特開2016-183568(P2016-183568A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-183568(P2016-183568A)
(43)【公開日】2016年10月20日
(54)【発明の名称】車両用一酸化炭素抑制装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 45/00 20060101AFI20160926BHJP
   B60H 1/24 20060101ALI20160926BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20160926BHJP
【FI】
   F02D45/00 345Z
   B60H1/24 661A
   B60R21/00 621B
   B60R21/00 624B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-63129(P2015-63129)
(22)【出願日】2015年3月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100067873
【弁理士】
【氏名又は名称】樺山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100090103
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 章悟
(72)【発明者】
【氏名】谷口 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】岡本 昌也
(72)【発明者】
【氏名】松原 譲二
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 泰由
(72)【発明者】
【氏名】村松 達哉
(72)【発明者】
【氏名】山田 剣太
(72)【発明者】
【氏名】昇 佳史
(72)【発明者】
【氏名】藤川 義秀
(72)【発明者】
【氏名】谷口 秀明
(72)【発明者】
【氏名】清水 亮
(72)【発明者】
【氏名】尾藤 照敏
(72)【発明者】
【氏名】井上 雅大
【テーマコード(参考)】
3G384
3L211
【Fターム(参考)】
3G384BA47
3G384CA05
3G384DA44
3G384EB07
3G384FA01Z
3G384FA06Z
3G384FA38Z
3G384FA56Z
3G384FA75Z
3G384FA78Z
3L211AA01
3L211BA12
3L211EA20
3L211FB06
(57)【要約】
【課題】車両の周囲の状況に応じて車両から発生する一酸化炭素を抑制する。
【解決手段】本発明に係る車両用一酸化炭素抑制装置100は、内燃機関2が搭載された車両1の車室内11又は車外15の一酸化炭素の濃度を検出する濃度検出手段27の検出値CAと、車両1の周囲の状況を検出する周囲状況検出手段15〜19、26の検出値D1〜D4、D5とに基づき、内燃機関2から排出される排気ガスGの空燃比をリーンの状態となるように内燃機関1の運転状態を制御手段30で制御する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関が搭載された車両の車室内又は車室外の一酸化炭素の濃度を検出する濃度検出手段と、
前記車両の周囲の状況を検出する周囲状況検出手段と、
前記濃度検出手段の検出値と前記周囲状況検出手段の検出値とに基づき、前記内燃機関から排出される排気ガスの空燃比をリーンの状態となるように前記内燃機関の運転状態を制御する制御手段を有することを特徴とする車両用一酸化炭素抑制装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記濃度検出手段からの検出値が基準値よりも高く、前記周囲状況検出手段からの検出結果から前記車両が密閉空間と見做す場所に位置している場合には、前記内燃機関から排出される排気ガスの空燃比をリーンの状態となるように前記内燃機関の運転状態を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用一酸化炭素抑制装置。
【請求項3】
