オゾンガス供給路50は、オゾンガス発生部40と反応部60とを接続している。オゾンガス供給路4は非金属材、例えば、ガラス等で形成してある。オゾンガス発生部40及び反応部60のうちオゾンガス供給路50との接続部は金属材で構成するため、オゾンガス供給路50を非金属材で形成すると、金属材と非金属材との熱変形率の違いから、オゾンガス発生部40とオゾンガス供給路50との間、及び、反応部60とオゾンガス供給路50との間に隙間ができる可能性がある。そこで、オゾンガス発生部40及び反応部60とオゾンガス供給路50との接続は、突合せ接続ではなく、ねじ込み式等の異形嵌合とすると良い。
【0041】
オゾンガス供給路50を非金属材で形成すると、オゾンガス発生部40によって空気に含まれる窒素からNOxが生成されても、NOxはオゾンガス供給路50に付着しない。上述したように、オゾンガス発生部40には一定量の高濃度酸素ガスが供給されるよう構成してあるため、反応部60には一定量のオゾンガスと一定量のNOxが供給される。
【0042】
〔反応部〕
反応部60には、一定量のサンプルガス及び一定量のオゾンガスと、一定量のNOxとが供給される。反応部60では、その内部に設けられた反応槽においてサンプルガス中のアルシンガスとオゾンガスとが化学反応を起こす。アルシンガスとオゾンガスとは多段階に反応し、一酸化砒素が生成される。この一酸化砒素とオゾンガスとが反応し、励起状態の二酸化砒素が生成される。この励起状態の二酸化砒素が基底状態に遷移する際に、エネルギー保存則に基づいて、励起状態と基底状態とのエネルギー差に相当するエネルギーを有する光が放出される。この発光現象が、いわゆるルミネッセンスであり、特に、本件のごとき化学反応によるルミネッセンスをケミカルルミネッセンスという。アルシンガスに基づくケミカルルミネッセンスの発光のスペクトルは紫外線領域と可視光領域とに亘るものであるが、本実施形態では後述する光測定部6によって波長が360nm〜700nmの可視光領域の光の量を測定する。
【0043】
反応部60には、オゾンガス発生部40で発生したNOxが供給されるが、NOxは一定量であるため、サンプルガス中のアルシンガスとオゾンガスとの化学反応に基づく発光量の測定は、NOxの流入に左右されない。よって、化学発光式ガス検出装置GSの検出感度は安定する。
【0044】
反応部60における反応槽は、耐食性を向上させるため、表面をテフロン等によってコーティングを施すとよい。
【0045】
〔光測定部〕
光測定部70は、不図示の光電子増倍管を備えると共に、反応部60に隣接配置されている。光電子増倍管は、上述のケミカルルミネッセンスの光の量を電気信号に変換するものである。光電子倍増管は、高真空容器、高真空容器内に順に配設された光電陰極・収束電極・複数の二次電子倍増電極・陽極等を備えている。各電極間には適宜電圧が印加されている。高真空容器の入光窓から入射した光子が光電陰極に衝突し、光電子が放出される。光電陰極から放出された光電子は収束電極で収束されて加速反射される。さらに、光電子が二次電子倍増電極に衝突すると数個の二次電子が放出される。この後、二次電子が二次電極に衝突する毎に数倍の二次電子が発生し、二次電子は最終的に陽極に到達する。陽極に到達した二次電子は信号電流、即ち電気信号として外部に出力される。
【0046】
〔ガス検出部〕
ガス検出部80は、不図示のアンプを備えると共に、光測定部70に隣接配置されている。アンプは、光測定部70から出力された信号電流値をアルシンガスの濃度に変換する。
【0047】
〔その他の構成〕
反応部60の下流には、圧力センサPS3が接続したオゾン吸収フィルタOFを配設してある。化学反応後のガス中に残存するオゾンガスは、オゾン吸収フィルタOFによって吸着除去される。オゾン吸収フィルタOFの下流側において第二分岐路13を合流させ、化学反応に不要なサンプルガス及び空気を排出可能にしてある。
【0048】
図示はしないが、化学発光式ガス検出装置Xは、電源スイッチ、警報解除スイッチ、電源ランプ・警報ランプ・メンテナンス要求ランプ・運転状態表示ランプ等の表示機能、ガス警報接点・トラブル警報接点・アナログ出力接点等の外部出力機能、を備えている。
【0049】
〔別実施の形態〕
上述した実施形態では、サンプルガスの導入は1系統(サンプルガス導入口11)のみである場合について説明した。しかし、このような態様に限定されるものではなく、サンプルガスの導入経路を複数とすることも可能である。
【0050】
図2に、サンプルガスの導入を2系統とした化学発光式ガス検出装置X’について示す。
即ち、化学発光式ガス検出装置X’は、追加のサンプルガス供給路10’、高濃度酸素ガス供給路30’、オゾンガス発生部40’、オゾンガス供給路50’、反応部60’、光測定部70’およびガス検出部80’を備える。
【0051】
サンプルガス供給路10’には、ダストフィルタDF1’、サンプルガス用ポンプP1’、圧力センサPS1’ フローセンサ14’、オゾン吸収フィルタOF’および圧力センサPS3’が設けられ、第一分岐路12’および第二分岐路13’にはキャピラリ12a’およびキャピラリ13a’がそれぞれ配設されている。
【0052】
また、オゾンガス発生部40’には、高濃度酸素発生部20からの高濃度酸素ガスを供給する高濃度酸素ガス供給路30’が接続している。当該高濃度酸素ガス供給路30’には、キャピラリ35’およびフローセンサ39’が設けてある。
【0053】
即ち、化学発光式ガス検出装置X’では、高濃度酸素発生部20からの高濃度酸素ガスを、電磁弁32によって、オゾンガス発生部40側の経路、および、オゾンガス発生部40’側の経路に分配することができる。また、オゾン吸収フィルタOF’の下流側において第二分岐路13,13’を合流させ、化学反応に不要なサンプルガス及び空気を排出可能にしてある。
【0054】
このようにサンプルガスの導入経路を複数とすることで、それぞれの導入経路を離間した場所とすることができるため、より多くの場所で被検知ガスをサンプリングすることができる。