【解決手段】ラベル切断装置20は、ラベル切断位置Cに固定配置される固定刃21と、ラベル切断位置Cにおいて固定刃21に対向して設けられ、1回転するごとにラベル基材から所定長のラベルを切断する回転刃22とを備える。回転刃22は、回転駆動される回転軸22aと、回転軸22aに取り付けられた刃部22bとを有する。回転軸22aにはその回転方向に関して刃部22bの少なくとも後方側に、ラベル基材の切断端部に向けて空気を送り出すフィン23a,23b,23cが設けられている。
基材送出手段によって送出されてくる長尺帯状のラベル基材を順次切断しながら所定長のラベルを形成し、そのラベルをラベル移送手段に順次に供給するラベル切断装置であって、
ラベル切断位置に固定配置される固定刃と、
前記ラベル切断位置において前記固定刃に対向して設けられ、1回転するごとに前記ラベル基材から所定長のラベルを切断する回転刃と、を備え、
前記回転刃は、回転駆動される回転軸と、前記回転軸に取り付けられた刃部とを有し、前記回転軸にはその回転方向に関して前記刃部の少なくとも後方側に、前記ラベル基材の切断端部に向けて空気を送り出す空気送出手段が設けられていることを特徴とするラベル切断装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材送出手段によって送出されてくる長尺帯状のラベル基材を順次切断しながら所定長のラベルを形成し、そのラベルをラベル移送手段に順次に供給するラベル切断装置に関する。
【0002】
この種のラベル切断装置としては、
図11に示すものがある。
図11(a)に示すように、ラベル切断装置20Aは、固定刃21と回転刃22とを備える。回転刃22は矢印方向に回転駆動される。これにより、図示しない基材送出ローラによって下方側へ送られてきたラベル基材Mが、回転刃22が1回転するごとにラベル切断位置Cにおいて切断されて、所定長のラベルが形成されるようになっている。
【0003】
ラベル切断装置20Aの上側には、上方から搬送されてくるラベル基材Mをラベル切断位置Cに向けてガイドするために、ガイドプレート61および串型ガイド62,63が配設されている。ガイドプレート61および串型ガイド62は、ラベル基材Mに対して固定刃21側に設置されている。ガイドプレート61は板状をなしている。串型ガイド62は、複数本の丸棒状部材で構成され、ラベル基材Mの面方向(
図11の紙面に垂直な方向)に沿って間隔をあけて配置されている。
【0004】
串型ガイド63は、ラベル基材Mに対して回転刃22側に設置されている。串型ガイド63もまた、上記串型ガイド62と同様に複数本の丸棒状部材で構成され、ラベル基材Mの面方向に間隔をあけて配置されている。さらに、串型ガイド63は、空気を噴出するノズルとしても機能する。これにより、串型ガイド63は、上方から搬送されてくるラベル基材Mに接触してラベル切断位置Cにガイドするとともに、下端から空気を斜め下方に噴出してラベル基材Mに吹き付けることで、ラベル基材Mを固定刃21側にある串型ガイド62およびガイドプレート61に押し付けるようにしている。
【0005】
ラベル切断装置20Aの下側には、ラベル移送手段を構成する搬送ベルト33およびガイド部材42が設置されている。搬送ベルト33は、ラベル切断装置20Aによってラベル基材Mから切断された所定長のラベルを表面に吸引保持しながら矢印方向に回転することによって、ラベルを所定位置へと搬送する。ガイド部材42の上端部は回転刃22側へ傾斜するように折れ曲がっており、ラベル切断位置Cを通って下方へ搬送されてくるラベル基材Mの切断端部を搬送ベルト33側へガイドして、ラベル基材Mの切断端部が搬送ベルト33に確実に吸引保持されるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図11(a)〜(d)に示すように、ラベル切断装置20Aにおいて、回転刃22の先端が固定刃21に対向するラベル切断位置Cを通過して所定長のラベルが切断された後、ラベル基材Mは基材送出ローラによって下方に搬送されてくる。そのとき、
図11(b),(c)に示すように、ラベル基材Mの切断端部である下端部が回転刃22の先端に付いた状態で回転方向に引っ張れることがある。このようにラベル基材Mが回転刃22の先端に付く現象は、静電気の影響によるものか、回転刃22の先端が通過した後方側に負圧が生じるための少なくとも何れかであると推察される。
【0008】