前記周囲状況検出手段は、前記車両の前方、後方、左右の側方並びに上方の内の少なくとも3つの方向の障害物の有無を検出するものであり、
前記制御手段は、前記周囲状況検出手段により少なくとも3つの方向から障害物検出情報がある場合には、前記車両が密閉空間と見做す場所に位置していると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用一酸化炭素抑制装置。
【請求項4】
前記周囲状況検出手段は、前記車両の前方、後方、左右の側方の4つの方向の内の少なくとも3つの方向に障害物検出用のレーダーを照射する照射部及び照射されたレーダーの反射波を受信する受信部を備えたレーダー照射装置又は障害物検出用の検出光を照射する照射部及び照射された検出光の反射光を受光する受光部を備えた光照射装置の少なくとも1つであり、
前記制御手段は、前記受信部で受信された反射波あるいは前記受光部で受光する反射光の有無から前記車両が密閉空間と見做す場所に位置しているか否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用一酸化炭素抑制装置。
【請求項5】
前記周囲状況検出手段は、人工衛星から送信される位置情報を受信する受信アンテナであり、
前記制御手段は、前記受信アンテナで位置情報が受信できない場合に、前記車両が密閉空間と見做す場所に位置していると判定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両用一酸化炭素抑制装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記内燃機関を、前記排気ガスの空燃比をリーンの状態となる運転状態とした後、前記濃度検出手段で検出された一酸化炭素の濃度情報が上昇傾向にある場合には、前記内燃機関の作動を停止するように制御することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の車両用一酸化炭素抑制装置。
【請求項7】
前記車室内の空気を換気する換気手段を備え、
前記制御手段は、前記濃度検出手段からの検出値が基準値よりも高く、前記周囲状況検出手段の検出結果から前記車両が密閉空間と見做す場所に位置していないと判定した場合、前記換気手段を作動して前記車室内を換気するように制御することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の車両用一酸化炭素抑制装置。
【請求項8】
警告情報を発する警告手段を有し、
前記制御手段は、前記濃度検出手段からの検出値が基準値よりも高く、前記内燃機関を排気ガスの空燃比をリーンの状態となる運転状態とする前、あるいは内燃機関の作動の停止後に、警告情報を発するように前記警告手段を作動することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の車両用一酸化炭素抑制装置。
【請求項9】
前記濃度検出手段は、前記車室内に配置されていて、同車室内の一酸化炭素濃度を検出するものであることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の車両用一酸化炭素抑制装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用一酸化炭素抑制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車室内の一酸化炭素の濃度を検出し、検出結果に応じて車室内を換気することで、車室内の一酸化炭素の濃度を低減するものがある。例えば特許文献1では、車室内の一酸化炭素の濃度が車室外の一酸化炭素の濃度よりも高い場合には換気し、車室外の一酸化炭素の濃度が車室内の一酸化炭素の濃度よりも高い場合は換気しないことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−18740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、車室内の一酸化炭素の濃度を低減してはいるが、車両から発生する一酸化炭素を抑制することや車両の周囲の状況については考慮されていない。
