特開2016-185877(P2016-185877A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-185877(P2016-185877A)
(43)【公開日】2016年10月27日
(54)【発明の名称】エアコンベヤ
(51)【国際特許分類】
   B65G 51/03 20060101AFI20160930BHJP
【FI】
   B65G51/03 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-67453(P2015-67453)
(22)【出願日】2015年3月27日
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】313000128
【氏名又は名称】サントリー食品インターナショナル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100086852
【弁理士】
【氏名又は名称】相川 守
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 利昭
(72)【発明者】
【氏名】岸野 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】瀧 勇気
(72)【発明者】
【氏名】辻 浩樹
(57)【要約】
【課題】容器のネック部に設けられたフランジを支持し、容器を吊り下げた状態で搬送するエアコンベヤにおいて、肩部を有する容器を安定して搬送する。
【解決手段】容器Vのネック部に設けられたフランジFを一対のネックガイド12A、12Bで支持し、吊り下げた状態で保持する。ネックガイド12Aの下方に吊り下げられた容器Vの肩部をガイドするショルダーガイド22Aを配置する。ショルダーガイド22Aに対して反対側の容器Vの下部側面に回転ローラ30を備える傾斜用ガイド26を当接させる。フランジFよりも上の容器Vの口部20に空気室16から噴出口19を通してエアを噴出し、容器Vをネックガイド12A、12Bに沿って搬送する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製容器のネック部と係合して樹脂製容器を吊り下げ支持する1対のネックガイドと、
樹脂製容器にエアを吹き付けるエア噴射手段とを備え、
エアによる推進力によって樹脂製容器を前記ネックガイドに沿って搬送するエアコンベヤにおいて、
前記1対のネックガイドのうち、一方のネックガイドの下方に設けられ、搬送される樹脂製容器の側面と当接し、樹脂製容器を搬送方向に対して側方へ傾斜させながら搬送させる傾斜用ガイドとを設けたことを特徴とするエアコンベヤ。
【請求項2】
少なくとも他方のネックガイドの下方に設けられるとともに、樹脂製容器のネック部から下方に向かって外方に拡開する樹脂製容器の肩部を案内するショルダーガイドを設けたことを特徴とする請求項1に記載のエアコンベヤ。
【請求項3】
前記傾斜用ガイドを複数の回転ローラから構成し、前記回転ローラを容器胴部に当接させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエアコンベヤ。
【請求項4】
前記ショルダーガイドを前記他方のネックガイドの下方にのみに設けたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のエアコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器のネック部に設けられるフランジを一対のネックガイドで支持し、同容器の口部近くにエアを吹き付けて搬送するエアコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
軽量ボトルを搬送するエアコンベヤでは、ボトルのネック部に設けられたフランジを平行な一対のネックガイドで両側から支持し、ネックガイドに吊り下げられたボトルの口部近くにエアを吹き付け、ボトルをネックガイドに沿って搬送する。従来、搬送されるボトルの姿勢を安定させるため、ボトルの胴部を案内する一対の胴部ガイドと、ボトルの肩部を案内する一対のショルダーガイドを設けたエアコンベヤが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−189363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構成においても以下のような問題が発生する。例えば、図2に示されるように、ボトルのフランジFを一対のネックガイド52で支持し、ボトルの肩部Sを一対のショルダーガイド54でガイドし搬送する従来のエアコンベヤ50において、搬送路の途中で複数のボトルB1〜B3が密着した状態で停止しているときに上流側から単独のボトルBが前傾姿勢で搬送されてきてボトル群(B1〜B3)に衝突すると、ボトルBはボトル群(B1〜B3)の最も上流側のボトルB1の肩部に乗り上がる。通常はショルダーガイド54によってボトルBの乗り上がりは規制されるが、例えばボトルBが軟らかく、なで肩の肩部形状を有する場合、ボトルBの肩部Sがショルダーガイド54に当たって変形し、そのままショルダーガイド54の間に噛み込まれることがある。
