【課題】光学系の振動時に生じる像ぶれの補正を行う防振光学系を備え、フォーカス群の小型、軽量化を図り、フォーカス駆動系への負荷を低減するとともに、簡素な構成で良好な結像性能を得ることができる、近距離撮影可能な撮影レンズを提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した各特許文献に開示された技術によって、入射瞳径が大きくなるような明るい撮影レンズ、特に中望遠や望遠と呼ばれる長焦点距離を有するインナーフォーカス式の撮影レンズを実現しようとすると、フォーカシングの際に移動させるフォーカス群の有効径が大きく重くなって、フォーカス駆動系への負荷が大きくなることが問題になる。
【0005】
また、近年のデジタルカメラには動画撮影機能が搭載されることが多く、動画撮影の際の像ぶれによる画像劣化を防止するために、像ぶれ補正手段を備えた撮影レンズの需要が高まっている。
【0006】
像ぶれは、手振れ等による光学系の振動を起因として像位置が変動することによって発生する。像ぶれの補正は、光学系中の一部のレンズを光軸に対して垂直な方向へ移動させることによって行うのが一般的である。以下では、像ぶれの補正を「防振補正」、防振補正を行うレンズを「防振光学系」と云うことにする。
【0007】
特許文献1に開示された撮影レンズは、物体側から順に正・正・負の屈折力を有するレンズ群を配置した望遠レンズであり、フォーカシングの際に、複数のレンズ群を光軸に沿って移動させることにより、近距離撮像時の収差補正を良好に行うことができ、良質な画像を得ることができる。また、特許文献1には、参考ながら、防振補正機能を備えた場合の一例が示されている。
【0008】
しかしながら、この撮影レンズでは、フォーカシングの際に、レンズ群の移動に伴って光学系全長が変化するため、レンズ鏡筒を密閉構造とすることが困難になり、レンズ鏡筒の隙間から内部にゴミ等が侵入するおそれが高まる。また、フォーカシングの際にレンズ鏡筒の全長が変化すると、近距離で被写体を撮影する場合には、被写体にレンズ先端が接触するおそれがあり、被写体やレンズに破損や汚れが生じる危険性が高まる。
【0009】
さらに、この撮影レンズでは、入射瞳径が大きいことによって、第1レンズ群を構成するレンズの外径が大きく、重くなる。このため、フォーカシングの際に第1レンズ群が移動すると、光学系全体における重心位置も変わるため、レンズ鏡筒または撮影装置本体の重量バランスが崩れ、撮像画像のブレを招くおそれもある。これらのことは、望遠レンズにおいて、オートフォーカス処理の高速化に困難をきたすばかりか、動画撮影に不都合を生じる原因にもなる。
【0010】
これに対し、特許文献2に開示された撮影レンズは、物体側から順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、第3レンズ群の後方の後方レンズ系を有し、無限遠から近距離へのフォーカシングに際し第1レンズ群を固定とし、第2レンズ群を像側へ移動させ、第3レンズ群を物体側へ移動させるインナーフォーカス式を採用している。この撮影レンズは、インナーフォーカス式であるため、鏡筒を密閉構造とすることが可能であり、またフォーカシングの際に光学系全長が変化することもない。
【0011】
しかしながら、この撮影レンズは、望遠レンズでありながら光学的絞りよりも物体側に強い負レンズ群が配置されていることで、いわゆるテレフォト比(全長/焦点距離)を小さくすることができず、焦点距離に対してレンズの全長を短くすることやレンズ外径を小さくすることが困難である。さらに、この撮影レンズは、フォーカシング時に複数のレンズ群を独立に光軸方向に移動させる、いわゆるフローティングさせることで近距離撮影時の収差補正を行う構成を採用しているため、各レンズ群の移動を制御することが必須となり、フォーカス駆動系の機構が複雑になるとともに、その制御上の負荷が大きくなることが問題として挙げられる。また、動画撮影時に特に必要とされる防振補正機能が備えられていない。
【0012】
これに対し、特許文献3に開示された撮影レンズは、コンパクトな一つのレンズ群をフォーカスレンズ群としていることから、フォーカス駆動系への負荷を軽減することが可能である。しかしながら、フォーカス群が他のレンズ群と比較しても小型、軽量化が十分になされているとは云えず、高速なフォーカシングが実現されているとは云いがたい。また、動画撮影時に特に必要とされる防振補正機能が備えられていない。
【0013】
これに対し、特許文献4に開示されたインナーフォーカス式レンズは、一つのレンズ群でフォーカシングを行うとともに、当該フォーカス群を1枚の負レンズで構成していることから、フォーカス群の十分な軽量化が図られており、フォーカス駆動系への負荷を低減することに成功している。また、小型、広角で、優れた結像性能を備えている。
【0014】
しかしながら、特許文献4に開示されたインナーフォーカス式レンズは、標準画角のレンズであるため、当該インナーフォーカス式レンズの構成等を望遠レンズにそのまま適用することは困難である。すなわち、望遠レンズでは、広角〜標準レンズと比べて撮影距離の変動に伴う球面収差、像面湾曲、軸上色収差等が増大するため、特許文献4に開示されているインナーフォーカス式レンズのフォーカシング方式を取り入れた場合、諸収差を良好に補正することが困難になって、高い結像性能を維持することができなくなる。また、動画撮影時に特に必要とされる防振補正機能が備えられていない。
【0015】
一方、特許文献5には、負レンズと正レンズを備えて構成した一つのレンズ群をフォーカス群とした、近距離撮影が可能な望遠レンズが開示されている。この望遠レンズは、フォーカス群の小型、軽量化が促進され、フォーカス駆動系への負荷の低減が図られている。また、フォーカス群に負レンズと正レンズが備えられていることから、撮影距離の変動に伴う球面収差、像面湾曲、軸上色収差等の各種収差を補正することができる。しかしながら、特許文献5に開示された望遠レンズには、防振補正機能が備えられていないため、動画撮影時の結像性能を維持することが困難である。
【0016】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、防振補正を行う防振光学系を備え、フォーカス群の小型、軽量化を図り、フォーカス駆動系への負荷を低減するとともに、簡素な構成で良好な結像性能を得ることができる、近距離撮影可能なインナーフォーカス式の撮影レンズを提供することを目的とする。さらに、かかる撮影レンズを備えた撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる撮影レンズは、物体側から順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、からなり、前記第1レンズ群または前記第3レンズ群に、光軸に対して垂直な方向へ移動させることによって光学系の振動時に生じる像ぶれの補正(防振補正)を行う防振光学系を備え、前記第2レンズ群は、少なくとも一枚の正レンズを含み、前記第1レンズ群および前記第3レンズ群を固定したまま、前記第2レンズ群を光軸に沿って像側へ移動させることにより、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態までのフォーカシングを行い、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(1) 0.50≦|B|≦1.30
(2) 0.10≦|fVC|/f≦5.00
ただし、Bは光学系全系の最大横倍率、fVCは前記防振光学系の焦点距離、fは無限遠物体合焦状態における光学系全系の焦点距離を示す。
【0018】
本発明によれば、防振補正を行う防振光学系を備え、フォーカス群の小型、軽量化を図り、フォーカス駆動系への負荷を低減するとともに、簡素な構成で良好な結像性能を得ることができる、近距離撮影可能なインナーフォーカス式の撮影レンズを実現することができる。
【0019】
さらに、本発明にかかる撮影レンズは、前記発明において、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(3) 0.50≦f3/f≦4.00
ただし、f3は前記第3レンズ群の焦点距離を示す。
【0020】
本発明によれば、小型で、明るく高い結像性能を備えた撮影レンズを実現することができる。
【0021】
さらに、本発明にかかる撮影レンズは、前記発明において、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(4) 0.40≦f2p/|f2|≦1.40
ただし、f2pは前記第2レンズ群に含まれる正レンズの焦点距離、f2は前記第2レンズ群の焦点距離を示す。
【0022】
本発明によれば、光学系の全長を短縮するとともに、結像性能を向上させることが可能になる。
【0023】
さらに、本発明にかかる撮影レンズは、前記発明において、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(5) −2.00≦(1−bvf)×baf≦1.60
