【実施例】
【0023】
図1から
図5に示すように、折割装置1Aは、上面にガラス板2を平面状に支持する支持装置7と、支持装置7の上方においてNC制御されて支持装置7に対して水平面内でX軸方向及びY軸方向に移動させられる一対の折割ヘッド5と、一対の折割ヘッド5の夫々を夫々で水平面内においてX軸方向及びY軸方向に移動させる一対の移動装置27と、ガラス板2を搬送する搬送装置45と、基台14と、基台14の上方に設けられた架台28とを備える。
【0024】
折割装置1Aは、上面に予め形成された切線3の外側に位置する耳部4と切線3の内側に位置する本体部24とを有するガラス板2を支持装置7の上面に支持した状態で、NC制御により折割ヘッド5の夫々をガラス板2の耳部4の折割予定位置の夫々へ移動させてガラス板2の耳部4の折割分離を順次行うようになっている。
【0025】
ガラス板2の上面には、切線3に加えて、必要箇所に、多くはガラス板2の角部の箇所に端切線3aが予め形成されている。
【0026】
支持装置7は、上面にガラス板2が載置される可撓性の無端ベルト6と、無端ベルト6の下に設けられた支持台機構8とを備える。
【0027】
支持台機構8は、無端ベルト6を介して本体部24の中央域10を支持するように、基台14から立設された支柱体23に取付られた固定の中央支持台9と、無端ベルト6を介してガラス板2を部分的に支持する一対の水平移動自在な部分支持台12と、一対の部分支持台12の夫々を中央支持台9の周りの外側域11においてNC制御により水平移動させるように、外側域11に設けられた一対の移動装置13とを具備している。
【0028】
移動装置13の夫々は、基台14に取付けられたX軸移動機構15と、X軸移動機構15のX移動体16に取付け支持されたY軸移動機構17とからなり、各部分支持台12は、対応のY軸移動機構17のY移動体18に取付け支持されている。
【0029】
部分支持台12の夫々は、中央支持台9と同一の高さでガラス板2を部分支持する部分支持面部19と、部分支持面部19より2〜3mm低い段差面部21とを備えており、耳部4の折割分離においては、ガラス板2の切線3での部分22及び切線3近傍の本体部24を支持し、段差面部21は、耳部4の直下に位置されて、押圧体としての回転自在な押圧ローラ20による耳部4への押圧力の付与によるガラス板2の折り曲がりと耳部4の段差面部21側への逃げとを許容する。
【0030】
無端ベルト6は、本体部24からの耳部4の折割り後であって、本体部24の搬送装置45による搬出後、無端ベルト6上に残存した折割カレットとしての耳部4を無端ベルト6上から排出するように、電動モータ71の作動によりベルト72並びにベルト72が掛け回されたプーリ73及び74を介して走行されるようになっている。
【0031】
折割ヘッド5の夫々は、支持装置7の上方において中央域10を挟んだ空間26の夫々に設けられた一対の移動装置27の夫々に保持されている。
【0032】
移動装置27の夫々は、架台28に設けられたX軸移動装置29と、X軸移動装置29のX移動体30に取付けられたY軸移動装置31とからなり、折割ヘッド5の夫々は、対応のY軸移動装置31のY移動体32に取付けられている。
【0033】
折割ヘッド5の夫々は、Y移動体32に取付けられたブラケット33と、ブラケット33に取付けられた軸受装置34と、軸受装置34に回転自在に保持されていると共に回転軸線35がガラス板2の上面、即ち部分支持面部19の支持面に直交した回転軸36と、回転軸36の下端に取付けられたエアーシリンダ装置37と、回転軸36の回転軸線35上においてエアーシリンダ装置37のピストンロッド38の下端に回転自在に取付けられた押圧ローラ20と、回転軸36をプリーベルトなどの伝動手段42を介して角度制御回転させる角度制御装置39とを具備している。
【0034】
エアーシリンダ装置37のピストンロッド38は、回転軸線35を中心とした回転軸36の回転により同期して回転されるようになっており、押圧ローラ20は、エアーシリンダ装置37へのエアー圧の切り換えによるピストンロッド38の上下動で同期して上下動されて、この上下動でガラス板2の上面に押圧接触される一方、ガラス板2の上面から上方へ引き離されるようになっている。
【0035】
