【実施例】
【0044】
  以下では、図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。
【0045】
  <装置構成>
  先ず、
図1を参照しながら、本実施例の情報取得装置の全体構成について説明する。ここに
図1は、実施例に係る情報取得装置の全体構成を示す概略構成図である。
【0046】
  図1において、本実施例に係る情報取得装置は、テラヘルツ波を検査対象500に照射すると共に、検査対象500から反射したテラヘルツ波を検出する。このように、本実施例に係る情報取得装置は、所謂反射型のテラヘルツ波計測装置として構成されている。
【0047】
  テラヘルツ波は、1テラヘルツ(1THz=10
12Hz)前後の周波数領域(つまり、テラヘルツ領域)に属する電磁波である。テラヘルツ領域は、光の直進性と電磁波の透過性を兼ね備えた周波数領域である。テラヘルツ領域は、様々な物質が固有の吸収スペクトルを有する周波数領域である。従って、情報取得装置は、検査対象500に照射されたテラヘルツ波の周波数スペクトルを解析することで、検査対象500の特性を分析することができる。
【0048】
  図1に示すように、本実施例に係る情報取得装置は、撮像ヘッド部100と、制御・信号処理部200と、ヘッドスキャナ部300と、検査対象保持部400とを備えて構成されている。以下では、各部の具体的な構成を、その動作と共に説明する。
【0049】
  本実施例に係る情報取得装置の動作時には、「照射手段」の一具体例であるテラヘルツ波発信部110からテラヘルツ波ビームが出射される。具体的には、例えば共鳴トンネルダイオード等を備えて構成されるテラヘルツ波発生素子111において発生したテラヘルツ波が、シリコン半球レンズ112により効率よく取り出され、コリメートレンズ113を介して、テラヘルツ波ビームとして出射される。
【0050】
  テラヘルツ波発信部110から出射されたテラヘルツ波ビームは、ビームスプリッタ120を透過し、対物レンズ130及び試料台420を介して検査対象500へ照射される。照射されたテラヘルツ波ビームは、検査対象500において反射される。反射されたテラヘルツ波ビームは、再び試料台420及び対物レンズ130を介して、ビームスプリッタ120に入射される。テラヘルツ波ビームは、ビームスプリッタ120において反射され、「取得手段」の一具体例であるテラヘルツ波受信部140に導かれる。
【0051】
  テラヘルツ波受信部140では、対象物に関する情報を有するものとしてテラヘルツ波が検出される。具体的には、集光レンズ141によって集光されたテラヘルツ波ビームが、シリコン半球レンズ142において効率よくテラヘルツ波検出素子143に集められ、テラヘルツ波の強度に応じた信号が検出される。
【0052】
  以上説明した各構成は、撮像ヘッド部100内に収められている。撮像ヘッド部100はヘッドスキャナ部300上で自動走査される。
【0053】
  ヘッドスキャナ部300は、キャリッジ310とスキャン機構320とを備えて構成されている。キャリッジ310には、撮像ヘッド部100が設置される。そして、例えばボールねじとステッピングモータ等で構成されたスキャン機構320を駆動することにより、キャリッジ310が2次元的に移動する。これにより、キャリッジ310に固定された撮像ヘッド部110による走査が実現される。
【0054】
  他方で、撮像ヘッド部100及びヘッドスキャナ部300に対する各種制御、及び撮像ヘッド部100で検出された信号を処理する制御・信号処理部200は、信号増幅部210と、バイアス生成部220と、ロックイン検出部230と、スキャナ駆動部240と、画像処理部250とを備えて構成されている。
【0055】
  信号増幅部210は、テラヘルツ波受信部140で検出された信号を増幅し、テラヘルツ波受信データ信号としてロックイン検出部230に出力する。
【0056】
  バイアス生成部220は、バイアス電圧を生成してテラヘルツ波発生素子111及びテラヘルツ波検出素子143をバイアスし、バイアス電圧に応じて発信又は受信するテラヘルツ波を変化させる。なお、テラヘルツ波発生素子111及びテラヘルツ波検出素子143が光伝導アンテナの場合は、さらに光を作用させる必要があり、超短パルスレーザー光を照射することによって非常に広帯域のテラヘルツ波の送受信を行うことができる。