ただし、bvfは無限遠物体合焦状態における前記防振光学系の横倍率、bafは無限遠物体合焦状態における、前記防振光学系よりも像側に配置されているレンズ全体の合成横倍率を示す。
【0024】
本発明によれば、光学系の外径を縮小するとともに、防振補正時の結像性能を向上させることが可能になる。
【0025】
さらに、本発明にかかる撮影レンズは、前記発明において、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(6) 0.600≦OL/f≦2.400
ただし、OLは光学系の最物体側面から結像面までの光軸上の距離を示す。
【0026】
本発明によれば、フォーカス群である第2レンズ群の小型、軽量化を図るとともに、光学系全長を短縮し、結像性能を向上させることができる。
【0027】
また、本発明にかかる撮影装置は、前記発明にかかる撮影レンズと、該撮影レンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子と、を備えたことを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、良好な防振補正機能を有し、フォーカス群の小型、軽量化を図り、フォーカス駆動系への負荷を低減するとともに、簡素な構成で良好な結像性能を得ることができる、近距離撮影可能なインナーフォーカス式の撮影レンズを備えた撮影装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、防振補正を行う防振光学系を備え、フォーカス群の小型、軽量化を図り、フォーカス駆動系への負荷を低減するとともに、簡素な構成で良好な結像性能を得ることができる、近距離撮影可能なインナーフォーカス式の撮影レンズを提供することができるという効果を奏する。
【0030】
さらに、本発明は、良好な防振補正機能を有し、簡素な構成で良好な結像性能を得ることができる、近距離撮影可能なインナーフォーカス式の撮影レンズを備えた撮影装置を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明にかかる撮影レンズおよび撮影装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0033】
本発明は、防振補正を行う防振光学系を備え、フォーカス群の小型、軽量化を図り、フォーカス駆動系への負荷を低減するとともに、簡素な構成で良好な結像性能を得ることができる、近距離撮影可能なインナーフォーカス式の撮影レンズを提供することを目的としている(第一の目的)。そこで、かかる目的を達成するため、以下に示すような構成を採用する。
【0034】
本発明にかかる撮影レンズは、物体側から順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、からなっている。
【0035】
本発明にかかる撮影レンズでは、屈折力配置を物体側から順に正・負・正とすることにより、諸収差を良好に補正しながらテレフォト比(全長/焦点距離)を小さく抑えることができる。このため、焦点距離に対する光学系全長の増加を抑制することができ、光学系の全長および外径のコンパクト化を促進することが可能になる。したがって、本発明の構成を望遠系レンズに適用した場合、小型の望遠系レンズを実現することが可能になる。なお、本発明において、望遠系レンズとは、中望遠〜望遠レンズ等と呼ばれる焦点距離が比較的長い撮影レンズを云うものとする。
【0036】
本発明にかかる撮影レンズは、第1レンズ群および第3レンズ群を固定したまま、第2レンズ群を光軸に沿って像側へ移動させることにより、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態までのフォーカシングを行う。本発明では、いわゆるインナーフォーカス式のフォーカス方法を採用しているため、フォーカシングの際に光学系全長の変化がなく、レンズ鏡筒を密閉構造とすることが容易になり、レンズ鏡筒の隙間から内部に埃やゴミ等が侵入するのを防止することができる。
【0037】
また、インナーフォーカス式のフォーカス方法を採用しているため、レンズ鏡筒全体も固定され、近接撮影でのフォーカシングの際に光学系先端が被写体に接触して、被写体やレンズに破損や汚れが生じるのを防止することができる。したがって、被写体に近接して撮像を行う近接撮像用レンズとして好適である。
【0038】
望遠系レンズとして物体側から順に正・負・正の屈折力を有するレンズ群を配置する構成を採用した場合、第1レンズ群および第3レンズ群を構成するレンズの外径や重量と比べ、第2レンズ群を構成するレンズの外径や重量を小さくすることができる。すなわち、第1レンズ群が正の屈折力を有していることから、第1レンズ群により光束径が絞られた位置(第1レンズ群の像側)に配置される第2レンズ群の外径を小さくして軽量化することが可能になる。
【0039】
そして、本発明では、フォーカシングの際、比較的重量のある第1レンズ群および第3レンズ群が固定され、移動するのが軽量の第2レンズ群のみとなることから、フォーカシング時に光学系内の重心位置が移動するのを抑制することができる。特に、第1レンズ群または第3レンズ群をフォーカシングの際に移動させる場合と比較すると、フォーカス群を構成するレンズの小径化、軽量化を図ることが容易になり、フォーカス駆動系への負荷を低減することができる。また、フォーカシングにかかる消費電力を抑制することも可能になる。
【0040】
以上のことから、本発明にかかる撮影レンズでは、高速なオートフォーカス処理が容易になり、動画撮像の際にも被写体の移動に応じた迅速なフォーカシングが可能になる。また、フォーカシングの際にレンズ鏡筒または撮影装置本体の重量バランスが崩れることを防止して、安定した撮影が可能になる。
【0041】
ところで、本発明とは異なり、最物体側に配置される第1レンズ群を負群とした場合には、望遠系レンズとしてはテレフォト比(全長/焦点距離)を小さくすることが困難になり、光学系全長が長くなる。また、第2レンズ群が正群の場合には、負群である場合と比較してレンズ外径が大きく重くなり、フォーカス駆動系への負荷が大きくなり、迅速なフォーカシングを行うことが困難になる。さらに、第3レンズ群が負群の場合には、第3レンズ群で光学的明るさが減少するために、第1〜第2レンズ群において十分な光学的明るさを確保する必要があるが、第1レンズ群、第2レンズ群で発生する諸収差が顕著になり、その補正が困難になる。
【0042】
また、本発明にかかる撮影レンズにおいて、フォーカシング時に可動となる負の屈折力を有する第2レンズ群中に少なくとも1枚の正レンズを配置することが好ましい。第2レンズ群中に少なくとも1枚の正レンズを配置することにより、軸上色収差や倍率色収差の補正、また撮影距離の変動に伴う球面収差、像面湾曲、軸上色収差等の補正が容易になる。
【0043】
ここで、第2レンズ群中に少なくとも1枚配置される正レンズとは、単一要素としての正レンズを指している。単一要素とは、たとえば、接合レンズ、複合非球面レンズ等の複数の光学要素がレンズ面において接合されたものである場合、この接合レンズ等を構成する複数の光学的要素の各々を指す。つまり、接合レンズであれば、接合される前の状態の単体として各レンズが単一要素としてのレンズに該当し、複合非球面レンズであれば、非球面樹脂層が設けられる前の状態の単体としてのレンズが単一要素としてのレンズに該当する。すなわち、本発明において、単一要素とは、接合等される前の状態における一つの光学要素を指し、当該第2レンズ群は一つの正の屈折力を有する単一要素を含むものとする。
【0044】
また、本発明において、第2レンズ群中に配置される正レンズの位置は、特に限定されるものではない。当該正レンズは、第2レンズを構成する複数のレンズのうち、最も物体側に配置されていてもよいし、最も像側に配置されていてもよい。また、当該第2レンズ群が単一要素としてのレンズを3枚以上備える場合に、当該正レンズは、第2レンズ群内において、他のレンズ(単一要素としての他のレンズ)の間に配置されていてもよい。いずれの場合であっても、本発明の効果は十分期待できる。
【0045】
加えて、本発明にかかる撮影レンズは、動画撮影時の防振補正にも対応できるように、第1レンズ群または第3レンズ群に、光軸に対して垂直な方向へ移動させることによって防振補正を行う防振光学系を備える。防振光学系は、第1レンズ群または第3レンズ群を構成するレンズの一部によって構成される。防振光学系を構成するレンズの枚数は、特に限定されるものではない。
【0046】
本発明にかかる撮影レンズにおいて、光学的絞りの配置位置は、特に限定されるものではない。第1レンズ群内、第2レンズ群内、第3レンズ群内、または各レンズ群の間等、その配置位置に限定はない。いずれの位置に配置された場合であっても、本発明の効果は十分得られる。しかしながら、フォーカス駆動系への負荷を低減し、高速なオートフォーカス処理、さらには動画撮影への対応といった観点から、光学的絞りの開口径を可変するための機構部を含めた重量が比較的重い場合には、第2レンズ群内に光学的絞りが配置されることは好ましくない。第2レンズ群内に光学的絞りを配置した場合、フォーカシングの際に第2レンズ群を構成するレンズとともに当該光学的絞りの位置も移動させる必要が生じるため、フォーカス駆動系への負荷が光学的絞りとその駆動機構部の重量分だけ増加する。したがって、光学的な観点のみを考慮した場合には、光学的絞りの配置位置に限定はないが、フォーカス駆動系への負荷を低減するという観点からは、第2レンズ群内以外に配置されることが好ましい。
