【解決手段】制御部は、被測定信号の測定目標とする目標周波数未満の周波数に対応する測定対象信号のレベルが測定部によって測定される場合には、被測定信号の測定周波数からミキシング信号の周波数を減算した周波数が規定周波数となるように局部発振器を制御し(ステップS2)、目標周波数以上の周波数に対応する測定対象信号のレベルが測定部によって測定される場合には、ミキシング信号の周波数から被測定信号の測定周波数を減算した周波数が規定周波数となるように局部発振器を制御する(ステップS3)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来の技術は、第1測定過程と、第2測定過程とにおいて、掃引信号による2回の測定を行わなければならないため、第1測定過程に要する実行時間と第2測定過程に要する実行時間とによる時刻の経過にともなって特性が変化してしまう信号を正確に測定できないといった課題があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、時刻の経過にともなって特性が変化する信号であっても正確に測定することができる信号測定装置、信号測定システム及び信号測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の信号測定装置は、局部発振信号を生成する局部発振器(20)と、前記局部発振信号の周波数が所定の周波数領域の間で変化するように前記局部発振器を制御する制御部(21)と、前記局部発振信号が逓倍されたミキシング信号で被測定信号がミキシングされた規定周波数の測定対象信号のレベルを測定する測定部(35)と、を備え、前記制御部は、前記被測定信号の測定目標とする目標周波数未満の周波数に対応する前記測定対象信号のレベルが前記測定部によって測定される場合には、前記被測定信号の測定周波数から前記ミキシング信号の周波数を減算した周波数が前記規定周波数となるように前記局部発振器を制御し、前記目標周波数以上の周波数に対応する前記測定対象信号のレベルが前記測定部によって測定される場合には、前記ミキシング信号の周波数から前記被測定信号の測定周波数を減算した周波数が前記規定周波数となるように前記局部発振器を制御する構成を有している。
【0007】
この構成により、本発明の信号測定装置は、目標周波数未満の周波数に対応する測定対象信号のレベルを測定する場合には、被測定信号の測定周波数からミキシング信号の周波数を減算した周波数が規定周波数となるように局部発振信号を生成するため、被測定信号の目標周波数成分のイメージ信号を測定周波数未満の周波数領域に生じさせる。
【0008】
また、本発明の信号測定装置は、目標周波数以上の周波数に対応する測定対象信号のレベルを測定する場合には、ミキシング信号の周波数から被測定信号の測定周波数を減算した周波数が規定周波数となるように局部発振信号を生成するため、被測定信号の目標周波数成分のイメージ信号を測定周波数以上の周波数領域に生じさせる。
【0009】
このように、本発明の信号測定装置は、被測定信号の目標周波数成分のイメージ信号の周波数帯が被測定信号の測定周波数に含まれないように局部発振信号の周波数を制御することにより、測定周波数にイメージ信号を生じさせないため、時刻の経過にともなって特性が変化する信号であっても正確に測定することができる。
【0010】
なお、前記制御部は、前記被測定信号を発生する被試験対象物が使用する周波数帯域の中心周波数を前記目標周波数とするようにしてもよい。
【0011】
また、前記規定周波数は、前記被試験対象物が使用する周波数帯域の幅の4分の1より大きく設定されていてもよい。
【0012】
この構成により、本発明の信号測定装置は、被試験対象物が使用する周波数帯域内に、被試験対象物が使用する周波数帯域内の周波数成分のイメージ信号が生じてしまうことを防止することができる。
【0013】
本発明の信号測定システムは、被測定信号を中間周波数帯の信号に変換する周波数変換装置(2)と、前記周波数変換装置によって前記中間周波数帯に変換された被測定信号のレベルを測定する信号測定装置(3)と、を備え、前記信号測定装置は、局部発振信号を生成する局部発振器(20)と、前記局部発振信号の周波数が所定の周波数領域の間で変化するように前記局部発振器を制御する制御部(21)と、を有し、前記周波数変換装置は、前記局部発振器によって生成された局部発振信号を逓倍する逓倍器(12)と、前記逓倍器によって前記局部発振信号が逓倍されたミキシング信号で被測定信号をミキシングするミキサ(14)と、を有し、前記信号測定装置は、前記ミキサによってミキシングされた規定周波数の測定対象信号のレベルを測定する測定部(35)を更に有し、前記制御部は、前記被測定信号の測定目標とする目標周波数未満の周波数に対応する前記測定対象信号のレベルが前記測定部によって測定される場合には、前記被測定信号の測定周波数から前記ミキシング信号の周波数を減算した周波数が前記規定周波数となるように前記局部発振器を制御し、前記目標周波数以上の周波数に対応する前記測定対象信号のレベルが前記測定部によって測定される場合には、前記ミキシング信号の周波数から前記被測定信号の測定周波数を減算した周波数が前記規定周波数となるように前記局部発振器を制御する構成を有している。