【0057】
  テラヘルツ波発生素子111及びテラヘルツ波検出素子143で発信又は受信されるテラヘルツ波は、一般的に微弱であるため、その検出にはロックイン検出が用いられる。ロックイン検出の際、テラヘルツ波発信部110では、テラヘルツ波発生素子111のバイアス電圧として変調された参照信号が用いられる。ロックイン検出部230は、バイアス生成部220により変調されたテラヘルツ波による検出信号と、バイアス生成部220から出力された参照信号とを用いて同期検波をする。そして、テラヘルツ波の検出信号の参照信号とは異なる周波数のノイズ成分が除去される。一方、テラヘルツ波検出素子143のバイアス電圧として、テラヘルツ波発生素子111の特性において検出感度が高くなるような直流電圧が印加される。
【0058】
  スキャナ駆動部240は、ヘッドスキャナ部300のスキャン機構320の駆動信号を生成すると同時に、駆動の結果として撮像ヘッドから照射されるテラヘルツ波ビームが検査対象500のどこに位置するかをモニタするための撮像位置信号を生成する。
【0059】
  画像処理部250は、スキャナ駆動部240でモニタされる撮像位置信号及び信号増幅部210で生成されたテラヘルツ波受信データ信号に基づいてマッピングされたテラヘルツ波イメージ画像を生成する。
【0060】
  検査対象保持部400は、試料台420、スキャナカバー部430、並びに試料台420及びスキャナカバー部430を固定するための筺体410を備えて構成されている。
【0061】
  試料台420は、テラヘルツ波を効率良く透過する材料(例えば、超高分子量ポリエチレン)等を含んで構成されている。このため、試料台420の上に置かれた検査対象500を、試料台420の下側にある撮像ヘッド部100から発信されるテラヘルツ波を用いて撮像することができる。試料台420は、「配置面」の一具体例として機能する。
【0062】
  スキャナカバー部430は、「固定手段」及び「固定具」の一具体例であり、検査対象500を試料台420に押し当て位置を固定する。また、ここでの説明は省略するが、スキャナカバー部430は、検査対象500側の面に、反射するテラヘルツ波の光学的距離が位置によって変化する構造を有している。この反射面の構造については、後に詳細に説明する。
【0063】
  <干渉による反射光の強度変化>
  次に、
図2を参照しながら、反射光(言い換えれば、テラヘルツ波受信部140で受信されるテラヘルツ波)の干渉に起因する強度変化について説明する。ここに
図2は、干渉による反射光の強度変化を示す概念図である。
【0064】
  図2において、テラヘルツ受信部140で受信されるテラヘルツ波は、検査対象500で反射されるものと、検査対象500を透過してスキャナカバー部430で反射されるものとを含んでいる。
【0065】
  図2(a)に示すように、検査対象500で反射されるテラヘルツ波の位相と、スキャナカバー部430で反射されるテラヘルツ波の位相とが互いに揃っている場合、各テラヘルツ波は強め合い、テラヘルツ受信部140で受信されるテラヘルツ波の強度は強くなる。
【0066】
  一方、
図2(b)に示すように、検査対象500で反射されるテラヘルツ波の位相と、スキャナカバー部430で反射されるテラヘルツ波の位相とが互いに逆向きである場合、各テラヘルツ波は弱め合い、テラヘルツ受信部140で受信されるテラヘルツ波の強度は弱くなる。この場合、テラヘルツ受信部140において十分な強度のテラヘルツ波を受信できなくなるおそれがある。すると、測定品質が劣化してしまうという問題が発生し得る。
【0067】
  本実施例に係る情報取得装置は、このような干渉に起因する測定品質の劣化を抑制するために、スキャナカバー部430が以下に詳述する特殊な構造を有している。
【0068】
  <スキャナカバー部の反射面の構成>
  次に、スキャナカバー部430の反射面の構成について、複数の実施例を挙げて詳細に説明する。
【0069】
  <第1実施例>
  先ず、
図3及び
図4を参照して、第1実施例に係るスキャナカバー部430の構造について説明する。ここに
図3は、第1実施例に係るスキャナカバーの反射面構造を示す部分拡大図である。また
