【解決手段】パンツ型吸収性物品は、腹側領域に配置される腹側外装体と、背側領域に配置される背側外装体と、を少なくとも有し、上記腹側外装体及び上記背側外装体の少なくとも一方は、伸縮性フィルムと上記伸縮性フィルムに積層された不織シートとを含む第1の伸縮シートを備える外装体と、吸収体を有し、上記外装体に固着された吸収部材と、上記足開口部の少なくとも一部に沿って設けられた第2の伸縮シートと、を備えることを特徴とする。
腹側領域と、前記腹側領域と対向する背側領域と、前記腹側領域と前記背側領域とを繋ぐ股部領域と、を含み、前記腹側領域、前記背側領域及び前記股部領域によってウエスト開口部及び足開口部とが定義されるパンツ型吸収性物品であって、
前記腹側領域に配置される腹側外装体と、前記背側領域に配置される背側外装体と、を少なくとも有し、前記腹側外装体及び前記背側外装体の少なくとも一方は、伸縮性フィルムと前記伸縮性フィルムに積層された不織シートとを含む第1の伸縮シートを備える外装体と、
吸収体を有し、前記外装体に固着された吸収部材と、
前記足開口部の少なくとも一部に沿って設けられた第2の伸縮シートと、
を備えることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1ないし
図5を参照して、本発明の実施形態に係るパンツ型吸収性物品1を説明する。なお、本実施形態の説明は、全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。なお、本明細書の説明において、パンツ型吸収性物品1の長手方向は、パンツ型吸収性物品1が着用されたときに着用者の前後にわたる方向であり、パンツ型吸収性物品1の短手方向は、長手方向に対して横切り又は直交する方向を意味する。また、本明細書の説明において、体液とは、尿、血液や軟便中の水分などの体内から体外に排出された液体をいう。本実施形態のパンツ型吸収性物品1は、例えば、使い捨ておむつ、小児用トレーニングパンツ、失禁用物品、女性の生理用物品として用いることができる。また、本明細書の説明において、不織シートとは、繊維を織らずに絡み合わせたシート状のものを意味する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るパンツ型吸収性物品1を示す正面図であり、
図2は、その背面図である。
図1および
図2に示すように、パンツ型吸収性物品1は、腹側領域31と背側領域32とそれらを繋ぐ股部領域33とを備え、腹側領域31と背側領域32に位置する部分を重ね合わせて、腹側領域31の腹側外装体102および背側領域32の背側外装体104を対向配置し、それらの側端部を相互に固着して、サイドシール部150を形成することで、ウエスト開口部WHおよび一対の足開口部LHとが定義されたものである。サイドシール部150は、超音波やヒートシールなどの公知の方法によって形成することができ、着用者からパンツ型吸収性物品1を除去しやすいように、破断可能に形成されていてもよい。
【0013】
また、パンツ型吸収性物品1には、腹側領域31から股部領域33を経て背側領域32に渡って、左右一対のレッグギャザーを設けることもできる。レッグギャザーは、例えば、糸ゴムなどの弾性部材と不織シート等のシートによって形成される。レッグギャザーを設けることにより、股下周りの部位におけるフィット感が向上する。ウエスト開口部W
Hの周りには、一または複数条の弾性部材160が、ウエスト開口部W
Hに沿って設けられていてもよい。弾性部材160は、弾性部材160を伸張した状態で固着されることで、外装体100を含むパンツ型吸収性物品1を着用者のウエストに対して伸縮して保持するように構成されたものである。弾性部材160は、糸状、ストリップ状、ウエストベルト状などの如何なる形状でもよい。弾性部材160としては、例えば、単数または複数の糸ゴム、不織シートに糸ゴムが固着されたウエストベルト、エラストマーフィルム、弾性発泡材、エラストマー布などの任意の弾性伸縮材料を用いることができる。
【0014】
(外装体100)
次に、
図1から
図3を用いて、外装体100を説明する。
図3は、本発明の実施形態に係るパンツ型吸収性物品のサイドシール部を分離して展開した展開平面図である。
図1に示すように、外装体100は、腹側領域31に配置される腹側外装体102と、背側領域32に配置される背側外装体104と、を少なくとも有する。外装体100は、
図1から
図3に示すように、腹側外装体102と背側外装体104とに分離されて設けられ、腹側外装体102の側端部と背側外装体104の側端部とは、相互に固着されてサイドシール部150をなす。図示するように、外装体100が、足開口部LHの少なくとも一部を定義するような形状をとると、フィット感が良好なパンツ型吸収性物品1を得ることができる。