【0047】
また、本発明にかかる撮影レンズにおいて、光学的絞りは結像面に対して固定であっても、移動可能であってもよい。近距離撮影時の周辺光量の調整や収差補正等の必要性を考慮して、光学的絞りの移動/固定を選択することができる。ただし、フォーカシングの際に光学的絞りも移動可能に構成する場合は、フォーカス群の軽量化の観点から、第2レンズ群内以外に光学的絞りを配置するとともに、第2レンズ群を移動させるためのフォーカス駆動系とは別の駆動系により光学的絞りを移動させることが好ましい。
【0048】
そして、本発明にかかる撮影レンズは、上記構成を前提に、光学系全系の最大横倍率をB、防振光学系の焦点距離をfVC、無限遠物体合焦状態における光学系全系の焦点距離をfとするとき、次の条件式を満足することが好ましい。
(1) 0.50≦|B|≦1.30
(2) 0.10≦|fVC|/f≦5.00
【0049】
条件式(1)は、光学系全系の最大横倍率を規定するものである。条件式(1)を満足することにより、光学系全長が短く、近距離撮影(マクロ撮影)が可能な望遠系の撮影レンズを実現することができる。
【0050】
条件式(1)においてその下限を下回ると、撮影倍率が低くなりすぎて、被写体を大きく写すマクロ撮影が困難になる。一方、条件式(1)においてその上限を超えると、フォーカシング時の第2レンズ群(フォーカス群)の移動量が増大して、光学系全長が延びるため、好ましくない。
【0051】
条件式(2)は、防振光学系の焦点距離と無限遠合焦状態における光学系全系の焦点距離との比を規定するものである。条件式(2)を満足することにより、光学系の外径を縮小するとともに、防振光学系による防振補正時に発生する諸収差を抑制することができる。
【0052】
条件式(2)においてその下限を下回ると、防振補正時に防振光学系を偏芯させた際に発生する偏芯コマ収差、偏芯非点収差が増大するため、結像性能の劣化を招く。一方、条件式(2)においてその上限を超えると、防振光学系のパワーが弱くなりすぎるため、防振補正時の防振光学系の偏芯量が増大して、防振光学系の高速駆動が困難になって、動画撮影に支障をきたす。また、光学系の外径も大きくなって、光学系の小型化が阻害される。
【0053】
本発明は、上記構成を備え、条件式(1),(2)を満足することにより、防振補正を行う防振光学系を備え、フォーカス群の小型、軽量化を図り、フォーカス駆動系への負荷を低減するとともに、簡素な構成で良好な結像性能を得ることができる、望遠系の近距離撮影可能なインナーフォーカス式の撮影レンズを実現することができる。
【0054】
なお、上記条件式(1)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(1a) 0.60≦|B|≦1.20
【0055】
また、上記条件式(1a)は、次に示す範囲を満足すると、さらに好ましい効果が期待できる。
(1b) 0.70≦|B|≦1.10
【0056】
上記条件式(2)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(2a) 0.15≦|fVC|/f≦4.00
【0057】
また、上記条件式(2a)は、次に示す範囲を満足すると、さらに好ましい効果が期待できる。
(2b) 0.18≦|fVC|/f≦3.50
【0058】
さらに、本発明かかる撮影レンズでは、第3レンズ群の焦点距離をf3、無限遠物体合焦状態における光学系全系の焦点距離をfとするとき、次の条件式を満足することが好ましい。
(3) 0.50≦f3/f≦4.00
【0059】
条件式(3)は、第3レンズ群の焦点距離と無限遠物体合焦状態における光学系全系の焦点距離との比を規定するものである。条件式(3)を満足することにより、第3レンズ群の焦点距離が適正な値となり、光学系全長と収差補正の適正化を図り、小型で、明るく高い結像性能を備えた撮影レンズを実現することができる。
【0060】
条件式(3)においてその下限を下回ると、第3レンズ群の焦点距離が短くなりすぎ、正のパワーが強い構成になる。この状態で望遠系の撮影レンズを構成すると、像側に近い位置のレンズ群が強い正のパワーをもつことになり、テレフォト化が不十分になって、光学系全系の焦点距離に対する光学系全長が長くなるため、光学系の小型化が困難になる。一方、条件式(3)においてその上限を超えると、第3レンズ群の焦点距離が長くなりすぎ正のパワーが弱い構成になり、光学系全系のFナンバーが大きくなって、暗い光学系になる傾向がある。これを防ぐためには、第1レンズ群のパワーを強くする必要がある。しかし、第1レンズ群のパワーを強くすると、第1レンズ群、第2レンズ群で発生する諸収差が顕著になり、これを補正するために多くのレンズを追加する必要が生じる。光学系を構成するレンズ枚数が増加すると、光学系全長が延びるため、光学系の小型化が阻害される。
【0061】
なお、上記条件式(3)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(3a) 0.65≦f3/f≦3.60
【0062】
また、上記条件式(3a)は、次に示す範囲を満足すると、さらに好ましい効果が期待できる。
(3b) 0.80≦f3/f≦3.20
【0063】
さらに、本発明にかかる撮影レンズは、第2レンズ群に含まれる正レンズの焦点距離をf2p、第2レンズ群の焦点距離をf2とするとき、次の条件式を満足することが好ましい。
(4) 0.40≦f2p/|f2|≦1.40
【0064】
条件式(4)は、第2レンズ群中の正レンズの焦点距離と第2レンズ群の焦点距離の絶対値との比を規定するものである。条件式(4)を満足することにより、光学系の全長を短縮するとともに、結像性能を向上させることが可能になる。
【0065】
条件式(4)においてその下限を下回ると、第2レンズ群のパワーが弱くなりすぎ、フォーカシング時の第2レンズ群(フォーカス群)の移動量が増大して、光学系全長が延びるため、光学系の小型化が阻害される。一方、条件式(4)においてその上限を超えると、第2レンズ群中の正レンズのパワーが弱くなりすぎ、各物体距離における球面収差や像面湾曲等の補正が不十分になって、結像性能の劣化を招く。
【0066】
なお、上記条件式(4)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(4a) 0.50≦f2p/|f2|≦1.20
【0067】
また、上記条件式(4a)は、次に示す範囲を満足すると、さらに好ましい効果が期待できる。
(4b) 0.60≦f2p/|f2|≦1.00
【0068】
さらに、本発明にかかる撮影レンズでは、無限遠物体合焦状態における防振光学系の横倍率をbvf、無限遠物体合焦状態における、防振光学系よりも像側に配置されているレンズ全体の合成横倍率をbafとするとき、次の条件式を満足することが好ましい。
(5) −2.00≦(1−bvf)×baf≦1.60
【0069】
条件式(5)は、防振補正時における、防振光学系の光軸に対する垂直方向への移動量(偏芯量)に対する結像面の移動量の比を規定するものである。条件式(5)を満足することにより、光学系の外径を縮小するとともに、結像性能を向上させることが可能になる。
【0070】
条件式(5)においてその下限を下回ると、防振光学系のパワーが弱くなりすぎて、防振補正時における防振光学系の光軸に対する垂直方向への移動量が大きくなって、光学系の外径が大きくなってしまう。一方、条件式(5)においてその上限を超えると、防振補正光学系のパワーが強くなりすぎて、防振補正時における球面収差やコマ収差の補正が不十分になり、結像性能の劣化を招く。
【0071】
なお、上記条件式(5)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(5a) −1.75≦(1−bvf)×baf≦1.40
【0072】
また、上記条件式(5a)は、次に示す範囲を満足すると、さらに好ましい効果が期待できる。
(5b) −1.50≦(1−bvf)×baf≦1.20
【0073】
さらに、本発明にかかる撮影レンズでは、光学系の最物体側面から結像面までの光軸上の距離をOL、無限遠物体合焦状態における光学系全系の焦点距離をfとするとき、次の条件式を満足することが好ましい。
(6) 0.600≦OL/f≦2.400
【0074】
条件式(6)は、無限遠物体合焦状態における光学系全系の焦点距離に対する光学系の最物体側面から結像面までの光軸上の距離の比を規定するものである。条件式(6)を満足することにより、フォーカス群である第2レンズ群の小型、軽量化を図るとともに、光学系全長を短縮し、結像性能を向上させることができる。
【0075】
条件式(6)においてその下限を下回ると、焦点距離に対する全長を短くすることはできるが、フォーカス群の移動量を減少させなければならず、撮影距離変動時の収差補正のためにフォーカス群のレンズ枚数が増大し大きく重くなるために、フォーカス群の小型、軽量化を実現することが困難になる。一方、条件式(6)においてその上限を超えると、テレフォト化を充分に行うことができず、焦点距離に対する全長を短くすることが困難になる。
