【解決手段】 キャビティや溝等の凹部を有するセラミック基板の製造方法であって、焼成することによりセラミック焼結体となるセラミックグリーンシート1Sを準備する準備工程P1と、セラミックグリーンシート1Sのうち凹部が形成される予定領域である凹部形成予定部位の一部を除去する除去工程P2と、除去工程P2後に凹部形成予定部位をプレスすることで、セラミックグリーンシート1Sに凹部を形成するプレス工程P3と、プレス工程P3を経たセラミックグリーンシート1Sを焼成する焼成工程P5と、を備えることを特徴とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のセラミック基板の製造方法では、凹部を形成する型板の押圧によって、セラミックグリーンシートの凹部が形成される部分におけるセラミック粉の密度が他の部分よりも高くなる傾向がある。このように部位によりセラミック粉の密度が異なるセラミックグリーンシートを焼結すると、セラミック粉の密度が低い部位は、セラミック粉の密度が高い部位よりも焼結時に収縮する傾向がある。このような部位による収縮率の違いが生じると、キャビティの寸法が設計値と大きく隔たるセラミック基板が製造されてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、寸法精度に優れるセラミック基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、凹部を有するセラミック基板の製造方法であって、焼成することによりセラミック焼結体となるセラミックグリーンシートを準備する準備工程と、前記セラミックグリーンシートのうち前記凹部が形成される予定領域である凹部形成予定部位の一部を除去する除去工程と、前記除去工程後に前記凹部形成予定部位をプレスすることで、前記セラミックグリーンシートに前記凹部を形成するプレス工程と、前記プレス工程を経た前記セラミックグリーンシートを焼成する焼成工程と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
このセラミック基板の製造方法によれば、プレス工程で凹部を形成する前に凹部が形成される予定領域である凹部形成予定部位の一部を除去するため、凹部形成予定部位がプレスされた後において、プレスによりセラミックグリーンシート中のセラミック粉が移動しても、プレスされた部位の密度が高くなることを抑制できる。従って、セラミック粉の密度に偏りが生じることを抑えることができる。このためセラミックグリーンシートを焼結する際、部位により収縮率が異なることを抑制することができる。
【0009】
また、セラミックグリーンシートを除去する手段として、レーザ加工やルータ等による切削加工を挙げることができるが、除去した部分の表面には不要な凹凸ができやすい。しかし、本発明では、凹部をセラミックグリーンシートの除去のみで形成せずにプレス加工を組み合わせているため、凹部の表面に不要な凹凸が出来ることを抑制することができる。
【0010】
こうして本発明のセラミック基板の製造方法によれば、寸法精度に優れるセラミック基板を製造することができる。
【0011】
また、前記除去工程において、レーザ加工により前記凹部形成予定部位の一部を除去することが好ましい。
【0012】
レーザ加工によれば、ルータ等を用いた切削加工と異なり、除去工程においてセラミックグリーンシートに応力がかかることを抑制することができる。従って、セラミックグリーンシートが変形したり、除去工程によりセラミック粉の密度が変化したりすることを抑制することができる。
【0013】
また、前記除去工程により前記セラミックグリーンシートの除去された部分の内壁には角部が非形成とされることが好ましい。
【0014】
除去工程では、セラミックグリーンシートの除去カスが生じる場合がある。この除去カスが小さな場合であっても、上記のように角部が非形成とされることで、除去カスが角に溜まることが防止され、セラミックグリーンシート上の除去カスを容易に取り除くことができる。
【0015】
また、前記プレス加工において、前記凹部形成予定部位に振動を加えることが好ましい。
【0016】
振動を加えることにより、セラミック粒子の流動性を向上させることができる。従って、プレス工程時において、セラミックグリーンシートのプレスされる部位からプレスされない部位にセラミック粒子が移動し易くなる。このため凹部形成予定部位近傍のセラミック粉の密度が高くなることをより抑制することができる。従って、寸法精度がより優れるセラミック基板を製造することができる。
【0017】
また、前記凹部は電子部品が搭載されるキャビティとされることとしても良い。