【0015】
図4は、パンツ型吸収性物品の第1の伸縮シート120の一部を切り出し、説明のために各層を離間させて図示した第1の伸縮シート120の構造説明図である。腹側外装体102及び背側外装体104の少なくとも一方は、
図4に示すように、伸縮性フィルム126と伸縮性フィルム126に積層された少なくとも一の不織シート122,124とを含んで伸縮可能とした第1の伸縮シート120を備える。腹側外装体102及び背側外装体104は、その一方が全体的に第1の伸縮シート120からなるものであってもよいし、両方が第1の伸縮シート120からなるものであってもよい。なお、第1の伸縮シート120は、伸縮性フィルム126が複数の不織シート122,124に挟まれたものであることが好ましい。例えば、第1の伸縮シート120は、2枚の不織シート122,124の間に、樹脂製の伸縮性フィルム126が挟まれて一体化された不織シート122/伸縮性フィルム126/第2の不織シート124の積層構造を有するものである。
【0016】
次に、第1の伸縮シート120を構成する不織シート122,124と伸縮性フィルム126とを説明する。この不織シート122,124としては、例えば、スパンボンドやメルトブロー不織シート、あるいは、スパンボンド/メルトブロー、スパンボンド/メルトブロー/スパンボンドを積層した複合不織シート、及びこれらの複合材料が例示される。また、この伸縮性フィルム126は、不織シートよりも大きい伸縮性を備えたものであればよく、不織シートよりも伸縮性が大きい樹脂フィルムであってもよい。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂等から形成されたフィルムがあげられる。なかでも、コスト及び伸縮性能の観点から、ポリウレタン系樹脂フィルムが好ましい。
【0017】
第1の伸縮シート120は、パンツ型吸収性物品1の長手方向および短手方向の二軸方向の両方において伸縮特性を有するものであることが好ましい。そして、第1の伸縮シート120は、パンツ型吸収性物品1の短手方向の伸縮性が、パンツ型吸収性物品1の長手方向の伸縮性よりも大きいことが好ましい。そして、着用者が着脱しやすいという観点から、第1の伸縮シート120は、短手方向に200%以上270%以下の伸び率を有するものであることが好ましい。
【0018】
第1の伸縮シート120は、非伸縮状態において、20cm
3/cm
2・秒以上のJIS L 1096−A(フラジール法):1990に基づいて測定される通気度を有してもよい。通気度が20cm
3/cm
2・秒未満であると、着用時に蒸れ易くなる。通気度は、伸縮シート120を構成する第1の不織シート122および第2の不織シート124の繊維や糸の太さ、織り密度、単位面積当たりの重さや、伸縮シート120に設けられた開口部の開口面積率等により、自由に変えることができる。
【0019】
また、第1の伸縮シート120は、伸縮方向に150%伸長したときに、50cm
3/cm
2・秒以上のJIS L 1096−A(フラジール法):1990に基づいて測定される通気度を有する。ここで、伸縮方向に150%伸長したとは、非伸縮状態の伸縮シート120の自然長L1に対する、特定の方向(伸縮方向)に伸縮シート120を伸長して伸長状態としたときの長さL2の伸長率を示すものであって、伸長率=L2/L1×100[%]で計算されたものである。すなわち、例えば、非伸縮状態の自然長10cmの第1の伸縮シート120を伸長方向に伸長させて15cmとした場合、伸縮方向に150%(=15/10×100)伸長したものとなる。通気度が50cm
3/cm
2・秒未満であると、伸長された状態で使用する部位、例えば、おしり周りの部位が着用時に蒸れ易くなる。
【0020】
第1の伸縮シート120を構成する伸縮性フィルム126には複数の開口部が形成されていてもよい。これらの複数の開口部によって、パンツ型吸収性物品1の外装体100における通気性を向上することができる。伸縮性フィルム126の開口部による耐久性の低下を緩和するために、これらの複数の開口部は千鳥状に配置されていてもよい。また、これらの複数の開口部の形状は特に限定されず、例えば、長方形、楕円形、ひし形等であってもよい。
【0021】
(吸収部材200)
パンツ型吸収性物品1は、肌当接面側からの体液を吸収するために配置される吸収部材200を備える。
図1から
図3に示すように、吸収部材200は、肌当接面側に配置された液透過性のトップシート210と、トップシート210に対向して配置された非肌当接面側の液不透過性のバックシート230と、トップシート210とバックシート230との間に配置された吸収体220とを備える。なお、吸収体220は、