本発明は、車両の周囲の状況に応じて車両から発生する一酸化炭素を抑制することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両用一酸化炭素抑制装置は、内燃機関が搭載された車両の車室内又は車室外の一酸化炭素の濃度を検出する濃度検出手段と、車両の周囲の状況を検出する周囲状況検出手段と、濃度検出手段の検出値と周囲状況検出手段の検出値とに基づき、内燃機関から排出される排気ガスの空燃比をリーンの状態となるように内燃機関の運転状態を制御する制御手段を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、内燃機関が搭載された車両の車室内又は車室外の一酸化炭素の濃度を検出する濃度検出手段の検出値と、車両の周囲の状況を検出する周囲状況検出手段の検出値とに基づき、内燃機関から排出される排気ガスの空燃比をリーンの状態として排気ガス中の一酸化炭素の濃度が少なくなる運転領域となるように内燃機関の運転状態を制御するので、複数の濃度検出手段を備える場合に比べて演算処理が不要で、車両の周囲の状況を的確に判定でき、車室内の一酸化炭素濃度の上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明が適用された車両の概略構成と駐車場所を示す平面視図。
図2】本発明が適用された車両の概略構成と駐車場所を示す側面視図。
図3】本発明に係る車両用一酸化炭素抑制装置の構成を示すブロック図。
図4】車両用一酸化炭素抑制装置の制御内容の一制御形態を示すフローチャート。
図5】車両用一酸化炭素抑制装置による密閉空間判定処理の一制御形態を示すフローチャート。
図6】車両用一酸化炭素抑制装置による密閉空間判定処理の別な制御形態を示すフローチャート。
図7】車両用一酸化炭素抑制装置による密閉空間判定処理の別な制御形態を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。実施形態において、同一部材や同一機能を有する部材には、同一の符号を付し、重複説明は適宜省略する。なお、図面は見やすさを考慮して、構成要件を部分的に省略して記載することもある。
【0009】
図1において、車両1には、内燃機関であるエンジン2が搭載されている。本実施形態において、車両1は5ドアワゴンタイプとして説明し、エンジン2は4気筒ガソリンエンジンとして説明する。
エンジン2の吸気側には、吸気マニホールド3が装着されている。吸気マニホールド3には、両端が開口された吸気管4の一端が連結されている。吸気マニホールド3は、外気を吸入空気Aとして吸気管4の他端側から吸引してエンジン2の各気筒内に導入する。吸気管4には、フィルタ6を内部に備えたエアクリーナー5が装着されている。
吸気マニホールド3には、吸入空気A中に燃料を噴射して混合する燃料噴射ノズル20が設けられている。本実施形態において、燃料噴射方式は各気筒に対してそれぞれ1本の燃料噴射ノズル20を備えたマルチポイントインジェクション方式としている。燃料噴射方式としては、少なくとも1本の燃料噴射ノズル20が吸気マニホールド3又は吸気管4に設けられたシングルポイントインジェクション方式であっても良い。
【0010】
エンジン2の排気側には、排気マニホールド7が装着されている。排気マニホールド7には、車両後方まで延びる排気管8が連結されている。排気管8にはエンジン2から排出された排気ガスGを酸化又は還元することで浄化する触媒装置9とマフラ10が装着されている。本実施形態において、触媒装置9には周知の三元触媒が用いられている。
【0011】
車両1の車幅方向に位置する左右の前ドアには、電動の前方サイドウインド装置12L、12Rが設けられている。車両1の車幅方向に位置する左右の後ドアには、電動の後方サイドウインド装置13L、13Rが設けられている。
前方サイドウインド装置12Lは、サイドウインドガラス120L(以下「ウインドガラス120L」と記す)と、ウインドガラス120Lを車両上下方向(図1の紙面垂直方向)に昇降するウインドレギュレータ装置121Lとを備えている。前方サイドウインド装置12Rは、サイドウインドガラス120R(以下「ウインドガラス120R」と記す)と、ウインドガラス120Rを車両上下方向に昇降するウインドレギュレータ装置121Rとを備えている。