【0014】
この構成により、本発明の信号測定システムは、目標周波数未満の周波数に対応する測定対象信号のレベルを測定する場合には、被測定信号の測定周波数からミキシング信号の周波数を減算した周波数が規定周波数となるように局部発振信号を生成するため、被測定信号の目標周波数成分のイメージ信号を測定周波数未満の周波数領域に生じさせる。
【0015】
また、本発明の信号測定システムは、目標周波数以上の周波数に対応する測定対象信号のレベルを測定する場合には、ミキシング信号の周波数から被測定信号の測定周波数を減算した周波数が規定周波数となるように局部発振信号を生成するため、被測定信号の目標周波数成分のイメージ信号を測定周波数以上の周波数領域に生じさせる。
【0016】
このように、本発明の信号測定システムは、被測定信号の目標周波数成分のイメージ信号の周波数帯が被測定信号の測定周波数に含まれないように局部発振信号の周波数を制御することにより、測定周波数にイメージ信号を生じさせないため、時刻の経過にともなって特性が変化する信号であっても正確に測定することができる。
【0017】
本発明の信号測定方法は、局部発振信号を生成する局部発振器(20)と、前記局部発振信号の周波数が所定の周波数領域の間で変化するように前記局部発振器を制御する制御部(21)と、前記局部発振信号が逓倍されたミキシング信号で被測定信号がミキシングされた規定周波数の測定対象信号のレベルを測定する測定部(35)と、を備えた信号測定装置(3)を用いて、前記被測定信号の測定目標とする目標周波数未満の周波数に対応する前記測定対象信号のレベルが前記測定部によって測定される場合には、前記被測定信号の測定周波数から前記ミキシング信号の周波数を減算した周波数が前記規定周波数となるように前記制御部が前記局部発振器を制御し、前記目標周波数以上の周波数に対応する前記測定対象信号のレベルが前記測定部によって測定される場合には、前記ミキシング信号の周波数から前記被測定信号の測定周波数を減算した周波数が前記規定周波数となるように前記制御部が前記局部発振器を制御する。
【0018】
したがって、本発明の信号測定方法は、目標周波数未満の周波数に対応する測定対象信号のレベルを測定する場合には、被測定信号の測定周波数からミキシング信号の周波数を減算した周波数が規定周波数となるように局部発振信号を生成するため、被測定信号の目標周波数成分のイメージ信号を測定周波数未満の周波数領域に生じさせる。
【0019】
また、本発明の信号測定方法は、目標周波数以上の周波数に対応する測定対象信号のレベルを測定する場合には、ミキシング信号の周波数から被測定信号の測定周波数を減算した周波数が規定周波数となるように局部発振信号を生成するため、被測定信号の目標周波数成分のイメージ信号を測定周波数以上の周波数領域に生じさせる。
【0020】
このように、本発明の信号測定方法は、被測定信号の目標周波数成分のイメージ信号の周波数帯が被測定信号の測定周波数に含まれないように局部発振信号の周波数を制御することにより、測定周波数にイメージ信号を生じさせないため、時刻の経過にともなって特性が変化する信号であっても正確に測定することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、イメージ信号が生じない条件で測定することが可能となる。その結果として、本発明は、イメージ信号を分離するために2回掃引していたために特許文献1に提案された技術の課題となっていた時刻の経過にともなって特性が変化する信号であっても測定することができる信号測定装置、信号測定システム及び信号測定方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
図1に示すように、信号測定システム1は、被測定信号を中間周波数帯の信号に変換する周波数変換装置2と、周波数変換装置2によって中間周波数帯に変換された被測定信号のレベルを測定する信号測定装置3とを備えている。
【0025】