図3において、破線部で示されるものである。これにより、吸収体220は、トップシート210とバックシート230との間に挟まれた構造となっている。吸収部材200には、さらに、バックシート230の非肌当接面側に裏面不織シート(図示せず)が積層されていてもよい。なお、吸収部材200は、外装体100と異なり、吸収性能を重視するため、第1の伸縮シート120を含まず、少なくとも第1の伸縮シート120よりも伸縮性が低いものであってもよい。すなわち、吸収部材200を構成するトップシート210、バックシート230と、吸収体220の少なくとも一つは、実質的に非伸縮性か、または、第1の伸縮シート120よりも伸縮性が低いものであってもよい。
【0022】
トップシート210の基材は、体液が吸収体220へと移動するように液透過性を備えていればよく、例えば、サーマルボンド不織シート等の不織シート、サーマルボンド/スパンボンドを積層した複合不織シート、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム、あるいは、これらを積層した複合シートといった材料から形成される。また、トップシート210は、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。その加工方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。また、肌への刺激を低減させるために、トップシート210には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。さらに、強度および加工性の点から、トップシート210の坪量は、14g/m
2以上40g/m
2以下であることが好ましい。
【0023】
トップシート210の形状としては、特に制限はないが、トップシート210とバックシート230とは、吸収体220よりも面積が大きいものであってもよく、吸収部材200の短手方向または長手方向の少なくとも一部において、吸収部材200の厚みが薄くなった部分を有してもよい。これにより、
図3における展開平面図による平面視において、吸収部材200は、吸収体220を含む第1の領域202と、第1の領域202外の第2の領域204と、を含むこととなる。
【0024】
なお、トップシート210の肌当接面側には、吸収体220の長手方向の両側縁部に沿って、体液の漏れを防止する立体ギャザーを設けてもよい。吸収体220の短手方向における立体ギャザーの外端部は、バックシート230に固定され、同短手方向における立体ギャザーの内端部は、長手方向前後部がトップシート210に固着され、前後部間の中央部はトップシート210に固定されない自由端となっており、吸収体220の長手方向に沿って糸ゴム等の立体ギャザー用弾性部材と不織シート等のシートによって形成されることで、起立性を有し、使用者の体型に合わせて伸縮自在に変形可能となっている。
【0025】
バックシート230の基材は、吸収体220が保持する体液が漏れないように液不透過性を備えたものであればよく、不織シート、樹脂フィルム、あるいはこれらを積層した複合シートといった材料から形成される。不織シートは、製法が特に限定されることはなく、例えば、スパンボンドやメルトブロー不織シート、あるいは、スパンボンド/メルトブロー、スパンボンド/メルトブロー/スパンボンドを積層した複合不織シート、及びこれらの複合材料が考えられる。また、樹脂フィルムとして、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等がある。また、装着時の蒸れを防止するために、バックシート230は、透湿性を持たせてもよい。例えば、バックシート230の基材にフィラーを配合することや、バックシートに穿孔のためのエンボス加工を施すことで、バックシート230に透湿性を備えさせることができる。
【0026】
裏面不織シートの基材には、例えば、スパンボンドやメルトブロー不織シート、あるいは、スパンボンド/メルトブロー、スパンボンド/メルトブロー/スパンボンドを積層した複合不織シート、及びこれらの複合材料を用いることができる。
【0027】
吸収体220の基材は、一般に生理用ナプキンやおむつ、尿パッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、親水性シートといった材料を備え、高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す。)を更に含有したものでもよい。フラッフパルプとして、例えば、木材パルプ及び合成繊維、ポリマー繊維等の非木材パルプを綿状に解繊したものがある。また、高吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム系、親水性シートとしては、ティシュ、吸収紙、親水性不織シートが挙げられる。
