【課題】ダクトをインサートしてシートパッドが一体発泡成形される際、発泡成形工程のみならず発泡原料の注入工程でも、発泡原料がエア吸気口からダクト内へ侵入できなくして、一層の品質向上,生産性向上を果たすダクト入りシートパッドの製造方法を提供する。
【解決手段】ダクト経路にエア吸気口26eとエア噴出口25aがある配風用ダクト2を、下型7aにセットし、次いで、発泡原料mの注入及び型閉じを経て、ダクト2が埋設されるシートパッド1を発泡成形するダクト入りシートパッドの製造方法にあって、下型7aに配風用ダクト2をセットすると共に、該セットと相前後して、上向きになるエア吸気口26eをシールテープ4で塞ぎ、次いで、発泡原料mの注入及び型閉じし、その後、ダクト主部21をシートパッド1で埋めて、シールテープ4付きダクト2がインサートされたシートパッド1を一体発泡成形し、車両へ組み付け前にはシールテープ4をエア吸気口26eから剥がす。
ダクト経路にエア吸気口(26e)とエア噴出口(25a)がある配風用ダクト(2)を、下型(7a)にセットし、次いで、発泡原料(m)の注入及び型閉じを経て、該ダクト(2)が埋設されるシートパッド(1)を発泡成形するダクト入りシートパッドの製造方法にあって、
下型(7a)に配風用ダクト(2)をセットすると共に、該セットと相前後して、上向きになるエア吸気口(26e)をシールテープ(4)で塞ぎ、次いで、発泡原料(m)の注入及び型閉じし、その後、ダクト主部(21)をシートパッド(1)で埋めて、シールテープ(4)付きダクト(2)がインサートされたシートパッド(1)を一体発泡成形し、車両へ組み付け前には前記シールテープ(4)を前記エア吸気口(26e)から剥がすことを特徴とするダクト入りシートパッドの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る
ダクト入りシートパッドの製造方法について詳述する。
(1)シールテープ付きダクト入りシートパッド
図1〜
図8はシールテープ付きダクト入りシートパッドの一形態で、
図1はその表面側斜視図、
図2は
図1のII-II線矢視図、
図3は
図1の裏面側斜視図及びそのシールテープ周りの説明図、
図4,
図5はダクトの説明図、
図6はエア吸気口周りの説明斜視図で、
図7,
図8はフランジの他態様図である。尚、
図2は裏当て材の図示を省き、
図3、
図6は裏当て材の断面を示すハッチングの図示を省く。
【0010】
シールテープ付きダクト入りシートパッドは、車両用座席シートの座部やバックレストのシートクッションに使用される。ここでは、車両座席シート用座部向けのシールテープ付きダクト入りシートパッドに適用する。シールテープ4を剥がした後、表皮を被せれば、公知のバックパッドに表皮を被せたバックレストと、公知のヘッドレストとで車両用座席シートを形成する。
【0011】
シールテープ付きダクト入りシートパッドは、シートパッド1とダクト2とシールテープ4とを具備する(
図1〜
図5)。
シートパッド1は、発泡型7にウレタン発泡原液等を注入して発泡成形された発泡体で、車両用座席シートの主要部を構成し、乗員当接側の表面1aに空気吹出口10が複数設けられる(
図1)。本発明の「表面」、「表面側」とは、乗員が座部に腰掛ける時に当接する面、その面の側をいう。車両組付け時にはシートパッド裏面1b側に露出するダクト2のエア吸気口26eにシールテープ4が貼着されており、これをインサートして、一体発泡成形されるシートパッド1になっている。詳しくは、車両組付け段階ではシートパッド裏面1bに露出するダクト2のエア吸気口26eを、養生用シールテープ4で塞ぎ、このシールテープ4付きダクト2を埋設して一体発泡成形されるシートパッド1であり、且つダクト2に係るフランジ27の背面27b側に在る筒状部26がシートパッド1で埋設される。
図1,
図3(イ),
図5はシートパッド1の紙面上方が車両前方側になり、
