特開2016-181462(P2016-181462A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2016181462-燃料電池システム 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-181462(P2016-181462A)
(43)【公開日】2016年10月13日
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20160916BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20160916BHJP
【FI】
   H01M8/04 Z
   H01M8/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-62066(P2015-62066)
(22)【出願日】2015年3月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 立樹
【テーマコード(参考)】
5H026
5H127
【Fターム(参考)】
5H026AA06
5H026HH06
5H127AA07
5H127BA05
5H127BA12
5H127BA36
5H127BA57
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127DB63
5H127DC99
(57)【要約】
【課題】燃料電池において出力しようとする所定の電流の値が小さいときに、不必要な報知を抑える燃料電池システムを提供すること。
【解決手段】燃料電池システムの燃料供給制御部は、燃料電池から出力されている出力電流の値が、所定の値に応じて変化するように設定された出力電流許容範囲に入っているか否かを判断する。燃料電池から出力されている出力電流の値が、出力電流許容範囲に入っていない場合には、燃料供給制御部は、報知装置を駆動させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、
前記燃料電池からの出力電流の値が所定の値となるように、前記燃料電池へ供給する燃料の量を制御する燃料供給制御部と、
前記燃料供給制御部による制御により駆動される報知装置と、を有し、
前記燃料供給制御部は、前記燃料電池から出力されている出力電流の値が、前記所定の値に応じて変化するように設定された出力電流許容範囲に入っているか否かを判断し、前記燃料電池から出力されている出力電流の値が、前記出力電流許容範囲に入っていない場合には、前記報知装置を駆動させる制御を行う、燃料電池システム。
【請求項2】
前記出力電流許容範囲は、前記所定の値と、前記所定の値に基づいて算出される所定の比率と、に基づいて設定され、
前記所定の比率は、前記所定の値が大きくなるにつれて、小さくなるように設定されている請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記所定の値の変化に応じて、前記比率は、段階的に変化するように設定されている請求項2に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アノード及びカソードを有する燃料電池(固体酸化物型燃料電池:SOFC(Solid Oxide Fuel Cell)等)を備えた燃料電池システムが知られている。燃料電池システムは、燃料電池のアノードに供給されるアノードガスと燃料電池のカソードに供給されるカソードガスとを電気化学的に反応させることによって発電を行う。
【0003】
燃料電池のアノードに供給されるアノードガスは、改質器において、触媒上で都市ガスなどの炭化水素系の燃料と、改質水としての水と、が反応して生成される(例えば、特許文献1参照)。改質器には、燃料電池において出力しようとする所定の電流の値(目標電流値)に相当する量の燃料が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−147264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実際に燃料電池から出力される電流の値が、目標電流値よりも小さい場合には、燃料電池のアノードに、過剰にアノードガスが供給されることになり、燃料電池において熱余りの状態になり、高温になる。このため、燃料電池等が損傷する恐れがある。そこで、例えば、目標電流値を基準とした所定の比率の範囲内に、実際に燃料電池から出力される電流の値が入っていなければ、アラーム等を報知することが行われることが必要である。
【0006】
しかし、燃料電池から出力される電流の値は一定ではなく、また、燃料電池から出力される電流の値が小さいときには、燃料電池から出力される電流の値が大きいときと比較して、アラーム等の報知が行われる回数が多くなる可能性がある。
【0007】