【0028】
吸収体220は、上記の基材を用いて、単層あるいは複層のシート状で構成される。これらの中でも、吸収体220としては、木材パルプフラッフのような、フラッフパルプの親水性繊維マトリックスを高吸水性樹脂粒子と混合して形成したものが好ましい。また、高吸水性樹脂粒子の漏洩防止や吸収部材の形状を安定させるために、吸収体220をティシュのような親水性シート(図示せず)に包んでもよい。さらに、吸収体220の表面にエンボス加工を施すことで、体液の拡散をコントロールすると共に、着用者の体型に応じて吸収体220を容易に変形可能とすることができる。
【0029】
図3の展開図に示すように、吸収部材200は、少なくとも吸収部材200の長手方向端部200a,200bにおいて、外装体100の肌当接面側の表面に固着された固着部242,244を非肌当接面側に備える。つまり、吸収部材200の長手方向端部200aの非肌当接面側の表面を腹側外装体102の肌当接面側の表面に固着することで固着部242が形成され、吸収部材200の長手方向端部200bの非肌当接面側の表面を背側外装体104の肌当接面側の表面に固着することで固着部244が形成される。この固着部242,244は、例えば、ホットメルト接着剤等による接着、熱溶着あるいは超音波加工等の公知の固着方法により形成することができる。固着部242,244は、固着部242,244の全体が外装体100に固着されていてもよいし、外装体100と吸収部材200との接合部を点状または線状に離間して設けることによって部分的に固着されてもよい。
【0030】
そして、パンツ型吸収性物品1の短手方向において、外装体100の下端部109a,109bに重なる部分の吸収部材200の長さが、外観上、外装体100の下端部109a,109bの長さと略等しくなるように設けられる。そして、吸収部材200は、非肌当接面側の表面に、外装体100に固着された固着部242,244の少なくとも一部を含む固着領域と、外装体100から露出した露出領域と、を備える。このように、吸収部材200に外装体100からの露出した露出領域を設けることで、露出領域におけるパンツ型吸収性物品1の厚さを低減することができ、着用者へのフィット性を向上し、パンツ型吸収性物品1を着用していることを外観上より目立たなくすることができる。
【0031】
(第2の伸縮シート300)
第2の伸縮シート300は、足開口部の少なくとも一部に沿って設けられることにより、パンツ型吸収性物品1の足周りのフィット性を高め、外部に体液が漏れ出ることを防止するものである。これにより、パンツ型吸収性物品1は、外装体100に第1の伸縮シート120を使用したにも関わらず、足周りの質感が良好で、肌触りが良いものとなる。
【0032】
図3に示すように、第2の伸縮シート300には、腹側領域31の足開口部LHに沿って配置された一対の腹側伸縮シート300aと、背側領域32の足開口部LHに沿って配置された一対の背側伸縮シート部300bと、を含んでもよく、この場合、これらを総称して第2の伸縮シート300という。そして、腹側伸縮シート300aと背側伸縮シート部300bとは、図示するように離間配置されてもよい。この場合、第2の伸縮シート300は、その長手方向および短手方向の少なくとも一方において、背側伸縮シート部300bの長さが腹側伸縮シート300aの長さよりも長くてもよい。
【0033】
第2の伸縮シート300は、それぞれが長手方向と、長手方向を横切る短手方向と、が定義された帯状の形状を呈する。そして、第2の伸縮シート300は、第2の伸縮シート300の短手方向の伸縮性よりも第2の伸縮シート300の長手方向の伸縮性のほうが大きくなるように設けられたものである。なお、この伸縮性が最も大きい方向である長手方向を伸縮方向という。例えば、第2の伸縮シート300は、短手方向の長さが10mm以上20mm以下である。そして、第2の伸縮シート300の長手方向の伸縮率は、吸収性物品1の短手方向における第1の伸縮シート120の伸縮率よりも高いものである。これによれば、第2の伸縮シート300の伸縮力によって、吸収性物品1の足周りのフィット性をさらに良好とすることができる。
【0034】
図5は、本発明の実施形態に係るパンツ型吸収性物品1の第2の伸縮シート300の一部を抜き出し、説明のために各層を離間させて図示した第2の伸縮シート300の構造説明図である。