周波数変換装置2は、信号測定装置3から入力された局部発振信号のオフセットを除去するHPF(High-pass Filter)10と、HPF10を通過した局部発振信号を増幅するアンプ11と、アンプ11によって増幅された局部発振信号を逓倍する逓倍器12と、局部発振信号が逓倍されたミキシング信号の特定の周波数帯域成分を通過させるBPF(Band-pass Filter)13と、BPF13を通過したミキシング信号で被測定信号をミキシングするミキサ14と、ミキサ14によってミキシングされた測定用信号を増幅するアンプ15と、アンプ15によって増幅された測定用信号から高周波成分を除去するLPF(Low-pass Filter)16と、を含んで構成される。
【0026】
本実施の形態において、逓倍器12は、局部発振信号の周波数を10倍にするものとして説明するが、設計により適宜変更してもよい。BPF13は、被測定信号を生成する被試験対象物に応じた周波数帯域を通過させるように係数が設定されている。
【0027】
なお、本実施の形態においては、被測定信号が導波管を通して周波数変換装置2に受信されるものとして説明するが、被測定信号が同軸ケーブルなどの他の媒体を通して周波数変換装置2に受信される場合には、BPF13の係数を信号測定装置3側から設定することができるようにしてもよい。
【0028】
LPF16を通過した測定用信号は、信号測定装置3に出力される。本実施の形態において、ミキサ14によってミキシングされる被測定信号の周波数帯域は、ミリ波帯のE−bandである60〜90GHzとする。
【0029】
また、ミキサ14からは、規定周波数として2GHzの測定用信号が出力されることとする。したがって、BPF13は、E−bandの被測定信号の全帯域を測定対象とする場合には、58〜92GHzの周波数成分を通過させるように設定されている。
【0030】
信号測定装置3は、局部発振信号を生成する局部発振器20と、局部発振信号の周波数が所定の周波数領域の間で変化するように局部発振器20を制御する制御部21と、局部発振信号のオフセットを除去するHPF22とを含んで構成され、HPF22を通過した局部発振信号を周波数変換装置2に出力するようになっている。
【0031】
制御部21は、例えば、コンピュータ装置によって構成される。このコンピュータ装置は、それぞれ図示しないCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、ハードディスク装置などの不揮発性の記憶媒体と、各種入出力ポートとを有する。
【0032】
このコンピュータ装置のROM及びハードディスク装置には、コンピュータ装置を制御部21として機能させるためのプログラムが格納されている。すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータ装置は、制御部21として機能する。
【0033】
制御部21には、被測定信号の測定帯域、被測定信号の測定目標とする目標周波数、及び、表示用の各種設定値などの各種パラメータ、並びに、試験の開始及び終了などを指示するコマンドなどを入力するための操作部23が設けられている。
【0034】
制御部21は、例えば、E−bandの被測定信号の全帯域を測定対象とする場合には、ミキシング信号の周波数領域である58〜92GHzのうち、所定の周波数領域(例えば、操作部23などを介して設定された周波数領域)にわたって、所定の周波数間隔(例えば、操作部23を介して設定された周波数間隔)で局部発振信号の周波数が変化するように局部発振器20を制御するようになっている。
【0035】
本実施の形態は、ミキシング信号として、局部発振器20によって生成された局部発振信号の周波数が逓倍器12によって10倍にされた信号を用いるため、制御部21は、局部発振器20によって生成された局部発振信号の周波数が5.8〜9.2GHzの間で変化するように局部発振器20を制御するようになっている。
【0036】
信号測定装置3は、周波数変換装置2から入力された測定用信号からノイズ成分を除去するLPF30と、測定用信号を周波数変換するための局部発振信号を生成する局部発振器31と、局部発振器31によって生成された局部発振信号で測定用信号をミキシングするミキサ32と、ミキサ32によってミキシングされた信号から測定対象信号を抽出するBPF33と、BPF33を通過した測定対象信号をデジタル信号に変換するA/D(Analog to Digital)コンバータ34と、デジタル信号に変換された測定対象信号のレベルを測定する測定部35と、測定部35による測定結果を表示するための表示部36とを更に含んで構成される。
【0037】
本実施の形態において、2GHzの測定用信号をミキサ32によって0.1GHzの測定対象信号に変換するために、局部発振器31は、0.9GHzの局部発振信号を生成するようになっている。
【0038】