【0076】
なお、上記条件式(6)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(6a) 0.700≦OL/f≦2.300
【0077】
また、上記条件式(6a)は、次に示す範囲を満足すると、さらに好ましい効果が期待できる。
(6b) 0.800≦OL/f≦2.250
【0078】
以上説明したように、本発明によれば、防振補正を行う防振光学系を備え、フォーカス群の小型、軽量化を図り、フォーカス駆動系への負荷を低減するとともに、簡素な構成で良好な結像性能を得ることができる、望遠系の近距離撮影可能なインナーフォーカス式の撮影レンズを実現することができる。特に、小型で、明るく高い結像性能を備えた撮影レンズを実現することができる。
【0079】
さらに、本発明は、良好な防振補正機能を有し、簡素な構成で良好な結像性能を得ることができる、望遠系の近距離撮影可能なインナーフォーカス式の撮影レンズを備えた撮影装置を提供することを目的としている(第二の目的)。この目的を達成するためには、上記構成を備えた撮影レンズと、この撮影レンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子と、を備えて撮影装置を構成すればよい。このようにすることで、良好な防振補正機能を有する、高性能な撮影レンズを備えた撮影装置を実現することができる。この撮影装置は、動画撮影にも好適である。
【0080】
以下、本発明にかかる撮影レンズの実施例を図面に基づき詳細に説明する。なお、以下の実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0081】
図1は、実施例1にかかる撮影レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
図1は、無限遠物体合焦状態を示している。この撮影レンズは、図示しない物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G
11と、負の屈折力を有する第2レンズ群G
12と、正の屈折力を有する第3レンズ群G
13と、が配置されて構成される。第3レンズ群G
13と結像面IMGとの間には、カバーガラスCGが配置されている。
【0082】
第1レンズ群G
11は、物体側から順に、負レンズL
111と、負レンズL
112と、正レンズL
113と、正レンズL
114と、正レンズL
115と、正レンズL
116と、負レンズL
117と、光学的絞りSTPと、正レンズL
118と、が配置されて構成される。負レンズL
112と正レンズL
113とは、接合されている。正レンズL
116と負レンズL
117とは、接合されている。
【0083】
第2レンズ群G
12は、物体側から順に、負レンズL
121と、負レンズL
122と、正レンズL
123と、が配置されて構成される。
【0084】
第3レンズ群G
13は、物体側から順に、正レンズL
131と、負レンズL
132と、が配置されて構成される。
【0085】
この撮影レンズでは、第1レンズ群G
11および第3レンズ群G
13を固定したまま、第2レンズ群G
12を光軸に沿って物体側から結像面IMG側へ移動させることにより、無限遠合焦状態から最至近距離合焦状態までのフォーカシングを行う。また、第1レンズ群G
11中の正レンズL
114に防振光学系VC
1としての機能を担わせ、防振光学系VC
1を光軸
に対して垂直な方向へ移動させることによって、防振補正を行う。
【0086】
以下、実施例1にかかる撮影レンズに関する各種数値データを示す。
【0087】
(レンズデータ)
r
1=82.559
d
1=1.500 nd
1=1.5168 νd
1=64.20
r
2=22.601
d
2=10.409
r
3=-78.65
d
3=1.200 nd
2=1.4875 νd
2=70.44
r
4=109.684
d
4=4.051 nd
3=2.0006 νd
3=25.46
r
5=-111.993
d
5=3.144
r
6=1671.26
d
6=3.142 nd
4=1.4875 νd
4=70.44
r
7=-92.12
d
7=10.944
r
8=60.914
d
8=5.237 nd
5=1.4970 νd
5=81.61
r
9=-37.756
d
9=0.200
r
10=26.451
d
10=5.649 nd
6=1.4970 νd
6=81.61
r
11=-41.075
d
11=1.200 nd
7=2.0006 νd
7=25.46
r
12=33.479
d
12=4.997
r
13=∞(光学的絞り)
d
13=2.000
r
14=104.633
d
14=2.998 nd
8=2.0010 νd
8=29.13
r
15=-50.882
d
15=D(15)(可変)
r
16=-705.27
d
16=1.200 nd
9=1.8467 νd
9=23.78
r
17=23.259
d
17=4.000
r
18=-27.284
d
18=1.200 nd
10=1.5928 νd
10=68.62
r
19=117.181
d
19=0.528
r
20=73.891
d
20=3.133 nd
11=1.9229 νd
11=20.88
r
21=-46.235
d
21=D(21)(可変)
r
22=61.349
d
22=6.268 nd
12=1.4970 νd
12=81.61
r
23=-36.479
d
23=16.320
r
24=-26.465
d
24=1.500 nd
13=1.8467 νd
13=23.78
r
25=-58.123
d
25=19.192
r
26=∞
d
26=2.000 nd
14=1.5168 νd
14=64.20
r
27=∞
d
27=1.000
r
28=∞(結像面)
【0088】
(各合焦状態の数値データ)
無限遠(0倍) -0.5倍 最至近距離(-0.9倍)
D(15) 1.001 9.030 15.986
D(21) 15.987 7.958 1.002
光学系全系の焦点距離 58.208 44.117 35.187
FNO(Fナンバー) 2.884 4.326 5.768
ω(半画角) 19.916 16.635 14.741
【0089】
(条件式(1)に関する数値)
|B|=0.900
B:光学系全系の最大横倍率
【0090】
(条件式(2)に関する数値)
|fVC|/f=3.079
|fVC(防振光学系VC
1の焦点距離)|=179.201
f(無限遠物体合焦状態における光学系全系の焦点距離)=58.208
【0091】
(条件式(3)に関する数値)
f3/f=1.643
f3(第3レンズ群G
13の焦点距離)=95.611
【0092】
(条件式(4)に関する数値)
f2p/|f2|=0.840
f2p(第2レンズ群G
12に含まれる正レンズL
123の焦点距離)=31.208
|f2(第2レンズ群G
12の焦点距離)|=37.161
【0093】
(条件式(5)に関する数値)
(1−bvf)×baf=0.689
bvf(無限遠物体合焦状態における防振光学系VC
1の横倍率)=33.827
baf(無限遠物体合焦状態における、防振光学系VC
1よりも像側に配置されているレンズ全体の合成横倍率)=-0.021
【0094】
(条件式(6)に関する数値)
OL/f=2.233
OL(負レンズL
111の物体側面から結像面IMGまでの光軸上の距離)=130.000
f(無限遠物体合焦状態における光学系全系の焦点距離)=58.208
【0095】
図2は、実施例1にかかる撮影レンズの縦収差図である。球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、FNOで示す)を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はc線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。非点収差図において、縦軸は像高(図中、Yで示す)を表し、d線(λ=587.56nm)に相当する波長の特性を示している。なお、非点収差図において、実線はサジタル像面(図中、Sで示す)、破線はメリディオナル像面(図中、Mで示す)の特性を示している。歪曲収差図において、縦軸は像高(図中、Yで示す)を表し、d線(λ=587.56nm)に相当する波長の特性を示している。
【0096】
図3は、実施例1にかかる撮影レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。これらの図において、(a)は防振補正を行っていない基本状態を示し、(b)は防振光学系VC
1を光軸に対して垂直な方向に0.743mm移動させた防振補正時の状態を示している。撮影距離が∞において、当該光学系が0.3°だけ傾いた場合の像偏心量は、防振光学系VC
1が光軸と垂直な方向に0.743mmだけ平行移動するときの像偏心量
に等しい。
【0097】
図3(a)、