後方サイドウインド装置13Lは、サイドウインドガラス130L(以下「ウインドガラス130L」と記す)と、ウインドガラス130Lを車両上下方向に昇降するウインドレギュレータ装置131Lとを備えている。後方サイドウインド装置13Rは、サイドウインドガラス130R(以下「ウインドガラス130R」と記す)と、ウインドガラス130Rを車両上下方向に昇降するウインドレギュレータ装置131Rとを備えている。
各サイドウインド装置は、各ウインドレギュレータ装置がそれぞれ作動することで各ウインドガラスを昇降して開閉動作される。車両1では、各ウインドガラスが開状態となると、車室内11と車外15とが連通状態となる。図1では、ウインドガラス120Rのみが開いた開放状態を示している。
【0012】
車両1のルーフ部分には、電動のサンルーフ装置14が設けられている。サンルーフ装置14は、サンルーフガラス141と、サンルーフガラス141を車両前後方向(図1の紙面上下方向)にスライド移動、あるいは車両上下方向にポップアップ移動するサンルーフ駆動装置142を備えている。サンルーフガラス141は、サンルーフ駆動装置142が作動することで開閉動作される。車両1では、サンルーフガラス141が開状態において車室内11と車外15とが連通状態となる。
これら前方サイドウインド装置12L、12R、後方サイドウインド装置13L、13R、サンルーフ装置14は、車室内11と車外15とを連通して換気する換気手段として機能する。
【0013】
車室内11には、濃度検出手段として車室内の一酸化炭素の濃度を検出する車室内濃度検出手段27と、警告手段28と制御手段30が設けられている。車室内濃度検出手段27は、例えば運転席付近あるいはエアコン吹き出し口付近に配置されている。警告手段28は、各種警告情報を知らせるものである。本実施形態において、警告手段28は、各種情報の表示機能、音声発生機能、点灯及び点滅機能を1つにまとめたユニットである。警告手段28としては、各機能を個別にしたものを少なくとも1つ、好ましくは警告内容の重要さに応じて段階的に警告可能とするために複数備えているのが好ましい。
【0014】
図1図2に示すように、矢印Fは車両1の前方、矢印Rは車両1の後方、矢印Wは車両1の幅方向、すなわち左右の側方を示す。また、図2に示す矢印Yは、車両1の上方を示す。本実施形態において、車両は符号40で示す車庫内に位置している。車庫40は、前方に開閉式のドア41が設けられている。車庫40は、後方と左右の側方と上方がすべて壁面42、43、44、45で囲われていて、内部に空間46が形成されている。車庫40内に車両1がある場合、この空間46は車外15となる。この空間46は、ドア41が閉じられることで密閉空間と見做される場所となるものとする。
本実施形態において、密閉空間とは、排気ガスGが充満すると不具合のある空間であり、物理的に完全に密閉された空間だけを指すものではない。例えば、例示中の車庫40以外に、デパートなどの地下駐車場等の空間も含まれる。地下駐車場等の空間は、換気システムを備えてはいるが、駐車されている車両台数が多いと、車両1から排出される排気ガスGの総量は多く、これに伴い一酸化炭素の排出も多くなる。このため、このような空間内に車両1を停車又は駐車した状態で、乗員が車両1に居る場合、極力一酸化炭素の発生や排出を抑制することが望ましい。
【0015】
そこで、本実施形態では、車両1の周囲の状況を検出するための周囲状況検出手段を有し、車室内濃度検出手段27の検出値と周囲状況検出手段の検出値とに基づき、エンジン2から排出される排気ガスGの空燃比をリーンの状態となるようにエンジン2の運転状態を制御するようにした車両用一酸化炭素抑制装置100を、車両1に搭載している。このため、本実施形態では、複数の濃度検出手段を備える場合に比べて演算処理が不要で、車両1の周囲の状況を的確に判定でき、車室1内の一酸化炭素濃度の上昇を抑制することができる。
【0016】
以下、周囲状況検出手段の機能と構成について説明する。
周囲状況検出手段は、車両1の前方F、後方R、幅方向である左右の側方W及び上方Yの5つの方向の障害物を検出するものである。ここでいう障害物とは、図1図2の例では車庫40の前方のドア41及び壁面42〜45である。つまり、周囲状況検出手段がドア41、壁面42〜45を検出することで、車両1が停車あるいは駐車している場所が、通気性が悪い密閉空間と見做される空間46内に居るのか、通気性の良い開放された開放空間内に居るのかを判別するパラメータとしている。