したがって、BPF33は、0.1GHz帯の測定対象信号を通過させるように係数が設定されている。測定部35は、例えば、制御部21を構成するCPUによって構成され、制御部21による制御に応じて、測定対象信号のレベルを測定するようになっている。
【0039】
制御部21には、表示部36の表示に関する制御を行う表示制御部37が設けられている。例えば、制御部21は、表示部36に測定結果画面を表示させるように、表示制御部37を制御するようになっている。表示制御部37は、例えば、制御部21を構成するCPU及びビデオカードによって構成される。
【0040】
制御部21は、目標周波数未満の周波数に対応する測定対象信号のレベルが測定部35によって測定される場合には、被測定信号の測定周波数からミキシング信号の周波数を減算した周波数が規定周波数となるように局部発振器20を制御するようになっている。
【0041】
また、制御部21は、目標周波数以上の周波数に対応する測定対象信号のレベルが測定部35によって測定される場合には、ミキシング信号の周波数から被測定信号の測定周波数を減算した周波数が規定周波数となるように局部発振器20を制御するようになっている。
【0042】
本実施の形態において、制御部21は、被測定信号を発生する被試験対象物が使用する周波数帯域の中心周波数を目標周波数とする。なお、制御部21は、被測定信号を発生する被試験対象物が使用する周波数帯域内であれば、最低周波数を目標周波数としてもよく、最高周波数を目標周波数としてもよい。
【0043】
以下の説明においては、目標周波数を80GHzとする。すなわち、本実施の形態は、80GHzを中心周波数とする周波数帯を使用する被試験対象物によって送出された被試験信号のレベルを周波数単位で測定する。
【0044】
図2に示すように、制御部21は、例えば、被測定信号の76GHzの周波数成分のレベルを測定する場合には、ミキシング信号の周波数が74GHz又は78GHzとなるように局部発振器20を制御する。
【0045】
ここで、ミキシング信号の周波数が78GHzとなるように制御部21が局部発振器20を制御すると、測定周波数である76GHzに被測定信号の目標周波数成分のイメージ信号Siuが生じてしまう。
【0046】
この場合には、ミキシング信号の周波数が74GHzとなるように制御部21が局部発振器20を制御することにより、イメージ信号の周波数を68GHzとすることで、被測定信号の76GHzの周波数成分のレベルを測定するときのイメージ信号及びイメージ信号に伴うスプリアスの影響が測定結果に及ぶことを回避することができる。
【0047】
このように、制御部21は、目標周波数80GHz未満の76GHzに対応する測定対象信号のレベルを測定する場合には、ミキシング信号の周波数が74GHz(=測定周波数76GHz−規定周波数2GHz)となるように局部発振器20に局部発振信号を生成させることにより、目標周波数帯である80GHz帯の信号に対するイメージ信号Silを測定周波数未満の68GHz帯に生じさせる。
【0048】
図3に示すように、制御部21は、例えば、被測定信号の84GHzの周波数成分のレベルを測定する場合には、ミキシング信号の周波数が82GHz又は86GHzとなるように局部発振器20を制御する。
【0049】
ここで、ミキシング信号の周波数が82GHzとなるように制御部21が局部発振器20を制御すると、測定周波数である84GHzに被測定信号の目標周波数成分のイメージ信号Silが生じてしまう。
【0050】
この場合には、ミキシング信号の周波数が86GHzとなるように制御部21が局部発振器20を制御することにより、イメージ信号の周波数を92GHzとすることで、被測定信号の84GHzの周波数成分のレベルを測定するときのイメージ信号及びイメージ信号に伴うスプリアスの影響が測定結果に及ぶことを回避することができる。
【0051】
このように、制御部21は、目標周波数80GHz以上の84GHzに対応する測定対象信号のレベルを測定する場合には、ミキシング信号の周波数が86GHz(=測定周波数84GHz+規定周波数2GHz)となるように局部発振器20に局部発振信号を生成させることにより、目標周波数帯である80GHz帯の信号に対するイメージ信号Siuを測定周波数以上の92GHz帯に生じさせる。
【0052】
本実施の形態において、規定周波数を2GHzとして説明したが、規定周波数は、被試験対象物が使用する周波数帯域の幅の4分の1より大きく設定される。以下、被試験対象物が使用する周波数帯域Fbの幅をBWとし、規定周波数をIFとし、被試験対象物が使用する周波数帯域Fbのイメージ信号が発生する帯域をFbil、Fbihとして説明する。
【0053】