【0018】
或いは、前記セラミック基板は複数の基板個片に分割される多数個取基板であり、前記凹部は前記複数の基板個片に分割するための分割用溝とされることとしても良い。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、寸法精度に優れるセラミック基板の製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のセラミック基板の製造方法について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る部品搭載用基板を示す図である。本実施形態の部品搭載用基板10はセラミック焼結体から成る。つまり、部品搭載用基板10はセラミック基板の一形態とされる。本実施形態の部品搭載用基板10は、基体部11と、基体部11上に形成される枠体部12とから成り、基体部11と枠体部12とは一体成形されている。なお、
図1では基体部11と枠体部12との境界を破線で示している。
【0023】
基体部11は、仮に基体部11と枠体部12とを分離する場合、平板状の部位とされる。基体部11の大きさは、特に限定されないが、例えば、3mm(縦幅)×2mm(横幅)×0.6mm(厚さ)とされる。
【0024】
枠体部12は、基体部11上に形成される環状の部位である。枠体部12の基体部11側と反対側の面である上面は平坦状とされる。また、枠体部12の外周側の側面の形状は、基体部11の側面の形状と同様とされている。枠体部12は、上述のように環状の部位であるため、枠体部12には、厚さ方向に貫通する孔が形成されており、本実施形態において、この孔の上面と底面は、四角形の形状とされている。上記のように、枠体部12は基体部11上に形成されているため、部品搭載用基板10としてみると、枠体部12の基体部11側と反対側が開口していることになり、基体部11の上面と枠体部12の内周面とにより凹部であるキャビティ15が形成されている。なお、本実施形態ではキャビティ15における枠体部12の内壁面が、キャビティ15の開口方向(基体部11から枠体部12に向かう方向)において、外側に向かって広がる傾斜面とされている。なお、枠体部12のサイズは、特に限定されないが、例えば3mm(縦幅)×2mm(横幅)×0.2mm(厚さ)とされる。また、傾斜面である内壁面の傾斜角度は、特に限定されないが、基体部11の上面に対して例えば75°とされる。また、キャビティ15の開口のサイズは、特に限定されないが、例えば0.9mm(縦幅)×0.9mm(横幅)とされる。
【0025】
本実施形態の部品搭載用基板10は、電子部品搭載用の基板とされ、キャビティ15は、発光素子やMEMS等の電子部品が収納される部位とされる。従って、必要に応じて、部品搭載用基板10の表面に配線導体等の他の部材が設けられても良い。
【0026】
なお、部品搭載用基板10を構成するセラミックスとしては、特に限定されないが、例えば、アルミナを主成分とするセラミックスや、窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスや、ムライトを主成分とするセラミックス等を挙げることができる。
【0027】
部品搭載用基板10は、部品搭載用基板10が基板個片として多数連結して成る多数個取基板を分割する工程を経て得ることができる。
【0028】
図2は、このような多数個取基板1の平面図であり、
図3は、
図2のV−V線における多数個取基板の断面図である。上記のように部品搭載用基板10は、多数個取基板1が分割されて個片とされるため、
図2、
図3に示すように、多数個取基板1は、部品搭載用基板10が複数個連結して成る基板個片集合部3を有し、さらに基板個片集合部3を囲む基板縁部5を有する。
【0029】
基板個片集合部3及び基板縁部5は、部品搭載用基板10と同様のセラミック焼結体から成る。つまり、多数個取基板1はその全体がセラミック焼結体から成り、多数個取基板1はセラミック基板の一形態と把握することができる。そして、基板個片集合部3の一方の面側には、それぞれの部品搭載用基板10を個片化するための凹部である分割溝4が形成されている。この分割溝4で囲まれた領域に、それぞれの部品搭載用基板10のキャビティ15が形成されている。この分割溝4を基準に多数個取基板1を分割することで、それぞれの部品搭載用基板10を得る。
【0030】
次に、多数個取基板1を製造する方法について説明する。
【0031】
図4は、
図2、
図3に示す多数個取基板1を製造する工程を示すフローチャートである。