図2は表面1a側と裏面1b側を上下逆置きにしたシートパッド1で、紙面左方が車両前方側になる。
シートパッド1は主要部11を構成するメイン部12の両側にサイド部13を設け、シートパッド表面1a側の両境界に吊溝14を設ける。符号14aは縦溝、符号14bは横溝を示す。シートパッド裏面1b側には、シールテープ4で覆われたダクト2のエア吸気口26e,フランジ27が、該シールテープ4を介し、
図3のように顔を覗かせる。
【0012】
ダクト2は、ポリプロピレン樹脂等からなる樹脂製管状部材である。ダクト2には、配風用エア吸気口26eが設けられると共にダクト経路にエア噴出口25aが設けられる。
シートパッド1の中にダクト主部21が配設され、前記空気吹出口10にエア噴出口25aを連通させ、且つシートパッド裏面1b側にエア吸気口26eを設ける(
図2)。本実施形態は
図4,
図5のような平面視略H字状した配風流路29を有するブロー成形ダクト2で、車幅方向に配される横筒部23の両端から一対の縦筒部24が車両前後方向へ延びる。
ダクト2の表面側にはエア噴出口25aが複数開設される。ここでのダクト2は、その表面側に横筒部23,縦筒部24に対し短管からなるノズル部25を複数箇所に立設し、各ノズル部25の先端開口をエア噴出口25aとする。
【0013】
一方、ダクト2の裏面側には、エア吸気口26e周りの筒状部26にフランジ27が設けられる(
図4)。シートパッド1の発泡成形で、ダクト2入りシートパッド1が完成した時点で、特許文献1等では、シートパッド裏面1bのほぼ中央に筒状部26の先端口たるエア吸気口26eが露出していたが、本発明は該エア吸気口26eをシールテープ4が塞ぐ(
図2,
図3)。詳しくは、本ダクト2に係る横筒部23の略中央で導入部22が張出す。導入部22はその先端で裏面側へ屈曲し、そのまま延設されてエア吸気口26eを形成する筒状部26となる。ダクト2はダクト主部21たる横筒部23,縦筒部24,導入部22が略同一平面上にあるが、該導入部22に対して、筒状部26が裏面側へ向けて起立する。そして、エア吸気口26e周りの該筒状部26にフランジ27が形成され、シールテープ4がエア吸気口26eを塞ぐようにして該フランジ27に被着する。
【0014】
フランジ27は相手部材と接続する接続部で、裏面視が
図4のようなほぼ半円形である。フランジ27は全体的に見れば平坦なフランジ主要部271と、その外周縁で反り返って
図3,
図6のようにフランジ背面27b側へ延びる返し部273とを備える。フランジ主要部271は全体的に平坦といっても、フランジ外面27a側から背面27b側へ向けて凹む凹所272が部分形成される。本実施形態は横断面半円状に窪む三日月形の凹所272が、エア吸気口26eを取り囲むように複数(ここでは二つ)設けられる。平坦な部位のフランジ外面27aは、筒状部26の筒中心軸に対し、略直交する面とする。符号275は相手部材とのボルト取付け孔を示す。
【0015】
前記エア吸気口26eのある筒状部26は、フランジ27を利用して図示しない接続管とフランジ結合し、その接続管が送風ユニット(図示せず)につながる。エア吸気口26eの口径はエア噴出口25aの口径よりも一回り大きい。送風ユニットから一のエア吸気口26eへ導入された空調エアが分配されて、複数の各エア噴出口25aから順調に吹き出すようにしている。
ダクト2の本体主部は断面形状が円形でなく、扁平化したオーバル状になっているが、エア吸気口26eの筒状部26やエア噴出口25aのノズル部25は横断面円形とする(
図4,
図5)。図中、符号241は縦筒部24に設けた蛇腹部、符号242は取付片を示す。
【0016】
シールテープ4はエア吸気口26eを塞いでフランジ27に貼着される封止テープである。樹脂テープの一方の面に粘着剤が付与された粘着テープで、エア吸気口26eを塞ぐことのできる大きさがある汎用テープを用いる。ただ、樹脂テープの樹脂は、シールテープ4がインサートされてシートパッド1が発泡成形されるため、シートパッド1のウレタン材料と非接着性の材料樹脂がより優れる。