図4は、第1実施例に係る情報取得装置の構成を示す側面図である。
【0070】
  図3において、第1実施例に係るスキャナカバー部430の反射面(即ち、テラヘルツ波が照射される検査対象500側の面)には、段差形状を有する反射面部分群450が設けられている。反射面部分群450は、n×n個(但し、nは整数)の反射面部分460から構成されている。反射面部分群450における反射面部分460は、互いに異なる高さを有するように構成されている。なお、反射面部分460の最大高低差は、テラヘルツ波ビームの波長λの1/2に相当し、例えば周波数300GHzのテラヘルツ波ビームを使用する場合、0.5mmである。このようにすれば、テラヘルツ波ビームの往復距離の差が波長λとなり、後述する反射光の位相を変化させるという効果が十分に得られる。ちなみに、n×n個の反射面部分460に分割する場合の高さ方向の分割単位Δhは、λ/2(n
2−1)となる。
【0071】
  図4において、反射面部分群450は、例えばイメージング測定における1画素分に対応しており、スキャナカバー部430上に規則的に並ぶように複数配置されている。また、反射面部分460は、テラヘルツ波の照射スポットに対応する面積を有している。即ち、反射面部分460の面積が実質的な計測単位である。
【0072】
  上述した段差形状により、反射面部分群450で反射されるテラヘルツ波は、反射面部分460に応じてテラヘルツ波受信部140までの光学的距離が変化する。言い換えれば、異なる反射面部分460で反射されたテラヘルツ波は、異なる位相を有するテラヘルツ波となる。このため、一の反射面部分460に対してテラヘルツ波を照射した場合に、干渉で反射光が弱め合ってしまったとしても、他の反射面部分460に対してテラヘルツ波を照射すれば、スキャナカバー部430からの反射光の位相が変化するため、干渉による影響を小さくすることができる。従って、測定品質の劣化を好適に抑制することが可能となる。
【0073】
  以下では、
図5を参照して、第1実施例に係る情報取得装置の動作について説明する。ここに
図5は、第1実施例に係る情報取得装置の動作を示すフローチャートである。
【0074】
  図5において、第1実施例に係る情報取得装置の測定動作が開始されると、先ず各画素のメモリデータが初期化される(ステップS101)。次に、X軸方向の移動量が1画素(即ち、移動n回)を超えたか否かが判定される(ステップS102)。X軸方向の移動量が1画素を超えない場合(ステップS102:No)、現座標の計測データが取得される(ステップS103)。
【0075】
  続いて、取得した計測データが、対応画素のメモリデータよりも大きいか否か(言い換えれば、検出されたテラヘルツ波の強度が強いか否か)が判定される(ステップS104)。そして、取得した計測データの方が対応画素のメモリデータよりも大きい場合(ステップS104:Yes)、対応画素のメモリデータが更新される(ステップS105)。一方で、取得した計測データの方が対応画素のメモリデータよりも小さい場合(ステップS104:No)、対応画素のメモリデータは更新されない(ステップS105は省略される)。
【0076】
  続いて、撮像ヘッド部100が1計測単位分(即ち、1/n画素分)X軸方向へ移動される(ステップS106)。即ち、テラヘルツ波ビームの照射スポットが隣の反射面部分460へと移動される。その後、再びステップS102以降の処理が繰り返される。
【0077】
  ステップS102において、X軸方向の移動量が1画素を超えた場合(ステップS102:Yes)、X軸方向の移動量(即ち、移動回数)が初期化される(ステップS107)。そして、Y軸方向(即ち、X軸方向と交わる方向)の移動量が1画素(即ち、移動n回)を超えたか否かが判定される(ステップS108)。Y軸方向の移動量が1画素を超えない場合(ステップS108:No)、X座標がスキャン範囲を超えたか否かが判定される(ステップS109)。
【0078】
  X座標がスキャン範囲を超えた場合(ステップS109:Yes)、撮像ヘッド部100が1計測単位分(即ち、1/n画素分)Y軸方向へ移動される(ステップS110)と共に、撮像ヘッド部110のX軸移動方向が反転される(ステップS111)。一方で、X座標がスキャン範囲を超えない場合(ステップS109:No)、ステップS110及びステップS111の処理は省略される。その後は、再びステップS103以降の処理が繰り返される。