図3(b)において、それぞれ、上段は最大像高の70%の像点における横収差、中段は軸上像点における横収差、下段は最大像高の−70%の像点における横収差を示している。なお、各横収差図において、横軸は瞳面上での主光線からの距離を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はc線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。
【実施例2】
【0098】
図4は、実施例2にかかる撮影レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
図4は、無限遠物体合焦状態を示している。この撮影レンズは、図示しない物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G
21と、負の屈折力を有する第2レンズ群G
22と、正の屈折力を有する第3レンズ群G
23と、が配置されて構成される。第3レンズ群G
23と結像面IMGとの間には、カバーガラスCGが配置されている。
【0099】
第1レンズ群G
21は、物体側から順に、負レンズL
211と、負レンズL
212と、正レンズL
213と、正レンズL
214と、正レンズL
215と、負レンズL
216と、負レンズL
217と、正レンズL
218と、光学的絞りSTPと、正レンズL
219と、が配置されて構成される。負レンズL
212と正レンズL
213とは、接合されている。負レンズL
217と正レンズL
218とは、接合されている。
【0100】
第2レンズ群G
22は、物体側から順に、負レンズL
221と、負レンズL
222と、正レンズL
223と、が配置されて構成される。
【0101】
第3レンズ群G
23は、物体側から順に、正レンズL
231と、正レンズL
232と、負レンズL
233と、が配置されて構成される。
【0102】
この撮影レンズでは、第1レンズ群G
21および第3レンズ群G
23を固定したまま、第2レンズ群G
22を光軸に沿って物体側から結像面IMG側へ移動させることにより、無限遠合焦状態から最至近距離合焦状態までのフォーカシングを行う。また、第1レンズ群G
21中の、負レンズL
217と正レンズL
218とからなる接合レンズに防振光学系VC
2としての機能を担わせ、防振光学系VC
2を光軸に対して垂直な方向へ移動させることによって、防振補正を行う。
【0103】
以下、実施例2にかかる撮影レンズに関する各種数値データを示す。
【0104】
(レンズデータ)
r
1=142.513
d
1=1.200 nd
1=1.5168 νd
1=64.20
r
2=29.712
d
2=4.352
r
3=190.627
d
3=1.200 nd
2=1.9108 νd
2=35.25
r
4=53.054
d
4=5.154 nd
3=1.4970 νd
3=81.61
r
5=-101.485
d
5=0.200
r
6=47.725
d
6=4.312 nd
4=1.9212 νd
4=23.96
r
7=380.893
d
7=11.761
r
8=44.594
d
8=6.438 nd
5=1.4970 νd
5=81.61
r
9=-62.5
d
9=1.182
r
10=-125.67
d
10=1.200 nd
6=1.8467 νd
6=23.78
r
11=36.879
d
11=2.674
r
12=39.813
d
12=1.200 nd
7=2.0010 νd
7=29.13
r
13=25.306
d
13=6.219 nd
8=1.5891 νd
8=61.25
r
14=-196.075
d
14=2.039
r
15=∞(光学的絞り)
d
15=2.016
r
16=170.486
d
16=3.028 nd
9=2.0010 νd
9=29.13
r
17=-78.934
d
17=D(17)(可変)
r
18=55.104
d
18=1.200 nd
10=1.9108 νd
10=35.25
r
19=22.337
d
19=4.086
r
20=-43.746
d
20=1.000 nd
11=1.7130 νd
11=53.94
r
21=61.579
d
21=2.285
r
22=69.765
d
22=3.442 nd
12=1.8467 νd
12=23.78
r
23=-66.373
d
23=D(23)(可変)
r
24=66.695
d
24=8.105 nd
13=1.4970 νd
13=81.61
r
25=-47.268
d
25=16.091
r
26=-65.859
d
26=3.825 nd
14=2.0010 νd
14=29.13
r
27=-33.765
d
27=0.441
r
28=-31.323
d
28=2.000 nd
15=1.8052 νd
15=25.46
r
29=81.192
d
29=15.000
r
30=∞
d
30=2.000 nd
16=1.5168 νd
16=64.20
r
31=∞
d
31=1.000
r
32=∞(結像面)
【0105】
(各合焦状態の数値データ)
無限遠(0倍) -0.5倍 最至近距離(-1.0倍)
D(17) 1.331 11.887 24.358
D(23) 23.997 13.441 0.970
光学系全系の焦点距離 87.329 53.852 36.230
FNO(Fナンバー) 2.884 4.326 5.768
ω(半画角) 13.935 11.374 9.581
【0106】
(条件式(1)に関する数値)
|B|=1.000
B:光学系全系の最大横倍率
【0107】
(条件式(2)に関する数値)
|fVC|/f=0.957
|fVC(防振光学系VC
2の焦点距離)|=83.580
f(無限遠物体合焦状態における光学系全系の焦点距離)=87.329
【0108】
(条件式(3)に関する数値)
f3/f=3.002
f3(第3レンズ群G
23の焦点距離)=262.117
【0109】
(条件式(4)に関する数値)
f2p/|f2|=0.923
f2p(第2レンズ群G
22に含まれる正レンズL
223の焦点距離)=40.645
|f2(第2レンズ群G
22の焦点距離)|=44.025
【0110】
(条件式(5)に関する数値)
(1−bvf)×baf=0.927
bvf(無限遠物体合焦状態における防振光学系VC
2の横倍率)=-0.018
baf(無限遠物体合焦状態における、防振光学系VC
2よりも像側に配置されているレンズ全体の合成横倍率)=0.911
【0111】
(条件式(6)に関する数値)
OL/f=1.603
OL(負レンズL
211の物体側面から結像面IMGまでの光軸上の距離)=140.000
f(無限遠物体合焦状態における光学系全系の焦点距離)=87.329
【0112】
図5は、実施例2にかかる撮影レンズの縦収差図である。球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、FNOで示す)を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はc線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。非点収差図において、縦軸は像高(図中、Yで示す)を表し、d線(λ=587.56nm)に相当する波長の特性を示している。なお、非点収差図において、実線はサジタル像面(図中、Sで示す)、破線はメリディオナル像面(図中、Mで示す)の特性を示している。歪曲収差図において、縦軸は像高(図中、Yで示す)を表し、d線(λ=587.56nm)に相当する波長の特性を示している。
【0113】
図6は、実施例2にかかる撮影レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。これらの図において、(a)は防振補正を行っていない基本状態を示し、(b)は防振光学系VC
2を光軸に対して垂直な方向に0.495mm移動させた防振補正時の状態を示している。撮影距離が∞において、当該光学系が0.3°だけ傾いた場合の像偏心量は、防振光学系VC
2が光軸と垂直な方向に0.495mmだけ平行移動するときの像偏心量に等しい。
【0114】
図6(a)、
図6(b)において、それぞれ、上段は最大像高の70%の像点における横収差、中段は軸上像点における横収差、下段は最大像高の−70%の像点における横収差を示している。なお、各横収差図において、横軸は瞳面上での主光線からの距離を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はc線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。
【実施例3】
【0115】
図7は、実施例3にかかる撮影レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
図7は、無限遠物体合焦状態を示している。この撮影レンズは、図示しない物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G
31と、負の屈折力を有する第2レンズ群G