【0017】
シールテープ4はエア吸気口26eを塞ぐようにフランジ27に貼着されるが、フランジ27の外面27aの全域を覆着して、シールテープ付きダクト入りシートパッドとするのがより好ましい。シートパッド1の発泡成形工程で、フランジ27の外面27aに発泡原料mが付着するのを阻止できるからである。本実施形態のシールテープ4は、フランジ27の裏面視よりも一回り大きくした
図3のような略半円形とし、シールテープ4でフランジ27の外面27aの全域を覆着する。
【0018】
フランジ27には前記凹所272が設けられており、シールテープ4が、凹所272で浮いた状態にして、フランジ27の外面27aの全域を覆着する。凹所272が形成されることによって、この領域ではシールテープ4が付着しておらず、フランジ27へのシールテープ4の実質的な貼着面積が減って、シールテープ4が剥がし易くなる。
発泡成形を終えた段階は、シールテープ付きダクト入りシートパッドであるが、最終の車両に組付ける段階ではシールテープ4がダクト2から剥がされる。凹所272が設けられ、シールテープ4が凹所272で浮いた状態にすると、シールテープ4を楽に剥がせる。尚、
図3(ハ),
図6(ハ)は、シールテープ4を判り易くするため、これを筒状部先端261及びフランジ主要部271から少し離すが、実際のシールテープ4は少なくとも筒状部先端261と返し部273近くのフランジ主要部271に付着する。
【0019】
また、シールテープ4をフランジ27よりも一回り大きくすることから、シートパッド1の発泡成形で、シールテープ4の周縁43がシートパッド1に入り込むケースがある(
図3のロ)。シールテープ4に
図6に示すつまみ上げ用の耳部42を設けても、該耳部42がシートパッド1に潜り込み、シールテープ4を剥がすのに苦労する。シートパッド1の裏面には、通常、不織布等からなる裏当て材3が設けられており(
図3)、フランジ27の部分30だけくり抜いた裏当て材3がインサートされてシートパッド1に一体化される。この裏当て材3の下に耳部42が潜り込むと、シールテープ4を剥がすのに苦労する。斯かる場合、凹所272の部位に在るシールテープ4を手で凹所272の底へ向けて押し付けて、シールテープ4を剥がすことができる。より好ましくは、
図6(イ),(ロ)のごとくエア吸気口26eを塞ぐ部位に、ピンホール45を設けるか又は(及び)ミシン目46を弧状に設けるシールテープ4を採用する。
図6(イ)で、エア吸気口26eを塞ぐシールテープ4の中央部をエア吸気口26e内へ向けて指Fを押し付けることにより、ミシン目46がつながって切れる。押し付けにより、エア吸気口26e内へ入るテープ部分47を掴み上げて、フランジ27に貼付いたシールテープ4を容易に剥がすことができる。
図6(ハ)は、矢印のごとく指Fを突っ込んだ後、指先を折り曲げてシールテープ4を持上げる様子を示す。またミシン目46に代えて、
図6(ロ)のピンホール45でも、ピンホール45へ指を突っ込むようにして、シールテープ4を容易に剥がすことができる。ピンホールは判り易くするため大きめに図示するが、発泡成形時にピンホール45やミシン目46から発泡原料がエア吸気口26e内には侵入しない。
【0020】
また、
図7(イ)はシールテープ4を円滑に剥がすことのできる対策品で、
図1〜
図6のダクト2とは異なり、フランジ27の形を変えた別態様のダクト2とする。凹所272がフランジ27の外周縁271aで開放され、且つその開放部272kをエア吸気口26e側における凹所272から括れ部状に狭くして、該凹所272が入り江状に形成される。ここでの凹所272は、フランジ外面27aの一領域が凹状に凹むに終わらず、その一部からフランジ外周縁271aに達する溝状開放部272kが設けられる。そして、