【0079】
  Y軸方向の移動量が1画素を超えた場合(ステップS108:Yes)、Y軸方向の移動量(即ち、移動回数)が初期化される(ステップS112)。そして、現X座標1ライン分に相当する画素のメモリデータが、イメージングデータとして画像処理部250(
図1参照)に転送される(ステップS113)。その後、Y座標がスキャン範囲を超えたか否かが判定される(ステップS114)。そして、Y座標がスキャン範囲を超えない場合(ステップS114:No)、再びステップS103以降の処理が繰り返される。一方で、Y座標がスキャン範囲を超えた場合(ステップS114:Yes)、一連の測定処理は終了する。
【0080】
  以上説明した処理によれば、効率的な走査を行いつつ、画素単位で最も適切なデータ(即ち、干渉の影響が小さいデータ)を選択することができる。従って、極めて高品質な測定品質を実現することが可能である。なお、上述した動作例では、画素単位で最も強度の強いデータを選択しているが、画素内の複数の計測データの総和或いは平均値を採用するようにしてもよい。
【0081】
  <第2実施例>
  次に、
図6を参照して、第2実施例に係るスキャナカバー部430の構造について説明する。ここに
図6は、第2実施例に係る情報取得装置の構成を示す側面図である。
【0082】
  図6において、第2実施例に係るスキャナカバー部430は、
図4で示した第1実施例と同様に、n×n個の反射面部分460からなる複数の反射面部分群450を有している。ただし、第1実施例とは異なり、反射面部分群450の面積(即ち、1画素に相当する面積)が、テラヘルツ波ビームの照射スポットの面積に対応している。即ち、反射面部分460の各々の面積が第1実施例と比べると小さくされ、反射面部分群450全体が、テラヘルツ波ビームの照射スポット内に収まるように構成されている。これにより、第2実施例では、1画素が実質的な計測単位となっている。
【0083】
  第2実施例によれば、一度の計測で複数の反射面部分450で計測を行い平均した場合と同等のデータが得られる。このため、反射面部分450の各々について計測を行わずに済む。更には、計測単位が1画素となるため、第1実施例と比べると、より解像度の高い撮像が可能となる。
【0084】
  以下では、
図7を参照して、第2実施例に係る情報取得装置の動作について説明する。ここに
図7は、第2実施例に係る情報取得装置の動作を示すフローチャートである。
【0085】
  図7において、第2実施例に係る情報取得装置の測定動作が開始されると、先ず現座標の計測データが取得される(ステップS201)。そして、取得された計測データが、現画素のイメージングデータとして画像処理部へ転送される(ステップS202)。
【0086】
  続いて、撮像ヘッド部100が1画素分X軸方向へ移動され(ステップS203)、X軸座標がスキャン範囲を超えたか否かが判定される(ステップS204)。そして、X座標がスキャン範囲を超えない場合(ステップS204:No)、再びステップS201以降の処理が開始される。一方、X座標がスキャン範囲を超えた場合(ステップS204:Yes)、撮像ヘッド部100が1画素分Y軸方向へ移動され(ステップS205)、撮像ヘッド部100のX軸移動方向が反転される(ステップS206)。
【0087】
  続いて、Y座標がスキャン範囲を超えたか否かが判定される(ステップS207)。そして、Y座標がスキャン範囲を超えない場合(ステップS207:No)、再びステップS201以降の処理が開始される。一方、Y座標がスキャン範囲を超えた場合(ステップS207:Yes)、一連の測定処理は終了する。
【0088】
  以上の説明からも分かるように、第2実施例係る情報取得装置では、第1実施例と比べて単純な処理で測定が行える。
【0089】
  <第3実施例>
  次に、
図8を参照して、第3実施例に係るスキャナカバー部430の構造について説明する。ここに
図8は、第3実施例に係る情報取得装置の構成を示す側面図である。
【0090】