車両1の前部には、前方Fにある障害物となるドア41を検出するための前方状況検出手段16が設けられている。車両1の後部には、後方Rにある障害物となる壁面42を検出するための後方状況検出手段17が設けられている。車両1の左右の側部には、障害物となる壁面43、44を検出するための側方状況検出手段18、19が設けられている。車両1の車室内11の例えばダッシュパネル上には、障害物となる壁面(天井)45を検出するための上方状況検出手段26が設けられている。本実施形態では、これら前方状況検出手段16、後方状況検出手段17、側方状況検出手段18、19及び上方状況検出手段26によって周囲状況検出手段が構成されている。
【0017】
前方状況検出手段16は、レーダー照射装置としてのミリ波レーダー装置であって、平面アンテナとミリ波送受信器を導波管で接続し、駆動源を用いて左右にスキャニングを行い、信号処理部において、レーダーのビート信号をA/D変換器でA/D変換するとともにDSP等の算術演算回路にて周波数分析を行い、距離、相対速度、角度情報を演算することで、障害物の位置や有無を検出する周知のものである。
後方状況検出手段17及び側方状況検出手段18、19は、赤外線レーザを照射し、照射光の反射光を受光部で受光することで障害物の有無を検出する周知の光照射装置としての赤外線レーダー装置(赤外線レーザー装置ともいう)で構成されている。
上方状況検出手段26は、人工衛星、詳しくはGPS(Global Positioning System)衛星から送信される位置情報Jを受信する受信アンテナで構成されている。
前方状況検出手段16としてミリ波レーダー装置を用いているが、赤外線レーダー装置を用いても良く、また、後方状況検出手段17及び側方状況検出手段18、19としてミリ波レーダー装置を用いても良い。
【0018】
本実施形態において、換気手段であるサイドウインド装置12L、12R、後方サイドウインド装置13L、13R、サンルーフ装置14、前方状況検出手段16、後方状況検出手段17、側方状況検出手段18、19、各燃料噴射ノズル20、上方状況検出手段26、車室内濃度検出手段27、警告手段28及び制御手段30は、車両用一酸化炭素抑制装置100を構成している。
【0019】
次に、車両用一酸化炭素抑制装置100の制御系の構成について図3を用いて説明する。図3に示すように、制御手段30は、CPU(Central Processing Unit)30A、RAM(Random Access Memory)30B、ROM(Read Only Memory)30Cを備えたコンピュータで構成されている。
制御手段30の入力側には、前方状況検出手段16、後方状況検出手段17、側方状況検出手段18、19、回転数検出手段25、上方状況検出手段26及び車室内濃度検出手段27が信号線を介して接続されている。車室内濃度検出手段27は車室内11の一酸化炭素濃度を検出し、検出値CAを出力するものである。前方状況検出手段16、後方状況検出手段17、側方状況検出手段18、19及び上方状況検出手段26からは、それぞれ障害物を検出したことを示す検出値D1、D2、D3、D4、D5が出力される。これら検出値D1、D2、D3、D4、D5は障害物検出情報となる。また、回転数検出手段25はエンジン2の回転数を検出して回転情報を出力するものである。
【0020】
制御手段30の出力側には、各燃料噴射ノズル20の駆動部21、各ウインドレギュレータ装置の駆動部23、サンルーフ装置14の駆動部24、警告手段28が信号線を介して接続されている。各燃料噴射ノズルの駆動部21は同一構成であるので、ここでは1つの符号21として表記している。各ウインドレギュレータ装置の駆動部23も、4つとも同一構成であるため、ここでは1つの符号23で表記している。
本実施形態において、制御手段30は、周囲状況検出手段からの検出値D1、D2、D3、D4、D5と車室内濃度検出手段27の検出値CAとに基づき、エンジン2の運転制御と、各燃料噴射ノズル駆動部21と、各ウインドレギュレータ装置の駆動部23と、サンルーフ装置14の駆動部24の作動を制御する。
【0021】