本発明は、燃料電池において出力しようとする所定の電流の値が小さいときに、不必要な報知を抑える燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、燃料電池と、前記燃料電池からの出力電流の値が所定の値となるように、前記燃料電池へ供給する燃料の量を制御する燃料供給制御部と、前記燃料供給制御部による制御により駆動される報知装置と、を有し、前記燃料供給制御部は、前記燃料電池から出力されている出力電流の値が、前記所定の値に応じて変化するように設定された出力電流許容範囲に入っているか否かを判断し、前記燃料電池から出力されている出力電流の値が、前記出力電流許容範囲に入っていない場合には、前記報知装置を駆動させる制御を行う、燃料電池システムに関する。
【0009】
また、前記出力電流許容範囲は、前記所定の値と、前記所定の値に基づいて算出される所定の比率と、に基づいて設定され、前記所定の比率は、前記所定の値が大きくなるにつれて、小さくなるように設定されていることが好ましい。また、前記所定の値の変化に応じて、前記比率は、段階的に変化するように設定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、燃料電池において出力しようとする所定の電流の値が小さいときに、不必要な報知を抑える燃料電池システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態による燃料電池システム1を示す概略図である。
図2】本発明の実施形態による燃料電池システム1の燃料供給制御部51による制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態による燃料電池システムについて、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態による燃料電池システム1を示す概略図である。
図1において、実線はラインを示し、点線は電気的な接続(有線又は無線による信号の入出力のための接続)を示し、二重線は、電気的な接続(電力を供給するための接続)を示している。また、以下の説明において、「ライン」とは、流路、経路、管路等の総称である。
【0013】
図1に示すように、燃料電池システム1は、燃料電池11と、改質器12と、燃焼器13と、燃料ガス供給部14と、改質水供給端15Aと、改質水量調整部としての改質水量調整ポンプ15Bと、カソードガス供給部16と、カソードガス供給量調整ポンプ16Aと、報知装置19と、制御部50と、を備える。
【0014】
また、燃料電池システム1は、燃料ガス供給ラインL1と、改質水供給ラインL2と、アノードガス供給ラインL3と、カソードガス供給ラインL4と、アノードオフガスラインL5と、カソードオフガスラインL6と、排ガスラインL7と、を備える。
【0015】
燃料ガス供給ラインL1の上流側端部は、燃料ガス供給部14に接続されている。燃料ガス供給ラインL1の下流側端部は、改質器12に接続されている。燃料ガス供給ラインL1の途中には、弁14Aが設けられている。燃料ガス供給ラインL1には、燃料ガス供給部14から改質器12に供給される燃料ガスG1が流通する。弁14Aは、入力される制御信号に応じて、改質器12に供給される燃料ガスG1の供給量を調整する。
【0016】
改質水供給ラインL2の上流側端部は、改質水供給端15Aに接続されている。改質水供給ラインL2の下流側端部は、改質器12に接続されている。改質水供給ラインL2の途中には、改質水量調整ポンプ15Bが設けられている。改質水供給ラインL2には、改質水供給端15Aから改質器12に供給される改質水W1が流通する。また、改質水量調整ポンプ15Bは、入力される制御信号に応じて、改質器12に供給される改質水W1の供給量を調整する。改質水供給端15A及び改質水量調整ポンプ15Bは、改質水供給部15を構成する。
【0017】
アノードガス供給ラインL3の上流側端部は、改質器12に接続されている。アノードガス供給ラインL3の下流側端部は、燃料電池11に接続されている。アノードガス供給ラインL3には、改質器12において生成された水素を含むアノードガスG2が、燃料電池11に向けて流通する。アノードガスG2には、水素や一酸化炭素、未反応のメタン、未利用の水蒸気等が含まれる。
【0018】
カソードガス供給ラインL4の上流側端部は、カソードガス供給部16に接続されている。カソードガス供給ラインL4の下流側端部は、燃料電池11に接続されている。カソードガス供給ラインL4の途中には、カソードガス供給量調整ポンプ16Aが設けられている。カソードガス供給ラインL4には、カソードガス供給部16から燃料電池11のカソードに供給されるカソードガスとしての空気A1が、燃料電池11に向けて流通する。カソードガス供給量調整ポンプ16Aは、入力される制御信号に応じて、燃料電池11に向けて流通する空気A1の量を調整する。
【0019】
カソードガス供給部16、カソードガス供給量調整ポンプ16A、及びカソードガス供給ラインL4は、カソードガス供給部21を構成する。
【0020】
アノードオフガスラインL5の上流側端部は、燃料電池11に接続されている。アノードオフガスラインL5の下流側端部は、燃焼器13に接続されている。アノードオフガスラインL5には、燃料電池11から排出されるアノードオフガスG3が、燃焼器13に向けて流通する。
【0021】