32と、正の屈折力を有する第3レンズ群G
33と、が配置されて構成される。第3レンズ群G
33と結像面IMGとの間には、カバーガラスCGが配置されている。
【0116】
第1レンズ群G
31は、物体側から順に、負レンズL
311と、正レンズL
312と、正レンズL
313と、正レンズL
314と、負レンズL
315と、負レンズL
316と、正レンズL
317と、光学的絞りSTPと、正レンズL
318と、が配置されて構成される。負レンズL
316と正レンズL
317とは、接合されている。
【0117】
第2レンズ群G
32は、物体側から順に、負レンズL
321と、負レンズL
322と、正レンズL
323と、が配置されて構成される。
【0118】
第3レンズ群G
33は、物体側から順に、正レンズL
331と、正レンズL
332と、負レンズL
333と、が配置されて構成される。正レンズL
332と負レンズL
333とは、接合されている。
【0119】
この撮影レンズでは、第1レンズ群G
31および第3レンズ群G
33を固定したまま、第2レンズ群G
32を光軸に沿って物体側から結像面IMG側へ移動させることにより、無限遠合焦状態から最至近距離合焦状態までのフォーカシングを行う。また、第1レンズ群G
31中の、負レンズL
316と正レンズL
317とからなる接合レンズに防振光学系VC
3としての機能を担わせ、防振光学系VC
3を光軸に対して垂直な方向へ移動させることによって、防振補正を行う。
【0120】
以下、実施例3にかかる撮影レンズに関する各種数値データを示す。
【0121】
(レンズデータ)
r
1=110.673
d
1=1.200 nd
1=1.8467 νd
1=23.78
r
2=50.99
d
2=2.676
r
3=89.973
d
3=5.809 nd
2=1.4970 νd
2=81.61
r
4=-238.712
d
4=0.200
r
5=39.37
d
5=7.342 nd
3=2.0006 νd
3=25.46
r
6=141.332
d
6=0.200
r
7=35.324
d
7=7.482 nd
4=1.4970 νd
4=81.61
r
8=402.915
d
8=0.671
r
9=661.556
d
9=1.200 nd
5=2.0010 νd
5=29.13
r
10=28.378
d
10=5.663
r
11=61.574
d
11=1.200 nd
6=2.0010 νd
6=29.13
r
12=30.12
d
12=6.445 nd
7=1.8042 νd
7=46.50
r
13=-931.963
d
13=2.373
r
14=∞(光学的絞り)
d
14=2.912
r
15=-238.328
d
15=2.361 nd
8=1.8830 νd
8=40.81
r
16=-75.837
d
16=D(16)(可変)
r
17=118.662
d
17=1.200 nd
9=1.8042 νd
9=46.50
r
18=25.675
d
18=5.274
r
19=-45.751
d
19=1.000 nd
10=1.8830 νd
10=40.81
r
20=94.171
d
20=1.944
r
21=92.642
d
21=3.976 nd
11=1.8467 νd
11=23.78
r
22=-51.867
d
22=D(22)(可変)
r
23=90.203
d
23=7.487 nd
12=1.8830 νd
12=40.81
r
24=-59.521
d
24=0.200
r
25=-141.375
d
25=6.261 nd
13=1.5481 νd
13=45.82
r
26=-33.744
d
26=1.200 nd
14=1.7618 νd
14=26.61
r
27=99.762
d
27=36.527
r
28=∞
d
28=2.000 nd
15=1.5168 νd
15=64.20
r
29=∞
d
29=1.000
r
30=∞(結像面)
【0122】
(各合焦状態の数値データ)
無限遠(0倍) -0.5倍 最至近距離(-1.0倍)
D(16) 1.868 15.837 33.168
D(22) 32.308 18.340 1.009
光学系全系の焦点距離 131.007 93.796 61.540
FNO(Fナンバー) 2.884 4.326 5.768
ω(半画角) 9.372 7.313 6.006
【0123】
(条件式(1)に関する数値)
|B|=1.000
B:光学系全系の最大横倍率
【0124】
(条件式(2)に関する数値)
|fVC|/f=0.719
|fVC(防振光学系VC
3の焦点距離)|=94.244
f(無限遠物体合焦状態における光学系全系の焦点距離)=131.007
【0125】
(条件式(3)に関する数値)
f3/f=0.930
f3(第3レンズ群G
33の焦点距離)=121.818
【0126】
(条件式(4)に関する数値)
f2p/|f2|=0.923
f2p(第2レンズ群G
32に含まれる正レンズL
323の焦点距離)=39.775
|f2(第2レンズ群G
32の焦点距離)|=43.079
【0127】
(条件式(5)に関する数値)
(1−bvf)×baf=0.981
bvf(無限遠物体合焦状態における防振光学系VC
3の横倍率)=0.436
baf(無限遠物体合焦状態における、防振光学系VC
3よりも像側に配置されているレンズ全体の合成横倍率)=1.739
【0128】
(条件式(6)に関する数値)
OL/f=1.145
OL(負レンズL
311の物体側面から結像面IMGまでの光軸上の距離)=150.000
f(無限遠物体合焦状態における光学系全系の焦点距離)=131.007
【0129】
図8は、実施例3にかかる撮影レンズの縦収差図である。球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、FNOで示す)を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はc線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。非点収差図において、縦軸は像高(図中、Yで示す)を表し、d線(λ=587.56nm)に相当する波長の特性を示している。なお、非点収差図において、実線はサジタル像面(図中、Sで示す)、破線はメリディオナル像面(図中、Mで示す)の特性を示している。歪曲収差図において、縦軸は像高(図中、Yで示す)を表し、d線(λ=587.56nm)に相当する波長の特性を示している。
【0130】
図9は、実施例3にかかる撮影レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。これらの図において、(a)は防振補正を行っていない基本状態を示し、(b)は防振光学系VC
3を光軸に対して垂直な方向に0.700mm移動させた防振補正時の状態を示している。撮影距離が∞において、当該光学系が0.3°だけ傾いた場合の像偏心量は、防振光学系VC
3が光軸と垂直な方向に0.700mmだけ平行移動するときの像偏心量に等しい。
【0131】
図9(a)、
図9(b)において、それぞれ、上段は最大像高の70%の像点における横収差、中段は軸上像点における横収差、下段は最大像高の−70%の像点における横収差を示している。なお、各横収差図において、横軸は瞳面上での主光線からの距離を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はc線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。
【実施例4】
【0132】
図10は、実施例4にかかる撮影レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
図10は、無限遠物体合焦状態を示している。この撮影レンズは、図示しない物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G
41と、負の屈折力を有する第2レンズ群G
42と、正の屈折力を有する第3レンズ群G
43と、が配置されて構成される。第1レンズ群G
41と第2レンズ群G
42との間には、光学的絞りSTPが配置されている。第3レンズ群G
43と結像面IMGとの間には、カバーガラスCGが配置されている。
【0133】
第1レンズ群G
41は、物体側から順に、正レンズL
411と、正レンズL
412と、負レンズL
413と、正レンズL
414と、負レンズL
415と、正レンズL
416と、が配置されて構成される。正レンズL
412と負レンズL
413とは、接合されている。
【0134】
第2レンズ群G
42は、物体側から順に、負レンズL
421と、負レンズL
422と、正レンズL
423と、が配置されて構成される。負レンズL
422と正レンズL
423とは接合されている。
【0135】
第3レンズ群G
43は、物体側から順に、正レンズL
431と、正レンズL
432と、負レンズL
433と、正レンズL
434と、負レンズL
435と、正レンズL
436と、が配置されて構成される。正レンズL
432と負レンズL
433とは、接合されている。正レンズL
