特開2016-183791(P2016-183791A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-183791(P2016-183791A)
(43)【公開日】2016年10月20日
(54)【発明の名称】ボイラ装置
(51)【国際特許分類】
   F22D 5/18 20060101AFI20160926BHJP
【FI】
   F22D5/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-62989(P2015-62989)
(22)【出願日】2015年3月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】西村 啓二
(57)【要約】
【課題】製造コストを高くすることなく、給水加熱器において給水が沸騰してしまうことを抑制できるボイラ装置を提供すること。
【解決手段】ボイラ装置1は、缶体11と、給水ラインL1と、給水加熱器20と、入力された周波数に応じて駆動する給水ポンプ16と、給水要求があった場合に第1周波数で給水ポンプ16を駆動させて缶体11に第1流量で給水を供給させ、給水要求がない場合に第1周波数よりも小さい第2周波数で給水ポンプ16を駆動させる給水制御部111と、缶内圧力取得部112と、給水圧力取得部113と、缶内圧力取得部112により取得された缶体11の内部の圧力、及び給水圧力取得部113により取得された給水の圧力に基いて、給水要求がない場合に給水ラインL1を流通する給水W1の流量が第2流量となるように第2周波数を決定する第2周波数決定部115と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼させて給水から蒸気を生成するボイラ装置であって、
缶体と、
前記缶体に給水を供給する給水ラインと、
前記給水ラインに配置され前記缶体に供給される給水を前記燃料が燃焼されて発生した燃焼ガスにより加熱する給水加熱器と、
前記給水ラインに配置され、入力された周波数に応じて駆動する給水ポンプと、
前記缶体に対する給水要求があった場合に第1周波数で前記給水ポンプを駆動させて前記缶体に第1流量で給水を供給させ、該給水要求がない場合に前記第1周波数よりも小さい第2周波数で前記給水ポンプを駆動させる給水制御部と、
前記缶体の内部の圧力を取得する缶内圧力取得部と、
前記給水ラインにおける前記給水ポンプよりも上流側における給水の圧力を取得する給水圧力取得部と、
前記缶内圧力取得部により取得された缶体の内部の圧力、及び前記給水圧力取得部により取得された給水の圧力に基いて、給水要求がない場合に前記給水ラインを流通する給水の流量が予め設定された第2流量となるように前記第2周波数を決定する第2周波数決定部と、を備えるボイラ装置。
【請求項2】
ボイラ装置の燃焼状態を取得する燃焼状態取得部と、
複数の燃焼状態と、該複数の燃焼状態に対応してそれぞれ設定された複数の前記第2流量と、を関連付けて記憶する記憶部と、を更に備える請求項1に記載のボイラ装置。
【請求項3】
前記缶体の内部の圧力を測定する缶内圧力測定部と、
前記給水ラインにおける前記給水ポンプよりも上流側の給水の圧力を測定する給水圧力測定部と、を更に備え、
前記缶内圧力取得部は、前記缶内圧力測定部により測定された圧力を取得し、
前記給水圧力取得部は、前記給水圧力測定部により測定された圧力を取得する請求項1又は2に記載のボイラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラ装置に関する。より詳細には、缶体と、この缶体に供給される給水を加熱する給水加熱器と、を備えるボイラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料を燃焼させて発生させた燃焼ガスにより水を加熱し蒸気を生成する缶体と、この缶体に供給される水(給水)を加熱する給水加熱器と、を備えるボイラ装置が提案されている。給水加熱器は、缶体において蒸気の生成に用いられた後排出される燃焼ガスの熱を利用して給水を加熱することで、ボイラ装置の熱の利用効率(ボイラ効率)を向上させる。
【0003】
ここで、缶体への給水は、缶体の内部の水位に基づいて制御される。即ち、缶体の水位が低くなった場合には給水が行われ、缶体の水位が高くなった場合には給水が停止される。そのため、給水加熱器を備えるボイラ装置において、給水が停止されて給水加熱器に給水が滞留した場合には、給水が過剰に加熱されて沸騰してしまう場合がある。
【0004】