図5に示すように、第2の伸縮シート300は、伸縮性フィルム314とこの伸縮性フィルム314に積層された少なくとも一の不織シート310,312とを含み、伸縮可能としたものである。好ましくは、第2の伸縮シート300は、複数の不織シート310,312との間に、1又は複数の伸縮性フィルム314が挟まれて一体化された積層構造を有するものである。第2の伸縮シート300の1又は複数の不織シート310,312と伸縮性フィルム314は、熱融着又は超音波加工などにより一体化されたものであってもよい。これらは、ホットメルトタイプ等の接着剤を使用せずにパンツ型吸収性物品1に固着されていることが好ましい。これにより、パンツ型吸収性物品1は、足開口部LH周りの糸ゴムおよび接着剤を低減できるから、足開口部LH周りのフィット感および風合いを良好にすることができる。
【0035】
なお、第2の伸縮シート300は、外装体100の第1の伸縮シート120とは形状は異なるが、外装体100の第1の伸縮シート120と材料や積層構造が同一のシート材から形成されたものであってもよいし、第2の伸縮シート300は、外装体100の第1の伸縮シート120とは別のシート材からなるものであってもよい。そして、第2の伸縮シート300は、外装体100と吸収部材200とを跨いで配置されてもよい。
【0036】
次に、第2の伸縮シート300を構成する不織シート310,312と伸縮性フィルム314とを説明する。この不織シート310,312としては、例えば、スパンボンドやメルトブロー不織シート、あるいは、スパンボンド/メルトブロー、スパンボンド/メルトブロー/スパンボンドを積層した複合不織シート、及びこれらの複合材料が例示される。また、この伸縮性フィルム314は、不織シート310,312よりも大きい伸縮性を備えたものであればよく、不織シート310,312よりも伸縮性が大きい樹脂フィルムであってもよい。この樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂等から形成されたフィルムがあげられる。なかでも、コスト及び伸縮性能の観点から、ポリウレタン系樹脂フィルムが好ましい。
【0037】
そして、前述したように、
図3における展開平面図による平面視において、吸収部材200は、吸収体220を含む第1の領域202と、第1の領域202外の第2の領域204と、を含むものであるが、第2の伸縮シート300は、この吸収部材の第1の領域202と第2の領域204のうち、第2の領域204上にのみ位置するように設けられてもよい。これによれば、吸収部材200の厚みが大きい部分を避けて第2の伸縮シート300を配置することができるから、第2の伸縮シート300によって、足周りにより良好なフィット感を与えることができる。
【0038】
また、この変形例として、後述する第2の伸縮シート300は、第1の領域202及び第2の領域204上の両方に位置するが、第1の領域202上に位置する部分は、第2の領域204上に位置する部分よりも伸縮性が低いものであってもよい。この変形例によっても、良好なフィット性を実現することができる。例えば、これは、第1の領域202上の第2の伸縮シート300にのみ、伸縮性を低減し、または、伸縮性を発現しない加工を施すことによって実現することができる。伸縮性を低減し、または、伸縮性を発現しない加工とは、例えば、第2の伸縮シート300の伸縮性フィルム314を破断させることによって行うことができる。
【0039】
また、第2の伸縮シート300は、伸縮方向に120%伸長したときに、0.8N/50mm以上2.0N/50mm以下の伸長荷重を有し、かつ、伸縮方向に150%伸長したときに、2.0N/50mm以上3.5N/50mm以下の伸長荷重を有するものであってもよい。また、伸縮方向と交差する方向に3.0N/50mmの荷重を施したときに、30%以下の伸び率を有してもよい。伸縮方向に210%以上280%以下の破断伸度を有してもよい。これによれば、パンツ型吸収性物品1は、足開口部LH周りにおけるフィット性および着用感を向上することができる。
【0040】
さらに、第2の伸縮シート300の表面は、600μm以上、1200μm以下の算術平均粗さRaと、60μm以上、250μm以下の粗さ曲線の最大断面高さRtと、600μm以上、8500μm以下の粗さ曲線要素の平均長さRSmを有するものであってもよい。そして、この場合、伸縮方向に150%伸長したときには、第2の伸縮シート300の表面は、400μm以上、1000μm以下の算術平均粗さRaと、50μm以上、200μm以下の粗さ曲線の最大断面高さRtを有する。
【0041】