図4に示すように、多数個取基板1の製造方法は、準備工程P1と、除去工程P2と、第1プレス工程P3と、第2プレス工程P4と、焼成工程P5とを備える。
【0032】
<準備工程P1>
本工程では、多数個取基板1を製造するためのセラミックグリーンシートを準備する。セラミックグリーンシートとは、焼成することによりセラミック焼結体となる生シートのことであって、焼成前のセラミック基板のことをいう。
図5は、本工程において準備されるセラミックグリーンシートを示す図である。
図5に示すように本工程においては、平坦なセラミックグリーンシート1Sを準備する。なお、
図5においては、
図2、
図3に示す分割溝4が形成される予定領域である分割溝形成予定部位4Sが破線で示され当該部位で囲まれる部分が部品搭載用基板10となる部分である。また、
図5においては、部品搭載用基板10となる部分のそれぞれにキャビティ15が形成される予定領域であるキャビティ形成予定部位15Sが点線で示されている。
【0033】
セラミックグリーンシート1Sは次のように製造される。例えば、部品搭載用基板10がアルミナセラミックスから成る場合には、アルミナ粉末、焼結助剤、有機バインダ、溶剤、可塑剤等を適宜混合してスラリーを調製する。次に、調製したスラリーをドクターブレード法やカレンダーロール法等の方法により、平坦なシート状に成形して単層のセラミックグリーンシート1Sを作製する。なお、セラミックグリーンシート1Sは、原料粉末を成型機に充填して、加圧成形して作製することもできる。
【0034】
<除去工程P2>
次に除去工程P2を行う。本工程は、セラミックグリーンシート1Sのうち凹部が形成される予定領域である凹部形成予定部位の一部を除去する工程である。
【0035】
本実施形態では、多数個取基板1における分割溝4及びキャビティ15が凹部とされる。そこで、本工程では、
図5に示すセラミックグリーンシート1Sにおける凹部形成予定部位である分割溝形成予定部位4Sの一部及び凹部形成予定部位であるキャビティ形成予定部位15Sの一部を除去する。
【0036】
図6は本工程の様子を示す図である。
図6に示すように、本実施形態では、除去をセラミックグリーンシート1SにレーザLを照射するレーザ加工により行う。このとき、集塵機50により、レーザ加工により発生するセラミックグリーンシート1Sの除去カスを集めることが好ましい。セラミックグリーンシート1Sを加工するレーザLとしては、例えば、エキシマレーザやYAGレーザや炭酸ガスレーザ等を挙げることができる。
【0037】
図7は、本工程後のセラミックグリーンシート1Sを示す図である。上記のように本工程では、セラミックグリーンシート1Sにおけるキャビティ形成予定部位15Sの一部を除去するため、キャビティ形成予定部位15Sの他の一部が残存する。本本工程では、レーザ加工後にキャビティ形成予定部位15Sの他の一部が残存した状態で、セラミックグリーンシート1Sにおけるキャビティ形成予定部位15Sの内壁に凹状の角部が非形成とされるように、レーザ加工が行われる。
図7では、キャビティ形成予定部位15Sの内壁が全体的に曲面となるようにレーザ加工が行われた様子を示している。このように角部が非形成とされることで、集塵機50で集められなかった除去カスがキャビティ形成予定部位15Sの表面に付着する場合であっても、当該カスが角に入り込むことを防止でき、当該カスを容易に取り除くことができる。
【0038】
また、上記のように本工程では、セラミックグリーンシート1Sにおける分割溝形成予定部位4Sの一部を除去するため、分割溝形成予定部位4Sの他の一部が残存する。本工程では、セラミックグリーンシート1Sにおける互いに隣り合うキャビティ形成予定部位15Sの間において、分割溝形成予定部位4Sの一部を溝状に除去することが好ましい。なお、特に図示しないが、分割溝形成予定部位4Sの一部を除去する場合においても、セラミックグリーンシート1Sにおける分割溝形成予定部位4Sの内壁に角部が非形成とされることとしても良い。
【0039】
<第1プレス工程P3>
本工程は、セラミックグリーンシート1Sにおいて、除去工程P2により一部が除去されたキャビティ形成予定部位15Sをプレスすることでキャビティ15を形成する工程である。
【0040】
図8は、本工程の様子を示す図である。
図8に示すように、本工程では、平板状の下側金型51とキャビティ形成予定部位15Sに入り込みキャビティ15を形成する凸状の上側金型52とによりセラミックグリーンシート1Sを挟み込んでプレスする。このプレスにより、セラミックグリーンシート1Sにおけるキャビティ形成予定部位15Sに位置するセラミック粉は、キャビティ形成予定部位15S以外に移動する。また、このプレスにより、セラミックグリーンシート1Sを平面視する場合に、キャビティ形成予定部位15Sと重なる部位に位置するセラミック粉の一部は、キャビティ形成予定部位15Sと重ならない位置まで移動する。