次に、車両用一酸化炭素抑制装置100による一酸化炭素抑制処理の内容について、図4図5に示すフローチャートを中心に説明する。この一酸化炭素抑制処理は、制御手段30によって所定間隔毎に行われる。制御手段30のROM30Cには、一酸化炭素濃度が高いか低いかを判定する際に用いる基準値C1と、車両の位置が密閉空間と見做す場所内か否かを判定する密閉空間処理を行う判定部としてのプログラムと、一酸化炭素抑制処理を実施するプログラムが予め記憶されている。基準値C1はここでは固定値としているが、制御手段30にコネクタ等を接続して外部から任意に書き換えて変更可能としてもよい。なお、本実施形態において、基準値C1の値は、人体に影響を与え兼ねない濃度としている。
【0022】
制御手段30は、図4のステップST1において、車室内11の一酸化炭素濃度が高いか否かを車室内濃度検出手段27からの検出値CAと予め設定した基準値C1とを比較することで判定する。制御手段30は、検出値CAが基準値C1を超えている場合には車室内11の一酸化炭素濃度が高いものとしてステップST2に進み、検出値CAが基準値C1を超えていない場合には、この制御のループを終了し、次のループまで待機状態となる。
制御手段30は、ステップST2において、車両1の位置が密閉空間と見做す場所である空間46内に位置しているか否かを判定する。この判定処理は図5に示すフローチャートを用いて後述説明する。制御手段30は、車両1が密閉空間と見做す空間46内に位置している場合には、ステップST3に進んで警告手段28を作動して警告処理を実行する。ここでは、乗員に対して、例えば密閉空間と見做す空間46内における車室内11での一酸化炭素濃度が上昇しているため、現在地からの車両1の移動を促す警告メッセージを表示し、ステップST4に進む。
【0023】
制御手段30は、ステップST2において、車両1が密閉空間と見做す空間46内に位置していない場合には、車室内11の一酸化炭素濃度が高くなってきているものとして、ステップST8に進んで換気手段を作動する換気処理を実行する。換気処理では、各ウインドレギュレータ装置の駆動部23又はサンルーフ装置14の駆動部24の少なくとも1つの駆動部を駆動して何れかのウインドガラス120L、120R、130L、130Rまたはサンルーフガラス141を開いて、外気開放して車室内11の空気を換気する。制御手段30は、ステップST8の終了後、この制御を終え、次のループまで待機状態となる。
制御手段30は、ステップST4において、排気ガスGの空燃比をリーンの状態として排気ガスG中の一酸化炭素濃度が少なくなる運転領域へエンジン2の作動状態を切り替える。具体的にはエンジン2の運転領域を排気ガスG中の一酸化炭素が少なくなるCOリーン燃焼とすべく燃料噴射ノズルの駆動部21を作動して燃料噴射量を絞って噴射量を少なくする。また、吸入空気Aに含まれている一酸化炭素はエンジン2の燃焼行程による燃焼によっても低減する。本実施形態では、ガソリンエンジンで三元触媒を用いているので、理論空燃比であるストイキ領域よりも燃料が希薄となる運転領域でエンジン2が作動するように燃料噴射量を制御して、排気空燃比が理論空燃比よりもリーンな所定値となるように、好ましくは排気ガスGの空燃比が18〜20となるように設定することで、排気ガスGの空燃比をリーン状態としている。無論、燃料が希薄となる運転領域(希薄燃焼)であっても、エンジン2のアイドリングを維持できる燃料噴射量は確保するのが望ましい。運転領域の判定は、回転数検出手段25によるエンジン2の回転情報とエアフローセンサやアクセル開度センサ等からの吸入空気量情報などの周知の方法によって判定すればよい。
【0024】
制御手段30は、ステップST4の終了後、ステップST5に進んで運転領域変更後における、車室内11の一酸化炭素濃度が高いか否かを車室内濃度検出手段27からの検出値CAと基準値C1とを比較することで判定する。制御手段30は、検出値CAが基準値C1を超えている場合には、エンジン2の運転切替では一酸化炭素濃度の上昇が抑えられないもの(上昇傾向にある)として、ステップST6に進む。制御手段30は、検出値CAが基準値C1を超えていない場合には、エンジン2の運転切替により一酸化炭素濃度が低下しているものとして、この制御を終えて待機状態となる。