【0005】
また例えば図3に示されるように、単独で搬送されるボトルBの姿勢は、複数のボトルB1〜B3が密着し一群をなして搬送される場合よりも前傾姿勢の角度が大きくなる。この角度は、ボトルBの肩部Sがショルダーガイド54と接触することで規制されるため単独で搬送されるボトルBはショルダーガイド54との間の摩擦により減速される。一方、複数のボトルB1〜B3が密着して一群をなして搬送される状況では、各ボトルは、前後を隣のボトルによって規制されているため比較的直立した状態で搬送される。そのためボトルB1〜B3の肩部Sがショルダーガイド54に接触することは殆どなく、ボトルB1〜B3がショルダーガイド54との摩擦力により減速されることは殆どない。
【0006】
したがって、図3に示されるように、単独で搬送されているボトルBが、密着して搬送されているボトル群(B1〜B3)よりも下流側にあると、先行するボトルBにボトルB1〜B3の一群が追いついて衝突することがある。このとき、ボトルBは、図4に示されるように後続のボトル群(B1〜B3)に押され、ネックガイド52と係合するフランジFを支点に回転され(跳ね上がり)、ボトル群の最も下流側のボトルB3の肩部に乗り上がる。このときボトルBの肩部Sがショルダーガイド54の間に噛み込まれる。特に近年の薄肉化された樹脂製ボトルでは、強度が弱く、また重心が高くなる傾向にあるため、このような問題が顕著となる。なお、上記図2図4を用いて説明した問題点において、ショルダーガイド54がない場合は、ネックガイド53にボトルBの肩部が噛み込むことになる。
【0007】
本発明は、容器のネック部に設けられたフランジを支持し、容器を吊り下げた状態で搬送するエアコンベヤにおいて、肩部を有する容器を安定して搬送することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のエアコンベヤは、樹脂製容器のネック部と係合して樹脂製容器を吊り下げ支持する1対のネックガイドと、樹脂製容器にエアを吹き付けるエア噴射手段とを備え、エアによる推進力によって樹脂製容器をネックガイドに沿って搬送するエアコンベヤにおいて、1対のネックガイドのうち、一方のネックガイドの下方に設けられ、搬送される樹脂製容器の側面と当接し、樹脂製容器を搬送方向に対して側方へ傾斜させながら搬送させる傾斜用ガイドとを設けたことを特徴としている。
【0009】
エアコンベヤには、例えば、少なくとも他方のネックガイドの下方に設けられるとともに、樹脂製容器のネック部から下方に向かって外方に拡開する樹脂製容器の肩部を案内するショルダーガイドが設けられる。
【0010】
ガイドを例えば複数の回転ローラから構成し、回転ローラを容器胴部に当接させる。ショルダーガイドを他方のネックガイドの下方にのみに設ける。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、容器のネック部に設けられたフランジを支持し、容器を吊り下げた状態で搬送するエアコンベヤにおいて、肩部を有する容器を安定して搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態であるエアコンベヤの容器搬送方向から見た正面図である。
図2】従来のエアコンベヤの問題点を説明するための図である。
図3】従来のエアコンベヤの問題点を説明するための図である。
図4】従来のエアコンベヤの問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るエアコンベヤの容器搬送方向から見た正面図である。
【0014】
本実施形態のエアコンベヤ10は、容器Vのネック部のフランジFを支持し、吊り下げられた状態の容器Vの口部にエアを吹き付けて搬送する搬送装置である。容器Vは例えば薄肉の樹脂から形成された軟らかいボトル状の樹脂製容器であり、下方に向かって外方に緩やかに拡開するなで肩の肩部を備える。容器Vの材質は弾性を備えるものであれば問わないが、PET(ポリエチレンテレフタレート)が望ましい。このような樹脂製容器は、一例として、プリフォームと呼ばれる容器材料を2軸延伸して成型する。成型は8g〜20gのプリフォームを500mlの大きさまで延伸成型してもよく、また25g〜32gのプリフォームを1000mlないし2000mlの大きさまで延伸成型してもよい。成型された樹脂製容器の肉厚は、一例として、平均0.12mm〜0.2mmとなり、薄いところでは、0.1mm〜0.16mmとなる。このような薄肉で弾性を有する樹脂製容器を本発明で安定搬送することが可能となる。
【0015】
エアコンベヤ10は、容器Vのネック部の周囲に設けられたフランジFを下から摺動自在に支持する一対のネックガイド12A、12Bを備える。ネックガイド12A、12Bは、平行に容器Vの搬送経路に沿って延在する。ネックガイド12A、12Bは、ブラケット14、14によりそれぞれ空気室16の筐体に固定される。空気室16には、ブロア18によりエアが送り込まれ、空気室16内のエアは、搬送経路に沿って所定間隔で設けられた噴出口19から搬送方向下流側に向けて噴き出される。本実施形態において噴出口19は、例えば容器Vの口部20に対して左右側方および上方に設けられる。