図4に示すように、規定周波数IFが幅BWに対して相対的に低い状態では、被試験対象物が使用する周波数帯域Fb内に、被試験対象物が使用する周波数帯域Fb内の周波数成分のイメージ信号が生じてしまう。
【0054】
図4に示す状態においては、周波数帯域Fbと、イメージ信号の帯域Fbil、Fbihとの間に目標周波数Fcを超えた重なりOll、Olhが生じてしまう。この重なりOll、Olhに相当する部分に含まれる周波数を測定周波数とすると、被試験対象物が使用する周波数帯域Fb内の周波数成分のイメージ信号が測定周波数の信号に影響を及ぼしてしまう。
【0055】
周波数帯域Fbと、帯域Fbil、Fbihとの間に目標周波数Fcを超えた重なりOll、Olhを生じさせないためには、(IF×2)−(BW/2)>0、すなわち、IF>BW/4を満たす必要がある。
【0056】
この条件を満たすように規定周波数を設定することにより、
図5に示すように、被試験対象物が使用する周波数帯域Fb内に、被試験対象物が使用する周波数帯域Fb内の周波数成分のイメージ信号が生じてしまうことを防止することができる。
【0057】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る信号測定装置3による局部発振信号制御動作について
図6を参照して説明する。なお、以下に説明する局部発振信号制御動作は、各測定周波数における測定が行われるたびに実行される。
【0058】
まず、制御部21は、目標周波数未満の周波数に対応する測定対象信号のレベルが測定部35によって測定されるか否かを判断する(ステップS1)。ここで、目標周波数未満の周波数に対応する測定対象信号のレベルが測定部35によって測定されると判断した場合には、制御部21は、被測定信号の測定周波数からミキシング信号の周波数を減算した周波数が規定周波数となるように局部発振器20を制御し(ステップS2)、当測定周波数に対する局部発振信号制御動作を終了する。
【0059】
一方、目標周波数未満の周波数に対応する測定対象信号のレベルが測定部35によって測定されない、すなわち、目標周波数以上の周波数に対応する測定対象信号のレベルが測定部35によって測定されると判断した場合には、制御部21は、ミキシング信号の周波数から被測定信号の測定周波数を減算した周波数が規定周波数となるように局部発振器20を制御し(ステップS3)、当測定周波数に対する局部発振信号制御動作を終了する。
【0060】
以上より、本実施の形態における信号測定方法は、信号測定装置3を用いて、被測定信号の測定目標とする目標周波数未満の周波数に対応する測定対象信号のレベルが測定部35によって測定される場合には、被測定信号の測定周波数からミキシング信号の周波数を減算した周波数が規定周波数となるように制御部21が局部発振器20を制御し、目標周波数以上の周波数に対応する測定対象信号のレベルが測定部35によって測定される場合には、ミキシング信号の周波数から被測定信号の測定周波数を減算した周波数が規定周波数となるように制御部21が局部発振器20を制御する。
【0061】
以上に説明したように、本実施の形態は、目標周波数未満の周波数に対応する測定対象信号のレベルを測定する場合には、被測定信号の測定周波数からミキシング信号の周波数を減算した周波数が規定周波数となるように局部発振信号を生成するため、被測定信号の目標周波数成分のイメージ信号を測定周波数未満の周波数領域に生じさせる。
【0062】
また、本実施の形態は、目標周波数以上の周波数に対応する測定対象信号のレベルを測定する場合には、ミキシング信号の周波数から被測定信号の測定周波数を減算した周波数が規定周波数となるように局部発振信号を生成するため、被測定信号の目標周波数成分のイメージ信号を測定周波数以上の周波数領域に生じさせる。
【0063】
このように、本実施の形態は、被測定信号の目標周波数成分のイメージ信号の周波数帯が被測定信号の測定周波数に含まれないように局部発振信号の周波数を制御することにより、測定周波数にイメージ信号を生じさせないため、時刻の経過にともなって特性が変化する信号であっても正確に測定することができる。
【0064】
また、本実施の形態は、局部発振信号を掃引信号とした2回の測定を行う必要がなくなるため、従来の技術と比較して、測定にかかる時間を短縮することができる。更に、本実施の形態は、従来の技術と比較して、測定にかかる時間を短縮することができるため、同じ測定時間内で測定できる周波数を増やすことができ、測定結果の周波数の分解能を高くすることができる。
【0065】
以上、本発明の実施の形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が特許請求の範囲に記載された請求項に含まれることが意図されている。