  図8において、第3実施例に係るスキャナカバー部430の反射面には、液晶層470が設けられている。即ち、第3実施例では、第1実施例や第2実施例のような物理的な段差形状は設けられていない。液晶層470は、例えば液晶パネルや液晶レンズアレイとして構成されており、駆動電圧により屈折率が変更可能とされている。第3実施例では、液晶層470の屈折率の変化により、反射光の位相が変化させられる。具体的には、屈折率に応じて液晶層470中を透過するテラヘルツ波ビームの速度が変化することで、反射光の光学的距離が変化する。
【0091】
  以下では、
図9を参照して、第3実施例に係る情報取得装置の動作について説明する。ここに
図9は、第3実施例に係る情報取得装置の動作を示すフローチャートである。
【0092】
  図9において、第3実施例に係る情報取得装置の測定動作が開始されると、先ず各画素のメモリデータが初期化される(ステップS301)。また、液晶層470の駆動電圧が初期化される(ステップS302)。そして、液晶層470の駆動電圧の変更回数が所定回数(即ち、1画素における計測回数)に達したか否かが判定される(ステップS303)。液晶層470の駆動電圧の変更回数が所定回数に達していない場合(ステップS303:No)、現座標の計測データが取得される(ステップS304)。
【0093】
  続いて、取得した計測データが、対応画素のメモリデータよりも大きいか否か(言い換えれば、検出されたテラヘルツ波の強度が強いか否か)が判定される(ステップS305)。そして、取得した計測データの方が対応画素のメモリデータよりも大きい場合(ステップS305:Yes)、対応画素のメモリデータが更新される(ステップS306)。一方で、取得した計測データの方が対応画素のメモリデータよりも小さい場合(ステップS305:No)、対応画素のメモリデータは更新されない(ステップS306は省略される)。
【0094】
  続いて、液晶層470の駆動電圧が変更される(ステップS307)。即ち、反射光の位相が1段階変化するように液晶層470の屈折率が変更される。その後、再びステップS303以降の処理が繰り返される。
【0095】
  ステップS303において、液晶層470の駆動電圧の変更回数が所定回数に達した場合(ステップS303:Yes)、液晶層470の駆動電圧の変更回数が初期化される(ステップS308)。そして、現画素のメモリデータがイメージングデータとして画像処理部250(
図1参照)に転送される(ステップS309)。その後、撮像ヘッド部100が1画素分X軸方向へ移動される(ステップS310)。
【0096】
  続いて、X座標がスキャン範囲を超えたか否かが判定される(ステップS311)。X座標がスキャン範囲を超えない場合(ステップS311:No)、再びステップS302以降の処理が開始される。一方で、X座標がスキャン範囲を超えた場合(ステップS311:Yes)、Y座標がスキャン範囲を超えたか否かが判定される(ステップS312)。Y座標がスキャン範囲を超えない場合(ステップS312:No)、撮像ヘッド部100が1画素分Y軸方向へ移動される(ステップS313)と共に、撮像ヘッド部110のX軸移動方向が反転される(ステップS314)。その後は、再びステップS302以降の処理が開始される。一方で、一方で、Y座標がスキャン範囲を超えた場合(ステップS312:Yes)、一連の測定処理は終了する。
【0097】
  上述したように、第3実施例に係る情報取得装置では、計測単位が1画素となるため、第1実施例と比べると、より解像度の高い撮像が可能となる。また、第1実施例及び第2実施例のように、物理的な段差形状を設けることが要求されず、更には駆動電圧の変更により、反射光の光学的距離を無段階で変化させることができる。従って、より高精度な測定が可能となる。
【0098】
  以上説明したように、本実施例に係る情報取得装置によれば、スキャナカバー部430が反射光の光学的距離を変化させる構造を有しているため、対象物を好適に固定すると共に、反射光の干渉に起因する測定品質の劣化を防止することが可能である。
【0099】
  本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う情報取得装置及び固定具もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。