上記のようにラベル基材Mの下端部が回転刃22の先端に引っ付いた状態で回転刃22が回転することにより、
図11(d)に示すように、ラベル基材Mの下端部がガイド部材42と搬送ベルト33との間に搬送されずに反れてしまうことがある。その結果、搬送ベルト33によるラベルの搬送および供給が止まってしまい、ラベルを供給すべきラベル被嵌装置等の下流側装置の稼働停止につながる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、ラベル切断位置を通って送り出されるラベル基材の切断端部をラベル移送手段に確実に供給することができるラベル切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るラベル切断装置は、基材送出手段によって送出されてくる長尺帯状のラベル基材を順次切断しながら所定長のラベルを形成し、そのラベルをラベル移送手段に順次に供給するラベル切断装置であって、ラベル切断位置に固定配置される固定刃と、前記ラベル切断位置において前記固定刃に対向して設けられ、1回転するごとに前記ラベル基材から所定長のラベルを切断する回転刃と、を備え、前記回転刃は、回転駆動される回転軸と、前記回転軸に取り付けられた刃部とを有し、前記回転軸にはその回転方向に関して前記刃部の少なくとも後方側に、前記ラベル基材の切断端部に向けて空気を送り出す空気送出手段が設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るラベル切断装置において、前記空気送出手段は、前記回転軸に固定されたフィンであってもよい。
【0012】
この場合、前記フィンは、前記回転軸の周方向全周にわたって間隔をあけて複数設けられていてもよい。
【0013】
また、本発明に係るラベル切断装置において、前記フィンの先端部には、前記ラベル切断位置に向けて上方のノズルから吹き付けられる空気を通すための切欠部が形成されていてもよい。
【0014】
さらに、本発明に係るラベル切断装置において、前記空気送出手段は、空気供給源から前記回転軸の内部空間に供給された空気が前記回転軸に形成された吹出し孔から吹き出される構成を含んでもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るラベル切断装置によれば、回転刃の回転軸にはその回転方向に関して刃部の少なくとも後方側に、ラベル基材の切断端部に向けて空気を送り出す空気送出手段が設けられているので、この空気送出手段で送り出された空気でラベル基材の切断端部を回転刃から離れる方向に押すことができる。その結果、ラベル基材が切断端部が回転刃の回転に引っ張られて所定の搬送経路から反れるのを抑制できる。したがって、ラベル切断装置によるラベルの形成および供給を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態であるラベル切断装置を備えるラベル被嵌システムを示す概略平面図である。
【
図2】ラベル切断装置を含むラベル供給装置を概略的に示す正面図である。
【
図3】ラベル切断装置を含むラベル供給装置を概略的に示す右側面図である。
【
図4】ラベル切断装置を含むラベル供給装置を概略的に示す左側面図である。
【
図5】ラベル切断装置の回転刃を拡大して示す側面図である。
【
図6】(a)〜(c)はラベル切断装置の回転刃に取り付けられるフィンをそれぞれ示す正面図および側面図である。
【
図7】
図6に示すフィンが回転刃の回転軸に取り付けられる様子を示す図である。
【
図8】(a)〜(d)はラベル切断装置において切断後のラベル基材の切断端部がラベル移送手段に案内される様子を段階的に示す図である。
【
図9】回転刃に設けられるフィンの変形例を示す図である。
【
図10】回転刃に設けられる空気送出手段の別の例を示す図である。
【
図11】(a)〜(d)は、従来のラベル切断装置において、切断後のラベル基材の切断端部がラベル移送手段に案内されない様子を段階的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態であるラベル切断装置を備えるラベル被嵌システム1を示す概略平面図である。このラベル被嵌システム1は、