制御手段30は、ステップST6において、エンジン2の作動を停止するエンジン停止処理を実行する。エンジン停止処理では、燃料噴射ノズル20による燃料噴射を停止するように燃料噴射ノズルの駆動部21を制御する。エンジン停止後、制御手段30は、ステップST7に進んで警告手段28による警告処理を実行する。ここでの警告処理による警告は、乗員の車室内11からの退避を最優先するためになされるものであり、警告手段28による音声による警告と光の点滅などを実行し、車室内11で寝ている乗員に対しても十分に警告内容を知らせることができるレベルとなっている。制御手段30は、ステップST7の終了後、この制御を終え、次のループまで待機状態となる。
【0025】
次に図5のフローチャートを用いて密閉空間判定処理について説明する。
制御手段30は、車室内11の一酸化炭素濃度が基準値C1よりも高い場合、車両1の周囲の状況を把握すべく、ステップST11において、前方状況検出手段16、後方状況検出手段17及び側方状況検出手段18、19(4方向)からの障害物を検出したことを示す検出値D1、D2、D3、D4がある場合には、当該検出値を取り込む。なお、本実施形態において、これらの検出値D1、D2、D3、D4は障害物までの距離として表示される。
制御手段30は、取り込んだ検出値が3つ以上あるか否かを判定し、3つ以上検出値がある場合には、ステップST13に進んで、車両1の少なくとも3方向に障害物(ドア41や壁面42〜44)があることから密閉空間と見做す空間46に車両1が位置している判定をする。一方、取り込んだ検出値が2つ以下の場合には、車両1の開放空間内に位置しているものと見做す。
【0026】
このように本実施形態において、制御手段30は、車室内濃度検出手段27からの検出値CAが基準値C1よりも高く、周囲状況検出手段からの検出結果から車両1が密閉空間と見做す位置にあると判定する場合には、エンジン2の運転領域を、一酸化炭素の排出が少ない運転領域とするように(排気ガスGの空燃比がリーンの状態となるように)エンジン2の運転状態を制御する。このため、車庫40の空間46に車両1が位置しているという車両1の周囲の状況を的確に判定することができるとともに、車両1から発生する一酸化炭素を抑制でき、車外15(空間46)の一酸化炭素による車室内11の一酸化炭素濃度の上昇を抑制することができる。
本実施形態では、周囲状況検出手段として、車両1の前方F、後方R、左右の側方W及び上方Yの障害物を検出する前方状況検出手段16、後方状況検出手段17、側方状況検出手段18、19及び上方状況検出手段26を備えている。そして、これら周囲状況検出手段のうち、少なくとも3つから検出値が出力された場合には、車両1が密閉空間と見做す空間46に位置していると判定するため、車両1の周囲の状況を精度よく検出することができる。
【0027】
本実施形態において、制御手段30は、エンジン2の運転領域が一酸化炭素の排出が少なく、排気ガスGの空燃比をリーンの状態となる運転状態とした後、車室内濃度検出手段27で検出された一酸化炭素の濃度情報が上昇傾向にある場合には、エンジン2の作動を停止するので、より一酸化炭素の排出を低減でき、車両1からの一酸化炭素による車室内11の一酸化炭素濃度の上昇を抑制することができる。
本実施形態において、制御手段30は、車室内濃度検出手段27からの検出値CAが基準値C1よりも高く、周囲状況検出手段の検出結果から車両1が密閉空間に位置していない場合、換気手段を作動して車室内11を換気するので、車室内11の一酸化炭素濃度を低減することができる。
本実施形態では、車室内濃度検出手段27からの検出値CAが基準値C1よりも高く、エンジン2の運転領域が一酸化炭素の排出が少なく、排気ガスGの空燃比をリーンの状態となる運転状態とする前、あるいはエンジン2の作動の停止後に、警告情報を発するように警告手段28を作動するので、乗員に対して車室内11の一酸化炭素濃度の上昇を知らせることができる。
【0028】
密閉空間判定処理については、図5に示す実施形態に限定されるものではなく、図6図7に示す実施形態であっても良い。これら各実施形態に係る密閉空間判定処理は、制御手段30によって実行される。
図6に示す実施形態において、制御手段30は、ステップST21で検出値を取り込んだ後、ステップST22において上方状況検出手段26からの検出値D5があるか否かを判定し、検出値D5がある場合にはステップST23に進み、検出値D5がない場合には、空間46(密閉空間と見做す場所)内に車両1が位置していると直ちに判定し、図4のフローチャートに戻る。