【0041】
また、本実施形態では、下側金型51に振動子53が設けられており、振動子53はセラミックグリーンシート1Sのプレス時に振動する。この振動子53の振動により、下側金型51は振動する。この振動により、凹部形成予定部位であるキャビティ形成予定部位15Sに振動が加えられ、プレス時にセラミックグリーンシート1Sを構成するセラミック粉は流動し易くなる。このため、セラミックグリーンシート1Sにおけるキャビティ形成予定部位15Sのセラミック粉がキャビティ形成予定部位15S以外に移動し易くなると共に、セラミックグリーンシート1Sを平面視する場合におけるキャビティ形成予定部位15Sと重なる部位に位置するセラミック粉、すなわちキャビティ形成予定部位15Sよりも下側金型51側に位置するセラミック粉が、キャビティ形成予定部位15Sと重ならない位置に移動し易くなる。従って、本工程後に、このためキャビティ形成予定部位15Sと重なる部位に位置するセラミック粉の密度が高くなることをより適切に抑制することができる。なお、上記のようにセラミックグリーンシート1S中のセラミック粉の流動性を高める観点から、振動子53の振動により下側金型51は超音波振動することが好ましい。
【0042】
また、上記のように、除去工程P2において、互いに隣り合うキャビティ形成予定部位15S間における分割溝形成予定部位4Sの一部が溝状に除去される場合、プレスにより上記のようにセラミック粉が移動しても、移動したセラミック粉を溝状に除去された除去部分が潰れるように変形して吸収する。従って、分割溝形成予定部位4Sの一部が溝状に除去されることで、セラミック粉がより適切に移動することができる。
【0043】
こうしてセラミックグリーンシート1Sにおいてキャビティ15が形成される。
【0044】
<第2プレス工程P4>
本工程は、セラミックグリーンシート1Sにおいて、除去工程P2により一部が除去された分割溝形成予定部位4Sをプレスすることで分割溝4を形成する工程である。
【0045】
図9は、本工程の様子を示す図である。
図9に示すように、本工程では、平板状の下側金型61と分割溝形成予定部位4Sに入り込み分割溝4を形成する凸状の上側金型62とによりセラミックグリーンシート1Sを挟み込んでプレスする。このプレスにより分割溝4が形成される。
【0046】
また、本工程においても、第1プレス工程P3と同様にして、下側金型61に振動子63が設けられており、振動子63はセラミックグリーンシート1Sのプレス時に振動することが好ましい。この振動子63の振動により下側金型61は振動し、凹部形成予定部位である分割溝形成予定部位4Sに振動が加えられ、プレス時にセラミックグリーンシート1Sを構成するセラミック粉は流動し易くなる。従って、本工程後に、このため分割溝形成予定部位4Sと重なる部位に位置するセラミック粉の密度が高くなることをより適切に抑制することができる。また、本工程においても、第1プレス工程P3と同様にして、振動子63の振動により下側金型61は超音波振動することが好ましい。
【0047】
また、上記のように除去工程P2において、互いに隣り合うキャビティ形成予定部位15S間における分割溝形成予定部位4Sの一部が溝状に除去されていれば、第1プレス工程において上記のように溝状に除去された除去部分が潰れるように変形しても、当該除去部分の痕跡は残る。従って、本工程において、凸状の上側金型62がセラミックグリーンシート1Sの分割溝形成予定部位4Sに入り易く、プレスされた部位におけるセラミック粉の密度が高くなることを抑えることができる。
【0048】
こうして、セラミックグリーンシート1Sにおいて分割溝4が形成される。
【0049】
以上の工程により、
図2、
図3に示す多数個取基板1と略同形状のセラミックグリーンシート1Sを得る。
【0050】
<焼成工程P5>
次に、セラミックグリーンシート1Sを焼成する。このとき、上記のように、部品搭載用基板10がアルミナセラミックスから成る場合には、アルミナが焼結し得る所定の温度(例えば、1400℃から1800℃程度の温度)で焼成する。この焼成により、セラミックグリーンシート1Sを焼結させて、複数の部品搭載用基板10が個片として集合して成る基板個片集合部3を有するセラミック基板としての多数個取基板1を得る。
【0051】
そして、上記のように分割溝4を基準に多数個取基板1を分割することで、セラミック基板としての部品搭載用基板10を得る。
【0052】