カソードオフガスラインL6の上流側端部は、燃料電池11に接続されている。カソードオフガスラインL6の下流側端部は、燃焼器13に接続されている。カソードオフガスラインL6には、燃料電池11から排出されるカソードオフガスG4が、燃焼器13に向けて流通する。
【0022】
排ガスラインL7の上流側端部は、燃焼器13に接続されている。排ガスラインL7の下流側端部は、熱交換器等(不図示)に接続されている。排ガスラインL7には、燃焼器13から排出される排ガスG5が流通する。
【0023】
燃料電池11は、高温型の燃料電池であるSOFC(固体酸化物型燃料電池)である。燃料電池11は、複数の燃料電池セルが積層配置されて、燃料電池スタック(不図示)とされたものである。燃料電池11は、改質器12から供給されたアノードガスG2及びカソードガス供給部21から供給されたカソードガスA1を使用して発電する。より具体的には、燃料電池11は、アノードガスG2に含まれる水素及びカソードガスA1に含まれる酸素を使用して発電する。
【0024】
改質器12は、燃料ガス供給部14から供給される燃料ガスG1、及び、改質水供給部15から供給される改質水W1を、所定の熱量で加熱して触媒上で反応させ、アノードガスG2を生成する。このアノードガスG2は、燃料電池11に供給される。燃料ガス供給部14から供給される燃料ガスG1の量及び改質水供給部15から供給される改質水W1の量は、燃料電池11において出力しようとする所定の電流の値(以下「目標電流値」)に相当する量のアノードガスG2を生成するために最適な量に設定される。
【0025】
燃焼器13は、燃料電池11から排出されるアノードオフガスG3及びカソードオフガスG4を燃焼させて、排ガスG5として排ガスラインL7に排出する。
【0026】
パワーコンディショナ181は、DCバスにより電気的に接続されたDC/DCコンバータ(不図示)と系統連系インバータ(不図示)とを有している。
【0027】
DC/DCコンバータは、燃料電池11から出力される90V〜160V程度の直流電圧を、所定の直流電圧に変換(昇圧)する。所定の直流電圧とは、例えば、系統連系インバータにおいて系統182に供給可能な電圧(例えば、AC200V)の生成ができる程度の電圧(例えば、DC280V)であり、この出力電圧は、固定値である。
【0028】
従って、DC/DCコンバータは、燃料電池11から出力される直流電圧が、最低入力許容電圧値よりも大きいときに、燃料電池11から出力される直流電圧を所定の直流電圧に変換する。逆に、DC/DCコンバータは、燃料電池11から出力される直流電圧が、最低入力許容電圧値よりも小さいときには、直流電圧を昇圧する変換を停止する。最低入力許容電圧値とは、例えば、80Vである。
【0029】
系統連系インバータは、DC/DCコンバータで昇圧されDC/DCコンバータから出力される直流電圧を、系統182に供給可能な、系統182と同期の取れた所定の交流電圧(例えば、AC200V)に変換して系統182に供給する。系統連系インバータは、交流電圧を系統182に供給するため、系統連系インバータから出力される交流電圧の値は、固定値である。
【0030】
出力電流検出部17は、電流センサを有している。出力電流検出部17の電流センサは、燃料電池11から出力されてパワーコンディショナ181のDC/DCコンバータに入力される直流電流値を検出する。検出した直流電流値は、制御部50に出力され、制御部50において検知される。
【0031】
報知装置19は、音や光等により報知を行うアラーム等により構成される。報知装置19は、後述の制御部50の燃料供給制御部51による制御により駆動される。
【0032】
制御部50は、弁14A、改質水量調整ポンプ15B、カソードガス供給量調整ポンプ16A、出力電流検出部17、報知装置19に電気的に接続されており、燃料供給制御部51を有している。
【0033】
制御部50の燃料供給制御部51は、燃料電池11からの出力電流の値が目標電流値となるように、燃料電池11へ供給する燃料の量を制御する。より具体的には、例えば、燃料電池11の起動時には、目標電流値としての1Aの電流を燃料電池11が出力するように、予め設定された当該1Aの出力電流に相当する量の燃料ガスG1を、燃料ガス供給部14から改質器12へ供給するように、弁14Aを制御する。また、例えば、燃料電池11の定格運転時には、目標電流値としての15Aの電流を燃料電池11が出力するように、予め設定された当該15Aの出力電流に相当する量の燃料ガスG1を、燃料ガス供給部14から改質器12へ供給するように、弁14Aを制御する。
【0034】
また、制御部50の燃料供給制御部51は、実際に燃料電池11から出力されている出力電流の値が、目標電流値に応じて変化するように設定された出力電流許容範囲に入っているか否かを判断する。燃料電池11から出力されている出力電流の値が、出力電流許容範囲に入っていない場合には、報知装置19を駆動させる制御を行う。
【0035】