【0016】
ネックガイド12A、12Bの下方には、それぞれ搬送経路に沿って延在する一対のショルダーガイド22A、22Bが設けられる。ショルダーガイド22A、22Bは、それぞれ支持部材24A、24Bにより支持される。また、図1において右側に位置するネックガイド12Bおよびショルダーガイド22Bの下方には、搬送方向に沿って延在する傾斜用ガイド26が配置される。傾斜用ガイド26は、例えば支持部材24Bにより支持され、容器Vの底面付近の側面に当接し、容器Vを鉛直軸Lvに対して搬送方向に対して側方へ僅かに傾斜させる。なお、本願において底面とは、容器を水平な面に載置した際、面と接触する領域(底面が凹凸形状の場合には、面と接触する外側の部分より内側の領域)を意味し、側面とは、容器を水平な面に載置した際、面と接触する部分より上方から肩部下方までの領域を意味する。
【0017】
一方、図1において左側に位置するネックガイド12Aおよびショルダーガイド22Aの下方には、搬送方向に沿って延在する胴部ガイド28が配置され、胴ガイド28は例えば支持部材24Aによって支持される。ショルダーガイド22A、22Bおよび胴ガイド28は、通常の搬送状態では容器Vに接触することはなく、ショルダーガイド22A、22Bは、容器VがフランジFとネックガイド12A、12Bの係合部を支点に搬送方向の前後に所定角度以上に大きく傾くことを規制し、胴ガイド28は容器Vが傾斜用ガイド26と反対側に所定角度以上傾くことを規制する。
【0018】
なお本実施形態において、傾斜用ガイド26は、多数の回転ローラ30から構成される。各回転ローラ30の回転軸は、搬送方向に対して略垂直に、かつ鉛直方向に対して所定角度傾けられて配置され、搬送経路に沿って略隙間なく帯状に並べられる。図1の例では、回転ローラ30は上下方向に3列設けられ、傾斜用ガイド26の位置(例えば搬送方向に垂直な方向への位置)を調整することにより、様々な寸法の容器Vに対して、何れかの列の回転ローラ30を容器Vの下方側面に当接させることができる。図1では、中段の列の回転ローラ30が容器Vの下方側面に当接し、容器Vの底部は胴ガイド28方向に僅かに押されている。
【0019】
次に本実施形態のエアコンベヤ10の作動および容器Vの搬送時における挙動について説明する。
【0020】
空気室16から噴出口19を通して噴出されるエアは、ネックガイド12A、12Bに支持される容器VのフランジFよりも上方にある口部20に吹き付けられる。口部20には、噴出するエアの風圧により推進力が与えられ、ネックガイド12A、12Bに沿って搬送方向下流側へと移動される。これにより容器Vが搬送方向下流側へと搬送される。このとき容器Vの本体は、口部20よりも僅かに遅れて移動するので、搬送中容器Vは前傾姿勢となる。
【0021】
しかし図2図4のように単独の容器Vが複数の容器Vの一群と衝突するような状況であっても、本実施形態では、傾斜用ガイド26が容器Vの下方側面に常に当接しており、また容器Vの本体の中心軸が鉛直軸から僅かにずれているため、容器同士が衝突しても容器Vが勢いよく搬送方向の前後に回転し跳ね上がることは防止される。すなわち、跳ね上がり角度は小さく抑えられ、容器Vが隣の容器Vの肩部へ乗り上がろうとする勢いも抑えられる。これにより、跳ね上がった容器Vの肩部がショルダーガイドに当たって変形し、肩部がショルダーガイドに噛み込まれることが防止される。
【0022】
以上のように、本実施形態によれば、容器のネック部に設けられたフランジを支持し、容器を吊り下げた状態で搬送するエアコンベヤにおいて、なで肩の肩部を有し軟らかい容器であっても、肩部をショルダーガイドに噛み込ませることなく安定して搬送することができる。
【0023】
本発明において、傾斜用ガイドと同じ側に配置されるショルダーガイド(22B)、および胴ガイドは必須ではなく、容器Vを挟んで反対側にショルダーガイド(22A)と傾斜用ガイドがそれぞれ1つずつ配置されていればよい。なお、ショルダーガイドが1つの場合には、肩部がショルダーガイド間に噛み込まれることはなく、傾斜用ガイドにより搬送方向の前後へ容器が振れることを抑えられるので、肩部がネックガイドに噛み込まれる現象の発生を低減することができる。
【0024】
傾斜用ガイドは、回転ローラから構成する必要はなく、摩擦の少ない板部材や棒状部材でもよく、容器との接触位置も下方側面が好ましいものの側面であれば下方に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0025】
10 エアコンベヤ
12A、12B ネックガイド
14 ブラケット
16 空気室
18 ブロア
19 噴出口
20 口部
22A、22B ショルダーガイド
24A、24B 支持部材
26 傾斜用ガイド
28 胴ガイド
30 回転ローラ
Lv 鉛直軸
図1
図2
図3
図4