以上説明したように、本実施形態のセラミック基板の製造方法によれば、第1プレス工程P3でキャビティ15を形成する前に、キャビティ形成予定部位15Sの一部を除去するため、キャビティ形成予定部位15Sがプレスされた後において、プレスによりセラミックグリーンシート中のセラミック粉が移動しても、プレスされた部位におけるセラミック粉の密度が高くなることを抑制できる。同様に、第2プレス工程P4で分割溝4を形成する前に、分割溝形成予定部位4Sの一部を除去するため、分割溝形成予定部位4Sがプレスされた後において、プレスによりセラミックグリーンシート中のセラミック粉が移動しても、プレスされた部位におけるセラミック粉の密度が高くなることを抑制できる。従って、セラミック粉の密度に偏りが生じることを抑えることができる。このためセラミックグリーンシート1Sを焼結する際、部位により収縮率が異なることを抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、除去工程P2において、キャビティ形成予定部位15Sの全てを除去せずに当該キャビティ形成予定部位15Sの一部を除去し、同様に分割溝形成予定部位4Sの全てを除去せずに当該分割溝形成予定部位4Sの一部を除去している。その後、第1プレス工程P3及び第2プレス工程P4において、キャビティ形成予定部位15S、分割溝形成予定部位4Sをプレスしている。このため、キャビティ15や分割溝4の表面に不要な凹凸が出来ることを抑制することができる。
【0054】
こうして本実施形態のセラミック基板の製造方法によれば、寸法精度に優れるセラミック基板を製造することができる。
【0055】
また、本実施形態では、除去工程P2において、レーザ加工によりセラミックグリーンシート1Sの一部を除去している。従って、ルータ等を用いた切削加工と異なり、除去工程においてセラミックグリーンシート1Sに応力がかかることを抑制することができる。従って、セラミックグリーンシート1S変形したり、除去工程P2によりセラミック粉の密度が変化したりすることを抑制することができる。
【0056】
以上、本発明について上記実施形態を例に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものでは無い。
【0057】
例えば、上記実施形態では、セラミック基板の例として、部品搭載用基板10及び多数個取基板1を挙げた。しかし、本発明のセラミック基板は凹部を有するものであれば良く、上記例に限らない。例えば、部品搭載用基板10が個別にセラミックグリーンシートから製造されるものであり、多数個取基板1から分割されるものでなくても良い。また、セラミック基板が部品を搭載しないものであっても良い。
【0058】
また、上記実施形態では、除去工程P2において、レーザ加工によりセラミックグリーンシート1Sの一部を除去した。しかし、本発明の除去工程P2はこのような方法に限らない。例えば、ルータ等によりセラミックグリーンシート1Sの一部を削ることで、除去工程P2を行っても良い。ただし、上記のようにレーザ加工により除去工程P2を行う方がセラミックグリーンシート1Sの変形を抑制することができるため好ましい。
【0059】
また、上記実施形態では、除去工程P2において、キャビティ形成予定部位15Sの一部及び分割溝形成予定部位4Sの一部を除去した。しかし、本発明は、これに限らず、キャビティ形成予定部位15Sの一部及び分割溝形成予定部位4Sの一部の一方を除去するものであっても良い。
【0060】
また、上記除去工程P2では、集塵機50により除去カスを集めることとしたが、当該構成は必須では無い。
【0061】
また、上記実施形態では、第1プレス工程P3と第2プレス工程P4とを個別に行ったが、第1プレス工程P3と第2プレス工程P4とを同時に行っても良い。ただし、上記のように、除去工程P2において、互いに隣り合うキャビティ形成予定部位15S間における分割溝形成予定部位4Sの一部が溝状に除去される場合には、第1プレス工程P3を第2プレス工程P4の前に行うことが、セラミック粉をより適切に移動させる観点から好ましい。
【0062】
また、上記実施形態では、第1プレス工程P3において下側金型51を振動子53により振動させ、第2プレス工程P4において下側金型61を振動子63により振動させた。しかし、プレス時における金型の振動は必須では無い。ただし、セラミックグリーンシート1S中のセラミック粉の流動性を向上させる観点から、金型を振動させることが好ましい。また、金型を振動させる場合であっても、振動させる金型は下側金型51,61に限らず上側金型52,62であっても良く、下側金型51,61及び上側金型52,62の双方を振動させても良い。