このような給水加熱器における給水の沸騰を防止するために、缶体の水位に応じて給水流量を連続的に変更し、缶体の水位が高くなった場合にも一定の流量(最低流量)で給水を行う連続給水制御を行うボイラ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−2385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、缶体の水位に応じて給水流量を連続的に変更するためには、ボイラ装置を、給水流量を測定する給水流量計を含んで構成する必要があり、ボイラ装置の製造コストが高くなってしまう。
【0007】
従って、本発明は、製造コストを高くすることなく、給水加熱器において給水が沸騰してしまうことを抑制できるボイラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、燃料を燃焼させて給水から蒸気を生成するボイラ装置であって、缶体と、前記缶体に給水を供給する給水ラインと、前記給水ラインに配置され前記缶体に供給される給水を前記燃料が燃焼されて発生した燃焼ガスにより加熱する給水加熱器と、前記給水ラインに配置され、入力された周波数に応じて駆動する給水ポンプと、前記缶体に対する給水要求があった場合に第1周波数で前記給水ポンプを駆動させて前記缶体に第1流量で給水を供給させ、該給水要求がない場合に前記第1周波数よりも小さい第2周波数で前記給水ポンプを駆動させる給水制御部と、前記缶体の内部の圧力を取得する缶内圧力取得部と、前記給水ラインにおける前記給水ポンプよりも上流側における給水の圧力を取得する給水圧力取得部と、前記缶内圧力取得部により取得された缶体の内部の圧力、及び前記給水圧力取得部により取得された給水の圧力に基いて、給水要求がない場合に前記給水ラインを流通する給水の流量が予め設定された第2流量となるように前記第2周波数を決定する第2周波数決定部と、を備えるボイラ装置に関する。
【0009】
また、ボイラ装置は、ボイラ装置の燃焼状態を取得する燃焼状態取得部と、複数の燃焼状態と、該複数の燃焼状態に対応してそれぞれ設定された複数の前記第2流量と、を関連付けて記憶する記憶部と、を更に備えることが好ましい。
【0010】
また、ボイラ装置は、前記缶体の内部の圧力を測定する缶内圧力測定部と、前記給水ラインにおける前記給水ポンプよりも上流側の給水の圧力を測定する給水圧力測定部と、を更に備え、前記缶内圧力取得部は、前記缶内圧力測定部により測定された圧力を取得し、前記給水圧力取得部は、前記給水圧力測定部により測定された圧力を取得することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のボイラ装置によれば、製造コストを高くすることなく、給水加熱器において給水が沸騰してしまうことを効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係るボイラ装置の全体構成を示す図である。
図2】本発明のボイラ装置における制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
図3】第1実施形態のボイラ装置の給水制御の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のボイラ装置1の好ましい各実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態のボイラ装置1は、水を加熱して蒸気の生成を行う蒸気ボイラであり、蒸気を使用する負荷機器50に蒸気を供給する。
【0014】
図1に示すように、第1実施形態に係るボイラ装置1は、ボイラ本体10と、給水ラインL1と、給水加熱器としてのエコノマイザ20と、燃料供給ラインL2と、蒸気供給ラインL3と、ボイラ装置1の動作を制御する制御装置100と、を備える。
尚、本明細書における「ライン」とは、流路、径路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。また、各ラインには、各種バルブ、各種センサ、逆止弁、オリフィス、ストレーナ等の機器が必要に応じて設けられるが、図1では適宜に図示を省略する。
【0015】
ボイラ本体10は、燃料を燃焼させて給水を加熱することで蒸気を生成する。ボイラ本体10は、外形を構成する円筒形状の缶体11と、バーナ12と、排気筒13と、缶内圧力測定部としての缶内圧力センサ14と、水位計15と、を備える。
缶体11は、複数の水管、下部ヘッダ、上部ヘッダ、及び燃焼室(いずれも図示せず)を含んで構成される。缶体11では、後述の給水ラインL1から下部ヘッダを介して複数の水管に導入された給水が、燃料供給ラインL2から供給された燃料を燃焼させることで発生させた燃焼ガスにより加熱されて蒸気が生成される。
【0016】