434と負レンズL
435とは、接合されている。
【0136】
この撮影レンズでは、第1レンズ群G
41および第3レンズ群G
43を固定したまま、第2レンズ群G
42を光軸に沿って物体側から結像面IMG側へ移動させることにより、無限遠合焦状態から最至近距離合焦状態までのフォーカシングを行う。また、第3レンズ群G
43中の、正レンズL
434と負レンズL
435とからなる接合レンズに防振光学系VC
4としての機能を担わせ、防振光学系VC
4を光軸に対して垂直な方向へ移動させることによって、防振補正を行う。
【0137】
以下、実施例4にかかる撮影レンズに関する各種数値データを示す。
【0138】
(レンズデータ)
r
1=188.159
d
1=6.320 nd
1=1.8348 νd
1=42.72
r
2=-213.514
d
2=0.200
r
3=67.441
d
3=10.917 nd
2=1.4970 νd
2=81.61
r
4=-115.317
d
4=1.200 nd
3=1.9108 νd
3=35.25
r
5=138.079
d
5=0.200
r
6=39.202
d
6=7.147 nd
4=1.4970 νd
4=81.61
r
7=91.943
d
7=8.009
r
8=52.44
d
8=1.200 nd
5=1.7234 νd
5=37.99
r
9=30.948
d
9=3.596
r
10=62.516
d
10=5.018 nd
6=1.6385 νd
6=55.45
r
11=-298.919
d
11=1.924
r
12=∞(光学的絞り)
d
12=D(12)(可変)
r
13=451.341
d
13=1.800 nd
7=2.0010 νd
7=29.13
r
14=38.393
d
14=4.647
r
15=-73.052
d
15=1.800 nd
8=1.8340 νd
8=37.35
r
16=40.124
d
16=5.833 nd
9=1.9229 νd
9=20.88
r
17=-93.089
d
17=D(17)(可変)
r
18=79.964
d
18=3.836 nd
10=1.9108 νd
10=35.25
r
19=-627.563
d
19=0.200
r
20=43.509
d
20=6.354 nd
11=2.0010 νd
11=29.13
r
21=-145.619
d
21=1.200 nd
12=1.9229 νd
12=20.88
r
22=29.39
d
22=6.477
r
23=352.423
d
23=3.990 nd
13=1.8467 νd
13=23.78
r
24=-60.147
d
24=1.000 nd
14=1.8810 νd
14=40.14
r
25=44.769
d
25=15.363
r
26=41.027
d
26=9.594 nd
15=1.4970 νd
15=81.61
r
27=-388.782
d
27=24.109
r
28=∞
d
28=2.000 nd
16=1.5168 νd
16=64.20
r
29=∞
d
29=1.000
r
30=∞(結像面)
【0139】
(各合焦状態の数値データ)
無限遠(0倍) -0.5倍 最至近距離(-1.0倍)
D(12) 2.214 16.575 33.986
D(17) 32.851 18.490 1.079
光学系全系の焦点距離 174.609 127.381 85.862
FNO(Fナンバー) 2.884 4.326 5.768
ω(半画角) 7.038 5.499 4.551
【0140】
(条件式(1)に関する数値)
|B|=1.000
B:光学系全系の最大横倍率
【0141】
(条件式(2)に関する数値)
|fVC|/f=0.323
|fVC(防振光学系VC
4の焦点距離)|=56.424
f(無限遠物体合焦状態における光学系全系の焦点距離)=174.609
【0142】
(条件式(3)に関する数値)
f3/f=0.841
f3(第3レンズ群G
43の焦点距離)=146.884
【0143】
(条件式(4)に関する数値)
f2p/|f2|=0.669
f2p(第2レンズ群G
42に含まれる正レンズL
423の焦点距離)=31.034
|f2(第2レンズ群G
42の焦点距離)|=46.383
【0144】
(条件式(5)に関する数値)
(1−bvf)×baf=-0.731
bvf(無限遠物体合焦状態における防振光学系VC
4の横倍率)=2.281
baf(無限遠物体合焦状態における、防振光学系VC
4よりも像側に配置されているレンズ全体の合成横倍率)=0.571
【0145】
(条件式(6)に関する数値)
OL/f=0.974
OL(正レンズL
411の物体側面から結像面IMGまでの光軸上の距離)=170.000
f(無限遠物体合焦状態における光学系全系の焦点距離)=174.609
【0146】
図11は、実施例4にかかる撮影レンズの縦収差図である。球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、FNOで示す)を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はc線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。非点収差図において、縦軸は像高(図中、Yで示す)を表し、d線(λ=587.56nm)に相当する波長の特性を示している。なお、非点収差図において、実線はサジタル像面(図中、Sで示す)、破線はメリディオナル像面(図中、Mで示す)の特性を示している。歪曲収差図において、縦軸は像高(図中、Yで示す)を表し、d線(λ=587.56nm)に相当する波長の特性を示している。
【0147】
図12は、実施例4にかかる撮影レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。これらの図において、(a)は防振補正を行っていない基本状態を示し、(b)は防振光学系VC
4を光軸に対して垂直な方向に0.750mm移動させた防振補正時の状態を示している。撮影距離が∞において、当該光学系が0.18°だけ傾いた場合の像偏心量は、防振光学系VC
4が光軸と垂直な方向に0.750mmだけ平行移動するときの像偏心量に等しい。
【0148】
図12(a)、
図12(b)において、それぞれ、上段は最大像高の70%の像点における横収差、中段は軸上像点における横収差、下段は最大像高の−70%の像点における横収差を示している。なお、各横収差図において、横軸は瞳面上での主光線からの距離を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はc線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。
【実施例5】
【0149】
図13は、実施例5にかかる撮影レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
図13は、無限遠物体合焦状態を示している。この撮影レンズは、図示しない物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G
51と、負の屈折力を有する第2レンズ群G
52と、正の屈折力を有する第3レンズ群G
53と、が配置されて構成される。第2レンズ群G
52と第3レンズ群G
53との間には、光学的絞りSTPが配置されている。第3レンズ群G
53と結像面IMGとの間には、カバーガラスCGが配置されている。
【0150】
第1レンズ群G
51は、物体側から順に、正レンズL
511と、負レンズL
512と、正レンズL
513と、正レンズL
514と、正レンズL
515と、負レンズL
516と、正レンズL
517と、が配置されて構成される。負レンズL
512と正レンズL
513とは、接合されている。正レンズL
515と負レンズL
516とは、接合されている。
【0151】
第2レンズ群G
52は、物体側から順に、負レンズL
521と、負レンズL
522と、正レンズL
523と、が配置されて構成される。
【0152】
第3レンズ群G
53は、物体側から順に、正レンズL
531と、正レンズL
532と、負レンズL
533と、正レンズL
534と、が配置されて構成される。
【0153】
この撮影レンズでは、第1レンズ群G
51および第3レンズ群G
53を固定したまま、第2レンズ群G
52を光軸に沿って物体側から結像面IMG側へ移動させることにより、無限遠合焦状態から最至近距離合焦状態までのフォーカシングを行う。また、第3レンズ群G
53中の、負レンズL
533と正レンズL
534とから防振光学系VC
5を構成し、防振光学系VC
5を光軸に対して垂直な方向へ移動させることによって、防振補正を行う。
【0154】
以下、実施例5にかかる撮影レンズに関する各種数値データを示す。
【0155】
(レンズデータ)
r
1=467.948
d
1=6.426 nd
1=1.8830 νd
1=40.81
r
2=-790.785
d
2=0.200
r
3=218.169
d
3=3.000 nd
2=2.0006 νd
2=25.46
r
4=76.171