図1に示すように、PETボトル(以下、ボトルという)Bにポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等からなる熱収縮性フィルムによって形成された筒状のシュリンクラベル(以下、ラベルという)Lを被嵌するものである。ラベル被嵌システム1は、ベルトコンベア8、スターホイール2a、スクリューコンベア2b及びスターホイール2cからなるボトル供給装置2と、基材繰出装置3によって基材ロールから繰り出された長尺帯状のラベル基材Mを順次切断しながらラベルLを形成し、そのラベルLを第1のラベル受渡位置αに順次供給するラベル供給装置4と、このラベル供給装置4によって第1のラベル受渡位置αに供給されたラベルLを受け取って第2のラベル受渡位置βに搬送するラベル受渡装置5と、ボトル供給位置γにおいてボトル供給装置2から供給されたボトルBを受け取り、ボトル送出位置δまで搬送すると共に、ラベル受渡装置5によって搬送されてきたラベルLを第2のラベル受渡位置βにおいて受け取り、ボトルBをボトル供給位置γからボトル送出位置δまで搬送する間に、ラベルLをボトルBに被嵌するロータリ型のラベル被嵌装置6と、このラベル被嵌装置6によってラベルLが被嵌されたボトルBを搬出する、スターホイール7a及びベルトコンベア8からなるボトル搬送装置7とを備える。
【0019】
図2は、ラベル切断装置20を含むラベル供給装置4を概略的に示す正面図である。ラベル受渡装置5は、
図1および
図2に示すように、第1のラベル受渡位置αと第2のラベル受渡位置βとを通るように、回転する複数本のテイクアップ部材5aを備えている。ラベル受渡装置5は、シート状に折り畳まれた状態で第1のラベル受渡位置αに供給されるラベルLを、テイクアップ部材5aが受け取って、ラベル被嵌装置6に送出するようになっている。
【0020】
次に、
図2〜
図4を参照して、ラベル切断装置20を含むラベル供給装置4について説明する。
図3はラベル供給装置4を概略的に示す右側面図であり、
図4はラベル供給装置4を概略的に示す左側面図である。
【0021】
ラベル供給装置4は、
図2〜
図4に示すように、基材繰出装置3によって基材ロールから繰り出された長尺のラベル基材Mを連続的に送り出すラベル基材送出ユニット(基材送出手段)10と、このラベル基材送出ユニット10によって送り出されるラベル基材Mを所定長に順次切断するラベル切断装置20と、このラベル切断装置20によって切断されることにより形成されたラベルLをラベル受渡位置αに順次搬送する上流側ラベル搬送ユニット(ラベル移送手段)30及び下流側ラベル搬送ユニット50とを備えている。また、ラベル基材送出ユニット10とラベル切断装置20との間には、ラベル基材送出ユニット10によって送出されるラベル基材Mをガイドするラベル基材ガイドユニット60が配設されている。
【0022】
ラベル基材送出ユニット10は、図示しない独立した基材送り用サーボモータによって駆動される駆動ローラ11と、この駆動ローラ11との間にシート状に折り畳まれたラベル基材Mを挟み込む従動ローラ12と、駆動ローラ11及び従動ローラ12の外周面に形成された複数本の周溝11a,12aに嵌合した状態で微小間隔を開けて対向設置された、ラベル基材Mを案内するそれぞれ4本の串状部材13a,14aからなる左右一対の串型ガイド13,14とを備えている。ラベル基材送出ユニット10において、両ローラ11,12に挟み込まれたラベル基材Mは、一対の串型ガイド13,14によって案内されながら、駆動ローラ11の回転によってラベル切断装置20が設けられた下方側のラベル切断位置Cに送り出される。
【0023】
ラベル切断装置20は、ラベル切断位置Cに固定配置された固定刃21と、図示しない独立した基材切断用サーボモータによって回転駆動される回転刃22とによって構成されるロータリカッタである。この回転刃22が1回転するごとに、ラベル基材送出ユニット10により連続的に送り出されるラベル基材Mを順次切断することで、所定長のラベルLが順次形成されるようになっている。また、本実施形態のラベル切断装置20では、回転刃22にフィン23が設けられている。その詳細については後述する。
【0024】
上流側ラベル搬送ユニット30は、ラベル切断位置Cとラベル受渡位置αとの間に配設されている。上流側ラベル搬送ユニット30は、左右で対をなす2個のガイドローラ31及び駆動プーリ32に掛け渡され、ラベル切断位置C近傍とラベル受渡位置αの近傍位置との間を循環移動する2本の搬送ベルト33と、各搬送ベルト33にテンションを付与する2個のテンションローラ34と、各搬送ベルト33にラベルLを吸引保持させる吸引機構35と、ラベルLをその下端から上端にわたって搬送ベルト33に順次密着させることで吸引機構による搬送ベルト33へのラベルLの吸引保持動作を補助する吸引補助手段37とから構成されている。上流側ラベル搬送ユニット30において駆動プーリ32は、図示しない独立した上流側ベルト駆動用サーボモータによって回転駆動されるようになっている。