図7(ロ)のごとく、シールテープ4がフランジ27に貼着されるが、開放部272kまで覆うようにしている。
図7(ロ)に示す矢印のように指を開放部272kへ差し入れた後、シールテープ4下から指で持上げれば、該シールテープを難なく剥がせるようになる。
また、
図8(イ)は、シールテープ4を円滑に剥がすことのできるよう、フランジ27の形を変えた他態様のダクト2とする。フランジ27の外周縁271aからエア吸気口26e側へ、入り江状に入り込む湾部274が形成され、且つ該湾部274がシールテープ4で覆われている。
図4に示す略半円形のシールテープ4がフランジ27の外面27aの全域を覆着して、シートパッド1が発泡成形されても、
図8(ロ)に示す矢印のように湾部274上に配されるシールテープ4の下へ指Fを差し入れた後、指先を曲げてシールテープ4を持上げれば、剥がし易くなっている。
【0021】
(2)
ダクト入りシートパッドの製造方法
ダクト入りシートパッドの製造方法は、発泡型7と前記ダクト2と前記裏当て材3とを用いて、発泡型7にダクト2をセットした後、発泡原料mの注入及び型閉じを経て、
図1〜
図3のようなシールテープ付きダクト入りシートパッドを発泡成形する。
本製法で用いる発泡型7は、
図9のごとくの上型7bと下型7aとを備える。符号7cはヒンジを示す。ヒンジ7cを支点にして
図12のごとく型閉じすると、全体的にへこみ度合いが大きな下型7aの型面71と、一部に凹みを有するものの略平坦な上型7bの型面76とで、シールテープ付きダクト入りシートパッドのキャビティ70をつくる。
図9〜
図12に示す本製法では、下型7aの型面71でシートパッド表面1a側が成形され、上型7bの型面76でシートパッド裏面1b側が成形される。尚、
図9〜
図12の発泡型7は、
図1のII-II線矢視図でセットされるダクト2の中心軸を通って、車両前後方向に切断した型断面図になっている。
【0022】
下型7aには、メイン部12の上半部用型面を中央にして、その両脇にサイド部13の上半部用型面が形成される。そして、下型7aにはメイン部12用型面の各所を柱状に盛り上げて、各空気吹出口10を形成するための隆起部72が複数設けられる。各隆起部72は、その上端面72aを平坦にして(
図12)、型閉じ時にこの上端面にノズル部25の先端面を当て、エア噴出口25aを封止する役目を担う。
【0023】
ダクト入りシートパッドの製造方法は、例えば次のように行われる。
まず、下型7aに配風用ダクト2をセットすると共に、該セットと相前後して、口が上向きになるエア吸気口26eをシールテープ4で塞いで、該エア吸気口26eを形成する筒状部26周りから張り出すフランジ27に該シールテープ4を貼着する。本実施形態は、ダクト経路にエア吸気口26eとエア噴出口25aがある配風用ダクト2を、下型7aにセットするのであるが、予めエア吸気口26eをシールテープ4で塞いでフランジ27に貼着したシールテープ4付きダクト2を準備する。そうして、発泡型7を
図9の型開状態にし、この型開状態の下型7aにシールテープ4付きダクト2をセットする。各ノズル部25を下方側に向け、ノズル部25の先端面を隆起部72の上端面に当接させ、該エア噴出口25aの口を塞いでシールテープ4付きダクト2を下型7aにセットする。ダクト2を下型7aにセットした後、そのエア吸気口26eをシールテープ4で塞いでもよいが、セットがずれる虞があり、予めシールテープ4付きダクト2とするのがより好ましい。発泡型7への斯かるダクト2のセットで、ダクト2はほぼ同一平面上に形成されたダクト主部21を水平に配して、ダクト主部21からは筒状部26が上方へ向け突出する。
下型7aへのシールテープ4付きダクト2のセットと相前後して、上型7bの型面76に図示しない止具で裏当て材3を取付けセットする。
【0024】