バーナ12は、缶体11の上部に配置される。バーナ12は、燃料供給ラインL2から缶体11に供給された燃料を燃焼させる。
排気筒13は、缶体11で発生し蒸気の生成に用いられた後の燃焼ガスを排ガスとして外部に排出する。排気筒13の基端側は、缶体11の側面に接続され、先端側は上方に延びる。
【0017】
缶内圧力センサ14は、缶体11の内部の圧力(蒸気圧)を測定する。水位計15は、缶体11の内部の水位を測定する。
缶内圧力センサ14及び水位計15は、後述の制御装置100に電気的に接続されている。缶内圧力センサ14で測定された缶体11の内部の圧力及び水位計15で測定された缶体11の内部の水位は、検出信号として制御装置100に送信される。
【0018】
給水ラインL1は、給水W1を缶体11に供給する。給水ラインL1の上流側の端部は、給水源(不図示)に接続されている。給水ラインL1の下流側の端部は、缶体11の下部(下部ヘッダ)に接続されている。給水ラインL1には、給水ポンプ16及び給水圧力測定部としての給水圧力センサ17が配置される。
【0019】
給水ポンプ16は、インペラ(羽根車)の回転によって圧力差を生み出して給水W1を吸入し、缶体11に向けて吐出する。給水ポンプ16は、インペラと、このインペラを回転させる駆動モータと、この駆動モータの回転数を制御するインバータと、を備える。
給水ポンプ16は、制御装置100に電気的に接続されている。そして、制御装置100からの制御信号に基いてインバータが所定の周波数を入力することで、入力された周波数に応じて駆動モータが回転し、給水ポンプ16による給水の吐出力が制御される。
【0020】
給水圧力センサ17は、給水ラインL1における給水ポンプ16の上流側に配置される。給水圧力センサ17は、給水ラインL1を流通する給水の圧力(給水源側の水圧)を測定する。給水圧力センサ17は、制御装置100に電気的に接続されている。給水圧力センサ17で測定された給水の圧力は、検出信号として制御装置100に送信される。
【0021】
エコノマイザ20は、給水ラインL1に配置され、缶体11に供給される給水W1を缶体11において発生した燃焼ガスにより加熱する。より具体的には、エコノマイザ20は、給水ラインL1における給水ポンプ16よりも下流側の一部を、排気筒13を経由させることで構成される。そして、給水ラインL1を流通する給水W1は、排気筒13を流通する排ガスとの間で熱交換を行うことで加熱され、缶体11に供給される。
【0022】
燃料供給ラインL2は、燃料供給源(不図示)から送出された燃料を、バーナ12に供給する。
蒸気供給ラインL3は、缶体11(複数の水管)で発生した蒸気W2を負荷機器50に供給する。
【0023】
制御装置100は、ボイラ装置1の動作を制御する。本実施形態では、ボイラ装置1は、複数の段階的な燃焼位置(例えば、燃焼停止位置、低燃焼位置、中燃焼位置及び高燃焼位置の4位置)で燃焼可能な段階値制御ボイラにより構成される。そして、制御装置100は、ボイラ装置1の燃焼状態(燃焼位置)及び当該燃焼状態に応じた缶体11への給水等を制御する。
【0024】
本実施形態では、制御装置100は、缶体11からの給水要求の有無に応じて、給水ポンプ16を駆動させる周波数を制御することにより、エコノマイザ20において給水が沸騰してしまうことを抑制している。
制御装置100は、図2に示すように、制御部110として機能するCPU及び記憶部120として機能するメモリを含むマイクロプロセッサ(不図示)を含んで構成される。
【0025】
記憶部120は、ボイラ装置1を動作させるための各種情報を記憶する。本実施形態では、記憶部120には、ボイラ装置1の燃焼位置に応じてそれぞれ設定される缶体11の目標水位(帯)に関する情報、後述の第1周波数及び第2周波数に関する情報等が記憶される。
【0026】
制御部110は、給水制御部111と、缶内圧力取得部112と、給水圧力取得部113と、燃焼状態取得部114と、第2周波数決定部115と、を備える。
【0027】
給水制御部111は、缶体11に対する給水要求があった場合に第1周波数で給水ポンプ16を駆動させて缶体11に給水を供給させ、給水要求がない場合に第1周波数よりも小さい第2周波数で給水ポンプ16を駆動させる。
ここで、第1周波数は、給水要求があった場合に、給水ラインL1を流通する給水W1の流量が予め設定された第1流量以上の流量となるように給水ポンプ16を駆動させられる周波数として設定され、記憶部120に記憶される。
【0028】