【0025】
搬送ベルト33は、
図2及び
図3に示すように、搬送しようとするラベルLの幅よりも狭い間隔で平行に配置されており、各搬送ベルト33には、その幅方向の中央部に長手方向に沿って多数の吸引孔(図示せず)が一定間隔で形成されている。
【0026】
2本の搬送ベルト33の間には、
図11を参照して説明したのと同様のガイド部材42が設置されている。ガイド部材42の上端部は回転刃22側へ傾斜するように折れ曲がっており、ラベル切断位置Cを通って下方へ搬送されてくるラベル基材Mの切断端部を搬送ベルト33側へガイドして、ラベル基材Mの切断端部が搬送ベルト33に確実に吸引保持されるようにしている。
【0027】
吸引機構35は、ガイドローラ31間に各搬送ベルト33に沿ってそれぞれ配置された一対の吸引チャンバ36と、各吸引チャンバ36に図示しないチューブ等を介して接続される真空ポンプ等の図示しない吸引装置とから構成されている。吸引機構35において、各吸引チャンバ36の搬送ベルト33との接触面には、吸引口が開放されている。
【0028】
吸引補助手段37は、
図2及び
図4に示すように、ラベルLの搬送ラインを挟んで、左右一対の各搬送ベルト33に対向するように設けられた3個のガイドローラ38及び駆動プーリ39と、これらに掛け渡される2本のベルト40と、各ベルト40にテンションを付与する2個のテンションローラ41とから構成されている。駆動プーリ39は、上述した搬送ベルト33を循環移動させているサーボモータによって駆動されるようになっている。吸引補助手段37では、ベルト40が搬送ベルト33の移動速度と同一速度で循環移動するように、駆動プーリ39の回転速度が設定されている。
【0029】
下流側ラベル搬送ユニット50は、
図2〜
図4に示すように、ラベル受渡位置αを挟んで左右で対をなす上下に配設された2個のガイドローラ51及び駆動プーリ52に掛け渡され、ラベル受渡位置αの上下間を循環移動する2本の搬送ベルト53と、この搬送ベルト53にラベルLを吸引保持させる吸引機構54とから構成されており、駆動プーリ52は、図示しない独立した下流側ベルト駆動用サーボモータによって回転駆動されるようになっている。
【0030】
吸引機構54は、2本の搬送ベルト53の内側に平行に配置されており、各搬送ベルト53には、その幅方向の中央部に長手方向に沿って多数の吸引孔(図示せず)が一定間隔で形成されている。
【0031】
また、吸引機構54は、ガイドローラ51間に搬送ベルト53に沿ってそれぞれ配置された吸引チャンバ55と、吸引チャンバ55に図示しないチューブ等を介して接続される真空ポンプ等の図示しない吸引装置とから構成されており、吸引チャンバ55の搬送ベルト53との接触面には吸引口が開放されている。
【0032】
ラベル基材ガイドユニット60は、ガイドプレート61と、串型ガイド62と、串型ガイド63とを含む。ガイドプレート61は、ラベル切断装置20の固定刃21の先端部の直上近傍に下端縁が位置するように傾斜させた状態で固定刃21側に配設された、ラベル基材Mよりも幅広の板状部材である。串型ガイド62は、ガイドプレート61の上方に配設され、下端部がラベル基材送出ユニット10によって送り出されてくるラベル基材Mの走行ラインの近傍まで張り出すように傾斜した例えば4本の串状部材62aから構成される。串型ガイド63は、ラベル基材Mの走行ラインを挟んで、串型ガイド62の各串状部材62aに対向する状態で、ラベル切断装置20の回転刃22側に配設され、下端部がラベル基材Mの走行ラインの近傍まで張り出すように傾斜した4本の中空構造の串状部材63aから構成されている。ラベル基材ガイドユニット60において、ラベル基材送出ユニット10によって送出されてくるラベル基材Mは、串型ガイド62の各串状部材62aの下端部と、串型ガイド63の各串状部材63aの下端部との間の微小隙間を通過して、ラベル切断装置20側に送り出されるようになっている。
【0033】
また、串型ガイド63を構成している串状部材63aは、コンプレッサ等の図示しない給気手段に接続されており、串状部材63aの下端開口部からラベル切断位置Cに向かって、回転刃22側の上方から斜めに空気を吹き付けるノズルとしても機能する。