ここで、ダクト2のフランジ27には、既述のごとく、平坦なフランジ主要部271の外面27a側から背面27b側へ凹む凹所272が形成される(
図10)。シールテープ4が、エア吸気口26eを塞ぎ且つ該凹所272で浮いた状態で、該フランジ主要部271に貼着されている。
【0025】
次に、型開状態のまま、下型7aのキャビティ70を形成する型面71に、注入ホースh等を使用してシートパッド成形用ウレタン発泡原液等の発泡原料mを所定量注入する(
図11)。従来、口が上向きに開いたエア吸気口26eをよけて発泡原料mの注入を行っていたが、それでも注入時に発泡原料mが飛び散ったり、注入した発泡原料mが跳ね返ったりして、フランジ27にかかったり、エア吸気口26e内に入ったりする場合があった。ここでは、シールテープ4がエア吸気口26eを塞いでフランジ27に貼着されているので、エア吸気口26e内に発泡原料mが入り込まない。またシールテープ4がフランジ27の外面27aの全域を覆着しているので、フランジ27の外面27aを発泡原料mで汚すこともない。
【0026】
続いて、上型7bを作動させ型閉じする(
図12)。上型7bと下型7aとの型閉じで、シールテープ4付きダクト2がインサートセットされたシートパッド1用キャビティ70ができる。
型閉じの後、シートパッド1の発泡成形に移る。
図12の型閉じ状態を所定時間維持し、
図1〜
図3ごとくのシールテープ4付きダクト2を埋設一体化したシートパッド1を発泡成形する。ダクト主部21と一緒にフランジ27の背面27b側に在る筒状部26をシートパッド1で埋めて、ダクト2がインサートされたシートパッド1を一体発泡成形し、且つシールテープ4でエア吸気口26eを塞ぎ、フランジ27の外面27aを覆った状態で発泡成形する。
【0027】
こうして、発泡型7にシールテープ4付きダクト2,裏当て材3がインサートされた状態で、シートパッド1が一体発泡成形される。エア噴出口25aの口は隆起部72の上端面72aで閉ざされ、エア吸気口26eはシールテープ4で塞がれ封がされているので、発泡成形過程で、ダクト2内へ発泡原料mが侵入することはない。
【0028】
シートパッド1の発泡成形を終え、脱型すれば、
図1〜
図3ごと
くのシールテープ付きダクト入りシートパッドが得られる。大きな口のエア吸気口26eからダクト2内にゴミ,塵が入るのをシールテープ4が防ぐシールテープ付きダクト入りシートパッドが出来上がる。
発泡成形を終えた段階は、シールテープ付きダクト入りシートパッドであるが、最終の車両に組付ける段階ではシールテープ4がダクト2から剥がされる。車両への組付け時は、シールテープ4を剥がしたダクト2入りシートパッド1が供される。シールテープ4を剥がしたダクト2入りシートパッド1に、図示しない表皮を被せると、車両用座席シートの座部用シートクッションになる。
本製法においても、シールテープ4のエア吸気口26eを塞ぐ部位に、前記ピンホール45又はミシン目46を設けたり、フランジ27に前記開放部272k付き凹所272や前記湾部274を設けたりすることができる。
【0029】
(3)効果
このように構成した
ダクト入りシートパッドの製造方法によれば、シールテープ4がエア吸気口26eを塞ぎ、且つフランジ27に貼着したシールテープ4付きダクト2をインサートして、シートパッド1が発泡成形されるので、発泡成形工程だけでなく、発泡原料mの注入工程でも、発泡原料mがエア吸気口26eからダクト2内へ侵入できなくなる。シールテープ4でエア吸気口26eが塞がれているので、
図11で、エア吸気口26eの頭上に注入ホースhが誤ってずれ、ホースhから発泡原料mが注がれても、エア吸気口26e内へ入り込まない。特許文献1の発明が発泡原料mの注入工程において無防備だったのに対し、本発明は、発泡原料mの注入工程及び発泡成形工程で、ダクト2内への発泡原料mの侵入阻止が盤石になっている。