第2周波数は、給水要求がない場合に、給水ラインL1を流通する給水W1の流量が第1流量よりも小さい第2流量となるように給水ポンプ16を駆動させられる周波数として設定される。第2流量は、エコノマイザ20において給水が沸騰しない流量以上であり、かつ、缶体11の水位の上昇を起こさない程度の流量に設定される。この第2流量の値は、ボイラ装置1の燃焼位置に応じてそれぞれ設定される。即ち、ボイラ装置1の燃焼位置が高い場合には、燃焼位置が低い場合に比して缶体11の内部における給水(缶水)の蒸発速度は早くなる。そのため、給水要求がない場合に、缶体11の水位が上昇しない範囲で給水ラインL1を流通させられる給水W1の流量(つまり、第2流量)は、燃焼位置が高い場合の方が、燃焼位置が低い場合よりも大きくなる。本実施形態では、ボイラ装置1の燃焼位置それぞれに対応して設定された第2流量の値が記憶部120に記憶される。
【0029】
缶内圧力取得部112は、缶体11の内部の圧力を取得する。本実施形態では、缶内圧力取得部112は、缶内圧力センサ14により測定された缶体11の内部の圧力を取得する。
給水圧力取得部113は、給水ラインL1における給水ポンプ16よりも上流側における給水の圧力を取得する。本実施形態では、給水圧力取得部113は、給水圧力センサ17により測定された給水の圧力を取得する。
【0030】
燃焼状態取得部114は、ボイラ装置1の燃焼状態(燃焼位置)を取得する。本実施形態では、燃焼状態取得部114は、缶内圧力センサ14により測定される缶体の内部の圧力に基いて決定されるボイラ装置1の燃焼位置に関する情報を取得する。
【0031】
第2周波数決定部115は、缶内圧力取得部112により取得された缶体11の内部の圧力、及び給水圧力取得部113により取得された給水の圧力に基いて、第2周波数を決定する。
より具体的には、本実施形態では、まず、制御部110が、燃焼状態取得部114により取得されたボイラ装置1の燃焼位置に応じて設定された第2流量の値を記憶部120から取得する。次いで、第2周波数決定部115は、缶内圧力取得部112により取得された缶体11の内部の圧力と給水圧力取得部113により取得された給水の圧力との差圧、及び取得した第2流量の値に基づいて、給水要求がない場合に第2流量で給水W1を流通させるのに必要な駆動力で給水ポンプ16を駆動させるための第2周波数を算出する。
【0032】
次に、本実施形態のボイラ装置1の給水制御の流れにつき、図3を参照しながら説明する。図3は、第1実施形態のボイラ装置1における給水制御の流れを示すフロー図である。
【0033】
まず、ステップST1において、燃焼状態取得部114は、ボイラ装置1の燃焼状態(燃焼位置)を取得する。そして、処理はステップST2に移る。
【0034】
ステップST2において、制御部110は、缶体11への給水要求があるか否かを判定する。制御部110により缶体11への給水要求があると判定された場合(YES)、処理はステップST3に移る。制御部110により缶体11への給水要求がないと判定された場合(NO)、処理はステップST4に移る。
【0035】
ステップST3において、給水制御部111は、給水ポンプ16を第1周波数で駆動させて缶体11に第1流量で給水W1を供給させる。そして、処理はステップST1に戻る。
【0036】
ステップST4において、制御部110は、燃焼状態取得部114により取得されたボイラ装置1の燃焼位置に応じて設定された第2流量の値を記憶部120から取得する。そして、処理はステップST5に移る。
【0037】
ステップST5において、缶内圧力取得部112は、缶内圧力センサ14により測定された缶体11の内部の圧力を取得する。そして、処理はステップST6に移る。
【0038】
ステップST6において、給水圧力取得部113は、給水圧力センサ17により測定された給水W1の圧力を取得する。そして、処理はステップST7に移る。
【0039】
ステップST7において、第2周波数決定部115は、缶内圧力取得部112により取得された缶体11の内部の圧力と給水圧力取得部113により取得された給水の圧力との差圧、及び取得した第2流量の値に基づいて、第2周波数を算出する。そして、処理はステップST8に移る。
【0040】
ステップST8において、給水制御部111は、給水ポンプ16を第2周波数で駆動させて缶体11に第2流量で給水W1を供給させる。そして、処理はステップST1に戻る。
【0041】
以上説明した第1実施形態のボイラ装置1によれば、以下のような効果を奏する。
【0042】