d
4=17.340 nd
3=1.4970 νd
3=81.61
r
5=1687.211
d
5=0.200
r
6=69.004
d
6=14.333 nd
4=2.0010 νd
4=29.13
r
7=182.746
d
7=0.200
r
8=62.837
d
8=16.419 nd
5=1.4970 νd
5=81.61
r
9=3559.753
d
9=4.000 nd
6=1.8340 νd
6=37.35
r
10=43.669
d
10=7.213
r
11=90.998
d
11=8.773 nd
7=1.5935 νd
7=67.00
r
12=-298.197
d
12=D(12)(可変)
r
13=541.827
d
13=2.000 nd
8=1.9004 νd
8=37.37
r
14=60.2
d
14=6.387
r
15=-559.193
d
15=2.000 nd
9=1.8042 νd
9=46.50
r
16=57.993
d
16=0.429
r
17=61.747
d
17=7.200 nd
10=1.9229 νd
10=20.88
r
18=1542.363
d
18=D(18)(可変)
r
19=∞(光学的絞り)
d
19=2.000
r
20=355.503
d
20=5.299 nd
11=1.4970 νd
11=81.61
r
21=-74.567
d
21=0.200
r
22=53.886
d
22=7.997 nd
12=1.4970 νd
12=81.61
r
23=249.797
d
23=2.427
r
24=1095.918
d
24=1.200 nd
13=1.8348 νd
13=42.72
r
25=31.88
d
25=4.000 nd
14=1.6034 νd
14=38.01
r
26=60.105
d
26=78.374
r
27=∞
d
27=2.000 nd
15=1.5168 νd
15=64.20
r
28=∞
d
28=1.000
r
29=∞(結像面)
【0156】
(各合焦状態の数値データ)
無限遠(0倍) -0.5倍 最至近距離(-1.0倍)
D(12) 1.998 22.458 47.320
D(18) 47.385 26.925 2.064
光学系全系の焦点距離 290.982 156.656 97.993
FNO(Fナンバー) 2.884 4.326 5.768
ω(半画角) 4.162 1.276 -0.489
【0157】
(条件式(1)に関する数値)
|B|=1.000
B:光学系全系の最大横倍率
【0158】
(条件式(2)に関する数値)
|fVC|/f=0.206
|fVC(防振光学系VC
5の焦点距離)|=59.917
f(無限遠物体合焦状態における光学系全系の焦点距離)=290.982
【0159】
(条件式(3)に関する数値)
f3/f=2.236
f3(第3レンズ群G
53の焦点距離)=650.753
【0160】
(条件式(4)に関する数値)
f2p/|f2|=0.984
f2p(第2レンズ群G
52に含まれる正レンズL
523の焦点距離)=69.537
|f2(第2レンズ群G
52の焦点距離)|=70.702
【0161】
(条件式(5)に関する数値)
(1−bvf)×baf=-1.363
bvf(無限遠物体合焦状態における防振光学系VC
5の横倍率)=2.363
baf(無限遠物体合焦状態における、防振光学系VC
5よりも像側に配置されているレンズ全体の合成横倍率)=1.000
【0162】
(条件式(6)に関する数値)
OL/f=0.859
OL(正レンズL
511の物体側面から結像面IMGまでの光軸上の距離)=250.000
f(無限遠物体合焦状態における光学系全系の焦点距離)=290.982
【0163】
図14は、実施例5にかかる撮影レンズの縦収差図である。球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、FNOで示す)を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はc線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。非点収差図において、縦軸は像高(図中、Yで示す)を表し、d線(λ=587.56nm)に相当する波長の特性を示している。なお、非点収差図において、実線はサジタル像面(図中、Sで示す)、破線はメリディオナル像面(図中、Mで示す)の特性を示している。歪曲収差図において、縦軸は像高(図中、Yで示す)を表し、d線(λ=587.56nm)に相当する波長の特性を示している。
【0164】
図15は、実施例5にかかる撮影レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。これらの図において、(a)は防振補正を行っていない基本状態を示し、(b)は防振光学系VC
5を光軸に対して垂直な方向に0.371mm移動させた防振補正時の状態を示している。撮影距離が∞において、当該光学系が0.10°だけ傾いた場合の像偏心量は、防振光学系VC
5が光軸と垂直な方向に0.371mmだけ平行移動するときの像偏心量に等しい。
【0165】
図15(a)、
図15(b)において、それぞれ、上段は最大像高の70%の像点における横収差、中段は軸上像点における横収差、下段は最大像高の−70%の像点における横収差を示している。なお、各横収差図において、横軸は瞳面上での主光線からの距離を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はc線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。
【0166】
なお、上記各実施例中の数値データにおいて、r
1、r
2、・・・・は各レンズ、絞り面等の曲率半径、d
1、d
2、・・・・は各レンズ、絞り等の肉厚またはそれらの面間隔、nd
1、nd
2、・・・・は各レンズ等のd線(λ=587.56nm)に対する屈折率、νd
1、νd
2、・・・・は各レンズ等のd線(λ=587.56nm)に対するアッベ数を示している。そして、長さの単位はすべて「mm」、角度の単位はすべて「°」である。
【0167】
以上説明したように、上記各実施例の撮影レンズは、防振補正を行う防振光学系を備え、フォーカス群の小型、軽量化を図り、フォーカス駆動系への負荷を低減するとともに、簡素な構成で良好な結像性能を得ることができる。望遠系の近距離撮影可能なインナーフォーカス式の明るい撮影レンズを実現することができる。
【0168】
また、防振補正時における防振光学系の光軸に対して垂直方向への移動量(偏芯量)を抑制することができるため、光学系外径の拡大を抑制することができるとともに、高速で、良好な防振補正を行うことができる。また、防振補正時の結像性能を向上させることができる。
【0169】
さらに、上記各実施例の撮影レンズは、フォーカス群のフォーカスストローク量を抑えるとともに、フォーカシング時の収差変動を抑制することで、全長を短くして、結像性能を向上させることができる。加えて、フォーカス群の小型、軽量化を図ることで、動画撮影に欠かせない高速なオートフォーカス処理を良好に行うことが可能になる。
【0170】
なお、上記各実施例に示した撮影レンズでは、光学的絞りはフォーカシング時に結像面に対して固定される方式を採用しているが、必ずしも光学的絞りが結像面に対して固定される必要はない。たとえば、フォーカシング時に光学的絞りを光軸に沿って移動させて近距離撮影時の周辺光量の調整や収差補正を行うことも可能である。
【0171】
<適用例>
以下、本発明の実施例1〜5に示した撮影レンズを撮影装置に適用した例を示す。
図16は、本発明にかかる撮影レンズを備えた撮影装置の一適用例を示す図である。
図16には、撮影レンズ100を収容したレンズ鏡筒110が撮影装置200に取付けられている状態を示している。
【0172】
撮影レンズ100は、実施例1〜5に示したものである。レンズ鏡筒110はマウント部111を介して撮影装置200に対して着脱可能になっている。マウント部111としては、スクリュータイプやバヨネットタイプ等のマウントが考えられる。この例では、バヨネットタイプのマウントを使用している。
【0173】
撮影レンズ100により撮像された像は撮影装置200に搭載された撮像素子201(CCDやCMOS等)の撮像面上に結像し、その像に関する撮像素子201からの出力信号が図示しない信号処理回路によって演算処理され、表示部202に像が表示される。
【0174】
上記のように構成することで、良好な防振補正機能を有し、簡素な構成で良好な結像性能を得ることができる、望遠系の近距離撮影可能なインナーフォーカス式の撮影レンズを備えた撮影装置を実現することができる。この撮影装置は、動画撮影にも好適である。
【0175】
図16では、本発明にかかる撮影レンズをミラーレス一眼カメラに用いた例を示した。しかし、本発明にかかる撮影レンズは、ミラーレス一眼カメラのみならず、その他のレンズ交換式カメラやデジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等に用いることも可能である。