【0034】
上記のようにガイドプレート61および両側の串型ガイド62,63によってガイドされながらラベル基材Mがラベル切断装置20側へ向けて送り出されることで、ラベル基材Mをラベル切断装置20に安定して供給することができる。また、串型ガイド63から空気を吹き付けることで、ラベル基材Mの切断端部が下方へ送り出される際に回転刃22側へ引っ張られないように補助することができる。
【0035】
次に、
図5〜
図8を参照して本実施形態のラベル切断装置20について説明する。
図5は、ラベル切断装置20の回転刃22を拡大して示す側面図である。
図6(a)〜(c)は、ラベル切断装置20の回転刃22に取り付けられるフィン23a,23b,23cをそれぞれ示す正面図および側面図である。さらに、
図7は、
図6に示すフィン23a,23b,23cが回転刃22の回転軸22aに取り付けられる様子を示す図である。
【0036】
ラベル切断装置20は、
図5に示すように、固定刃21と、回転刃22とを備えるロータリカッタであることは上述した通りである。本実施形態のラベル切断装置20の回転刃22は、図示しない基材切断用サーボモータによって回転駆動される回転軸22aと、回転軸22aに固定された板状の刃部22bと、回転軸22aの外周面に略径方向に突出するように取り付けられたフィン(または羽根)23とを有する。刃部22bは、回転軸22aの外周側へ両端部が突出して固定されている。
【0037】
本実施形態では、回転刃22において、回転軸22aの外周面のほぼ全体にわたって複数のフィン23が周方向に間隔をあけて配置されている。より詳しくは、回転刃22には、矢印D方向で示す回転方向に関し、刃部22bの先端部29の後方側に6枚のフィン23a,23b,23cがボルト25によって固定されている。また、回転刃22には、矢印D方向で示す回転方向に関し、刃部22bの先端部29の前方側にも6枚のフィン23a,23b,23cがボルト25によって固定されている。すなわち、回転刃22には合計12枚のフィン23a,23b,23cが回転軸22aのほぼ全周にわたって設けられている。
【0038】
図6および
図7には、回転刃22の回転軸22aの後方側半周部分に6枚のフィン23a,23b,23cが取り付けられる様子が示されている。各2枚ずつのフィン23a,23b,23cは、円弧状をなす連結部24a,24b,24cによって連結された形状をなし、各連結部24a,24b,24cにそれぞれ形成されている貫通孔26にボルト25を通して回転軸22aに形成された雌ねじ孔に締結固定されている。このようなフィン23a,23b,23cおよび連結部24a,24b,24cは、例えば金属板を曲げ加工することによってそれぞれ形成することができる。このようにボルト25によってフィン23a,23b,23cを回転軸22aに締結固定することで、溶接固定した場合に比べて、回転刃22の回転中にフィンが外れて飛んでしまうことがない。
【0039】
また、各フィン23a,23b,23cの先端部には、4つの矩形状の切欠部23dが間隔をあけて形成されている。これらの切欠部23dは、上述した串型ガイド63を構成している串状部材63aから吹き出される空気を遮断することなくラベル切断位置Cに流すためのものである。これにより、回転刃22が回転しているときにもフィン23a,23b,23cの切欠部23dを介して串型ガイド63から空気がラベル基材Mの切断端部に吹き付けられるので、ラベル基材Mがラベル切断位置Cから下方へ送り出される際に切断端部を固定刃21側へ押し付ける機能、すなわち回転刃22側へ引っ張られないように補助する機能を維持できる。
【0040】
なお、
図6および
図7では、回転刃22の半周分のフィン23a,23b,23cについて説明したが、残りの半周分についても同様に構成される。
【0041】
続いて、
図8を参照して、上記構成からなるラベル切断装置20の回転刃22の作用について説明する。
図8(a)〜(d)は、ラベル切断装置20において切断後のラベル基材Mの切断端部が上流側ラベル搬送ユニット30に案内される様子を段階的に示す図である。
図8(a)は回転刃22の刃部22bが水平方向に沿った姿勢にあってラベル基材Mを切断するときの位置を示し、
図8(b),(c),(d)は
図8(a)の状態から回転刃22が30°、60°、90°だけ回転した状態を示している。
【0042】