(1)ボイラ装置1を、エコノマイザ20と、入力された周波数に応じて駆動する給水ポンプ16と、給水要求があった場合に給水ポンプ16を第1周波数で駆動させ、給水要求がない場合に給水ポンプ16を第1周波数よりも小さい第2周波数で駆動させる給水制御部111と、缶体11の内部の圧力及び給水W1の圧力に基づいて給水要求がない場合に給水ラインL1を流通する給水W1の流量が第2流量となるように第2周波数を決定する第2周波数決定部115と、を含んで構成した。これにより、第2流量を、エコノマイザ20において給水が沸騰しない流量以上であり、かつ、缶体11の水位の上昇を起こさない程度の流量に設定することで、給水要求がない場合に缶体11の水位の上昇を起こすことなく、エコノマイザ20において給水W1が滞留して沸騰してしまうことを防げる。よって、給水流量計を設けることなく連続的な給水制御を行わせられるので、製造コストを高くすることなく、エコノマイザ20において給水W1が沸騰してしまうことを抑制できる。
【0043】
(2)ボイラ装置1の燃焼位置が高い場合には、燃焼位置が低い場合に比して缶体11の内部における給水の蒸発速度は早くなる。そのため、給水要求がない場合に、缶体11の水位が上昇しない範囲で給水ラインL1を流通させられる給水W1の流量(第2流量)は、燃焼位置が高い場合の方が、燃焼位置が低い場合よりも大きくなる。そこで、ボイラ装置1を、ボイラ装置1の燃焼状態(燃焼位置)を取得する燃焼状態取得部114を含んで構成し、記憶部120に、複数の燃焼状態(燃焼位置)と、これら複数の燃焼状態に対応してそれぞれ設定された複数の第2流量と、を関連付けて記憶させた。これにより、給水要求がない場合に、ボイラ装置1の燃焼状態に応じてより好適な流量で給水W1を流通させられるので、エコノマイザ20における給水W1の沸騰をより好適に抑制できる。
【0044】
(3)ボイラ装置1を、缶内圧力センサ14と、給水圧力センサ17と、を含んで構成し、缶内圧力取得部112に缶内圧力センサ14で測定された缶体11の内部の圧力を取得させ、給水圧力取得部113に給水圧力センサ17で測定された給水W1の圧力を取得させた。これにより、缶体11の内部の圧力と給水W1の圧力との圧力差を正確に算出できるので、第2周波数をより正確に算出できる。よって、エコノマイザ20における給水W1の沸騰をより効果的に抑制できる。
【0045】
次に、本発明の第2実施形態に係るボイラ装置について説明する。第2実施形態のボイラ装置は、主として、記憶部120に記憶される情報、及び缶内圧力取得部112及び給水圧力取得部113による情報の取得対象において第1実施形態と異なる。
【0046】
第2実施形態では、記憶部120には、給水ラインL1の給水源に応じて予め設定された給水W1の圧力値、及びボイラ装置1の使用態様に応じて予め設定された缶体11の内部の圧力値が記憶される。これら給水W1の設定圧力値及び缶体11の内部の設定圧力値は、例えば、ボイラ装置1の設置者等により制御装置100に入力される。
【0047】
また、缶内圧力取得部112は、記憶部120に記憶された缶体11の内部の設定圧力値を缶体の内部の圧力として取得する。また、給水圧力取得部113は、記憶部120に記憶された給水W1の設定圧力値を給水Wの圧力として取得する。
【0048】
そして、第2周波数決定部115は、缶内圧力取得部112により取得された缶体11の内部の圧力、給水圧力取得部113により取得された給水W1の圧力、及び燃焼状態取得部114により取得されたボイラ装置1の燃焼位置に対応して記憶部120に記憶された第2流量に基いて第2周波数を算出する。
【0049】
以上説明した第2実施形態のボイラ装置1によれば、上述した(1)及び(2)の効果を奏する他、以下のような効果を奏する。
(4)記憶部120に、給水ラインL1の給水源に応じて予め設定された給水W1の圧力値、及びボイラ装置1の使用態様に応じて予め設定された缶体11の内部の圧力値が記憶させ、缶内圧力取得部112に、記憶部120に記憶された缶体11の内部の設定圧力値を缶体の内部の圧力として取得させ、給水圧力取得部113に、記憶部120に記憶された給水W1の設定圧力値を給水Wの圧力として取得させた。これにより、給水源の圧力が安定しているような場合には、給水圧力センサ17を設けることなくボイラ装置1を構成できるので、ボイラ装置1の製造コストをより低減できる。
【0050】
以上、本発明のボイラ装置の好ましい各実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態では、ボイラ装置を、段階値制御ボイラにより構成したが、これに限らない。即ち、ボイラ装置を、燃焼量を連続的に変更可能な連続制御ボイラにより構成してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 ボイラ装置
11 缶体
14 缶内圧力センサ(缶内圧力測定部)
16 給水ポンプ
17 給水圧力センサ(給水圧力測定部)
20 エコノマイザ(給水加熱器)
111 給水制御部
112 缶内圧力取得部
113 給水圧力取得部
114 燃焼状態取得部
115 第2周波数決定部
120 記憶部
L1 給水ライン
図1
図2
図3