制御手段30は、ステップST23において、取り込んだ検出値が3つ以上あるか否かを判定し、3つ以上ある場合には空間46(密閉空間と見做す場所)内に車両1が位置していると判定し、3つ以上ない場合には、開放空間に車両1が位置していると判定し、図4のフローチャートに戻る。
上方状況検出手段26はGPS衛星からの位置情報Jを受信する受信アンテナで構成されているため、検出値D5が無い場合、位置情報Jを受信できない例えばトンネルや地下駐車場など遮蔽性の高い密閉空間内に車両1が位置していることが想定される。本実施形態では、車庫40の空間46が密閉空間であると見做す。
このため、車両1の位置判定基準となる3つの検出値内に検出値D5が含まれていない場合には、車両1が密閉空間と見做す場所の1つである空間46に位置すると判定することで、少ない周囲状況検出手段で車両1の周囲状況の判定を行える。このため、判定時間を短縮することができるとともに、制御手段30への負荷も軽減することができる。
【0029】
図7に示す密閉空間判定処理において、制御手段30は、ステップST31で検出値を取り込んだ後、ステップST32において上方状況検出手段26からの検出値D5があるか否かを判定し、検出値D5がある場合には開放空間に車両1が位置し、検出値D5がない場合には、空間46(密閉空間と見做す場所)内に車両1が位置していると判定するようにしても良い。
この場合、検出値D5が無いということは車庫40に天井となる壁面45が存在しているとともにドア41も閉っていると見做し、車庫40の空間46が密閉空間と見做す空間とする判定や、当該空間46内に車両1が位置しているとの判定を、少ない周囲状況検出装置(車室内濃度検出手段27)で行うことができ、検出時間の短縮につながる。
【0030】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
本実施形態では、一酸化炭素濃度上昇のパラメータとして、車室内11の一酸化炭素濃度を用いているが、例えば吸入空気A中の一酸化炭素濃度を用いても良い。すなわち、本実施形態では、濃度検出手段を車室内濃度検出手段27として車室内11に配置したが、これに換えて車外に配置し、車外の一酸化炭素濃度を検出し、当該検出値から車室内11の一酸化炭素濃度を推定するようにしてもよい。あるいは、車外の一酸化炭素濃度の検出値と周囲状況検出手段の検出値に基づいて、排気ガスG中の一酸化炭素の濃度が少なくなる運転領域(エンジン2の運転領域が一酸化炭素の排出が少なく、排気ガスGの空燃比をリーンの状態)となるようにエンジン2の運転状態を制御するようにしてもよい。
本発明が適用される車両1としては、5ドアワゴンタイプに限定されるものではない。本実施形態では、サンルーフ装置14が装備されている車両1を例示したが、サンルーフ装置14が装備されていない車両であっても良い。この場合、車室内の換気は、換気手段として、前方サイドウインド装置12L、12R、後方サイドウインド装置13L、13Rの少なくとも1つを用いればよい。エンジン2は4気筒ガソリンエンジンに限定するものではなく、気筒数は増減しても良く、ディーゼルエンジンであっても良い。無論、車両1としては、内燃機関を備えたものであればよく、内燃機関と電動モータを備えたハイブリッドタイプの車両1であっても良い。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0031】
1・・・車両、2・・・内燃機関、11・・・車室内、12(L、R)・・・換気手段(前方サイドウインド装置)、13(L、R)・・・換気手段(後方サイドウインド装置)、15・・・車外、16・・・周囲状況検出手段(レーザー照射装置)、17、18、19・・・周囲状況検出手段(光照射装置)、24・・・換気手段(サンルーフ装置)、26・・・周囲状況検出手段(受信アンテナ)、27・・・濃度検出手段、28・・・警告手段、30・・・制御手段、100・・・車両用一酸化炭素抑制装置、CA・・・濃度検出手段の検出値、C1・・・基準値、D1、D2、D3、D4、D5・・・周囲状況検出手段の検出値(障害物検出情報)、G・・・排気ガス、J・・・位置情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7