この算術平均粗さRaは、JIS B 0601(2001)に準拠されるものであり、このような範囲の第2の伸縮シート300を採用することにより、平坦になりすぎず、表面が滑らかで、意匠性が良好となる。この粗さ曲線の最大断面高さRtは、JIS B 0601(2001)に準拠されるものであり、上記範囲にすることにより、適度な摩擦力を有する表面となる。さらに、粗さ曲線要素の平均長さRSmは、JIS B 0601(2001)に準拠されるものであり、上記範囲にすることにより、高級感のある触感を得ることができる。これらによって、パンツ型吸収性物品1の表面が下着により近い外観を得ることができる。また、伸縮方向に150%伸長したときに、算術平均粗さRaと粗さ曲線の最大断面高さRtを上記範囲とすることで、パンツ型吸収性物品1を脱着する際に、良好な感触を与えることができる。なお、算術平均粗さRa、粗さ曲線の最大断面高さRt及び粗さ曲線要素の平均長さRSmは、例えば、(株)KEYENCE社製のワンショット3D測定マクロスコープ(商品名:VR−3100)を用いて測定することができるものである。
【0042】
次に、
図6および
図7を用いて、本実施形態のパンツ型吸収性物品1の製造方法の一例を説明する。ここでは、パンツ型吸収性物品1となる連続体を長手方向に搬送しながら、パンツ型吸収性物品1を製造方法について説明する。
図6は、第1の伸縮シート120となる連続体の形成工程を示すものである。まず、
図6(a)に示すように、第1工程として、伸縮性フィルム126となる連続体を回転ローラ51から給送し、伸縮性フィルム126となる連続体に所定の張力をかけて上下に伸張する。所定の張力とは、伸縮性フィルム126を200%以上、より好ましくは250±30%伸張した状態をいう。そして、第2工程では、回転ローラ52aから供給された第1の1の不織シート122となる連続体及び回転ローラ52bから供給された第2の不織シート124となる連続体を、伸張した状態の伸縮性フィルム126となる連続体の上下に積層する。次に、第3工程では、積層された伸縮性フィルム126と第1の不織シート122と第2の不織シート124となる連続体を伸縮方向と直行する縦方向に実質的に連続したシール線を、伸縮方向に対して0.5mm以上2.0mm以下の間隔で全領域にわたって熱融着又は超音波加工によって形成し、伸縮性フィルム126と第1の不織シート122と第2の不織シート124となる連続体を固着することで、第1の伸縮シート120となる連続体を形成する。
【0043】
具体的には、
図6(b)に示すように、積層された伸縮性フィルム126と第1の不織シート122と第2の不織シート124とを接合ローラ53と他方の接合ローラ54で狭圧し、接合ローラ53の先端の端部55と、他方の接合ローラ54の側面56との接点を熱溶着又は超音波加工などすることによって、シール線を形成する。このように、シール線を所定の間隔に形成し、第1の不織シート122と伸縮性フィルム126と第2の不織シート124となる連続体を一体化することによって、第1の伸縮シート120となる連続体の表面のシワが緩和され、滑らかな肌触りとすることができる。
【0044】
そして、図示しないが、第1の伸縮シート120となる連続体を更に搬送方向に給送し、カッターなどの切断装置を用いて、第1の伸縮シート120となる連続体を切断することにより、腹側外装体102となる部分、背側外装体104となる部分を形成する。
【0045】
一方、
図7は、第2の伸縮シート300となる連続体の形成工程を示すものである。まず、
図7(a)に示すように、第1工程として、伸縮性フィルム314となる連続体を回転ローラ61から給送し、伸縮性フィルム314となる連続体に所定の張力をかけて上下に伸張する。所定の張力とは、伸縮性フィルム314を200%以上、より好ましくは250±30%伸張した状態をいう。そして、第2工程では、回転ローラ62aから供給された第1の1の不織シート310となる連続体及び回転ローラ62bから供給された第2の不織シート312となる連続体を、伸張した状態の伸縮性フィルム314となる連続体の上下に積層する。次に、第3工程では、積層された伸縮性フィルム314と第1の不織シート310と第2の不織シート312となる連続体を伸縮方向と直行する縦方向に実質的に連続したシール線を、伸縮方向に対して0.5mm以上2.0mm以下の間隔で全領域にわたって熱融着又は超音波加工によって形成し、伸縮性フィルム314と第1の不織シート310と第2の不織シート312となる連続体を固着することで、第2の伸縮シート300となる連続体を形成する。
【0046】
具体的には、
図7(b)に示すように、積層された伸縮性フィルム314と第1の不織シート310と第2の不織シート312とを接合ローラ63と他方の接合ローラ64で狭圧し、接合ローラ63の先端の端部65と、他方の接合ローラ64の側面66との接点を熱溶着又は超音波加工などすることによって、シール線を形成する。このように、シール線を所定の間隔に形成し、第1の不織シート310と伸縮性フィルム314と第2の不織シート312となる連続体を一体化する。