より具体的には、出力電流許容範囲は、予め設定されている。制御部50の燃料供給制御部51が、目標電流値としての1A〜5Aの間の電流を燃料電池11が出力するように制御を行う際には、出力電流許容範囲は、当該目標電流値を基準とした当該目標電流値の−50%を下限とする値の範囲である。具体例を挙げると、出力電流許容範囲は、目標電流値が1Aであれば、0.5A以上の値の範囲である。0.5A未満では、出力電流許容範囲外となる。また、制御部50の燃料供給制御部51が、目標電流値としての6A〜10Aの間の電流を燃料電池11が出力するように制御を行う際には、出力電流許容範囲は、当該目標電流値を基準とした当該目標電流値の−20%を下限とする範囲である。具体例を挙げると、目標電流値が6Aであれば、4.8A以上の値の範囲である。4.8A未満では、出力電流許容範囲外となる。また、制御部50の燃料供給制御部51が、目標電流値としての10Aを超える電流を燃料電池11が出力するように制御を行う際には、出力電流許容範囲は、当該目標電流値を基準とした当該目標電流値の−10%を下限とする範囲である。具体例を挙げると、目標電流値が10Aであれば、9A以上の値の範囲である。9A未満では、出力電流許容範囲外となる。
【0036】
そして、前述のように、制御部50の燃料供給制御部51は、出力電流検出部17により検出された、実際に燃料電池11から出力されている出力電流の値が、出力電流許容範囲に入っているか否かを判断する。例えば、燃料電池11からの出力電流の値が目標電流値である1Aとなるように、燃料供給制御部51が、燃料電池11へ供給する燃料の量を制御しているときに、実際に燃料電池11から出力されている出力電流の値が0.6Aであれば、出力電流許容範囲に入っている。この場合には、制御部50の燃料供給制御部51は、報知装置19の駆動を行わない。これに対して、燃料電池11からの出力電流の値が目標電流値である1Aとなるように、燃料供給制御部51が、燃料電池11へ供給する燃料の量を制御しているときに、実際に燃料電池11から出力されている出力電流の値が0.4Aであれば、出力電流許容範囲に入っていない。この場合には、制御部50の燃料供給制御部51は、報知装置19の駆動を行う。
【0037】
上述のように、出力電流許容範囲は、所定の値である目標電流値と、目標電流値に基づいて算出される所定の比率(−50%、−20%、−10%)と、に基づいて設定される。そして所定の比率は、目標電流値が大きくなるにつれて、小さくなるように設定されている。また、目標電流値の変化に応じて、比率は、段階的に変化するように設定されている。
【0038】
次に、本実施形態の燃料電池システム1において、燃料電池11の起動時から燃料電池11の出力電流が徐々に大きくなり、定格運転時に至るまでの間に、制御部50の燃料供給制御部51が行う制御の一例について、図2のフローチャートを参照しながら説明する。図2は、本発明の実施形態による燃料電池システム1の燃料供給制御部51による制御を示すフローチャートである。
【0039】
燃料電池11の起動時には、燃料電池11の出力電流の値は小さく設定される。燃料電池11の起動時には、制御部50の燃料供給制御部51は、目標電流値としての1A〜5Aの値の電流を燃料電池11が出力するように制御を行う。即ち、燃料供給制御部51による制御は、S11へ進む。
【0040】
ステップS11において、燃料供給制御部51は、閾値である出力電流許容範囲を決定する所定の比率を「−50%」に設定する。そして、燃料供給制御部51の処理は、ステップS12へ進む。ステップS12において、燃料供給制御部51は、出力電流検出部17により検出された、燃料電池11から出力されている出力電流の値が、出力電流許容範囲に入っているか否かを判断する。ステップS12において、出力電流の値が、出力電流許容範囲に入っていないと、燃料供給制御部51が判断した場合(NO)には、燃料供給制御部51の処理は、ステップS13へ進む。ステップS13において、燃料供給制御部51は、報知装置19を駆動して、燃料電池11から出力されている出力電流の値が、出力電流許容範囲に入っていない旨を報知する。そして、燃料供給制御部51の処理は、ステップS12へ戻る。
【0041】
ステップS12において、出力電流の値が、出力電流許容範囲に入っていると、燃料供給制御部51が判断した場合(YES)には、燃料供給制御部51の処理は、ステップS14へ進む。ステップS14において、燃料供給制御部51は、目標電流値が6A以上になったか否かの判断を行う。ステップS14において、目標電流値が6A未満であると、燃料供給制御部51が判断した場合(NO)には、燃料供給制御部51の処理は、ステップS11へ戻る。ステップS14において、目標電流値が6A以上になっていると、燃料供給制御部51が判断した場合(YES)には、燃料供給制御部51の処理は、ステップS15へ進む。
【0042】
ステップS15において、燃料供給制御部51は、閾値である出力電流許容範囲を決定する所定の比率を「−20%」に設定する。そして、燃料供給制御部51の処理は、ステップS16へ進む。ステップS16において、燃料供給制御部51は、出力電流検出部17により検出された、燃料電池11から出力されている出力電流の値が、出力電流許容範囲に入っているか否かを判断する。ステップS16において、出力電流の値が、出力電流許容範囲に入っていないと、燃料供給制御部51が判断した場合(NO)には、燃料供給制御部51の処理は、ステップS17へ進む。ステップS17において、燃料供給制御部51は、報知装置19を駆動して、燃料電池11から出力されている出力電流の値が、出力電流許容範囲に入っていない旨を報知する。そして、燃料供給制御部51の処理は、ステップS16へ戻る。