角度制御装置39は、NC制御モータ40及び減速機41を具備しており、減速機41においてブラケット33に取付けられており、角度制御装置39により、回転軸36、エアーシリンダ装置37及び押圧ローラ20は、一体となってガラス板2の上面に直交した回転軸線35の回りで角度制御回転される。
【0036】
例えばウレタン樹脂により成形されてなる押圧ローラ20は、
図6及び
図7に示すように、10mmから30mmの直径E及び10mm以上、好ましくは50mmから60mmの横幅Fを有した円筒体又は10mmから30mmの直径Eを有した球状体からなっていても、
図8に示すように、
図6及び
図7に示す円筒体又は球状体の複数個を軸方向に10mm以上の横幅Fをもって連接したものであってもよく、押圧ローラ20の直径Eを10mmから15mmにすることにより、4mmから5mmの狭巾の耳部4をより精確に折割分離することができる。
【0037】
切線形成後のガラス板2の支持装置7上への搬入と、支持装置7から折割済みガラス板2の本体部24の搬出とを行うように、中央域10の上方に設けられた搬送装置45は、X軸方向に直動する移動体46と、移動体46に取付けられていると共に上下方向に昇降される上下動装置47と、上下動装置47の下端にガラス板2の吸着及び吸着解放を行う吸盤48とを備える。
【0038】
吸盤48は、ガラス板2の折割動作中においては、上下動装置47により下降されて、無端ベルト6を介して中央支持台9にガラス板2を押圧して動かないように固定する。
【0039】
以下、折割装置1Aにおける動作及び折割方法を説明する。
【0040】
搬送装置45の吸盤48により吸着されて搬送装置45の移動体46により中央域10に搬入されたガラス板2は、当該中央域10において吸盤48により中央支持台9に押圧させられると、部分支持台12と折割ヘッド5とは、耳部4の折割予定位置へ移動されて、ガラス板2及び無端ベルト6を挟んで対面させられる。
【0041】
ガラス板2の切線3の下に位置した部分支持面部19は、本体部24を支え、ガラス板2の耳部4の下に位置した段差面部21は、耳部4の下に耳部4の曲げ下がりを許す逃げ部を形成する。
【0042】
耳部4の上に押圧ローラ20が位置すると同時に押圧ローラ20は、回転軸線35の回りに角度制御されて、切線3の法線方向C−C又は切線3からガラス板2の周縁3bに向う方向である耳部4を横断する方向にその転がり方向の向きを合せられる。
【0043】
押圧ローラ20は、転動移動方向が法線方向C−C又は横断方向に合せられた姿勢で降下されて耳部4を押圧し、この押圧状態で法線方向C−C又は横断方向に転がり移動させられる。
【0044】
押圧ローラ20は、外周が円形であり、その回転軸が切線3に平行又はそれに近い姿勢であるため、下端の円形の接触面で耳部4のみを押圧し、そして、法線方向C−C又は横断方向に転がり移動するため、耳部4に曲げ荷重を十分に与え、耳部4下の逃げ部と相俟って耳部4の折割分離を精確に行うことになる。
【0045】
部分支持台12の移動及び折割ヘッド5は、直交したXY平面座標系でNC制御されて移動される。
【0046】
図9に示す折割装置付のガラス板切断装置1Bは、支持台59と、支持台59の両側の夫々に設けられたX軸移動装置62と、X軸移動装置62に架設されたY軸移動装置60と、Y軸移動装置60の移動体61に取付けられていると共に平面支持されたガラス板2の上をガラス板2の上面に平行して直交座標系移動を行う共通の加工ヘッド65とを備えており、加工ヘッド65には、カッタホイール64を具備した切断ヘッド66と折割ヘッド63とが並設されている。
【0047】
ガラス板切断装置1Bでは、記憶されたNC加工情報に基づいて加工ヘッド65の1回目の直交座標系移動において切断ヘッド66を動作させて、ガラス板2にカッタホイール64により切線3を形成し、次に2回目の直交座標系移動において、折割ヘッド63を動作させて、切線3の外側の耳部4の折割を行う。
【0048】
折割ヘッド63は、押圧ローラ50とスプラインシャフト52とスプラインシャフト52を角度制御する角度制御装置51と押圧ローラ50を上下動させるエアーシリンダ装置53とを備える。
【0049】
ガラス板2は、厚み2mm〜3mmの型板56を介して支持台59の上面のシート55に平面支持される。