【0047】
そして、図示しないが、第2の伸縮シート300となる連続体を更に搬送方向に給送し、カッターなどの切断装置を用いて、この連続体を切断することにより、第2の伸縮シート300となる帯状部分を形成する。
【0048】
続いて、トップシート210、バックシート230および吸収体220を少なくとも備える吸収部材200を供し、吸収部材200の長手方向一端部の非肌当接面側の表面を腹側外装体102の肌当接面側の表面に向けて配置し、ホットメルト接着などによって、吸収部材200の長手方向一端部を腹側外装体102となる部分に固着する。同様に、吸収部材200の長手方向他端部の非肌当接面側の表面を背側外装体104の肌当接面側の表面に向けて配置し、ホットメルト接着などによって、吸収部材200の長手方向他端部を背側外装体104となる部分に固着する。そして、足開口部の少なくとも一部に沿って、ホットメルト接着などによって、第2の伸縮シート300となる帯状部分を固着する。例えば、第2の伸縮シート300を固着する工程は、所定の伸長率で伸長された伸長状態の腹側外装体102および背側外装体104の少なくとも一方に、略同じ伸長率で伸長した第2の伸縮シート300を固着する。ここで、伸長率とは、非伸縮状態の第2の伸縮シート300の自然長L1に対する、伸縮方向に第2の伸縮シート300を伸長して伸長状態としたときの長さL2の比率を示すものであって、伸長率=L2/L1×100[%]で計算されるものである。例えば、第2の伸縮シート300を固着する際、250%の伸長率で伸長された伸長状態の腹側外装体102および背側外装体104の少なくとも一方に、250%の伸長率で伸長した第2の伸縮シート300を固着する。なお、これらの固着工程は、同工程によって、腹側外装体102となる部分および背側外装体104となる部分の少なくとも一方と、吸収部材200と、第2の伸縮シート300となる帯状部分と、が同一工程で固着されてもよいし、各別工程で固着されてもよい。
【0049】
そして、吸収部材200が位置する部分で半分に折って、腹側外装体102および背側外装体104となる部分を対向配置する。そして、圧搾、熱溶着や超音波加工などによって腹側領域31の腹側外装体102の側端部と背側領域32の背側外装体104の側端部とを相互に固着することで、サイドシール部150を形成し、ウエスト開口部WHおよび脚開口部LHとが定義されたパンツ型吸収性物品1を得ることができる。
【0050】
なお、本実施形態では、第2の伸縮シート300として、腹側領域31の足開口部LHに沿って配置された一対の腹側伸縮シート部300aと、背側領域32の足開口部LHに沿って配置された一対の背側伸縮シート部300bと、を含む第2の伸縮シート300を有したものを用いて説明をしたが、腹側伸縮シート部300aを省略して、背側伸縮シート部300bのみを配置したものとしてもよい。同様に、背側伸縮シート部300bを省略して、腹側伸縮シート部300aのみを配置したものとしてもよい。
【0051】
そして、本実施形態では、第2の伸縮シート300として、一条の伸縮シート材から構成した腹側伸縮シート部300aおよび背側伸縮シート部300bを用いて説明したが、それぞれ複数条の伸縮シート材から構成されたものとしてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、第2の伸縮シート300として、帯状の伸縮シート材から構成した腹側伸縮シート部300aおよび背側伸縮シート部300bを用いて説明したが、背側伸縮シート部300aの形状は、腹側伸縮シート部300bの形状と異なるものであってもよい。
【0053】
さらに、本実施形態では、第2の伸縮シート300として、腹側伸縮シート部300aおよび背側伸縮シート部300bを含むものを用いて説明したが、第2の伸縮シート300は、1または複数の離間配置された別伸縮シート部を更に有するものとしてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、外装体100が、腹側外装体102と背側外装体104とに分離されたものを用いて説明をしたが、図示しない股部領域33に設けられた股部外装体を介して、腹側外装体102と背側外装体104とが一体的に形成されたものであってもよい。この場合、吸収部材200は、股部外装体の表面に固着されてもよい。
【0055】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることは当業者に明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。