【0043】
ステップS16において、出力電流の値が、出力電流許容範囲に入っていると、燃料供給制御部51が判断した場合(YES)には、燃料供給制御部51の処理は、ステップS18へ進む。ステップS18において、燃料供給制御部51は、目標電流値が10Aを超える値とされたか否かの判断を行う。ステップS18において、目標電流値が10A以下であると、燃料供給制御部51が判断した場合(NO)には、燃料供給制御部51の処理は、ステップS15へ戻る。ステップS18において、目標電流値が10Aを超える値になっていると、燃料供給制御部51が判断した場合(YES)には、燃料供給制御部51の処理は、ステップS19へ進む。
【0044】
ステップS19において、燃料供給制御部51は、閾値である出力電流許容範囲を決定する所定の比率を「−10%」に設定する。そして、燃料供給制御部51の処理は、ステップS20へ進む。ステップS20において、燃料供給制御部51は、出力電流検出部17により検出された、燃料電池11から出力されている出力電流の値が、出力電流許容範囲に入っているか否かを判断する。
【0045】
ステップS20において、出力電流の値が、出力電流許容範囲に入っていると、燃料供給制御部51が判断した場合(YES)には、燃料供給制御部51の処理は、ステップS20へ戻る。ステップS20において、出力電流の値が、出力電流許容範囲に入っていないと、燃料供給制御部51が判断した場合(NO)には、燃料供給制御部51の処理は、ステップS21へ進む。ステップS21において、燃料供給制御部51は、報知装置19を駆動して、燃料電池11から出力されている出力電流の値が、出力電流許容範囲に入っていない旨を報知する。
【0046】
上記本実施形態の燃料電池システム1によれば、以下のような効果を得ることができる。
燃料電池システム1は、燃料電池11と、燃料電池11からの出力電流の値が所定の値となるように、燃料電池11へ供給する燃料の量を制御する燃料供給制御部51と、燃料供給制御部51による制御により駆動される報知装置19と、を有する。燃料供給制御部51は、燃料電池11から出力されている出力電流の値が、所定の値である目標電流値に応じて変化するように設定された出力電流許容範囲に入っているか否かを判断し、燃料電池11から出力されている出力電流の値が、出力電流許容範囲に入っていない場合には、報知装置19を駆動させる制御を行う。
【0047】
このため、燃料電池11からの出力電流の所定の値(目標電流値)の大小に応じて出力電流許容範囲の広狭も変化する。即ち、出力電流許容範囲は、当該目標電流値を基準とした当該目標電流値の−50%、−20%、−10%という具合に変化する。
従来では、目標電流値が大きい場合と比較して、目標電流値が小さいときには、精度が高くないため、実際に燃料電池11から出力されている出力電流の値が、出力電流許容範囲から外れていると誤って検出されることが多かった。
しかし、前述のように、目標電流値の大小に応じて適切な出力電流許容範囲が設定されるように出力電流許容範囲の広狭も変化するため、燃料電池11からの実際に出力される出力電流が頻繁に出力電流許容範囲外となることを抑えることができる。この結果、不必要に報知装置19による報知が行われることを抑えることができる。
【0048】
また、出力電流許容範囲は、所定の値である目標電流値と、目標電流値に基づいて算出される所定の比率と、に基づいて設定される。所定の比率は、目標電流値が大きくなるにつれて、小さくなるように設定されている。このため、目標電流値が小さいときに、不必要に報知装置19による報知が行われることを抑えることができる。
【0049】
また、所定の値の変化に応じて、所定の比率は、段階的に変化するように設定されている。このため、目標電流値が大きくなるにつれて、段階的に広狭の異なる複数の出力電流許容範囲で対応することができる。
【0050】
本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的範囲において変形が可能である。
例えば、燃料供給制御部51による制御における、所定の比率等の各値は、本実施形態の値に限定されない。また、所定の比率は、段階的に変化するように設定されていたが、これに限定されない。また、出力電流許容範囲は、所定の値と、所定の値に基づいて算出される所定の比率と、に基づいて設定されていたが、これに限定されない。また、所定の比率は、所定の値としての目標電流値が大きくなるにつれて、小さくなるように設定されていたが、これに限定されない。例えば、出力許容範囲や所定の比率は、関数式を用いて燃料供給制御部51が適宜算出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 燃料電池システム
11 燃料電池
19 報知装置
50 制御部
51 燃料供給制御部
G1 燃料ガス
図1
図2