【0050】
型板56は切線3と略々同形状同寸法に形成されており、ガラス板2の周縁3bと切線3との間の耳部4の下に空間58を形成して、折割時の耳部4の逃げを許すようになっている。
【0051】
ガラス板切断装置1Bでは、折割ヘッド63による耳部4の折割動作は、折割装置1Aと同様に行われる。
【0052】
ところで、折割装置1Aでは、押圧体として回転自在な押圧ローラ20を用い、押圧ローラ20を法線方向C−C又は横断方向に転がり移動させて、耳部4を本体部24から折割分離するようにしたが、押圧体として、
図10に示すように、先端面(押圧面)80が円筒面状の押圧棒81をピストンロッド38の下端に取付けて、押圧棒81による耳部4への押圧力の付与にあたっては、法線方向C−C又は耳部4を横断する方向に対して直交する方向に、先端面80の円筒面の中心82が伸びるように、押圧棒81が回転軸線35の回りで角度制御されるようにして、角度制御後の押圧棒81の降下による耳部4への先端面80での押圧棒81の押圧接触で押圧棒81により耳部4へ折割力を与え、以下、折割装置1Aと同様にして、耳部4への先端面80での押圧棒81の押圧接触を維持したままで押圧棒81を法線方向C−C又は耳部4を横断する方向に先端面80で滑り移動させて、耳部4を本体部24から折割分離させるようにしてもよい。
【0053】
押圧棒81の先端面80としては、
図10に示す円筒面状に代えて、球面状であってもよく、球面状の先端面80を有した押圧棒81の場合には、押圧棒81に対する回転軸線35の回りでの角度制御を省き得る。
【0054】
また、上記では、押圧ローラ20又は押圧棒81を法線方向C−C又は耳部4の横断方向に移動させる一方、耳部4の下に耳部4の曲げ下がりを許す逃げ部を予め形成して、耳部4を本体部24から折割分離させるようにしたが、
図10から
図12に示すように、部分支持面部19を耳部4の下に予め位置させて、この状態で、角度制御後の押圧棒81の降下による耳部4への先端面80での押圧と同時に部分支持面部19を法線方向C−C又は耳部4の横断方向であって周縁3bから切線3に向う方向に切線3を超えて移動させて、耳部4の下に耳部4の曲げ下がりを許す逃げ部を形成し、この逃げ部の形成により、押圧棒81により耳部4へ付与される折割力で、耳部4を本体部24から折割分離させるようにしてもよい。
【0055】
更に上記では、各部分支持台12は、部分支持面部19と段差面部21とを備えているが、
図13及び
図14に示すように、各部分支持台12は、部分支持面部19を具備している一方、段差面部21を具備していなくてもよく、
図13及び
図14に示す部分支持台12では、法線方向C−C又は耳部4の横断方向であって周縁3bから切線3に向う方向に切線3を超えての部分支持面部19の移動で耳部4の下の部分支持面部19自体の周りに、耳部4の曲げ下がりを許す逃げ部が形成されるようになっている。
【0056】
段差面部21を具備しない部分支持台12は、
図1から
図5に示す折割装置1Aにも、用いることができる。
【0057】
押圧体としては、押圧ローラ20及び円筒面状又は球面状の先端面80を有した押圧棒81に代えて、
図15に示すように、10mmから30mmの直径E、好ましくは10mmから15mmの直径E及び10mm以上、好ましくは50mmから60mmの横幅Fを有した円柱体又は円筒体からなる押圧部材91であってもよく、円筒面90を有した斯かる押圧部材91でもって、
図10から
図12に示す動作又は
図13及び
図14に示す動作と同様の動作、即ち、押圧部材91の降下による耳部4への円筒面90での押圧と同時に部分支持面部19を法線方向C−C又は耳部4の横断方向であって周縁3bから切線3に向う方向に切線3を超えて移動させて、耳部4の下に耳部4の曲げ下がりを許す逃げ部を形成し、この逃げ部の形成により、押圧部材91により耳部4へ付与される折割力で、耳部4を本体部24から折割分離させる動作を行わせるようにしてもよい。斯かる円柱体又は円筒体からなる押圧部材91においては、回転しなくてもよいが、円柱体又は円筒体の中心92で回転するようになっていてもよい。
【0058】
更には、押圧体は、耳部4の折割において耳部4を周縁3b側に押し出すように、ピストンロッド38の下端に傾けて取付けられていてもよい。