パイプ内に入り込んだ発泡原料mは後加工で取り除くにしても、製品化されたシートパッド1の成形後であり、製品品質を確保しながらの後加工作業に苦労する。取り除くことができなければ、発泡原料mの硬化部分がダクト2内に残って通気抵抗が増し、快適性を追求するダクト2入りシートパッド1に適合せず、不良品となることから、本発明は生産性向上,品質向上に威力を発揮する。
【0030】
また、シールテープ4がフランジ27の外面27aの全域を覆着しているので、相手部材との接合部となる外面を発泡原料mで汚さない。フランジ接合面に発泡原料mがかかると、相手部材との接合が難しくなるため、発泡原料mの硬化部分を取り除かねばならず、労を要したが、そうした負担から開放される。
【0031】
さらに、シールテープ4が貼着されたダクト2をインサートして、シートパッド1が一体発泡成形されるシールテープ付きダクト入りシートパッドができると、保管などで、大きな口のエア吸気口26eからゴミ等の不純物がダクト2内へ入り込まなくなる。品質維持に貢献する。
【0032】
車両への組付け時は、シールテープ4を剥がしたダクト2入りシートパッド1が供されることになるが、凹所272が形成されると、シールテープ4が凹所272で浮いた状態でフランジ27に貼着されるので、シールテープ4とフランジ27との接合部分が減る。したがって、シールテープ4を簡単に剥がすことができる。
【0033】
とはいっても、シールテープ4の周縁が、発泡成形中にシートパッド1に潜り込んだり、シートパッド裏面1bに貼着される裏当て材3の下へ潜り込んだりすると、該シールテープ4を剥がすのが難しくなる。このような場合でも、エア吸気口26eを塞いでいるシールテープ4の部位に、ピンホール45又はミシン目46が設けられると、既述のごとくこれらを利用して、エア吸気口26eを塞ぐシールテープ4を容易に剥がし取ることができる。
また、フランジ27に開放部272k付き凹所272を設け、該凹所が入り江状に形成されると、製品完成後、
図7(ロ)の矢印のごとく、開放部272k内へ指を突っ込めばシールテープ4をいとも簡単に剥がし取ることができる。
また、フランジ27に湾部274が形成されると、フランジ27の外面27aの全域をシールテープ4で覆着して、シートパッド1が発泡成形されても、
図8(ロ)に示す矢印のように湾部274を覆うシールテープ4の下へ指Fを差し入れた後、指先を曲げてシールテープ4を持上げれば、楽にシールテープ4を剥がすことができる。
【0034】
ここで、フランジ27に貼着したシールテープ4を剥がす場合、例えば栓抜きのような引っ掛け工具を使って剥がし取ることもできる。しかし、引っ掛け工具を手に持ち替えて、作業等をすればその時間が増え、作業工数が増える。
前記ピンホール45又はミシン目46、さらに開放部272k付き凹所272や湾部274を形成すれば、シールテープ4付きダクト2からシールテープ4をごく簡単に剥がすことができる。車両の組立て現場で即座にシールテープ4を剥がすことができるので、ゴミや埃がダクト2内へ入り込まないよう、シールテープ4で養生されたシールテープ付きダクト入りシートパッドまま、車両組立て現場への供給も可能になる。より一層の品質向上に貢献できる。勿論、シールテープ付きダクト入りシートパッドの生産現場で、これを在庫保管する場合でも、シールテープ4がエア吸気口26eを塞いで養生するので、ゴミ,埃がダクト2内へ入り込まず、品質維持に貢献する。
【0035】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。シートパッド1,ダクト2,裏当て材3,シールテープ4,発泡型7等の形状,大きさ,個数,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。例えば、実施形態はシートパッド1に適用したが、バックパッドにも適用できる。