図8(a)に示される状態で、回転刃22の刃部22bの先端が固定刃21に接近して、ラベル基材Mから所定長のラベルL(図示せず)を切断する。この切断によりラベル基材Mから切り離された所定長のラベルLは、その下端部が既に搬送ベルト33に吸引保持された状態にあるため、搬送ベルト33の回転に従って搬送される。
【0043】
ラベルLが切断された後、
図8(b)〜(d)に示すように、回転刃22が引き続き回転し、ラベル基材Mの切断端部はラベル基材送出ユニット10によって送り出される。ここで、回転刃22の回転数は高速であり、例えば毎分500回転に設定される。回転刃22がこのように高速で回転するため、回転刃22に取り付けられたフィン23によって空気が径方向外側へ送り出される。このように発生した空気流によって、ラベル切断位置Cから下方へ送り出されるラベル基材Mの切断端部は固定刃21側へ押された状態を維持しながら下方へ移動する。そのため、ラベル基材Mの切断端部が回転刃22に引っ張れることによって搬送経路から反れてしまうのを簡易な構成で効果的に抑制できる。その結果、ラベル基材Mがラベル切断装置20のところで詰まってラベル被嵌システム1が稼働停止するのを解消または低減できる。
【0044】
なお、本発明は上記の実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲内において種々の変更や改良が可能である。
【0045】
上記においては回転刃22の回転軸22aのほぼ全周にわたってフィン23a,23b,23cを設ける例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、
図9に示すように、回転刃22の回転方向(矢印D方向)に関し、刃部22bの先端部29の後方側に1枚のフィン23だけを取り付けてもよい。この場合でも、例えば、フィルム厚が約20μmと薄いために腰が弱いラベル基材や静電気を帯びにくい材質からなるラベル基材などの場合には、ラベル切断後にラベル切断位置Cを高速で通過する1枚のフィン23によって生じる空気流に押されることでラベル基材Mの切断端部が回転刃22の刃部22bの先端部29に引っ付きにくくなり、ラベル基材Mの詰まりを抑制して安定したラベル切断動作を行うことができる。また、回転刃22の回転数やラベル基材Mの材質等に応じて、
図6および
図7に示すように、回転刃22において刃部22bの先端部29の回転方向後方側に位置する約半周分にだけ複数のフィン23を配置してもよい。この場合でも同様の効果が見込める。
【0046】
また、上記においては各フィン23の先端部に切欠部23dを形成すると説明したが、これに限定されるものではない。フィン23により生じる空気流だけでラベル基材Mの切断端部が回転刃22に引っ張れるのを解消できる場合には、上記切欠部23dを形成することなくフィン23の先端部は回転軸22aと平行な直線状縁部を有してもよい。
【0047】
さらに、上記においては回転刃22にフィン23を設けて空気送出手段を構成したが、これに代えて
図10に示すように、回転刃22の回転軸22cを筒状部材で形成し、回転刃22の表面にはその内部空間27に連通する孔28を形成し、図示しない空気供給源によって回転軸22cの内部空間27に供給される空気を孔28から吹き出す構成を空気送出手段として用いてもよい。この場合にも回転刃22の回転軸22cから吹き出される空気流によってラベル基材Mの切断端部が固定刃21側に押されるので、上記と同様の作用効果を奏することができる。また、このような回転刃22の吹出し孔28から空気を吹き出す構成は、上述したフィン23と組み合わせて用いてもよい。なお、
図10では上記吹出し孔28が回転軸22cの周方向に間隔をあけて複数形成される例を示すが、
図9に示したのと同様に刃部22bの先端部29の回転方向後方側に少なくとも1つ(軸方向には複数個を配列)形成してもよいし、あるいは、刃部22bの先端部29の回転方向後方側に位置する回転軸22cの半周部分だけに吹出し孔28を複数個形成してもよい。
【0048】
さらにまた、上述した実施形態では、筒状のラベルLをボトルBの胴部またはキャップ部に被嵌するためのラベル被嵌システム1に搭載されたラベル供給装置4に用いられるラベル切断装置20について説明したが、これに限定されるものではなく、本発明は、シート状のラベルを所定位置に所定のタイミングで供給する必要がある種々のラベル処理システムに適用することができる。